「……あ〜ッ…!!」
かちゃん、とカノンは机にエンピツを転がすと、頭を抱えて机に突っ伏した。
腹立つ、むかつく。
「…400字も書けるかよ…」
はい、私は喫煙をしました、もうしません。それだけしか思い浮かばない。
この窓も無い狭苦しい反省室が余計にカノンの苛立ちに油を注ぐ。
「会長のやつッ…!権力を利用しやがって…!」
生徒会長という立場を利用して、アシュレーは何かとカノンにちょっかいをかける。同級生の恋人が居るくせに。
前回は飲酒、今回は喫煙。風紀検査の日程も通達しない。卑怯としか言いようがない。
その度生徒会長室に呼び出される…
「…あのセクハラ魔神ッ!」
ふとさっきの光景が鮮明に蘇って、カノンは派手な音を立てて机を蹴り飛ばした。
かこん、と澄んだ音を立てエンピツが床に転がり、ふわっと原稿用紙が傍らに流れ着く。
「ふんッ…」
カノンはスカートのポケットに手を突っ込んで、愛用のタバコを引っ張り出した。
今回没収されたのは胸ポケットに忍ばせていたタバコの方だ。
一本くわえ、手馴れた手つきでライターで火を灯す。後で廊下の窓から換気しよう。
本来ならとっとと帰りたいところだが、この学園は厄介なことに職員室のある廊下の奥に反省室が設けられている。
ここから生徒昇降口に向かうまでには嫌でも職員室の目の前を通らなければならない。
「……むかつく…」
カノンは煙を溜め息混じりに吐き出すと、ちら、と壁掛けの時計を見た。
6時を少し回ったところ。部活のある生徒もちらほらと帰り始める時刻。
いつになったら帰れるんだ?カノンがもう一度深く煙を吸った。
こんこん
「終わったかな、カノン?」
――ッげほッ!ごほ…ッ!」
変な煙の吸い方をして、カノンは思いっきりむせ返った。
忘れもしない、会長の、アシュレーの声。
「……6時回ったら来るって、ちゃんと言えッ!あのバカ…!!」
まずい、喫煙でひっかかってるのにタバコなんて。
カノンはとっさにどこかタバコを捨てられる場所を探す。
だが、生憎窓が無い、どうすれば…
「…あった…ッ!」
カノンは偶然部屋の隅に転がっていた空き缶を拾い上げると、飲み口で火を消して中に放り込み、
そのまま何事もなかったかのように元に転がす。
「…いいぞ」
動揺をどうにか押し込めて、カノンは遅れて返事を返す。
「ごめんね、ちょっと会議が長引いちゃって、さ…」
がちゃ。
いつもと変わらない、爽やかな笑顔を浮かべてアシュレーは顔を覗かせた。
手には分厚いファイルが抱えられている。代表委員会の会議だろう。
「それで、反省文は書けたかい?」
「…原稿用紙一枚分も書くことがあるものか」
カノンは目で床の紙を指すと、ぎしっと元のイスに腰掛けた。
アシュレーは片膝をつき、ファイルを床に置くとその「反省文」に目を通した。
「…他に書くことは?」
「無いね、とっとと手帳を返せ」
「いっぱいあると思うけどな、リボン、スカート丈、頭髪…」
「あわせてプラス三行か?なんであたしだけ槍玉にあげるんだ!ラクウェルはスカート長すぎなのに!?」
「規定では「膝下」だからね」
「…マ、マヤはウェーブかけてるぞ!」
「天然パーマだってさ。「前髪は目にかからない程度」だろ?」
「……ッ……分かったよ、書けばいいんだろ…」
口で押し負けたカノンは、舌打ちをしてアシュレーから原稿用紙を引ったくるとずれた机を戻して、
「…エンピツ取れ」
「はいはい、キミはホントに性格悪いね」
「…会長には負けるさ」
「悪かったですね……あ、そうだ、カノン」
「反省室での喫煙も付け加えなきゃね」
「――――…何のことだ?」
明らかに声が上ずったのを、カノン自身も意識した。
「後でドアでも開けて、廊下の窓から換気すればよかったね」
「だから、何のことだ!あたしはそんな…」
「やると思った。やっぱり空き缶転がしておいて正解だったなぁ…ふふ」
