女性ジョッキーが最初にデビューしてから何年も経つが  
いまだリーディングを騒がすようなジョッキーは出ていない。  
調教をして、生活費を稼ぐ日々を過ごすものが多いの実情だ。  
彼女達の中には容姿の美しいものもいて、  
一般にはアイドルジョッキーなどと呼ばれていた。  
プロ意識をもって彼女達にしてみれば迷惑な話だがしょうがないことなのかもしれない。  
 
北原怜那は調教を終えて、シャワーを浴びていた。  
アスリートらしく引き締まった身体を水滴がつたっていく。  
キュッ。  
シャワーの蛇口をひねると髪の水を手で跳ね飛ばす。  
跳ねた水に、7月の朝日よりは熱を持った光があたりにきらめく。  
バスタオルで髪を挟むようにして水分を取ってから  
身体を拭いていく。肩、少々小ぶりの胸、腰、太もも、くるぶし。  
拭き終えるとパパッと服を着ていく。  
ジーンズに長袖のTシャツというラフな格好になってしまうと、後は  
帰るだけだ。  
「今週も一鞍もないのかなぁ・・・。」  
自分の乗鞍の無さについ口を出てしまう愚痴。  
 
怜那の本拠地栗東トレセンにかぎらず、トレセンは広い。  
トレセンの外のアパートを借りる怜那が、自転車に乗ろうとした時だった。  
「おーい。」  
声を上げて、茶髪の男がこちらに駆けてくる。  
騎手の先輩の鷹剛次郎だ。父親が鷹國弘調教師で、親戚も騎手の  
競馬一家の男だ。  
テレビなどにも出ていて彼の合コン好きは有名である。騎手としての腕も  
天才ではないものの、悪くない。  
怜那のところまで来るとはぁはぁと肩で息をしながら、  
見上げるようにしながら話し始める。  
「ハァ・・ねぇねぇ、合コン・・ハァハァ・・の話、返事どうだい?」  
こんなことのためにこんなに息せききって走ってきたのかと  
怜那は冷めた目で彼を見た。  
その目に気づいてバツの悪そうな顔をする剛次郎。  
「あ、やっぱダメ・・・?」  
「っていうか、他の女の子いないし。  
由紀ちゃんとか、昌恵ちゃんとか乗り気じゃないし。」  
ぶっきらぼうに答える怜那。  
「ハハ・・・そっか〜、じゃあ無理だね〜。」  
頭の後ろをかく剛次郎。怜那は、なんでこいつよりアタシが  
乗れないんだと急に腹立たしくなってきた。  
「ったく、嫌になっちゃう!アタシは今週も一鞍も乗れないのに  
剛次郎さんは余裕ですよね!」  
急に怒り出した怜那にあわてる剛次郎。手振りを交えながら必死になだめようとする。  
 
「ご、ごめん。そ、そうか、今週も乗鞍がないんだ・・・?」  
「そうですよ!そりゃ・・・腕力は男の人に負けますけど、あたしだって頑張ってるのに!」  
ヒステリックに声を上げる怜那。なんでこの男の前でこんな醜態を晒しているのか、  
自分でも理解できなかったが、内心は次の言葉を期待していたのかもしれない。  
「そうだよね。・・・そうだ、怜那ちゃんさ、俺が親父にかけあってみるよ。」  
「・・・・え?」  
「今週、阪神騎乗だからさ。函館に遠征に出す馬がいるって言っていたし、  
俺のお手馬だから推薦すれば大丈夫だよ。もちろん、ちゃんと乗ってもらわないと困るけど・・・  
先行馬だし、案外俺より合うかもしれない。」  
予想通りなのか、思わぬ言葉なのか怜那自身すら分からないままだったが、顔がほころんだ。  
「い、いいの?」  
「ああ。ごめんね、デリカシー無かったな。それじゃ、明日にでも親父のとこに来てよ。」  
アゴの長い男は、来た時と同じように走って去っていった。それまで、騎乗技術はあるものの  
軽薄なだけの男と勝手に思っていたことを怜那は、心の中で謝罪した。  
ただ、馬を譲るだけならば女相手に媚を売っているだけの男だがちゃんと乗ってくれといった。  
そして、その後の言葉が同業者をチェックしているプロとしての部分を感じた。  
その上で先行馬があうと言ってくれている。怜那の胸が少し熱くなった。  
 
翌日。  
昨晩、あれから剛次郎から電話が入って騎乗を國弘調教師が許可してくれたことを聞いた。  
起きて、身だしなみを整えると飛ぶように部屋を出た。ペダルをこぐ脚にも力が入る。  
 
