「なんだよ、別に一緒に胸でかくしようって訳じゃなくてさあ」
唇を尖らせて、凛華はぶつぶつと文句を垂れる。一度わざとらしく溜め息を吐いてみたが彼女を煽っただけらしく、文句は音量を増して和泉の耳に届くだけ、改善は見られない。
「あ゛あっ、うるせえな! そんなにデカくしてえなら自分で揉んでろっ」
吐き捨てて顔を背けた和泉は、全く反論をしない凛華に違和感を覚えてまさかと振り向く。
訝しむべき表情に、自然と期待が混じってしまうのは仕方のない事、健全なる高校生であればむしろそうあるべきとも言える。何よりこの姫路凛華という女子はそれをやりかねない天然さを持ち合わせていた。
「な、何言いやがるんだ! じじ自分でやるなんて、恥ずかしいじゃねえかっ」
案の定――これは理性の和泉が思った事だろうか。期待に反して、凛華は赤い顔を俯かせて強く唇を合わせている。
あまりに可愛らしい姿につい胸が熱くなって、和泉は一瞬にして喉が渇いて張り付いた様に思え、生唾を飲み込んだ。
「俺が、……俺が揉んでやろうか?」