本日のシュレディンガー一家は休息中である。
元々渡り鳥の仕事というのも不定期なもので、仕事が多すぎて困ることもあれば、仕事がなくて退屈を持て余すしかない時もある。
もっとも、シュレディンガー一家ほどの凄腕になれば、割の良い仕事だけを選んでいても十分以上にやっていけるのだ。
だから、時にはこうして町に留まり、一家のそれぞれがそれぞれの休日を過ごす。
そしてリーダーたるマヤの、この日の過ごし方と言うと――
「…………」
尋常ならざる面持ちで、マヤは手元に視線を落とす。
髪を後ろで束ね、また装束さえも異国情緒溢れる長袖のものに変化している。
その姿は、まさに名作武侠小説、『剣花煙雨江南』の主人公そのもの――
彼女の趣味であり、特技の一つであるコスプレの姿だ。
このコスプレは、原作中で縦横無尽に活躍した主人公と同じく、三節棍を振るい異国の武術を使いこなすものである。
思わず見惚れてしまうような華麗な動きで敵を粉砕する、戦う芸術とも呼ぶべきその姿をして――マヤは何かに集中している。
しかし、彼女の周囲には倒されるべき敵などいない。それどころか、ここは宿の一室である。
暴れるにはまったく不適当な場所だし、それに彼女は今、ベッドに寝転がっているのだ。
表情には気迫を込めているものの、体勢からするとどう考えても戦うようなものではないだろう。
「……はぁ……」
マヤはため息を吐き出した。それとともに、表情も幾分穏やかなものになる。
そして、そのままじっと見つめていたもの――一冊の文庫本を閉じて、胸の上に持ってくる。
「これなのよ、これ。この息もつかせぬ華麗な格闘。これこそがアタシの求めてたものなのよ」
ぶつぶつと呟きながら、うっとりとした顔で目を閉じる。
閉じた文庫本のタイトルには、『剣花煙雨江南』の文字があった。
――要するに。
趣味の読書をする際にその本のコスプレをしていたという、どうも呆気ない事実のようだ。
他人に見られる訳でもないので、彼女の自由と言えば自由だが――何にしても趣味の世界ではある。
わざわざ本を読むだけの為にコスプレをするのもなんだが。
ともあれ、そのままマヤは本を読み進めていく。
今まで読んでいた血湧き肉踊るような戦いのシーンは終わり、物語は主人公と仲間の触れ合い、そして恋人との逢瀬に入ってきた。
このような場面は、彼女の好む『燃える』ものではないが、それでも会話の妙を楽しめるので嫌いではないらしい。
だから、先ほどよりは気楽な顔で文章を読んでいく――と、ある一節に来て目が止まった。
「……あ」
小さく呟くと、仰向けの姿勢から起き上がる。
ベッドに腰掛ける形になっても、まだその視線はページの同じ位置から離れていない。
やがて、ん、と軽く吐息を漏らし――更に少しずつ、マヤの呼吸は荒くなっていく。
同時にその顔にも僅かに赤みがさして、奇妙な空気を発散し始める。
「はぁッ……ん」
左手は本を押さえたまま、右手が胸元に伸びる――寸前。
「姉さん、今度潜る遺跡なんだけどさ、ちょっと気になるとこがあって――」
ノックもせずに、扉を開けて小柄な少年が入ってきた。
「……アル?」
少しの熱が混じった声で、マヤは少年に声をかける。
弟のアルフレッド。遠慮もなく部屋へ入る気安さは、家族ならではのものだろう。
だが、今マヤが弟を見つめる目つきは、どこか姉弟という言葉の響きとは遠い。
「なんかさ。今度行く場所の魔獣は、アームとか刀とか発破じゃあんまりダメージ受けないらしくって……」
もっとも、紙の束に目を落としたまま問いかけていたために、アルフレッドはその視線に気づかずにいた。
「だから、僕としてはあんまりお勧めしないんだけど、魔女っ子の……姉さん? 聞いてる?」
返事が無いのに不審を覚えてか、そこでようやく少年は顔を上げる。
目に入ったのは、剣花煙雨江南のコスプレをした一人の女性――姉の姿。
「姉さん……また本読むだけなのにコスプレしてたんだ」
呆れ声で、アルフレッドはマヤを咎めた。
「しかも……また剣花煙雨江南? 姉さんそれ読むのもう何度目……?」
そこまで黙っていた姉は、何故か絞った声で返す。
「そうね。一巻から通して読んだのは、これが二十三回目くらいかしらね」
「飽きないね、ホントに」
マヤの挙動不審な様子にはまだ気がつかないまま、アルフレッドはベッドの彼女に近づいていく。