アシュレーはそう言いながらさっきの空き缶を拾い上げると、おもむろに机の上で逆さまにした。
ぽさ。
真っ白な原稿用紙に散らばる、灰と新しい吸い殻。
…読まれてた?あたしが苛立ってタバコを吸うことを…
「こんなの知らない!あたしじゃないッ!!」
「…違う?本当に?」
「違う!第一反省室でタバコを吸うバカがどこにいるんだ?」
「…そっか、人違いか…」
「当たり前だろ?軽々しく人を疑わないでもらいたい」
「誰かなぁ?後でエマ先生に唾液の鑑定してもらおうか」
「なッ…!?」
カノンは血相を変えて、がたんと席から立った。
「…と。ここは高校でした。そんな大学並みの上等な設備はなかったね。ね、カノン?」
「………!!」
どこまでこいつは卑怯なんだろう。
カノンはまんまと策略に引っかかった自分が情けなくて、ぎりっと唇を噛んだ。
笑顔で自分を覗き込んでいるアシュレーに本当に腹が立つ。
「ほら、早く反省文書いちゃってよ、もう時間も遅いよ。僕が手伝ってあげるから」
アシュレーは正しく着られた制服のポケットに手を突っ込んで、しゃっと何かを引き伸ばした。
「じゃ、スカート丈の検査、ね?」
「嫌だ!やめろッこのセクハラッ…!!」
カノンはおもむろにメジャーを持った手をスカートに突きつけられ、慌ててその手を払った。
「膝からスカートの裾まで計るだけだよ」
「嘘つけッ!!」
もっと他の事もされるに決まってる。今までだってそうだった。
リボンの結び方にケチをつけて、胸を触られた事だってある。
スカートを押さえつけ頑なに拒むカノンを見上げ、アシュレーはふきだした。
「…カノン、何を考えてるんだい?案外エッチだね」
「な、そ、そんな…!?」
「何もしないから、計るだけだって。じゃあ、朝の校門の前にいるスカート係の風紀委員の人たちはどうなるんだい?強制わいせつ?」
「……わ、分かったよ…」
カノンは無理矢理言いくるめられて、スカートを押さえていた手を離した。
アシュレーの指が、メジャー越しに白い太ももをなぞって行く。
「……ッ」
カノンはその感触に上げそうになる声を必死で抑えていた。
やがて、指がスカートのひだに乗り上げて止まる。
「…膝上、39cm…先週の記録は34cmじゃなかった?短すぎだよ…もう。常習のリルカでも25cm行かないのに」
「知るかッ…とっととその手を離せ、終わっただろ…ッ」
「そうだ、校則のブルマは?」
「いい加減にしろ!そういうのをセクハラっていうんだよ!」
「質問に答えなさい。ブルマは穿いてるの?」
アシュレーの厳しい言葉がカノンに飛ぶ。
静かだが、真面目で厳しい声。
カノンは顔を赤く染め、アシュレーから目を逸らして答えた。
「……穿いてる…ほら、これでいいだろッ?」
「なんだ、穿いてるなら素直に答えてよ」
アシュレーは困った笑顔をして、カノンに語りかけた。
これで帰れる、そう思ったのに。
「じゃ、証拠を見せてみて」
「何でそんなことまでしなきゃいけないんだ!穿いてるったら穿いてる!」
「見てみなきゃ分からないだろ?第一キミには前科があるし」
アシュレーは顎で机の上の吸い殻を指した。
「うッ…」
「ちょっと見せてくれるだけでいいんだってば、早く帰りたいだろ?」
「…変態…」
「僕は生徒会長の仕事をしてるだけ、そしてキミは校則違反者。ほら、見せてみて。僕がスカートめくろうか?」
「このッ…!お、覚えてろッ……」
カノンは半ばやけで、短いブルーのスカートをアシュレーの目の前で捲り上げて見せた。
うすく割れ目が入った、紺色の特徴的な光沢のある体操着。
「これでいいか!?早く手帳を返してとっとと―――んッ…!」
生徒会長に対する抗議は、途中で強制終了されてしまった。
不意にアシュレーの指が、柔らかな薄い割れ目に押し込まれたのだ。
カノンはびくっと身体を震わせて、思わず声を上げてしまった。
「や、やめッ…―――あッ!?」
がたんッ!
