アルフレッド・シュレディンガーには沢山の悩みがある。  
無茶な姉と付き合うのはそれだけで大変なことだし、その傍若無人の後始末をするのも一苦労なのだ。  
そんな中でも、一番の悩みというのが――  
 
「ちょっとアル。入っていい?」  
部屋の外から聞こえてきた声に、アルフレッドはその手を止めた。  
16年も聞きなれた声だから、誰なのか間違えるはずもない。  
マヤ・シュレディンガー。アルフレッドの姉にして、渡り鳥としての立場からするとリーダーになる。  
「あ、姉さん? ちょっと待ってて、片付けるから」  
それを待たせるのもなんだからと、彼は手元に広がっているものを片付け始めた。  
火薬、実験器具――アルフレッドの趣味と実益を兼ねた、発破の調合。  
宿で休んでいる時、自由な時間は大抵これにつぎ込んでいたりする。  
「ねえ、まだ?」  
「もうちょっとだから」  
少し慌てながら、アルフレッドは注意深く、かつ手早くしまっていく。  
迂闊に扱えば宿ごと吹き込んでしまうような火薬もあるが、慣れた様子で安全な場所へと戻した。  
――それと同時に、外の姉はしびれを切らしたらしく。  
「入るわよー」  
そう言う前から、扉をがちゃりと開けて入ってきてしまった。  
「あ、もう、姉さん……」  
「あんまり待たせるんじゃないわよ、まったく」  
どうも勝手な言い分だが、これもいつもの姉である。  
苦笑しながらアルフレッドはマヤの方を向いて――同時に、ひどくげんなりとした顔になった。  
「姉さん……また?」  
そこにいたのは、確かに姉のマヤである。そのはずなのだが。  
三角帽子に黒い服。肩には妙に派手な飾りをつけた、何とも言えない派手な格好。  
「だから、エレニアックの魔女っ子……だけじゃなくて、コスプレはやめてよ……」  
 
――これである。  
マヤの特殊な力として、読んだ本の内容になりきってしまうというものがある。  
普段の彼女からして、『荒野の災厄娘』になりきっているのだから大したものだ。  
他にも、『エレニアックの魔女っ子』『剣花煙雨江南』といった小説の主人公になりきり、魔法や格闘 
術を使いこなす。  
その力のお陰で無数の危険を乗り越えて、ついでに彼女自身を蝕んでいた病気まで治してしまったから 
誰からも非難されるものではない。  
ただ、弟のアルフレッドとしては、なりきる際にわざわざコスプレまでするのがどうしようもなく恥ず 
かしいのだ。  
 
「姉さんもう21歳なんだからさ……恥ずかしくないの?」  
「どこが?」  
「……なんて言ったらいいんだろ」  
中でも、この『エレニアックの魔女っ子』は珍妙だ。  
原作では確か14歳の少女が主人公で、ついでにもうちょっと地味な格好だったはずなのに。  
「――だから、それじゃ魔女っ子っていうよりは魔女だろ」  
「原作に沿ってると思うんだけど……まあ、それはどうでもいいじゃない」  
「どうでもよくないよッ」  
「いいの。で、問題はこれなんだけど――」  
弟の葛藤は気にもせず、マヤは後ろ手に持っていたものを突き出した。  
バサ、と音を立てて、彼女の手の中にあったそれは広がる。  
「な、何――って、傘?」  
「パラソル。いや、ほら、アタシこのコスプレする時って、今まで杖使ってたでしょ?」  
「う、うん。そうだったけど」  
「でも原作通りならやっぱりパラソルにすべきかな、って思ってね。  
 なんだけど、どういう色合いのパラソルなら映えるか自分じゃ判断するのがちょっと難しくって……  
 それで、アルに選んでもらおうかなって思ったんだけど」  
どうでもいいと言えばどうでもいい話だ。特にアルフレッドにとっては。  
「僕に聞かれても、その、よくわかんないよ」  
「そう? 赤っぽいのとか、青っぽいのとか、そんな感じでいいんだけどさ」  
「いや……ホントわかんないから」  
そう答えるしか答えようが無い。  
 
