真昼にも関わらず薄暗く、草木は生気を失いうなだれる。空の一部はどす黒く、あの一角は血の様なグロテスクな赤。
こんな正に「異常事態」になって早3日が経とうとしていた。
そして、部隊のリーダーが消息…生死不明となってからその倍の日にちが経とうとしている。
耳障りなノイズ音の混じる、部隊専用通信機の電源を落とし、カノンは煙草の煙を吐き出すように溜め息をついた。
そして手持ち無沙汰にアンテナを出したりしまったり(一応…というよりかなり高価な品)
しながら城壁のレンガにとん、とすがる。
何気なしに見ていた空が無い事は、この上なく気持ち悪い。どこを見て思想にふければいいんだか。
とうてい無理な文句を浮かべながら、独り言を呟くように言う。
「何の用だ?ブラッド。」
視界外の気配を感じ取るなんて事は造作も無い。義体だから、ではなく生体のままだとしても出来るのかもしれない。
現にこの男がそうである。
「朗報だ、アシュレーの奴が…」
「帰ってくるんだろ?さっき通信が来た…普通の倍近く報告が長かったけれどな。」
ブラッドの言葉に重なるようにカノンは簡単に言ってのけた。
あたしの所は遅めだったんだな。オペレーターもエイミーの奴に変えて欲しかった。
そんなくだらない事をつらつらと頭に連ねながら、一応顔を見て話してやろうとカノンは頭だけ右に傾け、無意識のうちに腕を組んだ。
自分では気付かないが…少々不機嫌らしい。
「…伝わっているのなら話は早い。今夜召集がかかった、それだけ伝え忘れたらしい。」
ブラッドの方も憮然とした表情で、簡潔にそれだけ伝えた…さっきのカノンの態度が気に入らなかったのだろうか。かなり機嫌が悪そうに取れる。
「生きていたのか…まぁ、どっちにしろあたしが殺るんだからな。」
相変わらず「宿命」…か。
何故だ?
何に対して俺はこんなに憤っている?
彼女か?
…いや、違う、俺は…
「あたしの宿命の相手に死なれたら話にならない。
魔神がそんなに簡単にくたばるとは思わないからな。」
何故、彼女はこんなにアシュレーに執着するのか。何故自分はこんな事で怒るのか。
「…今夜だったな。早めに帰って、武器の手入れでもしてるよ。」
…ああ、そうか、俺は
「それじゃ…」
アシュレーの奴に、嫉妬してるんだな。
「!?」
頭で考えるより先に、行動に出るなど彼では考えられない事。
行動してから結果を見るなんて絶対にしない。
今までは。
一方的に喋っていたカノンの方から会話を打ち切り、城内へ戻ろうと彼の傍らをすり抜けようとした瞬間。
そんな彼女の細い腕を、ブラッドは乱暴に掴み取り、ぐいと自分の方へ引き寄せた。
訳の分からない嫉妬心が更にこみ上げて、カノンを物置の壁に押し付け、細い両肩を掴んだ。
「な…何なんだ?まだ何かあるのか?」
「…そんなに気になるか?」
「は?」
「そんなにアシュレーの奴が気になるのか?」
頭に浮かぶもの全てが、すぐに言葉に変換される。彼女が見つづけているアシュレーに腹が立つ。
違う。
カノンの凶祓いの事は百も承知だ。だけど、問わずにはいられなかった。
「…何を言ってるんだ?」
「どうしてアシュレーばかり見る?」
「おい、だから意味が…」
「アシュレーがそんなに気になるのかと聞いているんだ。」
訳が分からない。
自分でも何を言っているのか。
困惑する彼女の表情でアシュレーに対する怒りは引いていく。
それと取って代わって沸く本能。
…そうだ。壊せばいいんだ、彼女の全てを。
力ずくで俺のものにすればいいんだよ。
それを合図にブラッドの理性は、ぱちんと電源を落とされた。
「だから、何の事…」
未だに状況を把握できない困った表情のカノンが、妙に艶かしい。
そう映るのは俺だけか?