僅かな快感で緩んでいた足を払われ、カノンはバランスを崩した。
その彼女をアシュレーは器用に抱き止めると、そのまま冷たい床にカノンを組み伏せた。
「いやだ……ッ!―――ん」
騒ぐカノンを黙らせるため、アシュレーは強引にキスして舌を絡め合わせた。
その間にカノンの両腕を無理矢理上に押し上げて、手首が重なるくらいまでになると先程のメジャーで素早く縛り上げ、
頭もとのイスの足に残りのメジャーを硬く結びつけ、完全にカノンの上半身の動きを封じた。
カノンの拘束が終わったのと同時に、アシュレーは不意にキスを止めた。
「!?や、は、離せ、離せぇッ…!!」
カノンがいくら暴れようとも、硬く何重にも縛り上げられたメジャーはぎちぎちと音を立てるだけで、びくともしない。
あとはカノンに馬乗りになっていればこっちのもの、好きにできる。
「やっぱり言葉では分からないね……身体でしっかり教えなきゃ」
「…や…止め……ッう…」
制服の上から、両の手を使ってゆっくりとカノンの豊かな胸をまさぐる。
だが決して乱暴ではなく、優しい力使いで。
時間が経つにつれて、カノンの瞳は少し潤み始めた。甘い吐息も僅かに漏れる。
「本当に腰細いね、こんなんで支えられるの?」
徐々に抵抗の力が弱ってゆくカノンを堪能しながら、アシュレーは彼女の身体を隅々まで撫で回した。
手馴れた手つきで少しリボンを緩め、今度は制服を下着が見えるまでたくし上げた。
後ろのホックを解除すると、昼間と同じように先端を軽くつまむ。
「ッ……!」
かろうじて声は上げなかったものの、一瞬だけカノンは色っぽくたじろいだ。
「……会長にはッ、マリナが……ッあ…い、いるのに、何でッ……」
「言っただろ?これは指導。それに……いつも甘いものを食べてたら飽きるだろ?」
きゅ、と突起を摘む力が僅かにこめられる。
「ひッ…!」
「たまには、ほろ苦いものも食べたい。そう思うのが普通だと思うけどな…」
そう言うとアシュレーは、覆っていただけの下着をぐいとおしのけた。
途端こぼれ出た形の良い乳房をアシュレーは受け止め、頂点のつんと固くなったピンクをおもむろに口に含んだ。
「や……ッ!あ、く…ッん…」
先端にまとわりつくアシュレーの舌に、カノンはふるふると首を横に振った。
意思とは無関係に、カノンの肌は火照って息を上がらせる。
軽く吸い上げられる度、そっと噛まれる度にカノンは小さく声を上げた。
「いやだ……」
腕に力を込めても、空しくメジャーがぎちりと軋むだけ。
唯一自由の利く両足の上にはアシュレーの体重が直接かかっている。
快感を紛らわすために身をよじる事もできず、カノンは必死に打ち負けそうになるもう一人の自分と戦っていた。
「はぁッ、はぁッ……ッあ、ん…ッ」
そして先端を愛撫する舌はそのままに、あいた乳房を揉んでいたアシュレーの左手が、カノンの下半身に滑っていった。
「あッ…!?だ、だめ…!」
くに、と中指がそこに埋められると、カノンはさっきまでとは違った嬌声を上げ、取り乱した。
「……楽になりたく無いのかい?」
久しぶりに聞いたアシュレーの声。
乳首から唇を離すと、アシュレーは軽く笑って短いスカートを完全にめくりあげた。
全て露になる体操服。
人差し指もブルマにそっと乗せる。
「ん…あ、あッ…!く……ぁ…」
くにゅくにゅと太ももの間を巧みに愛撫するアシュレー。
快楽に浮かされるカノンを至極楽しそうに観察する。
やがて、そこからほんの僅かに湿ったような音が漏れるようになった。
「駄目じゃないか、体操服濡らしちゃ」
「馬鹿、そ、そんな……ひぅッ」
「キミはすぐに嘘をつく、悪い癖だよ」
そういうとアシュレーは、空いている左手で太ももを割り、その両足の空間に座りなおした。
「やッ…!?」
ぐい、と無理矢理に左足を上げられる。
そしてアシュレーの筋肉質な肩に左足を担ぎ上げられてしまった。
筋に沿って、しっとりと湿り気を帯びた大事な部分がさらけ出される。
カノンは恥ずかしすぎるこの格好に更に顔を赤くした。
アシュレーは僅かに濡れたブルマの股布の部分だけを横に押しやった。
