万物にはガーディアンが宿り、目には見えなくとも確実に彼らは世界を守ってくれている。  
それがファルガイア全土に広がっている、ガーディアン信仰の基礎である。  
形なく触れられぬ存在と言えども、世界のどこかに確実にいる彼らにファルガイアの人々は祈り、加護 
を願ってきた。  
とは言え、生きている間にガーディアンと接触できる人間などほんの一握りであり、大多数はただ祈る 
だけで終わるものだ。  
つまりガーディアンと接触をもてる人間は選ばれし者とさえ呼べるのだが、それが幸せかどうかは判断 
が難しい。  
パスカーの『柱』のように、自らの命を捧げることを定められた者もいる。  
あるいは、ガーディアンへの接触媒体たるアークセプターを手にしたが為に、世界を巡る戦いに巻き込 
まれる者も。  
それはそれで充実していると誇れる者もいるのだろうが、普通の感性の持ち主なら御免だと思うだろう。  
普通の幸せを追求したい少年にしてみれば実にそうなる。  
 
マキシ・レミントンは、ちょうどそんな感じの少年である。  
ひょんなことから花のガーディアンをその腕に宿す羽目になってしまったが、特に大それた願いなどは 
持っていない。  
可愛い女の子と仲良くなって、うまい飯を食って――概ねそんなものが望みだ。  
「いや小市民的だねえマキシ。ルシエドあたりが聞いたら随分嘆くと思うよ?」  
見渡せば一面の花畑。色とりどりの花が咲き乱れ、豊穣という言葉がこれ以上に似合う場所はないだろ 
う。  
そんな楽園の中で、マキシは苦虫を噛み潰したような顔で座り込んでいた。  
「無視しても意味ないと思うがね。わざわざ君の領域にアクセスしたのはボクの用があるからで、それ 
が終了しなければ――」  
――そんな少年の傍らでは、真っ黒な服を纏った少女が得意げな顔で言葉を紡いでいる。  
服は随分大きいようで、袖が随分余ってしまっているのだが、彼女が気に留める様子はない。  
「ほら、何とか言ったらどうだい。黙ってても話は進まないよ?」  
「……あのな、お花ちゃん。勝手に人の心をいじくるのはやめろよ」  
ようやく口を開いたマキシは、また随分とむっつりとした顔で少女に答えた。  
それを聞くと、彼女はにやりと笑って袖をぱたぱたと振る。  
 
「別にいじくってなどないよ? 君の心の中には入っているが、それをどうにかする権限はボクにはな 
い。全て、決めるのは君なんだから。  
 ま、とにかく――用事だよ用事。重要な用事があるんだ、マキシ」  
お花ちゃん。そう呼ばれた少女は、なんともつかみ所のない調子で言葉を続ける。  
「こうして君と契約を結んだ訳だが、よくよく考えてみればこれ程不安定な繋がりもないんだよねえ。  
 本来ガーディアンとの契約は『柱』か『巫女』か、でなければアークセプターの力が必要になる。  
 が、君はそのどれでもない――」  
 
彼女の言葉は一方的で、相手が理解しているかどうかなどはまるで気になっていないようだ。  
当然、マキシはさっぱり理解できていない。  
「……いや、何言ってるんだか分かんねえんだけど……」  
「んー、まあいいや。別にこっちも理解してもらおうとは思ってないから」  
少女は軽く笑った。どうも見た目と違って素直さに欠ける少女である。  
「それでももうちょっと自覚はして欲しいんだけどなあ。このボク……花のガーディアンに選ばれた存 
在なんだから」  
 
――ひょんなことから右腕に花のガーディアンを宿すことになったマキシ。  
その『花のガーディアン』というのが、今こうして語りかけてきている少女、その人なのである。  
見た目はただの少女なのだが、ガーディアンとしての力は確かなもので、今マキシが花の世界にいるの 
も彼女の力の一つだ。  
なんでも、マキシの精神世界に広がる願望――花一杯の世界。それを同じく彼の精神空間上に再現して 
みせた、と言う。  
実際のところ何がどうなっているのか、マキシ本人もまるで理解できていないのではあるが――とりあ 
えず、現実世界ではないらしい。  
 
「それはそれとしてだけど」  
「……な、なんだよ」  
ふと気づくと、花のガーディアン――マキシ命名、『お花ちゃん』が彼の顔を上から覗き込んでいた。  
「どうせ君に説明しても理解できないだろうから、率直に言うよ。  
 ――今からボクを受粉させてもらう」  
「……は?」  
「っと、そういう言い方はニンゲンじゃしないんだったっけ――っと、そうそう。  
 君のおしべでボクのめしべを……じゃなくって。君の精液をボクに注いでくれ」  
「……あの、お花ちゃん?」  
自分でも間抜けな顔になっているのだろうと思いつつ、マキシはそれこそ間の抜けた声を出した。  
「だから、ボクを犯せと。そう言っているんだけど」  
「えーっと……ちょ、ちょっと待ってくれ。今、考えてるから……」  
「じゃ、待ってるよ」  
彼女はそっとマキシの横に腰を下ろした。  
 
