世間では6歳なんて、いや、それこそ10歳以上離れた相手が意中の相手であったり、  
伴侶であったりすることなどざらだろう。  
ラクウェル自身もそういった人達のことを別段おかしいとは思わない。  
 
そういった点でも彼女が6才下の少年に恋心を抱いても問題ないはずだ。  
 
だがその考えとは裏腹に、彼女は  
自分が彼に抱いている感情は恋愛感情では無いと必死に言い聞かせている。  
 
彼は私を仲間とか、姉のような存在としか見ていない。  
そして、私のこれは、ただ自分の弟を大事に思うような、そんな感情だ。  
それを恋などと勘違いしているに過ぎない。  
 
私は、只彼を見守る存在であればいい。  
自分が抑圧している少年への気持ちは時間がその内解決してくれると。  
割り切れない気持ちを抱えていることに気づきながらも、そう思い込む。  
思い込もうとする。  
それは彼女の願望のようでもあり、諦めのようでもあった。  
 
「…で、今日も例の話か?」  
「う、うん…。」  
時計の針が夜の十時を回ったかという頃、ラクウェルの部屋にジュードが尋ねてきた。  
ジュードら一行が旅を共にすることになって久しいが、最近になってジュードがラクウェルに  
ある相談を持ちかけると、いう光景がよく見られるようになった。  
その相談とは…  
「…しかし、いくら恋愛の経験が無いからと言って私に聞くのはどうかと思うがな…  
それに、私とユウリィなんて性格で言えば対極に位置するだろう」  
そう言いながらジュードを部屋に入れる。  
彼らは懐に余裕があるときには部屋は別々に取るようにしている。  
まだ幼いとはいえ、夜遅くに異性である彼を部屋に入れることには多少抵抗を感じていたが  
もはやそれも慣れたものであった。  
「…でも、僕こういう事ほんと初めてだから…女の子ってどんな風に接してもらったら嬉しいのか、とか  
全然分からないし…ラクウェルは女の子だから、ユウリィの気持ちとかわかるだろ?本人に聞くわけにはいかないしさ…。」  
その相談とは、要するに恋煩いである。  
旅を続けるうち、次第にジュードはユウリィを異性として意識するようになった。  
この手の事に免疫がないとはいえ、ジュードがそれが彼女に対する好意ということに気がつくには  
そう時間はかからなかった。  
そこで、女の子に関して知識が疎い彼がラクウェルに相談を持ちかけるようになったのだ。  
ラクウェルにとってジュードに頼ってもらえる、ということは悪い気はしない。  
むしろ、彼が自分を頼ってくれることは喜ばしいことだったのだが、事この件に関しては  
話は別だった。  
今はその気持ちを何とか抑えてはいるが、この旅を通じてジュードがユウリィを意識するようになったように、  
同じく彼女もジュードを意識しているのだ。  
自分以外の相手に気持ちが向けられているという事実を吐き付けられるという事は  
非常に辛いものがあった。  
 
(………いや。これでいいんだ。ユウリィとジュードなら年齢的にも何ら問題は無い。  
ジュードにとって、私は只の仲間にすぎない・・・)  
「……ラクウェル?」  
気がつくと彼女のすぐ目の前に、心配そうにこちらの顔を覗きんこんで来るジュードの顔があった。  
仄かに頬を赤らめながらラクウェルは顔を離す。  
「…っ、済まない…。少々ぼんやりしていた。……っと……何の話だった?」  
「ラクウェルは、今までに誰か好きになったりしたことはないの、って話」  
「………−−−−−」  
言葉に詰まる。  
「……ああ、私は、こんな性格だからな…。今まで恋なんてしたことは、ないな……。」  
正確に言えば、それは嘘だ。  
今までは、確かにそのようなことは一度もなかった。  
だが、しかし。  
それは彼と−−−…ジュードと会うまでの話だ。  
今は−−−…  
 
「そうなんだ…。ラクウェル美人だから、誰かと付き合ったりしたことあると思ってた。」  
(美人…)  
ラクウェルの頬が赤く染まる。  
−………まったく、コイツは恥ずかしい事を、ことも無げに言ってくる……。  
「っ…私の事なんてどうでもいいだろう!それより今はお前の話だ!」  
「あ…え、ごめん。そうだったね。」  
「・・・で、お前はどうしたいと思ってるんだ?いつまでも私と相談している、というつもりではないんだろう。」  
−−−−……出来ることならばそうであって欲しかった。  
例え自分に彼の気持ちが向けられていないとしても、こうやって二人きりの時間がすごすことが出来れば。  
だが…  
「ん、あのさ……実は僕…明日、ユウリィに…告白しようかな、って考えてるんだ。」  
 
(え……?)  
 
