「え、僕がスパイだって?」  
 
「そうじゃねえ証拠があるのかよ」  
 
 キャンプから、ディーンとグレッグに連れ出されたチャックは、まったく身に覚えのない詰問に、ひどくうろたえた。  
 
「見ろディーン。こいつのうろたえようを」  
 
 チャックはすがるようにディーンを見るが、ディーンは無言で睨みつけてきている。  
 
「スパイでもなきゃ、苦労して手に入れた正規ハンターの身分を、女を失ったからと捨てられると思うか?」  
 
「違う! 僕がハンターになったのは!」  
 
 そもそもルシルのために、ハンターになろうと思ったのだと、そういい終わらぬうちに、グレッグの手がチャックの口を押さえる。  
 
「黙って聞け。どこに賞金首を見逃すハンター見習いがいる。女を連れていったベルーニだって、グルじゃねえのか?」  
 
 あまりの誤解に、涙がにじむ。  
 岩を背にその手から逃れることもできず、口を押さえられたまま、かろうじて首を横にふり、否定する。  
 
「てめぇの行為一つ一つが、猿芝居に見えてならねぇんだよ」  
 
「俺だってチャックがスパイだなんて、信じたくない。けど、グレッグの言うことも、もっともだと思う。なあ、スパイじゃないなら、それを証明してくれよ。  
 グレッグはゴーレムクラッシャーだけど、俺たちの仲間なんだ。  
 だからチャックがゴーレムハンターなら、俺たちの仲間にすることはできないんだ」  
 
 やっと緩められた手のひらから逃れ、チャックはつぶやく。  
 
「僕はもうゴーレムハンターじゃない」  
 
 しかし、その言葉に力は入らない。  
 ゴーレムハンターになることだけを目標にして、村を捨てて頑張ってきた。  
 ルシルを失い、地位を捨てた今、もしディーンたちに受け入れられなければ、それこそ一人で荒野を彷徨うしかない。  
 もう、それでもいいとチャックは思う。死ぬまで誰とも関わらず、彷徨えばいいと。  
 
「パスを捨てただけだ。いつだって俺の寝首を掻いて復帰することができる。いや、俺やディーンの寝首を掻くためなら、それぐらいするだろうさ」  
 
 チャックは、もうハンターではないことを、証明する方法を、思いつけなかった。グレッグが言う通り、ギルドのメンバーリストには、チャックの名が記されたままだ。  
 
「迷惑かけたね。僕は消えるよ」  
 
 そもそも無理だったのだ。ベルーニの下位組織であるハンターギルドの一員となったものが、ベルーニに反旗を翻す者たちに認められ、仲間になろうとするなど。  
 
 立ち去ろうとして、ディーンに腕を取られた。  
 
「逃げるのか」  
 
 けれどディーンの表情は、決してチャックを仲間として引きとめようとするものではない。スパイを逃がすまいとする顔だ。  
 チャックはそれに気づいて泣きそうな笑顔が浮かべる。  
 
「今後ずっとハンターとしての活動をしなければ、いつかキミたちに信じてもらえるかもしれないけれど、今すぐそれを証明する方法なんて、思いつかないんだ」  
 
 グレッグが、暗い笑みを浮かべる。  
 
「だろうな。ベルーニに対しては、はいつくばって靴をも舐めるハンター様の言葉を、信じるわけにはいかねぇんだよ」  
 
「なっ!」  
 
 いくらハンターの地位を捨てたとはいえ、その言葉にチャックは蒼白となり、そして反論を飲み込んだ。グレッグの言葉は、事実なのだ。  
 
「ハハッ。その通りだね」  
 
 だが、ディーンは、まだ腕をきつく掴み、離そうとしない。  
 
「なら、僕をどうしようっていうんだい? ベルーニにシッポを振るニンゲンの裏切り者に、制裁を加えたいのかい?」  
 
「そう思うなら、なぜディーンの手を振り払って今すぐ逃げねえ」  
 
「逃げたら、僕がまだハンターだと、証明してしまいそうだからさ」  
 
 チャックは、彼らには、いやディーンにだけは、嘘つきだと思われたくなかった。たとえ仲間として受け入れられないとしても、それだけでも。  
 
「逃げなくても、俺はゴーレムクラシャーで、テメェはゴーレムハンターだ。なら、どっちがどっちを殺しても当然だな」  
 
「僕はハンターじゃない。だから君を殺しもしないし、逮捕もしない」  
 
「俺がお前を殺しても、逆らわねえか?」  
 
 チャックは目を細め、小さくつぶやく。  
 
「僕が逆らわなかったら、信じてくれるのかい?」  
 チャックの、ルシルに救われた命。  
 本当に捨てたかったのは、パスではなく、ルシルを苦境に立たせた自分の命だと、チャックは考える。  
 