「あ、そ。じゃ、実戦で色々試してみるわ」  
「そうするのが一番だと思うよ」  
無難に答えると、それでマヤは納得したようにパラソルをいじりはじめた。  
色々なポーズをとってみたり、コスプレを試しているようである。  
そんな姉に呆れながら、それでもじっとその姿を眺めているうちに――  
(……あ、ちょっとまずい……かも)  
どことなく、アルフレッドは熱くなってくるような気がし始める。  
スカートはミニだし、胸元も開いている――考えてみれば、実に扇情的な姿だ。  
「……あ、あのさぁ、姉さん。やっぱり、それっておかしくない?」  
「ん?」  
ポーズを取るのをやめて、マヤは弟の方を向いた。  
「おかしいって、どこが」  
「エレニアックの魔女っ子って、そんな色っぽい格好はしてないと思うんだけど」  
「いや、だからこれは――」  
反論しようとして、彼女は不意に首を傾げる。  
「……ねえ、アル? ちょっと、顔が赤いわよ?」  
言われて、始めてアルフレッドは自分の頬――どころか、下半身の方まで熱くなっていることに気づい 
た。  
「そ、そんなことないと思うけど」  
「いえ……確かに赤いわ。どうしたの?」  
心配そうにマヤは顔を近づけてくる。  
「べ、別になんでもないよッ」  
「風邪でも引いたんじゃないでしょうね」  
そのまま、彼女は自分の額を弟の額にくっつけた。  
「熱はないみたいだけど……」  
「だ、だから大丈夫だってばッ!」  
気恥ずかしくなって、アルフレッドは咄嗟に顔を下に向ける―ーが、それがいけなかった。  
かがみこんでいる姉の胸元から、二つの膨らみが直接目に入ってくる。  
 
「ッッッ!!」  
「ん?」  
思い切りうろたえて、顔を真っ赤にしてしまったアルフレッドを見て――マヤはまた不思議そうな顔に 
なる。  
「やっぱりどこかおかし……あれ、アル?」  
「な、な、な、な、何、ね、姉さんッ……」  
まだ狼狽している弟に、マヤはにんまりとした笑みを浮かべた。  
「ひょっとして興奮した?」  
「そッ! そ、そんなこと、ないよ……」  
「……なるほどなるほど。ああ、どうりで急に色っぽいだのなんだのと……そういう訳ね」  
否定してみても、呼吸まで荒くなっていては説得力がない。  
「確かにアタシくらいになると、こんなコスプレでも色っぽくて仕方ないのかもしれないものね。  
 それなら、アル――」  
「ぼ、僕は別に興奮なんてしてないってば……ッ」  
「誤魔化さなくてもよくってよ? ……ね、ちょっと提案なんだけど」  
またマヤは顔を近づける。今度は、ますます露骨に胸元を強調して。  
「て、提案……って……」  
「これで……やってみるってのは、どう?」  
「……なッ!」  
またアルフレッドはうろたえて、今度は椅子からずり落ちてしまった。  
「な、何言ってるのさ、姉さんッ……」  
うろたえながらも――逃げ出せるはずのその身体は、何故だかちっとも動こうとしない。  
「どうせ一回やっちゃってるんだから、またやっても全然問題ないでしょ?」  
「ま、ますます問題だよぉッ!」  
――先日のことである。よりにもよって、マヤとアルフレッドは肉体的に結ばれてしまった。  
潜在的にそういう欲望があったのは、アルフレッドとしても認めざるを得ないのだろうが。  
それにしても、やはり姉弟なのだ。一回だけなら、まだしも無かったことに出来るかもしれない――  
弟の方はそんなことを考えて過ごしていたのだが、姉の方は。  
 
「だってねえ。アタシだって、性欲くらいあるんだから。  
 あれからアルったら全然行動に移らないし、ちょっと問題かなあとは思ってたのよね」  
「な、なんてこと考えてるのさッ!?」  
「あら。そもそも、アンタが変な本持ってたのが原因でしょ?  
 いいのいいの。そんじょそこらの男なんかより、よっぽどアルはいい男なんだから」  
「そ、それは有難う……ってそういう問題じゃなくってッ!  
 まずいよ、やっぱりッ! 僕らは、実の姉弟なんだからぁッ!」  
必死になって叫ぶアルフレッドに、またマヤはにやりと笑った。  
「それなら……実際に身体に聞いてみるのが一番よね?」  
その言葉に、弟は怯えながら――小さくぼやく。  
「姉さん……その台詞、なんかスケベなオヤジみたいだよぅ……」  
「う、うっさいわッ」  
気を取り直して。  
マヤは、妖艶な笑みを浮かべながら――アルフレッドの股間に右手を伸ばした。  
「……ん。ほら、こんなに固くなっちゃって」  
「あ……ぅッ……だ、だって……」  
「本当に駄目だと思ってるのならッ。そもそも大きくならないわよね。  
 それなのにこんなこと――やっぱり、アルも欲しいんでしょ? アタシが、さ」  
「……う……」  
うんうんと姉は大きく頷く。大きく頷きすぎて、三角帽子が落ちそうになったのを慌てて手で押さえる。  
「まあ、とにかく。アタシはアルが欲しくって、アルもアタシが欲しいってこと。  
 何も問題ないってことよね。つまりは、そう――へいき、へっちゃらッ」  
「……それ、使い方間違ってると思う」  
「いいのッ。いい台詞は色んな局面で使われるものなんだから。  
 あんまりしつこくぐだぐだ言ってると、アタシにだって考えがあるわよ……」  
「えぅ……う……」  
にじりよってくる姉に、アルフレッドは一つ深呼吸して――  
「僕……やっぱり……」  
「やっぱり、どうなの?」  
 