予期せぬジュードの言葉に、ラクウェルは一瞬頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。  
徐々に鼓動が早くなっていくのを感じる。  
いつかこのときが来るということは分かってはいた。  
分かってはいたが……覚悟はできていなかった。  
「……それは、ユウリィにお前の思いを伝える、ということか?」  
「うん…。いつまでもこんな不安定な気持ちでいると、皆に迷惑掛けるかもしれないし…まずい、かな……?」  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  
止めたかった。  
だが彼女にはジュードを止めることは出来ない。  
止めたい理由はあってもそれを口に出す勇気が無い。  
「……いや、いいんじゃ、ないか?いつまでも相手に気持ちを伝えないのも、良くないだろう…」  
「……ありがと。ちょっと怖かったけど、ラクウェルのお陰で踏ん切りがついたよ。」  
「…………そうか。なら…今日はもう遅い。自分の部屋に帰って、早く寝ろ。」  
…時計の針は既に12時を回ろうとしている。そろそろ彼にはおいとましてもらわねばいけない。  
自分が平静を保てていられるうちに−−−−…。  
「あ、もうこんな時間か…じゃあ、僕そろそろ部屋に戻るよ。」  
「ん…」  
 
二人は椅子から腰を上げて入り口に向かう。  
部屋の外に出ようとしたところで、ジュードが語りかけてきた。  
「ラクウェルのとこに相談に来るのも、今日で最後かもね。」  
「っ…そうか。……お前ときたら、女性の部屋だと言うのに夜でもお構い無しに  
相談しにくるのだから………まったく、困ったものだったな…。」  
そう言いながら呆れたように苦笑を浮かべる。だが、そこに彼を責めるような様子は  
微塵も感じられなかった。  
確かに辛くはあったが、それでも彼と同じ時間を共有するということは  
間違いなく彼女にとって至福の時間だったのだ。  
 
しかし、それも今日で終わりを迎える。  
恐らく…ユウリィはジュードの気持ちを受け入れる。  
そうなれば、今までと全く同じ関係、というわけにはいかなくなるだろう。  
「…ごめん。僕、ラクウェルの都合とか全然考えてなかったね…」  
全くだ。人の気持ちも知らないで−−−………  
「…馬鹿。今更謝る奴があるか。私の事なんか……気にするな」  
−…お前はユウリィの事だけ考えていればいいんだ。ユウリィの事だけ思って…  
不意に、何かがこみ上げてくるのを感じた。  
まずい、と感じドアのノブに手を掛ける。  
「……それじゃ、明日は、頑張るんだぞ。」  
 
自分の表情を彼に悟られぬよう、俯きながら告げ扉を閉じようとする。  
それを見て訝しげな顔をするジュード。  
「………?ラクウェル?……どうしたの?」  
気がつけば−−−・・・彼女の頬を一滴の雫が伝っていた。  
「な、なんでもないっ……!さっさと部屋に戻れっ……!!」  
「だ、だって、ラクウェル、その、泣いてるんじゃ…………?」  
「っっ煩い!!!いいから行けっ………!!!行ってくれ!!!」  
叫びながらドアを閉め、鍵を掛ける。  
ドア越しにジュードの声が聞こえてくる。  
「………ごめん。僕、何かラクウェルの気に触るようなこと・・・」  
「違う……お前は何も悪くないんだ…。早く、自分の部屋に戻って寝ろ…っ。」  
「っ……………………。」  
暫くの間ドアごしに気配を感じたが、やがてジュードは  
遅々とした足取りで少し離れた自分の部屋へ戻っていった。  
バタン、とドアの閉まる音が聞こえる。  
 
その事を確認すると同時ラクウェルの瞳からは、涙がぽろぽろ溢れてきた。  
それを止めることもせず、そのままドアの前にへたりと腰を下ろすラクウェル。  
「っ………全く、私は何をしている……。あれでは、ジュードに不審に思われるだろうが……。」  
(そう言えば以前…ユウリィはジュードが初めて見た女の子、と言っていたな。  
もし、その時の相手が私だったら…今とは少しは違う感情を私に持ってくれたのだろうか…)  
「っ…私らしくもない。仮定の話で、ものを考えるなどと…………。」  
それでも、その仮定の話が現実の物であれば、どんなに良かっただろうとラクウェルは思わずにはいられなかった。  
 
−−−−−−翌日  
ラクウェルが目を覚ますと、そこはベッドではなくドアの前だった。  
「そうか。私は、あのまま眠ってしまったのか−−−−・・・。」  
−−−・・・目の周りが痛い。夕べは大分長いこと泣いていたのだろう。  
時計に目をやると針は既に午後の1時を回っていた。  
「……どうやら相当、寝坊してしまったようだな。まあ、いいか。今日は特に予定は−−−・・・」  
…あった。自分の予定ではないが、大きな予定が。  
(あいつは−−・・・もうユウリィの所にいったのだろうか。)  
そんなことを考えながら立ち上がろうとする。が、  
「っ・・・ん。」  
足がよろける。ラクウェルはそこで己の体の不調に気付いた。  
手を当ててみると、彼女の額は僅かに熱を帯びていた。  
(風邪でも引いてしまったか・・・?自業自得とはいえ・・・参ったな…。)  
「・・・仕方ない。とりあえず顔でも洗ってくるか。」  
重たい足取りで部屋の外に向かう。  
 
部屋を出て、ふと廊下を見渡すとジュードがユウリィの部屋の前に立っているのが見えた。  
ラクウェルの部屋とユウリィの部屋は離れた位置にあったので、ジュードのほうは  
まだラクウェルには気がついていない。  
(・・・私には関係の無いことだ。これはあの二人の問題なのだから・・・。)  
そう考えて、洗顔所に向かう。  
だが、ラクウェルは心なしか先程より足取りが重たくなっているのを感じていた。  
 