「ちょっとグレッグ!」  
 
 話の展開に、ディーンはチャックの腕さえ離して慌てだす。  
 
「もういいよ! チャックはもうハンターじゃない。俺はチャックを信じるよ!」  
 
 チャックは、その言葉をありがたいと思う。たとえ出会った時同様、根拠のない信頼だとしても。  
 だがチャックは、根拠のない信頼が、どれほどの危険を生み出すかも知っている。グレッグの対応のほうが、正しいのだ。  
 
「ディーン。ナイトバーンを思い出せ。ハンターはな、ああいうヤツらだ。ベルーニについてニンゲンを裏切り、さらにベルーニを裏切る。はいそうですかと信じるわけには、いかねえんだよ。  
 それでもこいつを仲間に加えるってんなら、俺がこのパーティを抜けさせてもらう。  
 信用できねぇやつと、一緒にやるわけには、いかねぇからな」  
 
 けれどグレッグは、ニヤリと醜悪な笑みを浮かべると、チャックに向かって「だが」と続けた。  
 
「テメェが本当に逃げもせず、逆らいもしねえ所を見せてくれるんなら、考えてやらんでもねぇ。テメェがベルーニにしてきたことを、俺たちに対してもできるならな」  
 
「ははッ・・・」  
 
 それを聞いたチャックの口から、乾いた短い笑い声が突いて出た。  
 その時すでに、チャックは空っぽになっていた。  
 もう何も、その心の内に残ってはいなかった。  
 
 まずグレッグがチャックに要求したのは、全裸になることだった。全裸で二人に、土下座をしろと。  
 ディーンが慌てている間に、チャックは自ら衣服を脱ぎ、素足を荒野に下ろすと、膝と手をつき額を大地に擦り付ける。  
 とたんにごついブーツが、チャックの頭を踏みつける。  
 
「グレッグ、いくらなんでもこんなこと止めようよ」  
 
「ディーン。現実を見てぇなら、よく見ておけ。これがハンターの現実だ。こいつはベルーニの前で、これをやり慣れてるんだ」  
 
「こんなの間違ってる!」  
 
「そう思うなら、なおのことテメェは見ておかなきゃならねぇだろうが!」  
 
 そう叫びながら、グレッグはチャックの頭をぎりぎりと踏みにじる。  
 
「これが現実だ! 踏みにじられようと、殺されようと、逆らわなくなっちまったニンゲンの! 覚悟を決めたなら、目をそむけるな!」  
 
 グレッグは、存分にその金の髪を踏みにじってから、足を下ろす。  
 
「さあ立て。ディーンに向かって直立不動だ」  
 
 チャックは立ち上がり、言われた通りに立つ。  
 顔も、手足も、泥で汚れている。  
 だが男にしては白さが際立つその胸に、立ち上がった拍子に流れ出した鼻血が、鮮やかな赤い染みを作る。  
 そして本来隠されるべき、金の羽毛に包まれているかのような、彼自身。  
 それも、白い。  
 
 それは男の体であるはずなのに、そのモノも自身で見慣れた男のものであるはずなのに、ディーンは頬をかすかに赤らめ、顔をそむける。  
 
 チャックは、ディーンよりは背が高いものの、小柄なまま成長期を終えている。  
 まだ体型に少年らしさが残るディーンに比べ、小柄ながらに大人の体型を完成させている。  
 大人になったばかりの、初々しく、そして無駄のない、均整のとれた青年の体つき。  
 
 一端は顔をそむけたものの、ディーンはその体を、幾度もチラ見してしまう。  
 
 グレッグは、そんなディーンの様子を見て、さらに笑みの闇を深め、チャックの真後ろに立つ。  
 そして後ろから手をチャックの胸に這わせ、指先ですでに硬くなりはじめた小さな突起を、転がし始める。  
 チャックの頬が、朱に染まる。  
 
「グ、グレッグ、何してるんだよ」  
 
 異常に気づいたが、ディーンはまだ、何が起きているのか、わかっていないようだ。  
 男どころか、女に対する劣情にさえ、ほとんど目覚めていないのだから、しかたがない。  
 
