ウィザーズ氏が、津野屋の跡取り息子、リュウェインこと隆太郎を引き取りそこねて一ヶ月がたった。  
あいかわらずの山アラシ達にも、ウィザーズ氏騒動後、微妙な変化が起こったようだ。  
 
応援団の親ぼくを兼ねて、新年会を行う予定だった。予定だったのに…。  
隆太郎の部屋には、鮎子以外誰も来ていない。  
「…誰も来ないな」  
部屋の飾り付けを、前日鮎子にも手伝って貰った。  
人が来ない今となっては、部屋に飾りたてた鏡もちや飾り玉が、場末のお化け屋敷並に侘びしさを誘う。  
「あのね…ちょっと言いづらいんだけど…」  
鮎子がおずおずと切り出した。  
「奈名子がね、こないだ西村君に告白されたの」  
「ああ、俺も西村から聞いたぜ。神社に初もうで行くんで、あの二人来れないってな。若え二人の門出だ。寂しいがここはひとつ、温かく送りだしてやろうじゃねえか」  
隆太郎は腕組みをしながら、うんうんと頷いた。  
「それでね…。昨日の夜、確認の電話をくれた応援団の子に、電話でその話をポロッとしちゃったら…なんだか軒並み今日、みんなからキャンセルの電話が…」  
「それを早く言わんかぁっ!」  
隆太郎は、こぶしを握りしめながら叫んだ。  
「あいつらヒドいわっ!そーゆー時こそあぶれもん同士、仲良くやけ食いするのが人情ってモンじゃねえのかよー…」  
隆太郎が涙を振り絞ってせつせつと訴える。鮎子はそれを聞いてカチン!と来た。  
「あんたねー!ここにも美人が一人いるって言うのに、奈名子奈名子ってうるさいわねっ!」  
そう言いながら、隆太郎の襟元をぎゅうぎゅうに締め上げる。  
「ふぁ…あゆこ。おれ一言も、大バナナの話はしてないれすー…」  
隆太郎の顔が、締め付けられて青くなっている。  
「せっかく年の始めに二人っきりなんだよっ!健全な男だったら、押し倒してキスの一発でもせんかい!!」  
そのまま鮎子は、でえいっ!と隆太郎を押し倒した。  
「な、何するんだよっ。なんでこんな…」  
「ふんっ!押し倒すのに、いちいち理由なんかあるもんかっ」  
「じゃーお前、理由もなしに俺のドーテー奪う気なのかよっ」  
ブツッ!!!!!  
大きな音を立てて、鮎子がキレた。  
そのまま隆太郎のシャツを力まかせに開く。ボタンが1〜2個はじけ飛んだ。  
慌てたのは隆太郎である。  
 
確かに鮎子の事は好きだ。実は密かに夜のオカズにした事も、1度や2度ではない。  
だがしかし、こんな状況で初エッチ&姫始めとは、あまりと言えばあまりではないか。  
「わ…悪かった。お前をそこまで追い詰めたのは、確かに俺の責任だっ。だからお願い、ヤメてちょーだい。ア、アタシ女優なのよっ!」  
「だったら、あんたがあたしの事どー思ってるのか、キリキリ白状おしっ!」  
馬乗りになったまま隆太郎の肩を掴み、ブンブン振りまわして鮎子が言った。  
ハタからみたらどう見ても、来日外人スターに襲いかかる女性ファン。恐ろしい図である。  
「そ…それは…」  
言えない。そんな事がさっさと言えるんだったら、すでに二人に春は訪れている。  
実は、あまりにも進展しないこの二人を見かねた応援団員達が、西村&大場がカップルになった事が良いきっかけになればと、気を利かせて今日全員来なかったのだ。  
だが、そんな団員達の応援する気持ちが、ニブいこの二人に通じているはずもなかった。  
「言えないってゆうの…」  
鮎子の目が、餌物を狙うゴルゴ13のように鋭くなる。  
「お前に借りなんか作った日にゃ、どんな目にあうか…んな事言えんわいっ!」  
ほぼ告白する隆太郎。  
「あら、よく判ってるじゃない。そうね、言えない奴には…こーよ!」  
鮎子は、そのまま隆太郎の唇を奪った。ちっとも判ってない。  
「むむむん!…うむむん!」  
隆太郎はジタバタ暴れた。理性の糸が、1本、また1本と切れていく。  
(このままでは、危険が危ないっ!)と隆太郎は思った。  
相当混乱しているようである。  
ようやくベリッと鮎子の唇をひっぺがし、隆太郎は言った。  
「判った!俺も江戸っ子だ。覚悟を決めて、言わせてもらうぜ」  
隆太郎は江戸っ子ではない。100%アメリカ産である。  
「す…す…す…す…」  
「…えーい、ハッキリせんかぁ!」  
スパコーン!と小気味良い音を立てて、鮎子が隆太郎を張り倒した。  
まだ隆太郎にまたがったままなので、まるで年末に放映されたK-1の試合を見ているようだ。  
「シドいわ、鮎子ちゃん…こんなに好きなのにぃー…」  
「ぐずぐずしてるあんたが悪いんでしょっ!…へ?……好き?…今、好きって言った?」  
「…何度も言わせんでくれ…」  
隆太郎が起き上がって恥ずかしそうに言った。鮎子も、真っ赤になっている。  
 