「つまり、俺が……えーっと、あれ? 犯すって、その、そういう意味であって、だっ――」  
あまり直接的過ぎる言葉は、かえって理解に手間取ることもある。  
マキシも十代後半の男なのだから、興味がない事柄ではない。むしろ興味津々と言ってもいい。  
が。今の、目の前の少女――ガーディアンである以上、年齢までは分からないが。彼女の言葉は。  
「ちょ、ちょっと待てよ!? お、俺が……つまり、その、え、エッチ……」  
「だから犯せとそう言っているんだが。わざわざ遠まわしに表現してもらわなくても」  
「……おおおお花ちゃん!? じ、自分が何言ってるか分かってるのか!?」  
マキシはひっくり返った。  
仕方ないことではある。女性――お花ちゃんの見た目は随分と若いが、とにかく女性から『犯せ』など 
と言われる。  
場合によっては喜んで引き受ける可能性も無くは無いのだが、こういう状況下では普通は考えられない。  
「失敬だな。君よりも確実に事態を把握しているつもりだよ、ボクは」  
「じゃ、じゃあなんで……!? お、犯せ、って、そんな、とんでもない……」  
「要するに君の花粉がボクのめしべの柱頭につくという、それだけのことだろう?」  
例えがあんまりだ。いや、性教育としておしべとめしべの例えを出すのはオーソドックスとも言えるの 
だが。  
「……俺は花じゃないっつーの」  
「ボクは花のガーディアンだがね」  
「……ああ、なんかその辺語り合っても納得できなさそうだからやめとく。  
 それでその……なんで、犯……こ、交尾しろって」  
これはこれであんまりな表現ではある。  
「君の語彙のいい加減さにはちょっと呆れたが、まあいい――  
 君と契約したのはいいんだがね、さっきも言った通りこれは不安定な契りなんだ。  
 神官も巫女も柱もない、アークセプターもない。ここまでいい加減な契約もちょっとない。  
 その辺どうにかしないといけないから、手っ取り早い方法として君の遺伝情報を取り込むことにして 
みたんだけどさあ」  
やっぱり聞いても理解できなかったが、それでもなんとかマキシは呻く。  
「……よくわかんねえけど、お前とのあの約束に関係してる……ってことだよな?」  
「平たく言えばそうなるね。だから、まあ一発頼むよ」  
 
「……他に方法は無いのかよ?」  
「無いことはないが手間なんだ。この先どんな危険が待っているとも限らないし、こういうのは早い方 
がいいだろう」  
こういう話をしている時、お花ちゃんの表情はどうにも底意地が悪そうに見える。  
ガーディアンと言う割りには随分えげつない性格をしているものだ。  
「けど……俺としては、その……初めてだし、そういうの……」  
「だろうねえ。積極性に欠けてるからね、君は」  
「う、うるせえ。ちゃんとそーゆーのは結婚を前提としてだなっ!」  
「ふうん?」  
にやにやと笑っている彼女に気づいて、マキシは一瞬口をつぐんだが――それでも小さく、ぼそぼそと 
続けた。  
「……で、出来れば、初めてはちゃんとした人としたいっつーか」  
「心当たりでもあるのかい? ……ん、ああ、彼女か。ボクの封印を解き放った――」  
名前も知らない、民族衣装の少女。マキシが花のガーディアンと契約するきっかけを作った女性。  
一言でまとめると、マキシは彼女に惚れ込んでいるのだ。  
「そ、そういう……ことだよ。だから、出来れば、俺としては――」  
「彼女を犯したいという訳だね」  
「……そーゆー言い方はやめてくれ……マジで」  
少年の告白を聞き終えると、お花ちゃんはむう、と頬を膨らませた。  
「なんだってニンゲンというのは、そういう些細なことにこだわるかな。  
 大して機能に違いが出る訳じゃあるまいし、別にどうでもいいだろう?」  
「どうでもよくないっ!」  
「まったく困った男だね、君も。どうしても嫌かい」  
マキシは少しだけ口ごもったが――今度ははっきりと答える。  
「ああ……うん。そればっかりは遠慮したいんだけど……な」  
「……じゃ、仕方ないや」  
その呟きとほぼ同時に、彼女の身体からしゅるしゅると音を立てて何かが飛び出す。  
よく見れば、それは木の枝で。まるで軟体動物の足か何かのように自在に蠢き、あっという間にマキシ 
を絡め取ってしまった。  
「お、おい! どういうつもりだよ、これは!?」  
「こっちにも事情があるんだよ、マキシ。君の我がままばかりを聞いてもいられない」  
「だからってこんなの……!」  
必死の抗議も虚しく、枝に包まれたマキシは無理やり仰向けに倒されてしまう。  
 
