アームズの仕事にも様々な種類がある。  
細々とした魔物退治など、普通ならそれ専門の渡り鳥でもこなせそうな任務でも  
依頼されればその現場に赴く。それが「善良なる市民の番犬」の勤めだからだ。  
 
その日の任務もそのような類の物だった。  
アシュレーとリルカはメリアブール城でのオデッサ対策会議に出席、  
マリアベルはゴーレムの調整に多忙…ということで  
モンスターが出没するという辺境の森の中に位置する町に派遣されたのは  
ブラッド、カノン、そしてティムの三人のみだった。  
元々の生業が「凶祓い」であるカノンの能力もあって、誰も掠り傷ひとつ負わずに魔物は簡単に片付い 
た。  
アームズの面々にとっては拍子抜けするような仕事だったが、町の人々にとっては久々の喜びだった。  
テレポートオーブですぐにでも帰還することもできたのだが、住人に引き止められ  
宿屋の主人の心づくしの夕食をとり、勧められるままに泊まっていくこととなった。  
ワインを少し舐めただけで、ティムが睡魔に勝てなくなったのが大きな理由だったが…  
ブラッドに担がれ宿屋の一室に運ばれたティムは、ベッドに横たえられてすぐに寝息を立て始めた。  
 
深夜、ふと目を覚ましたティムは、ここがどこなのかぼんやりと考えた。  
(あ、そうだった…僕、酔っ払ったんだっけ…)  
はっきりしない頭で、部屋の中を見渡す。ベッドが二つ並んだ小さな客室だ。  
片方には自分が、もう片方のベッドの真ん中には…プーカが丸くなっていた。  
立ち上がってプーカをつついて、ティムは囁いた。  
「ねえ、プーカ…そこブラッドさんのベッドだよね?どこに行っちゃったんだろ?」  
「知らないのダ…ティムを寝かして、出て行ったのダ」  
小さな目を擦りながらプーカは答え、そしてまた丸くなった。  
その時、ティムは何かが軋む音を聞いたような気がした。  
 
「プーカ!今の音は何?」  
「聞こえない…プーカは眠いのダ。寝かして欲しいのダ。」  
「しょうがないなあ、もう…」  
常々ティムは、ブラッドの言動を「一人前の男」として手本にするようにしている。  
(物音を聞き分けるんだ。どんな小さな音でも聞き慣れない音や場にそぐわない音には気をつけろ)  
こんな彼の言葉にティムは心底感心したものだ。ティムは今全身に緊張をみなぎらせ聞こえる音に集中 
した。  
微かではあるがプーカの眠るベッド側の壁の向こうから、木だろうか…何かの軋む音がする。  
ベッドに上がりひやりと冷たい土壁に耳を当てた。木の軋む音はある程度規則的に聞こえてくる。  
音の正体を掴もうと更に強く耳を押し当てたティムは、飛び込んできた声に愕然とした。  
「…だめ…そ、そんな…」  
カノンの声…苦しげな、か細い声だが、間違いない。隣の部屋から聞こえてくる。  
「…もう…もう、だめ…!…あぁ…」  
弾かれたように、ティムは壁から離れた。  
(昼間の魔物だ!まだ仲間がいたんだ!あんなに簡単に片付いたのは、おかしいと思ってたんだ…  
カノンさんが苦しそうなのは、きっと魔物に襲われて酷い目に遭ってるからなんだ!)  
常日頃、凛々しく少々の事では動じないカノンがあんな弱々しい声をあげるなど、普通では考えられな 
い。  
ティムは枕元に置かれたロッドを握り締めて部屋を飛び出した。  
 