「もう、それはいいや。あのね姉さん。さっきも言ったけど、次に調べる遺跡の――」
気を取り直して、紙資料を姉に指し示そうとした時に。
ふっと、マヤは軽く口元に笑みを浮かべて――アルフレッドをしっかりと見つめる。
「魔獣が……って、姉さん? どうしたの?」
「……ホント、いいところに来てくれたわね」
「え、何?」
きょとんとして、立ち止まった弟に。マヤは、急に立ち上がって、その身体を抱きしめる。
「え、え、えッ!?」
「ん……」
そのまま、自分の身体ごとベッドに倒れこむ。
「な、何ッ!? 何なの姉さんッ!?」
事態を把握できずに慌てる弟に、マヤは黙ってまだ持っていた文庫を見せる。
その指は、先ほど彼女の視線が止まった場所を示したままだ。
「え……これが……?」
「読んでみなさい」
「……えっと……」
いわく。
『その夜、二人はついに結ばれた』――一行にも満たない、短い描写である。
剣花煙雨江南は武侠小説であって、ポルノ小説ではないのだから、この手の描写が必要最小限なのは自然だ。
いくら純情気味なアルフレッドと言っても、これだけで狼狽するようなことはない、のだが――
「……こ、これがどうしたって……まさか、姉さん。ここ読んだだけで、欲情しちゃった……とか」
恐る恐る尋ねた弟に、マヤはこくんと頷いてみせる。
「いや、自分でもちょっと予想外だったんだけどね」
「ってッ――い、いくらなんでもそれはッ――」
無茶苦茶だ。
「無茶苦茶だよ姉さんッ! ど、どうしてこれだけでッ! こんな文章だけで、そんなことになるのさぁッ!?」
「なっちゃったんだから仕方ないじゃない」
「仕方ないってッ――」
じたばたと暴れ出すアルフレッドを、マヤは容易く押さえつけてしまう。
軽く押さえているだけなのに、アルフレッドの身体はぴくりとも動けなくなる。
体格に差があるといっても、こうも完全に動きを封じるのは並みのことではない。
「身体を使って戦うということは、身体の構造を深く知るということ。
今のアタシは何かしら? アル」
「……剣花煙雨江南の主人公……ファイティングアーティスト、って姉さんは呼んでたっけ」
「だから――余計な抵抗はしないようにね。アンタだって、気持ちよくなれるんだから」
「で、でも、姉さんッ」
アルフレッドのズボンに、手袋に包まれたマヤの手が伸びる。
「今更姉弟だからどうこう――ってのはナシよ。ホントに今更でしょ?」
「それは……だ、だからって、そんなあっさりやっちゃうのはやっぱりマズいよ」
「細かいことばっかり気にしてると白髪が増えるわよ。せっかくアタシに似て綺麗な髪なのに」
などとやっているうちに、とうとうアルフレッドの下半身は下着を残すだけとなってしまう。
止めようとしても相変わらず動きを封じられたままなので、結局何の抵抗も出来ずに脱がされることとなった。
あらわになったアルフレッドのものは、うなだれた様子で垂れ下がっている。
「……あら? 珍しいわね」
「だ、だから……その……」
「でもアルのことなんだから……」
右手の手袋を外すと、マヤはそっとその白い手を伸ばす。
そして、力のない弟のペニスに――指を走らせる。
「あぅッ」
小さな悲鳴とともに、アルフレッドのそれはゆっくりと容積を増やし始めた。
けれどマヤは指を滑らせるままに下ろして、その下にある袋を手のひらで包み込む。
「え……ねえさッ……」
「これでも、やりたくない……?」
そのまま、彼女の手は弟の精を溜め込んだ袋を撫で擦る。
痒いようなもどかしい刺激が感じられて、アルフレッドはぴくりと足を痙攣させた。
「う、ぁッ」
そうしている間にも、ペニスは段々と硬度を増していく。
それでもマヤは袋を弄んでいたが、僅かに力を込めて握るようにすると、弟の耳に囁きかける。
「沢山入ってるみたいね……精液。ひょっとして溜まってるんじゃない?」
微妙な圧迫に軽い危機感を覚えて、アルフレッドは背筋を震わせた。
けれど大好きな姉が危害を加えるようなことは無いと分かっているから、小さく答えを返す。
「き、昨日まで……情報収集とかで、忙しかったからッ……」
「自分で処理出来なかったのね?」
こくん、と頷いて顔を向ける。
「なら丁度いいじゃない。アタシもそういう気分になったことだし、アルもそうなんだし……ね?」
有無を言わせず顔を近づけて、姉弟は唇を触れ合わせた。
