『そして夢の続きを(桐島2)』
浪は背後に酒臭い息を感じた。しかし振り返る間もなく羽交い絞めにされてしまう。
「先日はどうも」
その声は桐島だった。しかし今はまずい、非常に…
彼女は何を思ったのかいきなり浪のむき出しのソコを握る。そして指先で会釈もなしに
弄ぶ。口ぶりからして先日の件を根に持っているのかもしれない。
「へえ、割とハッタツしてるね」
桐島は批評家のように淡々と告げる。
橋の下で立ちションなどしていたのがいけなかったのである。
あと30秒も遅ければこんなことにはならなかったに違いない。
「ちょっと! 桐島さ…」
浪は抗おうとしたがその瞬間に袋を握られてしまう。桐島の細くて長い指は
それを握るのに十分なサイズだった。
「ねー、浪君。何事もケイケンだよ?」
桐島はかなり酔っている様子だった。もっとも時間帯からして彼女が自堕落と
ばかりはいいきれない。もう夜の9時である。
浪は美大受験のための予備校から帰る途中だった。
「ほーら。もー立ってきた。ゲンキだねー、若いコは」
桐島は浪のモノをその手で弄り続け、それは彼女の手の中で膨張を始めていた。
「桐…」
「キミってさ、ホーケイだったんだ?」
桐島は聞く耳すら持たず浪をしごき続ける。
浪は自分が非常に危うい状態になってきていることを悟る。彼はまだ免疫がない。
しかし振りほどこうとしても指で脆い部分を圧迫されればそれ以上抵抗する気にも
なれなかった。
「………」
観念した浪は歯を食いしばった。もうもたない。しかし桐島は急に手を離した。
「おっと!」
浪は自分のモノを隠す余裕もなく振り返る。桐島は肩をすくめた。
「どう? 今の気持ちは?」
「どうって…」
唐突な桐島の問いかけに浪は返事に困ってしまう。
「それなんだよ。出そうで出ない、来そうで来ない……ああ、前に君が訊いたでしょ?
なんで美大辞めたかってヤツ」
浪は頭の中が混乱して口をパクパクさせる。しかし桐島は酔漢独特のあつかましさも
あって嫌味なほどに冷静に続ける。
「で、どう? やっぱり苦しい? イキたいって、思う? てゆーかして欲しい?」
浪は肩で息をしていたし表情も悔しそうだった。しかしそのもの欲しげな目だけは
ごまかしようもない。
「なーんてね。したげるよ、暇だし」
桐島は川原に膝をつくと浪のモノを両手で覆うようにする。
「ホントのとこゆーとね、私も見てみたいんだよ、インスピレーションってゆーか」
桐島は恐ろしく慣れた手つきである。
「そら、出しちゃえ。私上手でしょ? 自分ので慣れてるからさ。
オンナのってやっぱりオトコのより繊細なんだから…」
皆まで言わぬうちに浪のそれは暴発してしまう。浪が限界を告げる余裕もなく。
酔った桐島の顔に白濁の液体が飛び散る。それは桐島の唇から顎にかかる。
「うーん。何かヘンだな…」
肩口までを飛沫で汚した霧島はまるで他所事のように言う。
「でもいーや。夢の続きが見れそうだし」
桐島は白い花柄のハンカチで浪の精液を拭いながら一人ごちる。
浪は呆然とした恍惚に浸りながらその場に立ち尽くし、桐島の仕草を眺めるよりなかった。
(了)