「かあさま。今までお世話になりました。  
 お月の分まで達者でお暮らしください」  
辞世の挨拶を述べお月は深々と頭を下げた。  
島の生け贄として蛇神様にささげられる事が決まってから 
十度目の朝。  
ついに来た別れの日。  
不思議とお月の心は落ち着いていた。  
死ぬのが怖くないわけではない、ただ覚悟を決めた。  
お月が生け贄に決まってから母親はしきりに逃げろと言ってくれた。  
だが、自分が逃げれば残された母はもう島には住めないだろう。  
生まれた頃から病弱で母親には迷惑をかけっぱなしだった。  
女手一つで育ててくれた母にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。  
その思いが彼女の心肝を染めていた。  
明日には散る自分の命よりも  
母親の明日からの暮らしが気掛かりであった。  
涙で埋もれてしまうのではないかと思うほど彼女の母は痛嘆した。  
畑にもいかず一日中お月と一緒にいてくれた。  
二人でお風呂に入るのは照れくさく  
同じ布団で眠るのはとても暖かかった。  
懐旧の情を振り払い頭をあげると母は笑顔で泣いていた。  
閉じかけたまぶたは震え端を上げた口はひきつって  
声をあげる事すら出来ていなかった。  
せめて笑顔で送り出そうと試みた母心がお月の胸に染みた。  
 
外にでるとすでに島の長と五、六人の男衆が御輿と共に待っていた。  
御輿といっても半畳程の板に  
棒が四本くっついているだけの簡素な物だ。  
お月を見ると長と男衆は地に座り拝礼した。  
彼等のそばを通り御輿の前まで来ると男衆が御輿をかつぐ。  
膝ほどの高さに上げられるとお月は御輿に乗り正座した。  
「かあさま、お元気で」  
努めて平静に振舞い言葉を振り絞る。  
お月の言葉を合図に男衆は御輿を肩までかつぐと歩き出した。  
「お月っ!!お月ーっ!!!」  
叫びながら御輿を追おうとする母を残った男衆が力づくで止める。  
例え生け贄の家族であろうとついていくのは許されない。  
そのしきたりは娘の為か親の為かはわからないが。  
羽交い絞めにされても、しばらくもがいていたが  
お月の姿が見えなくなると母親は崩れ落ちた。  
「すまんが島の為、諦めてくれ」  
生け贄にお月が決まったとき島長はそういった。  
だが、子の命を諦められる親などいはしない。  
 
御輿の上からの風景に飽くと様々な事が思い出された。  
母が畑を耕すのを一日見ていて熱をだし一晩中看病してもらった事、  
わらじを編んだらとっても喜んでくれた事、  
初めて粥を作った日の嬉しそうな顔、  
学び屋でいじめられた日お手玉をしてくれた事、  
歌ってくれた子守り歌、聞かせてくれたおとぎ話。  
思い出されるのは母の事ばかり。  
今朝、白装束に着替える時抱きしめてくれた事を思い出すと  
母の匂いが鮮明に浮かび上がってきた。  
(かあさま・・。かあさま、私こわい、こわいよ)  
ずっと抑えてきた生への執着が今になって蘇る。  
それをさらに押さえ込んだ。  
死の恐怖も生への渇望も母への思いには及ばない。  
逃げ出したい衝動を必死に押さえ込んでいると  
蛇神の社に臨む崖についた。  
その崖から洞穴のある小島が見下ろせる。  
そこに蛇神様が住んでいるとされており、  
小島と崖の間にある海の渦に十年に一度  
生け贄として若い娘を放りこむのがこの島のならわしなのだ。  
崖のふちに立った長の前に御輿が下ろされた。  
長の口から祝詞があげられはじめた。  
次に御輿があがる時、お月は海に放り投げられるのだ。  
 