マヤの右手は変わらず袋を擦りながら、唇からは舌を伸ばして弟の口内へ侵入する。
「ん、むッ……んんッ」
その二つの刺激によって、アルフレッドのペニスは完全に起き上がっていた。
びくん、びくんと時折震えながら、直接姉の手で嬲られることを望んでいる。
「ん……はぁッ」
それに気づいたマヤが、唇と手を離して弟から少しの距離を取る。
「まだ返事を聞いていなかったわね。アル、アタシとしたい?」
「……うん」
事ここに及んでは、どんな弁解も意味がない。
既に、自分の分身は期待に震えて先走りを吐き出しているのだから。
「ふふ……でも、ちょっと認めるまでに時間がかかったわね。
そういう態度は良くないわよ」
「ご……ご、ごめんなさ……い」
強制されてのものなのだから、叱られる理由もないはずなのだが――
肝心なところでは逆らえないのがアルフレッドという少年だ。
ようやくマヤは弟のペニスに手を添えて、しかし扱くことはせずに囁きかける。
「じゃ、ちゃんと誓いなさい――これからは、アタシがやりたいって言ったら素直に従うように、ってね。
ああ、勿論アルがやりたくなったのなら、アタシも付き合ってあげるから」
「う……」
「いいわね?」
姉の指は、くびれの下を触れるか触れないかという感触で擦っている。
それだけでもペニスには血流が流れ込み、ますます滾っていくことが実感できる――が、
これがもし、そのしなやかな指で思う存分に嬲られたとしたら。
どれだけの快感になるのか、アルフレッドは想像だけでも脳髄に電撃が走る。
「ちゃんと認めないと、もうやめちゃうわよ……?」
「あ……う、ね、ねえ……さん」
「さあ、どうなの? アル――アルフレッド」
愛称ではなく、はっきりとその名前を呼ばれて。
少年は、ごくんと深く息を呑み込んで、そしてようやく、
「わ……分かった、よ……これからは、もう、ずっと姉さんの言う通りにする、からッ……」
声がかすれて、聞き取りづらいものになったが、確かにそれは承諾のしるしであった。
「……声が小さい、けど。ま、いいわ。アルにしては上出来ね」
「……あぅ」
「それじゃ、ご褒美よ――受け取りなさい」
囁いてから、マヤはその両手で弟のペニスを包み込む。
しっかりと握り締めてから、一気に――しごき始めた。
「あッ……あう、あッ……!」
アルフレッドのペニスが跳ねる。けれど、姉はそれを許さないようにしっかりと包み、勢いよく扱いていく。
その先端から先走りの液が飛び出て、彼女の指を汚しながら快感を示すようだ。
「いい顔になってるわよ、アル」
「か、顔ッ……僕、のッ……? んッ、くッ」
少年の表情は、姉の指に耐えている必死で切なそうなものになっている。
ペニスの方もびくびくと震え、その身を包み込む姉の手の感触に感動しているようにさえ見える。
「こんなに反応してくれると、こっちとしても嬉しくなるわ――ほら、もっとしてあげる」
言いながら、マヤの指の動きは更に激しく、巧みになる。
人体の急所を知り尽くしてでもいるかのような、快感を引き出す上であまりにも完璧なやり方だ。
「あぅッ……あ、姉さんッ……僕ッ……う、ひぁッ……」
普通に扱くだけなら、アルフレッドはすぐにでも精を吐き出していただろう。
しかし、このマヤの巧みな動きが、緩急をつけて射精を引き伸ばし、快感だけを増幅させていく。
先走りによってすっかり濡れて汚れた指は、なお弟のものを優しく嬲り、甘く苦しめる。
完全に血がみなぎり、最大限にまで大きくなったペニスは、びくっ、びくっ、と白い指の中で暴れて悶えた。
「だ、駄目だよぉ、姉さんッ……僕、もうッ……が、我慢できないッ……!」
「――出したいのね? アタシの手の中に、アルの精液……」
「う……うんッ、ね、姉さんにッ……受け止めて、ほしくてッ――」
マヤ自身も、弟の悶える姿に欲情を煽られていたのだろう、すっかり荒くなった吐息と赤くなった顔で頷いてみせる。
「仕方ない子ね――いいわよ、出しなさい」
「うんッ……うん、出すッ……出る、出るよぉッ……!」
快感へのブレーキとアクセルを巧みに使い分けていたマヤの指が、ブレーキだけを無くして勢いを増す。
普通の状態なら痛みを覚えるくらいの激しさで、ペニスを擦り、扱きたてるのだ。
「あッ……あぅ、ねえさッ……姉さん、僕ッ……ぅッ!」
そして、高まった快感がある一点を突破する、その時に。
びゅくッ! びゅるッ、びゅッ!
