ディーンはゆっくと起き上がった。辺りを見渡す。
グレッグとチャックは、久々のベッドだからか、この街名産のアップルシードのせいかぐっすり
寝ているようだ。これなら抜け出しても大丈夫だろう。
ゴウノンの宿。静かな住宅街のため、外からは何の物音もしない。聴こえるのはグレッグと
チャックの寝息だけだ。一瞬迷って、ディーンはベッドから抜け出した。
部屋を出て、隣の部屋の前に立つ。中では女の子たち三人が寝ているはずだ。そこで深呼吸。
アヴリルに頼まれたのだ。「こんやへやに来てください」と。「なんで?」と訊いても「来てくれ
ればわかります」とそれしか言ってくれなかった。
恐る恐るノックをした。だけど、何の返事もない。代わりにかすかな声が聴こえてきた。
悲鳴ッ!?一瞬驚いた。だけどすぐに廊下は静まり返った。
この部屋から聴こえたんだよな、とディーンは目の前の扉を見つめた。
再度ノックをしようとした時、また聴こえてきた。
「あっ……」
レベッカの声だ。と、思う。多分。聞いた事ない声だった。まるでアノ時の声のような…。まさか。
ディーンはごくりっと唾を飲み込んだ。
どうする?引き返すか?でも自分はアヴリルと約束したんだし。アヴリルは中にいるのだろうか。
様子、そうだ、中の様子を知らなければ…
ディーンはどこかに向かって言い訳をしながら、扉に耳を着けた。
「あ…いやあ……んっ…」
ディーンは背中に汗を感じた。間違いない、レベッカだ。とにかくこの状態はまずい、と思うのに
耳を離せない。
急に声が止んだ。
不思議に思っていると、扉がいきなり内側に開いた。
ディーンはバランスを崩して部屋の中に転がり込んだ。
目の前にはアヴリルが立っている。
「ディーン、おそかったのですね」
にっこりと微笑んでいる。窓から差し込む月の光で、銀の髪が輝いていた。
アヴリルはいつもの緑色の上着を着ていない。薄く体に纏わりつくような生地の服は、艶かしく
アヴリルの体のラインを見せていた。大きくはないけれど、形の良い胸。そして膨れた乳首。華奢な
ウェストと形の良さそうなへその影。
「アヴリル…えっと、その」
ディーンは焦って視線を動かし、とんでもないものを見つけてしまった。
「え?ディーン…?」
視線が合った。とたんにレベッカは叫ぶ。
「いやあああ!お願い、見ないでッ!」
レベッカは全裸だった。
身体をよじって、ディーンの視線から隠そうとする。
でもその細く適度に柔らかそうな両腕は、頭の上でベッドに縛り付けられており、大した身動きは
取れないようだった。
そんな姿勢でも、胸はなお豊かな張りを見せ、乳首はつんっと尖っているのが判った。やはり月明
かりに照らされて、肌がぼんやりと輝いている。
アヴリルが振り返って、レベッカをたしなめた。
「レベッカ、そんなに大きなこえをだすとさすがにキャロルがおきてしまいます」
レベッカは小さく唸って、それでも唇をぎゅっと噛み締めて声を出さないようにした。
固く瞼を閉じ目尻には涙が溜まっている。その姿は、ディーンに咽喉の渇きを感じさせた。
「キャロル、は…」
レベッカの隣のベッド。小さく毛布が盛り上がっている。今の叫び声でも目が覚めないのだろうか。
アヴリルがディーンに答えた。
「すいみんやくをのんでもらいました。朝までめがさめることはありません」
「睡眠薬ぅ〜ッ!?」
「はい。ですが、からだにはえいきょうのないくすりなので、だいじょうぶです。キャロルには
まだすこしはやいですから」
にっこり笑うその笑顔はいつものアヴリルだった。それなのに、とんでもないことを言っている。
「……どうしてこんな……」
アヴリルの手がすっと前に伸び、ディーンの頬に触れた。人差し指ですうっと頬を撫でる。
「わたくしたち、きもちよくなりたいのです。ですが、ざんねんなことに…」
アヴリルは悲しげに目を伏せ、ふるふると首を振った。
「いいえ、ざんねんなこと、ではないのです。うれしいのです。けれど、レベッカにしてみれば
しょじょを道具にうばわれるのは、やはりよくないことかと。そこで、ディーンにお手伝いして
もらいたいのです」
「アヴリルッ!」
レベッカの叫び声で、ディーンは我に返った。
「……え?」今、なんて…?