そのまま、隆太郎は膝に乗っかったままの鮎子にキスをした。逃げようとあがく鮎子。  
あっぱれ形勢逆転である。  
「責任…取ってくんない?」  
「へ?せ、責任って?」  
「こんなんなった責任…」  
と、隆太郎は鮎子の手を取って、自分の股間に押しあてた。そこは見事に勃っている。  
焦った鮎子は、思いっきりソレを掴んだ。  
「…わたたたたっ!!掴むな掴むなっ、痛いわいっ!」  
「あ、だっ…隆(りゅう)が、いきなり変な事するからでしょうっ!?」  
「始めたのはお前だろーがっ!」  
(うっ…。その通りです)鮎子は小さくなった。  
短気は損気。まさにその言葉を自分で体現してしまった訳である。  
隆太郎が体勢を変えて、鮎子を押し倒した。  
深いキスをして、鮎子の胸をセーターの上からやわやわと揉みしだく。  
お互いの鼓動が早鐘のように鳴るのが、服の上からでもわかる。  
隆太郎が、恥ずかしがる鮎子のセーターの下に手を…  
「隆、まだ友達来ないのかい?」  
とそこに義理の母、光子の声がした。  
急いで離れ、お互い自分の服を直した二人だったが、飛び散った龍太郎のボタンまですぐ直すのは無理である。  
ふすまを開けて入ってきた光子の眼が、険悪に光った。  
「あんたその格好…。隆!まさか、鮎子ちゃんに変な事してたんじゃないだろうね!?」  
スパコーン!!と小気味良い音を立てて、光子が隆太郎を張り倒した。  
「あー…光子おばさん、違うんです。そんな、変な事なんて、してませんよー…」  
まさか、『自分から襲ったんです』と白状する訳にもいかず、鮎子が言葉を濁した。  
「そうかい?もしこの馬鹿が変な事しようとしたら、遠慮なく大声出すんだよ」  
2、3発隆太郎をナグってから、光子がそう言った。  
ホホホ…と、どちらからともなく笑いながら、光子が温かいお茶を置いて行く。  
二人は顔を見合わせた。  
「あたたたた……。鮎子…一緒にラブホテル行こうっ!ここじゃ確実に邪魔が入る」  
「いいっ!?嫌よっ!!」  
「お前…。人をその気にさせといて、まさか逃げる気じゃあるまいな…」  
うっ!…と鮎子は詰まった。自分の浅はかさが骨身にしみる。  
 
「あ…だって、お金どうする気なの?あんたが今スッカラカンなのは知ってるわよっ!まさか…女に金出させる気じゃないでしょうね?」  
うっ!…と今度は隆太郎が詰まった。応援団の仮装衣装などで、しょっちゅうお金がかかるのだ。早い話が、毎月ピーピーなんである。  
「判った。金はなるべく早く作るから、金のメドが立ったらラブホ行こう!」  
「どーやってお金作る気なのよ?」  
「そらーあれだ、ぶんぶく茶釜で校内巡業…」  
「今は冬休みでしょっ!」  
スパコーーン!!!鮎子の隆太郎を張り倒す音が、ご町内に響いた。  
 
