「う…ん……」  
 セシリアは小さく呻き目を覚ました。体中に鈍痛が残り、意識は  
未だはっきりとしない。  
「ここは?私は一体…ッ?」  
 辺りを見回そうとして、体の自由が利かないことに気づく。  
両手は頭上で縛り上げられており、つま先がかろうじて  
つく程度の高さに吊るされていた。  
 金属質の広い部屋の中には自分以外誰の姿も見えない。  
自分が一人で拘束されていることに、セシリアは強い不安を  
感じる。  
「ザック!ジェーン!エマさん!ゼット!…ロディ!!誰かいないのですか!?」  
 仲間の名を呼んでも何の反応もない。さらに不安に駆られた  
セシリアは再び仲間の名を呼ぼうとした。  
 
 その時、  
「クカカカ…お目覚めですかな?」  
 空中の一部が渦を巻くようにゆがみ、その中心から白い布で  
全身を覆った魔族が姿を現した。  
「…アルハザード!!」  
 意識が急速に鮮明になり、気を失う前の出来事をはっきりと  
思い出す。魔族との最終決戦のため乗り込んだ『カ・ディンギル』。  
その最上階でアルハザードと対峙し、セシリアたちは真の姿を表した  
彼の前に敗れてしまったのだ。  
「私の仲間はどうしたのですか!?」  
「ご安心ください。全員生かしたまま捕らえてあります。  
それぞれ興味深いニンゲンのサンプルでして。後ほどじっくり  
実験に付き合っていただきます。ニンゲンでないモノも混じって  
おりますがな…クカカカカ」  
(ロディ…)  
 
「彼らよりも私の興味は貴女にあるのですよ。ガーディアンの巫女」  
フワフワと浮かびながらアルハザードはセシリアに近づいてくる。  
「私をどうするつもりですか?」  
 恐怖を押し殺し、セシリアはアルハザードを睨み付ける。  
「クカカカカ…その毅然とした態度。ニンゲンを美しいと思うのは  
貴女で二人目です。  
ま、それはさておき…私が興味を持ったのは貴女の血です」  
「私の…血?」  
「我々はファルガイアを手に入れるのが目的ですが、その為には  
ガーディアンを滅ぼす必要があります。しかし、このファルガイアは  
ガーディアンによって辛うじて命をつなぎとめている状態。  
我らがファルガイアを手にするためには、ガーディアンとは別の力で  
ファルガイアを支える必要があるのです」  
 
「そこで、以前涙のかけらからダークネスティアを作ったように、  
ガーディアンの反存在、災厄獣・ディザスターを生み出すことに  
したのです」  
 アルハザードはセシリアに向き直り、  
「ガーディアンと交信することができるガーディアンの巫女。  
貴女の生態データを解析することでディザスターの誕生に大きな  
前進となるのです」  
「そんなこと…絶対にさせません!」  
 セシリアの言葉をアルハザードは笑う。  
「クカカカカ…そんな姿で何ができるのです?杖もクレストグラフも  
ミーディアムも涙のかけらも持たない貴女はまったくの無力だと言うのに」  
「…ッ」  
 アルハザードの言うとおりだった。セシリアにできることは  
毅然とした態度をとり続けること位だ。さらに内心は絶望に  
支配されようとしている。それでもセシリアはわずかな、  
存在するかもわからない希望にすがりついていた。  
(絶対に…あきらめるものですか!!)  
 
「バスティス!」  
 アルハザードの呼びかけに、どこからか人の頭ほどの大きさもある  
羽虫型のビットが現れた。  
「ガーディアンの巫女の採血をしなさい。クスリの注射も忘れないよう  
お願いしますよ」  
(クスリ?)  
 アルハザードの言葉に従い、バスティスはセシリアの肩にとまり、  
首筋に口から伸びた針を刺すために狙いをつける。  
「…クッ」  
 セシリアは羽虫のとまった方から顔をそらす。  
 首筋にチクリとした痛みが走り、針が打ち込まれた。  
「んっ!」  
実際に針が刺さっていた時間は数秒だったが、セシリアには  
途方もなく長い時間に感じられ、体中の血液を吸い尽くされて  
しまうのではないか、という恐怖を感じた。  
 針が抜かれ、白い首筋に血が一筋傷跡から流れ落ちる。  
「ッ…ハァ…ハァ…」  
 緊張のあまり息を止めていたセシリアは荒く呼吸を再開した。  
 
 バスティスはセシリアの肩から離れ、何処かへと飛び去っていく。  
その姿を目で追いながら、セシリアは胸の中で絶望が大きくなるのを  
感じていた。  
(あの血から巫女の…ガーディアンの力が解析されてしまったら…)  
「さて、次のサンプルの採取にうつりましょうか」  
「私の血はもう採ったのでしょう?私は用済みではないのですか?」  
 胸の不安を押し隠すのも限界だった。強い語調ではあるものの声が  
震えているのが自分でもわかる。  
 それを悟られてしまったのか、アルハザードは愉快そうに笑う。  
「クカカカカ…とんでもない。むしろ次のサンプルこそ重要なのですよ。  
…次は貴女の卵子をいただきます」  
 その言葉を聞き、セシリアは息をのむ。  
「…私の…卵子?」  
「左様です。先ほどの採血の際、同時に排卵を促すクスリを注射させて  
頂きました。副作用として、体温、心拍、神経の感度が上昇しますが…、  
ま、その方が苦痛を感じずにすむのではないでしょうか?」  
 