 
いつごろであったろうか。  
まだこの地が出雲と呼ばれていた頃、ふたつの大きな戦があった。  
だが、それを両方知る人間はいない。  
ひとつは人間の戦ではなかったからだ。  
妖怪。  
そう呼ばれる存在たちの戦さだったのだ。  
彼等にはそれほどの間ではなかったが  
その戦が終わる頃には人間たちの間では年号が二度変わり  
戦国時代が終わりを告げていた。  
その間、彼はどちらの戦にも関わらずほとんどを寝てすごした。  
酒が供えられた時だけ起きて酒を舐め  
無くなるとまた寝るのである。  
戦が終わってもその生活に変化は無かった。  
その日もいつものように社で寝ていた。  
社といっても自然にできた洞に彼が住み着いたので  
人間がそう呼ぶようになっただけだが。  
夢うつつの中、彼の耳に祝詞が聞こえてきた。  
その声に何か引っかかるものを覚え、ふと目を覚ます。  
(なんじゃったかな・・)  
しばらく目を開けたまま動かなかった大蛇が  
突然、弾けるように飛び出した。  
(しもうた!!わすれちょった!)  
 
洞を飛び出しながら大蛇は先日の訪問者を思い出していた。  
まるで人間の女性のような姿をして洞の入り口に立っていた。  
ずぶぬれの女は静かに話し始めた。  
『母親が嘆いているわ。  
 父親をなくして女手一つで育ててきた娘、  
 その子が幸せになることだけにすべてをそそいできた娘が、  
 村のために我が手から失われる事を・・・・  
 わたしには、彼女を見捨てることはでないの』  
切願する彼女に、彼は生け贄を止めさせることを誓った。  
濡れ女の言葉には深い哀しみと憤りがこめられていた。  
濡れ女の殺気に怯えたわけではない。  
ただ、彼女の心に動かされたのだ。  
しかし、生来の怠け癖のせいで忘れてしまっていた。  
必死で泳ぐが、渦のせいで思うように進まず蛇の顔に焦りがうかぶ。  
もうすぐで島の崖に到達するというところで悲鳴が聞こえた。  
慌てて波間から顔を出すと娘が降ってきた。  
瞬時に長い体を近くの岩に巻き付け首を伸ばし頭を海面に滑らせる。  
(間に合えよ・・・!)  
娘が頭から勢いよく落下してくる。  
まさに海面に衝突しようとする瞬間、娘の体を蛇が横からかっさらった。  
間一髪で助ける事ができ蛇はほっと一息ついた。  
(・・しかし、どうしたもんかな・・)  
落下の恐怖で気を失った娘をくわえたまま彼は少し思案したが  
他の方法が思いつかず海に潜った。  
娘を岩に当てぬように気を使いながら泳いで社に帰った。  
 
彼にはさっき飛び出してから百年はたったように感じていた。  
なにしろ、慌てたのも焦ったのも気を使って泳いだのも初めてだ。  
洞の奥まで行くと動かない娘を地に下ろした。  
海水で濡れた娘の胸に顔を近づけると心音と呼吸音が聞こえた。  
蛇は胸を撫で下ろし、ため息をつく。  
しばらく見ていると娘のまぶたがゆっくりと開いた。  
「・・・・・・っ・・やぁっーー!!!!」  
つんざくような悲鳴が暗い洞に響き渡る。  
娘は悲鳴をあげると座ったまま壁に背中をおしつけている。  
蛇は悲鳴に驚き目を見開いて少しあとずさった。  
「嬢ちゃん、すごい声だすのう。びっくりしたわぃ・・・」  
ようやく落ち着いて蛇がつぶやく。  
「しゃ、しゃべった・・!」  
「ん?どした?びっくりしたんか?」  
蛇の声はのん気な調子だ。  
「は、はい・・」  
お月は少し落ち着いてくると蛇の姿をまじまじと見た。  
とぐろを巻いているので正確にはわからないが十尺はゆうにあるだろう。  
幅は自分よりも太く、体を覆ううろこは深緑にキラキラ輝いている。  
深緑の鱗と白い腹で構成された体は  
蛇神と呼ばれるだけの神々しい威容を誇っていた。  
大きい口は自分ぐらい一飲みだろう。  
「わ、私を食べるんですよね・・。  
 あの、できれば痛くないようにして下さい」  
自らの使命を思い出し覚悟を決めてお月は目を閉じた。  
「やめんかい。わしゃ人間など食べやせん」  
蛇の意外な言葉に驚いて目を開ける。  
「そ、そうなんですか」  
「そうじゃ」  
そういって蛇がにっこりと笑った。  
 