 
それから五日が経った。  
隆太郎は急いで、道路工事の交通整理の短期バイトを見つけ、頑張って二日間勤めた。  
愛の力は偉大である。別名エロの力とも言うが。  
二日で1万円ちょっと。普通のラブホテル代としては、これで十分事足りる。  
隆太郎は今、放火魔のように燃えていた。  
(今日こそはっ!さようなら童貞の俺、こんにちは大人の俺!ふあーっはっはっはっ!)  
道行く人が、あまりのアヤシサに避けて通って行く。  
隆太郎は張り切って、鮎子の家のチャイムを押した。  
はーい、と声がして、鮎子が出て来た。口にあんこが付いているので、どうやら餅を食べていた最中だったらしい。  
「な、なにか用?」  
鮎子は用心しながら聞いた。  
「ここに来た用はひとつしかねぇだろうが。こないだの続きを誘いに来たぜ」  
きびすを返そうとする鮎子の襟首を、隆太郎の手がハシッ!と捉えた。  
「あ、あた、あたしっ、今忙しいからっ!」  
「許さんっ。…ひと〜つひとたび燃え上がった、ふた〜つ不埒なこの思い、みっつ見事に本懐を、遂げてみせるぜ隆太郎…。ふふふふ、鮎子よ。往生際が悪いぞ、観念せい」  
「い、言ってる事が訳わかんないから!それに年始早々、そんな事してるヒマなんかないわよっ」  
「まぁまぁ、正月の初物は縁起が良いんだぜ」  
(そんなオヤジみたいな事言わないでよぉっ!)  
鮎子は隆太郎に引きずり出されながら、心の中でそう叫んだ。  
 
そして二人は、ラブホテル「ロマン・シャトー」の中にいた。  
(思ったより、ラブホテルってケバケバしくない所なのね…)  
と鮎子はきょろきょろ辺りを見回した。  
てっきり、ミラーボールに回転ベット、ピンクの照明なのかと思っていたらしい。  
そんなラブホテルは、ど田舎でも今や消滅しているが。  
隆太郎は鼻歌混じりに、湯舟にお湯を張りに行っている。  
「鮎子ー、もうすぐお風呂入れるぞー」  
「…隆、あんたなんだか嬉しそうだわね。それに妙に手順に慣れてるし。ひょっとして、童貞って言ってたのは嘘なんじゃないの?」  
「鮎子、安心しろ。俺の童貞はお前に捧げるともっ!」  
がしいっ!と怒濤の津波をバックに、隆太郎は鮎子に抱きついた。  
「…初めて同士って、やたら痛いって聞いたわ。また今度にできない?」  
「それも安心してくれい!俺も今まで肝心の部分は、保健体育の教科書の断面図でしか知らなかったが、今回事を進めるに当たって、ちゃ〜んと予習して来た」  
「予習ぅー!?ど、どんな予習なの一体?」  
鮎子は頬を赤らめながら尋ねた。  
「おう、良くぞ聞いてくれた。医学書立ち読みしてもイマイチピンと来なかったから、花増組に頼んで、財源の裏ビデオを少し貸して貰ったんだ」  
(なんて事をしやがるこのスットコドッコイ)と鮎子は思った。そんな予習はいらない。  
そんな鮎子をおいてけぼりにして、隆太郎はお湯を止めにバスルームに行った。  
「先入って来いよ」  
「ええっ!いいわよ…。隆が先入って来たら?」  
そっか、といそいそと隆太郎はバスルームに向かった。ふっと気付いて振り返る。  
「…覗かないでね?」  
「さっさと行きなさいよ!まったくもうっ!!」  
鮎子は真っ赤になって、手近にあった枕を投げ付けた。  
しばらくして、シャワーの音に混じって○太郎侍の歌が聞こえてきた。  
現役高校生とは思えない曲を鼻歌で歌っているのが、ある意味素晴らしい。  
しかも隆太郎、見た目は立派なガイジンさんである。  
鮎子は頭を抱えたくなった。大きいベットに倒れ込んで体を丸める。  
(…確かに、隆太郎の事はずっと好きだったわよ。でも、なんでお付き合いの過程をすべてすっ飛ばして、いきなりラブホテルなのよう…)  
鮎子だって年頃の女の子だ。初デートとか、初キスとかに、それなりの夢があった。  
 
