「甘くて良い香りがします」  
 
透き通るような声に、グレッグはボトルを片手に顔を上げた。  
上品ないでたちに穏やかな笑顔。銀色の長い髪が夜風に靡いている。  
 
「この香り…ジョニー・アップルシードですね?」  
「見つかっちまったか」  
 
グレッグは肩をすくめるとボトルを口へと運ぶ。  
 
「寝付けなくてな」  
 
そうですか、と一言呟き、アヴリルはグレッグの横に腰を下ろした。  
 
「わたくしもです」  
 
目の前で揺らめく炎は今にも消えそうに小さい。  
その向こうにはボロボロになったテントがふたつ。  
ひとつはディーン・グレッグ・チャックの男性用テント。もうひとつはレベッカ・アヴリル・キャロル3人の女性用テントである。  
時折ディーンの寝言とイビキが聞こえるが、それでもソル・ニゲルを倒しこの地を制圧した今となっては、ゆっくりと眠りにつける…そんな束の間の静かで平和な夜だった。  
 
「わたくしにも一口いただけますか?」  
 
突然の要求にグレッグは目を丸くしてすぐ隣で自分を見上げるアヴリルを見た。  
 
「お前、未成年じゃねぇのか?」  
「ふふ、わたくしグレッグよりもずっと大人ですよ?」  
「む、そ、そうか…まぁ構わねえが。このままでいいか?」  
 
口を付けた場所を申し訳程度にぐいと指でふき取ると、そのまま彼女に差し出す。  
 
「ありがとうグレッグ」  
 
ボトルを受け取り、アヴリルはふんわりと微笑んだ。  
 
「一度ジョニー・アップルシードというお酒を味わってみたかったのです」  
「実は俺もこの味は久しぶりでな。復讐を遂げるまでは苦い思い出でしかなかったんだが…これが再び美味いと思えるようになったのも、お前らのおかげだな」  
「ふふ、それでは乾杯、ですね」  
 
軽くボトルを掲げるアヴリルに黙って笑みを返す。  
こくん、こくんと喉の鳴る音を耳に、グレッグは黒い空を見上げた。  
夜空を彩る幾千の星が眩暈を誘う。  
 
(少し…飲みすぎたか)  
 
グレッグは大きく息を吐き出すと、隣のアヴリルに顔を向けた。  
 
「さぁ、明日も早い。さっさと寝…――ッ!?」  
 
一瞬言葉に詰まる。  
目線の先には空になったジョニー・アップルシードのボトル。  
そしてフニャフニャになったアヴリルの紅い顔があった。  
 
「バッ…お前これ全部飲んだのかッ!? 結構強いんだぞッ!」  
「あうあう…おそらがまわってます〜…」  
「お、おいッ!」  
 
ぐらりと真後ろに倒れていくアヴリルの背中に慌てて手を差し込み、なんとか身体を支える。  
 
「ったく……勘弁してくれ」  
 
やれやれと首を振り、アヴリルの手にしっかりと握られたボトルを取ろうと身をかがめたその瞬間。  
 
「ッ!?」  
 
唇に温かいものが押し付けられ、グレッグは目をむいた。  
押し上げられた帽子は、パサリと乾いた音を立てて後方に落ちる。  
一瞬何が起こったのかわからなかった。  
甘い香りとアルコール臭。口の中に進入した滑った温かい感触がグレッグの舌を刺激し、ハッと我に返る。  
 
「ちょ…ッと待て…ッ!何しやがるッ!」  
 
アヴリルの薄い肩を両手で掴み、グレッグは思い切り引き離した。  
 
「ッはぁ…グレッグ、わたくし…」  
 
離れた唇から唾液がだらしなく口の端をこぼれる。  
頬を紅く染めあげ、更にうるうると揺れる子犬のような瞳で見上げられ、グレッグはひるんだ。  
 
「な、何だ…」  
 
 
「むらむらしてきました」  
 
 
一瞬で大地から星空に視界が移り変わった。  
が、すぐにグレッグの上に馬乗りになったアヴリルの美しい顔で一面に広がった空は隠され、顔の両脇にさらさらと銀色の雨が降り注ぐ。  
チュパチュパと音を立てて唇に吸い付き、滑り込ませた舌でグレッグのそれを小刻みに舐めるアヴリルに、最初は微妙にたじろいでいたグレッグもその淡い快感にすぐに溺れていった。  
妻子がこの世を去って以来、手淫で自らを慰めていたグレッグにとってこの感覚は久しぶりのもので、既に反応してしまっている下半身に何やら情けないものを感じた。  
 
