折檻されるのは毎日のことだったが、その日の父親は、ことさら醜悪だった。
父親に抱きしめられるなど、もはや夢にも期待せず、近づかれることさえ恐怖だったが、今は抱かれ、そして局部をまさぐられている。
強引に秘所をこじあける太い指に、悲鳴を上げるキャロルの口を、もう一方のごつい手が覆う。
口をおおった手もまた、その指をキャロルの口腔内をまさぐりはじめる。
キャロルはただ、さらなる暴力を恐れて、ひたすら耐えた。
ひとたび解放され、ほっとしたのもつかの間、両手で腰をつかまれ、そして押さえつけられた。
そして、ねじこまれた。
下腹を貫く、全身が壊れそうになるほどの痛みに襲われ、悲鳴を上げる。
いつものように殴られたが、その悲鳴を止めることは、もはやキャロルにはできなかった。
半裸のまま一人床で目覚め、放り出されているたった一枚の下着を拾う。
そしてそれを履きもせず井戸に向かい、汚れた下肢と下着を洗った。
まだ十歳にもなっていなかった。
その日から、それは毎日の習慣となった。
母親が出かけると、父親はすぐにキャロルをたぐりよせ、舌で奉仕させ、そしてまだ女にすらなっていないキャロルの小さな秘所に己の分身をねじ込み、体液をぶちまける。
キャロルにも、これがただの折檻ではないことは、なんとなくわかった。
母親に知られてはならないと。
父親はキャロルの耳元で囁いた。
お前の母親は、今別の男と、男たちと、こういうことをしている。お前にも同じ血が流れている。
父親は、キャロルが意識を失うまで、毎晩彼女を嬲り続け、彼女を床に放置して自分はベッドで眠りこける。
毎晩ともなれば、それが母親に知られるまで、時間はかからなかった。
夫と娘の身に起きたことを知った母親が、まず最初にとった行動は、キャロルの髪を掴み、家の外へと引きずり出すことだった。
必死に許しを請うキャロルを無視し、引きずって村の小さな食堂へ向かう。
淀んだ目をした酔っ払いたちがたむろする、彼女の仕事場だ。
ガキのくせに色気づきやがって、そんなに男が欲しいんなら、それで少しは稼ぐんだね!
食堂のテーブルの上で、衣類をすべてはぎとられ、男たちに値踏みされた。
両足をひろげさせられ、指で秘所をこじ開けられる。
ふくらみのない胸の突起を、執拗にいじられ、別の男が秘所に指を突っ込みうごめかす。
キャロルが痛みに悲鳴を上げるほど、男たちは盛り上がり、あらゆるものを、秘所へと差し込んでいく。酒瓶へとエスカレートするまで、さしてかからなかった。
ガキに興味はないという男もいたが、誰もその狂宴を止めようとしなかった。
母親に、男たちの玩具として売られるようになっても、父親への奉仕もまた求められ続けた。
そして洗濯といった家事から解放されもしなかった。
キャロルの身に起きたことは、すぐに村中が知り、哀れみと軽蔑の眼差しが、彼女に向けられた。
それが嫌で、できるかぎり人目を避けて、井戸に向かい洗濯をする。
だが、それが間違いだった。
村の年嵩の少年たちがつるんでやってきたとき、キャロルはとっさに逃げようとしたが、濡れた洗濯物をどうしようかと迷っているうちに取り囲まれた。
自転車に乗せてやると、リーダー格の少年が言う。キャロルは首を横に振るが、無視され、少年たちに掴み上げられ、自転車に乗せられ、村はずれに連れ出された。
そして少年たちは、乗車賃だと笑いながら、かわるがわるキャロルを犯した。
キャロルを犯している間、自転車少年は彼の妹の名を囁いていた。
両親は人々の前で、キャロルを嬲った。
父親はキャロルを犯し、母親が見物人から金をせしめる。
金を払う者には、誰にであれ娘を売った。
ショーが飽きられるごとに、キャロルへの行為はエスカレートしていった。
アナルも餌食にされたし、異物挿入はいつものことだ。
快楽とはまだ無縁の少女の、嫌がり痛がる様を見て、人々は笑った。
その日、取り囲む見物人の一人が、盛りのついたオスイヌを連れてきた。
何が始まるか気づいたキャロルは逃げ出そうとしたが、取り囲む男たちによって殴られ、取り押さえられる。
男たちは、興奮した暴れるオスイヌを、むりやりキャロルに多い被らせ、彼女にあてがった。
男たちが手を離しても、キャロルはもう逃げられなかった。犬の息遣いと、下腹でふくれあがる犬のもの。逃げようとしても逃げられず、体に力も入らなかった
村の少年たちは、相変わらずキャロルを欲望のはけ口として使い続けた。
男たちとの違いは、金を払うかどうかと、わりと行為が単純明白なことだけだ。
その日は自転車少年が一人でやってきて、キャロルを後ろに乗せたまま、村の外まで走り続けた。
妹がさ、お前みたいな汚らわしいヤツは、村にいるべきじゃないって言うんだよ。
自転車少年が、妹を大切にしていることは、村の誰もが知っていた。
彼の妹にわずかでも卑猥な言葉をかけようものなら、この少年の全力の反撃を受ける。
だから面倒がって、誰も手を出さない。
村から十分離れてから、自転車少年は言った。
やらせてくれるなら、隣村まで連れてってやる。
キャロルが、もうこのまま、魔獣に食われたほうがマシだと断ると、少年は鼻で笑って彼女を組み敷いた。
もはや抵抗する気力もなく、気づいた時には荒野に一人倒れていた。
誰もいない。一人ぼっち。魔獣たちのうなり声が聞こえても、まるで怖いとは感じなかった。
倒れたままのキャロルの匂いを、魔獣たちが嗅いでいる。
あまり痛くなく食べられたらいいなと、キャロルは思う。
あの村へ帰るぐらいなら、あの人たちのいる場所へ帰るぐらいなら、魔獣に食べられたほうがずっとましだ。
少なくともそれは、一度きりだ。
他の村のことは、キャロルは知らない。だからどこへいっても同じだろうと、そう思った。
魔獣がキャロルの体をくわえ、その牙が体に突き刺さる。鈍い痛みだ。少なくとも魔獣は、キャロルをいたぶろうとはしていない。
その時新たな魔獣が現れ、キャロルを加えた魔獣に跳びかかった。
大きな人間タイプの魔獣だ。
それが本当に大きな人間であることに気づいた時、その体の大きさから、そのイチモツの大きさを想像し、キャロルは悲鳴を上げた。
その大きな人間が、キャロルに危害を加えるつもりがないことを理解するまで、何日もかかった。
きっと魔獣のように大きな人間だから自分をいたぶらないのだと、キャロルは思った。
実の両親に、よくなじられた。誰にも人間扱いなどされなかった。
きっと自分は魔獣で、だから魔獣のお父さんは優しいのだと、そう思った。
(おわり)