「――さて、気分はどうだい」  
「最悪……」  
身体を包む枝は固く、仰向けに寝かされていてもあちこちに当たってちくちくとする。  
その上、もがけばもがく程きつく絡み付いてくるので、マキシとしては最悪としか答えようのない気分 
である。  
「なら結構。じゃ、ちょっと失礼するよ」  
言いながら、少女はマキシの顔をまたいでしゃがみこんだ。  
丁度股間の部分が彼の顔の上に来る体勢である。  
「……お前、恥じらいとかそーゆーの……」  
「だ・か・ら、これはただの作業なんだってば。ついでにガーディアンにそういうニンゲンっぽい感情 
の発露を求められても困るんだよ。  
 とにかく、ほら――」  
彼女は服のスカートをたくしあげた。そっと陰る部分には、薄く色づいた花びら――文字通り花びらが 
ある。  
「……お、おい」  
「……あ、いけないいけない。ニンゲンの形はこうだったね」  
と、その花びらはたちまち姿を変えて、閉じられた細い割れ目になった。  
「こういう光景見せられたら、できるもんもできないと思うんだけどな……」  
「細かいことは気にするもんじゃないよ。じゃあ、とりあえず舐めてくれるかな」  
膝をついて、腰を下ろす。それによって、マキシは少し頭を持ち上げれば彼女の秘所に舌を這わせるこ 
とも可能になった。  
けれど、彼は。  
「……ふんっ」  
拗ねたように、顔を背けてしまう。  
「強制されてそんなことやるもんか。俺はあの子と出来るまで純潔を守るんだ」  
「変なところで律儀だねえ。そりゃラフティーナは喜びそうだけど……ボクは困る。困るから……」  
マキシを縛る枝の一本が、蠢きながら彼のズボンへと潜りこんでいく。  
その先端が身体の一部分に触れた時――マキシの顔は一瞬で青ざめた。  
「ど、どこ触ってるんだよ!?」  
「排泄器官……お尻、ってやつだね。なかなかどうして、君のは綺麗な形してるな」  
「な、ななな、何言ってるんだ……って、お、お前まさか――」  
「抵抗するならこっちが入れさせてもらうよ?」  
枝の先端は反応をうかがうように、マキシの窄まりを軽くつついてくる。  
 
「わわわかったっ、ちゃんとやる、やるからそれだけは本気で勘弁してくれっ!」  
「……はじめっからそう言えばいいんだよ。君も強情だな」  
やれやれといった表情で、少女はため息をついた。  
一方のマキシも、最悪の事態を回避できて安堵の吐息を漏らす。  
「やっぱ、お前って悪魔の使いか何かだろ」  
それでも、悪態をつくだけの余裕はあるらしい。  
「さて、どうだろうね? ボクにしてみればそんなことはどうでもいいんだが」  
彼女も大して取り合わず、そのままマキシの顔の上にしゃがみ込む。  
「じゃ、改めて……舐めてごらん」  
「う……」  
目の前には、まだ幼い秘所がさらされている。  
とは言っても、マキシとしてはそもそも女性のそういう場所を見たこともないのではあるが。  
幼い頃に姉のそれを見た可能性もあるにはあるけれど、そんなものを覚えている訳もなく。  
「……結構、ドキドキするもんなんだな……」  
こうなる。  
そういう幼女趣味など自分にはまるで無かったはずなのに――自分ではっきり理解しているとも言えな 
いが。  
「綺麗な花を愛でるのは人の性って奴だからね」  
「自分で言うなよな……いいや、もうどうにでもなれだ」  
ほとんど自棄になって、マキシはその割れ目に顔を近づけ、舌を伸ばす。  
中ほどのあたりを、軽く舐める――と、ぴくりと彼女は身をよじった。  
「ん……よし。さ、ちゃんと舐めるんだよ?」  
わざわざ繰り返さなくても。少年はそう思ったが、黙って舌を動かし始める。  
ぴちゃりぴちゃりと唾液が塗されていくうちに、不意にその舐めている秘所からとろりとしたものが零 
れてきた。  
「ふぅ……っ」  
少女の吐息も僅かに零れた。  
段々と奇妙な気持ちになっていくのを自覚しながらも、マキシはその液体を舐め取ってみる――  
「……え、甘い……?」  
 
彼女から零れてきたものは、何故だかひどく甘かった。  
比喩的な表現ではなく、味として甘さを感じる――  
「これ、ひょっとして……蜜か」  
「そう。なんたってボクは花のガーディアン。美味しいだろう?」  
「……ま、まあそりゃ」  
口あたりも爽やかで、これは極上のものだ。  
少女の秘所を舐めることで、こんなものを味わう――予想もしていない、というより出来ない体験。  
「もっと出るから……さ、続けてくれよ」  
「……あ、ああ。うん」  
今度は素直に従う。  
ぺろぺろと舌を這わすと、それに応えて愛液――愛蜜、とすべきか。  
それが彼女のそこから染み出てきて、喉を潤してくれる。  
「んっ……いいよ、マキシ……その調子……」  
少女は、僅かに腰を揺らし始めた。  
マキシの舌の動きに合わせるように、ゆらゆらと動く。  
「……マジで美味い」  
蜜を飲まされている彼もまた、段々と夢中になって求め始める。  
より細かく舌を動かせば、それに応えて蜜は量を増していくのだ。  
入り口から少しだけ奥に舌を刺して、更に強く少女の入り口を刺激していく。  
「う……ん……」  
軽くあえぎながら、彼女は秘所をマキシの顔に押し付けるようにした。  
そうすることで、彼の舌はより強く舐めることとなり、ますます高まっていく。  
「……ん、んっ」  
マキシは――いつしか、溢れ出る蜜を味わうことだけに夢中になっていた。  
こんな少女にいいように弄ばれているという状況も忘れて、ただひたすら舐め続ける。  
「あ……う、いいよ、そこっ……ん、ふぅ……っ」  
その声も、マキシには聞こえていたのかどうか。  
ただ舐めるだけでは物足りなくなってきていた少年は――それこそ、呑み込むように、  
少女の秘所にかぶりついて、口全体で蜜をすすり始めた。  
 
