「今日は何もする事がなかったんです」  
「ヒマつぶしかよ!!」  
 
 なぜか花が自分の部屋に長居する理由をようやく耳にして、大地は思わず怒鳴った。  
その途端、急に寒気がぶり返してきた。  
一瞬目の前が真っ白になると、大地はベッドに倒れ込んだ。  
昨日花に付き合って学校にいるうちひいてしまった風邪がまだ良くなっていないのだ。  
 
「ぶるるっ」  
「だ、大丈夫ですかッ?」  
 
 花は慌てて大地の額に手を載せた。  
大地は両腕で自分の胴体を抱え込んで小刻みに震えている。  
 
「すごい熱じゃないですか。まだよくなってないんですね」  
「だ、誰のせいだと……うう」  
 
 震えが全身に来た。歯の根がカチカチ鳴ってしまう。大地は毛布を引き被った。  
 
「さ、寒い……」  
「仕方ありません。緊急事態ですね」  
 
 花は覚悟を決めたように、制服を脱ぎだした。  
大地が側にいても気にする様子はない。  
やがて下着も勢いよく脱ぎ捨て素っ裸になると、大地の寝ているベッドにちょこんと腰掛け、  
毛布を少しめくって身体をすっと中に滑り込ませた。  
 
 大地は朦朧とした意識の中で、毛布と自分の間に花が潜り込んでくるのを感じた。  
 
「おい、何入ってきてるんだよ……って、裸ぁ!?」  
「体が冷えたときには、人肌で暖まるといいっておばあちゃんが言ってました。だから」  
 
 花はガバッと起きあがると掛け布団を跳ね飛ばした。  
大地の服を手際よくはぎ取り、ベッドの外にぽいぽいっと放り投げた。  
そして、同じく全裸にされ呆然としている大地をぎゅうっと抱きしめた。  
 
「お、おい! 足立!……あ」  
 
 大地は花の乳房が自分の胸板の上で潰れているのを感じた。  
その弾力と柔らかい感触に自分が置かれている状況を一時忘れてしまった。  
 
――オンナの胸って、柔らけぇんだな。それに、暖けぇ……  
 
 今、二人は毛布も掛けずにベッドの上で抱き合っている。  
花も大地も一糸纏わぬ全裸だ。  
上に乗っている花の温もりを感じるにつれ、大地は不思議と気分が落ち着いてきた。  
 
 花の吐息を耳元に感じる。  
目を開けると、花の顔が目の前にあった。  
大地が目を開けたのに気が付くと、花はにこっと微笑んだ。  
眼鏡の奥の大きな瞳が柔和な光を放っている。  
泣き黒子が何とも色っぽく感じられる。  
 
――うう、やべぇ……  
 
 彼女の笑顔を目にすると、なぜかほのかに甘い香りが身近に感じられてきた。  
蜂蜜をたっぷり入れた甘いミルクのようだ。  
 
――あ、足立のヤツ、いい香りがするなァ……  
 
すると、発熱して全身に力が入らないはずなのに、  
大地のソレがついむくむくと起立し、花の充実した太腿に当たった。  
何とも気恥ずかしかったが、自力ではどうすることもできなかった。  
 