ただし、初キスの夢は自分でぶちこわしてしまった訳だが。  
本当は判っている。隆太郎の部屋だって、鮎子の部屋だって、しょっちゅう親が入って来る。  
お隣同士で発覚した時の事を考えると、お互いの部屋でそんな事はできない。  
今さら、普通の高校生カップルのように振る舞えと言うのも、無理な注文だろう。  
第一自分自身恥ずかしくて、そこらのバカップルのような真似は逆立ちしたって出ない。  
(たぶん…こーゆー勢いでもなかったら、あたし達って進展しないんだろうなぁ…)  
隆太郎がバスルームから出て来た。  
「すげーなー、ラブホテルって。ちゃんと着るモンや化粧品まであるんだなー」  
隆太郎は緑色のバスローブのような物を着て出て来たが、裾が見事につんつるてんだ。  
頭が金髪なのも相まって、促進栽培で育ってしまったピーターパンに見える。  
「ほい。お前も入って来なよ、風呂」  
隆太郎が、使っていないバスタオルとタオル、バスローブを差し出した。鮎子が固まる。  
「…鮎子?」  
(どどど、どうしよう。これってやっぱり、お風呂から上がったらエッチしなくちゃならないんだよね…)  
嫌な沈黙が部屋中に広がった。少しして、隆太郎がため息をついた。  
「…嫌なら出ようか。すまねぇ。俺、こないだから舞い上がってたみたいだわ」  
「嫌じゃ無いわよっ!…それに、それにっ、ここで出たらお金勿体ないじゃないの…」  
『ごめん』と素直に言えなくて、鮎子はそう言った。場の空気を戻す為に、さっさとタオルを受け取ってバスルームに向かう。鮎子はふと振り返った。  
「…覗くんじゃないわよっ!」  
鮎子がごめんと言っているように聞こえて、隆太郎は微笑んだ。  
しばらくして、シャワーの音がする。隆太郎は、手持ち無沙汰にふと枕元のスイッチを入れた。  
するといきなり、鏡だと思っていた目の前の壁に、シャワー中の鮎子が。  
どうやら枕元のスイッチは、マジックミラーのスイッチだったようである。  
(でかした俺っ!!)心の中で隆太郎が叫んだ。  
 
鮎子は全然気付いていないようだ。  
色白で綺麗な、しみひとつない、泡にまみれた肢体を、心置きなくじっくり眺める。  
別にこの後いくらでも見れそうなモンであるが、ヤル前に傾向を対策を練らなきゃならんだろーと、適当な言い訳を自分にしながら、隆太郎は鼻血を吹きそうな勢いで見つめた。  
夢の中や妄想で何度抱いたか判らない鮎子だが、こう本物を目の前にすると、やはり想像とは全然違う。  
洗い流されて徐々にあらわになる朱鷺色の胸の尖り、下草の翳り、ウエストからヒップにかけてのなだらかなライン。  
思わず隆太郎は生唾を飲み込み、枕元のティッシュに手を延ばした。  
その瞬間、鮎子のシャワーが終わった。急いでバレないよう、マジックミラーのスイッチを消す。  
『何もしていませんでした』と言うように隆太郎は、ベットに座って手元の小雑誌を見た。  
しかし手に取ったのは生憎、バイブだのラブローションだののカタログ。  
びっくりした隆太郎はカタログをお手玉のようにばたつかせた。  
「…どうしたの?」  
「あはははは…な、何でもない…」  
後ろ手にカタログを元に戻し、隆太郎が笑って誤摩化した。  
「なんだか怪しいわね…」  
「いやいや…鮎子、やっと二人っきりになれたな」  
隆太郎は鮎子のそばまで行って、優しくキスをした。  
普段気が強くて鉄火肌な鮎子だが、赤い顔で目をそらすのがとても愛らしい。  
隆太郎は、鮎子をお姫様だっこで抱き上げるとベットまで運んだ。  
そのまま優しく横たえて、キスをしてバスローブの上から胸に手を這わす。…ん?  
「鮎子…お前なんで、ブラ付けてんだ?」  
「へ?あ、あれ?こーゆー時ってブラ付けないの?」  
ブラもなにもこの場合、下着そのものを付けないモンではなかろうか。良くは知らないが。  
突っ込んでいいのか、笑っていいのか判らず、隆太郎が下を向いて肩を揺らした。  
「な、なによー!知らないんだもの、仕方ないでしょっ!?」  
耳まで赤く染め上げた鮎子が、隆太郎の肩を軽くポカポカ殴る。  
「鮎子、かわいいっ」  
「もうっ!馬鹿にして…」  
 