「はぁっ、んっ。そうだよ、そこ……ふぁ、なかなか上手じゃないか……」  
少女の幼い秘所から、音をたててマキシは蜜を啜る。  
舌も入り口から奥へと突き刺して、肉璧から直接蜜を吸い込む。  
「んくっ、んっ……うめっ……」  
ガーディアンのもたらす最上の蜜だからこそ、マキシも完全に虜にされてしまっているのだろう。  
相変わらず縛られたままの身体も、完全に抵抗をやめて為すがままになっていた。  
「いい、いいよ、マキシっ……ひぁっ! んっ……はぁ……」  
少女の頬も、色づく花びらのようにうっすらと紅く染まっている。  
腰の動きも妖しくくねり、その秘所はマキシに吸われてとろとろと蜜を零し続けているのだ。  
「ひぅっ、うんっ……あ、ふぅっ……くっ」  
その言葉からは、意地の悪い響きも消えて――彼女もまた、快感を素直に受け止めているらしい。  
「あ、ん、はぁあっ……あ、マキシ、もう、ボクっ……ん、もっと激しくっ……うぁっ! 吸って、ん 
っ――」  
そうやって蜜を零し続けている内に、不意に少女の声が甲高くなった。  
刺激されてか、マキシはもっと勢いよく蜜を啜り、舌を動かす――  
「あっ……ああ、あぅっ……ボク、ん、来ちゃうよっ……あ、うああっ!」  
――その瞬間、彼女は腰を止めて、僅かに身体を痙攣させた。  
同時にその秘所からは、ぴゅ、ぴゅっと勢いよく蜜が飛ぶ。  
「ん、んっ!」  
それを飲んでいるマキシにも、少女の快感は伝わったようだ。  
一旦舌を止めて、零れてくる蜜をこくこくと飲み干していった。  
 
「あ……ふぅ。なんだ、初めてって割りに上手じゃないか……」  
なんとも言えない表情で、『お花ちゃん』はそっと腰を上げる。  
名残惜しそうにマキシはそれを追おうとしたが、まだ枝に縛られたままだったことを思い出して頭を元 
に戻した。  
「……そう言うなら、これいい加減外せよ。このままだと、その……出来ないだろ」  
「あー、ごめん忘れてた。で、そう言うってことは……やる気になったんだね?」  
「まあ、そりゃ……仕方ないだろ。お前の我がままに付き合わされるのも結構慣れてきたし」  
これには軽く笑って答えず、少女はす、とマキシから身体を離す。  
そして、袖をぱたぱたと振る――と、少年に絡み付いている枝がするすると地面に潜り、消えていく。  
「さて。いよいよ本番なんだが、一つ君に決めてもらうことがある」  
やっと解放されて一息ついていたマキシは、そんな言葉に眉を潜める。  
「まだ変なことさせるつもりじゃ……」  
「いや、そうじゃない。ボクとしてはどうでもいいんだが、先ほどからの君の言動から判断して結構重 
要に思えたことなんだがね。  
 君が上になるのと、ボクが上になるの……どっちがいい?」  
「う、上?」  
「体位ってやつだが。ボクが上になって、君に色々指導してやるって方がいいかな?」  
悪気は無いのだろうが、そう言われるとマキシも意地になる。  
「お、俺が上っ! 上になって、お前なんかもう、その、思いっきり気持ちよくさせてやってっ!」  
「……ふむ。ま、結構。なら君に任せるよ」  
その表情は、見透かしたような笑顔だったが。とにかく、マキシは自分が上になると宣言した。  
それを受けて、少女はごろんと地面に横たわる。  
「ほらほら、早くしないとこっちが乾いちゃうよ。ボクは準備できてるんだからさぁ」  
服の裾を持ち上げて、ちょいちょいと挑発をしてみせる。  
そこからはまだ開いたままの秘肉がちらちらと見える。  
「初体験がこういう滅茶苦茶な状況ってのは思ってなかったな……っていうか、もうちょっと恥ずかし 
がれよ……」  
「そーゆーのがやりたいならせいぜいラフティーナの加護を祈るんだね。  
 ボクはどっちかっていうとルシエドの方が好きだな、手っ取り早くて」  
「……減らず口ばっかり言いやがって」  
愚痴を零しながらも、マキシは彼女にのしかかっていく。  
 
「えっと……入るのか、これ?」  
蜜を呑むうちにすっかり硬く、そして熱く滾ったペニスを取り出し、いざ挿れようかという時になって 
マキシは呟いた。  
少女のそこは見た目からしてひどく狭く、逆に自分のそれは随分大きく見えてしまう。  
「ちょっとくらい乱暴にしてくれても大丈夫だよ。調節は効くからね」  
「そう言われても……俺だって、あんまり経験ないんだし……」  
「ガーディアンなんだよ、ボクは。むしろ常識で判断される方が迷惑だね」  
「……そうかよ」  
もやもやとしたものを抱えながら、マキシはどうにか彼女のそこへペニスをあてがった。  
そうして、少しずつ力を込めて、突き出していく――が。  
「あ、あれっ!?」  
くちゅりくちゅりと、蜜は絡み付いてくるのに。  
「……マキシ?」  
やはり狭い入り口に大きくなったそれは合わないのか、なかなか奥に入れない。  
「くそっ……」  
意地になればなるほど、滑ってペニスは無様に彼女の入り口をさ迷う。  
段々必死になってきて、秘唇を擦りたてるようにペニスを押し付ける――  
「あふっ……こら、そういうのは違うだろ。ちゃんと挿れてって!」  
「わ、わかってるけどっ!」  
これ以上無様な姿を晒せば、男としてのプライドそのものが危険だ。  
なんとか入れようと、ますます強くペニスを押し付ける、のだが。  
肝心の彼女の中、膣口には入らずに、周りを強く刺激するだけとなってしまう。  
「あぅっ……って、マキシ! いい加減にしないと怒るよ、ボクも!」  
「こ、こっちだって一生懸命やってんだよっ!」  
情けない言い訳をしながらも、マキシは腰まで動かしてペニスを押し付ける。  
力が入りすぎて、それは膣口から激しくぶれてきて――その上の、小さな突起まで擦るようになった。  
「うぁっ!? ど、どこに動かしてるんだよ君はぁっ!」  
「知らねえよ、もうっ……っく、な、なんだ、これ……」  
入っていないとは言っても、先端は少女の暖かい秘肉に触れている。  
この感触はそれだけでもたまらないものがあって、マキシも目的がぼやけてくる――  
 
