: 140%"> 妖魔夜行  

「あっ……や、やめて……」  
『何度同じ事を言わせればいいんだ? 俺はお前が望む事しかしていないぞ……』  
「うっ……うそ、ちが……っ!」  
巨大な異形の影に組み敷かれ、摩耶は全身を撫で回す大きな手の感触に、必死で耐えていた。  
ここは恵比寿にある、摩耶が一人暮らしをしているアパートの一室。  
そして、摩耶に覆い被さっているのは、彼女に取り憑いた夢魔であった。  
『あの男に抱いてもらえずに、寂しかったのだろう? だから俺がこうして呼び出されたのだ』  
「ちがっ、違うっ! 流さんの誘いを断ったのは、私の方……」  
『俺に嘘は通じない。お前は本当は、あの男にこうして犯してもらいたかったのだろう……?』  
数日前、摩耶は仲間の一人である水波流とデートをし、同意の上でラブホテルに入った。  
奥手で経験の無い摩耶も、二枚目の好青年である流になら、処女を捧げてもいいと思ったのだ。  
だが、土壇場で怖気づいた摩耶は、そのまま何もせずに出てきてしまった。  
その帰り道で遭遇した事件に、流たち『うさぎの穴』のメンバーが動き、その後はまだ顔を合わせていない。  
摩耶はもやもやとした気分が晴れないまま、とうとう今夜、無意識のうちに夢魔を呼び出してしまったのだった。  
『何なら、あの男の姿と声を写して、お前を抱いてやろうか……?』  
「いやっ! そ、そんなの駄目っ!」  
にいっと口を歪めた夢魔の囁きに、摩耶はじたじたと暴れ出した。  
夢魔は摩耶の隠された欲望を忠実に読み取り、それを叶える為に出現する。  
つまり、流の姿をした夢魔に抱かれたいというのは、他ならぬ摩耶の望みでもあるのだ。  
しかし理屈では、そんな事は無意味であるだけでなく、流への想いを穢すことにもなると分かっている。  
摩耶は理性を掻き集めて、暗い獣欲の呼び声に抵抗した。  
「お願いっ……! もう、消えて……っ!」  
『くうっ! まあいい、また明日にでも来るとしよう。今度はあの男、水波流の姿でな……くっくっく……』  
摩耶が渾身の力を込めて念じると、夢魔は煙のようにその姿を消した。  
秘めた欲望の権化である夢魔は、摩耶が心の底から否定すれば、こうして消え去るのだ。  
けれど、もし欲望の方が勝っていれば、表層意識でいくら拒絶しても、夢魔は宣言通りに、摩耶を犯すであろう。  
そして摩耶は、今度迫られた時に、今のように拒否し切れるかどうか、自信が持てなかった。  
「私……。やっぱり、流さんの事が……」  
泣き出しそうな顔をしながら、摩耶は先程まで夢魔に弄られていた股間を指で拭い、目の前に持ち上げる。  
摩耶の細い指は、欲望の証にべったりと濡れ、淫靡な匂いを放っていた。  
              ◇  ◇  ◇  
「え……、デート? 今日これから?」  
「は、はい……。あの、駄目でしょうか……?」  
溜まり場である『うさぎの穴』で、摩耶からデートの誘いを受け、流は危うくグラスを取り落としそうになった。  
先日のデートの時は、引っ込み思案な摩耶を誘い出すのに、かなり手こずったのだから、無理も無い。  
しかしさすがはプレイボーイの流、一瞬で気を取り直すと、爽やかな笑顔で緊張した摩耶に応えた。  
「……摩耶ちゃんの誘いとあっちゃ、断る訳にもいかないな。どこに行きたい?」  
「あっ、そ、その、流さんの好きな処で……」  
軽く水を向けてみると、摩耶はまるで考えていなかった様子で、済まなそうにそう言う。  
(こりゃ、デートってより、何か話があるって感じだな……)  
女性経験が豊富な流は、摩耶が何か悩みを抱えていることに気付き、そっと溜息をついた。  
「じゃ、海岸沿いをドライブして、シーフードでも食べに行くかい?」  
「あっ、はい、それでいいです。済みません、突然……」  
「謝らなくっていいって。それじゃあ、早速行こうか。あんまり遅くなっても何だし」  