アヴリルはきっと挑む様な視線でディーンを見つめた。
「ディーン!これはレベッカのおさななじみである、あなたの義務です。レベッカのしょじょは
あなたがもらいなさい」
「え、う、嘘だろッ?!ははは、何言ってるんだよ、アヴリル」
「これはじょうだんではありません」
アヴリルは両手でディーンの頬を挟むと、そのままディーンの唇を塞いだ。すぐに口の中に舌が
潜り込んでくる。
「……ッ!」
舌先が歯茎を辿る。目の前のアヴリルは、それでも美しかった。白かった頬は、かすかに
紅潮している。自分とのキスに夢中になっている。
アヴリルの腕がディーンの首筋に絡みついた。体の力は抜けていくのに、唇は熱い。いつの間にか
ディーンの方からアヴリルの舌を求め絡める。目を閉じ、逆にアヴリルの細い体を強く抱きしめて
いた。
甘い匂いがふわりと漂う。
「ディーン…」
泣きそうなレベッカの声が遠くで聴こえた。
月明かりの綺麗な静かな夜だった。
室内にはディーンとアヴリルの舌が絡む音が響いていた。そして時折、わずかに唇が離れた
隙に零れる吐息。そんな湿った音が、まるで媚薬のように部屋中に広がり、空気が濃密度を
増して行く。
アヴリルの手は、ディーンの首筋から降りて行き、鎖骨をなぞった後さらに存外に逞しい
胸板へと滑り降りていく。
「う……」
ディーンがうめくと、アヴリルがくすくす笑う。
「ここかんじるのですね」
その細く綺麗な指先で、シャツの上から乳首を何度も引っかいた。
「アヴリル、やめッ!」
アヴリルは微笑んだまま、その手をさらに下へと動かしていく。やがてディーンの下半身に
触れた。うっとりとした眼差しを向け、ゆっくりゆっくり擦る。
「ああ、もうこんなに大きくなっています」
「――――ッ!アヴリル!」
ジーンズの上から与えられるわずかな刺激。もっと強くと願っても、それ以上与えられることは
ない。ディーンが思わずアヴリルを抱きしめようとすると、アヴリルはするっと逃れてしまった。
「ディーンいけません。あいてがちがいます」
アヴリルはそのままベッドの隣に立ち、両手首をベッドに縛り付けられたままのレベッカを見下ろ
した。
昼間とは違って三つ編みは解かれ、長い髪がシーツの上に広がっている。レベッカは顔を背け、
ぎゅっと瞼を閉じていた。頬は涙で濡れている。
「レベッカ、なかないでください」
アヴリルが髪をなでると、レベッカの瞳から涙が零れ落ち、月の光を浴びて光った。レベッカの
柔らかい頬に唇を落とし、涙を啜った。
「レベッカのなみだはしょっぱいです」
レベッカは涙目でアヴリルを見上げた。震える唇が、それでも小さく動いた。
「…アヴリルお願い。解いて。こんなこと止めて」
アヴリルはくすりと笑って、レベッカの胸の頂点を摘んだ。
「ひゃん!」
レベッカの唇から悲鳴と言うには鼻にかかかったどこまでも甘い声が零れた。
そのままアヴリルの指先は、乳首を弄り出す。力を入れすぎないよう、弱すぎないよう。痛みより
快楽を与えるよう、すでに十分に膨らんでいるそこを巧みに弄んでいく。
「いやぁ……あっ……」
「ほら、まるで吸ってくださいとおねだりしているようです」
アヴリルは、指先で乳首を弾いた。
「あんっ」
レベッカの身体が跳ねる。
「ふふ。そんな声でやめてほしいのでか?そうはおもえません。そうですよね、ディーン?」
レベッカはディーンの顔を見てしまった。
自分の顔を、身体を、食い入るように見つめる彼の顔。まるで知らない人のようだった。見たこと
のない男の顔。
「いやあ!ディーン、お願いッ!見ないで!」
レベッカは身体をくねらせて、視線から逃れようとした。けれど両手首はすっかり縄でくくられ
びくともしない。できるのはせいぜい身体を横に倒すことだけ。けれど今度は背中からお尻に
舐め回すような視線を感じた。怖い。
大好きなディーン。キスしたいな、と思ったことはある。ディーンの腕で抱きしめて欲しい
と思ったことも。それだけじゃなくて……。でも、こんなのは嫌ッ!