包み込む姉の手いっぱいに、アルフレッドの吐き出す白い液が――
「あ……あ、あッ……」
ねっとりと濃いその液体が、手だけでなく服にまで飛び散っていく。
「へえ、やっぱり溜まってたんだ? 随分激しいじゃない」
「あ……ぅ、う……」
ひくひくと細かく震えながら、精を更に撒き散らすアルフレッドのペニス。
勢いは段々と衰えて、吐き出す精液も量を減らして弱まっていく――が、周りに飛び散った白い汚れは残る。
「あら、かかっちゃったわねぇ」
両手がどろどろに精で汚れてしまったマヤだが、自分の服にもその汚れが飛んでいることに気づいて小さく声を漏らした。
「ごめ……ごめんなさ、いッ……ねえ、さん……はぁ、はぁッ……」
射精したばかりで息も絶え絶えなアルフレッドが、その声を聞いてまた謝る。
「これは別にいいわよ、気にしなくても。後で洗濯して落ちるかどうか分かんないけどさ」
「……ごめ、んなさい……」
最初にいたぶったのが効いたのか、弟は妙に弱気である。
どうにも仕方ない、とマヤは苦笑してから、手についた精液をぺろぺろと舐めてみる。
「ん……相変わらず濃いわ……」
だが、少し舐め取った後は枕元に置いてあったティッシュを使い、そちらで拭き取ってしまう。
「はぁ……はぁ、はぁッ……」
「……ん」
まだ朦朧としている弟をよそに、マヤは自らの腰に手をやる。
布で巻かれたその部分を、するすると外していき――すぐに、下半身を裸にする。
「あ……姉さんも……?」
「そ。お互い裸にならないと、本音の付き合いは出来ないもんだし――」
こういう場面で言うことでもないとアルフレッドはちらりと思う。
そんな弟にはお構いなく、マヤはベッドの上に足を開いて座り込み、その秘所に指を向かわせる。
何を―ーと思った瞬間、彼女は遠慮なしにそこを開いて、見せてきた。
「ねッ……姉さんッ!?」
「うろたえるんじゃないの。ほら、よく見て……?」
何度か身体を重ねたとはいえ、こういう行為は直接的に過ぎてアルフレッドも少し苦手なものがある。
が、それでも姉の言葉通りにそこに視線を向ける――
「うわ……凄い、どろどろ……だね」
「アタシもね……アルのを弄くってる間に、こうなっちゃったのよ。
だから……やることは分かってるわね?」
「……僕も、姉さんにお返しをしないといけない」
「正解」
そのやりとりでお互いが了解して、アルフレッドは顔をその場所へと近づける。
まるでマヤに向かって平伏するような形で近づいて、そのまま――舌を、溢れ出しているところへ刺し入れた。
「んッ……!」
とろりとした感触がアルフレッドの口に広がる。
味を理解できるほど冷静なつもりもなく、ただ熱い、そして愛しい液体である――という認識だけがある。
だから、少年に出来ることはひたすらその液体を舐め、分泌している場所を舌で撫でるということだけだ。
「あんッ……んッ。そう、その調子……もうちょっと強くてもいいわ……はぁッ」
指示の言葉に従って、ぺろぺろと這わす舌の動きと、込める力を強くした。
入り口から少し奥まで舌を入れ、肉の壁をつつくように舐める――と、
「んぅッ。そう、そこ……そこ、もっとしてッ……あ、んッ!」
もらえる言葉は、アルフレッドの誇りにも作用するような誉める言葉で。
彼は、必死になってその場所を自らの舌でならしていった。
それでも長く続けていると呼吸も苦しくなってきて、アルフレッドは舌を離す。
「はぁッ……ん……」
同時にマヤも一息ついた。
健気なまでに奉仕する弟の姿は、ただの肉体的刺激だけではない快感を与えてくれるのだ。
そのせいで、彼女の受け取る刺激も大きく――直接表には出さなくても、身を悶えさせるものとなる。
「結構上手になってきたじゃない、アル……」
「そ、そう……かな……」
「最初に比べたらね、ずっと」
照れくさそうにアルフレッドははにかんだ。
それから、また顔を近づけて――今度は、その上にある小さくて丸い突起を舐める。
「くぅッ……!」
刺激の大きいそこ、クリトリスを一舐めしてから、また彼は秘肉に口をつけた。
今度は舌だけでなく、口全体で愛液を啜る。
「や、あッ……! ちょ、アルッ……ど、どこでそんなことッ……んッ」
これには不意をつかれて、マヤも驚いた顔で声をあげる。
しかし、驚きよりもすぐに快感が勝るようになり、もっと愛液を飲ませようと腰を動かす。
「んッ……ん、もっと飲んで……あッ……はッ」
弟の頭に手を置いて、その有様を目と秘所の両方で味わう。
アルフレッドも、啜るだけでなくやはり舌を使って姉を愉しませようと必死になり、刺激を続ける。
「あはッ……あ、んッ……んぅッ」
そのうち――限界は、意外に早く訪れた。
「ん……ッ」
