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マヤが風邪を引いた。  
 
彼女も人間の端くれである以上、そういったことがあってもまったく不思議ではない。  
しかし、普段の傍若無人を見る限りでは、風邪如きで倒れるなどとはどうにもあり得ない感がある。  
あり得ないと言ってもこうして倒れている以上は事実なのだが、ヴァージニア辺りが見れば腰を抜かすかもしれない。  
普段の『荒野の災厄娘』を装った活発な姿からはかけ離れた、地味で分厚い眼鏡をかけた頼りない少女――  
それが、コスプレの出来ない今のマヤ・シュレディンガーだったりする。  
 
「うう。不覚だったわね、このアタシがこうも簡単に風邪引くなんて」  
それでも性格はいつもと同じで、風邪に倒れていても強気なところは崩れていないようだ。  
枕元で彼女を見つめる金髪の少年――弟のアルフレッドは、そんな姉の額に新しい氷嚢を乗せながら答える。  
「だから身体には気をつけて、って普段から言ってたんだよ。姉さん、繊細なんだから」  
「でも、まさか風邪みたいなありふれた病気にかかっちゃうとは思わないじゃない」  
「変でもなんでもないよ。しっかり予防してないとどんな健康な人でも危ないんだからね。ただでさえ、姉さんって昔っから病弱なとこあるんだから」  
弟の小言に、マヤは熱で赤くなった顔を向けた。  
「む、昔のことはいいじゃない――それはそれとして、トッドとシェイディは?」  
現在、彼女を看病しているのはアルフレッドだけである。  
一家の残りの二人、トッド・デュカキスとシェイディ・サウザンドの姿は見えない。  
「トッドさんは買い物。次に探索する遺跡で必要な道具があるからね。シェイディさんは、多分暖炉の傍で丸くなってるんじゃないかな」  
「ふうん。そう。アンタは何かすることとかないの?」  
問われて、アルフレッドは軽く考え込む。  
「いや、別に……今は無いかな。発破の仕込みもほとんど終わってるし、だからこうして姉さんの看病をやってるんだけど……  
 とにかく、姉さんは休むことに専念しておいてよ。このままじゃ遺跡の探索なんて出来ないし、それに僕も心配なんだから」  
マヤは、こほ、と小さく咳きをする。  
「そうね。リーダーの務めだもんね、それは……」  
「うん。僕がこうして見てるから、安心して休んでて」  
「ええ、ありがと。アル」  
そうして、彼女は眼鏡を外し――そっと瞼を閉じた。  
 
実際のところ、風邪のせいで随分身体も弱っていたらしい。  
瞼を閉じた途端、たちまちマヤは眠りの世界へと誘われてしまったのだ。  
夢も見ないほどの深い眠りで、それはもう本人にとっては一瞬にしか感じられない程であった。  
 
ふと目を開くと、視界は闇に包まれていた。  
気だるかった体も随分と軽くなっており、また熱もほとんど引いている。  
「ん……ふう」  
軽く息を吐きながら、マヤは状況を確認しようと考え込んだ。  
眠りについたのは確か昼下がりのはずで、今がこの暗さだとすると――  
「真夜中、よね。随分眠っちゃってたんだ」  
呟いて、彼女は手探りで眼鏡をかける。  
更に、枕元の灯りとなるランプを探して火を灯す――と。  
「……あれ?」  
目の前には、見慣れた弟がベッドに寄りかかるようにして眠っていた。  
「アル……?」  
その手元には看病の為の道具が転がっていることから見て、ずっと傍にいてくれたらしい。  
こうして病状が改善されているのも、その献身的な世話のお陰と考えると自然に笑みが湧いてくる。  
「まったく、アタシの弟とは思えないくらいにつくづく面倒見のいい子よねえ……」  
何かご褒美でもあげなくちゃ、とマヤは唇に指をあてて考え込む。  
と、そのために持ち上げた腕が、湿った肌着に触れてかすかな不快感を生み出す。  
「あら、随分汗かいてたみたいね。……汗」  
直後に、マヤは指をぱちんと打ち鳴らして小さく頷いた。  
 
「アル。ちょっと、アル」  
ゆさゆさと肩を揺さぶられ、アルフレッドはゆっくりと目を開いた。  
「あ……れ。えっと……」  
寝ぼけ眼をこすりつつ、少年は顔を上げて姉を見る。  
「あ……ああ、姉さん。僕、眠ってた?」  
「みたいね」  
「ん……ごめんなさい……」  
ふぁ、と小さな欠伸が漏れた。  
「すっかり夜になっちゃったみたいだね。姉さん、まだ熱はある?」  
「その辺は、結構良くなったかな」  
「そう、良かった……あ、お腹空いてない? 確かリンゴか何かあったはずだから、僕が剥くよ」  
どこか間延びした口調のまま、アルフレッドは起き上がる。  
そうして、言葉通りに果物でも用意しようかとベッドを離れようとしたところで、  
「ああ、ちょっと待って」  
姉の声に動きを止める。  
「……リンゴ、いらないの?」  
「それは後で貰うわ。今は少し別の用事を頼みたいの」  
「別の? うん、いいけど。なに?」  
もう一つアルフレッドは欠伸をした。熱心に看護をしていたせいで、疲労も随分溜まっているらしい。  
それでも大切な姉の為に、どんな頼みごとでも聞こうと献身的な目を向ける。  
「かなり汗かいちゃったみたいだから、拭いてもらいたいのよ」  
「あ、気づかなくって……じゃあ、タオル持ってくるね」  
もう一度離れようとする弟の腕を、マヤはそっと掴んで止めた。  
「タオルなんて使わなくていいわ。……舐めて綺麗にして頂戴」  
「タオル使わないって……え? ……って、ね、姉さんッ!?」  
その刹那、ようやくアルフレッドの目は完全に覚めた。  
 