蛇の笑顔というのは不思議な光景であったが  
その意外と愛嬌のある姿にお月の心は和んだ。  
人を食べない事を信じさせる笑顔だった。  
よくみればあまり普通の蛇のような顔ではない。  
蛙っぽくもあり、哺乳類的でもあるような、表情豊かで  
愛らしいとすらいえるようなはっきりとした顔だちだ。  
「おおそういえば・・」  
そういって大蛇が突然、宙に舞った。  
きらきらと虹色に透き通る皮を残して姿を消す。  
変わりに現れたのは人間のおじさんだった。  
「人間に化けれるのをわすれちょった」  
明るく笑う中年は、髪はボサボサでひげボーボーだ。  
だが、不思議と不潔な感じは無い。  
手入れをすればなかなか整った顔のようでもある。  
「うわっ・・は、はだかですよ」  
お月は顔を赤くして手で顔を隠した。  
男性のはだかを見るのは初めてだったのだ。  
変身したことは喋ったことに比べれば大した事じゃないらしい。  
それより恥じらいの方が先にきている。  
心が余裕を取り戻したからかもしれない。  
「お、こっちがよかったか?」  
おじさんはそう言ってまた蛇の姿に戻った。  
「ぷっ・」  
のんきな声にお月は思わず笑った。  
「あははっ」  
何故か笑いが止まらない。  
笑いながら自分が長い間笑ってなかったことに気付いた。  
お月の笑いが止まるまで蛇は不思議そうな顔をして見ていた。  
 
お月は息を整え目じりの涙をぬぐう。  
「ありがとうございます」  
そう頭を下げるお月に蛇が聞き返す。  
「なんじゃ?」  
「食べないでくれて」  
微笑を浮かべたお月に蛇は明るく笑い返した。  
「おんし名はなんちゅうのかい?」  
「あ、お月っていいます」  
「月ちゃんか。ええ名前じゃな」  
蛇はニッと口の端を上げた。  
「月ちゃんみたいな可愛い娘いじめたらバチあたるわい」  
お月の頬がほのかに赤くなった。  
可愛いなど母以外からは初めて言われる言葉だった。  
それはただ単にお月が滅多に外にでらず  
男と知り合った事がないからで、顔立ちは美しかったのだが。  
しかし、お月は体が年の割に小さく華奢で肌も透き通るように白かった。  
それは、頑丈な嫁が良い嫁である農村では決して誉め言葉ではない。  
現にお月は十四歳と適齢期なのに嫁の貰い手などいないかった。  
その自分に可愛いと言ってくれた事が、  
例え相手は蛇だとしても嬉しかった。  
「へびさんのおなま・・ぁっ」  
クシッと小さくくしゃみして鼻をすする。  
「だいじょぶかい?」  
言葉がとぎれたお月を蛇が心配そうに覗き込む。  
「はい、だいじょ・っ・」  
返事をしようとしてまたくしゃみをする。  
「服ぬぎな?」  
そう言う蛇は本当に心配しているように見える。  
確かに海水でびしょびしょの服は脱いだ方がいいとは思う。  
しかし・・・  
 
お月にはもう目の前にいるのが蛇には見えなかった。  
一度、男の姿になった事もあるし喋るし笑う姿はわりと可愛いかった。  
ただ、服を脱がないと風邪をひくだろうとも思う。  
しばらく葛藤した後ちらりと蛇を見る。  
まさか、いやらしい事を考えているとは思えず決心がついた。  
お月は知らなかったのだ。  
男妖怪というのが大抵の場合、好色だという事を。  
ご多分に漏れず目の前の妖怪も好色である事を。  
せっかく命が助かったのに病気にかかるわけにはいかない。  
そう思い、お月は羞恥心を抑え白装束を脱ぎ始めた。  
その間、蛇はただ眺めていた。  
お月が一糸まとわぬ姿になると蛇が素早く巻き付いてきた。  
「わっわっ」  
あっという間にお月の全身に絡みつき蛇の顔がお月の顔のそばに来る。  
蛇の体は見た目とは裏腹にふわふわと柔らかく人肌のように暖かい。  
蛇がそのように体を変化させているのだ。  
「嫌か?」  
蛇はお月の顔を見ながら尋ねてきた。  
「え?」  
「蛇が嫌いだったりせんか?」  
再度優しく尋ねてくる。  
「う、うん。大丈夫です。あったかいもん・・」  
お月が赤い顔でそういうと蛇は嬉しそうに目を細め  
チロチロと細く赤い舌をだした。  
凍えた体に蛇の暖かさが染みとおってくる。  
ぐるぐるに巻きつかれたまま抵抗もせず身を任せた。  
優しく締め付けたまま、蛇はお月の体を少しだけ浮かせる。  
先の割れた蛇の舌がお月のほほを舐め始めた。  
 