「……んッ」  
――不意に、姉の唇を奪う。  
「えッ……んぅッ!?」  
今まであれだけ腰の引けていたアルフレッドの突然の行動に、マヤは目を丸くする。  
そのキスは、積極的に舌まで絡めてきて――戸惑いながらも、シュレディンガーの姉弟は互いの口の中 
で睦みあった。  
「…ふぅッ」  
「あ……ん……」  
唇が離れると、マヤは少し力が抜けて体をゆらりとさせる。  
「いきなり、ね」  
「……うん。やっぱり、僕……姉さんが……」  
俯き加減に呟くアルフレッドを、マヤはそっと抱きしめてやった。  
人一倍良識のある弟なのだから、こういう行為に大きな抵抗があるのは事実なのだろう。  
それでも、まだまだ控えめながらも積極的になってきた。普段気弱なアルフレッドだけに、ある種の成 
長と言えるのかもしれない。  
「ふふ。いいわよ、それで。お互いに気持ちいいのなら、問題ないんだからね」  
「……物凄くあるとは思うんだけど、その……僕も、多分おかしくなっちゃってるのかな……」  
「気にしない気にしない」  
マヤは軽く笑いながら。アルフレッドは、まだ割り切れないものがある様子で。  
今度は姉の方から唇を寄せて、互いの舌を絡めた。  
姉弟の口の中は、二人とも暖かく、そして湿っていて。  
唾液を混ぜ合わせて、それを呑み込むと――糸を引かせながら、舌が離れる。  
ますます力が抜けて、へたりこんだアルフレッドをよそに、マヤは帽子をそっと机の上に置いた。  
「じゃ、アル。貴方の好きにしなさいな」  
「僕の好きに……?」  
「そ、任せてあげる。気持ちよくしてくれるわよね、勿論」  
「頑張ってみる……けど、いいの? その服、汚れちゃうんじゃ……」  
『エレニアックの魔女っ子』の服装は、作るのに手間をかけたはずなのだが。  
「そう、ね……そこはまあ、なんとでもなるから」  
「脱いだ方がいいと思うけど」  
「気にしない気にしない。色々試してみるのもいいでしょ」  
 
姉の言葉に促されて、アルフレッドはなんとか立ち上がった。  
そのまま、そっと手を姉の身体に伸ばし――胸の膨らみを包み込む。  
「ん……アル、そこ、好き?」  
おずおずとした様子で、アルフレッドはその柔らかな乳房を揉む。  
服の上からでも、その感触は指先にとろけるような心地を与えてくれるものだ。  
「え……あ、うん。……大きいんだよね、姉さんのって」  
「そう。スタイルだって完璧よ、アタシは――ふ、う……ッ」  
最初は遠慮がちでも、段々アルフレッドの手は大胆になってくる。  
力を込めて、膨らみを揉み、ややもすれば絞るような動きをさせると、マヤの吐息も荒くなった。  
「はぁ、んッ……もっと、強くしても平気よ……」  
「う、うん」  
段々と強くなってきた手の動きは、しかし不意に柔らかさと少し違う感触を受けて急に止まった。  
柔らかく、逆にこちらが包み込まれるような感触の他にもう一つ。  
不思議に思ってそのあたりをよく確かめる――と、そこは乳房の頂点にあたる場所で。  
そこだけが、ぴんと尖るように服の布を持ち上げているのが、はっきりと目でも見えた。  
「ね、姉さん……まさか、下着はつけてないの……?」  
「あ……ふふ、ん……そう。身体のラインが、綺麗に出るようにって、ねッ……んぁッ」  
その乳首を、布の上から摘んで――アルフレッドは、軽く動かした。  
「姉さん……その、いくら宿の中だからって、そんな格好で僕の部屋まで来たんだ……」  
「そう……あ、ふ、くぅッ……どうせ、誰にもバレないんだからッ……」  
そんなことを言う姉に半ば呆れながら、それでもアルフレッドは自分も興奮してくるのを感じていた。  
ますます大きく乳首を弄んで、マヤの快感を引き出そうとする。  
「でも僕にはバレちゃったよ? ……姉さん、そんなことするのは……」  
「……ふふ」  
「変態って……ことじゃ、ない、かなッ……」  
きゅ、と、アルフレッドは乳首を捻った。  
「ひぁッ!」  
ぴくと小さくマヤの身体は震える。  
 