「ななななな舐めるッ!?」  
「そうよ? アルの舌で汗を舐め取って綺麗にして貰いたいの。出来るわよね?」  
少年は口をぱくぱくと開閉させると、一度深く息を吸ってから改めて声を出そうとする。  
「な、舐めッ……で、出来るけど、でも、な、なんでそんなッ」  
「だってアタシ病人だもの。病人は丁寧に、繊細に扱わないと良くならないでしょ。  
 なら、タオルなんかよりも人肌の温かさが必要な訳で。その辺アルなら安心して任せられるからね」  
「で、でもッ」  
掴んだ腕を、一際強く引き寄せる。  
それによって、アルフレッドは顔ごと姉の傍へと動かされた。  
いつもの分厚い眼鏡をかけているので、その瞳の色は伺えないが――それでも視線の圧力は十分な程である。  
「お願い」  
「……あの、舐めても唾液がつくから綺麗になるってことは無いんじゃないかなって」  
「……アル?」  
軽く眼鏡を押し上げて、マヤは直接弟を見つめる。  
「う……うん、綺麗にするよ……」  
その返事を受けて、彼女は満足そうに口元で笑うと眼鏡を戻した。  
「じゃ、早速頼むわ。どうも気持ち悪いのよね、じっとりしちゃって」  
そのまま、躊躇いもなく衣服を脱いでいく。  
「あ、あ、姉さん、あ、あのッ」  
止めようとして手が出せず――あるいは、心の底ではこの後の展開を期待していたせいかもしれない。  
アルフレッドは、結局姉が下着までも取り去ってしまうのを見つめているだけであった。  
「うん、やっぱり少し冷えるわねえ」  
脱ぐ時に眼鏡がずれたのだろう、軽く手でその位置を直しながらそんなことを言う。  
「だったら脱がなきゃいいのに……」  
「脱がなくちゃ綺麗にできないでしょ。ほら、さっさと綺麗にしてよ。寒いんだから」  
理性の部分は納得できないという声で占められているが、感情――というより欲望の部分がアルフレッドを煽り立てる。  
「その、僕の舌で姉さんを綺麗に……って、するんだよね」  
「確認しなくていいから」  
 
まずは、左手首のあたりに顔を埋めた。  
「汗くさいでしょ?」  
マヤはそう言うが。  
「ううん。そんなことないよ」  
「ふふ。お世辞が上手ねぇ」  
にんまりと笑われてしまった、けれど。アルフレッドとしては、お世辞でもなんでもなかったりする。  
「ホントだよ。なんていうか、匂いがしない訳じゃなくって……柔らかい感じのが、さ」  
「……そう? 今日は香水なんかは使ってないんだけど」  
精神的なものも大きいのかもしれない。  
ともあれ、アルフレッドは姉の言いつけに従って手首に舌を置いた。  
「丁寧にね。万遍なく綺麗にして頂戴」  
言葉を頭に刻み込み、少年はおずおずと舐め始める。  
随分熱は引いたようだが、それでもまだ僅かに熱っぽい――ような気がする。  
「……や、やっぱり普通にタオルなんかで拭いた方が。姉さんまだ病人なんだよ?」  
「いーから。病は気からって言うでしょ? ある程度治ったら、後は気合さえあればなんとかなるもんなのよ」  
「ならないってば」  
そう言うと、マヤはまた眼鏡を少し持ち上げて、レンズを通さずにじっと弟を見る。  
「な、何?」  
今の姉――文学少女と言うか、素の状態と言うべきか。この時の姉は、極度の近視なのだ。  
そのせいで極端に分厚い眼鏡をかけねばならず、ものを見る際にどうも苦労をすることが多い。  
「いや、どういう顔してるのかって思ってね」  
「どうって……」  
ふむ、とマヤは頷く。  
「アンタが心配してくれてるのは分かるけど、アタシはホントに大丈夫なんだから。  
 アルに直接舐めてもらえば、肌が温まってむしろ治りが早くなるのよ」  
「……嘘だよね?」  
「まあ、思いつきだけど」  
がくんとアルフレッドの肩が落ちる。  
 
すっかり抵抗する気力も無くしてか、肌を舐める動きを再開させる。  
はじめは不承不承といった様子で、手首からゆっくりと進めて行く。  
「ん……」  
マヤが小さく息を出した。  
アルフレッドは横目でその表情を伺って、少なくとも辛そうではないことを確認するとまた舌を動かす。  
そうして舐めてみると分かるのだが、確かにしっとりと肌は濡れているのだ。  
舌の上では僅かな塩味がして、その姉の肌――ひいては体液を舐め取っているという事実が否応にも突きつけられる。  
(……ホ、ホントにいいのかな……)  
今となっては、姉と肌を重ねることさえ何度か行ったアルフレッドである。  
はじめの内こそその行為の背徳感にどうしようもなく悩みぬいていたものだが、行為が繰り返されるうちにその感覚も薄れてきている。  
――麻痺している、だけかもしれない。どちらにしても良いことではないが。  
しかし、今。  
その、忘れていた――忘れようとしていたであろう禁忌が、こうやって姉の肌を舐めている内にアルフレッドの心に再び浮かび上がってきていた。  
やるべきではない、やってはいけない――こんなことは、どう考えても間違っている。  
(……止めなきゃ。これ以上続けてたら、僕もう一生姉さんと離れられなくなっちゃう……)  
そう考えて、舌を止めようと理性が命令する。  
それなのに、  
「ん、ふう……その調子で、綺麗にね……」  
「あ……う、うん……」  
マヤの囁き声が聞こえると、愛しい姉の素肌に触れていると――  
歯止めはすぐに消えてしまって、後は流されるだけになってしまう。  
いや、流されているのではないのだろう。これは自発的に、アルフレッド自身の欲望がさせていること。  
「ねえ……さんッ」  
小さく叫ぶと、そんな迷いを振り払うように姉の肌に没頭する。  
行為そのものが、後になれば迷いの根源になるのだと分かっていても――  
こうしている間は、悩まないで済むのだから。  
 