そんなカノンの身動きを封じていた右の手が、ゆっくり体に沿って移動する。
そして、つうっと彼女の首筋を指で辿った。柔らかくて、滑らかな肌。どこまでも白く…
「―――っ!な、何のマネだっ!?」
指を這わされた感触でカノンは驚きのけぞって、慌ててその手を払った。
ブラッドは払われた手のまま、カノンの右手を掴み、壁に押し付ける。
「ん…っ…!」
彼女がブラッドに向かって、さっきの無礼を叱咤しようと開きかけた口を無理矢理キスで塞がれる。
そして、ゆっくりと彼の舌が絡み付いてきた。
このキスが何を意味するのかぐらい分かる、こんな深いキスが「はい、それじゃあ明日」
の別れの挨拶なものか。
キスだけで終わるとは到底思えない…
なんとかカノンはブラッドを押しのけようとするが、所詮は女。
部隊で一番の腕力の持ち主と力比べした所で小手先の抵抗だ。
じっくり男の舌を感じさせられた所で、カノンはようやく開放された。
このっ…一発ぶん殴って―――!
「――か、は…っ」
カノンの平手打ちより早く、ずんと重い衝撃。
そして次にはみぞおちに鈍い痛み。
やられた。
足で踏みとどまろうとしても、急所を思い切り殴られて全く力が入らない。
そのままカノンはブラッドの胸に倒れてしまった。
…成す術は、ない。
ブラッドは彼女を軽々と担ぎ上げると、倉庫の扉を開けた。
ばん、と扉が閉まるとむせ返るような埃。どうやら長いこと使われていなかったようだ。
倉庫内は月明かり程度しか光が差さなかった。僅かな太陽光も…
「いや…だっ!!」
肩から下ろされ、押し倒されそうになったカノンは寸での所で踏みとどまった。
「やめろ…っ!!」
痛みが大分治まって、とんでもないマネをするブラッドと格闘が始まった。
埃が白煙のように眼前に舞う。
その埃を誤って吸い込んでしまって、カノンは咳をついた。
――ずきん
「く…っ」
その咳で胸の痛みが再発して、思わず体を折り、無防備な体勢になった。
その隙を付かれて、とうとうカノンは冷たい床に組み伏せられてしまった。
直も立ち上がろうとするカノンの両腕をブラッドは左手で軽々と押さえつける。
「や…嫌だ!!おい、ブラッド!貴様何をしているのか分かってるのか!?」
分かってる、こうでもしないとお前は奪い取れは、しない。
ブラッドはそう答える代わりに再び唇を重ねた。
むせ返るような暑さ、息苦しさ。身動きもろくに取れそうも無い倉庫。
助けを呼ぼうったって、声は到底届かない…
その間もブラッドの右手は休むことなく動く。耳の淵、首筋、胸、太もも、足の間…
丹念にゆっくりとカノンの体を這って行く。味わう様に。
そして短いスカートの中へその手を差し入れると、下着を一気に膝まで下ろした。
「嫌ぁっ!やめてくれっ!本当に…っ!!」
深いキスから何とか顔を逸らして脱出したカノンは悲痛な声で叫んだ。
嫌だ、犯されたくない。逃げなければ、逃げられない。
「…おとなしくしていれば、すぐに済ませる…大丈夫だ。」
カノンを襲い始めてから始めて、ブラッドは口をあけた。
詫びでも卑猥な言葉でも無い。中途半端な彼女へ対する思いやり。
僅かに残された理性なのか。
残った下着を完全に足から外し、床に投げ捨てるとブラッドはその白い足を割った。
「ぁ…嫌!嫌だぁっ!!」
いくら抵抗しても、大人と子供位の力量の差。
ワンピースも殆ど上にたくし上げられて、カノンはほぼ裸の状態になった。
透き通るような白い肌、豊かで形の良い乳房、薄桃の乳首、
太ももの間の髪の毛と同じ色をした薄い毛、そこから透ける真っ直ぐなスリット…
全て自分のものにしてしまいたい、全て汚してしまいたい。
ブラッドは乱暴に左の乳房を掴んだ。
程よい弾力で、溶けるように柔らかい。ちょっと力を入れれば簡単に形が変わる。