「は、はい……」  
少し顔を曇らせている摩耶を促し、流は『うさぎの穴』を出た。  
(やっぱ、可愛いよな……)  
エレベーターの中で黙ったまま、流は摩耶の横顔をちらりと盗み見た。  
摩耶は自分の事を、あまり魅力のない女だと思っている節があるが、流に言わせればとんでもない誤解だ。  
化粧っ気のない事と、控えめな雰囲気のせいで目立たないが、それでもダイヤの原石のような輝きがある。  
ほんの少し磨きをかけるだけで、誰もが振り返るような絶世の美女に変身するだろう。  
(おっと、いけね……)  
よこしまな思いが湧きかけて、流は慌ててそれを打ち消した。  
竜王と人間のハーフとして生まれた流は、血統的に多淫の気質を受け継いでいる。  
しかし、流が普段付き合っている女の子達と違い、摩耶はガラス細工のように脆い処のある少女だ。  
(ま、昨日の今日だし、今回は優しいお兄さん、って役回りで通すとするか……)  
ちらりと掠めた欲望を毛ほども覗かせず、流は摩耶と連れ立って、お化けワーゲンのいる駐車場へと向かった。  
              ◇  ◇  ◇  

月が中天に懸かる頃、助手席に摩耶を連れ、流は都内へと戻る道をワーゲンで走っていた。  
遊び人を自負する流が全霊を掛けて盛り上げれば、塞ぎ込みがちの摩耶をリラックスさせる事は造作も無い。  
新鮮な海産物が売りのディナーを終える頃には、摩耶の顔にも大分笑顔が戻り始めていた。  
「どう? 少しは気分が晴れたかな?」  
「ええ。流さん、今日は私のわがままで、本当に済みませ……」  
「おおっと、今日はもう謝るのは無し。俺も楽しかったんだから、ほら、笑って笑って」  
「……くすっ、はい。流さん、今日は有難うございました」  
結局、デートの間中、流は摩耶の悩みを聞き出すような事はしなかった。  
摩耶の重い口を無理に開かせるよりも、まずは彼女の鬱屈を解消する事に気を配ったのだ。  
こうして微笑む摩耶を見ていると、流は自分の考えが間違っていなかった事を確信する。  
彼女の顔に笑みを取り戻させた事で、流は胸の奥が温かくなるような満足感を覚えていた。  
「じゃあ、アパートまで送って行けばいいかな? 少し飲みたいって言うなら、雰囲気のいい店が……」  
「あっ、あの……。それよりも、流さんに聞いて欲しい事があるんですけど……」  
「……なに? 俺に出来る事なら、何でも相談に乗るよ?」  
躊躇いがちに言い募る摩耶に、流は安心させるような笑みを浮かべつつ、気軽な声を出した。  
ここまで言い辛そうにしている以上、強引に先を促すのは逆効果だ。  
しばらく黙って話の続きを待っていると、摩耶は訥々と話し始めた。  
「実は夕べ、また夢魔が出てきたんです……」  
その一言で、流は摩耶の悩みを即座に理解した。  
摩耶が主に性的な欲求不満から、無意識に夢魔を呼び出してしまう事があるのは、流も知っている。  
しかし、続く摩耶の言葉に、流はらしくもなく狼狽した。  
「それで、言ったんです……。今度は、流さんの姿を借りて、その、……してやるって」  
「お、俺っ!?」  
自分で運転していたら、間違いなくハンドル操作を誤る処であったが、ワーゲンは自分でハンドルを固定する。  
運転する振りも忘れて、流は耳まで真っ赤にしている摩耶を、呆気に取られて見詰めた。  
「……分かってるんです。あれがそんな事を言うのは、私がそう望んでいるからだって……」  
摩耶の赤裸々な告白に、流は返す言葉もない。  
「でも、初めてがそんな風なんて、絶対いやなんです!」  
「まあ、そりゃなあ……」  
摩耶が男ならそれほどでもないだろうが、女性の、しかも初めてとあっては、無理も無い意見である。  
「今度は、途中で逃げ出したりしません……。私と付き合ってくれなんて、わがままも言いません……。  
