はっ、はっ、んんっ、・っんんっ、ふっぁ、ぁ、くぅああっ!  
彼女は硬いカウンターに額を押し付けて、押さえた喘ぎ声をあげている。  
剥き出しになっている尻に少し肉がつき始めたがことを気にしているが、彼女の腰は、彼の力強い腰の振りを貪欲に受け止めて蠢き、太ももには幾筋もの粘液が滴り落ちている。  
 
アッ、アッ、やっぱ、あの人より、この子の硬いっ、ああ、やぁ、んん、はっ、ふっ、ふっ、  
肉筒の奥の奥までねじ込まれるように打ち付けられて喘ぎ、  
年下とはいえ、れっきとした大人の彼に『この子』呼ばりは失礼よね、などと考えていた。  
 
それしても身体の相性が良いというのは、このような事を言うのだろうか?  
腰を掴む彼の手からですら快感を覚え、彼女は快楽にうっとりと目を蕩けさせている。  
まるで彼のために、いや私のために存在しているようなペニス……  
彼女は自分の膣壁が吸い付くように彼のモノを包み込み、悦びに討ち震え何度も痙攣するように締め付けるのを感じた。  
「はっん!」  
しなやかな背中が弓なりに反る。  
くぅ、また抉るように、中をっ!  
食いしばる歯の隙間から唾液が漏れだし顎を濡らす。  
はぁ、はぁ、いいっ、あああっ、やっぱ、彼の、凄くいいっ!  
 
この男はたいした技巧の持ち主とは思えぬのに、初めて肌を重ねた日以来、この身体を求めてやまない。  
「くぅ、出してぇ、はぁっ、ん、中に、だしてぇ」  
「あ、すご、杏子さん、の中、締まる」  
 
ああ、彼が悦んでいる。  
こんな私の…で……  
杏子は彼の呻きのような言葉に頬を緩ませて喘いだ。  
彼の肉体の味を経験する以前、そう、ついこの前までの自分は別にセックスは好きでも嫌いでもなく、特に性欲も強い方でもないと思っていた。  
むろん愛撫は切ないほど気持良く、絶頂を迎えて逝くのも悪くはない。  
しかし彼女から特に進んで求めることもなく、今までは、『あの人』が望むからセックスをしていたようなものだった。  
もちろん彼女とて、  
気分が乗れば自慰くらいはするもの、途中で冷めてしまうこともしばしばで、  
まさか、この年になって年下の男とのセックスに、こんなにハマるなんて思いもしなかったのだ。  
 
「あ、くぅ、で、出ます!」  
彼の苦悶にも似た叫びに  
「いいの、出してぇ、私の中に、んんんっ」  
彼女は躯の奥底で生暖かい感触が広がるのを感じた。  
 
はぁ、はぁ、はぁ、  
「も、もう、いいの?」  
彼女は己の中で萎えていく、彼のモノを意識しながら振り返る。  
「あ、すみません、いつも、は、早くて、杏子さんの、そ、その、中、気持、よ、良すぎて……」  
どこか頼りなさの漂う年下の青年の表情に、杏子は鈴を転がすような笑い声をあげた。  
 
「ふぅ、べ、別に早すぎるなんて言ってないでしょ? 見て、私の膝、もう激しくてガクガクよ……」  
もう少しで、あともう一回ぐらいは逝けるところだったのだが、こればかり仕方がない、  
出来ることなら二で逝きたいが  
現実には二人で一緒に同時に逝くなんてことはそうそうないのだ。  
それでも、今日も十分に楽しむことが出来た。  
 
彼女は、身を起こして彼に向き合うとウインクをして捲っていたスカートの裾を降ろした。  
すると……  
「ま、また、今回も逝ってないんでしょ?」  
彼が乱れた服の下に手を差し入れて来る。  
「あ、リ、リクオ君?」  
顔を赤らめつつも彼女は彼の行動に眉をしかめた。  
今まで彼から手を出して来ることなど皆無だったからだ。  
罪悪感からか彼は常に受け身で、時には挿入前の前戯でさえ彼女が自分でやらなければならないくらいだった。  
 
あっ  
「ちょっと……」  
下着の下に潜り込ませると乳房ではなく、いきなり乳首を摘まれ、彼女は自分の躯が敏感に反応するのを感じた。  
んんっ、んっ、あぁ、やぁ……  
しかも彼の空いている手がスカートの留め金を外している。  
 
ダメっ!  
スカートが床に落ちると同時に彼女は羞恥心に頬を染めた。  
「あ、あの、う、魚……ず……むぅぬう……むぅうううう」  
彼女の抗議の声は、彼の唇によって塞がれ、侵入してきた舌にいいようにされながら、薄いブラウスのボタンを外されてブラを引きずり降ろされてしまう。  
「腕をあげて……」  
 
ダメだって……年下の癖に……しかも……外から見えちゃうじゃないのぉ!  
心の中だけで抗議するが、いつになく積極的な彼に正直な躯は素直に応じてしまう。  
彼女は、思わず扉の方へと視線を走らせる。  
クローズと書かれた板切れと鍵を掛けているとはいえ、この状態で、誰かが中を覗けば二人が何をしているか一目瞭然だ。  
 
「あ、あの、お願い、す、好きにしていいから、も、もう少し、あ、カウンターの中へ移動しない」  
外から見られてしまうかもしれないという恐怖に年上である事の余裕を失いつつある彼女は、彼に懇願するようにすがるが、  
彼女の服は次々と脱がされていく。  
こんな強引なのは初めてだ。  
何があったんだろうか?  
ふと、思いあたり、  
「森ノ目さんと、彼女と何か……」  
「………き、聞かないでください」  
「……あ、ごめんなさい」  
リクオの傷ついたような表情に杏子は彼に為されるがままに全裸になった。  
 
