その晩、杏子は故郷から送られてきた赤福をつまんで床に就いた。
赤福は一種の餡子餅で皇室に連なる神宮で知られる伊勢の名物。
こういえば杏子のややおっとりしたどこか京都美人を思わせる物腰も説明がつくだろうか。
しかしそれは彼女の故郷の一面に過ぎない。
率直に言えば伊勢はコリントであった。コリントは聖書にも出てくる神殿の街で「聖なる売春」
が盛んだった。現代でも「コリントに行く」とは売春をすることを意味する隠語である。
もちろん現代にいたってはそんな後ろ暗い歴史は忘れ去られて久しいがかつて伊勢の一角は売春街であった。
杏子の体内にもその遺伝子は受け継がれてそれは先日の女郎蜘蛛の夢のように時おり睡眠中に暴発するのである。
杏子はその夢の中で娼婦だった。白い寝巻きを着て褥に横たわっている。
隣ではまだ少年と呼んでもいい年頃の若い男がやや緊張した面持ちで震えていた。
お伊勢参りは一種の成人式という意味を持つ。
「どう?」
杏子は布団の中で少年の一物を愛撫しながら覗き込む。彼女の白い指が褌の
中を犯している。少し酒が入っているせいもあってか少年は表情が震えていた。
「ね、きもちいいでしょう?」
ぎこちなくうなづく少年。杏子は妖艶な笑みを浮かべると布団の中にもぐった。
「もっと、よくしてあげる」
杏子は次の瞬間、少年のそれを口に含んでいた。ねっとりとした舌が勃起したそれに
絡み付いていく。少年は半分泣きそうになって身じろぎしたが杏子は足をその胸にあげて
押さえ込んだ。
少年は見た。はだけた白衣の裾から覗く杏子の秘部を。蝋燭の明かりにてらせれてその潤み
までが痛いほどに脳裏に刻み付けられる。反応は局所にも如実に現れている。
少年は小さな驚きの声をあげて杏子の口内に精を漏らしてしまう。
杏子はうっとりとした顔でそれを飲み干し舌でさらなる愛撫を加える。その吐息さえ艶かしい。
徐々に屹立し始める男根。
すると杏子は口を離して少年の肩を抱いた。少年の耳に囁く。
「ねえ、どうしたいの?」
ひどく甘たるい声。
少年は本能的に杏子の上に覆いかぶさっていた。その腰帯を引きちぎるように解くと
熟れきった二つの乳房が躍り出る。少年は血相を変えてむしゃぶりついた。
杏子は満足げな微笑を浮かべて膝を開く。若さに狂った肉の棒が突き刺さる。
「あ、いいの、あなたのすごくりっぱ……」
淫らそのものな表情で囁く杏子。少年は狂ったように腰を振った。
「あ、いい、いいの、ぁ、う、う……」
どこか控えめな嬌声には円熟した悦楽がにじみ出ている。踊る乳房は乱れ揺れる。
「くぅう、う、ううぅ……」
杏子は手の甲を噛んで声を堪えている。その眉間には悩ましげな皺が寄っていた。
少年の顔に苦しげな影が過ぎり二度目が放たれる。杏子は少年の腰に足を回して両腕で少年を
強く抱く。その首筋には赤みが差している。
「いい子、いい子ょ、ぃぃ……」
少年はしばらくの間、恍惚とした杏子の上で荒い息をついていた。
しかしその後すぐに少年は組しかれてしまう。杏子は少年にまたがってねっとりと腰を振った。
「まだ、まだよ……ぜんぶしぼってあげるから……」
少年は杏子の余りにも妖艶な表情に恐怖を覚えた。しかしその魅力は人外のものかと思われるほど
で抗うことは敵わない。
「ほら、また、かたく、なってきた……」
杏子は少年のモノが体内で膨らむのを敏感に感じ取り、くすりと笑う。
そしてそのまま弄りつくし玩具にして最後の一滴まで吸いきってしまったのだった。