 セシリアの周囲の床が液状化し、金属の液体の中から幾本もの  
触手が生えてくる。  
「はぁ、はぁ…こ、これは…」  
 その光景を見ながら、セシリアはアルハザードの言うとおりの  
体内の変化を感じていた。体が熱く、思考のスピードが落ちていく。  
そのくせ神経は敏感で着ている服の感触さえ、むずがゆく感じる。  
「私の身体は精密作業には向きませんのでな。貴女に快楽を与えながら  
膣内から卵子を摘出するためのマニピュレータ代わりですよ」  
「!!」  
 セシリアはこれから自分の身にされようとしていることを悟った。  
(そんな…私、あんなもので汚されてしまうのですか…?嫌!  
助けて!ロディ!!)  
 まぶたを硬く閉じ、セシリアは愛する人に助けを求める。しかし、  
その願いもむなしく、触手はセシリアの身体に絡みつく。  
「やっ!いやぁ!!」  
 一本の触手がセシリアの服の襟から浸入しシャツを破る。  
セシリアの豊満な胸が、外気にさらされた。  
「あっ、あああぁぁぁ!」  
肌に触れる冷えた空気でさえ、今のセシリアには快感を伴う刺激  
でしかなかった。  
 
「ダメ…ダメです…止めて、んっ、ください…」  
 両の乳房に触手が巻きつき、もみしだく。腕を、足を、体を  
絡めとられセシリアに快楽を送り込んでくる。セシリアはあまりの羞恥に  
涙を流し、それでも何とか逃れようと、必死に抵抗するが、それは身体に  
絡みつく触手にとって何の障害にもならなかった。  
「クカカカカ…久しぶりの獲物で楽しみたいのはわかりますが、  
ちゃんと仕事をしてもらわなければ困りますねぇ」  
 アルハザードの命令に従うかのように、何本かの触手がセシリアの身体を  
離れる。そしてスカートをずり上げ、タイツとショーツを一気に引きずり下ろした。  
「きゃっ!いやあぁぁ!!」  
 すでに濡れているセシリアの秘部に一本の触手がじりじりと近づく。  
「あ…あぁ…」  
 初めてを奇怪な形をした触手に奪われようとしている現実に、セシリアは  
その身体を震わせた。顔はすでに恐怖と絶望によって塗りつぶされている。  
「クカカカカ…いい顔ですよ、ガーディアンの巫女。その恐怖と絶望が  
新たなるファルガイアを支えるディザスターの卵となるのです!」  
 触手の先端がセシリアの秘裂にそえられ、一気に浸入した。  
「きゃああああぁぁぁぁぁ!!」  
 
 クスリに蝕まれたセシリアの身体には、破瓜の痛みは感じられなかった。  
その代わりに何倍にも増幅された快感が身体の中を駆け巡る。  
「あっ、あっ、あっ…う…あぁん!」  
 セシリアの内部に侵入した触手は何かを探すように脈動する。そのたびに  
膣壁を抉られ、頭の中で火花が散るような快感をセシリアに与える。  
「ふあっ、あうっ…あぁぁ…」  
「排卵はまだのようですね。しばらく今のまま待たせてもらいますよ」  
 かすかに残っている理性で必死に触手から逃れようとするが、身体は  
すでに快楽に支配されている。より快感を得られるようにと、勝手に  
動いてしまう。秘裂から破瓜の血と愛液の混じったものが太ももを  
つたい流れる  
(ロディ…ごめんなさい…。あなたに…あげたかったのに…)  
 膣内の触手の動きが激しさを増す。  
「ああっ!ああっ!…やっ、もう…うぅ、動か、ひゃぅ!…ないで」  
 セシリアに限界が近づいていた。腹の底から甘い痺れが上ってくる。  
「そろそろのようですね。貴女の卵子、頂きますよ!」  
 触手が一気にセシリアの奥まで貫くと同時に、セシリアは絶頂に達した。  
「あはああああぁぁぁぁぁんッ!!!」  
 
「はあっ、はあっ、はあっ…」  
 初めての絶頂に息も絶え絶えのセシリア。しかし、触手はまだセシリアの  
体内から出てこようとはしない。  
「あ…?…やっ、きゃあっ!」  
 突如、膣内の触手が今までとは異なる刺激を与えてくる。セシリアの  
膣内のものを吸い出そうとしているようだった。  
「やっ、いやっ!吸っちゃ…だめぇ!」  
 新たな刺激に再び火をつけられたように、セシリアの身体は快楽で  
焼かれはじめる。イッたばかりの身体はさらに速いペースでセシリアを  
絶頂にいざなおうとする。体中を這い回る他の触手もセシリアを蹂躙  
し続ける。  
 膣内の愛液ごと卵子を吸い出した触手が、一気にセシリアの奥から  
抜き出るのと同時に、セシリアは2度目の絶頂を迎えた。  
「いやあああああぁぁぁぁぁぁ!!」  
 
「貴女はまだ生かしておいて差し上げますよ。次に貴女の何が必要に  
なるかわかりませんのでね」  
 すべての触手から解放されたセシリアにそう告げて、アルハザードは  
その姿を消した。  
「うぅ…くっ…ロディ…」  
 服のほとんどを破かれ、淫らな格好のままで吊るされているセシリアは  
嗚咽を漏らすことしかできなかった。  
 

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