重い空気が店内を支配しそうになるが、それでも、  
「杏子さん、 あ、改めて見ると、す、凄いプロポーションだ……」  
感嘆するような言葉に彼女は真っ赤になる。  
 
よく考えてみると驚いたことにリクオに全裸を晒すのは初めてだ。  
いつもはスカートだけをたくしあげたり、乳房だけを曝け出して事に及んでいた。  
そもそもハルや客のいない刹那の時間に事を終えるのだ。今日のように悠長に抱き合っている時間など無かった。  
 
「と、年上をからかわないでっ」  
彼女は少し怒りながらも豊満な胸を腕で隠して、ぷいっと顔を逸らせた。  
「からかってなんかいませんよ、お、おれ、杏子さんみたいな綺麗な裸、生で、は、初めて見た……」  
え、そんなことないでしょ?  
ちょっと褒め過ぎよ……  
「お、大袈裟……おばさんの裸を見て楽しい?」  
と照れながらも素直な賛辞に彼女は頭がカッーと火照るのを感じた。  
 
「まだ、おばさんって、いう年じゃないでしょ?」  
彼の手が控えめに伸びて、  
「こ、こらぁ!」  
彼女の腕を掴み優しくどけると豊かで美しい乳房が、さも柔らかそうに揺れて露になる。  
あ……どうしようもなく恥ずかしい……  
今まで挿入する度に何度となく陰部を晒しておいて、今さらだと思うが  
彼女は、あ、そうか、と悟った。  
まだ若い彼と正面を向き合って全身を晒すのが恐いのだ。  
彼女は羞恥心に目尻に涙が滲むのを感じた。  
 
むろん身体に自信がないわけではない。  
これでも学生時代は随分とモテていた。  
日本人離れした艶かしく整った躯に、『あの人』にもグラビアモデルで食っていけるんじゃ、と言われるほどで、初めて抱かれた時の悦びようたらなかった。  
プールや海辺では水着になるのが嫌になるくらい男の欲望に満ちた視線と同性の羨望と嫉妬に満ちた視線に晒され閉口したものだ。  
 
だがしかし……  
あれから随分と時も経ち、身体サイズは、あの頃の数値を維持しているもの、もうとっくに三十路を越えて、四十もそう遠くない、しかも二十歳そこそこのバイトの野中晴を見ているとさすがに衰えを自覚しないわけにはいかない。  
 
「杏子さんなら、ホントに、20代でも通用するんじゃないかな……」  
そ、そんなの……ば、馬鹿言わないでぇ!  
「この細いウエストに……滑らかな、お腹……」  
彼の指が臍に触れる。  
「お、俺、今は写真スタジオで助手なようなこと、やっているけど」  
「んんっ」  
「杏子さんは十分にモデル出来ますよ、それこそグラビアモデルだって……」  
そんなお世辞……  
「そうだ、今度、被写体になってくれます?」  
 
ああ……  
彼の手が下へと這い股間に触れた途端に電流が流れたように痙攣して黒光りした床に崩れ落ちてしまう。  
「う、魚住君……」  
言葉と指だけで、い、逝きそうになっちゃった、今のは効いたわ……  
でも君、こんなに、お世辞が上手だったっけ?  
肩で息をしながら顔をあげると、まるで彼女の口の前に突き出すように……  
彼のモノが揺れていた。  
杏子は生唾を飲み込んだ。  
 
勃ってる、はぁはぁ、彼のが、また、勃ってる。  
 
はぁ、はぁ、ぁあ、私、もうダメだ……  
この子のコレ欲しい……  
強烈な肉欲に惑わされた杏子は彼を上目遣いで見てから舌舐めずりをすると、  
「口でして欲しい……の?」  
返事を待たずに目の前に揺れている彼のモノを頬張った。  
「俺、そ、そんなつもりでは、杏子さんっ!」  
驚いたような彼を、手で制してから我ながら嫌らしい音だと思いつつも、一旦、肉棒をじゅるじゅると吸いながら口から抜いた。  
 
「はぁはぁ、じゃぁ、ど、どんなつもり、だった、年上の女を誘惑して、はぁ、んん……」  
「あ、いや、誘惑って、い、一度くらいは、杏子さんを完全に逝かせてみたいなって」  
ふふ、そうね、誘惑したのは私だもの、しかも強引にね、でも、  
や……やっぱ男の子ね、私を征服したいんでしょうね、  
 
実は内緒だけど、今までも何回か逝っているのよ?  
いや、毎回だ、自分がこんなに感度が良いことに呆れたほどで必死に逝ってない振りをしているのは年上のプライドだろうか?  
 
