いびつなベッドに寝かされ、足をM字に固定される。  
 
教授の大きく太い指が、キャロルの秘所を何度も行き来して、ぬるぬるとした液体を塗りつける。  
 
そしてヒヤリとした感触と共に、棒状の金属の器具が、キャロルの中にぬぷりと侵入する。  
 
教授はそれで、ゆっくりとキャロルをかき回す。  
 
教授に嫌われたくなくて、教授に捨てられたくなくて、我慢する。  
 
ただの金属の棒だ。なんともない。自分を責めているわけではない。  
面白半分に、もっとひどいものを入れられた。  
モップの柄といった棒状の物。  
生きたミミズやげじげじ。カエルの出産ショー。  
葉のついたニンジンを入れられて、股から葉を生やした姿で、踊らされた。  
そのニンジンを、食べさせられた。  
少なくとも、今胎内でうごめいているのは、ただの金属の棒だ。  
濡れることのないキャロルのために、ドロリとした液体も使ってくれている。  
 
我慢していたが、突如村にいた間の出来事が、頭の中で爆発した。  
嫌だと泣いた。痛いばかりだった。怖くて抵抗できなかった。  
 
叫び、じたばたと暴れる。  
形ばかり拘束されていた脚が自由になり、そのまま滅茶苦茶に動かした。  
気づくと、教授の顔面を、幾度も蹴飛ばしていた。  
 
しかえしされる! そう思った時にはベッドから飛び降り、けれど逃げることもできず、はいずって部屋の隅で小さくなる。  
 
ぶるぶる震えていると、ひどく悲しそうな顔をした教授に、謝られた。  
 
痛かったのかい? 怖かったのかい?  
 
生まれて初めて、謝られた。  
 
自分に危害を加えない人がいることを、キャロルは知った。  
 
キャロルが落ち着くと、教授はこう言った。  
 
残念ながら、キャロルが妊娠できる可能性は、ひどく低い。  
 
教授に拾われた時すでに、教授はキャロルに何が起きたのか気づいていた。  
だからこの検査をしたのだ。  
 
気長に治療を続ければと話す教授を、キャロルはさえぎった。  
 
むしろ嬉しいと。  
自分には、両親の血が流れている。  
あの父親と、あの母親の血を引く分身など、愛せるはずがない。  
 
小さい女は嫌いですか? これでも私、女です。  
妊娠しないなら、都合もいいと思います。  
 
けれど教授は、ひどく情けない顔をして告白した。  
ワシは50年も前からインポなのだよ。  
 
感じたことのない少女は、インポの男を立たせようとしたが、確かにダメなようだった。  
 
教授を蹴飛ばし、殴り、もらったARMで攻撃しても、教授はキャロルを怒らなかった。  
踏みつけ、ツバを吐き、罵詈雑言をあびせても、教授はしょぼんとするだけだ。  
 
十分試し、教授の愛を確信した。  
と同時に、あの両親の血が流れていることを、実感した。  
 
教授とはぐれ、一人旅をするようになっても、人間は、気まぐれに人間を殺すベルーニよりも怖かった。  
魔獣のほうが人間より怖くないのと、同じことだ。  
 
そして一人旅をしながら、キャロルはずっと獲物を探していた。  
 
かつての自分と、同じ人間。  
踏みつけられる側の人間を。  
踏みつける側に回るのだ。  
 
残念ながら、教授はあまりにも強すぎて、キャロルが全力でぶつかっても、蚊が刺したほどにも感じないのだ。  
 
渡り鳥たちの噂話で、故郷が廃村になったと知った。  
大規模な労働者狩りがあり、狩られなかった者たちも、散り散りになったと。  
 
リンゴの香りに満ちた里で、たった一人で街角に立つ、あの自転車少年の妹を見つけた。  
 
彼女はキャロルを目の前にしても、同じ村にいたキャロルとは、気づかないようだった。  
あの頃は汚れ、やせ細り、髪もぼさぼさで、着ている物もボロだった。  
今はブランド品で身を包んでいる。  
気づかれないのをいいことに、一介の渡り鳥のふりをして、自転車の青年から託けがあると人のいない場所へ呼び出した。  
 