プーカは起きそうにないし、頼りになるブラッドも姿が見えない。しかし、カノンを助けるには一刻を 
争う。  
廊下を駆けノブを掴んで回すのももどかしく、勢い良くドアを開け放つと、  
カノンを苛んでいるはずの魔物にロッドを振りかぶりティムは、勇気を振り絞って叫んだ。  
「カ、カノンさんから離れろ!この魔物め…」  
しかし、振りかぶられたロッドはそのまま凍り付いたように止まってしまった。  
客室の窓の粗末な鎧戸の隙間から差し込む月の光に照らされていたのは  
窓際に置かれたベッドの上に仰向けに投げ出されたように横たわり  
乱れた前髪の間から眼帯の外された潤んだ眼を覗かせているカノンと  
カノンの大きく開かれた白い両足を逞しい肩に担ぎ、その中心に己の腰を押し付けているブラッドだっ 
た。  
二人とも一糸纏わぬ身体に汗を光らせたまま、呆気にとられた様子でティムを見つめている。  
 
しばしの沈黙の後、やっと状況を彼なりに認識したティムは耳まで真っ赤に染まり  
「ご、ごめんなさい!」  
と、喚くが早いか踵を返してドアに突進した。が、あまりに勢い良く開かれたドアは  
その反動で半ば閉まっていた。薄暗い部屋の中でそれに気付かなかったティムは  
真正面からドアに激突し、その衝撃の所為かあるいは興奮の為か鼻血を出しながら昏倒してしまった。  
 
 
「…それで、それから?」  
「それからって…」  
ティムは続きを急かすトニーの言葉に、もじもじしながら答えた。  
「気がついたら、元の二人部屋に寝かされてて鼻に塗らしたタオルが置いてあって…隣のベッドにはブ 
ラッドさんが寝転がってた」  
「それで、それで?」  
今度はスコットが口をはさんだ。トニーもスコットも眼をキラキラさせて話の続きを待つ。  
「とにかく…もう一回謝ったんだけどブラッドさん凄く機嫌が悪くって…」  
ゲラゲラ笑うトニーを横目に見ながら、ティムは不満そうに続けた。  
「タオルを取り替えてくれた時もピシャッ!って感じでさ、『さっさと寝ろ』って…ほんとに恐かった 
よ」  
「ティムが寝た後、ブラッドさんはまたカノンさんの部屋に行ったんでしょうか?」  
真面目くさって顔でスコットが訪ねると、ティムはかぶりをふった。  
「僕も全然眠れなかったから寝た振りしてたけど…ブラッドさん、出てかなかったよ…寝返りばっかり 
うってた」  
「それで、皆して眠そうな顔して帰ってきたんだな?」  
トニーはまた腹を抱えて笑い転げた。それにスコットもつられて笑い出した。  
 
ヴァレリアシャトーに帰還した三人の様子がどうもぎこちないと、不審に思ったトニーとスコットは  
自分たちに割り当てられた部屋にティムを引きずり込んで、しぶる彼から昨夜の話を聞きだすことに成 
功した。  
ちょうど性に興味を抱きはじめる年頃の少年達にとってはこの上ない話題だ。  
「すげえなあ、ティム。俺なんかエロ本でしかしらないのにさ、お前は本当の大人のセックス見たんだ 
よな!」  
「しかし、驚きましたね。ブラッドさんとカノンさんがそこまで深く関係していたとは…」  
「結婚するのかな?それともただ単にカラダだけの仲なのかな?カノンの姐ちゃん、おっぱいデカイも 
んな!」  
「誰にも言わないでよ? ブラッドさんとカノンさんには、特に言わないでよ?」  
「別に知られても構わないと思いますが? お二人だって大人なんだから」  
「『ティムが言いふらした』って思われるのが嫌なんだよう! 僕、もうこのことは忘れたいよ…」  
「忘れたい?なんで? そんなに凄いもの見たのにさ!」  
「声で…ううん、ベッドの軋む音で気付かないなんて、僕は本当に子供だ…嫌になるよ…もっと大人に 
ならなきゃ…」  
ふらふらと立ち上がり部屋を出るティムの後姿を見送りながら、トニーは囁いた。  
「あいつ、コレットのことを考えてるんだぜ。いつかコレットとエッチな事する時の為に大人にならな 
きゃって」  
くっくっと喉を鳴らしながらトニーは続けた。  
「ティムの奴、俺達の中で一番子供なのか大人なのかわかんないよなあ」  
「時に、トニー君」  
スコットの真剣な声に、トニーは笑い声を引っ込めた。  
「昨夜セックスの邪魔をされたお二人が今夜どんな行動をとるか、想像できます?」  
「どうって…ええと…?」  
「昨夜の続きをやり直す可能性が極めて高い、これが私なりの結論です」  
真顔で聞いていたトニーの顔に笑みが戻ってきた。  
「もしかしてもしかすると…それを覗こうって言うのか?」  
スコットも笑顔を浮かべて頷いた。  
「スコット、そんなこと思いつくなんてお前すげえよ! よし、これで俺達も大人のお勉強だ!」  
 