「どうせ姉弟でエッチなことしてるんだから、それ以上に変態なことなんかないわよ……  
 アル、ちょっと積極的になってきたわね?」  
はぁはぁと息を整えながら、マヤは弟に問いかけた。  
今の一撃はなかなかに響いて、軽く頂点に達しかけた程だ。  
「……姉さんの期待に応えたいから……僕が、姉さんを気持ちよくするんだよね……?」  
「ええ。確かに――そうお願いしたわ」  
その言葉が消える前に、またアルフレッドは姉の両の胸を包む。  
不規則に、激しく揉みしだくと、すぐにマヤは甘い声を漏らし始めた。  
「はぁ、あ……ひ、う……んッ……ね、アル……」  
「何、姉さんッ……」  
「……服の上からで、いいの?」  
「……ううん。それじゃ……ちょっと乱暴になるけど……」  
頷いて返した姉の仕草を見て、アルフレッドの手は彼女の肩に手をかけた。  
そうして、ゆっくりと剥いで行く―ーと、肩の飾りが僅かに揺れる。  
あらわになった白い二つの膨らみに、少年は小さく息を呑んだ。  
「凄く綺麗だよね、姉さんのここ」  
「そう? ここだけじゃなくって、どこもかしこもみんな綺麗なはずだけど」  
「だって、ほら……」  
今度は直に乳房を包む。――先ほどの感触も、確かに柔らかく、とろけるようなものだったのに。  
直接触ると、姉の体温と鼓動までもが伝わってくるようで――  
「こんなに……気持ちいいのは、やっぱり凄いと思うよ」  
「気持ちいいのは、綺麗とは関係ないでしょう? ほら……触ってるだけじゃなくって、ね……」  
「……うんッ」  
再び、勢いよく乳房を弄ぶ。  
ボリュームのある感触が手を包み込んで、柔らかく姿をかえるそれにアルフレッドは夢中になった。  
「うぅ、っく、んッ……はぁ、アルッ……う、んッ……!」  
「姉さんッ……!」  
更に、乳首を摘んで引っ張ってみる――軽く痛みさえも覚えるような勢いだが、それでも姉の声は甘い。  
「や、アルッ……そこッ……あ、うぁッ」  
 
不意に手を離すと、アルフレッドはその尖った乳首を口に含んだ。  
口の中で、そのピンク色の突起は唾液塗れになって、少年の舌はそれに吸い付く。  
「あぅッ! アル、おっぱい吸ってッ……ん、まだ、出ないのにッ……ひ、ああッ!」  
母乳が出るなら吸ってもいいのか、とアルフレッドは少し思ったりもしたが。  
ともあれ、マヤにも十分過ぎる快感が走っているのだろう。戸惑うような声色と、それ以上に甘い吐息 
が漏れる。  
軽く歯を立ててみると、びくっと身体全体が震えてそれに応える。  
「ん……んぅッ」  
ばさ、とマントを翻して、弟の身体全体を包み込み、マヤはきゅっと抱きしめた。  
「んぁ、くッ……あ、うッ……!」  
しばらくはアルフレッドも姉の味を堪能していたが。ぴくぴくとまた震えたのを見てとって、口を離し 
た。  
「ど、どうだった? 姉さん?」  
「あ……ん。ふうッ」  
抱きしめていた手を離し、マントもばさっと戻って、それからマヤはため息をつく。  
「随分上手になったじゃない。まだ一回しか経験なかったはずなのに」  
「前の時から、色々考えてみたんだ……僕なんか、頭を使うくらいしかとりえもないし……」  
「うん、勉強家ね。誉めてあげる」  
「ありがと……姉さん」  
照れて俯いた弟に微笑みかけてから、姉はそのズボンに手をかけた。  
「あ、姉さんッ?」  
「あのね、アル……上手だったから、もう、アタシも……」  
右手では弟の半ズボンを脱がしつつ、左手は自らのスカートの中に伸びている。  
そこからは、くちゅくちゅとした音がはっきりと聞こえてきて。  
「姉さん……もう、入れて欲しいんだ……」  
「ええ……お願いできる? アル……」  
はっきりと、彼にしては珍しいくらい力強く頷いて、アルフレッドはあらわになった自分のペニスを姉 
のスカートに近づけた。  
「立ったまま、っていうので……大丈夫、かな」  
「やってみなきゃ分かんないわよ……」  
「……そうだね」  
 
マヤはゆらりと後ろに下がり、部屋の壁に身体を預ける。  
そして、そんな姉のスカートをめくりあげて、アルフレッドはペニスを握り締めた。  
「じゃ、じゃあ……入れる、よ……」  
ごくんと息を呑み。少年は、そっと腰を動かしていく。  
「ん……」  
くちゅくちゅと、僅かに水音は響く。  
すぐには探り当てられないのか、秘所のあたりを硬くなったアルフレッドのそれはさ迷い――  
「あ……う、あんまり焦らさないでくれる……?」  
「わ、わかってる、けどッ……」  
不安定な体勢で、どうにも入り口に辿り着かない。  
それでも、必死でペニスを動かすうちに、くちゅりと暖かく湿った場所に届いた。  
「あ、姉さんッ」  
「そう、そこッ……来て、アルッ」  
「う……うんッ!」  
しっかりと姉の腰を掴むと、一気に――自らの腰を突き上げる。  
「うあああッ!」  
ずちゅッ!  
確かに繋がった感触がある。湿った音も、マヤ一人の音からアルフレッドの肉も加わった音へと響きを 
変えた。  
「あ……あ、んッ……」  
「入ったッ……よ、姉さんッ……」  
「そ、そうねッ……くッ……」  
立ったままの不安定な体勢で、ペニスに体重がかかる。  
それはマヤにもかえって奇妙な感触を伝え、膣内のペニスが身体全体を貫いているような気分になった。  
「ほ、ほら、止まってないで、アル……ちゃんと、動い…て、あ、ぅッ……」  
「そ、そうだね……」  
小柄なアルフレッドが、姉の身体を支えるのには力がいる。  
戦闘は苦手とはいえ、渡り鳥としてそれなりには鍛えられた足腰が、その体勢を必死で支えるのだ。  
「……行くよッ」  
 
