「ねえ、デュアルくん。セラちゃんはたしか、軍で開発された実験
体だったわよね? 訓練もなにもされずに放り出されたって言ってたけど」
「はい」
「ふーん。どこの軍かは知らないけど…まだ、そんなことしてるんだ」
ディーは端末から思わず顔を上げた。節約のため薄暗いままにしている
部屋に、有機コードを介してつながっている端末のディスプレイの淡い
光が満ちている。ディーのベッドに腰を下していたマリアが、両手で包み
こむように持った紅茶のカップに落としていた視線をふとあげて、ディー
と目があう。
「あ、気にしないでね。わたしが魔法士になった時のこと、少し思い出し
てただけだから。…となると、ちょっと教育が必要かもね」
「魔法の特訓じゃなくて教育、ですか?」
「そう。デュアルくんもそう思わない? セラちゃん、ちょっとガードが
…そう。だから、今のうちに対策しておかないといけない気がするのよ」
ガードと言われて、ディーは二人が行っている『特訓』のうち、Shie
ld展開訓練の時のことを思い出す。たしかにマリアが見事な盾を展開し
て見せたのに対しセラのそれは、なんというか、そう――とてもセラらし
い規模のものだった。あれでは光使いとしての師匠からダメ出しをもらっ
ても仕方ないかもしれない。
「そうかもしれませんね」
「そうよね。さっそく今からやってみようかしら…デュアルくん、協力し
てくれる?」
「あ、はい。できることがあれば――」
驚いたように、それでも有機コードを端末から引き抜くディーへマリアは
くすりと笑いかけて、手にしていたカップを置いて立ち上がる。「ありがと
。それじゃ、まずは」と端末の前に置かれた椅子に座っているディーのそ
ばで来ると、その白い手をするりと頬にやって、次の瞬間。
「んむっ…!?」
重ねられた唇。強引に入り込んでくるマリアの舌。それがもたらす、少し
だけ紅茶の混じった、知らない味。ぐちゃぐちゃと――弄ばれる、ディー
の舌。驚きのあまり見開かれた瞳には、静かに目を閉じているマリアのきれ
いな顔と、ディスプレイの淡い光に照らされた金色の髪。
しばらくされるがままになっていたが、すっとスラックスに入り込んでき
た手に今度こそディーは慌てて言葉を口にしようともごもごと唇を動かす。
ぷは、と息継ぎのようにマリアの唇が離れ、間にひいた白い涎液の糸。
「マ、マリアさん……な、なにを」
続けようとした言葉は、再度の口づけにさえぎられてしまった。同時、ご
そごそとスラックスの内側に回されていたマリアの手が、それに行き当たる。
え――?
唇をはなしてふうと大きくを息を吸ったマリアが、ぞくりとするような表情
でこちらを見、その手がゆくりとディーのスラックスを下した。そこには、
マリアの白い手に握られ充血して大きく反り返っている、ソレが。
「なにをって、教育の下準備よ。機能をたしかめなくっちゃ…うん、きれい
にしてるのね」
そういって、しゅっと一度、手首を上下に動かす。それだけでディーは体の
奥の熱の塊がぶるぶると高ぶるのを感じて、無意識にマリアの手に自分の手をおく。
「ふーん。やめてほしいの?」
「え…いえ」
「じゃあ続けるのね」
「え、あの、っ」
再開された上下運動にディーは言葉を飲み込む。マリアの手はからみつくよ
うにディーのそれを握り、撫でさすっている。抵抗を諦めたディーが、怖いも
の見たさも手伝ってその動きと同時にぞくぞくと背筋をはいずりまわる知ら
ない感覚に身を任せてしまおうかと考えていたその時。
「あ。合格よ、デュアルくん」
「え…?」
ぴたりと感覚が消える。ディーの下腹部に目をやっているマリアの視線を追う
と、その先端部に透明感のある体液が顔をのぞかせていた。
「デュアルくん、もしかしてこういうの初めて?」