「ふふふ、こ、これは、嘘でも私を褒めてくれたから……」  
「え、俺は……ホントのことを……杏子さん美人だし……」  
「あ、あまり誉めないでよ、いいの、はぁはぁ、お礼よ、んぐ、ぁ、はぁはぁ、私、こ、こんなこと、めったにしないんだから……」  
でも、これからは毎回してあげる・  
 
「あ、いや、ホ、ホントっす、杏子さんの肌は張りが合って、若いし、ウエストも細いし、乳房だって、きょ、きょ、あ、大きくて……綺麗で、た、垂れていませんし……」  
「巨乳?」  
「あ……す、すみません……」  
「ふふふ、昔は、こんなに大きくなるなんて思っていなかったんだけどな……ま、まだ垂れない内に写真を撮ってもらおうかな?」  
「え、ヌ−、ヌードを?」  
「あはははは……」  
やだ、どうしよう、やっぱこの子可愛い、年甲斐も無く本気になっちゃいそう……  
 
「か、からかわないでくださいよ、ただでさえ冗談なのか本気なのか判らないんですから……」  
「え、冗談じゃなくてよ、そう、どこにも出せないようなエッチな芸術写真っ」  
「きょ、杏子さんっ!」  
あの時、寂しくて辛くて、ちょっと魔が射しちゃっただけなのに……  
杏子は、優しく彼のモノを豊かな胸に挟み込み揉むと、もう一度口を大きく開けて彼の先端を頬張るのだった。  
 
あれは二ヶ月くらい前になるだろうか?  
「こ、これは、ちょっと重いなぁ」  
とある店の前で荷物をアスファルトに置いた彼女は溜息をついていた。  
しかも、手には重そうな手提げ袋を幾つかぶら下げている。  
 
いつもだったら、『あの人』を呼ぶのだが、生憎、郷里に帰っていて、いつ戻ってくるかも定かでない。  
いや……  
もう帰ってこれないかもしれないのだ。  
彼女は寒々としたものを感じて己の身体を抱いた。  
どうしよう……  
荷物を前に途方に暮れていると  
「あの〜  ハル、あ、野中さんがバイトしているミルクホールの……」  
え?  
頼りなさげな声と共に影が射して、後ろを振り返ると、  
 
「あ、魚住君……だっけ?」  
「ええ、コンニチは……え〜と……」  
「ふふ、久しぶりね……狭山杏子です」  
彼女は額を流れる汗を拭って、彼、魚住陸生を見上げた。  
 
「最近、お店に来ないわね……」  
バイトの野中晴に大体のことは聞いているが、ちょっと意地悪をしたくなったのは、この異常に暑い陽気のせいかもしれない。  
「ハルちゃんと、仲良くしている?」  
「え、あ、いや……」  
 
俯いた彼の目が曇るのを見て、罪悪感に襲われた杏子は視線を外す、しかしこのくらいは構わないだろうとも思うのだ。  
なにしろ、あの娘は、表面上は明るく振る舞っているが未だに立ち直れないでいる。  
もし彼が、少しでもハルちゃんのことを想って……  
はぁ……  
彼女は溜息をついた。  
いや、やめよう、男と女の仲は、第三者がどうのこうのと出来る問題ではないのだ、自分達のように……  
 
いつまでも、こうしていても仕方がない、  
「気が向いたら、また、お店に来てね、じゃぁ……」  
杏子は彼に挨拶をすると荷物に手をかけ……ようとして、  
え?  
目の前に見知らぬ手が伸び、重くかさばる荷物を軽々しくというわけではないが、ふぁっと持ち上げる。  
「お店までですか?」  
見上げると  
魚住陸生が顔を逸らしたまま問いかけた。  
「あら、い、いいわよ」  
「大丈夫ですよ、今日は、もう用事がありませんし、今の時間にはハルが……ぁ、いや……」  
杏子は首をヤレヤレと横に降った。  
実のところ彼も心を痛めていたのだろう、確かに、この時間に、あの娘は、お店にはいない。  
 
杏子は荷物と彼の顔を見比べ、また溜息をつく、確かに女の手で持つは重過ぎて、タクシーを呼ぶには店が近すぎる。  
ここは素直に彼に甘えよう。  
「じゃぁ、お願いしようかな……」  
「はい……よいっしょ!」  
掛け声と共に彼が荷物を持ち直すと、杏子はスーパーの手提げ袋を持ち上げ黙ったまま歩きだした。  
 
「ここでいいわ」  
沈黙したままの店に到着し、冷房をつけっぱなしのヒンヤリとした店の中に彼を招き入れると、置き場所を指示してカウンターの中に立つ。  
「コーヒー、飲んでいって」  
「あ、いいですよ、狭山さん」  
「杏子でいいわよ、お礼ってだけじゃないの、新しい豆を仕入れたんで試飲してみて……」  
「はぁ……」  
彼は所在なげにカウンターに坐り溜息をついた。  
 
水の沸く音と豊かな香りが広がり、どこかぎこちなく重苦しい空気が、ようやっと和らいで彼が重い口を開く。  
「ハ、ハルの奴、その、元気ですか……」  
え……  
まさか彼からハルの事を聞いて来るとは思わなかった。  
正直に言うべきだろうが、  
「うん、まだ少し引きずっているようだけど、元気よ、どうして……」  
「いえ、それならいいですけど……」  
「そう……」  
短いやり取りと共に彼の前にコーヒーを置き、この日は二人共ハルのことを二度と口にしなかった。  
 
「どう?」  
「すこし苦味が強いですかね……」  
「う〜ん、炒り過ぎかな」  
「あ、旨いですよ……苦味は俺の好みもありますから……」  
 
再び沈黙が支配すると、杏子はカウンターから出て荷を解くために屈み、ふと視線を感じて見上げるが、慌てて彼が視線を逸らせたのが判った。  
……?  
首を傾げると、  
「て、手伝いますか?」  
場を取り繕うとするかのように彼が椅子から降り、まだ明後日の方向を見たまま口を開き、杏子は首を傾げて思案した。  
彼に手伝ってもらう義理はないが、この際、頼んでみるか、  
この荷物の中身を女1人で組み立てるのは、無理かもしれない。  
「じゃぁ、お願いしちゃおうかな……」  
「ええ!」  
ひどく人の良さそうな彼の表情に、杏子はハルの言葉を思いだし小さく笑う。  
『押しに弱いくせに、凄いお人好し……』  
この青年は実は結構モテるのに違いない、ただその事実に本人がまったく気がつかないで関係が終わっていそうだ。  
しかし、この分だと頼めば休憩室の模様替えも手伝ってくれるかもしれない。  
 