 チャックは、グレッグの行為に息を詰め、そして頬を染めながら、耐えている。  
 その表情から、それが土下座の頭を踏みつけられるよりも、なおチャックにとって耐え難いことであることは、ディーンにもわかる。  
 だがグレッグは、今は乱暴はしていない。  
 そして、息が荒くなるにつれ体積を増し、ゆるやかに持ち上がっていく、チャックのモノ。  
 そしてディーンの自身に伝染する、おかしな気持ち。  
 出来る限りそむけようとしていたはずのディーンの視線は、もはやチャックの肢体の変化に、釘付けとなっている。  
 
 グレッグは、そのディーンの変化を認め、ほくそえんでいる。  
 
「ディーンに教えてやりな。ハンターの現実ってやつを。こうやってベルーニのオモチャになることも、ハンターの仕事の一つだってな」  
 
 グレッグはチャックの白いが締まった尻をなでさすり、足でチャックの片足を払って股を開かせると、彼の穴に、ゆっくりと指を突き立てていく。  
 
「話せ」  
 
 穴をいじられながら、チャックは吐息まじりにそれに従う。  
 
「ハンターを続けるためには、ベルーニの求めに応じて体を弄ばれることを、拒否することなんてできなかった」  
 
 男と女のからみすら見たことがなく、もちろん経験もないディーンだったが、その異様な光景に、興奮を覚えていた。  
 グレッグは、チャックのためにではなく、ディーンに見せ付けるために、ゆっくりとじらしながら、チャックの体をまさぐっている。  
 
「なら……」  
 
 ディーンがつぶやき、そしてもう一度、今度は声を振り絞るようにして、その問いを口に出す。  
 
「なら、チャックはそれをわかってて、俺をゴーレムハンターに誘ったのかよ!」  
 
 泣きそうなほどに、チャックの顔が歪んだ。  
 
「ゴメン。そういうことになるね。あのときはああ言うのが、一番自然に思えたんだ」  
 
 事実、あのときはそこまで考えていなかった。ハンターとして振舞える時は、現実を忘れ、身も心も理想のハンターになりきっていた。  
 
「そうやって、こいつは流されながら生きてきたんだろうさ。いや、こいつを含む、ニンゲンのほとんどがだ」  
 
 グレッグが穴に二本目の指を潜り込ませ、激しく動かすと、もはやチャックは耐え切れず、言葉はそのままあえぎへと変わっていく。  
 チャックの白い肌が、ほのかに染まっていく。  
 何も知らないまっすぐな少年の前で、チャックはグレッグに弄ばれ、痴態を晒す。  
 
 まだ拾ったスケベ本で男と女の絡みを垣間見たことがあるだけの、まっすぐな少年は、男の痴態に初めて本物の興奮を覚えている。  
 グレッグは、その成果にほくそえむ。  
 
 チャックの体は、完璧な男の造詣であるにもかかわらず、男臭さを感じさせない上玉だ。  
 たとえチャックの性癖が、本来ノーマルであったとしても、男の愛撫に素早く反応し、見られることにも慣らされている。  
 その反応は、これほどの上玉を、ベルーニが放置するはずもなく、特に念入りに調教されたはずだというグレッグの予想は、はずれてはいなかったことを実証している。  
 女も知らぬディーンのようなウブなガキに、こいつの痴態を見せ付ければ、一発で落ちぬわけがない。  
 
 グレッグは指を三本に増やし、激しくかき回し、前立腺を執拗に刺激する。  
 
「あッ、ひッ、あぅ、うぅ!」  
 
 もはやチャックは、声を抑えることもできず、甘い声で絶え間なく啼いている。  
 ころあいと見て、もう一方の手でチャックのモノを軽くしごけば、彼の白い背がそりかえり、ことさら大きな喘ぎと共に、ねっとりとしたモノがグレッグの手の中に放たれた。  
 
 チャックの体から力が抜けるが、息を荒くしながらも地に倒れこまないのは、これもベルーニに仕込まれたからだろう。  
 
「犬のようにはいつくばれ」  
 
 チャックがそれに従うと、グレッグは、手の中のぬめりを、チャックの穴の周囲に塗りこんでいく。  
 
「グレッグ、俺、変だ」  
 
「ディーン、来い」  
 
 もはや目の前の痴態に心を奪われきったディーンは、その言葉に素直に従う。  
 
 グレッグは、すでにそそり立った自分のモノを取り出した。  
 それはチャックの股間で、今まだ勃起しヒクヒクとうごめくモノよりも、ずっと色濃く、グロテスクでさえある。  
 