 だから、一度だけでいいですから、私と……。私を……」  
「摩耶ちゃん……」  
薄く涙さえ浮かべた摩耶の肩に、流はそっと手を乗せる。  
「……本当に、俺でいいの?」  
「はい……。私は、流さんがいいんです……」  
「……分かったよ」  
摩耶の背中を安心させるように軽く叩くと、流はハンドルを握り直し、正面に目を戻す。  
郊外の暗い道の先に、煌々と照らされた古城風の建物が浮かび上がっていた。  
              ◇  ◇  ◇  

「ふう……。摩耶ちゃん、お風呂空いたよ。……シャワー使うだろ?」  
「う、あ、は、はい……」  
腰にタオルを巻いただけの流の姿から、摩耶はどもりながら視線を逸らした。  
流の均整の取れた逞しい肉体が気になるくせに、恥ずかしくてどうしても直視できない。  
摩耶がうろたえて身を竦めていると、流は気遣わしげに声を掛けた。  
「摩耶ちゃん、まだ怖い? 俺はまた今度でも構わないよ?」  
「いっ、いえ! そんな事ないです!」  
甘えそうになる弱い心を振り払うように、摩耶は強くかぶりを振った。  
確かに流ならば、ここでまた帰ると言い出しても、笑って許してくれるだろう。  
しかしそれでは、いつまで経っても問題は解決しないし、今度こそ夢魔に処女を奪われかねない。  
「わ、私も、シャワー浴びてきます……!」  
摩耶は流の視線を避けるように、小走りに浴室へと駆け込んだ。  
(はぁ……。また流さんに、変な子だって思われちゃったかな……)  
脱衣所で服を脱ぎながら、摩耶は自分の情けなさに、このまま消え入りたいような気分になった。  
他人の視線を気にし過ぎるというのは、自分の欠点だと分かっているが、そうそう矯正できるものでもない。  
更に初めての体験を前にした摩耶は、いつにも増して混乱している。  
頭の上に髪を纏め、下着を脱ぎ捨てると、摩耶は自分の心を持て余しながら、浴室に足を踏み入れた。  
(私は、流さんが好き……。でも、流さんは私の事、どう思ってるんだろう……?)  
少し熱めのシャワーを浴びながら、摩耶は今更ながらにそんな事を考えた。  
こうして関係を結ぼうと言うのだから、憎からず思ってくれている事は間違いない。  
だが、プレイボーイの流には、他にも沢山のガールフレンドが存在する。  
流が他の女性にもこういった事をすると考えただけで、摩耶の心に醜い嫉妬の炎が灯った。  
(駄目、考えちゃ……。そんな事を考えたら、またあいつが出てきちゃう……)  
暗い思いを洗い流すように、摩耶は目を瞑って顔をシャワーの熱い飛沫に打たせた。  
摩耶の嫉妬が頂点に達すれば、夢魔はまた出現し、今度は流の周りにいる女性を無差別に襲いかねない。  
それは心優しい摩耶にとって、自分が夢魔に襲われるよりも、遥かに恐ろしい想像だった。  
(勘違いしちゃ駄目よ、摩耶。……流さんは、私を憐れんで抱いてくれるのよ。  
 私みたいな子が、流さんみたいな素敵な人と対等に付き合おうなんて……。そんな資格、ない……)  
そう何度も自分に言い聞かせると、摩耶の心がゆっくりと落ち着いて来る。  
脱衣所で水気を拭い、タオルを身体に巻き付けると、摩耶は流の待つ部屋へと戻っていった。  
              ◇  ◇  ◇  
「お待たせしました……」  
そう言ってベッドルームに戻って来た摩耶の姿を一目見て、流は思わず絶句した。  
白磁の肌はほんのりと桜色に色付き、清純な色香とでも言うべき雰囲気を漂わせている。  
流とて、伊達に数々の浮名を流して来た訳ではない。  
客観的に見て摩耶よりも美しい、誰もが絶世の美女と認めるような女性とも寝た事がある。  
しかし、恥らいの表情を浮かべた摩耶に、流はかつて無い胸の高まりを覚えていた。  
「あの……。どうかしましたか?」  
「あ? ああ、いや、何でもない……」  