レベッカが尚も流れ出そうになる涙を堪えていると、アヴリルの冷静な声が聞こえた。
「ディーン、レベッカはうつくしいとおもいませんか?」
「……ああ」
頷くディーンの声。レベッカの身体が震えた。
「なんて言ったらいいのか、こんなレベッカ初めてで、でも俺……」
その声に含まれるのは戸惑いと、別の熱い何か。
「喘ぐ姿もかわいいでしょう?」
「ああ」
レベッカは混乱した。こんな時でもディーンにかわいいと言われるのは嬉しかった。だけどこんな
姿。親友に弄ばれて喜んでいるのに。こんないやらしい姿なのに。
「レベッカ、きちんとあおむけになりなさい。せっかくのレベッカのすがた、ディーンにも見て
もらわなくては」
レベッカが首を横に振っていやいやをすると、アヴリルはため息をついた。
「すなおになりなさい」
アヴリルの手が背中に触れた。そのまま背骨を辿って、腰へと向かう。
S字を描く曲線をするっと撫で、さらに下へ柔らかな双丘の合間へ指先が入り込もうとした。
「いや!」
レベッカが再び身をくねらせて仰向けになると、自分に落ちる二つの影に気がついた。驚いた。
ベッドの片側にはアヴリル。反対側にはディーンがいつの間にかすぐ隣に立っていた。
その眼には暗く光り、欲望を宿していた。
「さあ、ディーン。あなたもさわりたいでしょう?レベッカのむねは大きくてやわらかくて
きもちが良いのです」
ディーンはごくりと咽喉を鳴らし、そして手を伸ばした。
月明かりで白く光る柔らかそうな二つの膨らみ。その中心の色付き立っている部分に
指先で触れ、驚いた。硬そうに見えたのに柔らかくて、ディーンが摘むと形が変わっ
てしまう。
「痛ッ!」
レベッカが叫び声をあげた。
「ご、ごめん」
「ディーン、おんなのこは繊細なのです。もっとやさしくあつかってあげてください」
アヴリルにも睨まれる。
ディーンは頷いて、ゆっくりと胸を揉んだ。手に吸い付くようなその肌。信じられない
ほど柔らかい。指先に軽く力を入れると指の間から乳首が零れ、ひどくなまめかしかった。
「ディーン、だめぇ!」
レベッカが身を捩じらせた。嫌なのかとレベッカの顔を覗き込んだ。潤んだ大きな瞳と
紅潮した頬。唇は小さく開き、ディーンの手の動きに合わせて吐息が零れている。
その唇に触れたい衝動に駆られた。指を伸ばし、唇をなぞる。レベッカの口から小さな
悲鳴が聞こえた。
名前を呼ばれる。
「ディーン………」
吐息交じりの甘い甘い声。
耐え切れなくなり、ディーンは唇を重ねた。
今度は唇の柔らかさに驚いた。しっとりとした熱い唇。もっと触れたい。本能に突き動か
されるまま、ディーンは舌をレベッカの口内に侵入させた。逃げようとするレベッカのを
見つけ絡め取る。
「………んっ」
ディーンはキスの合間に目を開け、レベッカを盗み見た。瞼を閉じ、自分とのキスに没頭
している。乳首を指で擦ると、眉を寄せ苦しそうにする。そのくせ、舌は絡まって離れる
ことはない。
唇を吸い、唾液を混ぜ、何度も何度も唇を重ね合わせた。その間も胸へ刺激を与えるのは
忘れない。左右の胸を交互に揉んでほぐす。たまに乳首を弾くと、堪えきれなくなった
レベッカは唇を外して叫び声を上げた。
初めて見たレベッカの媚態。ディーンは夢中になっていった。
もっと感じさせたい。もっとこんな姿を見たい。もっと。
アヴリルの声が脳内に響く。
「ディーン、レベッカのむねはおいしいのですよ。なめてみてください」
言われるままに、胸へと唇を付けた。ふもとからゆっくりと舐め上げていく。
「ふあ」
生温かなざらついた感触にレベッカの身体が震えた。
「レベッカ、あしをひらきなさい。わたくしもあなたを味わいたいのです」
「いやあ」
レベッカは首を横に振った。ダメ。それだけは絶対にダメ。足に力を入れ。硬く閉じる。
それを見たアヴリルの冷たい声が命じた。
「ディーン、レベッカのちくびをすいなさい!」
ディーンは躊躇せず、その胸の頂点に吸い付いた。思いっきり吸い、口内で転がした。
舌で頂点を突き、歯を立て甘噛みをする。
「いやあ!あ、ダメ、ディーン。あんっ」
左の胸を存分に舐めた後は、右の胸を口に含む。空いた方は手で弄る。指先で頂点を弄るのと
同時に、乳首を刺激すると、一層大きな声が上がった。
「ああっ」
アヴリルの声が響いた。先程とは打って変わって、いつもの優しい声。
「レベッカ、あしをひらいてください。あなたをもっときもちよくしてあげますから」
「あん」
ダメ、足の力が抜けてしまう。身体が言うことを聞いてくれない。
だって足りないの、胸だけじゃ。だけど、そんなはしたないこと。絶対にダメだから!