どうやら海水を舐め取ってくれているようで  
舌の通った所からべたべたが消えていく。  
顔を舐め終わると舌はそのまま首に降りてくる。  
「ひぁ!?」  
お月の悲鳴にかまわず蛇の舌は動きつづける。  
二人が形づくる円筒からはみ出したお月の腕を舐め終わると  
お月の胸に蛇の頭が近づいた。  
巻きつけていた胴を緩め、締める場所をずらすと胸が露わになる。  
ほのかにふくらんだ乳房に舌が伸びるとお月の体がピクリと動く。  
それから、ゆっくりとふくらみの頂点にある薄桃色の突起に舌が伸びる。  
「はぁっ・・だめ・・やめて・・」  
お月の声に蛇は動きを止め、頭をもたげ首をかしげる。  
(へびさんは親切でやってくれてるのに・・)  
不思議そうに見つめてくる蛇の目を見ると  
まさかいやらしい事を考えているようには思えない。  
むしろ過剰に反応する自分の方がいやらしいように思えてくる。  
「ううん・・なんでもない・・」  
お月がちいさく首を振ると蛇の舌が固くなった乳頭に絡む。  
「やっ・・あっ・・・んん」  
長い舌が巻きつき先端を舐める。  
執拗に責められお月の露のような声が甘く変化してくる。  
お月の息にせつない響きが混じる頃ようやく胸を解放し  
細く真っ白なおなかを舐める。  
そして、まだ稚い局部に舌は伸びていった。  
「ゃんっ!」  
生え揃ってない繊毛に包まれた割れ目を舌がなぞっていく。  
お月は舌から逃れるため、お尻を引こうとしたが  
宙に浮かされ体中に巻きつかれて何もできない。  
 
秘裂をなぞっていた舌が内に入り込み小陰唇を舐め始めた。  
「やっ!ぁぁ・・やぁん・・」  
胸を優しく締め付けている胴体に両腕でしがみつく。  
それを意にも介さず細長い舌は小陰唇から上に這う。  
包皮につつまれた女芯をつつくとお月の体がピンと伸びる。  
女芯に舌を巻き付けクニッと包皮を剥いてしまうと  
露わになった突起を舐めつけた。  
「んぁっ!あっ・・あっ!ふぁっぁ・・」  
一瞬だけ腕が緩み、もう一度、今度は前以上の力で蛇にしがみつく。  
ぐりぐりと突起に巻きつけた舌を擦りつけられると  
お月の口から甘い悲鳴があがる。  
必死に足を閉じて守ろうとするが  
お月の薄いふとももでは細い舌の侵入を防ぐ事はできない。  
「あっあっらめ・・んぁぁっ・・めぇっ・・」  
蛇にしがみついて襲いくる快感の波に耐える。  
しかし、休む事ない舌の動きについにお月は崩れ落ちた。  
「あっ・・あっ・・」  
体が痙攣し放心すると今攻め立てられていた秘所から  
小水が勢い良く飛び出してきた。  
蛇が舌をひっこめ頭をあげると  
お月は恍惚の表情で身を震わせていた。  
すべて出きってしまうと瞳にすこし光が戻ってくる。  
「ご・・ごめんなさい・・」  
息も絶え絶えに漏らした事を謝罪する。  
その様子を見て蛇はにんまりと笑った。  
「ええよ。それより月ちゃんどうじゃ?良かったか?」  
お月も今になって蛇の下心の存在に気付いたが  
抵抗する気力は既に無く  
初めての快感に、抵抗する気持ちすら奪われていた。  
 