その夜…といっても夜更けにはまだ早い時間、ブラッドとカノンがまだ自室に戻らないのをそれぞれに 
確認して、  
トニーとスコットはカノンの部屋の忍び込み、クローゼットの中に身を潜めた。  
扉には湿気が篭らないように細い隙間が一面に空けてある。そこからはベッドがちょうど正面に見えた。  
狭い空間で身を寄せ合いながら、二人はひたすらに数時間、待ちつづけていた。  
「待ちくたびれた…本当にこっちで間違いないんだろうな? おじさんの部屋だったらとんだ待ちぼう 
けだよ」  
窮屈そうに身をよじりながらブツブツと呟くトニーにスコットが答えた。  
「カノンさんの部屋は廊下の突き当たり、ブラッドさんの部屋はその隣でしょ?  
 昨夜の様に声を洩らさない為には、この突き当たりの部屋を使うはずですよ」  
「そうか…お前、頭いいよな!」  
「それにこのクローゼット、中からはよく見えるけど外からは暗くてわからないだろうし…  
 私なりの結論といたしましては、ここを開けられない限り見つかる心配はありません!」  
「開けられたら、どうするんだ?」  
「うッ…その時は…その時…」  
「おいおい、しっかりして…シッ!ドアが…」  
二人が慌てて口をつぐんだ直後、部屋のドアが開いた。続いて複数の足音が部屋に入ってきた。  
ドアの閉まる音が聞えた後、少々の間が空いた。と、不意に足音が一人の物になり  
二人の眼の前にカノンを抱え上げたブラッドの、ベッドへと向かう背中が現れた。  
 
(ビンゴ…!)  
(やっぱり、思った通りだ! 大人もエッチなことは一晩だって我慢できないんだ!)  
興奮を抑えつ目配せしたトニーとスコットの見守る中、ブラッドはカノンのマントを取り払い  
そのままベッドへ押し倒した。カノンは何事か抗議の声を上げているがブラッドは構わずのしかかって 
いく。  
灯りも消さずにベッドの上の二人は唇を重ねた。小声で囁き合っては、またキスを交わす。  
二人の舌が水音を立てて絡み合うのを、トニーは食い入るように見つめていた。  
重なる唇の間からカノンの艶めいた吐息が洩れた。何を話しているかまではわからないが  
お互いの唇を殆ど離さなぬまま言葉を交わしている。声が途切れると、再び深いキス…  
(キ、キスだけで…こんなにいやらしいなんて…)  
トニーは体の中心が徐々に熱くなるのを感じていた。今までも経験が無いわけではないが  
このままでは自分の小さなモノが信じられないほどに大きくなって暴れだすのではないかと  
思うほどの強烈な昂ぶりだった。トニーはそっと鎮めるように己の股間を、服の上から握った。  
その時ちら、とスコットの方を伺うと、目が合った。彼も同じようにズボンの前を握り締めていた。  
二人の少年はお互いに気まずいような照れ臭そうな笑みを浮かべて、ベッドに視線を戻した。  
ブラッドはカノンの襟元を寛げ、その白い首筋に丹念に口付けていた。  
ブーツを脱がされたカノンの太腿は、浅黒く大きな手に撫で回されている。  
(早く、早く脱がせちゃえよ! 姐ちゃんだって興奮してるじゃないか! じらしてやるなよ!)  
初めて目の当たりにする大人の男女の愛の営みに、二人の少年達はすっかり興奮していた。  
だが彼等はまだ気がついていなかった。じらされているのは、自分達であることを…  
 
