ヒロミちゃんへ
寒い日が続きますがいかがお過ごしですか?風邪ひいてない?
かえこときえこがいるんだから大丈夫だよね。
千沙も元気です。もうお母さんなんだから風邪なんてひいていられません。
だって“お母さん”ってとっても忙しいんです。
でも毎日頑張っているのよ。えらいでしょう?
『姫は頑張りやさんですね』って一清様も褒めてくれます。
そういう時の一清様はとてもステキな顔で微笑まれるんです。お嫁に来た頃からずっと変わらないの。
だからきっと、年をとっておじいさんになってもずっと一清様はステキなままだと思います。
千沙は幸せ者です。
ただこのところ一清様は忙しくしててちっともかまってくれません。
それが少し寂しいです。
そうしたら一清様が
『このところあまり一緒にいられませんね。よろしかったらこれで無聊を慰めてください』
とあるものをくれました。
千沙には初めてみるもので一体なにをするための物かわからなかったので一清様にお訊ねしたら
「ご自分で考えてみて下さい。それも楽しみのひとつですよ」
と、にっこり笑っておっしゃられました。
それで一生懸命考えてみたんだけど、やっぱりわかりません。
ヒロミちゃんならわかるかなあ?と思ったので一緒に送りますね。
よかったら使って下さい。
一清様には千沙からちゃんとお話しますから、心配はいりません。
かえこときえこにもよろしくね。
千沙より
「…っこれは…!」
「浩美様どうされましたか?」
「げっ!かえこ!」
「…なんですか?…それは?」
「…いや!違う!これは、違うんだその…っ!」
「じゃあ、私以外の方にそれをお使いになるおつもりで?」
「だから、そうじゃなくてっ…!」
「知りません!!サイッテー!!見損ないましたわ!!」
「あっ!待て、かえこ!違うんだ!話を聞いてくれ!」
「…無理ですよぉ、浩美様。ああなったらしばらく、かえちゃんお話なんてしてくれません」
「っきえこ!いつから!?」
「ずっといましたよ。ところで浩美様…」
「なんだ…?」
「それ、使って欲しいのならいつでもおっしゃって下さい」
「ちっちが―――う!!!」
「きえこ、頑張りますよぉ?」
「いらない!!頑張らなくていい!!!やめてくれ!!!!」
「え〜〜〜?そんな、ご遠慮なさらずとも…」
「や、やっぱり一清なんか大ッ嫌いだ―――!!!!!」