押し付けて撫でるたびにピンクの突起が固くなっていくのが分かる。
「んっ…」
乳房を揉む度に漏れるカノンの色っぽい吐息がブラッドの前髪を掠めた。
「い…やっ」
ゆっくりと優しく外側から、指先まで使ったマッサージ。
手の平で押し上げて、小指から順番に指を乳房に絡ませて、そっと乳首へ向かって抜く。
その度に、嫌がりながらもカノンは小さく息を弾ませた。
乳房を愛撫しながら、しばらくカノンの「女」の表情を眺めていたブラッドだったが
不意に顔を近づけて、カノンの白い喉元に口付けすると、鎖骨辺りから舌を這わせ始めた。
「ブラッド…!…や…っ」
やめろ、と言いたくても続かない。
抵抗の言葉は、甘い吐息に掻き消されて空間に散った。
胸の鼓動が高まって、身体が熱くなる。
そんな…あたしは、どうして…こんな…っ
「ひゃぁんっ…!」
普段は男勝りで、弱さなど欠片も見せないカノンが、鼻にかかった色っぽい声で啼いた。
敏感になりつつある乳首へ舌が絡みついたからだ。
首筋から這ってきた舌は、そのまま移動することなくそこへまとわりついた。
そこは本人の意思とは無関係に、徐々に固さを増していった。
「ん…だめ…だ…ぁっ…こんな…っ!」
舌のざらついた感触が乳首に伝わる度、カノンの呼吸は荒くなる。
歯先で軽く噛まれる度に、彼女は身体をびくつかせ小さな嬌声をあげた。
「ブラッ…ド…!」
「…何も考えないで欲しい…」
「…やめ…てっ……ぁん…」
「…今だけは…俺の事だけを、考えて欲しい…」
そして、静かに右手を下半身に滑り込ませた。
「あ、あ…!止め…ろ…っん…!」
…ちゅ、くちゅ…
乳首を刺激されて、少しだけ湿っていたそこを、更に指で責める。
少しクリトリスに指が触れるだけで、濡れが酷くなる。
ピンクに熟したそこは、宝石のように美しかった。
ブラッドの指が絡む度、カノンは色っぽい声を漏らし、肌は赤く火照る。
普段は磁器人形(ビスクドール)の様に、微動だにせず凛とし、儚さまで漂わせている
カノンの美しい顔が、快感によって乱れていく。
それは人の、女の証。
「んぅ……っ!!」
ちゅぷ、と水中に潜る様な音を立てて、彼の一番長い指が体内へ沈み込んだ。
中指にねっとりと絡みつく熱い愛液と、敏感な壁…
ブラッドの長く太い指は、いとも簡単に子宮口へ辿りついてしまった。
「ああっ!!」
たった7cmの、入口からそれしかない壁は、過剰なまでに反応してカノンを追い詰める。
クリトリスと同様、いやそれ以上にカノンは過敏に反応し続けていた。
…だめ、だ…感じすぎて…っ
カノンはどうしても眠れない時だけ、気分転換に軽く自慰をしていた。
実際ストレスも解消されるし、終わったあとは驚くほど落ち着く。
…その自慰の主な方法が、膣に指を挿入する事である。
そのため彼女の膣の感度は、普通の女性より高くなっていた。
違う!これは…っ!「あれ」ではない、襲われて…!
身体が覚えている快感は、今更ごまかせはしない。
自分で行っていれば、感じすぎれば止めることができる。
だが、今は他人に。感じていると分かれば容赦なくそこを集中的に責められる。
他人に弄られると…こんなに感じてしまうなんて…っ!
「あ、あっ!ぅっ…ふぁぅんっ!!」
自分でも恥ずかしいぐらいの嬌声。
くちゅくちゅといやらしい音を立てて、膣を責める無骨な指。
「きゃ…んっ!」
膣ばかり弄っていて、ふと存在を思い出したかのように乳首を軽く吸い上げられた。
全身の性感帯をいっぺんに弄られ、気の遠くなるような性感と、恥ずかしさと。
レイプされているのに、素直に感じてしまう自分の身体…
快感に…屈してはいけない…
目を、覚ますんだ…!!
「―――嫌ぁっ!!」
ぱぁん!!
