題名:危ない橋を渡ったな
「ゆっ!?」
「ん?ああ……どうした、ディー」
「い、いえ。まだ帰っていないと思ってましたので、驚いて、それで」
「そうか。まあ気にせず続けてくれ」祐一はふっと目を和らげる。「魔法士なら、だれでもやる失敗だ」
ディーは青い顔をしてティーポットとカップを2つ持ち、部屋に消えた。それを見送り、祐一は過去を懐かしむように紅蓮の刀身に自身を映す。
120倍の知覚が、微かなセラの声を捉えた。
「ディー君、なんか、お腹の中がどろってしてるです。……ディー君?」
END