上気した顔で恥ずかしそうに頷く。  
「そうか。ならもっとやっちゃるな」  
そういって蛇はまた頭をもぐらせた。  
小水で汚れたお月の細い足を舐めベタベタからサラサラへ変えていく。  
汚れた足を白くきれいにすると  
ふとももの間から可愛らしいお尻をくわえ局部を口の中にいれてしまう。  
局部に送られる酒気の混ざった息が媚肉に染みる。  
捕らえられた陰裂にまた舌を這っていく。  
今度は女芯をいじるのもそこそこに  
陰門をぬけさらなる奥地へ侵入していった。  
「んくっ・・」  
何者の侵入を許した事のない少女の聖域へ舌が這っていく。  
肉ひだを刺激しあふれる愛液をすすり、舌はさらに奥へと突き進む。  
処女膜のあいだを抜けピタリと合わさっている陰肉をこじ開ける。  
ヌチッと湿り気のある音をたて媚肉は蛇の舌を受け入れていく。  
お月の愛液は彼女よりも蛇を味方し侵入を容易にする。  
秘部の最奥につくと、二股にわかれた舌が暴れだす。  
「ぁっ!はぁぅうっ・・」  
お月のふとももは蛇の頭を力いっぱい挟み込み  
両腕は胴体にしがみつく。  
お腹の中に感じる異物感がそのまま快感へと変わる。  
長い舌の根元は陰核を擦り上げ  
中程はうごめく膣壁に対抗するかのようにうねうねと這いまわり  
先端は子宮口を舐めあげる。  
「やっ・・ふぁぁ・・あっあっんっ」  
だらしなく開いた口から悦楽の悲鳴があがる。  
「んぁ・・ぅっ!」  
脳の裏を舐められるような快感が電流となってお月の体に走った。  
ぐいっと膣が締まりお月の全身から力が抜ける。  
快楽の波が媚体を内側から溶かし意識を奪っていった。  
放心しぐったりとしたお月を見て蛇は満足げな笑みを浮かべた。  
 
 
 
次に目を覚ました時、お月は蛇の布団に包まれていた。  
暖かい胴体がぐるぐると巻きついていて  
岩の地面からお月の体をふわふわと守ってくれていた。  
見慣れぬ岩の天井に驚いたが  
すぐに眠る前の事を思い出し、かすかに照れ笑いを浮かべる。  
ぼんやりと今日あった出来事を思い出していると  
枕になっていた蛇の首が伸びて大きな目がお月を覗き込む。  
「起きたんか」  
蛇の酒くさい吐息がかかる。  
「おはようございます」  
寝転がったまま挨拶をする。  
「おは・・おはよう・・か。そういう言葉もあったのう」  
そういって蛇は目を細めた。  
「おはよう月ちゃん」  
蛇はひさしぶりに聞いた目覚めの言葉を口にすると  
首を伸ばして洞の入り口の方を見る。  
「けんど、まだ夜みたいじゃなぁ。  
 朝になったら島に送ったるけん」  
お月はぐっと力をいれて暖かい布団から腕を出すと  
真面目な顔で優しく言ってくれる蛇の顔を両手でつかむ。  
両手ではさんだ蛇の顔を  
自分の顔の前まで持ってきてお月は蛇をみつめる。  
「へびさん。  
 わたし、へびさん大好き」  
お月は言葉と同時に蛇の顔をギュッと抱きしめた。  
頬を擦り合わされ蛇の顔に戸惑いの色が浮かんだ。  
 
お月にせがまれ蛇は適当に昔話をした。  
思い出しながらの適当な話だったが  
お月は面白がりもっともっととせびる。  
いろんな話を聞かせ疲れてくると  
蛇はお月に話をさせはじめた。  
お月は話したがらなかったが  
蛇にうながされぽつりぽつり話し始めた。  
生まれつき病弱で母親に迷惑ばかりかけていた事、  
幼い頃いじめられた事、  
あまり家から出たことすらなかった事、  
母親が無理して手に入れてくれた本を何十篇と繰り返し読んでいる事、  
生け贄に決まってから今日までの事。  
蛇の舌がお月の頬を撫でる。  
話し終えたお月の頬はしょっぱい味がした。  
お月は目を閉じて顔中を撫でる舌にうっとりと酔った。  
「・・へびさん。  
 あの・・・またしてくれませんか・・」  
蛇の息に酔っ払ったかのようにお月の頬が桜色に染まる。  
可憐な唇から囁くような媚声が漏れた。  
未熟な体に芽生えた肉欲は時と共に大きくなっていた。  
 