「そっち持って押さえてください」  
自分のコーヒーを飲みかけのままテーブルの上に置いた杏子は彼の指示に従い、しゃがみ込んで組み立て式の棚の角を支える。  
「こう……」  
「ええ……そうです」  
彼女は、彼に仕草に何か違和感を覚えて顔を傾げるが、  
あ……  
また私から顔を逸らしている。  
なんであんなに顔を逸らせているのだろうか?  
しかも、あんなに首を捻って、無理矢理……  
私の服装、な、なんか変……かな……  
 
あら!  
彼女は思わず顔が赤くなるのを感じた。  
夏用の薄地のブラウスのボタンが外れ下着が剥き出しになっていて、撓んだ下着が浮き、乳房が中程まで見えている。  
慌ててボタンを閉じようとするが、彼の視線を意識しているようで躊躇われた。  
彼女も仕事柄、遠慮の無い男の視線は慣れている、特にそういう店ではないが、酒も出す夜の時間は意識して襟刳りの広い服を着る時もあるぐらいだ。  
 
実際のところ、彼の態度にも視線にも不思議と悪い気はしない。  
それどころか、見たくて、見たくて、どうしても彼女の胸に目が行きそうになる、しかしやはり見るわけにはいかないという、手に取るように判る彼の心の葛藤に、こそばゆい恥ずかしさすら感じるのだ。  
彼女は、そのままの格好で  
「まだ、押さえてる必要ある?」  
「え、はい、反対のネジを締めるので、そのまま押さえていてください」  
「わかったわ」  
微笑みを浮べた。  
 
遠慮の無い視線に視姦されるのと違って、彼のそれは思春期の少年のようで、何故ハルが彼に惹かれたのか判るような気がして、彼女は悪戯心が沸き起るのを、どうしても止めることが出来なかった。  
 
今から思うと、なんで、あんなことをしたのだと思うのだが、  
敢えていえば、心の隅で眠っていた少女の心が目覚めて、ざわめき出したせいなのかもしれない。  
彼女は鼓動を僅かに早めながら、そっと背中のホックを外してさらにブラを緩めて、深く屈み込んだ途端に……  
彼が、ぎょっとしたまま硬直するのが判った。  
 
そのまま数秒……  
 
彼女は胸を押さえると笑いを堪えて彼の名を呼んだ。  
「魚住君………?」  
「………」  
「こら、魚住君、どこを見ているの!」  
「えぁ、ぅあぁ〜 そ、その、す、すみません!」  
真っ赤になっている彼に、杏子は爆笑したのだった。  
 
ま、まさか、硬直したまま動かなくなるとは、結構、純情なのね……  
彼女の笑いに憮然とした表情は、まさに少年のそれで、彼女はさらに涙を堪えて笑った。  
 
「あ! わ、わざと、まさか、杏子さん、わざとですか!」  
「ご、ごめんなさい、君の表情があまりにも可笑しくて!」  
さすがに怒ったのか拳をワナワナと震わせて睨み付けて来る。  
「あ、あのね、ですね」  
「だって、君、ずっと緊張しているようだったから、ちょっとね……」  
「だからって、ですね、もっと別の……もういいです、それちゃんと着けてください」  
 
その様子が面白くて、尚をも笑いを誘い、背中のホックを止めようとする手の肘が  
「杏子さんが、こんな人だとは思わなか……あ、危ない!」  
組み立て中の棚に触れてしまい、  
「きゃぁ!」  
 
杏子が慌てて押さえた振動で、逆に棚は激しく揺れてテーブルに当たり、上に置いたコーヒーを彼は頭から、  
「うぁぁ!」  
モロに被ってしまう。  
しかも、  
ひぃ!  
彼女は店内に響いた派手な音に肩を竦ませ、棚が倒れる衝撃から彼女を守ろうと覆い被さるようにしている彼の胸に、思わず顔を埋め、  
そして二人はお互いにもつれあって床に転がった。  
 
「痛ぇ〜 杏子、さん、だ、大丈夫ですか?」  
「う、うん……ごめんなさい」  
彼に抱き締められる形となった彼女は思わず顔を背けた。  
息が掛かるほどの間近に彼の顔がある。  
「う、魚住君、こそ、け、怪我ない?」  
唇が彼の髪の毛に触れ頬が赤くなり、  
「あ〜 コーヒーカップ割れちゃいましたね……」  
「う、うん、い、いいのよ、客用じゃないから……」  
 
彼女は首を捻って床に散らばるカップの破片を見つめた。  
硬い床に当たり粉々に砕ける酷く耳障りな音が、まだ耳に響いて残っている。  
物が壊れるのは悲しい、しかも愛用していた物となれば……  
彼女は、切なくて泣きそうな気持になった。  
 
それにしても、こうして身体が熱くなるのは何故なのだろうか?  
年下の男に抱かれているから?  
身体にのしかかる彼の重さと体温、コーヒー混じりの匂いに髪の匂い……  
ふと、  
何故か郷里に帰っている、『あの人』の裸体が脳裏に浮かぶ。  
 