ずんッ、とアルフレッドは腰を突き上げた。  
下から上へ、姉の胎内をペニスが貫く。  
「うあッ! あ、うッ……お、奥まで、来るッ……」  
「も、もっと……もっと行くからねッ」  
「来て、アタシの中にッ……あうぁッ!」  
ぐい、ぐい、とアルフレッドは突き上げていく。  
あまり激しく腰を動かすのは、体勢の関係で出来ないのだが――  
それでも、姉自身の体重がかかるせいで、ペニスは予想外に奥まで届いた。  
前と同じように複雑に蠢いて、絡みついてくる肉壁に、アルフレッドのペニスはぴくぴくと震えて応え 
る。  
「姉さんッ……僕も、気持ちいいよぅッ」  
「アタシもよッ、アルのが奥に入ってるッ……はっきりとわかって、ぅくぁあッ!」  
マヤは弟をぎゅうっと抱きしめた。  
ペニスが突き上げるたびに、彼女の身体は全体が揺れて、マントも激しく揺れ動く。  
三角帽子を被ったままだったなら、とっくの昔に落ちてしまっていただろう。  
「あ、あッ……アル、なんかッ……あ、うくッ……」  
そうやって突き上げられながらも、マヤは弟に少し不思議そうな声をかけた。  
「な、何、姉さんッ」  
ぐちゅ、ぐちゅ、と繋がっている部分からの音は途絶えることを知らない。  
更に、ぽたぽたと床には愛液が垂れている。  
「なんか……ひぁッ! 前より、アルの……大きく、うあ……ん、なって、ないッ……?」  
――彼女の身体の中にある、弟のペニス。  
以前も自らを貫いたが、その時よりも、なんだか余計に胎内を圧迫しているように感じるのだ。  
「そ、そうかな……?」  
「年が年だから……成長してるのかしら……ねッ……」  
嬉しそうにマヤは笑う。  
「そういうところでも、立派になってくれれば……アタシも、すご、くッ……あ、うあああッ!」  
その声を聞いて――アルフレッドは、奇妙な昂揚感を覚えた。  
「僕……立派になれるのかな……」  
「そうよ……貴方なら、きっとね……」  
 
その瞬間、膣肉に包まれたペニスは不意にまた容積を増した。  
「うあッ!? ま、また大きくなってるッ!?」  
「姉さん……僕、僕ッ!」  
アルフレッドの突き上げは、一番の激しさを見せ始めた。  
胎内で暴れて、奥の奥まで突いて――一番の奥、精を吸おうとしている子宮口にまで届く。  
「あああッ! あ、アルッ、うッ、すご、凄いッ……!」  
「ねッ……姉さんッ……」  
姉の胎内は、柔らかく、とろとろで、そして熱い。  
少しでも長く味わいたい気持ちと、その中へ自らの証を注ぎ込みたい欲求が同時に芽生えて、そして― 
―  
「出るッ……出るよ、姉さん……ッ、僕の、精液ッ――」  
「ん、出してッ、アルッ……たっぷり、アタシの中に、ぃッ!」  
大きな動きから、小刻みに子宮口を突く動きに切り替えて、限界を確かめる。  
膣内全体が大きく収縮して、弟のペニスそのものまで呑み込もうと蠢いてきた。  
「も、もうッ……ねえ、さん――ッ!」  
その突き上げが、再び一番奥を貫いた、その瞬間。  
びゅるッ……びゅるる、びゅッ、びゅッ。  
愛しい姉の胎内へ、アルフレッドの白い液体は――  
「あ、あう、あッ……あ、すごッ……アル、おおきッ……や、あああッ!」  
抱きしめる腕までも震える姉の中へ、どろどろと、凄まじい勢いで入っていく。  
けれども立っている状態では、重力に従って幾らかの精液は零れ落ちてしまう。  
それでも、粘度の高い液体は、膣内を上って子宮口に迫り、そしてその中へと注ぎ込まれる。  
「あ……あ、アルッ……う……」  
弟の精が、自らを染め上げる。その感触に、マヤは実に嬉しそうに微笑んだ。  
「姉さん……ねえ、さん……僕、僕ッ……」  
びゅっ、びゅっと残滓を吹き上げ、ぐったりとしながらアルフレッドは姉に身体を預ける。  
完全にそれが収まるまで、マヤは快感に震えながらも弟を抱きしめていた。  
 