「いいか、見てな」  
 
 グレッグは、ディーンの目の前で、チャックをいきなり貫いた。  
 
「ヒィ!」  
 
 チャックの表情は苦痛に歪むが、チャックの細い腰を両手で押さえ、激しく動かす。  
 するとそれにつれ、チャックの表情もまた恍惚としたものになり、声も甘く響きはじめる。  
 
 グレッグは、チャックを貫いたまま、膝の上に抱え込むようにして、ディーンの向かいに座り込む。  
 チャックの体重により、グレッグのモノが、根本までその穴に突き刺さる。  
 グレッグは両手でチャックの両足を抱え、恥部をディーンの前に大きく晒す。  
 
「ディーン、こいつのモノも立っているだろう。よがってやがるんだ」  
 
「ほんとだ」  
 
 チャックの白い肌と金の縮れ毛。  
 その向こうで、ずっぽりと突きたてられたグレッグのモノ。  
 頬をそめ、揺り動かされるたびにディーンの前で泣き声のような嬌声を上げるチャックには、もはや理性など残っていない。  
 ゆさぶられるたびに、金糸の中からそそり立つチャックのモノが、ディーンの前でゆらゆらと揺れる。  
 ディーンは指先で、その先端に、恐る恐るふれてみる。  
 とたんにビクンとチャックの体が反応し、そのモノがさらに張り詰める。  
 
「や、やだ。やめてくれディーン」  
 
 一瞬理性を取り戻しかけたチャックの声が、ディーンの耳をくすぐる。とても年上の青年とは思えない、弱々しい声だ。  
 もはや言葉の意味はディーンに届かず、ただその声の調子だけが、逆にディーンを駆り立てる。  
 
「もっと力を込めて、握ってやりな」  
 
 グレッグが動きを止めてディーンを誘うと、ディーンは言われるままに、チャックのモノを握り締める。  
 白かったそれは、今やピンクに染まり、びくびくとディーンの手の中で踊る。  
 そしてディーンが力を込めるたびに、チャックの喉が、耳に甘い嬌声をもらす。  
 
「ヒッ、ヤダ、アッ……」  
 
 それが女のあの時の声に似ていることすら、ディーンは知らない。だが、チャックを啼かせることに、ディーンは夢中になっていく。  
 
 チャックをゆさぶるグレッグの動きも激しさを増す。  
 
「こいつはこうやって、ベルーニの言いなりに、ベルーニに支配されてきたんだ。ハンターなんてのはな、ベルーニの犬なんだよ!」  
 
 グレッグは言葉と共に、精をチャックの穴の中に吐き出した。  
 そして大きく息をつくと、チャックの状態などおかまいなしに、再び立たせる。  
 まだ座っているディーンの目線の位置に、びくびくと揺れるチャックのモノがある。  
 息をあげ、ふらつきながらかろうじて立っているチャックを、座り込んだディーンは見上げる。  
 
「チャック、ミラパルスで縛り首にされそうになっているときと、同じ顔をしてる」  
 
 だが、ディーンが受ける印象は、あの時とまるで違う。あの時チャックを処刑しようとしたベルーニ兵が、おびえるチャックを眺め感じていた快楽を、今ディーンも感じ、そそられている。  
 グレッグが、鼻で笑う。  
 
「ベルーニに死ねと言われりゃ死ぬのさ。魂を売って、権力のおこぼれをもらい、ニンゲン相手に威張るのがハンターの仕事だ」  
 
 かろうじてチャックは、身の潔白を申し立てる。  
 
「僕は、……僕は、ハンターであることを嵩に、誰かに無理じいしたことはない。それは信じてくれ」  
 
「だが、他のハンターがそうするのは、黙認してたんだろうが。なら同罪だ」  
 
 チャックの頬を、涙がつたう。  
 それもまた、事実だった。  
 
 グレッグが、地面からチャックのシャツを拾い上げて、濡れた自分のモノを拭いてしまいこむ。  
 
 ディーンは、目の前にある、金糸の中からそそり立つチャックのモノを、そして泥にまみれながら上気している肢体を、すべてをにじられ失ったチャックを眺めている。  
 
「ディーン。今度はお前の番だ」  
 
 グレッグは、ディーンを誘う。  
 
「え?」  
 
「ズボンの前を、こんなにパンパンにしといて、できなくはねぇだろう」  
 
 グレッグの手が伸び、ディーンのズボンの前をまさぐると、ディーンは真っ赤になってうつむいた。  
 だが、期待に鼻息が荒くなっている。  
 
「こいつはな、身も心もベルーニに支配されちまってるんだ。なら、俺たちが忘れさせてやればいい。  
 こいつも気持ちよがってるんだ。痛めつけてるわけじゃねえ。遠慮はいらねぇさ」  
 