尚も頑ななレベッカを見て、アヴリルは微笑んだ。
「かわいいレベッカ、それでこそ教えがいがあります」
アヴリルは手を伸ばし、レベッカのへその下に触れた。滑らかな肌。そこから指を滑らせた。
柔らかな毛に到達すると、そこをゆっくり撫でていく。毛を梳くように撫でた後、反対に
立てるように撫でる。
「あ、ああ、あ」
レベッカの膝がとうとう緩んだ。アヴリルはその瞬間を逃さず、腿を掴んで一気に押し広げた。
雌独特の匂いが広がる。
「ああ、すっかりぬれてますね」
アヴリルの細い指が、ゆっくり割れ目へ入っていく。
「ほら、こんなに。きこえますか?」
アヴリルは指を動かした。くちゅ…水音が鳴る。
「あ、やだ…」
レベッカが頬を紅潮させ、顔を背けた。ディーンは胸を弄るのを止めて、興味津々と言った顔で
アヴリルの手元を覗く。
「や、見ないでぇ」
とくん。視線を感じる。見られてるのを意識して。
「……きれいだ」
ディーンの感心したような声。
「あ……」
余計に溢れていく。とくん。あの部分から蜜が溢れていく。
「……アヴリル、俺にも触らせてくれよ」
「ふう。しかたありませんね。きょうはとくべつにゆずってあげます」
アヴリルが退き、代わりにディーンがレベッカの足の間に座り込んだ。
白い太ももを撫でると、レベッカの身体が震えた。そのまま足の付け根を目指す。
指で割れ目を押し広げ、こりこりとしている部分に触れた。ピンクの花びらの中に埋もれている
小さな真珠。ディーンはそこを指で擦る。
「あん、ディ、ン、そこは……」
「レベッカ?」
「ふあ、あ」
レベッカの顔を見ると、口はだらしなく開き、荒い呼吸を繰り返している。
「ディーン、そこはおんなのこのいちばんかんじる部分なのです」
「やん。そんなこと」
その部分を指で摘んだ。
「ひゃあ!」
レベッカの身体が跳ねる。顔を横に振るたび髪が乱れていく。そんなレベッカを見ていると
たまらなかった。クリトリスを大きく円を書くように指の腹で擦り、指先で摘んで揉む。
いつしかレベッカの腰は、ディーンの手の動きに合わせるかのように動いていた。
欲しがっている。それが判った。
「ディーン…」
吐息混じりに名前を呼ばれる。視線が合った。快楽のあまり焦点を失い、涙で潤んだ瞳。
ぽってりと膨らみ、半開きの唇。月明かりに照らされる白く滑らかな肌。
最早力が入らないのだろう、手を放しても足を閉じようとはしなかった。
細すぎず太すぎず柔らかな太腿。その付け根はしっとりと濡れている。シーツまで色が
変わっているほどだった。
その太腿に唇をつける。軽く吸っただけで赤く色づいた。くらくらするほどのレベッカの
匂い。何も考えられなくなっていく。あるのは欲望だけ。
「あ…」
少しずつ唇を移動していく。足の付け根へと上がっていく。目的の場所に到達した時、一層
レベッカの身体が震えた。先程指で散々弄った部分を唇で挟む。舌先で突付き、舐め上げる。
「ああ…ディーン、やめ、あ」
レベッカの甘い声が聴きたくて、もっと感じさせたくて、指を奥の蜜が溢れてくる部分へと
進めた。
「んっ、あ、やだあ!」
レベッカが背を仰け反らす。
さらに攻め立てようとすると、静かな声が響いた。
「ディーンまってください」
アヴリルの手が、ディーンを制止する。
「なんでだよ」
「レベッカはいやがっているようです。さきほどから“いや”となんども言っていますから」
「………」
ディーンは不満げにアヴリルを見た。にっこり微笑んでいる。その意味が分かった。ディーン
は唇の端を上げるとわざとらしく呟いた。
「嫌なら仕方ないな」
冷たい口調と共に急にディーンの手が離れた。
「……ディーン?」
レベッカはディーンを見つめる。
でもディーンは、今はアヴリルを見つめていた。
