今年で小学六年生になる姉原聡史郎は、今までにない衝撃に襲われていた。  
体中――特に一部分が、異常なまでに熱を帯びてしまっている。  
そしてそこから、ちゅぷ、ちゅぷ、という水音がする。  
その度に、体に耐えがたい刺激が脊髄を這いまわりながら頭へと昇ってくるのだ。  
 
「……っく、ぅあぁっ……」  
「んっ、じゅ……ぷあ……、んふっ……」  
 
聡史郎の喘ぐ声に重なるように、もう一つの艶っぽい声が聞こえる。  
黒より少しだけ薄いショートヘア。それが、聡史郎の股間の辺りで前後に揺れている。  
ここより六年もあとの世界から来た森下こよみという名の少女、らしい。  
らしいというのは明らかに嘘っぽい説明と、自分より小さいくせに、高校生と自分の身分を偽っているからだ。  
こんな小さい高校生など、少なくとも自分は一度も会っていない。  
ましてや、いきなり人の家に侵入してきた泥棒など信用するに値しないのだ。  
たとえその少女が、自分の名前を知っていたとしても。  
 
――――――――――――――――――――  
 
そもそも始めは聡史郎がアドバンテージを取っていたのだ。  
それが、あの銀座三丁目の魔王を迎え撃つために全速力で駆けたのが運の尽き。  
あのこよみとかいう少女の肩にぶつかっていまい、盛大にこけてしまったのだ。  
それも、聡史郎がこよみを押し倒してしまう形で、だ。  
「うわわあっ!!」  
「きゃあっ!」  
床に蓄えられていた年単位の埃が舞った。  
 
「……いってて……」  
とっさにこよみを庇うことも出来ず、思いっきり床に押しつぶしてしまった。  
……起伏の小さな胸に顔を押し付けて。  
 
「う、うわ……」  
慌てて顔を離し赤面する聡史郎。幸いにも、先ほどの衝撃でこよみは気絶してしまっていた。  
 
そのまま、こよみを眺める聡史郎。知れず、喉が音を立てて唾を飲み込んだ。  
 
 
魔が差したと言ってもいいかもしれない。  
聡史郎も普通の男の子であり、自分の姉とはまた違う雰囲気を持つ、女性。  
心臓がバクバクと音を立てている。  
ゆっくりと手が小さな起伏に伸びていく。  
ふにっ、と柔らかな感触が掌に伝わった。思ったよりも、すごく柔らかかった気がした。  
 
 
次第に、胸をもむ手が強くなっていく。小さな声がこよみからも聞こえてくる。  
「うん……んんっ……っふ……」  
目を覚まさないかと一瞬ギクリとしたが、腹を括ったのか同じペースで揉みしだいていく。  
 
「はぁはぁ……うん?」  
 
ふくらみのちょうどてっぺん辺りに、周りよりも硬い感触を手が伝える。  
靄がかかったようにぼんやりする思考の中で、唐突に湧き上がる衝動。  
直に、胸を見てみたい。  
 
思ってから行動に移すのは早かった。制服のブラウスのボタンを一つ一つ丁寧に外し、徐々に露わになる形。  
ヒラヒラしたレースの付いた純白のブラジャーが目の前に現れた。  
聡史郎の体が熱を帯びて行く。喉がからからになる。それでも手は休まらない。  
ブラジャーを外そうと四苦八苦し、背中の金具を偶然にはじき、やっと胸の覆いが外れた。  
そして見える二つの小さな頂き。その頂点は赤く、プックリと膨れていた。  
(これが……女の人の……)  
 
恐る恐るといった感じで、その頂点を指が弾く。  
 
「……んっ!……くぅ……!!」  
 
(気持ちいい……のかな?)  
 
性知識の無い聡史郎にとってもその反応は手ごたえを感じるものであり、指が勝手に乳首をいじくり倒していく。  
その度にびくびくと反応するこよみの体に、聡史郎は更なる追い討ちをかける。  
 
乳首を一気に口の中へ含み、舌で舐め回す。  
 
「……あっ!んん!!……ふぁ!!…………えっ!!?」  
 
ここに至ってようやくこよみは目を覚ました。次いで、体に走る違和感に目を剥いた。  
 
「な……何してるの聡史郎く……ふぁああっ!!?」  
自分の意思に関係なく体が弾む。熱い。声が勝手に漏れる。  
 
「あっ!……くうぅ!!……ひゃうぅ!……」  
自分の口からまるで別人のような艶っぽい声が漏れる。  
胸への口での愛撫はとどまることを知らず、頭が痺れるように思考が奪われる。  
 
(あ、あたし、感じてる!聡史郎君の口で感じちゃってる!!?)  
 
