*)このSSのオシリスは下半身も女性形という設定でお読みください
「オシリス君にメイド服っていいと思うんだけどな」
東宮天弥の何気ない一言が全ての始まりだった
最初は金持ちのクセに屋台で飲むのが好きな天弥がヒッシャムを誘って一杯やっていた
ときのたわいも無いヨタ話だったのだが
そこに北口商店街の面々が加わりいつものノリに加えアルコールでブーストされた
妄想回路が暴走した結果
翌日の午後には商店街の一角にあった空き店舗が東宮グループが100%出資した
メイド喫茶に改装されていた
簡素だがさりげなくヨーロッパ直輸入のアンティーク家具が使われた店内はシックかつ
上品な雰囲気にコーディネイトされており
19世紀の英国を舞台にした某メイド漫画そのままの雰囲気を醸し出している
極めて不機嫌なメイド二人を除いて
「僕オトコなのに…」
『言うな和己、人生とは時としてかくも理不尽なのじゃ』
どこか悟ったような口調のオシリスの声は盛大にフリルをあしらった魔改造メイド服の
大きく開いた胸元にブチ込まれた携帯電話から発せられている
ボリュウムたっぷりの二つの肉球の谷間にがっちりとホールドされたそれは忌々しげに
舌打ちしたオシリスが蓮っ葉な仕草でカウンターに飛び乗っても小揺るぎもしない
そのままカウンターに腰を降ろしすらりと伸びた両脚を組むオシリス
スツールに腰掛けカウンターに片肘をついていた和己はオシリスの形の良い太股が
目の前に突き出されたのを見て慌てて明後日の方向を向く
ちなみに和己のメイド服は首元でリボンタイをきっちりと絞めフリル控え目
オシリスの超ミニとは対照的なロングスカートという正統派ヴィクトリア調である
何故かというと
男のパンティラ見てハアハアする奴がいるかァァァァァァッ!?
いないィィィィィィィィィィィィ!!
というSS作者の独断による
いや和己タンは肌の露出が少ないほうが萌えると思うんだハアハア
そして開店
『いらっしゃいませ〜(はあと)』
『ご注文をどうぞ』
すでに商店街の面々によって情報が流されていたらしくメイド喫茶「エバーグリーン」は
開店直後から大繁盛であった
あの高飛車なオシリスが極めて露出度の高い魔改造メイド服を着て営業スマイルを
振りまきながら接客業をしている姿は普段の彼女の人となりを知っているものが見れば
日本沈没の前触れかと思うかもしれない
『ありがとうございました(はあと)』
つり銭を渡す際にたっぷりと腕にタッチされたうえチッップと称して胸の谷間に千円札
を突っ込もうとした客をなんとか笑顔であしらいきったオシリスは息つく暇も無く
テーブルで待つ客の注文を取るためレジを離れる
(オシリスよく我慢してるな…)
一緒になってテーブルを埋めた客を捌きながら和己は素直に関心する
レシートを渡すため前屈みになればすかさず周囲の客が大きく開いた胸元や
スカートの奥を狙って携帯を向けてくる
天使のような美貌とスーパーモデルも裸足で逃げ出すわがままボディを持つオシリスが
絶対領域標準装備の魔改造メイド服でウエイトレスをしていれば男としてこみあげてくる
モノがあるのはある意味必然なのだが
普段のオシリスが自分に対し無礼な行いをしたものをどんな目にあわせているかを
知っている和己としては目の前の露骨にセクハラされても笑顔を保っている
オシリスの姿は
「う〜んおっぱい〜〜〜」
と叫びながら(性的な意味で)女性を襲うガーゴイルと同じ位に有り得ない光景だった
無論ちょっとでも隙を見せればすかさず胸や脚に伸びてくる客の手をかわしながら
スマイルを絶やさないオシリスの内心は怒りのマグマが煮えたぎっているのだが
そう簡単には暴れられない事情があった
錬金術士としての実力は高原イヨにいま一歩及ばない東宮天弥だが経営者としての
したたかさは充分すぎるほど備えている
メイド喫茶「エバーグリーン」は天弥とヒッシャムが共同経営者という形をとっており
店が赤字を出した場合は二人が債務を等分して負担することになっている
もちろんヒッシャムに支払い能力など無いので実際には天弥の全額負担なのだが
そのための担保になっているのがオシリスなのだ
天弥に言葉巧みに丸め込まれ契約書をよく読まずにサインしたヒッシャムとは前日の夜に
じっくりと話し合い−主に肉体言語で−その結果ヒッシャムは一週間ほどベッドから
離れられなくなったが結局オシリスはメイド喫茶で働くことを承諾した
なんだかんだ言って主人思いの植物なのだ
そんなオシリスが客の回転も一区切りついてホッと一息つこうとしたその時
「や、やめてください!?」
悲鳴のような声に何事かと見てみれば和己が三人の男にからまれている
いかにも秋葉原の常連といった風体の男達は「こんなかわいい子が女の子のはず(以下略)」
といった趣味の方々らしく三人がかりで抱え込んだ和己の身体のあちこちにスリスリ
したりクンカクンカしたりしている
BRAM!!
小林源文風の擬音とともにオシリスの自制心が火薬カートリッジでパージされる
「いーかげんにせんかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
メイド服を引き裂いて飛び出した触手の群れから紫色の光線が奔った