アヴリルがディーンの胸へと手を伸ばす。
「服がじゃまですね。わたくし、ぬがしてさしあげます」
「えぇ?」
アヴリルはディーンのシャツに手を掛け、たくし上げていく。
「うでをあげてください」
言われるままにうでを上げると、シャツをすぽんっと脱がされた。
「ふふ。やっぱりディーンはたくましいのです」
アヴリルの指が、胸の先を撫でる。
「う……」
ディーンが呻くと、その指は腹筋を慈しむ様に辿り、さらに下へ降りていく。
「俺、自分で」
「いけません」
アヴリルの手がバックルを外し、ファスナーをも降ろしていく。
「ディーン…」
レベッカの泣きそうな声が聴こえた。
「レベッカは嫌なんだろ?何で泣くんだよ」
「そうです。それともつづけてほしかったのですか?」
そういいながら、アヴリルの白い手がディーンのものを掴み出した。すでにはちきれんばかり
に大きなそれ。
「…………」
レベッカは顔を背けた。
正直に言えば、続けて欲しかった。それに仲間はずれは嫌。ディーンとアヴリルのを目の前で
見せられるのも嫌。でもそんなこと言えないよ。ぎゅっと唇を噛む。
全ての服をアヴリルの手で剥ぎ取られたディーンが、レベッカの足元ににじり寄った。
「レベッカ、正直に言えよ」
ディーンの手が、割れ目を押し広げ、突き出た肉芽を擦った。
「いやあ!」
「ほら、ここ、こんなにぷっくりと膨れてるぜ。俺の見ただけで感じた?」
「はあん、だめぇ」
レベッカは必死に首を横に振った。
アヴリルが大きくため息をつく。
「ディーン、やはりだめなようです。わたくしたちだけで楽しみませんか?」
「そうするか」
ディーンが手を引くと「いやあ」と声が上がる。
「どっちだよ?」
「……や、めないで……」
眉間にしわを寄せ、潤んだ大きな瞳で必死に訴える姿。すぐに覆いかぶさりたくなるのを
ぐっと堪えてディーンはさらに追い詰める。
「何を?」
「さっき、の」
「さっきって?」
「……さわって」
ディーンは笑い出したくなった。かわいい。ものすごく。
「最初からそう言えよ」
アヴリルがレベッカのウエストの下に枕を入れた。腰が持ち上がる。
ディーンはレベッカの腿を掴み、高く上げた。
「やだあ!」
「なんだやっぱり嫌なのか」
ディーンがつまらなさそうに呟くと、レベッカが慌てて訂正する。
「ち、違うの。嫌じゃないから、して」
「指で?舌で?」
「……両方」
「レベッカがこんなにいやらしいなんて、俺、知らなかったよ」
太腿の間からレベッカの顔を覗く。恥ずかしげに頬を染め、でも唇を開けて懇願している。
ディーンが触れるのを待っていた。
レベッカが望むとおりに、舌先で堅い蕾を舐める。さらにその下の花弁の奥、蜜が
溢れてくる部分へ指を沈めた。ぎゅっと締め付けてくる。
「ああっ!」
レベッカの腿が突っ張り、細かく痙攣している。
あと少し。
ディーンは指をさらに奥へと入れ、ぐちゅぐちゅと掻き回した。
「ひゃ、あ…」
ディーンの指はアヴリルの細い指とは全然違う。太くて、ごつごつとした男の人の指。
その指があたしの、中、で。
レベッカは油断していた。今度はいたずらな唇がクリトリスを強く吸う。
同時にアヴリルが、レベッカの乳首へと手を伸ばした。
背中に強い電流が走った。レベッカは全身を震わす。
「あ、ああ、……やぁ、い、いの、…あああ!!」
レベッカは達した。
達しても開放してくれない。ディーンの指と舌は、相変わらずレベッカの湿地を攻め立てて
いた。
「ふあ、あ、ディーン」
レベッカはシーツをぎゅっと掴む。またイってしまいそうだった。
不意に頬に手が触れた。レベッカが視線を上げると、アヴリルが覗き込んでいる。
なぜか怒ったような表情で。
「アヴリル…?」
「ディーンばかりずるいです。わたくしの名前もよんでください」