お互いの足を絡み合い、挿入したまま、『あの人』に背に腕を回し強く抱き締める。  
あの温もり、あの快感に安心感……  
当分は帰れないという、今朝の電話、最後に愛しあったのはいつの頃だったか……  
 
彼女は、魚住の背中越しに店の天井を見上げた。  
祖父から母が譲り受けた店、その母も既に他界し、今は独りになってしまった。  
時には、どうしようもなく寂しくなることもある。  
杏子は、床に散らばるカップの残骸に視線を走らせ、意外にたくましい彼の胸に手を当てる。  
 
いつかは、私も、この砕けたカップのように……  
……さ、寂しい……人生って、私このまま歳を取っていくのかしら……  
ふと、彼女が着けていたアクセサリーに絡まったボタンを解そうとしている彼の男らしい顎の線が目に入る。  
彼は、魚住は剥き出しになってしまった私の胸に気がついているだろうか?  
 
「杏子さん、頭を打ってないですか、す、すみません、これが引っ掛かってしまって、すぐ退きますから」  
「コーヒー ……は大丈夫?」  
彼女は、そっと彼の頬に手を触れる。  
「え、冷めていまし……たから……?」  
「この、シャツ、すぐに洗濯しないと染みになるわね」  
彼女は、身を起こそうとした彼の腕を掴み、  
「え、あ、あの杏子さ……ん……」  
彼が息を飲むのが見えた。  
 
彼の視線と絡み合い動悸が早くなる。  
生暖か体温と男臭い汗の匂いに頭が痺れて、  
わ、私は何を……  
と思いながらも気がついた時には、  
「…だ…い…て……」  
と小さく幽かな声で囁いていた。  
この躯が朽ち果てないうちに、誰かに見て、触って、味わって欲しい。  
それが、君、魚住君だったら私、きっと嬉しいと思う。  
 
杏子は、またもや硬直している彼のシャツのボタンを外し始めた。  
『魔が射す』という言葉があるが、こうゆう時に使うのかもしれない。  
 
「お願い……」  
シャツのボタンを外し終わり彼の胸に手を這わせる、  
「!」  
飛び跳ねるようにして身を起こそうとした彼に首に腕を回してもう一度囁く。  
「お願い……」  
「お願い……って」  
意味が判らない歳でもないだろうに……  
彼女は目の前にある彼の乳首に口づけをした。  
「・ぁ、きょ、杏子さんっ ダ、ダメですって」  
彼女は熱い吐息を漏した。  
「お願い、今だけ……女に恥をかかせないで……」  
彼のアレはもう硬く勃起している。  
「いや、しかし、ハ……」  
彼女は、彼の唇が、あの娘の名を言い終わる前に自分の口で塞ぎ、彼の手を胸へと誘う。  
覚束ない彼の手が胸を弄り……  
彼女は彼の股間へと指を這わせた。  
 
正直なところ、その後のことは良く覚えていない。  
気がついた時には買ってきた棚は完成していて、彼が帰ったあとだった。  
彼女に残されたのは、激しい罪悪感と後悔……そして腐敗臭を放つような甘ったるい快楽の余韻……  
彼女は涙を溢れ出させながら、  
ごめんなさい……ごめんなさい……  
と泣き崩れた。  
 
「あ、あの……その身体は、だ、大丈夫です……か」  
 
もう二度と来ることのないと思っていた彼が訪れたのは、意外にも数日後のことだ。  
まだ、あの時の余韻と彼の息遣いが耳に残り、  
自分でも判るくらいに顔が赤くなると、彼と視線を合わすことが出来なかった。  
「あ、その、いらっしゃい……」  
あれほどに罪悪感と後悔に苛まれ、ろくに眠れてもいないのに、動悸が早くなっていく。  
「そ、その……コ、コーヒー飲む」  
動揺を押さえて、なるべく冷静に務めるのだが、彼女の心を疑問がよぎった。  
何故、彼は来たのだろうか?  
 
もしや、また私を抱きたくて?  
『ば、馬鹿にしないで、私は、そ、そんな易い女ではないわ!』  
彼女の心に、少し怒りのような感情と  
 
『まさか、私の躯が忘れなくて? も、もし要求されたら応じる?』  
不本意ながら股間に疼くような感覚が生じた。  
 
「あ、その、お、俺、謝ろうと……」  
「………!」  
彼の言葉に、コーヒーをいれる手が止まる。  
「ごめんなさいっ!」  
彼は、カウンターに額を擦り付けて謝罪した。  
あ……  
彼女の目から涙が滲み出る。  
悪いのは私だ。  
彼の口の中に強引に舌を差し入れ、彼の舌に絡ませたのも、チャックを降ろしてジーパンの中に手を入れ、無理矢理に、あの硬いモノを引き出したのも、私だ。  
しかも自分から下着を降ろして、大股を広げて彼のモノにアソコを当てたのも……  
 
だが……  
彼女は強い罪悪感を覚えると共に、下半身に違和感を感じて、彼に気がつかれないように手を股間へと伸ばした。  
 
嘘っ!  
 