怪訝そうな顔で聞いてくるマリアが『どういうこと』について言っているの
かわからなかったからディーはこくりと頷き、不安そうな顔でマリアを見つめる。
「あら…そうなの。…そうよね。わたし、てっきり…うん。ま、いいわ」
そう一人でふんふんと頷くと、マリアはつい、と後ろ手にドアを指し示した。それに
従うように正八面体の結晶体がひとつ現われて、ドアをスライドさせる。その向
こうの通路には――驚いたような顔の、セラの姿。
「セラちゃん、おはよ。お昼寝おわったの?」
「え…あ、はいです」
「そう。それじゃ、今日はデュアルくんにも手伝ってもらって特別授業をしま
す。こっちにおいで、セラちゃん」
「は、はいです…」
そろりそろりと近づいてくるセラの視線は、マリアと会話をしながらもディー
の股間から起き上がっているものに注がれている。ディーはなんだか恥ずかし
くなって、下ろされたままのスラックスを引き上げようとし、ぎゅっとソレを
つかまれてその動きを止める。
「う、わ」「はいはい、デュアルくんは大人しくしてること。さて、セラちゃ
ん」とマリアはセラのほうへ向きなおる。
「セラちゃんのココは、こんなふうにはなってないでしょ?それをデュアルく
んにも見せてあげてほしいの。いいかしら」
「え…」
「大丈夫よ。デュアルくんだって見せたんだもの、セラちゃんにだってできるわ」
「…はいです」
セラは困惑したような表情で、それでもスカートに手をかけた。ディーから手を
離したマリアがディーの前をさえぎるようにセラのほうへかがみこんで、「じゃあ
ついでにこっちも」「え、でも」「大丈夫、デュアルくんきっと喜ぶわよ」「そ、そ
うなんですか…?」しゅるしゅると、やわらかな衣擦れの音。そして。
「うん。綺麗よ、セラちゃん」
「……」
言葉も出ないほど顔を真赤にしたセラが、すべての着衣をはぎ取られてそこにい
た。目に飛び込んでくる、小ぶりの双丘。火照っている小さな白い体。唯一いつ
ものままの頭のリボンが、妙に艶めかしかった。伏せられていた青い瞳が、問い
かけるように、こちらを見据える。
「…あ、うん。きれいだよ、セラ」
他に言葉が思いつかなかったのだが、そういってからディーは耳まで赤くなるの
がわかった。そうして、それをごまかすようにマリアの方を見る。
「あの、マリアさん、これは?」
「もちろん教育だけど? さて次は、ん…セラちゃん、そっちのベッドに寝てく
れるかしら」
「え、でも…あの、ディーくんのです…」
「う、うん、使っていいよ。セラの勉強になるなら」
ありがとです、と小さく言ってセラがディーのベッドに乗る。そのままに横に
なって、というマリアの言葉。不安そうながらもその通りするセラの姿に、ディーの
内側にある熱の塊がかすかにうごめいた。
「どう、デュアルくん。近くでもっとよく見てみない?」
「え、近くで…ですか」
「そう。興味あるでしょ?」
ディーは無言で椅子からふらりと立ち上がった。数歩の距離はあっという間に縮ま
り、そこではずかしそうにしながらも食卓に並べられた料理のように横たわってい
るセラの体をじっと見つめる。生体機能についてはシティの軍事教練による多少の
知識を持ち合わせていたけれど、培養槽に入っているコアたちやクレアの姿を目に
したことはあるけれど。そのどれよりも、目の前のセラはきれいなように思えた。
そんなことを考えていると、「デュアルくん、手」とマリアがディーの手をとり、そ
のまま素早くセラの秘所に置いた。ひゃうっ!?とセラが悲鳴をあげて自然にしてい
た両足を閉じるが、そのせいでますますディーの手はセラの秘所に押し当てられてしまう。
「え…? え…?」
「大丈夫よ、セラちゃん。デュアルくんに触らせてあげましょう。どう、デュアルくん?」
