机の上には、シティの外へ出ることの多いクレアが手に入れてきた栄養剤のカプセルを
しっかり飲んだという旨の書置きがあった。それから、お互い忙しいのにありがとう、
というディーらしい一言も。
クレアは暗い目で手に取ったそれを見つめる。クレアの千里眼は常にディーのを見ていた。
昨日も、一昨日も、その前も。だから、知っている。
――今日もまた、ディーは第一階層のあの子と一緒に過ごした。
クレアはゆっくりと眼帯をはずして、官舎の部屋の奥のほうに目をやる。クレアと同じ
境遇の『弟』が、クレアの選んだパジャマに包まれて、クレアと同じ空間で、静かな寝息
をたてていた。
0400時、延長に延長を重ねた輸送任務からようやく解放されたクレアはまっすぐに
その足をディーの部屋へと向かわせた。理由は簡単。今日もまた、ディーは…。
「…しょうがないなあ、もう」
一人そうつぶやくと、クレアはゆっくりとベッドで眠り込んでいるディーの元へと歩み
寄る。千里眼の告げるディーの睡眠状態はレベル4、もっとも深い睡眠状態だった。
栄養剤といつわって飲むように指示した外部で手に入れた睡眠薬は功を奏しているようだ
った。よほどの刺激をうけない限り、突如として覚醒することは、まず、ない。
クレアはディーの上へとかがみこんで、パジャマの内側に手をすべりこませる。わずかに
充血しているディーのモノを静かに握って、次第に大きくなってゆくそれを確認してから
ゆっくりと下着ごとパジャマをずりおろす。シャツとの間にきれいなディーの肌がめくれ
ていき、モノの全景が『目視』できるようになるころには、その先端はいきり立つように
上を、クレアのほうを向いてドクドクと脈打っていた。
「今日も元気ね、ゴミもないし」
クレアは嬉しそうに眠っているディーの顔のほうへそう語りかけると、するりとブラウス
を脱ぎ、ブラを外し、ショーツを脱ぎ捨てる――その動作には余念がなかった。生まれた
ままの姿になったクレアは自らもディーのベッドの上に乗ると、その両足の間にかがみこ
むようにして、体の年齢相応に膨らんでいる胸の双丘の間にディーのモノをはさむ。
「ふふ、ちょっと大きくなってきたかも…もう、ディーは変態なんだから。今日こそはち
ゃんと最後まで待ちなさいよ…?」
そう言って、先端部に柔らかなキスをする。そして、ゆるやかな上下運動も加えつつ、片
方のでディーのモノを包み込んだ自分の胸を揉みしだきはじめた。
「ん…ふぅ…」
唇は、透明な液体のにじみでてきたディーの頂点に。片方の手で自らの胸を揉み、もう片
方の手は――
「んあっ…ん…」
クレア自身の秘部で、湿り気の帯びてきた小さな突起の周囲をさぐっていた。
「う…」
ディーがかすかなうめき声をあげる。行為に熱中していたクレアはひやりとしてI-ブレイン
のログに目を走らせるが、睡眠の深さは依然最深部の値を示している。気にすることはな
いようだと結論を出して、再びクレアはその行為とにじみでる性欲に意識を任せた。
「も、もう…んプ…ディーの、ばか…チュプ…」
自分の唇が立てる水音にさえ意識がゆさぶられる。なにかに憑かれたように、胸を揉む。
ディーのニオイが口の中に広がっていた。どうかすれば果ててしまいそうな、濁った刺激
の高揚。熱い吐息と共にクレアがゆっくりと昂ろうとしていたその最中――、
「んっ!?」
びゅるびゅると、口の中で迸る感覚。あわててモノをくわえこむ。喉の奥にあたる先端か
らあふれ出てくる、ディーの味。
「んひゅ…ふプ…」
びゅる、びゅるると途切れずに出てくるそれを漏らさず吸い取ってしまおうと、クレアは
胸を揉む手をとめて、必死に舌を這わせる。ぎゅうと吸い込んで、味を確かめ、飲み干す。
密やかな嚥下は、止まらない。
「んふぇ…ふぇえ、ほほいい…でぃー…」
貪欲に最後の一滴までを舌の上で転がしたクレアがようやく顔をあげると、そこにすっか
り小さくなってしまったディーのモノが、クレアの涎液にまみれて縮こまっていた。その
姿にディーそのものが重なるような気がして、思わず微笑みかけてしまう。
「たくさん出たわね、ディー…そんなに久しぶりだったかしら。もっと出るんじゃない?