「難しく考えすぎなのよ、アルは」  
と、不意にそんな声が聞こえて、アルフレッドは舌を止め――  
「ちょっと、さっきから止まりすぎよ。もっとてきばきとやれないの?」  
――ようとしたが、軽く怒られたので舐め続ける。  
手首から腕へ、そして腕から腋へと進んでいくうちに。  
「ふう……うぅん……」  
マヤは、心地良さそうな声で応えてくれた。  
(今の、なんだったんだろ……?)  
最初に聞こえた声を疑問に思いながらも、アルフレッドの舌は姉の腋の下を這い回る。  
「はぁ、ふぅんッ……ん、くふうッ」  
くすぐったいのか、彼女は僅かに身をよじる。  
だが舐めているアルフレッドの方では、今までと違う感触、そして僅かに汗の匂いが強くなったそこを舐めることにより没頭していた。  
あまり人前に晒されない場所である。それでも、流石にマヤは手入れを欠かしていないようで、舌触りはすべすべとしたものだ。  
「ん、そこは特に汗をかきやすい場所だから、念入りにね……」  
「うん……」  
言われるまでもなく。  
なるべく優しく、丁寧に。一滴の汗も残さないように、アルフレッドは舌を使う。  
汗を舐め取ると同時に唾液が塗られていくのだが、マヤはそれについては気にした様子はない。  
いや、気持ち悪がるどころか弟に身を任せて心地よさそうに瞼を閉じている――ようだ。分厚いレンズに阻まれて、はっきりとは見えないのだが。  
「ふう……ん……」  
彼女の小さな声に導かれるように、アルフレッドは腋から肩へと舌を動かしていった。  
そこから首に沿って舐めていくと、自然と身体が密着してくる。  
と、ぽんと少年の頭に暖かな手が置かれた。  
「お互い気持ちよくなれれば、それはそれでいいじゃない。  
 アタシらシュレディンガーの一族に、常識なんてまったく無力のものよ」  
その手の感触に、ずっと昔からの姉との触れ合いを思い出して、アルフレッドの顔は自然と綻んでいく。  
すると、これも自然に身体が動いて、首筋に顔を埋めたままマヤの身体を抱きしめていた。そして、そっと呟く。  
「自覚はしてないけど、僕もシュレディンガーの一族だったから、そうなのかも……ね。  
 ……でもね、姉さん。それは誇って言うことじゃ無いよ、絶対に」  
姉弟は揃って苦笑を浮かべた。  
 
ひとまず両腕、両肩の汗の舐め取りは終わって、更に背中も舐めていく。  
そこまでは順調に来ていた――が、その次でアルフレッドは固まってしまった。  
腕も背中も終わったのなら、上半身では残る部分は前。腹部と、そして二つの大きな膨らみ。  
「ほらほら止まってないで。もう遠慮することなんてないじゃない」  
「そ、そうだけど――さあ」  
一度息を呑んでから、少年は目標の上方に目を向けた。  
――すらりとした上半身から、飛び出るように二つの乳房が自己主張をしている。  
大きさもかなりのものなのに、重力をまるで意に介さない勢いでわずかに上を向きながらぷるんと震えているのだ。  
自他共に認める、まさに宝石の如き完璧なスタイル――これもまた、アルフレッドの姉たるマヤ・シュレディンガー、その偉大さの一つだろう。  
それに加えて、今のマヤの状態を思うと違和感も湧いてくる。何しろ、素の状態――地味な文学少女なのだから。  
この眼鏡ばかりが目立つ地味めの顔と、あまりにアンバランスな豪奢なる肉体。  
普段の、何もかもが派手で艶やかな姿に比べると、その落差がより本能へと訴えかけてくる気がする。  
「ちょ、ちょっと乱暴になっちゃうかもしれないから」  
「いいわよ、ちょっとくらいならね」  
慌てて出したその声に、マヤは余裕たっぷりで答えた。弟の戸惑いを見抜いての余裕であろうか。  
軽い敗北感を味わいながら、アルフレッドはまず右乳房の脇に舌をつける。  
そして、乳房の周りを、円周を描くように舐めていき――  
「ん……はぁ」  
ゆっくりと外周を埋めたところで、抑えきれずに乳房にしゃぶりついた。  
こうして口に含むのは初めてではないのに、なぜだか今までになく欲求が高まってきている。  
「……姉さん、僕……」  
姉を呼んではみたものの、返事が返ってくると期待していた訳でもなく。  
むしろこの言葉は、自らが決心するためのものだったのだろう、アルフレッドは強く乳房を吸った。  
「ふあんッ!」  
マヤの嬌声が耳に響く。  
それをBGMにして、強く、無心に姉の乳房を、そして乳首を吸い上げる。  
軽く歯など立ててみると、赤い突起は弾み、ぴくぴくと大きくなっていく。  
 