「たくましいむないたですね」  
 
グレッグの上着のファスナーを下ろし、むき出しになった胸元にすりすりと頬を寄せ、アヴリルはうっとりと呟いた。  
 
「ぅおッ…」  
 
細い指先で乳首をつままれ更にはくりくりといじくりまわされ、グレッグの口から思わず声がもれる。  
ひんやりとした冷たい感覚に、身体が跳ねた。  
 
「あんまりおおきなこえをだしてはいけませんよ〜。みなさん、おきてしまいます」  
 
しぃ、と人差し指を自分の唇に押し当てると、アヴリルはそのまま赤い舌をペロリと出しグレッグの乳首をゆっくりと舐め始めた。  
 
「うふふ、たってますよ」  
「ああ、勃ってるぜ。どこもかしこもなッ」  
 
グレッグはアヴリルの右手を取ると、自分の股間へと導く。  
パンパンに膨れ上がったそれは、窮屈そうにジーンズの中で脈打っていた。  
 
「こいつもどうにかしてくれ。痛くてかなわねぇ」  
「あらあら、それはたいへんです」  
 
尚も乳首に舌を這わせつつ、アヴリルはグレッグの勃起したそれをジーンズの上から指に力を込め何度も撫であげた。  
 
「これはそうぞういじょうにいいものをおもちのようですね」  
「想像以上とはどういう意味だ…」  
 
グレッグの小さな呟きは耳には入らなかったらしい。  
ベルトを外し手馴れた手つきでジーンズを引き下ろす。  
天に向かって力強く聳え立った肉の塔が勢いよく飛び出し、アヴリルは感嘆の声を上げた。  
 
「すてきです…」  
 
うっとりと蕩けそうな微笑を浮かべ、アヴリルはその黒くて硬くておっきいモノに触れる。  
そのまま親指と人差し指をきゅッと締め、ゆっくりと上下に扱き出した。  
 
「あ……、もうおしるがさきっぽからにじみでてますよ。きもちいいのですか?」  
「ああ、いいぜ…自分でするより興奮するもんだな」  
 
腹筋を震わせ息を荒げながら、グレッグは口角をクイとあげた。  
 
「口も使ってくれアヴリル。お前の口に入るかはわからんがな」  
 
「おくち、ですか?」  
 
陰茎を扱きながら、アヴリルは恍惚とした表情を浮かべ手の中のグロテスクなものへと顔を寄せた。  
 
「あ…、いやらしいにおいがします」  
「フッ、嫌いでもなさそうな顔じゃねぇか」  
 
コクンと頷き、アヴリルは両手で茎の部分を扱きつつ、先走りが滲む亀頭の頂に軽く舌を這わせた。  
ねっとりと亀頭全体を舌の広いところで撫で回し、更にすぐ下のくびれを舌先で優しく愛撫する。  
アヴリルの吐き出す熱い息と小刻みに漏れる声もまた、グレッグの興奮を高めていった。  
 
「あ…んッ、あむぅ…」  
 
アヴリルは口を大きく開けると、丸みを帯びた頂を柔らかな唇で包み込んだ。  
唾液がじゅわっと端から溢れ、グレッグのそれはさらに光沢を増す。  
アブリルの手袋も、彼女の唾液と男の体液でぐっしょりと濡れていた。  
 
「んッ…んン、ぅん……」  
 
しかし、人より少し小さめの彼女の口にはそれ以上の進入は無理だったらしい。  
 
「ぷはぁっ……はいらないみたいです…ごめんなさいグレッグ」  
 
一度唇を外し、荒い息を整える。  
こちらを見上げるアヴリルの申し訳無さそうな困ったようなその顔が、グレッグには可愛らしく見えた。  
その両手はまだ、愛しそうにグレッグのモノを握っている。  
 
「ディーンのようにりんごをまるごといれることができるおくちをもっていたら、わたくしにもできたのでしょうけど…」  
「……。…いや、お前はそのままでいい」  
「あうあう……それではこういうのはどうでしょう」  
 
アヴリルは右手で亀頭を包み込み親指で尿道口を優しくさすった。  
更に顔を傾け陰茎を唇でやんわり挟むと、裏筋に沿って絶妙な振動を加えつつ根元を目指していく。  
 
「くッ…!」  
 
グレッグの腹筋が激しく震えた。  
アヴリルは袋を優しく口に含み口内でそれを揉みほぐしながら、左手で陰茎を上下に扱き右手で亀頭を弄くる。  
巧みな攻めの連続に、グレッグはとうとう根を上げた。  
 
「ぐぅ…ッ、出るッ!―――…ッ!」  
 
一度大きく膨らみ、その刹那、先端から白濁が勢い良く飛び出した。  
大量の精液はアヴリルの右手を白く汚していく。  
手袋を通して染み込んでくるその心地の良い温かさに、アヴリルはほぅ、と息をついた。  
 