「ま、これだけ濡れてたら汚して当たり前だね、そこからじゃ見えないだろうけど」
まるでそこだけ水でもかけたかのように、じゅくじゅくに濡れた黒い下着。
秘部の形まで鮮明に浮かび上がらせている。
…くちゅ。
そしてアシュレーは、その薄い下着の上から愛撫しはじめた。
「ひぁ…ッん…!」
厚手のブルマの上からの愛撫とは桁違いの快感に、カノンは身体をびくつかせた。
アシュレーの指の感触が、薄い下着越しに鈍く伝わる。
今まで感じた事のないような快感が、火照ったカノンの身体を更に責め上げる。
「…気持ちいい?」
「ぁ……い、いい訳……はぁッ…な、無い…!や、んぅ……」
文句を言っても、甘い嬌声で殆ど塗り替えられてしまう。
どこからどう見ても感じていると分かるのに、未だカノンは言葉の抵抗を止めない。
溶けそうになる意識を何度も叱咤して、カノンは潤んだ瞳でアシュレーをにらみ付けた。
「こ、こんな事…許されると……あんッ…思ってるのか…!?」
「大声出したら、先生が来てくれるかもね。出したかったら出していいよ」
ちゅるッ
とうとうアシュレーの指が、下着の隙間から中に滑り込んだ。
蜜をたっぷりと湛えたそこに、直接指が絡みつく。
「ん…!」
「別に僕は構わないけど、こんな姿を晒したいかい?男の先生が来ると思うけどね、暴漢には」
「……ッ!あ、あ…く……貴様は、どこまで…!」
どこまで卑怯なんだ。
自分は女。こんな裸同然の姿を他人に晒せる訳が無い。誰が来るか分からないなら尚更だ。
どうにもならないこの状況に、カノンは目の前の男を睨みつけて歯噛みした。
ちゅ…くちゅ…
そして秘部から漏れる音も更にひどくなっていった。
アシュレーは十分過ぎるくらい濡れたそこを確認すると、その中心に中指をあてがった。
くぷッ…
「ひゃうッ…!」
自分の奥深くへ侵入してきた指に、カノンは甘い声をあげる。
慎重に指を奥まで進めていき、殆ど中指が隠れたくらいになると、カノンの中をかき回し始めた。
くちゃくちゃと聞こえる水音に、カノンはきゅっと拳を握り締めた。
「あッ…!や、あ、やめ…あぁッ、ん…!」
「案外真面目なんだね、もっと遊んでるかと思った」
「いや…んッ!」
「そういえばキミ、浮いた話あんまり聞かないよね、美人なのに。彼氏とかいないの?」
「や…やめ…ぁん!ダメぇ……!」
普段の冷静すぎる彼女の姿など、ここには欠片も残ってはいなかった。
受け止めきれない快感に、ただ身悶え甘く啼く。
だが徐々に遠のいて行く意識は、唐突に引き戻される。
「それじゃ…初めてだったら、ゴメンね?」
いつも通りの笑顔をするアシュレーとは対照的な、凶悪な太い凶器がカノンの目の前でびくびくと天井に向かって反り立っていた。
「い、嫌だッ!やめて、やめて…!」
そのアシュレーのものを見た途端、カノンは悲鳴を上げた。
標準的な白さのアシュレーの肌とは全く別物のような、浅黒い凶器。
「ひょっとして、見るの初めて?まさかそんな訳ないよね」
そんなカノンをよそに、ブルマと下着の横からアシュレーはぴたりとカノンの秘部に突きつける。
そしてためらいも無く、アシュレーはカノンに突き立てた。
ずッ…
「ああぁ…ッ…!や、ん…!」
アシュレーのものの先端が飲み込まれると、カノンはびくんと反応した。
それはゆっくりとカノンに沈んでいったが、比較的奥の部分で緩くつっかえた。
「いい?いくよ。力抜いてないと痛いよ、せーのッ」
まだ答えも返していないのに。カノンがそれを頭で理解する瞬間。
ぴ…ッ
「ぃ、痛…ッ!嫌…ぁッ!!」
アシュレーはその汚れ無き膜を、惜しげもなく強引に引き裂いた。
それと同時に、アシュレーのものを咥えている接点から僅かに赤が混ざった蜜が溢れた。
いままで経験したことのない、内部を切られたような痛みにカノンは表情を歪ませた。
そんな事お構い無しに、アシュレーは鈍く前後運動を開始した。
「痛いッ……会長ッ!!」
「あはは、大丈夫大丈夫。すぐ気持ち良くするから」