 体験したことのない感情に翻弄されるディーンは、グレッグの甘言に惑わされていく。  
 
「下は脱いじまえ。その方が動きやすいぞ」  
 
 ディーンは言われるまま、いそいそとズボンと下着を脱ぐ。  
 その間にグレッグは、チャックを仰向けに地面に横たわらせ、その両足を腕に抱えさせる。  
 
「尻を持ち上げろ」  
 
 用意をすませたディーンは、持ち上げられた尻の間で、ピンクに染まった穴がヒクヒク動く様子を見る。ヒクつくたびに、グレッグが注ぎ込んだ白い精が、じわりと流れ出してくる。  
 
 グレッグが薄く笑う。  
 チャックの体毛は、色も量も薄い。その点でもディーンのような初心者向けだ。  
 
 ディーンは、しばらくそれに見とれている。ただそれだけで、ディーンのモノも限界一杯まで張り詰めていく。  
 グレッグが少年のそれに手を添えて、チャックの穴に導いてやる。  
 最初ディーンは、恐る恐るチャックを貫き、一度貫いてしまうと、その快楽にいっきに溺れた。  
 
 チャックの嬌声に混じる悲哀の声も、もはやディーンに届きはしない。そしてディーンもまた、腰を動かしながら、いつしか声をあげている。  
 
「これッ! すげえ! いいッ! なんか! 俺! 変だッ!」  
 
 目の前で繰り広げられる、16の少年に犯される19の青年の姿を眺めるグレッグは、ますます笑みの闇を深めていく。  
 
 グレッグが本当に欲しいのは、ディーンだ。  
 ディーンが男に溺れていく様を、グレッグは堪能する。  
 だが、チャックに溺れさせるつもりはない。こいつはどこかで、切り捨てればいい。  
 
 そんなグレッグの思惑など知らず、やがてディーンもまた、びくびくと全身を波打たせながら、精をチャックの穴の中に撃ち放つ。  
 
「チャックの中で、俺とディーンの精が、交じり合ってるぜ?」  
 
 ディーンの耳元で、グレッグが囁く。  
 
「こういうのをな、穴兄弟ってんだ」  
 
「俺と、グレッグがか?」  
 
「そうだ」  
 
 果てはしたが、ディーンはチャックの体を離そうとしない。一度放っても、まだ勢いの衰えぬモノで、押しつけるように何度もチャックに突き立て、こすりつけている。  
 ぬぶぬぶと、結合部から精液が漏れ出してくる。  
 そして、まだ男のどこを責めれば感じさせるのかわからぬディーンの動きにじらされて、チャックは組み伏せられたまま、身をよじっている。  
 
「こいつを見ろ。男に抱かれて、それを見られて、喜んでるぜ? 淫乱なんだ。喜ばせてやれば、もう俺たちを裏切らねえ。  
 順番が逆になっちまったが、こいつも教えてやるか。見てな、ディーン」  
 
 横たわり、まだディーンに嵌められたままのチャックの胸に、グレッグは指を一本落す。  
 指は鎖骨をなぞり、胸の小さな突起の周囲をめぐり、突起をぐりぐりと執拗に刺激する。  
 そのたびに、チャックの体がビクンと震える。  
 言葉にならぬ嬌声が喉から漏れる。  
 
「やってみな、ディーン」  
 
 ディーンはそれを真似、そしてチャックの反応に、すぐにその虜になる。  
 存分に弄び、啼かせるうちに、ひと時止めていた腰の動きを再開する。  
 ただ貫かれるだけでなく、二人がかりで愛撫され、たとえその一人はまだ稚拙とはいえ、チャックのモノも再び張り詰めていく。  
 いや、無理やり張り詰めさせられていく。  
 
「ひぁあ、やだッ、やめて、いやだぁ、ひぃ!」  
 
 グレッグはころあいと見て、ディーンに愛撫を止めさせると、そのまま張り詰めたチャックのモノを手に包み込み、指先で先端を刺激する。  
 ディーンに貫かれたまま、彼の目前で、チャックは二度目の果てを迎え、その精液を自分の身に浴びて脱力し、手足を投げ出す。  
 