顔を洗うついでに、宿の主人に風邪薬を譲ってもらい自分の部屋に向かう。  
部屋に入る前に再びユウリィの部屋の前を見ると、先ほどと変わらずジュードはそこに立ったままでいた。  
(あいつ、まだあんなところで・・・)  
声を掛けようか、と思ったがやめた。  
 
正直彼と顔を合わせるのは、辛い。  
気がつかれぬ内に部屋に戻ったほうが自分の為だ。  
何より、熱の所為でまともに立っているのが辛い。  
(・・・部屋に戻ろう。これ以上うろうろしていると体に障る。)  
ドアを開き部屋に足を踏み入れる。それと同じくしてジュードがユウリィの扉をノックするのが見えた。  
思わず足が止まりそうになったが、ラクウェルは頭をぶんぶんと振ると部屋に入っていった。  
 
時刻が夜の9時をまわったかというところでラクウェルは目を覚ました。  
体を起こすと、頭に軽い痛みが走った。  
(痛・・・っ!!)  
額を押さえ、時計を見やる。  
(っ・・・9時か・・・・・・大分眠っていたみたいだな。)  
この時間では、皆夕食を済ませてしまっただろう。それに今更起きて食事を取りに行く気にもならなかった。  
再び体をベッドに倒すと、ふと、昼の光景が頭に浮かんできた。  
(あの二人は、どうなったんだろうか・・・。)  
 
そんなことを考えていると、コンコンとドアを叩く音がした。  
(・・・?誰だ・・・?)  
訝しげな顔をしてドアのほうを見やる。  
「・・・ラクウェル?・・・起きてる?ジュードだけど。」  
(ジュード・・・?)  
もう彼がここに来る理由は無いはずだ。あったとしても、もうあの件に関することではない。  
居留守を使おうかと思ったが、何処と無く元気の無いジュードの声が  
気になりラクウェルは返事を返した。  
 
「・・・起きている。・・・鍵なら開いていると思うから勝手に入れ。」  
ラクウェルがそう言うと、ゆっくりとドアが開きジュードが入ってきた。  
お互い無言のまま、ジュードは椅子に腰をかけた。  
 
暫しの沈黙の後、ジュードが口を開いた。  
「・・・ラクウェル、晩御飯食べにこなかったけど、どうかしたの・・・?。」  
「・・・少し気分が優れないだけだ・・・。そんなことより何か用事があってきたんじゃないのか?ジュード。」  
「うん・・・そうなんだけど・・・実は」  
「・・・・・・」  
「実はさ、僕。・・・結局告白できなかったんだ・・・」  
 
「・・・・・・・・・何?」  
−・・・何と言った?告白しなかった?  
「それは、どうして・・・?」  
「その、ユウリィにさ、好きって伝える前に誰か今好きな人とかいるのか、って聞いたんだ。そしたら・・・」  
「・・・・・・いると答えたのか?」  
無言で頷くジュード。  
「・・・・・・それは、お前のことなんじゃないのか・・・?」  
その可能性は十分にある。だが、ジュードは首を横に振った。  
「年上なのか、って聞いたら、そうだ、って・・・」  
「・・・。」  
何と言ってあげればいいのか分からなかった。  
胸が痛む。  
ジュードが辛そうな顔をしている、というのもあるが、  
彼女は心のどこかでジュードの告白が失敗に終わればいいと望んでいたから。  
(私は・・・)  
 
「あはは・・・しょうがないよね。僕みたいな子供、恋愛の対象として見てもらえるわけ無かったんだよね・・・。」  
平気そうに振舞っているが、その顔は今にも泣き出しそうだった。  
それを見て無性に腹が立ってきた。  
本当は物凄く辛いのに、必死に堪えているその姿が誰かに似ていて。  
「・・・お前は、ユウリィのことが好きなんだろう。なら・・・なら、ユウリィが他の誰かのことが好きでも  
告白するなりなんなりすれば良かっただろう・・・!!」  
「でも・・・無理だよ・・・。僕なんかじゃ・・・」  
頭に血が昇ってくる。  
馬鹿げている。目の前の少年もそうだが  
何よりこの期に及んで気持ちを抑えている自分も馬鹿げている。  
何を我慢する必要がある。  
どうせこの少年のユウリィへの思いは断たれてしまったのだ。  
ならば・・・何をしても構わないではないか。  
 
「・・・なら。ユウリィの事を諦めるのなら・・・。・・・私がお前をどうしようと文句は無いな?」  
ラクウェルはそういうとジュードの腕を引っ張りベッドの上に引きずり込んだ。  
 
突然の出来事に、目を見開くジュード。  
「いきなり、何を・・・んっ!?」  
抗議しようとするジュードの口を己の唇で塞ぎ、  
ラクウェルはジュードの舌に自分の舌を絡みつかせていく。  
「・・・ふぅっ…はぁ…ん…」  
「う・・・ん…んくっっ…」  
ラクウェルは尚も彼の口の中を蹂躙しながらジュードのズボンのファスナーを下ろすと、  
彼のモノを掴みその手で弄り始めた  
 