おずおずと近づいてくる摩耶に、流はようやく声を取り戻した。  

部屋の照明を薄暗い程度まで落とすと、摩耶の肩を抱いて促し、ベッドの端に自分と並んで座らせる。  
摩耶の肢体から、ボディソープの香りに混じり、えも言われぬ芳しい肌の匂いがする。  
「摩耶ちゃん……」  
「あ……、んっ……」  
流が片手で顎を軽く持ち上げると、摩耶は一瞬戸惑った顔をしてから、静かに目を閉じる。  
柔らかな唇についばむようなキスを送ると、胸元を押さえていた摩耶の小指がピクンと跳ね上がった。  
「見ても、いいかい?」  
「…………」  
静かに押し倒しながら、流がそっと身体を覆うタオルに手を掛けると、摩耶は無言のまま、コクリと頷いた。  
ぎゅっとシーツを握り締めて、恥ずかしさに耐える摩耶の身体から、流は余計な物を取り払う。  
初めて会った時にはまだ幼さを残していた摩耶の肢体は、すっかり女らしい曲線を完成させていた。  
「……わ、私の身体、おかしくないですか?」  
「え? いや、すごく綺麗だよ、摩耶ちゃん」  
たおやかな白百合のような美しさに一瞬我を忘れていた流は、摩耶の問い掛けに半ば無意識で答えた。  
「有難うございます。嘘でも、そう言って貰えると嬉しいです……」  
(嘘でもお世辞でもないんだけどな……)  
リップサービスとして、相手の女性を褒める事は忘れない性質の流だが、今の言葉は掛け値なしの本心だ。  
初めて女性と寝た時よりも高鳴っている自分の心臓に、流は不思議な感慨を覚えていた。  
「摩耶ちゃん、もう少し自信を持った方がいいよ。君は、本当に魅力的だ……」  
「そんな……んっ! ん……ふぁ……」  
摩耶の瞳を覗き込みながら、流は深く唇を重ね、舌先を口腔に侵入させた。  
緊張していた摩耶も、やがて身を任せるように脱力し、おずおずと舌を伸ばす。  
流の舌が摩耶のそれを絡め、しごき立てるように蠢く。  
唾液の糸を引きながら流が顔を離すと、摩耶はぽうっとした表情で熱い吐息を漏らした。  
「流さん、すごい……。私、こんなの、初めて……」  
「うっ……く……」  
摩耶の甘い声に、流はすぐさま挿入したいという欲望に駆られた。  
股間のモノはすでに硬く張り詰め、快楽を求めて激しく脈打っている。  
だが、処女の相手をする時には、よほど馴らしてからでないと、痛がるだけだと分かっている。  
暴走しそうな欲求を何とか押さえ込み、流は柔らかそうな双丘に手を伸ばした。  
              ◇  ◇  ◇  
「んあっ! あ、りゅ、流さん……」  
胸に軽く手を重ねられただけで、摩耶の背筋に痺れるような快楽が走った。  
夢魔に何度も蹂躙されて、その程度の刺激は慣れているはずなのに、今までに感じた事のない感覚が沸き起こる。  
羽毛のように優しく軽やかな指使いに、摩耶の理性は掻き乱されていった。  
「摩耶ちゃん……、すごく可愛いよ……」  
「うそ、嘘ですっ……。わた、私なんか……んんっ!」  
「嘘なもんか……。ここも、食べちゃいたいくらい……」  
「うっ、ふぅんっ!」  
流はそう囁くと、摩耶の胸の頂点を、そっと口に含んだ。  
温かく湿った舌の腹で、摩耶の敏感な突起がころころと転がされる。  
その間も、流の両手は二つの膨らみをくにくにと弄び、時にするりと脇腹を撫でる。  
くすぐったいような、それでいて胸が熱くなるような流の愛撫に、摩耶は耐え難い愛しさを感じていた。  
「あっ……。そんな、優しくしないで下さい……」  
「……どうして?」  
「そんなに優しくされたら……。流さんの事、ますます好きになってしまいそうで……」  
愛するが故に、深入りしてはいけないと思い詰める摩耶の心は、哀しみに溢れていた。  
本心を言えば、流には自分だけを見ていてもらいたい。  
けれど、流が一人の女に縛られるような男ではない事も、充分に分かっている。  