 花はいたずらっぽく言った。  
 
「あーー、何か当たってます」  
「し、仕方ねえじゃんかよ」  
 
 大地は恥ずかしいのでわざと拗ねた声を出してそっぽを向いた。  
花は大地のモノをそっと握ってきた。  
 
「硬くて……熱を持ってますね」  
「うう……どーにかしろよぉ」  
「うふふ……はいっ」  
 
 花はいったん大地から離れた。  
大地はこれから起こるはずの出来事に密かに期待した。  
 
      ☆  
 
 花が枕元で何やらごそごそしていたかと思うと、いきなり局部を冷たい感覚が襲ってきた。  
 
「ひょわあ!」  
 
 大地は思わず叫んだ。  
花が枕元に散らばっていた氷をかき集めて、大地の息子やその付近に置いたのだった。  
 
「て、てめェ、何を」  
「熱持ってるから冷やそうと思って」  
 
 花はあくまでも真面目に応えた。大地は局部からくる震えに身を苛まれた。  
 
「ば、バカヤロー! そこは氷なんかじゃ冷えねえんだよ」  
「へえぇ、そうなんですか」  
 
 袋は多少引き締まったものの、棒は硬度を保ったままである。  
花はぴくついている棒の方を二本指で摘んだ。  
興味津々といった様子である。  
 
「わっ、おいっ!」  
「私、明るいところで見るのは初めてです」  
 
 花は摘んだそれをしげしげと見つめていたが、いきなり口に含んだ。  
 
「ほわぁっ!」  
 
 大地は花の思いがけない行動とまさかの快感に我を忘れた。  
花は大地のソレをくちゅくちゅと音を立てて舐めていく。  
スティックの先から甘美な電流が発生してしびれさせ、段々溶かしていくようだ。  
 
「あっ、あ、足立ィ、何を……」  
「はひほっへ、はひほへふは?」(何をって、何をですか)  
 
 花は頬張ったままそう言ったかと思うと、熱を帯びた幹やくびれに舌を這わせてきた。  
 
「うわ……それ駄目、ダメ」  
 
 敏感なところを這い回る舌の動きに早くも暴発しそうになり、  
大地は慌てて息子から花を引き剥がした。  
花はいったん口を離すと、少し不満げに言った。  
 
「えー、ダメなんですかぁ? ケガをして腫れてるから、唾つければ治るかなあってと思って一生懸命舐めたんですけど」  
「ううう……」  
 
花はさっきまで口に含んでいたソレを再び指で摘んでぷにぷにといじった。  
 
「固いですねぇ。まだ熱っぽいし」  
「お前のせいだろうがよぉ!」  
「え〜〜」  
 
 大地は分身の熱い疼きに当惑していた。  
 摘んでいる花の指先から甘い電流が発生して自分の中に流れ込んでいるようだ。  
 その甘美な電流が、元からあった頭痛と発熱と解け合って、  
大地の意識をさらに朦朧とさせた。  
 
「うう、ちくしょぉ、どうにかしろよぉ」  
「はいっ!」  
 
      ☆  
 
 花は迷わず大地の上に跨った。  
そして、そのまま女性上位で挿入してきた。  
大地の分身はずぶずぶっと花自身に飲み込まれてしまった。  
 
「う……おぃ! はあぁぁ」  
 
 大地は、自分の息子が発熱している自分よりも熱いモノに包まれるのを感じた。  
おまけに何かがぐにぐにと幹に絡みついてくる。  
 
 花が動き始めた。  
最初こそ静かだったが、すぐにぐいぐいと腰を振ってきた。  
その動きは奔放で、いかにも型破りな学級委員の彼女らしかった。  
 
――気、気持ちいいぜ! ナニが溶けそうだ……けどよォ……  
 
 大地は文字通り気の遠くなるような快感を味わっていたが、  
同時に彼女の律動が頭に響いた。  
頭痛のガンガンくる痛みと花の動きとが妙にタイミングが合っていたのだ。  
 
 快感と頭痛のコンビネーションを味わっているうち、大地の視界が徐々にぼやけてきた。  
 
――や、やべェ……  
 
 頭痛の拍動と花の律動に合わせたかのように、大地の目の前がぐるぐる回り始めた。  
 
 自分の目の前で、花の白く大きな乳房がぷるんぷるんと揺れている。  
あれを思う存分揉めたらどんなに素敵だろう。  
ちょっとでいいから、ピンクの先っちょを舐めたりしゃぶったりしたい。  
いや、あの豊満な胸に顔を埋めるだけでもいい。  
 
 だが、全身に力が入らない。ちょっと身体を起こせば届くのに。ちょっと手を伸ばせば届くのに……  
 
 でも、どうしてもそれが出来ない。  
せいぜい花の腰に手を添えるくらいしかできないのが口惜しい。  
 
──くちゅ、くちゅ……ぴちゅ、ぴちゅ……  
 
 さっきから花が腰を動かす度に、微かだが淫らな水音がしている。  
花の中が適度に潤っているのだ。  
おまけに中がうにゅうにゅ蠢いていて、大地の息子に淫らに絡みついてくる。  
 