「ら、ラクウェル・・・?何を・・・や、めっ・・・!」  
ジュードは必死にもがくが、己の陰茎を女性に弄られているという恥ずかしさから  
思うように抵抗することができなかった。  
「・・・抵抗するわりには・・・しっかりと勃ってるじゃないか。お前のモノは。」  
 
 
 
「だって・・・ラクウェルが、こんなこと、するから・・・」  
ラクウェル自身も自分の行動が滅茶苦茶だと理解している。  
だが彼女は止まらない。  
−・・・コイツが悪いんだ。人の気も知らないで・・・  
もう止まれない。  
−・・・人の気持ちを知りもしないで・・・!!  
熱の所為で冷静な思考を失っていることもあるが、  
何より彼女が気持ちを抑えなければいけなかった理由がなくなってしまったことから  
彼女が今まで抑圧してきた想いが一気に溢れ出して来ていた。  
 
−・・・もうどうにでもなってしまえ。  
 
「ちょ、あ、あ・・・らくうぇ・・・も、やめ・・・な、何か、なんか出て、きちゃう、よお・・・!」  
懇願するように、制止の声を掛けるジュード。だが・・・−−  
幼い顔つきや唇、愛嬌のある潤んだ瞳。小さな胸板。  
未発達な筋肉。荒い息遣い。  
その全てがラクウェルの嗜虐心を煽る。  
「・・・射精するのは初めてか。−・・・・・・構わないから、出してしまえ。出したいんだろう?」  
ラクウェルはそう言いながら更にジュードのものを激しくしごく。  
「あ、あ、ラクウェル・・・っ・・・ うっ、あ!!」  
 
ビュクッ・・・ビュル・・・ビュククククっ!!!  
次の瞬間、ジュードのモノから勢いよく白い塊が飛び出してきた。  
 
「は、はあ・・・はあ・・・はあ」  
荒い息を吐いて脱力するジュード。  
「・・・抵抗していたわりには、随分沢山出したじゃないか・・・?」  
「だって、ラクウェルが、止めて、くれないから・・・はあ、はっ・・・・・・っど、して・・・?・・・・・・・・・こんなの・・・ラクウェルらしく、ないよ・・・」  
確かにそうかもしれない。だが・・・  
「・・・・・・・・・私らしくない?・・・・・・私らしいというのはどんなだ・・・!?」  
こいつは。ここまでしても分からないのか。  
「・・・・・・好きな相手に自分の気持ちを偽って接するのが私らしいのか・・・!?」  
「・・・っ・・・・・・・・ラクウェル・・・泣いて・・・・・・?」  
 
気がつけば、ラクウェルの瞳からは大粒の涙がボロボロと溢れ出して来ていた。  
必死に拭うが涙は止め処なく流れてくる。  
「・・・っ違う!!私は泣いてなどいないっ・・・泣いてなんか・・・!!くそ、お前の所為だ!お前が・・・!!  
私だってお前にこんな事したくなかった!!お前がユウリィの事が好きだと知っていたから・・・!!」  
「それなのに、お前は私の気持ちも知りもしないで、あんな、相談を持ちかけてきたりして・・・!!  
私が、お前の所為で一体どれほど辛い思いをしてきたと・・・!!!」  
そこで不意にラクウェルの言葉は途切れた。  
口を塞がれたからだ。  
ジュードの唇によって。  
 
 
「ん・・・」  
「ふ・・・ん・・・・ぷはっ」  
暫く口付けを交わした後ジュードはゆっくりとラクウェルから唇を離した。  
二人の唇を唾液が伝う。  
「・・・ごめん。いきなり、こんなことして・・・。・・・っ僕・・・っ。  
でも・・・こうでも、しないと止まりそうになかったから・・・」  
「っ・・・・・・・・・」  
 
先程のキスとは違い、今度は彼のほうから口付けてきたことに暫し呆然とするラクウェル。  
唇に触れると、まだ微かに彼のぬくもりが残っていた。  
「僕・・・いつも、自分のことしか、考えてなくて、ラクウェルの気持ちとか、全然っ・・・」  
見れば、今度はジュードの瞳から涙が流れてきていた。  
「ば、馬鹿、何でっ、お前が泣く・・・!」  
「だって・・・、僕、気付かないうちに、ラクウェルに、酷いこと、しちゃってたんだって・・・っ」  
肩を震わせながら涙を流す少年。  
−・・・ああ、やめてくれ。お前に、そんな、顔を、されると・・・  
謝らなければいけないのはこちらの方だ。お前の気持ちを無視して、こんなことを・・・。  
 
「・・・・・・全くだ。私は、お前に、心底、傷付かされた。」  
だが、彼女の口から次に出た言葉は謝罪の言葉ではなかった。  
もうここまできたら、最後までやってやる。  
「・・・ごめん・・・」  
「・・・だが、本当に、悪いことをした、と思ってるなら・・・」  
 
そこまで言ってジュードの股間に目をやる。  
そこには、いまだ屹立を保ったままのジュードの下半身があった。  
「・・・?っっ!!!!!う、う、うわわわわわわわわわっっっっっ!!?」  
ラクウェルの視線に気がつき真っ赤になりながら大慌てで足を閉じるジュード。  
「・・・・・・見た?」  
同じく真っ赤になりながら無言で頷くラクウェル。  
−・・・うろたえるな。こんなもの何度も見た事があるだろう!!  
今を逃せば、二度とこのような好機はないかもしれないんだぞ・・・!!  
 