一度は思い切った筈なのに、相反する理性と感情に、摩耶の小さな胸の内は張り裂けんばかりであった。  
「……前にも言ってたよね? 摩耶ちゃん以外の女の子と付き合わないって、約束できるかって」  
「あ……、それは、もういいんです……」  
「あれから俺、無い知恵絞って、ずっと考えてたんだ……」  
「……え?」  
真剣な目をして告げる流に、摩耶は訝しげな視線を向けた。  
「今までが今までだから、絶対なんて約束できないし、他の女の子に気を取られる事もあると思う。  
 でも、摩耶ちゃんの事を考えると、他の娘とは違う気持ちになるのも確かなんだ。  
 ……たぶん俺、摩耶ちゃんの事、本気で好きになったんだと思う」  
「う……うそ……」  
思い掛けない台詞に、摩耶の目が大きく見開かれる。  
「君の事は大事にしたいし、悲しませるような事もしたくない。  
 だから俺も出来るだけ、他の子を見たり、声を掛けたりしないように……努力はする。  
 今の所はこれぐらいしか約束できないけど……。それで許してくれないかな?」  
「流さん……」  
自分の事を思いやってくれる流の言葉に、摩耶の視界が喜びの涙で滲んだ。  
「もちろん、俺が浮気をしたら、我慢なんかしないで、俺の事を怒ってくれていい。  
 俺なら、夢魔に2・3発殴られても、死んだりする心配は無いからね。  
 ……あ、でも、できれば少しは手加減して欲しいかな?」  
「流さん……っ!」  
冗談めかして微笑む流に抱きつき、摩耶は子供のように泣きじゃくった。  
この人なら、自分の醜い部分も許して、優しく包み込んでくれる。自分を偽る必要もない。  
「大好き……っ! 私、流さんの事、死にたいぐらいに好きっ……!」  
「俺も、摩耶ちゃんの事が、一番好きだよ……」  
世界が変わるような幸福感と開放感が、摩耶の胸を満たす。  
やっと見つけた自分の居場所に、摩耶は決して放さないとばかりに、強く縋りついた。  
              ◇  ◇  ◇  
「あっ……ん、くっ……。流さん……もっと触って……」  
心を開いた摩耶は、もはや躊躇う事もなく、流の愛撫を素直に受け入れた。  
聖女のような微笑みを浮かべながら、流の頭をあやすように撫で、更なる刺激を求める。  
脳髄に響く可憐な声に導かれ、流は持てる性技の全てを掛けて、摩耶の身体を攻略していった。  
「摩耶ちゃん……いい匂いがする……。俺、おかしくなりそうだよ……」  
「わっ、私も……っ、流さんに触られ……てるとっ、んくっ、くらくらしてっ……!」  
流の動きの一つ一つに、摩耶は敏感に反応し、妖しく肢体をくねらせる。  
柔らかな身体は上気して熱を帯び、肌理の細かい肌が吸い付くような感触を手の平に返す。  
流はそろそろと舌で胴を伝い、淡い下草を掻き分けて、乙女の秘裂に視線を落とす。  
ぴったりと閉じた薄桃色の割れ目からは、透明な雫が溢れ出していた。  
「ここも可愛いんだね……。それに、こんなに感じて……」  
「だ、だって、流さんが触れているから……。恥ずかしいから、あんまり見ないで下さい……」  
口ではそう言いつつも、摩耶は足を閉じるでもなく、ただ流の視線に耐えている。  
見られた事で興奮を深めたのか、男を知らない秘唇がわななき、新たな雫が零れかける。  
その雫に誘われたように流は舌を伸ばすと、シーツに落ちる前にそっと掬い取る。  
その途端、摩耶の全身がビクンと大きく跳ね上がった。  
「ひんっ!? や、流さん、そんなとこ舐めちゃ……きたな……んんんっ!」  
「んん……汚くなんかないさ……。摩耶ちゃんの身体は、どこもみんな綺麗だよ……んっ、ちゅ……」  
「うっ……うそ、だめぇっ……!」  
下の唇に軽く吸い付くと、摩耶はぎゅっと目を閉じて、快楽に身体を震わせた。  
流はまだ硬い秘肉を解きほぐすように、縦筋を何度も上下に舐め、唾液で濡らしていく。  