「え、その、あ、あたたか――」そういって、ディーは言葉を飲み込んだ。秘所から
手を引く抜くと、指先にねとりとからみつくもの。それが出ている場所へ目をやると
、小さな突起がふるふると震えている。それに目をしたマリアが、「あら、準備万端の
ようね。セラちゃん、気分はどう?」と言いつつそっとディーのソレに手をやり、上
下の運動を少しだけ行う。少しだけおとなしくなっていたソレが、再び力強くなる。
「な、なんだか、わたし…変です」
「そう、それでいいの。これはね、気持ちよくなることなのよ」
「気持ち、よく…?」
「そうよ。好きな男の子のコレを」マリアはディーのソレを指し示す。「女の子のコ
コに」セラの秘所を撫でると、セラが小さく濡れた声をあげた。「入れると、二人とも
すごく気持ちよくなれるのよ。さて、さっそくやってみましょうか? デュアルくん」
「…でも僕、」「こら、女の子が待ってるのに男の子が言い訳しないの。ベッドにのっ
て、セラちゃんに覆いかぶさるようにして」「…は、はい」
言われるままにセラの上で四つん這いになると、火照った体でぼんやりとした表情の
セラと目があった。ディーがその状況で何と声をかけていいのか戸惑っていると、マ
リアがディーのソレをやさしく握り、セラの秘所にあてがう。「セラちゃん、もうちょ
っと足広げてね」「え、こ、こうですか…?」というやりとりの間もディーはセラを見
つめていたが、ありきたりな言葉しか浮かんでこなかった。かわいい。きれいだ。そん
な、あたりまえのこと。
「はい、それじゃ…いいわよ、デュアルくん。そのままココにそれを差し込むの」
二人分のものが重なっている場所に目をやると、水っぽくなっている二つの性器がデ
ィーを待っていた。「このまま、こう」というマリアの指の動きに従って、ディーのソ
レがセラの秘所につぷり、と潜り込む。
つぷり。つぷり。少しずつ。ゆっくりと。入ってゆく。そして。
「あ、あの、マリアさん、」
緊張のあまり息切れしているディーに、マリアはなに?と首をかしげる。
「なにかがあって、もうこれ以上前に――」
「あ、それは大丈夫よ。一気に押し込んでいいわ…セラちゃん、ちょっと痛いけど、
最初だけだから。がまんしてね」
「え…痛い…?」
ぼんやりとしたセラの声が聞こえた瞬間、ディーは何かに突き動かされるようにして
ソレをめりこませていた。ずぷん、と一気にディーのソレがセラの秘所へと到達する
。ぶちんと、なにかが切れる音が聞こえた気がした。
「い、痛ぁ…」
見ると、わずかながら血が出ている。あわてて引き抜こうとして、そこではしった快
感にディーは思考がマヒしたのを感じる。なにかに引かれるように、戻しかけた腰を
ディー深く沈みこませる。
「う…セラ、ごめ…」
「いた、え? これ、なんですか…え?」
最初はゆっくりと、次第に速度を上げてゆく止まらないピストン運動。体の奥でなに
かがごぼりと音をたてる。
「あ…ぐ…うぅ…!」
「え、ええ、なにか、なにかが、わたし、」
セラも同じ感覚があるらしい。なにかが、爆発するなにかが、膨らんでゆく。
「セラ、ご、ごめ…!」
「あ、だめです、だめ、きちゃ、きちゃう…!」
「セ、セラ、セラっ!」
「あ、あああ、ディ、ディーくん――!」
――――――っ!!
視界が閃光に包まれる。白紙の暴発、脊すじを駆け巡る甘い悪寒。
そのまま体制でいたのだろうか。ぬぽりとソレを引き抜かれ、ぽんと押されてセラの
横に倒れこむ自分の体。
服を脱いで覆いかぶさってくるマリアの肢体を見つめながら、むくむくと力がもどっ
てゆくソレを感じながら、ディーは頭のすみのほうで考える。
どうしてこんな――。
どうしてこんなに気持ちのいいことを、クレアは教えてくれなかったんだろう、と。