スカートの下から手をいれると、そこは、驚くほどに濡れている。  
彼女は切なくぎこちない笑顔を彼に見せてコーヒーを入れるのを再開し、  
片手でゆっくりと小さな盛り上がりを揉むと、下着が吸い込んだ粘液が、じゅわと染み出して太ももを濡らしていくのを感じた。  
はぁ、どして?  
行為もしてないのに、こんなに濡れるなんて初めてかもしれない。  
 
「あ、あの?」  
「え、あ、なに?」  
指を動かすことに夢中になりそうな心を引き戻す。  
「も、もし、そそ、その……×××…が出来たら……お、俺……」  
×××……って?  
あ、ああ、そ、そのこと……  
くっ、指が、  
んんっ……あっ、あっ、  
 
で、でも私、なんでこんな時にオナニーしているのかしら?  
彼女は股間から指を離そうとするが、  
はぁはぁ、こ、子供じゃあるまいし、なんで指が止まらないのよっ!  
沸き上る肉欲と快感に歯を食いしばった。  
 
「だ、大丈夫……」  
だが彼女の言葉とは裏腹に我が儘な躯は勝手に反応していくのだ。  
んんっ、やだ、良過ぎて……もう立っていられない〜  
 
「わ、私、ピル飲んでいるか、らぁっ……」  
んんくぅ……  
彼女の下着は、既に太ももまで降ろされ、中指は筒の中まで入り、他の指も秘裂の中で踊っている。  
はぁ、はぁ、もう限界……隠し通せないっ!  
彼女は調理台に片手を置くと、  
 
「ピ、ピルって……な、なにやってんですかっ!」  
ついには魚住の前で喘ぎだし、  
彼の悲鳴なような声が店内に響いた。  
 
だって、仕方が無いじゃない、こんなに疼いて濡れてしまうんだもの……  
杏子は、カウンターから出て、唖然と立ち尽くす彼に前でスカートの留め金を外して、見事な両足を曝け出す。  
「杏子さんっ、俺、ダ、ダメです」  
「ダメなのは、私、一度、禁断の果実を食べてしまったらもう後戻りできない……のよ」  
 
だ、だから、この躯を、何とか鎮めてぇ!  
「う、魚住君、わ、悪いけど、共犯者になって貰いたいの……」  
「し、しかし……杏子、さん、そんなわけにはいかないだろ!」  
彼女は悲しみと肉欲の入り交じった表情を浮べて白い尻を彼に向ける。  
「ハル……は……」  
彼の口から発する少女の名に彼女は唇を噛み締める。  
ごめんなさい。  
でも、もう……自分でもどうしようもないの……ご免なさい、ハルちゃん……  
 
「あら、も、もう振ったんでしょ?」  
なんて、残酷なことを言うのだろうか……彼の、あの表情!  
私、もう狂っているしか思えない。  
「・ぅ……俺には彼女がぁ……」  
「彼女は、させてくれる?」  
「そ、それは……」  
「だったら、私の……躯を、好きなように使って」  
「杏子さんっ」  
 
罪悪感が刺激されて胸の痛みが肥大していくのに、増々疼きが強くなる。  
「わかっているわ、あんな綺麗でスタイルの良い彼女がいるのに、お預けをされて可哀想……」  
「や、やめてくれっ、頼むっ……!」  
彼は悲痛な叫び声をあげたが、彼女の手が、彼の手首を掴んで濡れて時おりヒクヒク痙攣する女陰に誘うと  
「・ぅくう、杏子さっん、俺っ……!」  
彼はむしゃぶりつくかのように彼女を床に押し倒した。  
 
そして時には、罪悪感や背徳感というものは却って、ふしだらな欲望を激しく駆り立てる燃料にしかならないということを、  
彼女は、いや、二人は思い知った。  
 
事を終え、うっとりとした表情を浮べた彼女は、  
「ねぇ……、  
魚住君……これからリクオ君って呼ばせて、したくなったら、いつでも、ここへ来て、そんなに難しく考えないで、さっき言ったようにピルを飲んでいるから、  
あ、私、生理不順で重くて、ピル飲むと楽で安定するし、体質に合うのがあったから、決して、いつでも、そ、その、男と寝るためじゃなにのよ」  
 
「………はぁ……」  
 
「ねぇ、だから安心して、イライラした時とかストレス発散のつもりで、女が欲しくなったらね、  
私も、仕事で疲れてストレスが溜まるの、時には寂しさの余りに不安定になるわ、  
正直言うと店の客に口説かれるし、時には男が欲しくてたまらなくなる時もあるの、だ、だからギブアンドテイク、男と女ではなくて、大人の関係って奴?  
そうセックスフレンドって言葉は嫌いだけど、ねえ? どう?」  
 
この間、組み立てた棚を休憩室に設えている彼の背を眺めながら、いつになく饒舌に問いかけた。  
彼は、首を振り、  
「まさか、杏子さんが、こんな人だったとは思わなかったなぁ」  
溜息をつき頭を掻く彼を見て、彼女は寂しく笑った。  
 
その思いは自分も同じだ。  
狭山杏子に、こんな事が出来て、こんな人間だとは思いもしなかった。  
『私、最低な女だったんだ……』  
彼女は自分の足元が崩れ落ちるような錯覚に捕われるが、膣に残る疼きは正直で残酷だ。  
なんでこんなに性欲が強くなってしまったのだろうか?  
 