蕾のような花弁は次第に綻び始め、ぬめりのある蜜がじわじわと染み出てくる。  
甘くしょっぱい摩耶の味を堪能しながら、流は少しずつ奥の方へと舌を進めていった。  
「摩耶ちゃん……。摩耶ちゃんのここ、もっと良く見せて……?」  
「あっ! そんな、開いたら……駄目ですっ……!」  
花弁の両脇に指を当て、ぱくっと軽く開かせると、摩耶は悶えながら、羞恥に染まった声を上げた。  
流の目に、ひくひくと震える肉襞の連なりと、包皮から顔を覗かせた小さな肉芽が露わになる。  
そこを隠そうとする摩耶の手を優しく振り払うと、流は誘うように隆起した突起を、くりっと舌で転がした。  
「……っ! だ、だめ……! そこ、だめなんで……すっ!」  
「……どうして? ここをこうされるのは、キライ?」  
「そっ……じゃ、なくてっ……! そこ、感じすぎちゃ……ああっ、だめぇ!」  
「んっ、ん……。いいんだよ、感じても……。その方が、俺も嬉しいんだから……んんっ、ちゅっ……」  
空いた片手で内股を撫でながら、流は肉芽を重点的に責め、摩耶の官能を引き出しにかかった。  
唇でこりこりと咥え、先端をちろちろと舌先で嬲り、舌の腹でずるりと舐め上げる。  
開かせている指で花弁の淵をくすぐり、時折り親指を入り口の下端で細かく震わせる。  
度重なる刺激に、摩耶の身体はすっかり準備を終え、零れた蜜が流の手首まで濡らしていった。  
「流さん、だめ……、それ以上されたら……。お願いですから、もう、して下さい……」  
「あっ……ああ、ごめん。つい夢中になって……」  
切なげな摩耶の呟きに、ようやく我に返った流は顔を上げた。  
少し冷静になって見れば、摩耶はもう、達する寸前まで追い込まれている。  
相手の状態も分からないほど没頭するなど、ここしばらく無かったことだ。  
枕の下に忍ばせてあるコンドームを取り出すと、慣れた手つきで滾り立った怒張に被せる。  
じっとその様子を窺う摩耶の視線に、流はらしくもなく気恥ずかしさを感じた。  
「えっと、じゃあ、ちょっと痛いと思うけど……、その、するよ?」  
「はい……。流さんのなら、どんなに痛くても、私、平気です」  
そう言ってにっこりと微笑む摩耶に、流の心臓が早鐘のように激しく鳴り響く。  
(こりゃ、本気でいかれちまったかな……)  
流は摩耶の身体に覆い被さり、そっと腰を進めていった。  
              ◇  ◇  ◇  
(あっ……く、流さんのが……入って……くる……)  
熱い肉塊が秘裂を割って入り、摩耶の股間にちりっと痛みが走った。  
いかに濡れているとは言え、乙女の証を破られ、指も届かない奥へ受け入れるのは、それなりの痛みを伴う。  
しかし、今の摩耶にとっては、その痛みさえ愛しく感じられた。  
「んっ……はぁ。摩耶ちゃん……辛くない?」  
「いえ、ちょっとだけ、痛いけど……。でも、すごく幸せです……」  
根元まで流のモノを中に迎え入れた摩耶は、間近にある愛しい男の頬を、確かめるように撫でる。  
(夢じゃないんだ……。本当に、流さんと……)  
自分の中で強く脈打つ強張りから、流の思いが伝わってくる気がして、摩耶の胸が温かくなる。  
しばらくその感覚に酔いしれていた摩耶は、流が一向に動かない事に気付き、小さく囁いた。  
「あの……流さん? その……動いても、いいですよ?」  
「ん、ああ……。何かこうしてると、摩耶ちゃんの気持ちが伝わってくるような気がしてさ……」  
「え……? 流さん、も?」  
相手も自分と同じように感じてくれているという事実に、摩耶は肉体的な快楽を超える、心の充足を覚える。  
流に対する想いが膨らむと同時に、摩耶の秘肉がきゅんっ、と自然に締まった。  
「私も……こうしてると、流さんの想いが、……温もりが伝わってきます」  
鈍い痛みが次第に引いていき、ただ愛する者と一つになった悦びが、摩耶の脳裏を支配する。  