それはマヤもまた興奮していることの表れで、アルフレッドはますます呼吸を荒くして姉にむしゃぶりつく。  
夢中になって甘く噛み、引っ張るようにして乳首を吸うと、そこは熱を持って反応を返してくる。  
「やんッ、あッ……う、ふうんッ……」  
更には、舌先でぺろぺろと乳首の先を舐めてみたりもする。  
とにかく飽きることなく姉の胸を味わう少年だが、やがてその行為はその姉の手で制止させられた。  
乳房から引き離されて、アルフレッドは少しだけ不満そうな目を向ける。  
「ふう……あのねえ。その気持ちは分かるけど、今はこの身体の全部を舐める約束でしょうが」  
「あ……そ、そうだったっけ」  
「そうだったっけ、じゃないわよ。左の方も残ってるし、それに下の方だってちっとも手付かずじゃないの」  
「う、うん。その、忘れてて」  
「仕方ないわねぇ。……じゃあ、舐めてくれたらもっと凄いことしてあげるから。だからそっちは早くして」  
「す、凄いこと……って」  
その答えは、不敵な笑みでかき消されてしまった。  
それでも期待感は高まるから、少年はすぐに姉の身体の洗浄を再開した。  
左の乳房もまた、柔らかくかつ弾力のある魅力的なものだったが――先ほどの言葉もある。  
そちらは、あくまで優しく全体を舐めるだけで止めにした。  
「く、ふぁッ」  
ただ、敏感な乳房の辺りを舐めた時は、マヤもぴくんと反応していたようだが。  
 
腰から下へと向かう時、ひとまず足の間でひっそりと汗以外のもので湿っている部分は後回しにした。  
「あら、アル。そこから舐めてくれてもいいのよ?」  
「ここ舐めちゃうと、僕も……今度は姉さんも、夢中になっちゃうかもって……」  
「……それは、まあ、そうかもね」  
納得すると、マヤは足を舐めやすいようにと前に投げ出す。  
「足の指なんかは別に舐めなくてもいいからね。アルにそんなことさせるのも忍びないから」  
「……ん」  
軽く頷いて、しなやかな太ももを舐めていくアルフレッド。  
ここもまた、筋肉ばかりでない美しさで見る者、触れる者を驚かせる輝きを放っている。  
荒野を駆け回っているというのに、なまじの町娘などより遥かに瑞々しいのは脅威と言う他はない。  
そんな脚を自由に出来ることを幸福に思いながら、少年は少しずつ下へと進んで行き――  
一番下の、足の甲に来て一度止まる。  
 
「じゃ、次は左足お願いね」  
そこまでで十分だと姉は言う。けれど、アルフレッドは。  
「でも、せっかくだから」  
「へ?」  
ほとんど躊躇いもなく、彼女の足の指を――口に含んだ。  
「ちょ、アルッ。そこはやらなくてッ……き、汚いわよッ」  
珍しく、マヤの戸惑った声がする。  
(それが狙いだった、って言ったら怒られるかな……)  
半ば確信しながらも、アルフレッドは丹念に足指を舐め、しゃぶる。  
自分でも変態的なことをしている、と自覚はしているのだが――まあ、壊れているのは最初からだ。  
でなければ、実の姉などに欲情するはずはない。  
(って、僕。……わりと吹っ切れちゃってる?)  
意識はしていなかった。けれど、多分――そうなのかもしれない。  
引き金は先ほどのマヤの言葉だっただろうか。それとも――まあ、どちらでもいい。  
今は、ただこの美しい姉の足指を舐めて、困った顔をさせてやることに集中するだけだ。  
「だ、だから汚いんだから、そこはやらなくてッ……ひぅ、くすぐったッ……」  
弟の思いを知ってか知らずか、マヤは身悶えして耐えていた。  
 
結局、両方の足指の、すみずみまでもアルフレッドに舐め尽くされてしまった。  
これで完全に身体中、全ての場所を舐めて綺麗にした訳である。  
「もう……悪い子なんだから」  
「ね、姉さんが綺麗にしろって言ったから」  
眼鏡の奥から軽く睨むと、マヤはすっと身を起こした。  
「こんな子には、お仕置きしなきゃいけないわね」  
「お、お仕置き?」  
「……さっき言ってたもっと凄いこと、も兼ねてね。ちょっとアンタも立ちなさい」  
「え、え?」  
促されるままに立ち上がる。  
「そしたら脱ぐの。下半身も全部よ」  
「う……ん」  
そういえば、マヤの方は最初に脱いでいたものの、アルフレッドはまだ服を着たままである。  
姉の視線を気にしながら、妙に手早く脱いでいく―ーと、すっかり硬くなったペニスが外気に晒された。  
「こ、これでいい?」  
「ええ、満点ね。じゃ、動くんじゃないわよ……」  
ベッドの上を這うようにして近づき、弟に密着するくらいになると、マヤは、  
「こうしてあげるのは、初めてだったわよね?」  
自らの乳房を持ち上げて、その大きな膨らみでアルフレッドのものを――挟んだ。  
「あ……え、姉さんッ!?」  
「ふふふ……たっぷり苦しめてあげるわ」  
そうして、挟んだままで胸を両手で動かし始めた。  
「あ、うわッ……ね、姉さん、これッ……!」  
柔らかな肉の塊に包まれて、ペニスがびくびくと脈打っている。  
膣内に挿れるのとは、まったく違った異質の快感――むにむにとした厚い感触が、全身に響いてくる。  
「はぁッ……ほら、気持ちいいでしょ、アル……んッ」  
自分で揉んでいるマヤもまた、熱いペニスを包むことで快感を得ているらしい。  
 