夜が明け渡るまでにお月は三度、天に昇った。  
肉体を蹂躙される悦びにお月の心は浸った。  
心地よい疲労感がただよう夢うつつの中、  
蛇に包まれて昇る朝日を見ていた。  
「そろそろじゃな」  
「・・・うん・・」  
消えそうな返事を聞いて蛇がシュルシュルとお月の体を解放した。  
洞の冷たく暗い空気が火照った体を冷やす。  
地に下りると自分の体が重い。  
久しぶりに踏んだ地面は固く冷たい。  
白装束はじっとりと不愉快に濡れていた。  
のろのろと着終わると蛇の言う通りに背中にまたがる。  
「行こうか」  
お月を乗せて蛇は島へ渡った。  
お月が落ちないように気をつけながら、海の渦をさけ遠回りして泳いだ。  
砂浜を見つけそこから上陸してもお月を降ろさず島の中へと入っていく。  
お月も何も言わず蛇に乗っていた。  
途中、二人を見た何人かの島民が悲鳴をあげて走っていった。  
意にも介さず人間の集落のほうへ進んでいると  
島長を先頭に多くの人が駆け寄ってきた。  
しかし、急いできた割に一定距離を離してそれ以上近寄ろうとはしない。  
そして、深緑に輝く大蛇の厳かな迫力にひれふし地に頭をつける。  
「お月っ!?お月なのっ!?」  
円をかいたように周りを囲む人々の間から懐かしい声が聞こえてくる。  
「かあさま!?」  
蛇のそばでがっしりと母子が抱き合った。  
「無事だったの!?生きてるんだね!」  
「うん、うん。いきてるよぉ・・」  
それだけ言うと抱き合って泣いている。  
蛇はその二人を穏やかな目をして見ていた。  
 
蛇は抱き合う二人をしばらく見守っていたが  
一歩踏み出している人間に視線を移した。  
「おう、いうちょくけんどわしゃ人間を食べたりせんぞ。  
 じゃからもう生け贄とかやらんでええ」  
大蛇が喋ったことに人々がどよめいた。  
目を見開いた島長が話す前にまた蛇が口を開いた。  
「それより、酒じゃ。  
 酒くれた方が嬉しいわぃ」  
蛇の言葉を聞いて長が後ろを振り返る。  
視線に気付き慌てて何人かの者が走っていった。  
お月と母親のすすり泣く声が静寂に響き渡る。  
誰も口を開くことが出来ずに時が過ぎていく。  
お月の無事をしっかりと確認しようやく母親がお月を解放した。  
「蛇神様、ありがとうございます。ありがとう・・」  
涙で曇った声でお月の母親も頭を地につけている。  
妖怪には親子の情などわかりはしない。  
それでも、お月と母親の姿は蛇の心に響くものがあった。  
蛇はどう声をけていいのかわからず、長の方に向き直った。  
「おう、おまえら月ちゃんいじめたりすんじゃねえぞ」  
口調こそ険しくないが、その言葉には殺気が込められていた。  
「は、はい。それはもう・・」  
蛇の目に宿る冷たい殺気が人々の背中に冷たいものを走らせる。  
 