アルフレッドが、ぐいっと奥に舌を突き刺した時に。
「あッ……あ、あぅッ……はぁッ」
頭に置かれた姉の手が、ぴくぴくと震えて――
同時に、より多くの愛液が口の中に流れ込んでくる。
「んうッ……わ、姉さん……?」
慌てて口を離したアルフレッドが見たものは、どこかくったりとした様子の姉の姿。
「はぁ……あ……」
弟の去った秘所に、緩慢な動きで指を置くと――くちゅ、と、余韻を楽しむように僅かに動かす。
「姉さん……?」
改めて問いかける弟に、マヤは軽く微笑んでみせる。
「イっちゃった……アルが随分上手だったからね……」
「そ……そ、そうッ?」
思わず、アルフレッドからも笑みがこぼれる。
「舌だけでここまでやれるようになるなんて、随分と頑張ったのね……
アタシが見てないとこで、勉強でもしてたの?」
「……ちょ、ちょっとだけね」
「忙しいって言ってたくせにねぇ」
あう、と口を封じられたアルフレッドの身体を、マヤはつい、と押して倒す。
「……あ。姉さん……」
「さて、アタシもアルももう準備がいい頃よね」
ゆっくりと身体を起こして、彼女はアルフレッドの上にまたがるような体勢を取る。
同時に、右手で弟のペニスを掴み――左手では、自らの秘所を入りやすいように開いた。
「もらうわよ、アル……」
「……ね、え……さん……」
ゆっくりと――後ろで束ねられた髪が、僅かに揺れながらマヤの身体は下りていく。
そして、腰の部分。愛液をとろとろと流している場所が、下にいるアルフレッドのペニスと触れ合って。
くちゅ、と小さな音を立てた後――
「アル……好きよ、アタシの弟――」
「僕、も……だよ、姉さんッ……」
そこから一気に。
ぐちゅッ……と、粘液の触れ合う音を立てて――
姉の秘肉を掻き分けて、弟のペニスが――奥へ、身体の奥へと突き刺さる。
「うぁッ……あ、あああッ!」
感極まったように、マヤは顔を上に向けて悲鳴をあげた。
そして、アルフレッドも。
「あッ……はいッ……たよ、凄く、深くッ……!」
お互いの繋がりを、今は血縁というもの以上に強く感じ取る。
「はぁ……ん。アルのこれ、今日は妙に硬いわねえ」
「え……」
ようやく一息つくと、マヤは下腹部――弟のものが納められている場所に、手をあてた。
「やっぱり硬いわ。こうして触ってても……うん、分かるもの」
「じ……自覚はないんだけどね」
照れてますます赤くなる弟を見下ろして、マヤは大きく息をついた。
「そっちの方がアタシもいいからね――動くわよ」
一方的に宣告すると、彼女はまず緩やかに円を描くような腰の動きをした。
ぴちゃ、ぴちゃ、と少しずつ愛液が垂れて、ベッドの上に染みを作る。
「う……ねえさ……ん……」
「アルは慌てなくても……ん、いいわッ……」
動きとともに、姉の肉壁は強くペニスを締め付けてくる。
何度か入った膣内だが、今日はなんだかはじめての時以上にこの感触が強いような気がした。
「あ、あれ……? 姉さん、なんかッ……」
「何よ、アルッ……あ、はぁッ……」
ぐちゅぐちゅと、姉弟の繋がった場所からは音が絶えない。
それにしても、この締め付けの強さにアルフレッドは違和感を覚え、同時にたまらない快感をも与えられていた。
締め付けると同時に、肉はざわめき、ペニスに絡み付いて――しなやかに、その刺激を増していく。
「すごッ……凄いよ、姉さんの中ッ……い、いつもより強いッ……!」
「……まあ、ねッ……んくッ」
円運動も、少しずつ早さを増している。
ぐちゅぐちゅと絡み合う肉と肉、そして突き上げる衝撃が、姉弟の双方をたまらなくさせているのだ。
「今のアタシはッ……ファイティングアーティストッ……あ、くぁッ。
だから、当然そこも鍛え上げられたボディになってるんだからッ……当然なのよ、アルッ……う、んッ!」
「……か、身体の構造まで変わっちゃうんだ……姉さんって……」
呆れながら――この締め付けが、コスプレによるものと理解する。
もうここまで来ると何もいうことのない、人体の神秘――ではなくて、最早姉の神秘である。
自分から動くことは出来ずに、アルフレッドはただ姉が動くに任せている。
下から突き上げようと思っても、何しろ締め付けと、そして――
「んんッ! あ、はぁッ――いいわよ、アルッ……ん、んふぅッ!」
マヤの動きが、随分と勢いよくなってきたからだ。
動くたびに後ろの髪がぱたぱたと揺れて、下半身での生々しい肉と肉の交わりと対照的に見える。
強く、激しく腰を上下させ――ペニスが中から抜け出る寸前にまた呑み込む、その繰り返しで胎内を貫かせる。
「も、もう、すぐ出ちゃうッ……よぉ、姉さんッ」
「我慢……んはぁッ……しなさい、アルッ、うッ……アタシより、先にイっちゃったら――あ、うぁッ!