「姉さん、これッ……す、すごすぎるよッ」  
「分かるわよ……アンタ、もう暴れすぎ。びくびくって、こんなに硬くなっちゃって」  
アルフレッドのペニスは膨張して、乳房の間から顔を出す程に大きくなってしまっている。  
取りも直さず、それは敏感になっているということの証でもあるから――マヤは、胸の肉で弟を慰める。  
「アルもちょっと動いてみて」  
言われた通りに、少しだけアルフレッドは腰を動かす。  
それにより、胸の間を僅かに上下動をする――と、高まった圧力が刺激となって伝わってきた。  
「なんか、心臓を犯されてるみたい……ふふ、ん……」  
「そ、そだね……っく、うぅッ」  
鈴口から先走りの液が漏れてきて、すべりがわずかに良くなった。  
上下動も勢いづいて、ずちゅ、ずちゅ、と音が漏れる。  
「くあ……あ、ねえさ、姉さんッ……!」  
「いい顔してるわよ、アル……こういうのはどう?」  
ペニスが胸の間から顔を出した、その瞬間に。  
マヤは――ぺろりと、亀頭を舐めた。  
「うわあッ!?」  
アルフレッドの全身が跳ねる。  
異質な刺激が加わることで、螺旋のように肉の快楽が身体を駆け巡る。  
「それはッ……駄目だよ、僕、すぐ出ちゃうッ」  
「遠慮なんてする必要ないのよ。いくらでも出しなさい、アタシが受け止めてあげる」  
ちろちろと舌を覗かせて、眼鏡の女性は誘惑の囁きを仕掛けてきた。  
それに抗することなど、アルフレッドの若い精神では不可能であり。  
「う……っく、僕ッ……!」  
夢中になって腰を動かすことになる。。  
その二つの快楽――左右から包み込む柔らかな肉が擦れて、たまらなく快感を生み――  
時折、鈴口をつつくように舐める舌の感触が、精巣から熱い液体を引きずり出すように響く。  
「どんどん硬くなってくるわよ……」  
甘い声が、一点を超えさせた。  
 
「ぼッ……僕、僕ぅッ!」  
「んッ!」  
びゅ、びゅる、びゅるッ!  
姉の胸に包まれて、アルフレッドのペニスは熱く弾けた。  
「あ……うあ……」  
一つ脈を打つごとに、白い液体は姉の顔目掛けて飛び散っていく。  
「ねえ……さん……」  
呆然としつつも、吐き出す精の勢いは止まらない。  
「ん、これ……アルのが、アタシの顔に……」  
勢いよく飛んだ精液は、マヤの顔に降り注ぎ――眼鏡の上にも、白く濁った液が溜まる。  
やがてその勢いも止まるが、痕跡はしっかりと姉の顔に残されていた。  
「ふう……うん。止まった?」  
「うん。……姉さん、これがお仕置きなの?」  
はぁはぁと荒い息をつくアルフレッドとは対照的に、マヤは少し顔をゆがめる。  
「そうよ。悪い子から搾り取るお仕置きね……でも、これじゃ前があんまり見えないのよねえ」  
汚れた眼鏡を外して、文学少女は瞳を凝らしてそれを眺める。  
「無残なことになっちゃったわね。これ、レンズが使えなくなってたりしないかしら?」  
「あ……姉さん?」  
「ほら、見てみなさいな」  
弟に、その汚れた眼鏡をつきつけてみる。  
「あ、ご、ごめんなさい」  
白いものでべっとりと汚れて、これでは前もろくに見えない程だ。  
逆に言えば、そんなにかかるほどに精液が出たのだからアルフレッドの精力もなかなかのものなのだろう。  
「後でしっかり洗わなきゃ。でもとりあえず、今はこれかけないと何も見えないから……」  
もう一度、その眼鏡をかける。白いもので汚れた眼鏡は、マヤの美貌に不思議にフィットする。  
どこか、淫靡な美しさ――これまでの地味な印象が、そんな方向へと。  
「んー、やっぱ視界が悪いわ」  
「じゃあ……姉さん。この次は、僕がやってあげるよ」  
「……へえ?」  
思いもかけないアルフレッドの頼りになる言葉に、姉はにんまりと微笑んだ。  
 
さてお手並み拝見、とばかりにマヤは弟の挙動を眺めようとしたが、意外に早くアルフレッドは動いた。  
探るようにして右手を動かし、姉の秘所へと指を差し込む。  
「あ、やっぱり」  
そこには、確かにしっとりと湿った感触があった。  
弟のペニスを自らの胸で嬲りながら、彼女自身も興奮を高めていたのだろう。  
「確認しないッ」  
軽く怒られて、身を少し縮めてから、アルフレッドはつぷ、と指をその中へと入れてみる。  
まだ完全に湿っている訳ではなく、多少の抵抗を受けながらも奥を目指す。  
「……続けてもいい?」  
途中で姉の顔をうかがってみると。  
「構わないわよ。というよりもうアルに任せてあげるから。  
 痛かったり、気持ち悪かったりしなければ何やっても許したげる」  
随分と寛大なお墨付きが与えられた。  
「な、なら、がんばる」  
深く息を吸ってから、アルフレッドは指を動かす。  
くにくにとした感触をその先で受けていると、少しずつマヤの体液が量を増してくる。  
「ん、あ……そう、いいわよ……」  
熱を帯びたその声を聞くたびに、少年の鼓動も、そして下半身に流れ込む血流も高まっているようだ。  
そのせいで、ついつい膣口に突き刺した指の動きも大きくなって、力強く突き立てることになる。  
「あッ、ひぅんッ……! ん、そこッ……そこ、いいわッ」  
「ここ、だね……」  
ある一点を突いた時に、マヤは一瞬背を反らして悶えた。  
その反応がアルフレッドに自信を呼び、少年はもう一本指を増やしてみる。  
「ふぁッ! あ……アルぅ」  
指先で感じる姉の膣肉は、きゅうきゅうと締め付けて離そうとしない。  
言葉だけではなく、確かな事実として感じられる――  
それが姉弟の絆のように思えて、アルフレッドもマヤも尋常でない感情の昂ぶりを得ていく。  
 
