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アーデルハイドに夕闇が訪れ、薄暗いその空間に吐息が交じり合う
髪を優しく撫でるその手のぬくもり、それが夢でない事を確かめようと、セシリアは顔を上げた
そこには優しく微笑む愛しい人の顔がある、二人の視線が交じり合い、そして口づける
そっと触れるだけの優しいキス。
「すっかり日が落ちてしまいましたね」
照れ隠しに呟く
ロディが『そうだね』と無言で微笑み、ベットから立ち上がり部屋のランプに明かりを灯す。
その少しの間、側に彼がいない事に苛立ちを覚えた事に、
自分はこんなにもロディの事が好きだったのかと再認識する
そして遂に果たしてしまった告白を、その後の自分の大胆な行動を思い出し一人赤面する
(そう言えば、まだロディの口から好きだという言葉は聞いてないのよね…)
それと同時に本当にロディは自分の事だけが好きなのだろうかと疑念も湧いてくる。
その時、『…セシリア…!』ロディの驚きと心配の混じった表情に気付いた
その視線の先からはシーツに紅く血が広がっている
「あ…大丈夫ですから、何ともありませんから!心配しないで下さい!」
心配を掛けまいと、そう言いながら勢い良く立ち上がろうとした、その拍子にふらついてしまいロディに抱きかかえられる
「その、私、昔から出血が激しい性質なんです、ああ、ロディは知ってますよね!」
確かにそうではあるのだが余りの取り乱し様にロディは思わず笑ってしまう
「ちょ、心配するか笑うかどちらかにして下さいッ!」
そう言いながらもセシリアもつられて笑う。
その様子を見てホッとしたロディがゆっくりとセシリアを立たせてやる
「大丈夫みたいだね」
「ええ」
ロディから離れるのが少し残念ではあったけれども心配は掛けたくない
痛くないわけではないが、今のセシリアにそれは全く苦にならなかった
薄明るいランプの灯火の中、二人だけでいる、夜の静寂が二人を包み込む………
「汗、いっぱいかいてますね」
セシリアが突然沈黙を破った
「お風呂に入らないと・・・}
そこまで言って、言葉を詰まらせる
「あ、あの…ッ」
もじもじするだけのセシリアに代わってロディが尋ねた
「一緒に入ってもいいかな?」
顔を赤くさせセシリアが頷く
『じゃあ、行こうか』
無言の合図にいわゆるお姫様抱っこの状態にひょいっと抱え上げられ更に顔を紅くする、それでも
「あの、ちゃんとタオル持って下さいね、ロディ風引くといけないから…」
愛しい人の体を気遣う事は忘れなかった。