「……案外、これはこれで……」  
いいのかもしれない。そんな思いが少年の頭に浮かび始める。  
「ふぁ、んっ……何やってるんだよ、もう……ひぁっ。これじゃ、意味がない……マキシ?」  
「……お花ちゃん……」  
見れば、彼女もこの擦りあいに快感を得ている様子がある。  
ならば、躊躇うことなど無いのではないか――  
「……ボクの中にちゃんと入れないと……って、えっ!?」  
「よ、よし……ならっ」  
当初の目的も忘れて、マキシは勢いよく腰を振り始めた。  
それによって秘肉とペニスの先端が擦れ、奇妙な心地よさが芽生えてくる。  
「君は……それは目的が違うだろ……あ、ひゃぅっ!」  
クリトリスも刺激されると、少女の不満は喘ぎに変わってしまった。  
調子に乗ってマキシはそのままペニスを擦り付けて行く。  
「あうっ……ま、マキシっ……いい加減にしないと本当に怒るよ、ボクもっ……ひゃ、ふあんっ!」  
「……お前だって気持ちいいんだろ?」  
「そ、そうだけど……でも、これはだねっ……ふぅっ!」  
あまり抵抗がないのをいいことに、マキシはそのまま擦りたてた。  
自分の指で慰めるよりはるかに気持ちのいいもので、少年は蜜を啜った時と同じくらい夢中になる。  
「あぅ、ああっ……ん、だ、だからっ……意味のないことを続けっ……ひゃあっ! あ……続けてもっ 
……」  
くちゅくちゅくちゅっ、と擦れる音は小さく響く。  
そうやって、肉の感触を確かめるうちに、マキシのペニスはまた一段と膨らんで――不意に。  
「……あっ」  
「あ、ってなんだよ……だからいい加減にしろって……ふぁっ!?」  
擦りたてていたペニスが、再び少女のクリトリスを弾いた瞬間。  
びゅるっ! びゅるる、びゅるっ!  
「うわっ……あ、あっ……!」  
マキシは――そのまま、少女の身体全体に、精液を吐き散らした。  
 
真っ黒い衣服に、点々と白いものが飛び散っている。  
特にペニスから近かった下腹部のあたりは、べっとりと汚れてしまっているようだ。  
「くっ……」  
射精しているマキシは、そんなことも気にせずに恍惚としている、のだが。  
「……こんの……」  
中途半端に高められて、しかも汚された少女の方は。  
「あ……お花、ちゃん……?」  
ようやく気づいたマキシに、ぴくぴくとこめかみを震わせながら――  
「ヘタッピ! バカ! ヘンタイ!」  
「な、なんだよっ……って、うわっ!?」  
地面から再び枝を呼び出すと、マキシをがんじがらめにしてしまう。  
「本来の目的忘れてどうするんだよ君はっ! しかも自分だけ気持ちよくなって!」  
「で、でも、お前だって結構あんあんって……」  
「そういうことを言うのなら、いいんだねマキシ。確かさっきも言ったはずだが……」  
枝は、また少年の尻に向かって蠢いていく。同時に彼の顔が一瞬で青ざめた。  
「あ……いや、忘れた訳じゃないんだよ! ただ……」  
「なんだい? 返答によっては……」  
「た、ただ! ……その、気持ちよくって、我を忘れたっつーか……」  
「……まったく」  
安直な答えに、かえって少女の勘気は収まったらしい。  
枝は再び地面に潜って、マキシを解放した。  
「つくづく仕方がない奴だな、君は。ちゃんと挿れて、ボクの胎内に精を出して貰わないと困るのに」  
「分かってるんだけど……でも、俺……」  
「……もういい。やっぱりボクがしてやるべきだったか」  
そう呟くと、彼女はマキシの前に腰を下ろした。  
そうして、袖から指を出して萎えたペニスを掴む。  
「あ……あの、え?」  
「大きくしないといけないからね。この辺はまあ、サービスってところだな」  
 
