君たちの知らないいくつかの出来事.1
“ガチャッ……”
「ほいほい 出て出て」
いつもどおりの時間にいつもどおり、あたしのベッドで丸くなっていたアレクを抱っこして、部屋の外に強制退去させる。
「なぁ〜〜〜〜」
これまたいつもどおり、相変わらずの気の抜けた鳴き声で『まだ部屋に居させてほしい』とアレクは哀願するが、
「ダ〜〜〜〜メ 少なくとも三十分は戻ってきちゃダメだからね」
“パタンッ……”
あたしはアレクを降ろすと静かにドアを閉めた。
「なぁ〜〜〜〜 なぁ〜〜〜〜 なぁ〜〜〜〜 なぁ〜〜〜〜」
すぐにアレクはドアの外で開けてくれとあたしを呼ぶが、無駄だと悟ったのか“トボトボ”と淋しそうな音を立てて去っていく。
「あの子、自分がネコだって自覚はあるのかしら?」
ないだろうなぁ。足音を立てるネコなんて中々いないもん。
「……さてと」
時計を見る。時間は十一時を少し過ぎたくらいだ。この時間にはもう両親が寝ているのをあたしは知っている。
それでもしばらくはベッドに座って、あたしはなにもせずに、目をつぶりじっとしていた。
誰かが来やしないかと、気配を探ってるというのもあるが、もちろん誰も来やしない。
これはこれからすることへの、ちょっとした儀式みたいなもんだ。
それが長いのか短いのかわからない。あたしは閉じていた目を開けると、ゆっくりとパジャマのボタンを外していった。
前をはだける。
白い乳房はふっくらと年相応に育っていて、小さな乳輪の中心にちょこんと載っている乳首は淡い桜色。
紅葉のような、あきらかに平均より大きい娘と比べてしまうと心許ないけど、自分で言うのもなんだが“美乳”というやつだと思う。
誰に言うわけでもない。自分だけが心の中で思ってるだけなんだから、どう評してもべつにかまわないだろう。
“ふにゅ……”
右手を左胸に宛がった。そのまま揉むというよりは撫でるように手を動かす。
よく男の子が読むようなエッチな雑誌に『女の子の胸は円を描くように』とか書いてあるが、あれは本当で効果バツグンだ。
二、三度円を描いただけで、すぐにあたしの手のひらには、内側から突き上げてくるような感覚がある。
離して見てみると、“プクンッ”と乳首が勃っていた。
あたしの頬に朱が散る。何度見ても、自分の身体のハシタナイ変化が恥ずかしい。ほんとにハシタナイと思う。だって…………。
右の乳房を見ると、そっちはまだなにもしていないのに、乳首をピンピンに硬く尖らせていた。
身体がこれから与えられる快感に期待している。なんだか腹の立ったあたしは、堪え性のない右の乳房に指先をのばすと、
“キュッ”
少し強めに捻ってやった。
「ひんッ!」
毎度のことだが、自分でもびっくりするくらいの甲高い声を洩らしてしまう。
あわてて空いている手で、あたしは口を塞いだ。
さっき両親は寝ていると言ったが、まだ深夜というには早すぎる。起きていてもなんら不思議はない。
「んむッ……ふぅ……んンッ……んぅ……」
とはいえ手で塞いでいてもくぐもった声が洩れてしまうのは、『仕方がない』とは言いたくないので、あたしは必死で下唇を噛んだ。
それでも指先は的確にあたしの弱いところを突いてきて、人差し指の先でそっと触れると、くるくると乳首をこね回してくる。
我ながら『こんなのまで天才なのはどうよ?』と思ってしまった。
それほどあたしの理性のライフを削っていくイヤらしい攻撃である。まぁ、プレイヤーはあたしなんだけどさ。
厭きることもなく指先は、しつこいくらいの弄いをくり返す。
荒い息の中でいつの間にかあたしは、肩を緩やかに上下させ始めていた。
もうガマン出来ない。ゲームだったら“待ち”の相手に大キックで飛び込むようなものだがかまうもんか!!
パジャマのズボンに手を掛けると、
“グイッ……”
女は度胸ってこういうこと言うのかな? 一気に膝下まで、あたしはショーツごとずり下げた。
露になったあたしのアソコは、ベルギーの血が流れてるからかもしれないが、その…………毛がちょっぴり…………濃い。
アメリカに住んでた頃は気にもならなかったが、日本に来たばかりのときは結構ショックだった。
日本人って毛ぇ薄いんだよね。あたしは皆とお風呂に入るときなどは、それとなくタオルでアソコを隠してしまう。
女の子同士なんだから見られてどうだということもないのだが、さすがに自分からススんで見せようとまでは思わない。
人が聞いたら笑ってしまうだろうが、これがあたしのちょっとしたコンプレックスだ。
……まぁ、そんなことはいまはどうでもいい。
気を取り直してあたしは中指で“すッ――”と、慎ましく可愛ゆい“形状”の秘唇を撫で上げる。
「ひゃンッ!」
キャラクターに合わない(まどかあたりには死んでも聞かせられない)声とともに、ベッドの上であたしの肢体がのけ反った。
それでも指先だけは止まらない。
ツンと硬くさせながら鎮座する“女の真珠”とでもいうべき部位に狙いを定めていた。
突起を指の腹で転がして連続的に快楽のインパルス砲を撃ち込んでくる。
「ンあぁッ……はぅッ……んンッ……ぅああッ!!」
自分の奏でる嬌声に、あたしは消えて無くなりたいほどの羞恥心を掻き立てられたが、それが更なる快感の呼び水になっているのは
わかっていた。
唇からはそれを望んでいるのか、扇情的な声が数珠つなぎにあふれてくる。
「ひッ!?あ、ああッ!!」
敏感な突起を少しきつめに捻ったりすると、感電でもしたかのようにビクンビクンッと身体が震えて“どうにでもしてくれ”
そんな気持ちが襲い掛かってくる。
そして百戦錬磨(ゲームでだけど)のあたしでも、けっしてこの気持ちには勝てないのだ。
あ、クル……キちゃう…………キテ……………もうちょっ……
“PiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPi…………………………”
「ちょッ!?」
もうちょっとでトベそうだったあたしを邪魔したのは、大きくはないが無理矢理にでもこちらの喚起を促してやろうという耳障りな
呼び出し音だった。
思いっきりDCSを睨みつけてやる。このときはコンビニエンジニアに本気でエヴァブラックを撃ち込んでやろうかと思った。
「バブルボードがプレイヤーだけに必要だと思ってたら…………大間違いよローソン」
まぁ、撃たないけどさ。