「……あ、姉さん……」  
気がついたアルフレッドに、まだ呼吸は荒いままで姉は微笑みかける。  
「凄かったわね、アル」  
「そう……だね……」  
行為の最中はともかく、冷静になるとやはり気恥ずかしいのだろう。  
アルフレッドは、戸惑いながら姉の顔をちらちらと見た。  
「で、まだまだアタシは満足してないんだけどね」  
「……え?」  
「ああ、勿論ちゃんとイったわよ? だけど、まだアルだって続けられるんでしょう?」  
「え……あ」  
胎内のペニスは、今たっぷりと放ったばかりだというのに――半勃ちくらいの硬さはある。  
「で、でも、すぐにはちょっと……」  
「なら、アタシに任せなさいな。魔法はなんでも出来るチカラよ」  
「……その台詞って……」  
考える間もなく、マヤは瞳を閉じて腕を動かし始めた。  
「……ハイパーウェポンッ」  
「ええッ!?」  
『エレニアックの魔女っ子』が使う、クレストソーサーの一つ。  
確か、攻撃力を強化するという術だったはずだが――考える余裕は、すぐになくなった。  
呪文が効果を表した瞬間、胎内のペニスがすぐさま完全に立ち上がったのである。  
「んッ――」  
不意を打たれた格好で、流石にマヤも小さく呻く。ただ、アルフレッドの方もその衝撃は大きいようだ。  
「ダ、ダメだよ、姉さんッ……なんか、こんなのッ」  
姉の膣内で再び滾ったペニスは、びくびくと震えてすぐにでも精を吐き出してしまいそうだ。  
射精した直後でまだ敏感だというのに、このようなやり方で無理やり――というのは、色々と無理のあ 
ることなのだろう。  
「あ。やっぱりちょっと早かったかしら」  
「うん……ちょっと待ってくれる?」  
「いいわよ。こうしてるだけでも、結構気持ちいいから……」  
ひとまず、アルフレッドは姉の身体に顔を預けて、一息つく。  
 
じっとしているだけでも、マヤの膣肉はざわめいて、弟のペニスを適度に締め付けてくる。  
その為に、気を抜けば出してしまいかねないのは仕方のないことだ。  
辛うじて我慢できるレベルではあるから、それでもなんとかアルフレッドは持ちこたえているのだが。  
「……はぁ、はぁッ……っく、姉さんの中、動かないでも凄いッ……よ」  
「そんなの当たり前じゃない――アタシなんだから。……んッ」  
僅かにアルフレッドが身をよじる。と、ペニスも僅かに動いて、マヤの膣壁を軽く擦り、柔らかな快感 
を伝える。  
そのせいでまたお互い歯を食いしばり、達するのを我慢する羽目になってしまう。  
「それにしても、姉さん――」  
なんとか気を逸らそうと思ってか、アルフレッドはそっと姉に話しかける。  
「ホントに、僕……姉さんとこんなことしてるんだよね」  
その目線は下を向いて――自らとマヤが繋がっている、まさにその部分を指していた。  
「ええ、そうね。こんないやらしいものを、アタシの中に突き刺して……16年も一緒だった、このア 
タシにね……」  
「それはッ……今更言い訳できないんだろうけど……」  
「……だから、アル」  
マヤの指が、そっとアルフレッドの額に触れる。  
「このアタシ、マヤ・シュレディンガーはこれから世界を掴む女よ。常識の範疇で判断されちゃ、むし 
ろ迷惑なの。  
 アルとこういうことするのだって、だから別におかしなことじゃない――」  
「屁理屈もいいところだけど……でも、僕は……」  
そのまま、姉の胸に顔を埋める。小柄なアルフレッドだから、位置としてはそうなるのが自然だ。  
「そういう姉さんだから、好きになったんだと思うよ……」  
布越しでも、その声は十分に伝わった。マヤは柔らかく微笑んで――そっと弟を抱きしめる。  
少しの間、姉弟の間に会話はなかったが、ただ。  
「それはそれとして――じゃ、そろそろいいかしら?」  
それでも、まだ繋がったままというのは事実であって、疼き始めているのも違いはない。  
「あ……う、うん。僕ももう……大丈夫だと思う」  
節操のないペニスに少々アルフレッドは赤くなりつつ、姉の言葉に従おうとする。  
「っと。ちょっと場所移りましょうか。立ってするのも悪くないんだけど、少し疲れちゃったし」  
「そ、そうだね……」  
 