彼女のとんでもない提案に、まだ困惑している彼の表情をみて、彼女は身震いした。  
さっき、たっぷりと注がれたばかりだというのに、もう強く疼いている、  
彼女は彼が見ている前で、股間に手を伸ばし弄りはじめる。  
「杏子……さんっ」  
彼がうなり声をあげ、彼女は床の隅に置いたままの壊れたカップを入れた袋を思いだした。  
 
ああ、そうか、あの時、私も壊れたんだ。  
粉々になって残ったのが、今の淫らな私……  
ふふふ……でも完全に壊したのは君かもしれないよ?  
見て、リクオ君、私ってこんなにエッチだったんだね。  
だから  
「お願い、また、して……そして、この店に来て」  
「杏子さん、俺……」  
いいの、私が悪いのだから、君は良心の呵責を覚える必要はないの……  
ただこの躯が、君としたくしたくて我慢出来ないと騒ぐの、もう死ぬほどに君の躯に溺れたいって……  
 
お願い、  
「この店に来てくれる、この哀れな女を慰めに……」  
コクリと彼が頷く。  
約束だからね……  
彼女は逝くまで、彼の目の前で自慰を続けた。  
 
しかし人間っていうには現金なもので、  
これから野中晴に、どんな顔で接すればいいのか思い悩んでいるうちに、  
こんな爛れたような状況にも慣れてしまい、彼も彼女の淫らな躯を求めて来るようになっていった。  
 
「杏子さんっ」  
彼のモノをしゃぶっていると彼の苦しそうな声が聞こえて来る。  
「お、俺、出る……」  
口で受け止めてもいいが、やはり中で出してもらいたい。  
彼女は、未練たっぷりに口から抜き、身を起こした。  
「ま、まだ、我慢出来る?」  
「は、はい、なんとか……」  
偉い! いい子ね?  
「じゃぁ、君も服を脱いで……」  
「え……」  
 
彼のびっくりした表情に、思わず彼女も赤くなる。  
「だって、今まで一度も君と……してないから」  
お互いに裸で抱き合って愛しあいたい、  
なんて、そんなこと言えるわけがない。  
「あ……」  
彼女の想いに気がついたのか、全裸になりながら彼がニンマリと笑う。  
「杏子さん、意外と乙女なんだなぁ」  
「……!」  
あ、ああ、あのねっ!  
反論しようと口を開こうとしたところで抱き竦められ、  
彼女は彼の胸に顔を押し付けられてしまい。  
喘ぎを漏した。  
 
はぁはぁ、ああっ、彼の匂い、彼に体温……  
今夜は臨時休業にしよう!  
んんっ、やぁ、  
彼の唇が胸を這って乳首を吸う。  
ああ、もう、ダメ、我慢でいない……  
彼女は彼のモノを迎え入れるべき股を大きく開いた。  
 
「杏子さん、行くよ……」  
来て……  
彼女はコクリと頷き床に仰向けになると、手直な椅子の脚を掴み、挿入に備える。  
冷たく古びた床は、熱い躯に心地よく彼女の躯がビクンと仰け反った。  
彼が太ももの付け根を持ち、ゆっくりと侵入して来る。  
あっ、硬いっ!  
彼のモノは意外に大きく持ちも良い、特に先端が無理矢理に扉をこじ開けて入って来る快感は別格だ。  
「あっ、あっ、大きい、んんっっ、くん、ぁああっ!」  
膣に中に広がる強引に引き伸ばされるような充満感に、感極まって演技でない声が漏れ出る、  
 
はぁはぁ、いいっ、こんな、凄いの、やっぱり、や、め、られない……  
んんっ、あ、奥までっ!  
つい根元まで喰らい込んで、彼女の躯から力が抜けた。  
 
すぐにでもリクオが腰を動かすのかと身構えるが、彼の手が彼女の手首を掴み、身体を起こそうとするように引っぱる。  
え?  
え、ええ?  
ちょっっと、ぃやぁー  
挿入したまま引き起こされ、膣の中が敷く圧迫された彼女は弓なりに背中を仰け反らせながらも彼の腕の中に納まった。  
「はぁ、はぁ、はぁはぁ」  
息を乱して彼の顔を見上げる。  
 
「一度、はぁはぁ、こゆう体位でしてみたいと思って」  
「な……んん、ぁ!」  
あ、やぁん……  
今度は尻を持ち上げられモノが抜けそうになるが、胡座を組んだ彼の太ももの上に落ち着いた瞬間、奥まで貫かれ彼女の躯がピクピク痙攣した。  
「はぁ、あ、い、いきなり…むぅう…んんぅ」  
抗議の声をあげようとするが口を塞がれ抱き締められる。  
・ぅうう、んんんっ!  
そして動き始めたリクオに合わせて躯を動かす彼女は溢れる快楽に、彼の背中に腕を回し何度も喘ぎ声をあげた。  
 
ああ、これ、いい!  
はっ、んんっ!  
躯が上下に振動する度に乳房も激しく揺れ乳首が彼の胸を擦って、とてつもなく気持いい、時に唇を交わし結合部をグニグニと合わせる、そして熱い彼の身体を抱き締める。  
 
ひぃん!  
彼女は一際大きく仰け反った。  
彼が接合部に手をやり指でクリトリスを剥き出しにして弄りまくっているのだ。  
挿入したま弄るなんてぇ!  
ああっ、逝きそう!  
「杏子さん、俺、俺っ」  
「ア、 アタシもぉー!」  
 
あああっ!  
下腹の奥で生暖かい感触がして彼女は絶頂を迎えた。  
 
そのまま抱き合っていると、  
「しな子のやつ、まだアイツのこと……」  
彼がボソと呟き、彼女は彼の背に回した腕に力を込め、  
「強引に、抱きたい?」  
と尋ねた。  
「いや……」  
「じゃぁ、待つしか……ないわね」  
「うん……」  
「いい子ね……」  
「子供扱いしないでくさい」  
 