「悪いことをした、と思ってるなら・・・責任を取れ・・・!」  
面と向かって言うことは出来なかった、が、何とか精一杯口にする。  
しかし、少年の反応はと言うと・・・・  
「えっと、責任って・・・」  
・・・・よく理解していない様子。  
 
「…っっ皆まで言わせるなっ!!私とせ、セックスをしろと言ったんだ!!」  
−・・・ああ、駄目だ。顔が火照ってきた。  
熱の所為だけはない。このような事を恥じらいも無く大声で要求している自分が  
とてつもなく情けく、恥ずかしかったからだ。  
「・・・ラクウェル。その、せっくすって・・・。」  
「お、お前の性器をだな、私の、その…」  
「えと・・・性器って何・・・?」  
(こ・・・こいつは・・・!!!!)  
頭を抱えるラクウェル。このような事まで説明させる、というのは実に彼らしかったが。  
「・・・っジュードの!ソレを!私の・・・!!っっ、と、とにかくソレを入れてアレを出すんだ!!」  
「な、何言ってるのか全然わかんないよっ!?」  
「ああ、もう、私主導でするから、お前は私の言う通りにすればいいんだ!」  
「う、うん…」  
ラクウェルの迫力に圧倒され押し黙るジュード。  
その返事を聞き「…よしっ!」と満足すると  
彼女はリボンを解き、上着を脱ぐと、ゆっくりとスカートを降ろしていった。  
全部脱ぐのは恥ずかしかったのでコートだけは羽織ったままだった。  
 
彼女は男性を受け入れたことは一度たりとも無い。  
しかし、先程の行為からも、その手の知識は持ち合わせてはいるのは窺い知れた。  
常に毅然としているが彼女も年頃の女性だ。  
今までにも、悶々とし夜な夜な自分を慰めることもあったし、  
後学(?)の為その手の本に目を通したり  
時には筆を使ってあれこれする、というような事もあった。  
 
彼女の肉壷は先程までの行為で十分潤いを持っている。  
これならば、挿入の苦しみも多少和らぐだろう。だが…  
ジュードのそれは長さこそ及ばぬが、こと太さに関しては筆などの比ではない。  
ジュードの下腹部に目をやる。  
(…改めて見ると…気後れしてしまうな…あ、あれを挿入るのか…)  
「…?ラクウェル…?」  
「っ何でもない……」  
躊躇いを拭い去り、最後に残った下着を脱ぎ去る。  
濡れそぼったラクウェルの秘所が露わになった。  
 
「…うあ…」  
ジュードから感嘆の声が洩れる。  
「ま、まじまじと見るなっ!!」  
「や、女の人ってホントに付いてないんだなって…思って…それに  
ラクウェルがいつもより、すっごく綺麗だから…。」  
「…っっ面と向かってそういうこと言うな、馬鹿!!  
それに『いつもより』とは何だ、『いつもより』とは!!」  
「あ、あはは…ごめん」  
「〜〜っ…まあいい。…それじゃ始めるぞ」  
 
そんなやり取りを交わした後、ラクウェルはジュードの上に覆い被さった。  
(…もう、ちょっと、右…か…)  
少年のペニスを握り、自分の秘所にあてがい、  
「んっ…!」  
ジュードの勃起の先端がラクウェルの陰裂に入っていく。  
「い・・・った・・・!」  
初めて味わう感覚に苦悶の声を洩らす。  
「っ………っつ!!!」  
その痛みに堪えゆっくりと腰を下ろしていく。  
だがラクウェルの気持ちとは裏腹に、彼女の膣は収束してジュードのものを押し出そうとする。  
「あ、んあ、んく………!」  
(…っや、やっぱり、ちょっと、…き、つっい…な)  
そこまで来て、自分と彼の完全に繋がってはいない接合部をみる。  
(………ま、まだ先端だけ、なのかっ!?)  
「ラクウェル…、だいじょぶ…?」  
「………ん、平気、だ………つ、続けるぞ?」  
更に腰を下げる。  
「はっ、んく、あああっ…!!」  
ラクウェルは懸命に力を抜き、ジュードを受け入れようと努める。  
肉棒が中ごろまで入ったところで、ジュードは何か弾力のある壁のようなものに  
突き当たったことに気が付いた。  
「…?」  
ジュードにはそれが何か分からなかったが、今の彼にそんなことを考える  
余裕などなかった。  
「あ、いっ…た…あ、はあっ…は…!!」  
ラクウェルの膣は、必死に異物を吐き出そうとする。  
今までの非ではない痛みに堪え、さらにもう一息腰を下ろす。  
ぎちぎちっ、と肉壷が軋む音を立てる。  
次の瞬間ラクウェルの処女幕はジュードのものによって貫かれた。  
 