…これで、どう?」
そっとディーのモノを手にすると、今度は胸に挟まずそのまま唇を当てる。そうして、ゆ
っくりと――袋のほうまで、舌を這わせていった。ぴくりと、モノが反応する。そのまま、
何度か往復すると。
「まだまだ元気じゃない、ディー…それでこそわたしのディーよ」
ぴんと屹立するそれを目の前にしてクレアは艶めかしく笑うと、すっと自分の髪に手を伸
ばした。輸送任務でFA-307の培養槽に入った時のまま乾ききっていないブルネットを、デ
ィーのモノに巻きつける。
「さあ、とっとと出しちゃいなさい…わたしを待てないバカのなんて、まだいれてあげな
いんだからね」
そうつぶやいて、クレアは髪の巻き付いたディーのモノを高速で上下にしごき始める。デ
ィーの呼吸が荒くなってゆき、粘液と髪がまじりあってしょりしょりと音をたてて、やが
て――。
「…あ、出た」
どくりどくりと、再び震えるディーのモノ。前回よりは量が少なくなった白濁液が、しか
し勢いよくクレアの顔に飛び散る。
「ん…ディーの…む…あったかい…」
それらを指ですくい上げて唇に運ぶ。一滴たりとも逃さない。なぜなら、このことは――。
――髪をほどいて、がぽりとディーのモノを口に含んだ。再び委縮していたそれを袋ごと
口に収めようと、もむもむと口を動かす。…まだ、ディーには元気が残っているようだ。
硬さを増してゆくモノをクレアはうれしそうに舌で弄び、一人前になったところでその先
端に軽いキスを捧げ、そっと口を離す。そうして、ディーの上にすっかり濡れそぼってい
る自分の下肢を持っていく。
「さあ、ディー…いくわよ」
眠っているディーに艶然と微笑みかけて、クレアは三たび硬くなったディーのモノを自分
に秘部にあてがい――、ゆっくりと、腰を落ろしてゆく。
入口のあたりですこし手間取ったが、突然、ずぷん、と一気に奥まで入り込んだ。クレア
は声にならない悲鳴を上げようとして、思わず自分の口をふさぐ。
そうして、ディーと自分がつながった場所を見下ろしながらゆっくりと、動く。
「っは…ん…んん…」
しびれるような甘美な感覚がクレアを満たした。そのまま快楽におぼれるままに、クレア
は腰を動かし始める。
「あ…あはっ…ディーの…いいい…」
「うくっ…」
本能的に腰を突き上げているディーが、かすかにうめくのを見てクレアはとろけるような
笑みを向ける。体の相性は抜群なのだ。――そうなるよう、クレアがディーを調整した。
だからこの子は、わたしのもの。
この子は、わたしなしでは生きられない。
この子と生きていくのは、この子を癒すのは、この子を見守るのは、誰でもない、このわ
たしの役目。
ぞくぞくと駆け上がってゆく悪寒に身を任せる。より腰を動かしやすいように前かがみに
なると、ディーの動きに合わせて快楽をむさぼるように求める。今この時間、この瞬間だ
けの、甘いクレアとディーの関係。それをより強固なものにしようとするかのように、ク
レアは抑えきれずに漏れ出す自分の嬌声を意識のどこかで聞き――。
「あ、はあ、はあん、はあっあ」
それすらも、快感の荒波にのみこまれてゆく。
「――あ、あああああああ、あああああああああ!!!」
中に放たれる熱を感じながら、クレアは無我夢中になり――果てた。
ディーがいけないんだからね。
あんたは…わたしの弟なんだから。