ん……許さないんだから、ね……」
「で、で、でもぉッ……!」
ずちゅッ、と、一つ動くたびにマヤの膣口が弟のペニスでぐいぐいと広げられる。
そして中では、肉壁を捻じ伏せ、奥を貫いて彼女の全身を揺さぶるのだ。
同時に愛液と先走りの混じった液体がぴちゃぴちゃと、お互いの身体を伝わって周囲に飛び散っていく。
「安心なさいな……はぁんッ! ……ん、アルだって、こんなに硬くって、凄いから……
アタシの方も、そんなに持たないと思うわッ……あ、あふぅッ……っくぁッ!」
抜ける寸前まで腰を上げて、一気に落とす。
秘肉を抉って、奥までアルフレッドのペニスが突き刺さり、マヤは悩ましい吐息を漏らした。
「だッ……だけど、姉さんッ……う、うぁ、あッ……」
アルフレッドは、相変わらず自分からはまったく動くことが出来ないでいる。
今までの交わりでは、何度か主導権を握ったことさえあったというのに――今日のマヤの中は、尋常ならざる感触だ。
その分一面では単調になっているとも言えるが、快感に悶える姉弟にはそれも気にならない。
「ん、いいッ……わよ、アルのッ……ホントに硬くて、強くてッ……」
「そう、言われてもぉッ……あう、出ちゃうッ……出ちゃうよ、姉さんッ」
いよいよアルフレッドの声が切羽詰ったものになってきた。
相変わらず激しく腰を動かし、胎内の熱いペニスを味わっていたマヤも少しだけ勢いを緩める。
「もう……んッ……はぁ。仕方ないわね……」
「う……はぁ、はぁッ……ご、ごめッ……」
謝ろうとしたアルフレッドに、マヤはゆっくりと上半身を下ろす。
そうして――弟の唇に、再び自らのそれを重ねた。
「ッ!」
「ん……」
途端、びくんと姉の胎内に入ったままのペニスが震える。
「あッ……やっぱり、アルの、大きくなったわ……ッ」
「え……え」
また上半身を起こして、騎上位の体勢に戻る。
「なんでか知らないけど、アルってアタシにキスされると昂奮するのよね」
「そ……それは……」
それはどうやら事実らしい。
最初の交わりでもそうだったが、アルフレッドは多分にキスという行為に妙なものを抱いているようなのだ。
「ほら、中で大きくなって……んッ。いいわよ……」
「そ……そ、そう?」
あるいは、幼い頃の想い出か何かなのか――それはお互いに分からないところだが。
ともかく、せっかくのこの機会を逃すまいと、マヤは再び腰を動かす。
「んッ……は、あッ……」
ぐちゅッ……ぐちゅッ、途切れていた音も少しずつ復活しはじめて、再開を告げる声となる。
「くッ……ぼ、僕ッ」
少し時間を置いたのが効を奏したのか、アルフレッドも限界から少し遠ざかっていた。
姉の強い締め付けにも、僅かながら抗う気持ちが出来ている。
「いいわよ、アル……んッ……あ、えッ!?」
「……ねえ、さんッ」
その結果、下から緩やかながらも突き上げを行える。
「あ、あわせてくれるのね、アルッ……いいわ、その調子ッ」
「う、うんッ……」
大きく、激しいストロークから、マヤとアルフレッドは細かくお互いを思いやる動きに変わった。
小刻みに相手のものを貫き、包み――ゆっくりとだが、確実に頂点へと向かう。
「あう、あッ……あ、アルぅッ……んん、はぁッ、あッ!」
「姉さん、姉さんッ……ねえ、さッ……!」
ずちゅ、ぶちゅ、と音は無様なものだが、アルフレッドのものは確実にマヤの膣内を貫いて――
そして。
混じりあい、泡だった二人の体液が、お互いを溶かすほどにどろどろに辺りを濡らし。
「出るッ……出るよ、姉さんのッ……姉さんの中に、僕の、あ、ふぁッ!」
「んッ……来て、アルのッ……アタシが、全部ッ……中で受けてあげるからッ……あ、ひぁッ!!」
ぐちゅッ……と。お互いの動きが完全に同調した、最後の瞬間。
どぶッ……びゅるッ、びゅッ、びゅッ……
「あ……あ、あッ……来てる……中に……凄くッ……」
動きを止めて、マヤはそれを確かめる。
アルフレッドの腰も止まり、より多くの精液を姉の子宮に注ぎ込もうと、勢いも激しくペニスが震える。
「ね……姉さん……出してる……」
「……うん、そう、分かるわ……」
言葉で確かめるまでもない。
白い粘液が、マヤの膣内から子宮へと流れ込み、そして溢れて弟のペニスに逆流する。
零れたものがシーツに垂れて、またしても新しい染みとなって二人の営みの証拠を増やす。
「はぁッ……はぁ、はぁッ……」
「ん……あ、はぁッ……」