「さて、そろそろ最後の仕上げといくか」  
 
 グレッグは、ディーンの身なりは整えさせたが、チャックにはそれを許さなかった。  
 尻からは、グレッグとディーンの精液をにじませ、身には己の精液を浴びたまま、まだ地に仰向けに横たわり、再び両手で両足を抱えさせられている。  
 
 グレッグは、チャックの尻に手をかけて、ことさら高く持ち上げる。  
 チャックは自分のモノごしに、グレッグのねっとりとした笑みを見る。  
 
「ディーン、俺の荷物を取って来てくれ」  
 
 そしてディーンが行くと、グレッグはチャックに囁いた。  
 
「逃げたり逆らったりしたら、ディーンをお前と同じ目に合わせてやるからな」  
 
 チャックは、どんな反応をすることもできなかった。ただもう、逃げることも逆らうこともできないことを、理解だけはした。  
 
「これ、どうするんだい?」  
 
「こいつの腹に詰め込むのさ」  
 
「ええっ! 入るの?」  
 
 グレッグが荷物から取り出したのは、魔獣の卵と、鳥のくちばしのような金属の機具。  
 そのくちばしのような部分が、チャックの穴をこじあける。  
 接触した時のひやりとした感触は、すぐに強烈な痛みへと変わる。  
 そして、ゴムボールほどの球が、チャックの内へと押し入れられる。  
 
「アーッ! アアッ!」  
 
 痛みにチャックの全身が震え、背筋から広がる寒気が全身に広がり、脂汗が流れ出す。そして喉は魔獣のような叫びを放つ。  
 それでも容赦なく、その儀式は続行される。  
 
「まだ尻を持ち上げていろ」  
 
 くちばしのような機具が取り除かれても、そのポーズを止めることは、許されなかった。  
 そして尻に、別の何かをねじ込まれる。それは異物感を残したまま、そこに留まる。  
 
 これで本当に終わりらしい。  
 チャックは足を解放するが、二人の前に横たわったまま、脱力感に襲われて、体を動かすことができないでいる。  
 
「チャック、そのままお前はギルドに、魔獣の卵を届けるんだ。そしてカウンターの前で、尻からひり出して渡せ」  
 
 あまりにも悪夢のような要求であるせいか、現実感なく耳に響く。  
 
「そうすりゃ二度と、ギルドに足を踏み入れたいなどと、思わなくなるさ」  
 
「あんな大きなもの、出せるのか?」  
 
「これから毎晩、俺たちの前で出し入れさせりゃあ、着く頃にゃクスコがなくとも、できるようになるさ。できねぇなら、ギルド会館のホールで、延々ふんばる羽目になるだけだ」  
 
 クスコとは、あのくちばしのような機具の名前らしい。グレッグはブーツの先で、チャックの頬を小突く。  
 
「さあ、起きろ。でねえと腹を蹴飛ばして、今すぐ出産ショーをさせてやるぜ。そして今度は、ハニースデイの真ん中で、お前の腹に魔獣の卵を詰め込んでやる」  
 
 二人の男に貫かれ、魔獣の卵を埋め込まれた、けだるい体を無理に起こす。  
 その時最後に尻にねじ込まれたのは、アナルストッパーと知れた。  
 手渡された小さなベルトの用途は、説明されなくともわかっている。チャックはそれを、黙って自分のモノに巻く。  
 自力で外せぬものではないが、排便の自由すら、チャックは失ったことを知る。  
 泥と血と精液を拭うことも許されず、そのまま身支度を整える。  
 
 チャックは渡された皮の首輪を、自ら首に巻き、そこから伸びる鎖の端を、ディーンに渡す。  
 鎖は短く、その端を持つ手が上がらぬかぎり、チャックは背を曲げ俯いて歩くしかない。  
 あれから毎晩、グレッグとディーンに蹂躙され続けている。女の子たちの前でのマスターベーションも、強要されて従った。  
 女の子たちは、まるでチャックなど存在しないかのように振舞っている。  
 目が合えば、まるで汚い物でも見たかのように、目をそむけられる。  
 それはそれで、チャックには救いだった。  
 
 チャックは、穴の中でこすれあう異物を感じながら、パーティの最後尾を歩き続ける。  
 ハンターであったときのように、もはや荒野に逃れることすら、できはしない。  
 誰が見ているというわけでもないのに、地面に向けた顔に引きつった笑みが浮かぶ。  
 そこからこぼれた水滴が、乾いた荒野に飲まれながら、歩みと共に背後へ消えていく様子を、チャックはただ眺め続けていた。  
 
 

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