自室のドアを開けてすぐ、カノンは部屋の中に違和感を覚えていた。  
後から入ってくるブラッドに目配せすると、察しのいい彼はすぐにクローゼットの方へと  
顎をしゃくって見せた。カノンは頷きながらも憮然とした表情を作る。  
昨夜、子供とは言えれっきとした男であるティムに恥かしい声と姿を晒してしまったのは不覚だった。  
久々にブラッドに身体を委ねて、つい我を忘れてしまっていたようだ。あまりに彼の責めが激しかった 
のもあるが…  
昇りつめることなく終わってしまった行為の続きを持ちかけてきたのはブラッドだったが、カノンも彼 
が欲しかった。  
今度こそは邪魔されずに、と思っていたのに…カノンの頬は怒りと恥かしさで紅く染まり始めていた。  
クローゼットに潜んでいるのはきっとティムだろう。もしかしたら少年アームズなどと称してつるんで 
いるあの少年達も一緒かも知れない。反省している風を装って、なんてマセたガキだ…  
尻の一つも引っぱたいて、追い出してやろうと部屋の中に足を踏み入れようとしたカノンを  
ブラッドはいきなり後ろから抱きすくめてそのまま抱き上げてしまった。  
そのまままっすぐベッドに大股に歩いてカノンを降ろし、組み伏せる。  
 
「ブラッド? クローゼットの中に誰かが…」  
「わかってるさ」  
短く答えて、ブラッドはカノンの唇を奪う。しばらく彼女の舌を味わってから、言った。  
「ティム達は、そういう年頃なんだよ。」  
「は、早すぎるだろう?! それに、昨夜はお前だって怒ってたじゃないか…」  
「その通りだが…考えてみれば俺も覚えがあるんだ。ガキの微笑ましい探究心ってのは…な」  
小さく笑いながら、ブラッドはまたカノンに口付ける。それを素直に受けながらもカノンは抗議した。  
「だからって、実地で覗かせてやる気か? 本気か?! あたしは嫌だ!」  
「もしかしたら、案外燃えるかも知れないぞ?」  
「ば、馬鹿! そ、そんな破廉恥な…」  
「わかったよ…ちょっと言ってみただけだ。でもせっかくだから、もう少しサービスしてやろうぜ?」  
囁きながらブラッドはカノンの首筋に唇を移した。敏感な場所に舌を這わされカノンは思わず身じろぎ 
する。  
「お前がそんなに悪趣味だったなんて、知らなかった…」  
「くだらないと思うだろうが、男にはそういう所があるのさ」  
カノンのブーツを足から抜き取り太腿を撫でていた手を止めて、ブラッドは身を起こした。  
「まあ、お手柔らかにな。あんまり苛めてやるなよ?」  
そう言い残して、ブラッドは寝室に隣接する浴室へと姿を消した。  
 