背中のミラクルアコーデオンから飛び出したマジックハンドに押さえつけられ、彼女は罠にはまったことに気づいたようだった。  
 
そのまま、街角に立った彼女が、売りをしていることを指摘する。  
パラディエンヌなどと名乗っているが、渡り鳥でもなく、保護者も失った彼女が食べていくには、それしかない。  
マジックハンドから解放し、けれどミサイルの標準はつけたまま、スカートをめくって踊れと命じる。  
金は払ってあげるといえば、彼女は怯えながらも、それに従う。  
ミサイルを稼動させつつ笑顔を強要すれば、引きつった笑みを浮かべた。  
 
ただの売女だと、誰が汚らわしいのかと、冷笑する。  
 
彼女は、キャロルが誰だか、やっと気づいたようだった。  
 
逃げ出そうとした彼女の足首を、マジックハンドが掴み取る。  
そのまま逆さに吊り上げ、下着を剥ぎ取る。  
叫びわめく彼女の股間に、小型ミサイルを突きつける。  
 
あなたの商売ものを、ダメにしたいなら、そのまま暴れ喚いてください。  
 
恐怖に身動きできなくなった彼女の股間に、小型ミサイルをゆっくりと埋没させる。  
濡れてもいないうちに無理やりだから、ひどく痛いはずだ。  
その痛みは、キャロルはよく知っている。  
ゆっくりなのは、彼女のためではなく、恐怖を長引かせるためだ。  
 
やっぱり、生娘じゃないんですね。  
最初の相手は、お兄さんですか?  
 
逆さ吊りで、すでに血が頭に上っていたパラディエンヌの頬が、さらに真っ赤に染まっていく。  
 
けれど違う違うと、首を横に振る。  
 
自分で売りをなさったんですよね。私のように、強制されてではなく。  
 
お尻の方の経験がまだなら、開発してさしあげます。妊娠しなくてすみますよ。  
 
彼女の赤くなった頬の血の気が、一気に引く。  
 
けれどマジックハンドから解放しても、彼女は動こうとはしなかった。  
 
あなたの近況は、私がかならず、お兄さんに知らせてあげます。  
 
一ヵ月後、一方的な約束どおり、彼女の近況は広く世間に知らしめられた。  
股間のミサイルに手をそえた、彼女のあらわな姿が、スケベ本を飾ったのだ。  
広がった尻穴から、あの郷の薫り高き特産物の赤が、のぞいていた。  
 
 
女を失い、這い蹲る金髪の青年を見たときに、ついに理想の相手を見つけたと、そう思った。  
キャロルが名乗った時、小さく故郷の村の名を呟いた彼を見て、最後の遠慮も消え去った。  
自分のように、虐げる側にもまわれる人間ではない。  
どこまでいっても虐げられる人間だ。  
 
ひと気のない場所に呼び出して、さっそく互いの立場を明白にする。  
這いつくばらせ、靴を舐めさせる。  
上半身はそのままに、ズボンとパンツだけを脱がせ、そのみっともない格好のまま自分の前にモノを晒させる。  
そして、自分を幾度も苦しめた男の物を踏みにじる。  
理由なんか、何一つない。  
けれど彼は、理不尽なキャロルの要求に、いくらでも従った。  
泣きもせず、ヘラヘラと笑いながら。  
 
従わなければ大声を出し、襲われたと泣くツモリでいた。  
必ず仲間たちは、自分の言い分を信じ、彼に制裁を加えただろう。  
いつか彼に飽きたら、彼に非がなくてもそうするつもりだけれど、とりあえず今はこれでいい。  
小柄で細身だけれど、筋肉がついたがっちりした体躯。  
重いパイルバンカーを、軽々と振り回すことができる体力。  
それを持ちながら、理不尽から逃げようとしない彼が、嫌いだった。  
自分にそんな力があれば、踏みにじらせはせず、抵抗したものを。  
その力を持っているのに、年下の女の子の無茶な要求に、何でも従う。  
フルチンのまま、三遍回ってワンと言えと言えば、その通りにするのだ。  
 
ゾクゾクした。これ以上のオモチャが、あるだろうか?  
 