「う……うぅ……」  
「ん……あウッ……はァん……あん」  
 
 大地は小さく呻いた。花も盛んに動きながら、途切れ途切れに喘いでいる。  
 
 それにしても、この花の中の具合といったら!  
腰から下がバターのように溶け始め、そこを誰かに大きなしゃもじで  
ぐにぐにぃとかき回されているようで、頭痛を差し引いても無性に気持ちいい。  
 
 彼の分身がどこかに引っ掛かったりすることはない。  
それどころか非常に滑らかだ。滑らかなのに花の中は窮屈で、時折キュッキュッとくる締めつけもなかなか強烈だ。  
 
──ギシッ、ギシッ……ミシッ、ミシッ……  
 
 花の動きに合わせてベッドが小さく軋んでいる。  
ほんのわずかながら壁にも揺れが伝わっているようだ。  
 
 大地は花の腰に添えていた手を形の良いヒップに移動させ、  
双丘をギュッと掴んだりしては必死に放出を堪えていた。  
が、それでももう我慢の限界にきた。  
あとほんの少しの刺激で漏らしそうになってしまう。  
アヌスを引き締めたり、花のヒップを掴んだ手にもっと力をいれたくても、  
全身がだるくて肝心の力が入らない。  
 
――やべェ、もう、もう出る……  
 
 こうなれば発射やむなし、と腹を決めたその時である。  
 
──ガチャッ  
 
 いきなり部屋のドアが開いた。  
 
「お前らもうちょっと静かに……いッ!?」  
「あ!?」  
「わッ!」  
――やべッ!  
 
 大地は鍵を掛けておかなかったことを心から後悔した。姉の海里が顔を覗かせたのだ。  
海里にしてみれば、まさか今部屋の中で弟たちがコトに及んでいようとは  
つゆ思わなかっただろう。  
 
 開いたドアから冷気が入ってきた。  
先ほどから裸だった花は、思わずぶるっと身震いすると、くしゃみをした。  
 
「……へ、へくちっ」  
 
 そのとたん、花の中が不意に締まった。  
 
──きゅっ……  
「うぉっ!?」  
──ぴゅうっ…ぴゅっ…ぴゅ……  
 
 予期せぬ締め付けに、寸前まで高ぶっていた大地は全く対処できず、  
濃口の毒液を勢いよく発射してしまった。  
 
――やべえ!  
 
 マズいと思ったが、もう遅かった。  
思いがけず大量のモノが、快感を引き連れてドクッドクッと後から後から駆け抜けていった。  
とっさのことで、不意を突かれたのだ。  
 
 大地は、放出してしまった快感に緩んだ頬を引き締めつつ、  
せめて姉が気付かないまま一刻も早くドアを閉めてくれるよう必死に願った。  
 
 だが、その願いを花が木っ端微塵に打ち砕いた。  
 
「あー、なんか出ましたね」  
「!」  
 
 大地は青くなった。  
 
「ちょッ! 足立ィ!」  
「ほぉ〜〜〜〜〜〜〜」  
 
 果たして姉の眉がつり上がった。  
 
「姉貴の見てる前で中出したぁ、いい度胸してんじゃない」  
「いや、違うんだよ、あ」  
「またまたおジャマしちゃったみたいで、ゴ・メ・ン・ねェ〜〜〜」  
 弟の言い訳を遮るように、海里はドスどすと足音をさせて大地の部屋の前から離れていった。  
と同時に後ろ手でドアが荒く閉じられた。  
その弾みにドアの脇に積んであった古雑誌の山が崩れ、ゴミ箱も倒れた。  
 
      ☆  
 
「あちゃー……」大地は頭を抱えている。  
 Tシャツとトランクスは新しいものに着替え、ジャージも厚手の新しいものを着用している。  
花もいつの間にか後始末をして、もう制服を着ている。  
 
「で……」大地が頭を抱えたまま花に尋ねた。  
「足立、大丈夫なのかよ?」  
「え? 何がですか?」花は意味が分からず、きょとんとしている。  
「その…よ……安全日だったのかよ」  
「? 安全日って何ですか?」  
 
 大地は目眩がした。  
 
「ちょ!? そりゃねえだろ! テメェ、ガキ出来たらどうすんだよォ!」  
思わず怒鳴った途端、再度クラッと来た。  
 
「あ、やべェ……また熱が」  
 
 大地は脱力してベッドに伏してしまった。  
頭痛までもがぐわんぐわんと派手にぶり返してきた。  
 
「品川くん! 大丈夫ですか?」  
 
 花は血の気が引いて青ざめたままの大地に毛布を掛けた。  
何か自分にできることはないか、と部屋の中を見回しているうちに、  
ふと床に転がっている折れたネギに気が付いた。  
 