アヴリルはレベッカの唇を覆うと同時に、指先で乳首を弄り出した。
「んっ、アヴリル、あん」
唇が離れたわずかな隙に、レベッカの唇からアヴリルの名前が零れ落ちる。
今度はディーンが不満そうな声を出した。
「レベッカ、俺の名前も呼んでくれよ」
言って強く吸い付く。
「ひゃああ!ディーン、あ、もう、私、ダメぇ」
「ディーン、そろそろ」
「ああ。レベッカ、俺の挿れるぜ?」
言いながら、谷間の花弁にこすりつけた。それだけでレベッカが呻く。快楽に押し流されて
抵抗できないレベッカは、とうとう呟いていた。
「うん……きて……」
ディーンの手がレベッカの太腿を持ち上げようとすると、レベッカが叫んだ。
「あの、ちょっと待って!」
「なんだよ」
ディーンが不満げな声を出して、レベッカを見た。眼を閉じ、顔を横に向けている。恥ずかしげな顔。
「これ、ほどいて…」
ベッドに縛り付けられた両手を解いてと、懇願しているのだ。ディーンは指先をレベッカのあの部分に
潜り込ませながら、にんまり笑って返事を返した。
「やだ」
「ディーン!お願いだから!」
レベッカは首を振って叫んだ。
「ディーンはいじわるですね」
アヴリルの白い手が、レベッカの手首へと伸びた。
「アヴリル、お願い、解いて」
「いいですよ」
意外にもあっさりとうなずき、アヴリルはレベッカの戒めを解いた。
「アヴリルぅ〜」
ディーンが残念そうな声をあげると、アヴリルはディーンを睨んだ。
「レベッカをひとりじめするのはずるいです。きょうはディーンのものですが、わたくしにも
少しぐらいわけてください」
手首には赤く跡が残っていた。アヴリルは、その跡を舌で舐めていく。
「ふあぁ」
既に頂点をその体に刻み込んでいたレベッカには、それだけの刺激でも快感として伝わってしまう。
「ちぇっ」
ディーンは舌打ちして、クリトリスを摘んだ。ピンクの肉の合間の小さな白い真珠。その部分は
大きく膨れこりこりしている。
「しばらく弄ってなかったのに、レベッカすげぇなあ」
「いやあ」
ディーンは人差し指を、その下の蜜壺へと入れた。ぎゅっと締め付けてくる。そして恥ずかしい
湿った音が響く。
もう我慢できない。ディーンは指を引き抜くと、己のものをあてがった。先が触れただけで
可愛らしい声があがった。
「レベッカ…ディーンだけでなく、わたくしも感じてください」
レベッカの開放された手を、アヴリルは掴んだ。そのまま、自分の胸元へと運んでいく。
「アヴリル?」
レベッカが見上げると、目の前に形の良いアヴリルの胸があった。
いつもの緑のジャケットを脱いでしまってるので、薄い布地だけではそのラインをより強調する
効果しかない。胸の先がつんっと立っているのまでが良く分かった。
その胸をレベッカの手が包み込んだ。
「やさしくもんでください」
言われるままにレベッカの手が動く。それほどの大きさはないものの、形の良い美しい胸。
そして、指先が乳首に触れた瞬間、アヴリルの整った形の唇から吐息が零れる。眉を寄せ、
レベッカの手の動きに反応する姿。レベッカの体の中が熱くなった。あの部分からまた、蜜が、
流れていく。
「なんだよ。アヴリルの胸を揉んで感じてるのか?ずりぃ」
「ふふ。うれしいです」
不満そうなディーンと、微笑むアヴリル。ディーンは腹が立ち、衝動に任せてレベッカの中へと
押し入った。
「あ、あああッ!」
「――――ッきつっ」
ディーンのものを入れると、入りきれなくなった蜜が溢れてくるほどしっとりと濡れて
いるのに、暴力的なほどぎゅうっと締め付けてくる。ディーンは一旦腰を引き、再度挿れた。
さらに奥を目指して、何度も繰り返す。
「あ、ああ、あ」
「ああ!」
レベッカの喘ぎ声に、アヴリルの声が重なった。