そうしてベッドの上に移動して、ごく自然にアルフレッドは仰向けになった。  
その上にまたがるように、マヤはのしかかる――  
「……あ、あれ?」  
あまりに自然に、何の打ち合わせもなくその体勢になったのだが、ここにきてアルフレッドは首を傾げ 
た。  
「ど、どうしてこうなるんだろ。姉さんが上って……」  
「ま、こうやるのが一番アタシとアンタの関係にぴったりだから――じゃないかしら?」  
姉が上になって主導権を握り、弟を翻弄する――  
「……そうかも。我ながら情けないんだけど」  
「心の底にまで染み付いてるのね。お互いに」  
軽く腕を組んで、マヤはうんうんと頷いた。  
「なら、ちゃんとアタシがアルを気持ちよくさせてあげる。勿論アタシも気持ちよくなるけどね。  
 じゃ、改めて――貰うわよ」  
「……うんッ」  
弟のペニスにそっと手を添えて、マヤは腰を下ろしていく。  
相変わらずコスプレはそのままで、ところどころ汚れているのだが――マヤは気にする様子はない。  
魔女っ子、というよりは魔女のような。  
肩にやたら派手な飾りのついたそのコスプレだけに、何だか怪しげ儀式でも受けているような気分だ。  
「ふぅッ……」  
ちゅぷちゅぷと湿った肉の触れ合う音が響く。  
先ほどの交わりのせいで、精液と愛液が混じりあい、滑りは十分過ぎる程になっている。  
それに弟のペニスのサイズに膣内は広げられて、呑み込むのにほとんど苦労もなく。  
「ねえさッ……んッ」  
ずぷッ――と、案外呆気なく、そのペニスはマヤの胎内へと呑み込まれていった。  
「んッ……んぅッ!?」  
その瞬間、何故だか彼女は大げさに喘ぐ。  
それなりに勢いもあったから、膣壁を擦り奥を突いたのだろうが――それにしても。  
 
「お、おかしいわ……な、なんだか……」  
「どうしたの、姉さん……?」  
戸惑ったような姉の声――考えてみれば実に珍しい――に、アルフレッドはやや不安げに問いかける。  
「いえ……いいわ。ちょっと、動くわよ……」  
軽く弟の不安を遮断すると、マヤはそっと腰を動かし始めた。  
騎上位の姿勢だから、自然と奥を突くようになる――と。  
じゅぷッ……と、一回抜き差ししただけなのに。  
「うぁあッ!?」  
マヤは、またしても大げさな声を出す。  
「姉さん?」  
「な、なんか……さっきより、二倍くらい凄いわよ……?」  
「二倍って、そんな具体的な――あ」  
「……そういや、そうだったわね」  
お互い、少し忘れかけていたのだが――  
「攻撃力が二倍って、なるほど……こういうことだったのね……」  
「……その、もう一度出来るようになるだけじゃなかったんだ」  
ハイパーウェポン。調子に乗ってマヤが使ったクレストソーサーの一種。  
その結果は、どうもその魔法のかかったペニスは、女性に二倍の快感を与えてしまうというものらしい。  
「これはちょっと迂闊だったかもしれないわね。アタシと言えども、二倍だなんて……」  
「……だったら、その……姉さんッ」  
やや不安そうに顔をしかめた姉に、アルフレッドは軽い茶目っ気を覚えた。  
そっとその腰を掴むと、下からぐ、と突き上げてみる。  
「ひあぁッ!? ちょ、アルッ……ま、待ちなさッ……」  
「……たまには、こういうのもいいんじゃないかな……?」  
「アル……言うようになったわ……や、ふぁッ!」  
ずん、ずんと突き上げてみると、姉は面白いように悲鳴をあげる。  
一突きごとに、胎内を揺さぶって脳髄まで焼いてしまうような快感――それが、マヤの身体に駆け巡っ 
ているのだ。  
「に、二倍ってのは……ちょっときついわ、マジでッ――あ、アル、ホント待ちなさッ……あああッ!」  
快感の大きさが、尋常のものではなくなって。マヤの余裕も、少々怪しくなってきた。  
 
「姉さんのそういう姿って貴重だよね……んッ」  
姉の取り乱す姿など、なかなか見られないものだ。  
実際のところ、アルフレッドも姉の膣肉の感触は相変わらず気持ちよく、余裕などあるはずもない、が。  
ただ、自分の上で戸惑い、乱れているその姿が、新鮮な気分になってペニスを持続させている。  
「だ、だからちょっとアタシまずいってばッ……や、ひッ……あぁッ!」  
ずちゅッ、と思い切り突き上げてみる。  
二人の接合部から、ぽたぽたと愛液が流れ出るのだが、その量が随分多い。  
「アル、ホントにやめないと……あ、ひぁッ!」  
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅッ――響く音も、その大きさを加速度的に増していっている。  
それはアルフレッドの、そしてマヤの快感と比例しているようで。  
「……あ、姉さんも動いてる……」  
――いつしか、責められて喘ぐ一方だったマヤも、弟の動きに合わせつつあった。  
けれど。  
「あ、アタシはそんなことしてない、のにッ……と、止めてって……や、ふぁんッ!」  
「……じゃ、無意識?」  
「知らないわよッ! それよりッ……も、こ、壊れちゃうからッ……あ、ああッ!」  
快感が大きすぎて、もうマヤも自分がどうなっているか把握できていないようなのだ。  
「……なんか、可愛いよ、そういう姉さん……ッ」  
その姿は、アルフレッドの昂奮も煽り立てて、突き上げる動きをより早くする。  
ぐちゅぐちゅぐちゅッ、と音の間隔も短くなり、激しさと速さは今までにないものとなった。  
膣肉は激しく収縮し、アルフレッドのペニスを一刻も早く射精へ導こうと、必死なくらいに締め付けて 
くる。  
それは、快感が許容量を超えてしまった為のある種の防衛本能なのかもしれない――が。  
「凄いよ、姉さんッ……今までで一番凄いッ」  
「アタシはそれどころじゃッ……アル、もう、アタシまずいんだってッ……あああッ!」  
貫いているアルフレッドにとって、それは何よりの悦びになる。  
じゅぷじゅぷと腰のぶつかり合い、愛液と先走り、精液の乱れ混じる音も高まって。  
そうして、姉弟はお互いの身体を貪りあい――一番の場所へと辿り着こうとする。  
 