と言おうとした鮎子だが、その先は隆太郎の唇に阻まれた。  
歯列を舌でこじ開けられて、中を蹂躙される。歯をひとつひとつ、確かめるように舌でなぞられる。  
鮎子にとっては全てが初めての経験なのに、手慣れているような隆太郎が少し怖い。  
(隆ってば、本当に初めてなのかなぁ…)鮎子は不安になった。  
「はい、ばんざいしてー」  
隆太郎が身を起こして、鮎子のバスローブを脱がす。やはり下着を着ていて良かった、と鮎子は思った。が、そのままさっさと下着も脱がされる。  
「な…なんか恥ずかしい…」  
「大丈夫、大丈夫!俺も脱ぐから」  
隆太郎も、勢い良くバスローブを脱ぎ捨てた。  
そこには、鮎子が思いもよらなかった現実があった。  
(……………下も金色っ!?)  
しかも先日触った時には気付かなかったが、初めてとはいえ鮎子にも、目の前の隆太郎のサイズが一般的ではない事が判る。  
コーヒー缶の太さに、大人の箸ぐらいの長さ。まさに茶筒に迫る勢いの凶悪な物体。  
鮎子は家に逃げ帰りたくなった。初めてでコレは、いくらなんでもあんまりだ。  
第一、こんな物が自分の体内に入るなんて、到底信じられない。  
「鮎子?どーした?」  
「…りゅう…こんなの無理だようー…」  
力無く笑いながら、鮎子は隆太郎の股間を指差した。  
「大丈夫だっ、鮎子。俺も頑張るから、お前も江戸っ子の根性を見せろ!」  
(無理だー!)  
心の叫びも空しく、鮎子は隆太郎に組み伏せられた。  
 
隆太郎が、いきなり鮎子の胸の尖りを吸い上げる。もう片方は、手で揉みながら先端を指の間で弄ぶ。初めての刺激に、鮎子の体が跳ね上がった。  
「…っ!…ちょっ…りゅ、りゅうっ!…あうっ!…」  
「…なんだー…」  
と答えながら、隆太郎は鮎子に対する攻撃を止めない。  
「んんっ…あ…っ!あんたっ…ほんと…にっ!…初めて…う!…なの…っ!?…」  
「おう…初めて…に決まってる…じゃねえか…」  
そう言いながら、舌先で尖りをなぞったり、歯で甘噛みする。片手でやわやわと胸を揉みしだきながら、もう片方では鮎子の脇腹やふともものなめらかな感触を楽しむ。  
「あうっ!…あっ…だってっ!…初めて…んっ!…じゃない…みた…いぃ!…」  
「そいつぁ良かった…。UFOキャッチャーのでっかいぬいぐるみ相手に…研究した甲斐があるってもんだ…」  
 
まぬけな発言をしながらも、隆太郎はもうすっかり鮎子の体に溺れている。  
「…んん!…そ……んなっ!…研究…してぇっ!…来ないで…ようっ!…あっ!…」  
鮎子も、すっかり隆太郎に翻弄されていた。  
声を出すのが恥ずかしくて指を噛む。隆太郎がすかさず、その手を押さえ付けて来た。  
「気持ち良いのか?…声出してくんねえと、判んねぇ…」  
そう嬉しそうに言って、反応のあった場所を確かめてくる。  
「ああんっ!…や…恥ずかし…い…っ!…んあぁ!…」  
「鮎子…男ってのはなぁ、声上げられた方が好きだと思うぜ…。お前の胸ってやわらけーのな…気持ちいいー」  
隆太郎が、鮎子の胸を揉み上げながら、下草の奥に向かって手を這わせた。  
「…ああっ!…」  
「おっ!…もう濡れてるぜ、鮎子」  
「…ばかぁっ!…あっ!…そんな……事ぉっ!…言わないでぇ…」  
「悪ぃ、ちょっと肝心のトコ見せて」  
「…お断りだぁっ!」  
と鮎子は叫んだが、閉じようとした足を無理矢理こじ開けられた。  
自分の翳りに隆太郎の興奮した粗い息がかかり、そのまま秘裂を指でかき分けられる。  
「おおっ、綺麗だな…裏ビデオとは全然違うや」  
(そんなモンと比べるなぁっ!)と思ったが、鮎子はもう声が出せなかった。  
死ぬほど恥ずかしいのに、自分の奥から蜜が滴って来るのを感じたからだ。  
「ふーん…どれどれ、味見」  
鮎子にとっては恐ろしい発言と共に、隆太郎の舌が秘裂を舐め上げてくる。  
「やだぁっ!…あっ!…あぁぁぁ!!…汚いから…止めてぇっ!」  
「大丈夫、全然味しないぜ。おおー、いっぱい出て来た…気持ち良いんだ?」  
鮎子の足をガッチリ広げて、思う存分音を立てて陰核をすする。いやらしい音が部屋に響いた。  
鮎子は恥ずかしさのあまり、すすり泣きながら嬌声を上げた。  
「ホラ、指入れるぜー…うわー…鮎子の中、ヒクヒクしてらぁ…」  
隆太郎は夢中で気付いていないが、研究熱心があだになり、結果的に鮎子を嬲っている。  
もう鮎子は、どうすれば良いのか判らなくなった。  
隆太郎の指が膣壁を刺激しながら、舌で陰核をこねる。  
絶えまない刺激を受けて、鮎子は泣きながら甘い悲鳴を上げた。なのに快楽に流されはじめ、止めて欲しいと言えない。  
 