そのまま、指を巧みに動かしてしごいていく。  
射精した直後ということもあって、敏感になっていたペニスは、じわじわと力を取り戻していった。  
「……お前、ガーディアンなのになんでこんなこと……うくっ」  
「長いことガーディアンやってればそりゃ色々あるさ。それに、花ってのはこれで結構他人を誘惑する 
術には長けているんだよ?」  
「誘惑……?」  
「香りもそうだし、蜜自体もそうだ。いや、わざわざ綺麗な色をして咲き誇るのは何の為だと思ってる 
んだ?」  
語りながらも、少女の指は止まらない。  
マキシのペニスを実に細かく刺激して、そっと根元を押さえて――小さな指が絡まる感触は、背徳感と 
快感を増幅する。  
と、彼女は軽く爪を立てた。僅かな痛みが走るが、それはかえって指が与える刺激を引き立てる。  
「全ては他者を誘惑する為。その花のガーディアンたるボクなんだから、これくらいは容易いんだよ― 
―そろそろいいかな」  
「……た、多分」  
そうして、少女が両手を絡めてしごいていたペニスは、この短い時間で完全に復活していた。  
ぴんと反り返り、誰かに精を植え付けたいと僅かに揺れている。  
「ってゆーか、なんかこれいつもより凄いんだけど……」  
マキシは、そんな己のものを掴んで、少しだけおののきながらそんなことを言う。  
確かに、先ほど少女の秘所に擦り付けて達した時よりも、なんだか余計に大きくなっているように見え 
る。  
「ん、ああ。ちょっとこう、ツボをね――」  
「ツボぉ?」  
「君にはわかんないか。気持ちよくなるおまじない、みたいなもんだよ。  
 それはいいとして、さて……」  
為すがままになっているマキシを、少女は地面に横たわらせた。  
「えーっと……」  
「君が上になったらさっきみたいな不始末だ。やっぱりボクがやってやるしかないようだからね」  
「……わ、悪かったな。仕方ないだろ、初めてなんだから……」  
「それにしたってあんまりだろ。銃の扱いだけがヘタクソって訳じゃなく、こっちまで……ってのはね 
え」  
「い、言うなよそれはぁっ!」  
痛いところを突かれてか、マキシはちょっと涙ぐみながら言い返す。  
 
「気にしてるのならもうちょっと努力しなよ。男としてもどうかって思うがね、今の君は。  
 その為にも、ちゃんとボクの中に注いで貰わないといけないんだが……っと」  
少女は、マキシの腰の上にまたがるように移動する。  
そうして、彼のペニスを掴んで自分の秘所に位置を合わせていく。  
「じゃあ、もらうよ……」  
しっかりと触れ合わせると、少女はそのまま腰を下ろす――が。  
「ん……あれ?」  
入るか入らないかと言ったところで、どうしてもつっかえてしまう。  
やはり、大きさに無理があるようだ。  
「……入らないねえ」  
「さっきもそうだったんだから……って、じゃあ俺別に悪くないってこと……」  
「それとこれとは話が別だよ。入らないならすぐボクに言えば良かったんだ。……うん」  
少女が小さく声を出した、その瞬間。  
ずぷずぷずぷっ、と、唐突にペニスが彼女の膣口を抜けて、胎内に入り込んでいく。  
「え、ええっ!?」  
「んっ……! ほら、入ってきてるっ……!」  
驚くマキシを余所に、少女は一気に自らの中へ彼を呑み込んでしまった。  
「な、なんでっ……あ、あんなに入らなかったのに……う、うぁっ!」  
入ったはいいが、それでも彼女の小さな膣内はマキシのものを受け入れるのには不足している。  
そのせいで、痛い程に締め付けられてしまうことになる。  
「はぁっ……ん、ちょっと入り口を広げてあげただけ……だよ。それくらいの調整は出来るさ」  
「な……なんて滅茶苦茶な……っく、あぁっ!」  
「じゃ、本格的にしようか。意識はしっかりさせておいてくれよ――」  
少女は手をマキシの胸に置くと、ゆっくりと腰を上下させ始めた。  
「ひっ……あ、あぁっ!?」  
ちゅぷ、ちゅぷ……と肉の絡み合う音がする。  
――その悲鳴をあげたのは、マキシの方だった。  
「な、なんだよこれっ……こ、こんなのっ……!」  
想像を絶する快感が、ペニスを包み脳髄にまで届いている。  
 
「あ……あぅ、あっ……お、お花ちゃんっ……や、やめっ……」  
まだ動き始めたばかりなのに、マキシはもう音を上げている。しかし。  
「駄目だよ。ちゃんとしてもらわないと困るんだからさぁ……」  
そう言って、彼女は許そうとはしない。  
それどころか上下動を激しくして、マキシへの責めをますます強くさせてしまう。  
ずちゅっ、ずちゅっ、と音も大きくなるが、少女の膣肉の締め付けは変わらない。  
「……ふぅっ……そうだね、君のも結構立派だね……あ、んっ……」  
「や、やばいって、マジでっ! うわっ、あぁぁっ!」  
「騒がしいなあ……ん、んぅっ」  
少女も胎内で揺れるペニスの感触を噛み締めているようだが、それでも余裕はあるらしい。  
一方のマキシは、挿れた時点でほとんど限界だったのだが、そんな刺激を加えられると――  
「ダメだっ……俺、もうっ……出るっ」  
「え? ちょっと、これ、早いってば!」  
「そう言われても……う、うぁ!」  
びゅくっ! びゅるる、びゅるっ!  
呆気なくも、マキシのペニスは暴発してしまった。  
先ほど出したものよりも濃い粘液が、少女の胎内に入っていく――  
「……ほんっとに情けないなあ、君は」  
「だ、だって……俺、そんなのっ……あ、あぅっ……」  
びゅる、びゅる、と精液は吹き出る。  
マキシはひどく虚脱すると同時に、僅かな安堵感も得ていた。  
「う……くぅ……」  
たまらない放出の快楽が、じわりと身体に広がる。  
「ったく、ボクのことなんか全然考えてないんだからなぁ、君って奴は」  
何と言われても、この快感の前では耳を通り抜けるだけである。  
 