「動いて下さい……。私、流さんを、もっと感じたい……」  
「……じゃあ、動くよ。でも、痛かったら言うんだよ」  
「はい、流さん……んっ、ん……」  
摩耶が再度促すと、流は静々と腰を動かし始めた。  
大きく張った傘の部分が、細かい襞の一つ一つを擦り、外側に内側に、撫で付けるように刺激する。  
流は自分の快楽を二の次にして、摩耶の反応を伺いながら、負担を掛けないよう緩やかに動く。  
暫くそれを続けられるうちに、摩耶は甘い疼くような感覚を覚え始めた。  
「はんっ……く、りゅ……さん、わたし……おかし……っ、初めて、なのにっ……」  
「……摩耶ちゃん?」  
初めての時は、痛いだけの筈だと思い込んでいた摩耶は、自分の早すぎる変化に戸惑いを隠せなかった。  
けれど、摩耶の秘洞は時を追うごとにぬめりを増し、流の剛直に絡みつく。  
火が着いたように熱くなっていく下腹部の反応に、摩耶は唇を噛んで抵抗した。  
「私……こんな……。やっぱり私、エッチな子なんでしょうか……?」  
不安そうに呟く摩耶の髪をそっと撫で、流は諭すように耳元で囁く。  
「そんな事ないよ……。それだけ、俺が摩耶ちゃんのことを好きだってことさ……」  
「……そう、なんですか?」  
経験のない摩耶には、流の言葉の真偽は分からない。  
だが、もしもそうであるなら、摩耶にとってこれほど嬉しい事は無かった。  
「じゃなければ、摩耶ちゃんが俺のことを、それだけ好きだってことかな?」  
「もう……。いじわるです、流さん……ん、あっ!」  
摩耶が少し拗ねてみせると、流は再びゆっくりと内奥を突き始める。  
目覚め始めた女の悦びに、摩耶の唇は鼻に掛かった喘ぎを紡ぎ出していった。  
              ◇  ◇  ◇  
「ん……んあっ! 流さん……、もっと、そばに来て……っ!」  
(何て言うか……。初めてだな、こんな気分になるの……)  
摩耶の腕に抱き寄せられながら、流は内心、戸惑いを感じていた。  
確かに流は数多くの女性と交わってきたし、女性の魅力には人一倍弱い性癖がある。  
しかしそのスタンスは、あくまで「抱きたい」という能動的な情動に限られていた。  
なのに、摩耶に対しては、何故か「抱かれたい」という甘えにも似た感情が湧き上がるのだ。  
「摩耶ちゃん……、もっと、抱き締めてくれるかい……?」  
「はいっ……! 流さん……流さん……っ!」  
背中に回された摩耶の小さな手が、信じられない程の安らぎを流に与えた。  
華奢な肢体を胸の中に抱き締めながらも、逆に自分の方が摩耶に縋りついているかのような錯覚を覚える。  
欲望に押されて徐々に動きを速めても、摩耶の中は流の剛直を優しく受け止めていった。  
「流さ……っ、すごい、流さんのがっ、私の、中でっ……!」  
「くっ、うっ、摩耶ちゃん……!」  
身体が合う、とでも言うのか、摩耶の秘肉はぴったりと流の怒張に吸い付き、未知の快楽を呼び覚ました。  
ゴム越しであるにも係わらず、まるで互いの秘部が蕩け、混じり合うような一体感さえ感じる。  
初めから一対で作られた剣と鞘のごとく、摩耶の秘洞は流の怒張を余す所なく包み込んでいた。  
(お袋と出会った時の親父も、こんな気分だったのかな……)  
摩耶の心地良い締め付けを感じながら、流はふとそんな事を考えた。  
半妖の自分と比べれば、遥かにか弱く、繊細な存在。  
けれど、そんな自分の全てを賭けても惜しくないほど、愛しく、大事な存在。  
誰にも渡したくない。何者にも傷付けさせはしない。  
情欲も保護欲も独占欲も、全てを含んだ上で超越した、ただ一つだけの大いなる愛情が、胸の内に現れる。  
それを少しでも伝えたくて、流はより深く、そして力強く、摩耶の中に己の分身を沈めた。  
「んくっ……、流さ……っ! もっと……もっと強く……離さないで……っ!」  