「…ッはっ、はぁ…―――……」  
 
すべてを解放し、大きく息をついて、グレッグはしばらく天を仰いだまま動かなかった。  
 
「はぁ〜…すごいりょうですね〜」  
 
その横で、アヴリルは右手に大量に付いた白い粘液を嬉しそうに眺めている。  
濡れて黒くなった手袋は白いそれを際立たせていた。  
 
「まあ…溜まってたからな…」  
 
グレッグはのそりと上半身を起こすと、付けていたグローブを両方外し横に放り投げた。  
ガリガリと頭をかき、アヴリルに目を向ける。  
 
「悪かったな、俺だけ」  
「いいえ、だいじょうぶですよ。よるはまだまだながいですから」  
「…………。……ああ、そうだな…」  
 
ふんわりとした笑顔に多少の恐怖を感じ、グレッグは苦笑を浮かべた。  
 
「…まぁ、なんだ」  
 
ひとつ息を吐き出すと、アヴリルの顔にぐいと自分の顔を近づける。  
 
「ムラムラしてるんだろ?」  
 
「…はい。とても」  
 
顔を近づけたまま動かないグレッグに我慢出来なくなったのか、自ら彼の唇に吸い付いてきたアヴリルを今度は突き放すことなくその胸に迎え入れる。  
角度を変えてはくちづけを繰り返す二人の唇から唾液がとろりと零れ落ちた。  
それを舌ですくい上げ、また互いの口へとそれを注ぎ込む。  
アヴリルの腰紐をとき上着を剥ぐと、背中の大きく開いた白いワンピースが現れた。  
身体のラインをそのまま浮き上がらせている彼女のその姿に、グレッグはひっそりと息を呑む。  
 
「んあっ…あ、ぁあッ…」  
 
大きな手でその剥き出しの背中を撫でると、アヴリルの身体がひとつ、またひとつと跳ね上がった。  
しっとりと汗ばんだその背中の腰の窪みを親指で優しく擦りながら、グレッグは唇を耳元へと移動させ低く呟く。  
 
「あんま大きな声出すなよ。みんな起きちまうんだろ?」  
「んン…ッ」  
 
一度テントの方を振り返ると、アヴリルはぎゅっと顔をグレッグの肩口に埋めて声を押し殺した。  
 
「フッ…」  
 
唇の端を持ち上げ小さく笑うと、空いた手をアヴリルの胸元へと持っていく。  
小振りだが張りのあるそれは指を食い込ませるたびに強く押し返してきて、グレッグの手を、指を楽しませた。  
 
「おいおい、乳首浮き出てるぜ?」  
「ひぁッ!?」  
 
白い布地にくっきりと浮き出たその突起を爪で軽く引っかくと、アヴリルの身体は更にビクンと跳ねる。  
熱い吐息が首筋にかかり、グレッグもゾクゾクと身を奮わせた。  
再び下半身が熱を帯びていくのを感じる。  
 
「あうぅッ…や…くすぐった、いです…ッあん、あッ」  
 
何度も爪で引っかいた後、グレッグは太い指で更に硬さを増した突起をつまみ、先程アヴリルが自分にしたように、コリコリとこねる様に弄くった。  
腕の中で悶えるアヴリルの顔を眺めながら、更にはスカートの中へと手を滑らせる。  
むっちりとした太ももや尻の感触を大きな掌で堪能しながら、グレッグは頭をアヴリルの胸元まで下げ勃起した乳首に唇を寄せると、薄く白い布地の上からたっぷりと唾液を塗り込め吸い付いた。  
 
「ゃあぁ…ッ、ちくび、そんなにしては…ッ、わたくし、あ、ああぁっ!」  
「もう片方も欲しいってか?いいぜ」  
 
白い布地は唾液で透け、既に淡い桜色の乳首をくっきりと浮かび上がらせていた。  
グレッグは満足そうにそれを確認した後、もう片方の乳首にむしゃぶりつく。  
ジュルジュルと唾液を含んだ布地を吸い上げ、歯を立てるグレッグの頭を、アヴリルはもっとと言わんばかりに抱え込んだ。  
グレッグは乳首を舌で転がしながら、太ももの内側をまさぐっていた手を脚の付け根へと滑らせる。  
そこは、お漏らしでもしたのかと言わんばかりに下着の中心を湿らせていた。  
 
「すげぇな…ぐっちょぐちょじゃねぇか」  
 
予想以上の濡れにグレッグは目を丸くした。  
下着の上から亀裂に指を食い込ませ少し動かしただけで、愛液を大量に含み湿った布地はくちゅくちゅと音を立てる。  
 
「あんッ…ああぁッ!!」  
「いつから濡らしてた? 俺のしゃぶってた時からか?」  
「あうッ、そ、です…ッ、あんっ、そんな触り方…、あぁッだめ…あぁッ!」  
 
下着の上からクリトリスを擦られ、アヴリルは髪を振り乱しその快感に泣きそうな表情を浮かべた。  
グレッグはそこから手を離すと、濡れた下着を剥ぎ取りその場にアヴリルを寝かせる。  
服が透けて丸見えの乳房とスカートのスリットからちらりと見える銀色の陰毛と割れ目は、どんな裸よりもいやらしくその目に映った。  
 

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