『ミルクホールの淫夢』
マドロミの中で無数の蛇が体を這い回っている。半ば目覚めたままに見る
余りにも隠微な幻覚。ミルクホールのカウンターにうつ伏せになったままで
指一本思うように動かせないハルは夢と現が交流する意識の中に悶えていた。
「ゥぅはぁァ〜〜ンぅにャアぁぁ〜〜ぁぁ〜〜〜!」
恐ろしく呆けた吐息と共に生々しい声が糸を引くように引き絞られる。
思い切り逸らされた白い喉が微かに震え、涙目のハルは夢の中で喘ぎ続ける。
その夢の中での仕草は眠る彼女の汗ばんだ首筋に微かな朱となって浮き出し
カウンターに吹き付ける息は微かに湿っている。
薄闇の中で淫夢にうなされる彼女をシャンデリアの電球が見下ろしている。
満たされない欲求は時として異様な夢を見せるものである。
「ぁ〜〜あ〜〜〜ぅああぁぁ〜〜〜〜?!」
声にならない嬌声がハルの虚ろな頭の中にこだまする。酷く悦に入った響き。
彼女はそれが自分のものであることがにわかに信じられないでいる。
全身の肌を這う無数の蛇がレースの付いた黒いドレスの中で蠢き、
現に眠る彼女の火照りゆく肌には汗が滲み出してきていた。
「ッ!…っっ!…!ッ!!」
緩んだあごがわななき上気した唇は形を失ってしまう。
眠るハルの口の端からは一筋の涎が音もなく伝い落ちた。
ゴシックロリータのスカートに潜り込んだ「蛇」は大腿を舐めるだけではなく
下着の中にまで潜入して彼女を苛む。そしてそのぬめりつつもザラついた鱗の紐が
裂け目に沿って通り過ぎていくのだった。
「ッ!!、ッ!!、ッ!!!!」
ハルは目を剥いて身をひねった。じんわりと染み渡ってくる疼きに足の指を丸めて。
「ふぅぅぅぅぅぅ!!!!」
秘核を覆っていた肉襞は捲り上げられ勃起した繊細なところがせり出してしまう。
露出した桜色の肉粒が蠕動するおろし金で弄り下ろされていた。
「ぅ〜〜ぅゥぅう〜〜〜」
呻くような音が喉から鼻にかけて搾り出される。乳房や脇の辺りを這う蛇は
その二つに割れた細い舌でハルの薄い肌を嘗め回している。
「ュるしテ、ゆゥルしてェ…」
硬直した華奢な背筋に力を込めても内なる欲求はごまかせはしない。
熱さえ帯びた体は官能の波に揉みし抱かれ子宮には吹き零れそうに渦巻くものが
とぐろを巻いてのたうっている。
いつ終わるとも知れない夢に愛撫されて現の彼女はスカートの中を酷く濡らし
白いふくらはぎには透き通った雫が止めどなく伝い落ちていくのだった。