「あの」  
「……」  
「さっき言ってましたよね。ネギを入れるところがどこかって」  
「……あ〜〜」大地は返事も物憂げである。  
「今からそこに、ちゃんと入れてあげますねっ」  
「!? んあ?」  
 
 大地は花の意図を一瞬掴み損ねた。  
だが、花は彼のジャージの下をトランクスごとするするっと下げてしまった。  
 
「……へ!? ちょい! 足立!?」  
 
 大地は抵抗する間もなく身体を裏返しにされた。  
あれよあれよという間に花が背中に跨ってきた。  
見ると、先ほど大地が真っ二つに折ったネギを手にしているではないか。  
 
――コ、コイツ……オレのケツの穴にネギを刺すつもりだァ!  
 
 花を自分の上から振るい落とす気力もなく、  
大地は必死に四つん這いになってベッドから逃げようとした。  
が、いかんせん全身に力が入らない。  
子供にせがまれてお馬さんごっこをしているくたびれた父親のように、  
どうにも動けなくなった。  
 
 花は四つん這いになった大地の背中に馬乗りになったまま、  
片手で一方の尻たぶをわし掴みにすると、思いっきりぐいっと開いた。  
もう片方の手にネギを高々と掲げたかと思うと、  
ぶんっとうなりを上げて振り下ろし、  
一気に貫いた。  
そして、ぐりぐりと勢いよく挿入していった。  
 
「おい! テメェ、止せ! や、止め……アッ――!!」  
 
      ☆  
 
 大地の部屋から再びミシッ、ドタッと微かな振動が伝わってきた。  
 
――うっるせェなー。まぁたおっ始めやがったのかぁ!?  
 
 海里は顔をしかめてポーチからピンクの小袋を取り出すと、  
それを手にして弟の部屋へ向かった。  
 
 大地の部屋の前まで来てみると、  
果たしてドアの向こう側からはドタンバタンという音が大きく響いている。  
よほど激しく体をぶつけ合っているに違いない。  
 
――近頃のガキは無駄にエネルギーが有り余ってやがるなぁ……  
 
 海里は苦笑しながらドアを開けた。  
 
「おーい、若いんだから、次からはこれ使いな……!?」  
 
 何気なく弟に声を掛けた海里は、部屋の中の光景を見て固まった。  
 
「わ」  
「あ」  
「げ」  
 
 部屋の中の二人も固まった。  
弟にゴムの差し入れをするべくドアを開けた海里が眼にしたのは、  
下半身を丸出しにしてベッドに四つん這いになり、  
ハアハア息を切らしている大地の姿だった。  
 
 何とも情けなく惨めな姿を晒している弟の上には、  
今日初めて家に来たはずの女の子、それも学級委員が、  
後ろ向きに馬乗りになっている。  
 
 おまけに、その眼鏡の女の子の学級委員は、大地のアヌスに深々と刺さったネギを  
力一杯握りしめている。  
 さらに、あろうことか、その太めのネギをぐいぐいと奥へねじ込んでさえいる。  
彼女の様子にはいささかも迷いもなく、奇妙な自信に溢れていた。  
 
――確か看病しに来たはずじゃあ……!?  
 
 海里は目の前の光景がどうしても信じられなかった。  
 
「……ふ〜〜〜〜〜〜ん」  
 
 海里のコメカミに血管が浮き出てピクピクし始めた。  
 
「どこか変だと思ったら、まさかそーゆー関係だったとはね」  
「ち、違うよ!……信じてくれよ」  
 
 大地は焦った。  
こんな弱みを姉に握られたのでは、今後どんな仕打ちを受けるか分かったものではない。  
 
「なあ、うぅ……………………お姉さま」  
「今さら可愛い弟ぶっても遅ェんだよ!!」  
 
 大地の顔にピシャリとコンドームの袋が投げつけられると同時に、  
目の前のドアが再び荒く閉じられた。  
 
 
 
──[完]──  
 

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