自分で自覚すると今までよりも強い刺激が与えられてくる。  
ぴちゃぴちゃという水音と、こよみの喘ぎ声が部屋の中で響く。  
 
「あんっ!!……ふぅあんぅ!…………はあ、はあ……?」  
 
唐突に終わりを迎えたこよみへの愛撫。その原因たる少年は、股間の辺りを抑えてうずくまっている。  
 
「そ、聡史郎君……?」  
 
心配になるこよみの声を受けて、さらに赤面する聡史郎。  
見れば、聡史郎の股間は膨らんでぴくぴくと脈動していた。  
 
(あれが……聡史郎君の……くるしいのかな)  
思った時には体が動いていた。  
聡史郎にゆっくりと近づき、股間を抑えている手を少しずつ外していく。  
 
「なっ!……なにすんだお前!」  
 
「なにって苦しそうだから脱がせてあげようと思って……いけない?」  
 
ぐっ、とカエルをつぶしたような声が喉からしぼり出た。  
 
抵抗らしい抵抗を受けず、かちゃかちゃと音を立ててズボンのベルトを手際よく外していく。  
 
「……これが、聡史郎君、の……」  
 
聡史郎のモノは小学生らしく、成人男性に比べるとやはり小さい。  
根元にはうっすらと毛が生えているものの、皮を被ったその姿を、可愛らしいとさえ思える。  
それでも天を突くように真っ直ぐ伸びたその男根は、こよみの頭をピンク色に染めた。  
 
「……かわいい……」  
 
指先でツンツンとつつく刺激でも、聡史郎には十分らしい。  
 
「うわぁ……!くぅ……」  
僅かに苦しげに、しかし何かを耐えるようなその声音に、こよみはさらなる刺激を与える。  
 
「くぅ……!!うわあぁぁあっ!!」  
 
こよみが男根を一気に頬張り、ぎこちない動きでしごき始めたのだ。  
 
「うむぅ……はぷっ、くちゅる……ちゅぷ……」  
 
いやらしい水音が再び部屋を満たす。冬の寒さを熱気が追い返していく。  
 
そうして事は冒頭に戻るのであった。  
 
 
――――――――――――――  
 
聡史郎はすでに限界を迎えつつある。  
すべてが初めての体験であり、精通は終わっているものの、自分でいじったこともほとんどないそこは、  
こよみのつたない性技でも快楽をまっすぐ伝えてきた。  
自分でも、射精感が込み上げてくるのを止められない。目の前がチカチカしてくる。  
 
「う、うわあああぁっ!!!」  
 
雄たけびに近い声で、聡史郎はこよみの口の中へ性の猛りを注ぎ込んだ。  
 
「んんぐぅっ!!…………っふ、ん、こく、こく……えほっ」  
 
その精液をのどの奥で受け、せき込みながらも必死に飲み下そうとするが、勢いよく吐き出してしまうこよみ。  
 
「……うん、にが〜い……」  
 
こぼれた白濁液を手で受け皿を作って、溜める。  
それを、虚ろな目で眺める聡史郎。余りにも強い刺激で体が上手く動かないのだ。  
 
「ちゅっ……ずるるっ、ずずっ、んっ、んはぁ……」  
 
こぼれた精液をぺちゃくちゃといやらしい音を立てて啜るこよみの姿は、普段のぽけ〜とした雰囲気とは  
まったくちがう、淫らな女性の空気が滲みでていた。  
 
(もっと……気持ちよく……)  
 
こよみの頭は既に正常な思考を失っていた。先ほどの愛撫が未だに体中を熱く焦がし、下半身の疼きが止まらない。  
自分の秘所が濡れているのがわかる。それも、下着がびちょびちょになっているほどに。  
 
スカートを捲りあげると、太腿の辺りに一筋の水跡が残っている。  
触ってみると、少し粘ついた感触がした。  
 
聡史郎の目はその秘所へと向けられていた。また、体中が熱く滾っていく。  
血液が一か所に集まって行くのが手に取るようにわかる。硬さも申し分ない。  
 
「あ……もうなってる……ちょっと待っててね、いま、準備するから……ん」  
 
こよみはそう告げるとおもむろに下着をずり下げて行く。  
銀の糸が、パンツと秘所を繋いだ。  
そしてこよみ自身の指が、少しづつそのクレバスを丹念に探っていく。  
こよみはいまだ処女である。しかし、自分ですることも聡史郎よりは何倍もしたことがある。  
その指づかいは巧で、じっくりと感じるところを的確に探り当てる。  
 