「やぁ、北原君きたね。」  
鷹師が手を上げる。怜那は頭を下げてから、歩み寄った。  
「今回は、どうもありがとうございます!」  
「ああ、うんうん。」  
鷹師が、うなずく。そして、手で呼び寄せる。厩舎の中から剛次郎が顔を出した。  
「剛次郎からの頼みだし、まぁ特に誰を乗せるか決めていなかったから  
お願いするよ。癖なんかは剛次郎に聞くといい。」  
剛次郎がコクリとうなずいて微笑む。  
「はい。」  
剛次郎のほうを一瞥すると、鷹師はニヤリとした。  
「そうだな、結果を出してくれればまだ500万クラスだし主戦をお願いしようかな。」  
「本当ですか?!」  
怜那はとても喜んだ。そして腕に力が入った。主戦になれれば騎乗機会も増えるし  
結果を出せば好循環への一歩になる。しかし、剛次郎はあわてた。  
「親父、まじかよ。こりゃ、怜那ちゃんにあんまり頑張られるとこまっちゃうな?」  
「トップジョッキークラスになってからうちの馬なんかほとんど乗らないだろうが。  
ちゃんとクセを教えるんだぞ?」  
そう言ってから、怜那の方を向いて、  
「なにも1着に持ってくるだけが騎乗じゃない、私とて昔は騎手だった身。いい騎乗かどうかは分かる。  
それを心がけてな。」  
「はい!」  
怜那はまた頭を下げた。  
 
バンブーババロア。牝馬3歳。デビュー戦、小倉の芝1400mで3着に好走し、折り返しの新馬戦に出て  
1番人気になったものの大敗。ソエが出てしまい放牧に出て、戻ってきたのが今年の1月。  
3月に小倉の未勝利戦を勝ち上がった。そのときの騎手が鷹剛次郎だった。その後、阪神で走るも  
掲示板がやっとで、新潟に出しても駄目。平坦、右回りが得意のようなので函館遠征というわけだ。  
「とくに入れ込んだりはしないし、手前を変えるのもスムーズ。素直な馬だよ。  
ただ、切れる脚は無いから函館だと・・・。」  
「マクリぎみに行けばいいのね?」  
「そう。それじゃ、がんばってね。・・あ、あんまり頑張られると困っちゃうかな?ハハ」  
「アハハッ、剛次郎さんには悪いけど、がんばっちゃいますから!」  
二人はしばらく笑った。笑いが収まると、二人は別れた。  
 
日曜日、函館の8R。  
バンブーババロアは終始第2集団で走って、三角からすこしずつ加速していった。  
逃げ馬はババロアに競られて、息をもたせられず、後ろは鞍上を甘く見ていた。  
4角出口には先頭に出たババロアだったが、速度を緩めることなくそのままゴールイン。  
馬に無理をさせないいい騎乗だった。  
当然、鷹師からも誉められお手馬をゲットすることに成功したのである。  
12Rも騎乗があったが、残念ながらそれは7着だった。賞金自体は入ったので  
しばらくは生活も楽だと、所帯じみた考えを怜那がしていた時に、  
ふと検量ルームの男性騎手たち数人の会話が聞こえた。  
「なんだ、お前まだ童貞か。しょうがないな、俺様がススキノでおごってやろう!」  
「ま、マジっすか!き、緊張するけど行って見たいしな〜。」  
「おごりなんだから、来て当然だろうが!なぁ?」  
「ああ、アイツも誘っていくか。」  
下品な会話。怜那はそう思ったが、ちょっと剛次郎のことが気になった。  
ババロアに乗せてもらえたのは彼のおかげだ。自分があんな演技のようなものをしたから  
こういうめぐり合わせになったのだ。彼もやっぱり好きなのだろうか。  
帰ったら聞いてみよう・・・・。  
 
翌日は厩舎の全休日。マンションの前にタイトスカートにキャミソールの女がいた。  
北原怜那だ。車が来て、それにのった。  
 
「おめでとう!」  
礼を言おうと剛次郎を食事に誘った。怜那に会うとまずは剛次郎がそういった。  
「ありがとう!」  
本心から彼女は言った。そして、居酒屋に入った。  
ビールを2つ頼み、あとは軽いつまみをたのむ。ビールが届くと剛次郎はジョッキを持って  
上に掲げた。  
「ババロアの主戦騎手にかんぱーい!」  
カチンッ。  
ちょっと照れたがジョッキをぶつける。食べながら二人は楽しく話した。  
騎乗馬の話、乗り方、あの競馬場でのスパートのタイミングはどうだ、など  
およそ色気の無い話だったが剛次郎は楽しそうだった。  
怜那は彼の合コン好きっていうのは、ただたんに楽しく飲むことが  
好きなだけなんだろうと思った。すっかり打ち解けて、怜那は  
ふと思いついた。  
「昨日さ、函館の検量ルームでさ。」  
「ん?」  
昨日の話をしていく。剛次郎は、苦笑したり笑ったりしていた。  
そして、怜那はなんとなくこう聞いてみた。  
「ね?剛次郎さんもそういうとこ行くの?」  
急に話題を自分に振られて、豆鉄砲を食らったような顔になる剛次郎。  
そして恥ずかしげに軽くうなずく。  
「うん、まぁ先輩につれられていったことあるな。」  
「そうなんだ。そういうところでしたことは、ヨカッた?」  
大胆な質問に、うろたえる剛次郎。と、怜那の顔が薄紅色なことに気づいた。  
「え?あ、ああ、うん。って、なんだ怜那ちゃん酔っているね?」  
「酔ってなんかいないわよ。・・・フフ、そっかぁ、剛次郎さんも好きなんだねぇ。」  
トロンとした目で剛次郎を見る怜那。パンと手をたたき耳打ちをする。  
「ねぇ、ちょっと付いてきて。」  
手を取って、席を立つ怜那。ひっぱられるままについていく剛次郎。  
トイレの前で立ち止まる。男女両用のトイレ。個室自体は2畳ほどのスペースがある。  
怜那はドアをあけると、剛次郎を引き込んだ。  
 