かくして、しばらく二人の意識は忘我の境地を漂っていた。
しばらくして、姉弟はほとんど同時に意識を取り戻す。
「……ん。凄かったわね」
「ホントに……凄かったね」
満足そうな声で二人は頷きあい、そしてマヤはゆっくりとペニスを抜く。
それとともに、まだ膣内に溜まっていた精液が、ぽたぽたと秘所から零れて落ちた。
「あ……こんなに出したんだ……」
その光景に、アルフレッドが赤面して俯いた。
「……ふふ」
それを見て、何やらマヤが閃いた顔でにんまりと笑う。
「こんなものじゃないわよ、アル?」
「え?」
と、マヤがベッドの上に腰を下ろす。
そうして――秘所を、指でぱっくりと開けた。
「えと……また、舐めるの?」
行為に及ぶ前に、こうやって姉の秘所を舐めたことを思い出したアルフレッドは、正直にそう尋ねる、が。
「いいえ……見るだけでいいわ。ほら……」
見るだけ。その言葉に従って、アルフレッドの目線はそこに止まる――
「う……う、うわぁ……」
「ほら、凄い量でしょ……? それに、こんなに濃い……」
指で開いたお陰で、中からはとろとろと精液が零れてくる。
それにしても、確かに凄い量だ。溢れても溢れても、尽きずに零れ落ちてくる。
粘度も高く、零れ落ちる際にマヤの陰毛に絡んで、ぽた……ぽた、と垂れてさえいた。
「味も……ふふ……」
空いている指で、その精液を掬い取ると――マヤは、そのまま口に運んでぺろりと舐める。
「……ね、え……さん……」
「ん、味も濃いわねぇ……」
ちろちろと舌が出て、自分の指を舐めるその光景は――ひどく、本能に響くようなものだった。
「――ふふ。ホント、良かったわよ……」
着ている異国の衣装はすっかり汚れてしまったが、マヤは満足そうに頷いた。
――けれど。
「……僕……」
「ん? どうかしたの?」
アルフレッドは俯いていて、表情を伺えない。
「僕……我慢、できない……よぉッ」
「何が……? え、アル?」
小さく呟いた直後に。アルフレッドは、一気に――姉を押し倒していた。
「えッ!? こ、こらッ。いきなり何してんのよッ!?」
「だって……姉さんが、そんなことするからッ」
うろたえて、咄嗟に反撃できない姉に、アルフレッドは手を伸ばす。
「ちょッ……あ、んッ!」
その指が、まだ精液を残していた秘所に潜り込んだ。
ぐちゅぐちゅと、激しく中をかき回していく。
「あ、あ、ひぁッ……こ、ら、アルッ……や、やめッ……う、んくッ!」
「姉さん……姉さん、姉さんッ!」
すぐに愛液が溢れ出し、精液と混ざって外に掻き出されて行く。
アルフレッドの指の動きがそれを助長し、マヤの膣口は精液が零れ落ちて更にどろどろになっていった。
「やッ……も、そんなッ……ら、乱暴にッ……あ、アルぅッ!」
ほとんど悲鳴にも近い喘ぎ声で、マヤは悶える。
「……姉さん……姉さんが……ん、僕ッ!」
そして、姉がくったりとなった時を狙い。
再び、アルフレッドのペニスが――
「あ……あ、うぁぁッ!?」
マヤの膣肉を割り、奥へと突き刺さっていった。
「……ったくもう。もう一回やりたくなったんならそういいなさいよ」
しかし、アルフレッドの暴走もここまで。
「う……ご、ごめんなさい、ごめんなさいッ……」
「……ん」
膣肉に包まれて、姉の暖かさに包まれて――そうなったら、もう欲情によって流された自我も蘇ってしまうものなのだ。
姉を貫いた状態で、我を取り戻したアルフレッドは――例によって、謝っていた。
「ね、姉さんにひどいこと……ご、ごめんなさいッ」
「……いいわよ。アルの意外な一面も見れたしね」
「あ……う、うん……」
「ま、それに――」
下腹部に力を入れて、膣内をきゅっと締める。
「うッ……あッ」
「アタシも、ちょっと物足りないかな、とは思ってたのよ」
「……あ……う。なら……」
「ええ。――楽しむとしましょうか」
猫の笑いを浮かべると、マヤはゆっくりと腰を回し始めた。
それとともに、アルフレッドは両腕を姉の脇に置いて、上半身をしっかりと固定する。
「それじゃ――始めて、アル」
「……うん。いくよッ」
上下が逆転した体勢で、姉弟は再び繋がりを強める。
ぐちゅぐちゅ、という水音と同時に、肉のぶつかる音も響いた。
「あ、はッ……ね、ねえ、アルッ……」
「な……なに、姉さんッ」
言葉を交わしながらも、腰の動きは止まらない。
「アタシのこと、好き……?」
「……好きだよ、僕。姉さんのこと、誰よりも」
「ふふ……」