アシュレーは苦痛に喘ぐ彼女の、ものが入っているすぐ傍らに存在している小さな豆をぱんっと指で弾いた。
「きゃ、ぁんッ!!?」
途端凄まじい快感がカノンの身体を襲い、彼女はまるで陸に打ち上げられた魚のように酷く痙攣した。
「ほら、これで痛くないだろ?」
左手で敏感すぎる豆を、右手で胸の突起をくりくり弄びながらアシュレーは更に深く、激しく突きだした。
「あッ、や、ぅ…!はんッ、会、長…ッ!!」
感じるはずの痛みも、その二つの敏感な場所を愛撫されている快感ですべて掻き消された。
感じすぎて、アシュレーの乱暴な突き上げさえも快感と錯覚してしまう。
カノンは快感の涙を一粒零して、長い髪を振り乱した。
「会長ッ、やだ…ぁッ!んんッ…!」
「キミがこんなにエッチだったなんて知らなかったよ、ホント外見じゃ分かんないね」
「ち、違う…あんッ!会長がッ、こんな、事……ひゃぁん…!!」
突き上げを止めないアシュレーは、もう一度びくんと痙攣したカノンに口付けると瞳を真っ向から覗き込んで囁いた。
「カノン…僕の事、名前で呼んでくれないかな?」
「こんな時くらい、生徒会長の肩書きを下ろさせてよ」
アシュレーは、ふふっと笑うとぐちゅぐちゅと綺麗だったカノンの中をかき回した。
もうまともに言葉も返せなくなったカノンは、喘ぎながらも辛うじて首を横に振った。
その直後、アシュレーは敏感な豆を軽く抓る。
「ああッ!」
「ね、お願い。名前で呼んでみてよ。名前で呼んでくれたら終わらせるからさ…」
ちゅ、ぐちゅッ、じゅ…
そして突き上げも、そこから漏れる湿った音も酷さを増していった。
突き上げながら、アシュレーは右手を胸の突起から静かに離す。
そして、ゆっくりと補助をしていた小豆からも手を引いた。
「やッ、あぁ、はぁッ…はぁッ…ん…!」
「カノン、呼んでくれたら違反も、手帳も返してあげるからさ。これも終わらせてあげる」
「い、ぃあッ……あ……ぅぅッ……ぁ……しゅ…」
「ほら、もう少し。頑張って」
「ん…ぁ………あ、しゅれ、ッ……アシュレーッ…!」
びくびくと突き上げに過剰反応しながら、カノンはか細く、それだけ答えた。
これだけで開放されるなら、名前を呼ぶことぐらい…
じゅッ、ずッ!ずッずッず…ッ!
「ひッ!?あ…!あぅッ、ん…!いや…あぁッ!!」
「ありがと、カノン。嬉しいよ」
「そ、そんな…はぁんッ!約束が、違……ッふあぁ!!」
「すぐ「終わらせて」あげるからね、あと、もう少しッ…」
終わりが確実に近づき、アシュレーの動きが更に激しさを増した。
今まで平常と大して変わらなかった彼が、僅かに息を荒げる。
「あッ、あッ!!ダメッ!ダメぇッ……!」
「静かにしなきゃ、誰かッ…来るかもよ?」
「んッ、ぁ、あたしッ……ダメッ!へ、変になッ……やぁッ、やめて……!!」
「奇遇だね、僕も、そろそろ……ッく……!」
「あ、あしゅ……アシュレ…ッ!!」
「カノ……ん、ぁッ!」
「は…ぁッ!!……ぃや…あぁ、んッ!!」
そして同時に、繋がったまま二人は限界を迎えた。
「はぁ、はぁ…ふぅ。お疲れ、カノン。はい、手帳。違反は取り下げにしとくからね」
アシュレーは僅かな汗を拭いながら、ズボンのベルトをかちゃかちゃと元にかけなおした。
そして、ぽんっとカノンの足もとに軽く手帳を飛ばす。
全く意味の無いねぎらいの言葉を掛けられたカノンは、ぎりっとアシュレーを睨み返す。
「もう、最低だッ…なんで、中なんかにッ!会長の馬鹿がッ!!」
カノンは乱されたセーラー服のまま、くっきりとメジャーの跡が残る手首を抱え荒い息でアシュレーに怒鳴った。
「後で掻き出せば大丈夫だよ、シャワーで流してね」
「そういう問題じゃない!どうしてくれるんだ!!」
「処女はごめんって。でも最中のキミ、マリナよりずっと可愛かったよ。やっぱ女の子だね」
「なッ…!」
うろたえて顔を赤く染めたカノンに、アシュレーは軽くキスをした。
「はい、じゃあ今日は終わり。早く帰りなよ。もしタバコ吸ったらまたお仕置き…ね?」
アシュレーは笑いながら、真新しいタバコをカノンの胸ポケットに差し込んだ。