キャロルが「小言を言う」ために、チャックの手を引いていくのは、あっというまにいつものことになっていた。  
キャロルの小さな手に引かれるチャックには、逆らう様子など、まるでない。  
 
彼が女性器を持っていないことが、残念だった。  
持っていれば、自分がされたことを全部やり、自分が女に生まれたがために、どんなにひどい目にあってきたのか、教えてあげられたのに。  
その分、他のことで彼をいたぶった。  
 
金を出せば、何でも買える。  
ベルーニの教授から貰うお小遣いは、人間の人生を丸ごと買えるほどの額でもあった。  
そこで買える、もっとも醜い男を、あるいは買えるだけの男を買い、目の前で彼を犯させた。  
それでも逃げようともせず、されるがままの彼を見て、キャロルは心から軽蔑した。  
そんなことをされても、何もなかったような顔をして、仲間に加わっている彼が、嫌いだった。  
 
その日も彼を呼び出し、そしてキャロルはズロースと下着を脱いだ。  
 
私をいかせるまで、奉仕しなさい。いかせるまでは、ゆるしません。  
仲間たちが来る前に終わらせなければ、あなたが私を襲ったことにします。  
 
彼の前に横たわり、股を開く。  
彼は犬のように、キャロルの股間に顔をうずめ、舌を這わせ始める。  
 
行ったことなど、一度もない。気持ちが悪いばかり。いくはずもない。  
仲間たちは、自分をとても可愛がってくれている。  
なかなか戻ってこない自分たちを心配して、見に来る頃も、この状態が続いているはずだ。  
涙なんか、いつだって流せる。  
自分を「襲った」彼は、仲間たちからひどい制裁を受け、放り出されるだろう。  
それを想像して、キャロルはほくそえんだ。  
 
ピチャピチャと、音までさせながら、彼はキャロルの秘所を執拗に舐めている。  
時折舌を突き出して、キャロルの奥をうかがいつつ、一番敏感な部分を刺激する。  
もっとと期待するたびに、舌は離れ、別の箇所へ向かう。  
お尻の穴の周りを舐め、その穴の中にまで侵入するかのごとく、中心部を押す。  
けれどそれがなされる前に、舌は再び別の場所へと移動する。  
 
いつしかキャロルは、自分が彼の次の行為に期待していることに、気がついた。  
もどかしい快感に、身をよじっていることに。自分が濡れていることに。  
 
ただ舌だけで奉仕していたはずのチャックは、いつのまにかキャロルの太ももに手をかけている。  
そして愛撫するかのようになでさすりながら足を持ち上げている。  
キャロルは、彼の奉仕と愛撫を、さらにと要求するように、腰を動かしていることに、気がついた。  
 
チャックは、じらすのをやめて、一番敏感な部分を舌で執拗に刺激していた。  
キャロルの内側から、何か正体不明のものが、じわじわと湧き上がってくる。  
動かそうとも思っていないのに、体が動く。  
もっと、もっとと、何かを要求する。  
秘所が、びくびくと震えた。  
体がしびれ、腰から下が宙に浮いた。  
これが「イク」ということなんだと、初めてしった。  
 
気がつくと、チャックに背負われたまま、仲間たちと一緒に移動していた。  
仲間たちは、キャロルとチャックの間にあったことなど知りもせず、いつもと同じように、歩いている。  
チャックはその最後尾を、キャロルを背負って歩いている。  
 
起きたのかい? しばらくそのままにしていなよ。  
 
チャックに優しく言われ、その耳元でウンと呟く。  
背中が、温かかった。  
そしてキャロルの体重を支える彼の手は、その指を彼女の秘所に差し入れて、優しく敏感な場所を、なでさすっていた。  
 
(以上)  
 

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