彼女は彼の頬に口づけをして  
「ふふふ、それまで、私の躯で憂さを晴らしていいのよ?」  
「い、いや、杏子さんをそんな抱きかた出来ませんよ、今夜、強引だったのは、逝かせたかったし、もっと抱きたかったらで……」  
「ありがとう、嬉しい、ふふふ、じゃぁ、片付けますか?」  
「ええ……」  
二人は軽く口づけを交わすと背伸びをするように立ち上がり。  
「硬い床でするのも、ちょっと考えなきゃね、歳に堪えるわね」  
顔を見合わせ笑った。  
 
「でもリクオ君……その、今夜は凄く良かったよ」  
彼女は汗やら粘液で汚れた床を掃除しながら彼を見上げる。  
「ま、また、して」  
彼は椅子を並べて直し、  
「え、ええ、杏子さんも……」  
「シャワーを浴びて行きなさい、あ、一緒に浴びる、洗ってあげようか……」  
「やめておきますよ、なんか帰れなくなりそうだから」  
「ふふふ……」  
頬を少女のように染めた彼女は、揺れる乳房を押さえて肩にかけられたブラウスの襟を整えた。  
 
しかしまさか、本当にカメラを持って来るとは思わなかったが、  
彼女は恥辱感に躯を熱くする。  
しかし彼に、こんな嗜好があるとは思わなかった。  
 
「杏子さん、カウンターに乗って……」  
「こ、こう……」  
「うん、き、綺麗だ」  
「もう、さっきから褒めてばかり、なんにも出ないわよ」  
彼女の衰えをしらない白く美しい躯は薄暗い店の中で、よく映える。  
古くエレガントな店の佇まいは、女盛りで野生味のある彼女の躯を余計に背徳的に魅せる。  
ムチムチした太ももを揺らして足を組むと  
彼の股間が、さらにいきり立つのを見て、彼女はゴクリと生唾を飲み込んだ。  
ある意味全裸でカメラを握り、股間のモノを揺らす彼の姿は滑稽だが、彼女が要求したのだ。  
 
『私の写真を撮るのだったら、君も全裸になって』  
『え?』  
『そのかわり、お姉さんが、なんでも言うこと聞いてあげる!』  
 
しかし、自ら言った事とはいえ、  
こんなに恥ずかしい写真を撮られるとは……  
彼に文句を言うと、  
「俺は別にヌードを撮るつもりは、なかったんだけど、杏子が望んでいるのなら」  
もはや呼び捨てで、  
確かに以前、エッチな芸術写真を撮って、などと言った覚えはあるが、こんなの誰にも見せられないよ〜  
「リクオ君の馬鹿ぁ! こ、こんなの望んでなんかいません」  
頬を膨らませつつ彼女は言われるままに見事な乳房を両手で救うように持ち上げてポーズを取った。  
 
「じゃぁ、次ぎは……」  
彼の指示に彼女は息を弾ませる、  
美しい乳房を、たゆんと揺らして細く壊れそうなウエストから豊かに広がる腰を捻るようにしてカウンターに坐り、  
「今度は太ももを広げて……」  
「えっ……ぁ」  
股間に向けたレンズが瞬き彼女の肌が羞恥心に赤く染まる。  
彼の指が股間に伸びて、クチャクチャいやらしく音を奏で、片手に持ったカメラのシャッターを切る。  
 
「あ、嫌ぁ、撮らないでぇ」  
しかし、恥辱に震え喘ぐ彼女の太ももは、さらに大きく開き、  
「ねぇ、ご褒美ちょうだい、はぁはぁ、も、もう恥ずかしいところ、散々撮ったでしょ?」  
彼は、ニヤと笑いカメラを置くと、彼女の股間に顔を埋めた。  
あ、違うの、本番が欲しいの……  
 
「はぁ、はぁ、んん、やぁ」  
彼の舌が中に入って慣れた舌遣いで蹂躙する。  
彼女は自分で乳房を揉みほぐしながら仰け反った。  
ああ、リクオ、君……  
「お、お願い、そんなに、あっ、あっ、あっ」  
クリを舌で……  
今日はこうしてずっと焦らされている。恥辱的な姿を撮影すると愛撫、逝きそうになると撮影、その繰り返しだ。  
 
「はぁはぁ、リクオ君……私、私……」  
彼が股間から顔を離すと息も絶え絶えに懇願する。  
「ほ、欲しいの、リクオ君の……」  
「じゃぁ、四つん這になって……」  
「え、こ、この上で……」  
「そう……」  
そ、そんな恥ずかしい格好……  
杏子は、ゴクリと息を飲み込むと、狭いカウンターの上で恐る恐ると犬のように四肢を広げ硬いカウンターの上につけて、絶妙な肉感を誇るしなやかな躯を支えた。  
 
あぁ、嫌っ!  
 
彼は下からレンズを向けて恥ずかしい姿を撮りまくる。  
後ろかも、前から横からも……  
「ひぃん……んん」  
乳房が揺れて、時おり彼の手が伸びて揉みほぐし、恥部を指で陵辱し、彼女はまた軽く逝きそうになったところで中断され、なのに猫のように背を弓なりに反らしてポーズを取ってしまう自分もまた悲しいのだ。  
 
ただ、時々、ふと思うのだ、  
彼は、この関係を本心では望んでいないのだと、  
だから……  
「杏子さん、俺のしゃぶって……」  
彼女は、彼の言いなりになっている……  
いや、違う、  
彼女はカウンターの上で器用に仰向けになる。  
もう彼の躯なしには生きていけないのだ。  
リクオが望めば、どんなにはしたなくて恥辱的なことも出来る。  
 
好き、はぁはぁ……はぁはぁ、リクオの、おちんちん……  
ああ、私は彼の虜、今は他には何もいらない。  
 
 

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