レベッカの手は、今もアヴリルの胸に置かれ、どうやらレベッカが我を忘れて思わず強く
掴んでしまったようだった。
「レベッカ……あまりらんぼうはいけないのです」
アヴリルが軽くたしなめるが、その瞳は潤んでおり、あまり説得力はない。
レベッカはレベッカで、ディーンの刻むリズムに合わせて喘ぎ声が絶えず洩れていて、
アヴリルの言葉が聴こえているのかどうか。
アヴリルは体勢を変えた。ベッドの上に乗り、レベッカの手を自分の足の付け根へと押し当てた。
指先が湿った部分に触れ、驚いたレベッカがアブリルを見た。
「レベッカ、わたくしにもふれてください。ふたりだけきもちよくなって、ずるいです」
レベッカはアヴリルの顔を見た。切ない寂しげな表情。
それは、さっきわたしも思ったこと。快楽に溺れてしまいそう中、かすかによぎる思い。
「アヴリルも、気持ちよくしてあげる…」
「……はい」
レベッカは指先を動かした。自分が触れられて、散々感じてしまった部分。指でこすると、
アヴリルの唇から声が洩れる。
「レベッカ、もっと俺のことも感じろよ」
自分の指の動きに神経を集中させるアヴリルの姿に夢中になっていると、ディーンの腰の動きが
急に早くなった。乱暴な程激しく突き上げてくる。
「ひゃあ、ディ、ン、ああ」
その拍子に、人差し指がするりとアヴリルの中へと入っていく。
「はうっ」
アヴリルが背を仰け反らせると、レベッカの指はさらに奥へと飲み込まれた。
「レベッカ、そんなに指をうごかさないでください…わたくし、わたくし、ああッ」
アヴリルが首を振ると銀の髪が乱れ、月の光を浴びてキラキラと輝いた。
レベッカが思わず呟いた。
「アヴリル、綺麗……」
「ああ」
ディーンも思わず頷いた。こんな時だというのに、その言葉にレベッカが反応して、ディーンを睨んだ。
ディーンは笑って言ってやる。
「レベッカも、可愛いって。俺、こんなレベッカもアヴリルも初めてで……」
正直な感想だった。
レベッカのあそこは包み込むようにディーンのものを締め付けてくる。温かく湿っていて。
気を抜くとすぐに出してしまいそうで、必死に堪えていた。
それに感じているレベッカの顔。かわいい唇とディーンを酔わせる甘い声。焦点を失った瞳。
その横で、やはり声を上げ、体を捩るアヴリル。
こっそりとスケベ本を見たことはあった。女の人のあられもない姿を見て興奮して。だけど、
あんなもんじゃない。
昼間は元気一杯であれこれやかましいほどのレベッカ。清楚で神秘的な雰囲気を漂わせている
アヴリル。その二人がこんな風になっている。腰を振って、甘い声を上げて。こんなに淫らで、
こんなに綺麗だなんて、考えたこともなかった。
レベッカの締め付けが強くなる。太腿も、全身も細かく震え出す。その震えはアヴリルにも伝わった。
「わたくし、イきそうです」
「あ、あたしも、もう」
ディーンも限界だった。
「俺も、ダメだッ」
ディーンは最後に強く貫き、最奥で白濁した液を放出した。
体がだるい。初めての感覚に体をゆだね、ディーンとレベッカはぼんやりと互いを見つめていた。
いつも一緒にいたけれど、相手をこんなに近くに感じたことはなかった。
そして大切な、もう一人。
二人に影が落ちた。長い銀の髪が落ちてくる。
アヴリルが覗き込んでいた。
「ふたりとも大丈夫ですか?」
「アヴリル……」
「俺……」
アヴリルはやさしく微笑んで、二人の頬へと手を伸ばした。
「ふたりとも、まだまだこれからですよ。よるは長いのですから」
アヴリルの指先が、二人の唇を割り口内に入り込む。
「レベッカ、こんどはディーンをわたくしにくださいね。かわりにわたくしがレベッカをイかせてあげます」
さきほどのお礼です、とアヴリルはにっこり笑った。
終わり。