夢中でカノンの肢体を愛撫していたように見えたブラッドが唐突に彼女から離れ、浴室へ消えていくの 
をトニーとスコットは呆然と見送っていた。カノンはベッドの上に身を起こし、気だるそうに髪を整え 
ている。  
程無くして浴室からは浴槽に湯を溜める音が聞えてきた。カノンはまったく動く気配がない。  
(途中休憩?)と同じ疑問を浮かべた顔を見合わせる二人に突然凛とした声が飛んだ。  
「そこにいるのはわかってる…出て来い」  
カノンの声には静かな怒りが満ちている。  
(見つかった…)  
途端に恐慌に襲われた少年達は、振るえながらも動く事ができない。両手はもちろん股間を握ったまま 
だ。  
「出て来いと言っているんだ!」  
声と共にカノンの左腕が飛んだ。腕はクローゼットの扉を全て開き主の元へ戻る。  
あっという間に、トニーとスコットは情けない姿を灯りの下に晒す事になった。  
「お前達だけか?ティムはどうした?」  
手はそのままに、もじもじと部屋に出てきた二人に、先程よりは静かな声でカノンが尋ねた。  
「ティムは知らないんだ、俺達が勝手に決めた事なんだよ…」  
「そうです、確かにお二人のことはティムから聞いたんですけど、この計画は僕達が思いついたんです 
…」  
「お願い、お姐さん。ティムを怒らないで…」  
泣き出しそうな顔でかわるがわる弁明する二人を見て、カノンは怒りが徐々に和らいでいくのを感じて 
いた。  
眼の前の二人は、まだほんの子供だ。この二人はカノンの身体に仕込まれたセンサーの類のことなどよ 
く知らずに幼稚な好奇心に忠実に従って、こんな馬鹿げた行動に出たのだろう。ブラッドの言う通り、 
背伸びしたい年頃なのだ。  
しかし、だからと言ってこのまま優しく放免してやるのも癪に障る。カノンはわざと恐い顔を作って、 
言った。  
「あたしの身体に興味があったのか? 裸が見たかったのか?」  
 
二人は更に縮み上がって、身を寄せ合った。カノンはベッドから立ち上がり歩み寄る。  
「身体のほとんどが義体のあたしを見たいとは、光栄と言った方がいいのかな?」  
「カ、カノンさんは綺麗です…あの、普通の女の人よりずっと…」  
スコットの言葉は本心だった。ブーツを脱いだ足はスラリと伸び、開いた襟元から覗いた喉元は驚くほ 
ど華奢で白い。  
そのくせ片目は眼帯に隠されている、その落差がカノンの姿を一層艶かしくしていた。  
トニーも同感だった。異形の左腕も美しいと思えた。こんな状況ですら股間が熱くなる。トニーは必死 
で押さえ込んだ。  
「二人とも、その手は何だ?」  
意地悪くカノンが二人の顔を見比べる。  
「こ、これは何でもないです!」  
口々に喚く少年達を制して、カノンはとっておきの笑顔を見せ命じた。  
「手を放してみろ」  
「で、でも…」  
「放してみろ、と言ったんだ…聞えなかったか?」  
「は、はい!」  
カノンの迫力ある声に弾かれて、トニーとスコットは「気をつけ」の姿勢をとった。  
長い間握りしめていた所為でクシャクシャになった二人のズボンの前を見てカノンは「いかにも哀れだ」 
という顔を作った。  
 
「お前達、それが精一杯か?」  
二人の少年達は真っ赤になって俯いた。今更隠すわけにもいかず、立ち尽くすしかない。  
「やれやれ…十年経ったら考えてやらなくもない、とも思ったが…これでは、な…」  
くるりと踵をかえすとカノンはベッドに腰掛けた。  
「もういいぞ。ガキは帰って寝ろ。身の丈に合った遊びを考えるんだな」  
厳しい言葉を浴びせられ、すごすごと部屋から出て行くトニーとスコットの背中を見送り  
ようやくすっきりした気分になったカノンは、立ち上がり浴室のドアに近づくとドアを開けた。  
小さいとはいえない大きさの筈の浴槽に、それでも窮屈そうに大きな身体を折り畳んで湯に浸かってい 
るブラッドがカノンを振り向き、ニヤリと笑って声をかけた。  
「聞えてたぞ…お前も相当、悪趣味だな?」  
「おあいこさ」  
艶然と笑って返したカノンは、自ら服を脱ぎだした。そして最後に残った眼帯をとると  
湯が床に溢れるのも構わずに浴槽に滑らかな足を差し入れた。  
 
 
 

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