「はぁ、はぁ……こ、これくらいでいいかな……?」  
 
洪水といっていいほどにこよみのそこは湿っていた。床に小さな水たまりができている程だ。  
 
こよみは聡史郎のモノを自分の秘所に当てると、ゆっくりと押しつけて行く。  
 
「ん……あふぁ……熱、い……」  
 
徐々に飲み込まれていく様を、若干怯えの混じった目で見続ける聡史郎。  
恍惚とした表情のこよみを止めるでもなく、ただ緊張が体を包む。  
 
そして、半ばまで入ったところ、急に抵抗が強まった。  
どうやらこよみの処女膜までたどり着いたらしい。  
 
「いくよ……こよみおねえちゃんが、気持ちよくしてあげるからね……」  
 
その抵抗を受けながらも、奥まで一気に貫いた。  
 
「あはあぁぁあんんっ!!……お、奥に……い、いた」  
 
破瓜の痛みを感じながら、絶頂寸前まで登り付いたこよみ。  
肩で息をする。繋がっていることをまさに体の中で感じ、幸福感を露わにした。  
 
そのまましばらく息を整える。その間にも、キスや胸への愛撫があり、痛みは少しづつ引いて行った。  
 
「えへへっ……聡史郎君の初めて、もらちゃった」  
 
涙を眼の端に溜め、破顔するこよみ。  
 
始めに動いたのはこよみからだった。  
 
ずっずっ、と少しづつ上下に動かし、快楽を得て行く。  
 
数度の往復を繰り返していくうちに、スピードは段々速くなり、パチュン、パチュンという音が響く。  
リズミカルに動き出す腰。快楽を生み出す魔法のような行為に、二人は徐々に溺れて行く。  
 
「あんっ、あは、聡史郎君、聡史郎君!」  
「お、……おねえちゃん、こよみおねえちゃん!!」  
 
二人は互いを呼び合い、高みへと昇って行く。  
 
脳へと電気が駆け抜ける。快楽が何倍にも膨れ上がり、絶頂へと向かっていく。  
 
 
「ふふぁん、あっ、い、いく、いっちゃう、いっちゃううぅ〜〜〜!!!!」  
「こよみおねえちゃん、なんかきちゃう、きちゃうよーーっ!!!」  
 
 
『ふぁああああああんんんんっ!!!!』  
 
達したのは二人同時。びゅるびゅると白濁液を膣内へと迸らせ、盛大にまき散らした。  
 
結合部分が外れ、中につぎ込まれた白濁液が膣外へと流れ出す。床を桃色に染めるその液体を見ながら、  
聡史郎の意識は闇の中へと落ちて行った。  
 
 
 
聡史郎が目を覚ました時、そこには大きなタライと、床に垂れていた桃色がかった液体があった。  
 
彼女の姿はすでにない。どこかに行ってしまったのかもしれないし、自分の世界へと戻ったのかもしれない。  
 
一時の魔法使いを名乗る少女に思いをはせながら、この掃除をどうしようかと考えている自分をみて思う。  
 
 
この世の中は、いかれてやがる、と。  
 
 
 
 
 
「わ!」  
 
森下こよみは頭に着けていたゴーグル型モニターを思わず落としてしまった。  
 
「……あらら」  
 
「は、……れ?」  
 
そこは美鎖がいつも仕事で使っているコンピュータールームだった。パーティーが開けそうなほど空間に導線が  
のたくり、モニターテレビがずらりと並んでいる。  
 
「どうかしたの?こよみ。ゴーグルを着けたら急に体をびくびくさせて」  
 
美鎖がこよみの顔を覗き込んでいる。  
 
「え……い、いえ、なんでも……」  
 
「どうした?なんかゴトッとかいう音がしたんだが……」  
 
ドアの隙間から聡史郎が顔を出す。それを見たとたん、こよみは急に立ち上がり、  
 
「す、すいません!ちょっとおトイレ借ります!!」  
 
こけるようなこともせず、一直線にドアを飛び出した。  
 
「……俺、なんかしたか……?」  
 
こめかみのあたりをひくつかせて尋ねる聡史郎は、小さく呟く。  
 
         ・・・  
あの時のあいつは、あいつだったのだろうか、と。  
 
 
――――――――――おわり。  
 
 

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