「・・・・・・」
静まりかえった建物の中、明かりを点けることもなく佇む男が一人。
少し体重を移動しただけできしむ床を虚ろに見つめていた。
彼、グレッグが共に旅するディーン達一行は、小さな空き屋に宿泊していた。
周辺を探索しているうちに日が暮れてしまったのだ。
見るからにボロ小屋で、今にも崩れそうだが、野宿よりはよっぽどいいとのことで今に至る。
「・・・ふう」
眠れない。
胃のあたりがむかむかするような、疼くようなこの感じ。
覚えがあった。男なら、仕方のないことだ。
しかし今、彼はそれを禁じて旅をしていた。
罪の意識からか、子どもたちの手前だからか。とにかく長い間、その「疼き」を無視していた。
「くそ・・・」
グレッグが小さく呟いたそのとき。
「ねむれないのですか?」
「!?・・・・・・アヴリル、か・・・」
気配は全く感じなかった。足音も聞こえなかった。この女、侮れない。
グレッグは内心驚きながら、平静を装ってああ、と返事をした。
「そうですか。ですが・・・ねむらなければ、いけません。明日は早いです」
「お前こそ、大丈夫なのか」
「わたくしは、さきほどまでねむっていましたから」
グレッグににこり、と笑って、アヴリルはこう続けた。
「ねむるお手伝い、わたくしにできますか?」
「眠る・・・手伝い?何のことだ」
訳がわからなかった。睡眠薬でも飲まされるというのだろうか。
アヴリルの柔らかい笑顔に、一層の混乱を覚える。
「グレッグはがまんしていますね。がまんは、けんこうに悪いのですよ」
そう言って、アヴリルはすっ、と身を屈めた。
そして次の瞬間アヴリルは彼の下半身に手を伸ばし、触り始めた。
「な・・・ッ!!?何を、やめろ・・・ッ!」
「いやです。がまんはいけません」
ズボンの上を、すうう、と優しく指が這う。触れるか触れないかの微妙な感触。
それだけで、どこか遠くへ飛んでしまいそうな理性をグレッグは必死に捕まえる。
「アヴリル・・・やめるんだ」
(やめてくれないと、俺は・・・ッ!!)
「・・・かわいそう、こんなにしめつけられてしまって」
グレッグの制止を無視してアヴリルは、ズボンと下着を下ろす。
「・・・おおきいです」
アヴリルの細い指が、グレッグの既にたちあがった棒に絡んだ。
指の腹を使って、細かな動きで撫であげ、先の部分にふう、と息を吹きかける。
「・・・・・・ッ!!!」
(限界、だ・・・ッ!!)
グレッグはアヴリルの後頭部を鷲掴みにすると、自分の股間に強く押し当てた。
「ふあッ!!」
急な動きに一瞬アヴリルは声をあげ、グレッグを見上げる。
彼の目には先程までの戸惑いはなく、代わりに支配欲が満ちていた。
アヴリルは目を伏せると、グレッグの欲情したそれに舌を這わせはじめた。
少しざらついた生暖かい舌は、唾液がねっとりと絡むように、隈なく舐めていく。
「・・・う・・・ッくう・・・」
アヴリルが唇で先端を吸い上げた瞬間、グレッグは思わず声をあげた。
「だいじょうぶですか?・・・もう、だしてしまいますか?」
口を離して、アヴリルが言った。
この女、余裕だ。・・・癪にさわる。
「きゃ…ッ!?」
背中に鈍い痛みを感じ、アヴリルは目を開いた。
目の前にはグレッグ。背面には、きしむ床。
押し倒されていた。
「グレッグ」
いきなり何を、と言いかけたところで、唇を塞がれた。
「ん…ッ!む、んん……ッ!!」
グレッグが舌を使って、アヴリルの口内を犯す。
いつの間にか舌と舌が絡み、アヴリルは身を粟立てた。