張り詰めた空気を壊すように、うるさい音をだして荷車が押されてきた。  
男たちが運んできた酒樽を降ろし蛇の前に置く。  
蛇は嬉しそうに酒樽に顔を突っ込んだ。  
ふたが木片となって飛び散り、ぐびぐびと音をたてる。  
蛇は軽くなった樽を大きな口でくわえ持ち上げ  
あっという間に飲み干すと樽を置いた。  
ぷはぁ〜と息をつく蛇の吐息はうっすらと桃色に染まっている。  
「もうないんか?」  
「は、急いで作りますが今は・・」  
「そげか・・。まあええ」  
残念そうに言うと蛇は体を反転させた。  
「月ちゃん、元気でな」  
そういうと蛇は海へ帰ろうとする。  
「蛇神様!あの、お願いが!」  
長の言葉に首だけ振り返る。  
「今、この島は日照りがつづいて困っておるのです。  
 なにとぞ、なにとぞ雨をお恵み下さい」  
両手を地面につきながらも、しっかりと蛇をみつめて、長が懇願する。  
周りの村人は同じようにひれ伏し、頭も地につけている。  
蛇神の機嫌を損ねる危険を冒してでも言わねばならぬ程  
今のこの島は苦しんでいた。  
このままでは餓えが島を滅ぼしてしまうかもしれない。  
かといって幕府は何もしてくれない。  
だからこそ、生け贄の風習が終わらない。  
「ふうん。まあええよ」  
軽い調子で返事をして蛇は帰っていった。  
「へびさん・・」  
蛇は振り返らずお月の声に尻尾だけを振って答え  
島民が見守る中、悠々と社に帰っていった。  
 
蛇は知り合いの妖怪に雨を降らさせた後、眠りについた。  
たった一日で今まで生きてきた間と匹敵するほど色々な事があった。  
今までも人間に関わった事はあったがこれほど密接にではなかった。  
女の子をいじくるのは好きで何度もやったし  
彼の舌技に虜になった娘も大勢いたが  
「好き」と言われたのは初めてだった。  
くるくると表情の変わるお月を思い出し蛇はにんまりと笑った。  
(人間ちゅうのもなかなか面白い・・)  
そんな事を考えながら、うつらうつらと過ごす日々が数週間続いた。  
いつものように寝ていたある日、かすかに声が聞こえた。  
気になって洞から出ると島の崖から娘っ子が手を振っている。  
「へびさーん!」  
娘がお月だとわかると驚いて蛇は島へと急いだ。  
島まで泳ぎ着いて崖を上っていきお月の元へといく。  
見ると樽やつづらなど色々な物がお月の後ろにある。  
「へびさん。これお酒だよ」  
お月が指差した樽に蛇は嬉しそうにむしゃぶりつく。  
がぶがぶと一気に飲むとげっぷをした。  
「ありがとな」  
にかりと笑う蛇にお月は抱きついた。  
「へびさん・・。私をお嫁さんにしてください」  
 
大きく見開いてぱちぱちと瞬きをする蛇の目を  
お月の瞳が真摯に見つめてくる。  
「ダメですか・・?」  
潤んだ瞳がさらに濡れてくる。  
蛇はとまどって言葉につまった。  
「そ、そりゃ、わしゃええが。  
 お母さんはなんちゅうたんだ?」  
蛇の言葉に好感触を感じてお月の顔が輝く。  
「いいって言ってくれました。  
 説得に時間かかっちゃったけど  
 あんたが幸せになるんならいいって」  
そこまでいうと息をついで少し声を低くする。  
「私を貰ってくれる人なんていないし、それに・・」  
そういってお月はうつむき蛇を見る。  
「私、もう蛇さんじゃないと・・  
 わたし、へびさんのせいで変態になっちゃったから」  
上目遣いに甘えた声をだして媚びてくる。  
どうやら本気で言っているようだ。  
後ろにある道具も押しかけるつもりで持ってきた物らしい。  
蛇は戸惑っていた。  
お月が嫌いなわけではない。  
むしろ、その逆だ。  
だからこそ心配してしまう。  
妖怪である自分と結ばれていいのだろうか、と。  
「わかった」  
ひとつの考えが浮かび、蛇はそう返事をした。  
そう返事をして蛇はお月を社に連れ帰った。  
 