「姉さんのなか、凄くきついよ……」  
突き刺している指が、姉の中に吸い込まれそうに感じるほどだ。  
それでも、その中をかき回すように動かすと、溢れるまでに蜜が零れて、動きを助けてくれるのだが。  
「そ、そう? アタシも興奮してるのかしらね……ん、くぅッ」  
「姉さんも、興奮してるんだ……」  
はぁはぁと息を荒げながら、マヤは優しい微笑みを浮かべた。  
「ん、そりゃあ、ね。可愛い弟に、こんなことされたら……んッ! ……このアタシでさえ我慢なんて出来ないのよ」  
感じる場所を突かれながら、そんなことを言う姉に――弟の理性も限界を迎える。  
「……姉さんッ」  
たまらず、アルフレッドは姉の乳房にむしゃぶりついた。  
右の乳首を、勢いよくすいたてる。  
「んぁあッ!」  
不意の刺激にマヤも驚いたらしく、また膣肉がきゅっと締まって指を捉えた。  
(姉さん、姉さんッ……)  
頭の中にも、ただそれだけを浮かべながら。  
アルフレッドは指を動かして、更には乳首を吸い――いや。  
軽く歯を立てて、噛むようにしてみる。  
「え……? ひッ……あ、うぁあッ!?」  
「ん……」  
その途端、ぴくぴくとマヤの身体が痙攣する。  
慌てて口を離すと、アルフレッドはおずおずとして姉を見つめた。  
「あ、ごめんなさい。痛かった?」  
「い……いや、そうじゃなくって……凄かったの」  
「そ、そうなの?」  
「ええ。痛いはずなのに、何故か……ね」  
ごくんと、少年は息と唾液を飲み込んだ。  
 
「だったら、ちょっと試してみていいかな。……いや、いいんだよね」  
「ええ。今日はみんな、アルの好きなようにしていいのよ」  
そう言われれば、もう躊躇う理由は何も無い。  
もう一度姉の乳首にかぶりつくと、今度は遠慮なく――噛んだ。  
「くぁぁッ!」  
また、ぴくぴくとマヤの身体が痙攣する。  
その表情は、やはり恍惚としたもので――  
「……痛くないんだね。気持ちいいんだよね、姉さん」  
「そ、そう……そうなのッ……はぁ、アル……」  
それならば。  
「ふぁ……あ……」  
一度、噛み千切るほどに強く――  
「ひッ……」  
強く、姉の乳首を噛む。  
「うあ……あああああッ!」  
瞬間、指を差している秘所から愛液が溢れ出た。  
歯型が残るくらいの強さだったというのに、この反応は。  
「ん……あ、あ……」  
まだ呆然とした様子で、マヤはただ呼吸を繰り返している。  
「……まさか、姉さん」  
その反応を見て、アルフレッドには僅かな疑問が芽生えた。  
いつもの姉なら、こんな乱暴なやり方をしたら怒られる――以前に、やらせてもくれないだろう。  
しかし、今の『素』の姉は、ひょっとして――  
「もう一つ、試してみていいかな……」  
「え、何……?」  
今度は、今しがた愛液をほとばしらせた場所に顔を近づける。  
 
もう一本指を挿れて、秘肉を嬲る指は三本に増えた。  
更に、その少し上でぷっくりと膨らんでいる場所――クリトリスを、アルフレッドは口に含む。  
「ふぅッ」  
それだけでも、マヤへの刺激はなかなかのものらしい。  
勿論アルフレッドは満足せずに、思い切り指を動かして膣内を蹂躙し、  
「うああああッ……あ、アル、激しッ……!」  
そして口の中のものを、かぷ、と小さく噛んでみる。  
「んふぁッ!?」  
びくッ、と大きくマヤが跳ねた。  
(やっぱり……)  
心の中でこくんと頷きつつ、今度はもっと強く噛む。  
「あ、や、ッ……アル、そこは刺激がッ……あ、くぁッ!」  
指で嬲り続けている姉の膣内も、激しく収縮して反応を返してくる。  
痛い程に噛みながら、姉の胎内を弄ぶ快感に、アルフレッドは夢中になっていった。  
「あぅ……あ、アル、アタシ、もッ……ちょ、緩めてッ……や、ひぁッ、あッ」  
(間違いないよ。今の姉さんッ……!)  
そうして、一つの確信とともにぐいっと指を突き上げた時に。  
「アルッ……あ、アタシ、もう……んああああッ!」  
眼鏡が動きに耐え切れず、枕元に落ちて――  
マヤは、弟に液を浴びせながら達していた。  
 
その呼吸が収まるのを見計らって、そっと声をかける。  
「……姉さん、今は虐められる方が感じるでしょ」  
「な、何言ってるのよ、アル」  
ふう、と息を吐きながら、マヤは眼鏡を手探りで戻した。  
「だって、あんな風に噛んだり、痛くした方が気持ちいいだなんて」  
「う……そ、そりゃあそうだけど。たまたまよ」  
「ううん、きっと『素』の姉さんはこうなんだよ」  
「そ、そんなの……」  
少し弱気になる姉に、アルフレッドはとびっきりの笑顔を向ける。  
「姉さんはいつも強いんだから、少しは弱いところも見せてくれていいと思うんだ。  
 ……それが、僕にだけなら凄く嬉しいしね」  
「……アル」  
言葉を聞いて、マヤは軽く頷くと――  
身を起こして、四つんばいとなって弟に背中を向ける。  
「姉さん……それは」  
「アタシの弱いところ。多分他の誰にも、こんなところは見せないから……  
 アル。喜びなさいよ、この幸運を」  
振り返りながらそう言う姉の姿が、アルフレッドの欲望を激しく燃え上がらせていく。  
「……だから、激しく、ね。お願いするわ――」  
「ねえ……さん……」  
そうして、誘われるままにアルフレッドは近づいていき。  
自らの、欲望に滾った熱いペニスを手にとって、姉の膣口に軽く当てると――  
「……い、くよッ……!」  
「ん……ッ!」  
ずちゅッ……!  
少しの狂いもなく。姉弟は、確実に深くつながりあった。  
 