びゅる……びゅっ。  
やっと出し終えて、マキシはすっかり満足してしまっている。  
今までの生涯でももっとも気持ちのよい体験なのだから、無理もない。  
とはいえ。  
「何一人で満足してるんだよ、君は!」  
「……あ、お花ちゃん」  
少女の方は、あまりに中途半端な快感のせいで、ぷりぷりと怒っているようだ。  
外見が外見なので迫力はないのだが。  
「満足たって……あ、でも、俺がお前の中で出すのが目的だったんだろ?  
 なら、これで終わりってことだよな」  
「身勝手なことばっかり。ボクだって満足したいってのに、なんなんだよその言い草は」  
「……我がままな奴だなぁ」  
――この言葉がいけなかった。聞いた瞬間、少女の顔がなんとも言いがたいような笑顔に変わる。  
笑顔というか、怒りというか、とにかく言葉では言い表せない表情なのだ。  
「マキシ……君は前からガーディアンに選ばれた存在、というものについて覚悟が足りないと思ってた 
けど……」  
「……え? 俺、なんかまずいことでも言った……の?」  
「場合によっちゃあ命の一つや二つ捧げてもらうもんだってのに、君は……  
 ――仕方ない。これは君が悪いんだからね、君が」  
「だ、だから何言ってるんだか……」  
きょとんとした様子で、マキシが呟いた、その直後。  
しゅっ……と風を切る音が聞こえた。と共に、マキシの顔の脇から巨大な蔦が飛び出てくる。  
「う、うわああああ!?」  
先端がじゅくじゅくと湿っていて、なんとも奇怪な様子の蔦だ。  
それを見た者は、誰でも驚愕してしまうはずである――マキシのように。  
だが、まだ胎内に彼のペニスを納めたままの少女は、にやりと笑った。  
「これもまたボクの一部。花ってのも色々種類があってねえ、毒や薬になる花もある……  
 恨むんなら君自身の堪え性の無さを恨むんだね」  
「だから、訳わからないって――むぐっ!?」  
蔦はしゅるしゅると蠢いて――その先端を、マキシの口の中へと潜りこませた。  
 
「んぐっ!? んー、んっ!」  
口の中一杯に、植物特有の緑臭い匂いが広がる。  
その気持ち悪さもさることながら、なんといっても太くてちくちくして、ややもすれば吐いてしまいそ 
うになる。  
「ん、んんっ!」  
「……まだ序の口だよ」  
「んん!?」  
少女が呟いた刹那、蔦の先からどろりとした液体が喉に流れ込んできた。  
「んー、んっ!」  
無理やり喉奥に押し込まれて、その気色の悪い液体を飲み干してしまう。  
マキシは、涙目になりながらも身体の上の少女に抗議の視線を送る――  
「……あ、来たよっ」  
「んっ?」  
まるでその必死の視線を気にかけない彼女は、別の方向に集中していたようで。  
少年がその言葉の意味を理解したのは、自らの変化に気づいてのことであった。  
萎えていたペニスが、急激に力を取り戻している。  
「ん……おっきいよ、さっきより……」  
「ん、んっ!」  
相変わらず蔦が分泌する液体は流れ込んでくるが、それを飲む程にペニスに力が漲っているのだ。  
たちまち少女の狭い膣内を埋め尽くし、弾けそうなくらいに硬くなっていく。  
「よし。それじゃ、ボクも愉しむからね」  
「んー! ん、んっ!」  
マキシが抵抗できないことをいいことに、少女は再び腰を動かす。  
ぐちゅ……ぐちゅ、ぐちゅっ。  
膨れ上がったマキシのそれは、彼女の胎内を圧倒的な力で蹂躙し始めた。  
「う、うぁっ! ……いいよ、すごくいい。やっぱりこうじゃないと、ね」  
「んっ! んんんっ!」  
彼女が壊れてしまうような錯覚を覚える程に、彼のものは膨張していく。  
 
「あああ、ん、気持ちいいよっ……あ、ひぁっ!」  
ずちゅ、ずちゅ、ずちゅっ。  
外見からは考えられない大胆な腰使いで、少女はペニスを噛み締める。  
胎内を貫くそれは、身体がばらばらになりそうな程激しく、彼女を責めたてるのだ。  
「ん、んくっ!」  
そのペニスの持ち主は、しかし締め付ける快感の大きさとまだ飲まされている液体の気色悪さで困惑し 
ていた。  
この液体が異常な昂奮をもたらしているようだが、分かっていても阻止する手段がない。  
そこに来て少女は好き勝手にペニスを締め付け、歓待する――  
「ん……んんっ」  
最早、耐え切れるものでもなかった。  
「……またかい、マキシ?」  
「んっ!」  
膣内で、彼のペニスはびくんと激しく震えて、そして――  
びゅるるる、びゅ、びゅるっ!  
三度目の精を放つ。  
「あは、熱くて……元気がいいね、君の! いいよ、この感じ……」  
「ん……んぅ……」  
虚脱しようとしたマキシに、少女はまた腰を動かし始める。  
「……んっ!?」  
「まだまだ。ボクは満足してないって言っただろ?」  
「ん、んくっ……」  
「大丈夫。この薬液を飲む限り、君の精に終わりはないからね……感謝してよ?」  
その言葉は、一つの悪夢を意味していた。  
「ん……ん……」  
マキシはぶんぶんと首を振る。  
だが、彼女の言葉通り、ペニスはまだ射精を続け、射精しながらも勢いをすぐに取り戻していく。  
「そうだねえ。あと、三十回くらいやったら……ボクもイケるかなあ」  
「んーっ!!」  
唯一自由になる首を振って、必死で否定するマキシだが――それは、結局何の意味も為さなかった。  
 