「……ああっ、離すもんか……! お前が……お前だけがっ……!」  
きつく抱き合いながら、流は激しく腰を突き上げて、最後の高まりを求めた。  
摩耶も長い黒髪を振り乱しながら、ぎこちなく腰を合わせ、流を絶頂へと誘う。  
「あ……あぁ……んっ、なに……なにか……くるっ……!」  
「摩耶……っ、俺も、もうっ……!」  
技巧も何もなく、ただ心の求めるままに、流は愛する女の中を行き来する。  
摩耶も始めて到達し、更に上り詰める高みに、白い裸身をくねらせ、高らかな喘ぎ声を上げる。  
二人の意識は混じり合い、どちらがどちらを抱きしめているのかさえ、分からなくなる。  
「流さ……くうっ、あぁっ!? ……あ、はぁっ……」  
「ううっ!! ……あ、摩耶……」  
びびっ、と摩耶が一際強く痙攣すると同時に、流の先端から熱い迸りが飛び出す。  
そのまま崩れ落ちそうになる摩耶の身体を抱き止めると、流は彼女をそっとベッドに横たえた。  
              ◇  ◇  ◇  
「……はぁ、何だか、まだふわふわしてます……」  
流に腕枕をされた摩耶は、薄く目を開けると、夢見心地でそっと呟いた。  
芯が蕩けてしまったように力が入らない身体で、流の身体に寄り添い、彼の顔を見上げる。  
流は摩耶を見詰めたまま、彼女の髪をもてあそぶように梳いていた。  
「あの、流さん。さっきの約束、信じてもいいんですよね……?」  
摩耶は縋るような目つきで、間近にある流の瞳を覗き込んだ。  
「……さっきの、って?」  
「だから、あの……。私の見てる時は、他の女の人とは、あんまり……」  
「ああ。そんなにすぐには変われないだろうけど、約束は守るよ」  
そう言いながら優しく頭を撫でる大きな手の感触に、摩耶は包み込まれるような安心感を覚える。  
「それと、もう一つお願いが……」  
「……なに?」  
それを言うのは、摩耶にとって非常に勇気のいる行為であったが、思い切って告げる。  
「また夢魔が出ないように……、えっと、時々でいいですから、その……してくれますか?」  
「……ぷっ」  
「ひっ、ひどいです、流さん! 私、真剣に言ってるんですよ!?」  
堪らず噴き出した流に、摩耶は真っ赤になって訴えた。  
しばらく笑っていた流は、いたずらっ子のような表情を浮かべ、摩耶の耳元に囁く。  
「くくっ、まったく……。いいけど、俺からも一つ、お願いしてもいい?」  
「なっ、何ですか……? 私に出来る事なら……」  
「流『さん』は、もう止めて欲しいな、摩耶」  
「え……、あ……!」  
流に呼び捨てにされている事に気付き、摩耶は喜びと驚きに、大きく目を見開いた。  
以前、かなたにも言われた言葉だが、意味する所はかなり違っている。  
その意味がゆっくりと胸に染み込むにつれ、驚きの表情がゆっくりと柔らかな微笑みへと変わっていく。  
「分かったわ、流……」  
万感の想いを込めて呼びかけると、流は少し照れた様子で目線を外し、口の中で小さく何かを呟いた。  
「……今、何か言いました?」  
「え、あ、いや、特に意味のある言葉は……」  
輝くような笑顔の摩耶に問い詰められると、流は更にそっぽを向き、気まずげに鼻の頭を掻く。  
先程まで流が圧倒していた二人の力関係が、いつの間にか逆転している。  
「ふふっ、うそつき。ちゃんと聞いちゃいましたからね、今のも約束のうちです」  
「ええっ!? ちょっと待った、今のナシ!」  
「もう駄目ですっ。……約束は破っちゃダメよ、流?」  
流の胸に顔をすり寄せながら、摩耶は洩れ聞こえてしまった先程の言葉を、至福感に浸って何度も反芻した。  

『こりゃ、プレイボーイも廃業かな……』  

〜END〜  

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