カノンへの愛撫に気を取られていて、両手を拘束していた左手は僅かに緩んでいた。
与えられていた快感を振り切り、両手に力を込めてブラッドから開放した。
そして力一杯――とは言うものの、快感の余韻がまだ抜け切っておらず力は全く入ってはいなかったが――
ブラッドの頬を平手で叩き、彼を突き飛ばすと後ろに下がって、肩で息をしながら壁にすがった。
「はっ、はぁ…はぁ…はぁっ…!」
無意識に自分が愛撫されていた床を見ると、小さな水溜りができていてさらに赤面した。
重力で滑り降りるはずのワンピースは、乳首で引っかかってそこで止まった。
恥部は感覚が無いほど酷く濡れていて、それが一番恥ずかしくて許せなかった。
「…やめてくれ…どうして、こんな…」
カノンは、震える声で何とかそれだけ言った。言いたいことは山ほどあるのに。
もし仮に、ここで開放されても、周りの舐めるような視線には耐えられなかっただろう。
殴られても激情することなく、当たり前のように再び手を伸ばしてくるブラッドから動けなかった。
恐怖か?羞恥か?あたしは何を待っている…?
ブラッドは何も言わずに、そっと唇を重ねた。
耳障りな金属が触れ合う音と、チャックの音がしたのは、それと同じ頃。
「ん…んっ」
舌を絡ませられながら、改めて両の手で豊かな胸をまさぐられる。
今なら簡単に振り切って逃げられる。
…そんな気力は、カノンにはもう残されていなかった。
浅めで終わったキスの後、右腕を反対側に引き寄せられて、無理矢理後ろを向かされた。
丁度膝立ちの彼に、支えられているような形に。
そして、滴るほど濡れた入口付近に、ぴたりと何かが突きつけられる。
それが何かを理解する前に、ブラッドが彼女の両肩を垂直に引き下げた。
「あっ…あああっ!!いや、あっ!!!」
ずぶずぶと自分に潜り込んで行く、男性の凶器…
カノンの快感と痛みの声が、空間に響いた。
今まで指しか受け入れた事の無い膣には、この太すぎるモノは大きすぎた。
裂かれるような痛みと、感じたことの無い快感と…
「やめ、あぁっ!ブ、ブラ…っ…!!い、ぁ、痛…!!」
ペニスを沈められ、それによって溢れた愛液が、カノンの太ももを伝ってブーツを汚した。
踏みとどまろうとしても、力が入らない。
自らの体重が、そのまま挿入の快感へと次々に書き換えられていった。
ようやく子宮口に亀頭が辿り着くと、ブラッドはゆっくりと上下運動を開始した…
「あっ、あぐ…っん、ん…っ!だ…ダメ、だ…っ!!ブラッド…はぁんっ…!」
後ろから乳房を揉みながら、ぐちゅぐちゅと音を立ててカノンを突き上げる。
興奮の荒い呼吸と、甘い抵抗の呼吸と。
レイプという非合法、同じ部隊の女性を、お互い仕事着の戦闘服のままで。
「や…あ、あんっ!あぅっ!!」
ずん、と身体の芯まで響く突き上げ、その度に反応する子宮口。
いつもの冷たい彼女とは真逆の、暖かくて優しい包容力とぬめりのある膣。
亀頭にまとわり付く熱い媚肉、直に伝わるブラッドの脈…
「はぁっ…あぅ、あ!っもう…もう、やめてくれ…んっ!」
「…カノン…っ」
「あん、ふぅ…んっ…!あ、あたし、も、もう…!!」
カノンは、ぎゅっと目を閉じて震えながらブーツを握り締めた。
快感の波に身体が限界を迎えようとして、静かに子宮口を開き始めた…
ちゅ、ちゅるっ、ぐちゅっ…ちゅぷ…っ
「あ、あっ…あ、ブラッド…!!」
「…く…カノ…ン…っ!!」
びく、びくんっ!!
「や…あっ!あぁ…!!―――ふああぁあんっ!!!」
どく…んっ!
「あ…ぐっ!」
カノンの愛液が溢れ返るのと、ブラッドの熱い精液が子宮に大量に流れ込んだのは、寸分の狂いの無い午後の事。