青い海、白い砂浜、輝く太陽  
そしてアイスを売り歩く怪しいアラブ人  
「なんでテメェがここにいるーっ!」  
小学生とは思えない跳躍力を発揮した双葉の蹴りはヒッシャムに届く事無く緑色の鞭に遮られた  
『止めんか子猿』  
「オシリスまで…」  
『おお吉永の小倅にガーゴイルか、奇遇じゃの』  
まさか海水浴に来てヒッシャム・オシリスペアに遭遇するとは思わず目を丸くする吉永家ご一行様にマイペースに  
挨拶するオシリス  
聞けば「えるされむ」の店長に頼まれ従弟が海水浴シーズンだけ営業する浜茶屋の助っ人店員をしているのだという  
「三食付くうえバイト代もいいっ!地獄にブッダとはまさにこのことッ!!」  
拳を握りしめ感動の涙を流すヒッシャム  
「海が好き」の文字がプリントされたTシャツと腹巻が異様に似合っている  
「ところでオシリスよ、そろそろ双葉を開放してはくれまいか?」  
見ればオシリスの触手に空中でキャッチされそのままぐーるぐーるされていた双葉は三半規管を程よく攪拌されたようで  
両目を渦巻きマークにしてぐったりしている  
『おお、すまんすまん』  
そんなやり取りをしている間も和己の目はオシリスに釘付けになっていた  
いつもの土色の装甲ドレスではなく明るいレモンイエローのビキニを身につけたオシリスは  
黄金率というものを具現化した完璧なプロポーションを惜しげもなく晒し男性女性を問わず周りの注目を一身に集めている  
「さ、オシリス仕事に戻りますよ。私はアイス売りを続けますからアナタは浜茶屋にお客さんを案内するのでース!」  
『うむ、任せるがよい』  
スタスタと歩み去るオシリスの背後にはオシリスのビキニ姿に魅了された男の集団がゾンビのようにつき従う  
「なんかメチャクチャ不安なんだけど…」  
明らかにBAD・ENDを予想している双葉  
「大丈夫だ、多分……」  
ガーゴイルの声にも力が無い  
そして和己はしばらく前屈みの姿勢を解くことが出来なかった  
 

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