先程までとは異なった感覚にジュードは接合部をみやる。  
そして、ラクウェルの股を伝う血を見て仰天した。  
「らっ、ラクウェルっ!?血、血が出てるよっ!?」  
「んっ…、気にっ…するなっ…私は、これが、初めてだ…か…らっ」  
「は、初めてって、その…せ、せっくすするのが…?」  
「………そ、そうだ、悪いかっ!?」  
「ん…そんなこと、無い、よ…ていうより、う、嬉しい…か、な」  
「…お前の、良いところは正直で、素直なとこだが、んっ、そういう事を  
恥ずかしげも無くいうなっ…ただでさえ、辛いのに、私の神経が持たない…っ!」  
「ご…ごめん…。でも良かったの…?僕なんかが初めてで…」  
「・・・っ、い、いいんだ・・・!!私は、お前の事がす、す、好・・・ああ、くそ!恥ずかしい事を言わせるなっ・・・!!  
「……ご、ごめん。」  
 
そんなやり取りをしながら更に行為を続ける。  
その後はジュードのものは容易くラクウェルの奥まで入った。  
呼吸を落ち着かせる。  
「な、なんとか、全部、入ったか……?」  
 
 
 
「そ、そだね…」  
ペニスはぎっちりとラクウェルに食い込んでいる。  
暫く、接合した部分を見つめた後、意を決して次の段階へ進む。  
「……じゃ、動く、ぞ。」  
「う、うん…」  
 
今度は腰を引き、肉壷の奥から異物を引き出す。  
「はあっ…ああっ…ん、くあああっ…!!」  
「んっーーーー…くっーーーーー…」  
肉と肌が擦れ合う。  
お互いに体を慣らすため、徐々に腰を引き、ゆっくりとまた押し入れる。  
ず、ず、と音を立て、慎重に抽送を繰り返す。  
肉棒を締め付ける感覚が、ジュードの背中に再び快感を走らせる。  
接合部がジュブジュブと、淫らな音を立てる。  
「僕の、がっ、ラクウェルの…っ、な、中で、動いて、…るっ…」  
「はっ……あ…だから…っ!!いちいち、口に出すなっ…バカっ…!!」  
徐々に痛みにも慣れてきたのか、ラクウェルの動きは徐々に激しさを増していく。  
気がつけばジュードも自ら腰を振るようになっていた。  
「っ…、はあ、っ…はっ、はっ、あ……!」  
「ジュード…は、ン…も、もっと…うご、…いっ…てっ…!!」  
 
お互い、絶頂が見えてきた、というところでジュードは腰の動きをピタリと止めた。  
それに合わせラクウェルも腰の動きを止める。  
「はあっ・・・はっ………ジュード…?」  
「…ラクウェル…、その…ここからは、僕に…やらせて…欲しいん、だけど…  
あ、えっと・・・さっきは、僕が気持ちよくしてもらったから、今度は、僕が・・・」  
恥ずかしさから徐々に声のトーンが落ちていくジュード。  
ジュードの提案に、ラクウェルは一瞬きょとん、としたが少々間を置いて  
「………………エロガキ。」  
「う……」  
「………わかった。それじゃあ、…頼む」  
と、微かに微笑みながらそれを受け入れた。  
 
「んっ…」  
ゆっくりとジュードの肉棒をを引き抜くと  
体位を変え、今度はジュードが上に来るようラクウェルに  
覆いかぶさった。  
「……じゃ、いくよ?」  
「………ん、わかった…」  
お互いに確認を取りあうと  
「ーーーーーっ………………………!!」  
ジュードは激しく腰を突き入れた。  
「っ……!!あ、は、ジュード、強、す、…ぎっ…んあああ!!」  
ラクウェルは体を反らせる。  
「は、んん、あ、あああーーー…!中で、擦れて…んっーーーーーー!!  
ちょっとは、加減をーーーー!!」  
逃げるように腰をねじるがジュードは更に腰の激しさを増す。  
髪が上下に乱れる。  
ラクウェルの胸はプルプルと揺れ、更にジュードを欲望へと駆り立てる。  
幾度と無く腰を突き上げる。  
 
ず・・・ジュプ、ズ、ジュププ…  
 
膣内の摩擦が、更なる快感をジュードにもたらす。  
「あーーーー、はっ、はーーーーーーー…!!」  
「ジュードのがっ、奥ま、で、当たって、んあっ!!!」  
玉のような汗が飛び散る。  
「ん、はぁ、あ、んあああああああ………!!」  
「う、あっ……!!」  
 
ーーー頭の中が真っ白になっていく。  
ラクウェルの膣は更に締め付けを増す。  
突き上げるたび、ジュードのものに肉壁が絡まってくる。  
それに負けじと、ジュードは何度も何度も腰を突き上げる。  
「あ、はあっ、やあ、はっ…!!ジュードの、お腹の中に当たって、  
こわ、こわれ……あ、ん…!お願い・・・だから、も、少し・・・ゆっく、り・・・」  
「ごめ・・・っ、でも、気持ちよくて、止まんな・・・っ、い、よっ・・・」  
「や、ん・・・そ、そんな・・・あっ!は、っはあ、も、もう私・・・あ、あ、ああああ」  
 
「あーーーーーん、んあ、ああああああああああああああッッッ!」  
一際高いラクウェルの声が室内に響く。  
 
 
 