「んあぁッ」  
案外と呆気なく、アルフレッドのものはマヤの膣肉を割って、奥へと入っていく。  
溢れてくる愛液の助けもあるのだろうが、このスムーズさはそういう次元のものでもないようだ。  
「入っちゃった……」  
そうして暖かい姉の秘肉に包まれて、少年はわずかにぼんやりとしながらそう呟く。  
中に入っているだけでも、蠕動と収縮を繰り返してざらざらとしたものがペニスを嬲る。  
慣れないうちはこれだけでも出してしまったものだったが、ある程度の経験を積んだ今のアルフレッドならばなんとか耐えられる。  
「う、動くよ」  
じっとしているだけでも気持ちよくなれたが、それではマヤを悦ばせることは出来ない。  
そのことに気づいて、少年はそっと姉の腰に手をあてると、ひとまず一番奥まで突き入れた。  
「ん、来て……ふぁッ」  
くち、と奥の奥――子宮口を突いた感触がある。  
その反動でか、膣肉はまた一際激しく締め付けてきた。  
「ッく、凄い……けど、まだッ」  
弱音を吐きそうになっても、どうにか振り切る。  
今度は腰をしっかりと掴むと、アルフレッドは前後動をし始めた。  
ぐちゅ、ぐちゅ、と音をさせて、姉の中を存分に犯そうとする。  
「んぁ、アル……そこ、上の方……擦ってみて……」  
「う……うんッ」  
まだマヤの言葉には余裕が見える。  
一度動きを止めて、息をしっかりと吸うと――アルフレッドは、若干上向きに突き入れた。  
「うあッ! ん、そこよ、アルッ」  
「ここ……だね、姉さん」  
その場所を重点的に抉るように、腰の動きを少しずつ補正しながら、アルフレッドはまた突き刺す。  
激しくすると言ったのだから、体力が尽きるまで姉を愉しませたいのだ。  
「アル、今日は……すっごくいいわ、んッ……!」  
喘ぐ口から少しの涎まで垂らして、マヤは背後の弟にそう応えた。  
 
アルフレッドのペニスは、取り立てて大きかったり小さかったりするものではない。  
多分、この年齢、体格としては平均的な大きさで、少なくともそのことで誇れたりはしないだろう。  
「んんッ……ぃ、いいわッ……あ、アルぅッ……!」  
それなのに、こうしてマヤがその突きいれを受けると、無闇に感じてしまうのだ。  
他の男のものを受け入れたことは無いから、これが特別なものだとはっきり分かる訳ではない――が。  
「ふぅッ……はぁ、あッ……」  
それでも、この快感は、きっとアルフレッドでなくては得られない。  
その確信が、マヤにはあった。  
「あう、っくッ……あ……ん……」  
ぱん、ぱんと二人の肌が打ち付けあう音がする。  
弟は、確かに一生懸命になって『激しく』してくれているようだ。  
胎内で暴れるペニスは、今までになく硬く、熱く、そして激しく膣肉を擦る。  
体勢の都合上、顔を見ることは出来ないが――きっと、泣き出しそうに見える顔で頑張ってくれているのだろう。  
「あぁ……あ、アル……」  
ぽたぽたと、自らの秘所から液がシーツに零れ落ちているのが分かる。  
弟が、こうして自らの胎内に入って、必死になって動いているから、そうなるのだ。  
だから、マヤも自分に出来る限り、ペニスを締め付けて歓迎しようと躍起になった。  
 
そうして姉弟は、お互いの陰毛が擦れて、愛液や先走りを交換するたびに――  
相手を思いやって、より快感を高めようと努力する。  
その相乗効果もあって、昂ぶりは抑えきれなくなっていく――  
 
――不意に、アルフレッドは動きを止めた。  
まだ繋がったままではあるが、中途で息をついている。  
「ん……? どうしたの、アル?」  
不思議そうに、マヤは後ろを振り返った。  
息は荒いままで、すぐ直前までの激しい交わりを証明している  
「僕、すぐ出ちゃいそうで……」  
「いいわよ、いくらでも出して」  
「……い、いや。そしたら、姉さんが気持ちよくなれないでしょ」  
「そんなこともないんだけど」  
とにかく。  
「だから、ちょっと姿勢を変えるね」  
「そう?」  
アルフレッドは、ゆっくりと身体を前のめりにしていって――  
姉の背中に覆いかぶさるように、その姿勢を変えた。  
腰を掴んでいた手も前に移り、それは揺れる乳房を掴む。  
「ん……そういうワケね、アル」  
そのまま、ゆっくりと揉み始めた。  
先ほど、弟のペニスを包んで嬲った柔らかい膨らみが、今はその手の中でむにむにと揺れている。  
「激しくは出来ないけど、これで……行くよ、姉さん」  
「ええ、頼むわ……」  
くっちゅ、くっちゅ……  
激しさは弱まったが、今度は繋がりが深くなって奥を抉っていく。  
 
「はぁ……あ……」  
子宮口を突き、執拗に奥を責める。  
「この手触り……凄いよ、姉さん……」  
同時に、乳首の先を摘み、引っ張るようにして弄ってみる。  
「あぅ……あ、ぅああ……」  
たまらない呻きを漏らしながら、マヤも弟に応えて腰を動かす。  
その動きは完全にシンクロして、純粋にお互いが快楽を味わう為のものとなるようだ。  
「姉さん、姉さんッ」  
ただ愛しいその言葉だけを呼びながら、アルフレッドは――姉の耳に、唇を這わせた。  
「んッ」  
ぴくりと反応するマヤを見て、更にその耳を甘く噛む。  
まだ少し熱っぽいが、なんとも言えない柔らかさのものだ。  
「姉さんの身体、どこを触っても気持ちいいよ」  
「ふふ……ん、んッ……」  
ゆっくりとした動きだが、奥を擦ることが多いので響くような快感がある。  
マヤはそれに酔いしれていると、不意に胸を揉むアルフレッドの手が力強さを増した。  
ぐにぐにと、手の中で溢れるほどに形を変えるその乳房は、それでも弾力を失わない。  
「そこ、奥ッ……奥がいいの、アルッ」  
そして、弟は応えるようにペニスを突き刺し、たまらない吐息を漏らす。  
「僕も、そこが……姉さん、凄くきつくって……!」  
快感と、何より二人が繋がっているという確かな証が、この瞬間を最高のものにするのだ。  
くちゅ、くちゅ、ぐちゅッ――交わりは、部屋中に鳴り響く。  
この一瞬の快楽が、永遠になればいいと姉弟は肉を交し、相手の身体を味わおうと舞い続ける。  
――けれど、そうすればするほどに快感は高まって、終わりを招きよせて――  
「……僕ッ」  
膣奥で弟のペニスがぴくぴくと震え始めた。  
胎内で感じ取ったマヤは、自らも限界が近いと悟り、  
「ん、出しなさい、アル……アタシの中に、好きなだけ注ぐのッ!」  
びゅくッ、びゅ、びゅるるるッ!  
 