「ちょっと、な、なに?!」  
「好きだって言うから、お礼にしてあげるの。うれしいでしょ?」  
「そ、そんなつもりで言ったわけじゃないよ。」  
いいから、いいからと剛次郎のズボンのベルトを外す。派手なガラのトランクスが出てきた。  
しかし、剛次郎のソレはカチンコチンというわけでは無さそうだ。  
「なーに、アタシがしてあげようっていうのに。あ、こうすればいいかな。」  
玲奈は、キャミソールの肩紐からブラに手をかけて外した。キャミソールの肩紐も下ろすと  
乳房があらわになった。とたんに、剛次郎のトランクスが膨らむ。  
「あ、あ・・。」  
「やっぱりね。これくらいで、こんなになっちゃうんだ。」  
トランクス越しに手でこすったり、なでたりする。剛次郎の鼻息が荒くなっているのに気づいて  
怜那はクスッと笑った。  
「おっぱいを触りたいの?・・・いいわよ?」  
うなずくなり、両方の胸を揉みしだく剛次郎。怜那も、剛次郎のモノをトランクスから出す。  
クニュクニュ。  
すると剛次郎は、バッとスカートに手をかけてめくり上げた。すぐに右手を股間にもっていく。  
ショーツごしには少ししか触らず、すぐに上から指を入れてきた。  
「あ・・あん・・・」  
乳首を舐めながら、指でクリトリスを刺激する。  
思わず、膝まづく怜那。その視線の先に陰茎を認め、口にほおばる。  
「クっ・・・うぉ・・・」  
カポカポ・・・。ズジューっ!  
チロチロと舌でカリをつつむようにされ剛次郎の陰茎は硬さを増す。  
怜那の髪が首の動きと一緒に、波打つ。  
「も、もぅ・・・い・・」  
剛次郎は口からモノを抜くと、バッと怜那を抱きかかえた。ショーツを強引に引き下げると、  
怜那の膣に自分のものを挿し込んだ。  
 
「ん!!アッ!!」  
怜那の乳首を口に含みながら腰を動かす。  
「あ・・・はぁ・・・ンン・・・あん、あんッ!」  
「怜那ちゃん、いい!気持ちいいよ!」  
グチュ!ニュチョ!ジュポ!  
卑猥な音と、怜那の喘ぎが剛次郎を興奮へといざなう。  
「ああ、いきそうだ、い・・あああ!!」  
「な、中は駄目ーッ!!」  
剛次郎を押しのける。赤黒く怒張したモノが膣から抜けて、  
剛次郎は壁に当たった。  
「ご、ごめん、でも・・・」  
我慢できないと言った様子の怜那は、口元に微笑を浮かべると  
その赤黒いものを再び口に含んだ。  
イク直前だったソレは、口に含んだ瞬間彼女の口内へ発射された。  
「お、おおおお、あああ」  
剛次郎は、発射の瞬間の気持ちよさに身体をブルッと痙攣させた。  
しかし、コレで終わりと思った剛次郎の身体は痙攣を繰り返す。  
怜那は出た後も舌をウラスジにそってスライドさせているため、  
快感が治まらないのだ。  
ビュル、ビュルルッ!ゴクン、ゴクン。  
怜那の美しい首の筋肉が上下して、スペルマを飲んでいく。  
 
最初の痙攣が治まってから2分以上たって、ようやく  
剛次郎の痙攣は治まった。肩で息をする剛次郎。  
「ハァハァハァ・・・。き、気持ちよったよ。」  
「アタシも気持ちよかった。ふう・・・」  
息を吐いて剛次郎に人差し指をビッと向ける。  
「でも、これっきりですからね?それじゃ。」  
「う、うん。」  
結局怜那は酔っていなかったのだ。酔ったフリをしないと  
こんなことできなかっただけだったというワケ。  
 

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