そして、ラクウェルの膣はジュードも果てさせようと一層締め付けを強くする。  
「っーーーーあ、ああああああ…!」  
次の瞬間、白い塊が吐き出された。  
ラクウェルの膣内をジュードの精液が迸る。  
ラクウェルは脱力し、ベッドに倒れこむ。  
これで終わりかと思ったが  
ラクウェルの膣は、ジュードの肉棒を削ぎあげ搾り出させるように更に射精を促した。  
「うっ…、わーーーーーー…!?」  
ごぼ、ごぼ、と接合部から収まりきらなかった精液が溢れだす。  
「っーーーーーーーーー、あ…、あーーーー」  
「………ジュードの……熱、い・・・ん……」  
と、荒い息を吐きながら、ラクウェルは囁くように呟き  
暫く余韻に浸った後  
「あ・・・」  
ゆっくりとジュードは自分のものをラクウェルから引き抜いた。  
 
「・・・じ、じゃあ、今日はこれで帰るね。」  
行為の後、事後処理を済ませ暫くお互い無言のままだったが  
その気まずさに耐え切れなくなり、ジュードが部屋に戻ると言い出した。  
時刻はもう夜の12時を回っている。  
「色々」済んだのは11時頃だったので、かれこれ1時間近く何もしなかったことになる。  
「・・・あ、ああ。済まなかった。こんな時間まで起こしていさせてしまっていて。」  
「あ、うん。えっと気にしないでよ。・・・それより、もう、体の方は大丈夫なの?」  
「ああ、体のほうは、何とも・・・って、何で紅くなってる」  
「・・・ご、ごめん、ちょっと体って、言葉に反応しちゃって・・・」  
「〜〜〜っ・・・」  
お互い先ほどの行為を思い出して、赤面する。  
「ば、馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!帰るなら、はっはやく帰れ!!この助平!!」  
「そんなに、馬鹿馬鹿って言わなくても・・・、え、えと・・・ごめん。それじゃあ・・・。  
ほんと・・・・・・・・・ありがと・・・。ラクウェル。」  
「・・・っ。分かったから、早く部屋に戻って寝ろ・・・」  
「・・・・・・おやすみ。」  
そう言うとジュードは部屋から出ていった。  
 
(はあ・・・)  
して、しまった。  
まだ僅かに股間に異物感が残っている。  
・・・まさか、自分が操を捨てる日が来るとは思わなかった。  
それも年下相手に。  
 
(まあ、してしまったことは仕方ない、か・・・んっ・・・痛)  
明日、どのような顔をして彼に会えばいいか、とか  
これからどのように接していけばいいか、とか  
考える事は山ほどあったが、まだ本調子ではない体を休める為  
ラクウェルは布団を被った。  
(・・・とは言っても、そう簡単に眠れそうに無いな・・・全く、どうしたものか・・・)  
案の定、ラクウェルが眠りに就けたのはベッドに潜って1時間以上経ってからだった。  
 
ただ、一つ彼女は失念していた。ユウリィが一体誰のことが好きなのか。  
その件に関しては全く解決していないことを。  
 
・・・・・・翌日  
ジュードの部屋のドアを誰かがノックしてきた。  
声はしない。  
(・・・誰だろ?)  
「はーい、今出ます。」  
ドアを開けると、そこには妙にそわそわしているユウリィの姿があった。  
「あ・・・ユウリィ。えっと、何か用事?」  
直接告白して振られたわけではないが、流石に面と向かい合うのは少々辛い。  
「・・・・・・・・・・・・・・・昨日の事。ジュードが誤解してるんじゃないかと思って・・・」  
「・・・・・・誤解?」  
「す、好きな人の事!あの、えっと、年齢について聞かれた時・・・・・。  
・・・ジュード、あの時、ぼおっとしてて少し会話が噛み合ってなかったから・・・・・・。  
ジュードは何か勘違いしてたみたいだけど・・・年上なのは、私のほうであって、その・・・私が好きな人は私より・・・」  
 
「・・・え?」  
−−・・・・・・次の瞬間ジュードの頭の中は真っ白になった。  
 
 
・・・所変わってラクウェルの部屋。  
昨日とは違い、既に目は覚ましている。まだ少々だるいは残っているが普通にしている分ならなんら問題はない。  
(薬が効いたみたいだな・・・主人には後で礼を言わないと・・・)  
等と思っていると、ドアをノックする音が聞こえた。  
(・・・誰だ?)  
「ラクウェル・・・?ジュードだけど、もう起きてる?」  
(・・・・・・・・・・・・・・・・っ)  
昨晩あんなことをした手前、顔を合わせ辛かったが彼女の性格上  
無視することもできず、ドアの向こうの少年に返事を返した。  
「あ、開いている。入っていいぞ。」  
彼女がそう言うとゆっくりとドアが開いた。  
 
一瞬ラクウェルの体が強張った。扉を開けると、そこにはジュードだけではなく、ユウリィの姿があったからだ。  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっと。」  
言葉に迷う。どのような反応をすればいいんだろう。  
「・・・ふ、二人揃って、何の用だ?」  
とりあえず当たり障りのない言葉をかける。  
「・・・・・・えっと、実は」  
 
そして今度は、ラクウェルの頭の中が真っ白になった。  
 
要するに今回の件は・・・・・・・・・  
「・・・・・・要するにお前の勘違いだった、ということか?」  
「・・・ごめん」  
ジュードがユウリィの「年上」という言葉を間違って取ってしまったのだ。  
 