二度目の射精が、今度はマヤの身体の中へと放たれる。  
一度目は顔にかけられて、今度は膣奥――子宮口から、胎内へと流れ込むのだ。  
「はぁ……あ、やだ、出てる……」  
弟にぎゅっと胸をつかまれたまま、マヤの口からは掠れた声が零れた。  
自らのもっとも奥で、侵入した異物から命の液体が注ぎ込まれている。  
その量、粘度ともに二度目の方が多く、しっかりと植えつけるかのような勢いだ。  
「ん……姉さんッ……」  
無我夢中のまま、アルフレッドは精を吐き出す。  
愛しい姉の胎内を、自らの色だけで塗りつぶすように。  
「あは、アルのでいっぱいね、アタシ……」  
軽く笑うと、マヤはぐったりとしてベッドに身を預けた。  
それとほとんど同時に、アルフレッドも全身から力を抜いて姉の上にもたれかかる。  
 
ペニスを抜こうとすると、僅かな抵抗があってスムーズには抜けない。  
入れようとすると素直に従って、抜こうとすると抵抗する――まるで、アルフレッドのものをずっと留めておこうとするかのように。  
そのせいで少しは困惑したものの、軽く力を入れれば零れる精液とともにペニスは抜け出た。  
「ふぅッ」  
瞬間、マヤは喘ぎ声を出す。達した直後で敏感になっていたから、その程度でも快感を受けるのだろう。  
そんな姉に何か声をかけようと思ったアルフレッドだったが、  
「ねえさ……」  
今は何も言うべきではない気がして、ただ彼女の横に並ぶようにして寝転んだ。  
すると、マヤがその手を回して抱き締めてくる。  
「……ん」  
アルフレッドも腕を回し、二人がともに抱き合う。  
更に、どちらからともなく顔を近づけて――軽く、キスを交わした。  
 
「それにしても、今日は濃かったわねえ」  
しばらくは何も言わずに横になっていたものの、マヤがふと口を開く。  
「濃かったって、何が?」  
「精液。今もお腹の中に溜まってるみたい。こんなに濃いのは久しぶり――」  
そこで、少し言葉に詰まる。  
「そんなに濃かったかなぁ」  
「……粘り気もあって。こんなの出されちゃったから、アタシ妊娠しちゃったかもしれないわね」  
「……へ?」  
アルフレッドの口がぽかんと開いた。  
「一応、今日は安全な日なんだけど、だからって確実に大丈夫って訳じゃないし……  
 それに、アルったらホント奥の奥で出したからねぇ。精子って何日も生きてるらしいから、案外……」  
「……ねねねねね姉さんッ」  
一気に、少年の紅かった顔が真っ青に染まる。  
「そ、それっていくらなんでもマズいよッ!」  
「かもね」  
「ぼ、僕……と、とんでもないことッ……」  
「ああ、でも、別にいいわよ。前にも言ったはずだけど、アタシとアルの子供なら……」  
「で、でもッ!」  
思い切り狼狽している弟に、マヤはニヤリと笑ってみせる。  
「ま、気にしない気にしない。大したことじゃないんだから。  
 どうせ今までも何回も中でやっちゃったでしょ? 今更後悔しても遅いわ」  
「あう……」  
すっかり言葉に詰まってしまう。  
 
「そんなことより、アタシ病み上がりなんだから。  
 舐めて綺麗にしてもらうはずが、かえって汚れちゃったのよ?  
 こっちの方が大問題じゃない、ねえ?」  
まだ呆然としているアルフレッドに、マヤは笑いながらそう言う。  
「……じゃ、じゃあ、とりあえずタオルでも」  
「アンタも汚れてるでしょ。……いいから、一緒にシャワーでも浴びてきましょ」  
「それは……」  
むくりと、マヤは上半身を起こす。そして、上から弟を見つめた。  
「……じゃ、行くわよ、アル」  
「……うん」  
眼鏡をかけた姉も、相変わらず美しい。  
その全体に白いものが飛び散っていて汚れているが、かえってそれは美しさを引き立てている。  
胎内に埋め込んだ白い粘液も、同じように姉を美しくしているのなら――  
「……まあ、いいのかなぁ。こんなでも」  
なんだか悟ってきてしまうアルフレッドであった。  
 
 
なお、その翌日にはマヤの風邪は全快していた。  
「適度に汗かいたのがよかったのかもねー」  
などと本人は言っていたが、あまり信憑性はない。  
そして、アルフレッドは――  
「……良かった。姉さんが元気になって」  
諸問題はさておき、いつもの通りに姉思いなことである。  
ついでに、  
「これで、毎日でもアルと出来ちゃうわね」  
「……僕の方の体力がもたないよ」  
というやりとりがあったのは――案外と、全てが上手く行っていることの証なのかもしれない。  
 

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