「んは…ッ!!」
やっと解放された。アヴリルが肩で息をしている間にグレッグの手は、すでにアヴリルの服を脱がしかけている。
「グレッグ…ッ!いけません…!わたくしは、あなたがねむれるようにと…」
「あまり俺を舐めるな」
そう冷たく言って、グレッグは露わになったアヴリルの胸を揉み始めた。
優しく輪郭をなぞっていたかと思えば、形が崩れるほど強く揉みしだく。
アヴリルの胸はグレッグの手つきにあわせていやらしく形を変えていく。
「…ッはあ、あ…ん」
しばらく愛撫を続けていると、次第にアヴリルの息が乱れ、声が聞こえだした。
「だめ、です…あう…だ、め」
それでも拒否を続けるアヴリルに苛立ったグレッグは、彼女の胸の、つんと立った頂を一度吸い上げ、指で摘んだ。
「ああ…ッ!!あ、ふあ、あ!」
「素直になったらどうだ?お互いスッキリして眠ろうぜ」
にやり、と笑って一方の乳首を指先で弄び、もう一方を甘噛みする。
「ひ、あ!グレ、グ…あ、ん…ッ!!」
もはや制止の言葉を紡ぐことすらままならないアヴリルを満足そうに見て、
グレッグはアヴリルの下半身の布に手をかけた。
「い、いやです…ッ!!」
焦ったアヴリルが止めようと手を伸ばすが、たやすく手首を掴まれてしまった。
片手でアヴリルの手首を押さえながら、もう片方の手で下着の上から透ける筋をなぞる。
「あ…ん…や、です…」
力の無くなった声が、頭上から聞こえる。
無視して割れ目をなぞる指に徐々に力を込めていく。
隙を見て下着を抜き取ると、そこは既に、じっとりと湿って透明な糸を引いていた。
「フ…濡れているぞ」
「い、言わないで、ください…ああッ!!」
グレッグの指が、アヴリルの一番敏感な箇所に触れた。
その嬌声を聞いて、彼はそこを一気に責めたて始めた。
「あ!!はぁん…ッ!そ、こは、ああッ、あう、ふぁ!!」
アヴリルの声にあわせて、愛液をすくった親指で上下に強くこする。
ぬるぬると滑る感触が、アヴリルの脳を快感で満たしていく。
「あああッ!だめ、です…ッ!いやぁああ、くぅん……ッ!!!」
一瞬痙攣し、すらりとした脚をぴん、と伸ばして、アヴリルは一度目の絶頂を迎えた。
「…イったか」
「はあ、はあ、はあ…」
目を閉じて荒く呼吸をくりかえすアヴリルを尻目に、グレッグはまた胸への愛撫を始めた。
そして同時に、肉芽にもまた刺激与える。
イったばかりなのに即座にまた刺激を与えられたアヴリルは、さっきまでと違う感覚に襲われていた。
イって敏感になった箇所を触られると、甘く痛む。
それが、キモチイイ。
「あ、はう…!うあん、ああ、…あん!」
もう目の前が真っ白で、何も考えられない。刺激を与えられた箇所だけが、妙にリアルだ。
「…グレッグ…ッ…ああッ…もう、わたくし…!!」
請うようにグレッグを見つめると、グレッグは口の端を上げ笑った。
「ああ、入れてやるよ」
そそり立った肉棒を濡れたアヴリルのそこにあてがい、グレッグは一気に突き上げた。
「ああぁああッッ!!!」
一瞬アヴリルは目を見開いたが、すぐにグレッグの動きにあわせて腰を振り始めた。
濡れた音があたりにこだまする。
「あ、あああ…ッ、あふ、ん…!グレ、ッグ…あ!」
「今夜はッ、お互い、よく眠れそうだな…ッ!!…いくぞ!」
「あッ、あう、ああああ――――ッッッ!!」
ふたりが完全に服を着て、それぞれの部屋に戻ったとき、
太陽はすでに、山の端に顔を出していたとさ。 糸冬