というより、最初にユウリィの言った「好きな人がいる」という言葉に  
ショックを受けてその後の会話をまともな状態でしていなかったことが原因だった。  
彼女が先ほど自分でも言ったとおり年上なのは彼女のほうであって、相手は自分よりも  
年下だった、という話を半ば放心状態であったジュードが歪曲して受け取ってしまったのだ。  
ということは・・・  
「じゃあ・・・ユウリィは・・・ユウリィが好きというのは、やはり・・・」  
そういってラクウェルは気まずそうな顔をしている少年に目を向ける。  
頬を赤らめて頷くユウリィ。  
 
「・・・そうなるよな。やっぱり・・・。・・・・ん?」  
そこでラクウェルはある事が気になった。  
(ちょっと待て・・・こいつ(ジュード)の性格からして・・・)  
十分にありえる。この馬鹿みたいに正直な少年なら。  
「・・・おい。ジュード。まさかとは思うが、お前あの事を・・・」  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・言っちゃった。」  
 
「っ〜〜馬鹿か!!!!わざわざ話すことでもないだろうが・・・〜〜っ!!!!」  
ジュードの首を絞め、がくがくと揺さぶりながら怒鳴りつける。  
「で、でも、黙ってるわけ、にもい、かなか、ったから。ちょ、苦しっ、らくうぇ」  
「ら、ラクウェルさん、落ち着いてジュードが死んじゃいます!!」  
 
結構本気でジュードの首を絞めにかかるラクウェルを必死になだめるユウリィ。  
・・・恋敵である彼女だが今は同情をせずにはいられなかった。  
(・・・このような馬鹿をお互い好きになってしまうとは・・・。)  
 
あと少しで落ちる、というところでラクウェルはジュードを解放すると彼に尋ねた。  
「はっ、はあっ・・・はあ・・・・・・。・・・・・・それで・・・お前はどうしようと思ってるんだ・・・?ジュード。」  
その答えは分かりきっている。  
自分の好きな相手が、同じように自分を好きでいてくれたのだ。  
ならば、選択肢はひとつしかない。  
 
「・・・・・・それなんだけどさ、昨日気付いたんだ・・・  
 僕は・・・僕は、ユウリィと同じくらい、ラクウェルのことが好きだったんだって。」  
 
「・・・・・・何?」  
「昨日、ラクウェルが、泣いてるの見て、ここのところが、凄く、痛くなった・・・」  
そういって自分の胸に手を当てる。  
「自分が、許せなかった。何てひどいことしちゃったんだろうって・・・。ラクウェルは  
いつも僕のこと大事にしてくれてたのに・・・あんな、泣かせるようなことして・・・」  
「ジュード・・・」  
「これ以上、ラクウェルに辛い思いさせたくないって・・・。だから、僕は」  
「・・・・・・」  
静かに次の言葉を待つ。  
(・・・これは、いやそんな筈は無い。私なんかを選ぶはずは・・・でも・・・。)  
 
−・・・一時の沈黙の後、ジュードはラクウェルが予想だにしなかった言葉を告げてきた。  
 
「ユウリィとラクウェルのどちらとも仲良くしていたいんだ。」  
「そうか・・・どちらとも・・・・・・・・・って、おい!!どうしてそうなる!!!!」  
 
「だって、僕にはどっちかなんて・・・選べないよ。どちらかを傷付けることに  
なるのが分かってるのに・・・。それに僕自身、ラクウェルにもユウリィにも辛い思いを  
させたくないから・・・」  
言っている事は滅茶苦茶だが、その表情は真剣そのものだ。  
これも彼なりに必死に考えた結果なのだろう。  
「〜〜〜〜〜・・・っ。全く、その顔には勝てないな・・・。・・・しかし、ユウリィはそれでもいいのか?」  
「・・・はい。私も、ジュードの考えには概ね賛成です。ジュードの言うとおり皆が辛い思いを  
しないで済む方法があるならそちらのほうがいいですから。それに・・・」  
 
「それに・・・?」  
「・・・それに、ラクウェルさんに、あ、あんなことまでしておいて何も無しというのでは、ジュードが酷すぎます。」  
 
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・っっ!!頼むから、そ、その話はもう止めろ!!!」  
真っ赤になりながら叫ぶラクウェル。  
 
−−・・・どうも変なことになってしまったが、これはこれで良かったのかもしれない。  
確かに、辛い思いをしないで済む方法があるのならそれが良いに決まっている。  
だが、しかし。あの事を馬鹿正直に話したことだけは、簡単には許せそうに無かった。  
 
「大体お前は、一々言わなくてもいい事を・・・!!」  
「だ、だって、隠してるわけにも、ぐえっ!く、首、絞めないで、!!」  
「ら、ラクウェルさん!?ジュード、どんどん顔が青くなってきてますよぅ!!」  
 
 
 
そんなやりとりをしながら、ふと頭にこんな考えが過ぎる。  
−−・・・この少年の馬鹿みたいに素直な性格に、これからもずっと悩ませられていくのだろうか、と。  
                                      
でも、まあ−・・・                       ・・  
彼のそういった面も好きになってしまったのだから仕方がない、と二人は腹をくくることにした。  
 
 

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