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ。  
「あ……うぁ、あ……いい、いいよぉ……ん、奥に来てるっ……」  
――少女とマキシの接合部からは、どろどろと白濁液が流れ出している。  
それどころか、地面には液溜まりまで出来て、零れた精液の量が尋常でないことを示していた。  
と、少女が大きく腰を下ろした瞬間。  
びゅるっ! びゅるる、びゅるっ!  
「あ、ひぁっ! ……ねえ、何回目、だったっけ……?」  
膣奥に広がる熱い液体の感触にうっとりしながら、彼女は腰の下の少年に声をかける。  
「んー……ん、んー……」  
まだ口には例の蔦を咥えさせられたままの彼は、朦朧とした様子で呻くだけであった。  
「……二十八回目だったね。そろそろ、ボクも……ん、あ……イケそうな気がするよ……」  
「ん……ん?」  
悩ましげな彼女の声に、マキシの濁った瞳が不意に輝きを取り戻した。  
「だから、さ……ちょっと、君もボクにあわせ……あぁっ!」  
「んーっ! んっ!」  
途端、凄まじく必死な形相でマキシは腰を突き上げる。  
ずんっ、と彼女の子宮口を一気に突いて、一撃の快感が少女を包んだ。  
「うぁっ! やる気になったね、マキシっ……ん、いい、いいよっ……あ、あぁっ……」  
「ん、んんっ!」  
ずちゅっ! ずちゅっ! ずちゅっ! 本当に真剣な表情で、マキシは腰を突き上げる。  
「あーっ……あ、凄いっ……ん、はぁっ……あ、かはぁっ……あっ!」  
今まででももっとも力強いペニスの一撃一撃が、確実に少女を高みへと押し上げていく。  
「ああっ……あ、いい、いいよマキシっ……ん、ボク、そろそろっ……あ、うぁっ」  
「んっ……んっ!」  
最後の一撃を、彼女の奥の奥へと突き刺して――  
「ひゃっ……あ、うぁああっ!」  
「ん……んんんっ!」  
びゅるるるるるっ……びゅ、びゅるっ!  
何度も何度も彼女の胎内へ注いだ白いものが、またしてもその幼い膣内へと侵入していった。  
 
「あ……あは……あ……」  
ようやく、少女も満足したようで――そのままマキシの胸に倒れこむ。  
「……ちょっと長くかかっちゃったけど、これで契約は完了だ。君の遺伝子情報は確かに記録させても 
らったよ。  
 ……っと、もう解放してあげなきゃね」  
こちらもようやく、マキシの口にねじ込まれた蔦が抜かれていく。  
「……ぶはっ!」  
飲みきれなかった液体が、ごぼりと口から零れた。  
「なんだかんだ言ってもここまでやってくれたから、まあボクとしては及第点かな。  
 ……何か文句はあるかい。色々言いたそうだったね、やってる最中」  
「…………」  
少女にそう問われたが、何故だかマキシは少し顔をうつむけて――そして。  
「……こ、こんな初体験って……ありか……よぅ……」  
じわりと涙を浮かべる。  
「うん。ありだね」  
「……お、お前は……お前、は……ひっく……」  
完全に反論する気力もなくなったらしい。  
「あーあー、君みたいな年の子が泣くもんじゃないよ? 情けないだろう」  
「だ、だって、俺、俺っ、こういうの、もっと、綺麗な、俺っ――」  
堪えきれない涙が、マキシからぽろぽろと零れていく。  
「……はいはい。ニンゲンのそういう下らないことへのこだわりは、ボクにはわかんないなぁ……  
 まあいいや。もう用は済んだし、帰っていいよ」  
「お、お前、何、勝手なっ……」  
少女が軽く袖を振る――と。  
 
「……あ」  
次の瞬間、マキシは自分の居場所が『精神領域の花畑』から、どこかの列車の中へと移っていることに 
気づく。  
「ん? どうかしたかい?」  
目の前には、眼鏡をかけた優男――花屋のギィがいつも通りの顔でこちらを見ている。  
「……俺、寝てた?」  
「そうは見えなかったけれど……それが、何か」  
「……いや」  
――花のガーディアン。彼女によって精神領域にアクセスされている時は、ほんの一瞬でも長い時間に 
感じる。  
最初に彼女と接触した時にも体感した、不思議な出来事だったが。  
「あの時と同じ、か……」  
マキシは、自分の右腕を見つめた。  
ガーディアンに捧げたその腕は、今はそのよりしろとして証が刻まれている。  
「だから、さっきからどうしたんだい?」  
「…………」  
少し沈黙してから、マキシはギィに視線を向けた。  
「っ……な、何か?」  
その顔は、悪霊もかくやというくらいに恨めしげで。  
「……ノーカンだよな、さっきのは。現実じゃないんだから」  
「はぁ?」  
「俺……絶対、物凄くロマンティックで、本気で好きな子と体験するからなっ!」  
「……そ、それは何より」  
引いているギィを放置して、マキシはぎゅうっと拳を握り締めて決意する。  
「あんなのは認めないっ! 絶対に認めないからなぁっ!」  
堪えていても、涙がじわりと零れてきて。  
少年にとって、あまりにあまりな思い出は――当分、深い傷跡となって残りそうであった。  
 

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