告白することと告白を受けることで、この姉弟はどんな刺激よりもお互いを昂ぶらせている。
ペニスはしっかりと姉の胎内を貫き、奥へ、奥へと打ち込まれていく。
中に溜まった精液が潤滑剤となって、前よりは締め付けの強さも感じないが――その分、ざわめくものがペニスを包む。
「ねえさんッ……ん、気持ちいいッ……気持ちいいよ、姉さんの中ッ」
「んぁッ……あ、あッ……そんな、ひぅッ……当たり前のこと、言わなくても……い、いいわよッ……!」
「でも……んッ!」
ぐちゅ、ぐちゅッ――いつしか、ペニスは一番奥を小突いていた。
マヤの身体全体を揺さぶるように、深い衝撃が彼女を襲う。
「あ……あ、はッ……アルが、アタシの中でッ……や、はッ……!」
一撃一撃が、吹き飛ばすような衝撃となって身体を貫き――そして。
「もう、一度ッ……いくよ、姉さんッ――」
「んッ……出して、もっとッ……もっと、アタシの中にッ……!」
姉の、一番奥の奥――子供を作る場所目掛けて、アルフレッドはその欲望を――
「でッ……ん、姉さんッ」
「あッ……ああッ……あ、あ――…ッ」
姉の細長い悲鳴をBGMに、一気に解き放つ。
びゅるるッ……びゅるッ、るッ……びゅッ。
その勢いは、相変わらず激しいもので、何度でもマヤの胎内を埋め尽くすかのようだった。
「……姉さん」
射精しながら、アルフレッドは姉の名を呼んでその胸に倒れこむ。
「んッ……ん、アル……ん……」
それをほとんど無意識で受け止めながら、マヤもまた弟の名を呼んで腕の中に抱きしめた。
真っ白に染まっていく膣内と同様、二人の意識もまた白く染まり――
「……姉さん……?」
ふと、アルフレッドは目を開く。
相変わらず姉と繋がったままで、それでもペニスはすっかり萎えて力を失っていた。
そのマヤは、まだ眠っているらしい。剣花煙雨江南のコスプレのまま、小さく寝息を立てている。
「はぁ……また、やっちゃった……」
完全に吹っ切れている――というか、そもそも気にすらしていない姉と違って、アルフレッドにはまだ葛藤もある。
「まずいよなぁ……これ。でも……」
姉の無邪気な寝顔を見ていると、なんだかどうでもよくなってくる。
「……アル、今度は涙のかけらを……」
夢でも見ているらしい。そんな姉に苦笑を浮かべると、アルフレッドはベッドから降りた。
時計を確かめると、あと一時間ほどで夕食となる頃合だ。
「とりあえず、身体洗っておかないと……姉さんも起こして、それで……」
それだけあれば後片付けはなんとでもなるだろう。ただ――
「……あれ、何か忘れてるような?」
首を傾げながらも、甲斐甲斐しくアルフレッドは乱れた部屋を片付けていった。
数日後、休暇も終わっていつものように遺跡に潜ったシュレディンガー一家である。
「あ、来たよ姉さん、トッドさん、シェイディさんッ!」
前方から現れた複数の影を見つけ、アルフレッドは緊迫した声で叫んだ。
「よし……準備はいいわねッ!?」
「勿論でさ、お嬢」
「当たり前だろッ」
アフロの男と猫のような魔獣は、そう言ってマヤに応える。
そして、アルフレッドも発破を取り出し、戦いに備える――
――一時間後。
「……おっかしいわねぇ。なんでここの魔獣、あんなにタフなの?」
「あっしの剣を数十回も受けて、無傷とは……驚きやした」
遺跡から脱出した一家は、ひとまず落ち着ける場所で会議をしていた。
「なんか、アームも剣も通用しないって感じじゃない? 効いてたの、シェイディのブレスくらいよ?」
「だったな。姐さんらの攻撃なんて、ちっとも効いてなかったようだが……」
凄腕のシュレディンガー一家が、こうも苦戦する相手などとは信じられない。
四人が揃って考え込んでいると――不意に、アルフレッドが悲鳴をあげた。
「あああああッ!」
「ど、どうしたのよ? アル」
「そ、そうだった……ここ、魔法しか通じない魔獣が出るんだったッ……!」
「え、知ってたのッ!?」
ならどうして言わなかったの、とマヤが弟を睨む。
「だ、だって……それは……」
考えてみれば。
それを伝えようとマヤの部屋に行ったところを、あのようにして――であって。
悪いのはマヤ、とも言えるのだが。アルフレッドには、生憎それを言う勇気はなかった。
「ご、ご、ごめんなさいッ!」
――何にしても、そんなこんなで色々なことがどうでもよくなったアルフレッドの日常である。
幸せかどうかは――とりあえず、幸せの方向に比重が大きい――らしい。