「もう1本指…入ったぜ…。どう…痛い?気持ち良い?……すげぇー、ヤラシイ汁が尻の方までたれて来た…」  
「んはぁっ!…もう…ヤぁ!…りゅ…ああぁぁっ!…りゅうっ!…」  
鮎子は涙を流しながらも、とうとう快感に負けてしまい、自ら腰を揺らめかせ始めた。  
隆太郎の指の動きが激しくなって、腰がさらに踊る。  
「鮎子…気持ち良い?…中、すっげえ締め付けてきたぜ…。イキそう?」  
鮎子は泣きながら頷いた。隆太郎は、指の動きを早めながら陰核を吸い上げた。  
「…あぁぁぁぁぁ!!」  
鮎子は痙攣しながら果てた。  
「…ふぁー…処女でもイクんだなー。俺って才能あるのかな?」  
どんな才能なんだと隆太郎に突っ込みたいが、鮎子は体に力が入らなかった。  
「さーて、よーやく本番だー」  
嬉しそうに口元を拭った龍太郎は、ラブホ備え付けのコンドームを付けようとした。  
…付けようと…。……つけ…………嵌まらない。  
隆太郎はアセった。懸命に嵌めようと努力して、1つ駄目にする。  
2つ目を、汗を垂らしながら懸命に装着しようと努力する。…やはり中々嵌まらない。  
「…あの…隆?……そんなに無理して、コンドーム付けなくていいよ?」  
「…っ!…馬鹿言え!まかり間違ってお前を孕ませでもしてみろ。うちの母ちゃんに、パンダ模様になるほどボコボコにされちまうだろっ!!」  
…なるほど。  
鮎子の脳裏にも、光子の手によって、パンダどころかホルスタイン模様になるほど殴られている隆太郎の姿が浮かんだ。  
「あっ!…やっと付いたぞっ!」と隆太郎が言った瞬間…  
『パーーーーーーーーーーーーン!!!!!』  
と派手な音をたてて、コンドームが破裂した。  
 
ちなみにどうでも良い無駄知識だが、日本製コンドームの平均標準サイズは直径35mm、国産メーカーのUS輸出用は直径44mm。いくら伸縮性があるといえ、コンドームの世界では、直径2mmの差でも大きい用/細い用に分けられている。  
直径9mmでどのくらいのサイズ差が生まれるのか…興味ある方はご自身でお調べいただきたい。  
おまけに、正確な資料ではないが某漫画では、ECでのコンドーム統合規格は直径55mmであると言われていた。  
さらにそのサイズのコンドームでも、北欧地方出身の人では駄目な場合もあるらしい。  
世界は広い。んな事で世界の広さを知らなくても良い訳だが。  
これからこの二人がどうなるかは…可哀想なのでそっとしておいてあげようと思う。  
…まぁ、その、なんだ。お幸せに…。(おわり)  
 
「ふざけんなぁっ!ちっとも幸せじゃねえぞーーーっ!」と隆太郎が叫んだ (おわる)  
 

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