「……あぅッ……あ、アル、アタシ、アタシッ……ひ、あああッ!」  
最早限界を突破してしまっているマヤに、アルフレッドはずちゅっと腰を突き上げた。  
「……また出すよ、姉さんッ」  
「早くッ……早くして、もうッ――」  
じゅち、じゅちッと音を響かせながら、アルフレッドは力を込める。  
「……んッ!」  
そうして、突き上げたペニスが姉の子宮口を持ち上げ、同時に姉は一気に腰を落とし、その衝撃を受け 
止めて――  
「はぁッ……あ、アルぅぅッ!」  
マヤのもっとも深い場所で、アルフレッドの一番熱くなっているものが――  
びゅるるるるるるッ!  
――弾けた。  
「出てるッ……出してるよ、姉さんッ!」  
「ん……あ、あぁ……」  
朦朧としているマヤの子宮口めがけて、アルフレッドは精液を吹き上げていく。  
これも魔法の影響か、その熱さはいつもの倍のような気がして、マヤは息を荒くして呻くしか出来ない。  
びゅッ……びゅッ、びゅるッ……  
「……熱い……アルの、凄く……分かるわ、入ってきてる……」  
「……ん、僕ッ……姉さんの中にッ……」  
一滴残らず、白く熱い粘液は姉の膣内へと撒き散らされた。  
ぽたぽたと零れ落ちるものもあるが、ほとんどは確かに姉の中へと収められている。  
「アル……凄く……ん、凄かった……わ……」  
それが収まるか収まらないかといったあたりで、マヤはぐったりと弟の上に倒れこむ。  
完全にコスプレの衣装は汚れてしまったが、彼女の顔は実に満足そうに微笑んでいた。  
「あ、姉さん……」  
アルフレッドも言葉なく、かつて姉からそうしてもらったように、彼もまたそっと――  
「……大好きだよ」  
その姉を抱きしめた。  
 
――何時の間にか眠ってしまっていたのだろうか。  
アルフレッドが気づくと、既にマヤは離れていて――いや、すぐ隣で同じように横になっていた。  
もうコスプレはしていない、アルフレッドと同じ裸になっている。  
「あれ?」  
「……脱いだの。後で洗濯しておかないとまずいしね」  
「あ、うん……そうだよね」  
ふぁ……と、彼女は気だるそうに欠伸を漏らす。  
「ハードだったわ……なんか、アルってこういう時だけホントに激しくなるのよねえ」  
「……そ、そうかな」  
「前は火を見てから、だったけど。今日は普通に激しかったじゃない」  
「まあ……そうかもしれないけど」  
「出来れば、普段もそれくらいの勢いでいてほしいんだけどね?」  
そう言われると、またアルフレッドは身を縮ませて顔を赤くしてしまう。普段とのギャップは自覚して 
いるらしい。  
「努力してみる……」  
「……頼むわよ。じゃ、そろそろ休もっか?」  
「うん……」  
そのまま瞳を閉じようとして、不意にアルフレッドは姉の方を向いた。  
「あ、あのさ、姉さん」  
「なあに?」  
「……せっかくだし、姉さんにくっついていい?」  
「ええ、勿論」  
同じ眠るにしても、姉と一緒の方が何か嬉しいのだ。幼い頃から、アルフレッドとマヤはよく一緒に眠 
っていたりもする。  
それだから、アルフレッドは姉に抱きついて、そうして嬉しそうに瞳を閉じる。  
「じゃあお休みなさい、アル。明日も頑張りましょうね」  
「うん――」  
 
「そうそう。明日はアチョーな格好でやってみるってのもいいかもね」  
――姉は姉で、コスプレでするのが癖になったようではあるが。  
「そ、そっちも努力してみる……」  
何にせよ、アルフレッドにはそう答えるしか道はないのであった。  
 

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