小船にお月とその荷物をつんで連れ帰ってくると  
お月のほうから蛇に抱きついてきた。  
蛇の口にくちづけをしてくる。  
お月の短い舌は蛇の口腔にすらとどかず唇を舐めただけだ。  
反対に蛇の舌がお月の口に侵入し、なぶる。  
こまかな舌に細長い舌が巻きつき、  
ふたまたにわかれた先っぽが歯茎をなでさする。  
蛇はお月の口を蹂躙すると少し距離をとった。  
そして、お月の名を呼ぶと蛇の下腹からモノがせりだしてきた。  
「月ちゃん、わしの嫁さんになるならこれをいれなあかんぞ  
 わしは体の大きさを変えられるが、コレだけは変えられんから」  
蛇はそういってお月を脅してくる。  
せり出してきたモノは人間の男性器にそっくりである。  
本来の蛇のモノのようにトゲなどは生えていないが  
赤黒く光るモノは、はちきれそうにふくらみ凶悪な姿をしている。  
これをいれる、そういえばお月も諦めるだろうと蛇は思った。  
本来、妖怪は種の保存を考えてない為、性交にはそれほど興味は無い。  
彼も色欲は強いがそれは女の子の痴態をみる事に費やされ  
性交まではめったに及ばない。  
彼が本気になったら一日中やることになるので  
人間には耐えられないというのもあるが。  
「うん、お嫁さんならそうだよね。  
 大丈夫だよ。がんばるから」  
諦めると思っていたお月は恥ずかしそうに笑って承諾した。  
自分で慰めても到底とどかない快感を植え付けられ  
蛇に会えなかった間にふくらみ続けた肉欲はすでに理性を凌駕していた。  
お月の目に宿る淫欲の炎を認め、蛇はお月の唇を舌で愛撫しはじめる。  
酒気まじりの吐息が、お月には愛しい香りになっていた。  
 
口の中を犯されながら、お月は着物を脱いだ。  
簡単に脱げるものではなく時間がかかったが  
その間も蛇はお月の口を楽しんでいた。  
お月が裸になると蛇は性器をひっこめ巻きついた。  
柔らかい尻尾が体を締め付けてくる、  
その感触だけですでにお月の秘部はじっとりと濡れ始めていた。  
島に戻った日から、お月はこの状況を夢想していた。  
自由を奪われ蹂躙されることに餓えていたのだった。  
蛇は巻きつけた尻尾でお月をもちあげ  
牙を引っ込めた大きな口に少女のふくらみを収めてしまう。  
胸をあま噛みし乳頭に舌をまきつけで弄ぶ。  
ふくらみの根元からさきっぽまで  
何度もあま噛みしながら口を動かす。  
時々は強めに噛み付き柔らかさを楽しむ。  
「あっ・・!あっ・・ぅあっ」  
お月の甘美な悲鳴に胸のふくらみをゆるし、蛇は獲物を変えた。  
顔が腹の上を滑ると、濃桃色の秘肉を舌でこじ開ける。  
膣の中を生き物のように這い回る舌の動きに応え  
どろどろと愛液があふれだす。  
陰核を舐め上げられるとお月の体がピクピクと震えだす。  
「いくぞ」  
蛇がお月の唇を舐めながら囁くとお月はこくりと頷いた。  
仰向けに宙に浮かされた姿勢で、受け入れる為に少し股を開く。  
お月の陰裂に蛇の胴体がぴたりと添えられる。  
期待と不安が混ざり合う  
覚悟を決めて自分を巻きつけている尻尾にしがみついた。  
お月の局部にあてがった胴から性器がせりだし、秘肉を切り裂いた。  
 
「〜〜っ!」  
声にならない叫びがあがる。  
蛇のモノを受け入れるにはお月はまだ未熟であった。  
しっぽにしがみついて体を内側から焼く痛みに耐える。  
蛇の性器はゆっくりとお月を突きさしていく。  
蛇が体から全てだしてしまうと密着していたひな尻が離れた。  
やはりまだ全ては入っていかなかったのだ。  
一つになったまま、蛇は上の胴体でお月に巻きつき尻尾を離す。  
そしてつながった所より下の尻尾だけで支え  
お月の体をさらに高く持っていった。  
お月は尻尾の変わりにやってきた蛇の首を胸にかかえ抱きしめる。  
痛みを紛らわせてやるように蛇はお月の口に舌を入れて愛撫した。  
激しい痛みの中、色欲がお月の中で咲き始める。  
育った獣欲が痛みすら快感へと変えようとしていた。  
しばらくは、じっとしていた蛇がお月の体を動かし始めた。  
上半身を固定、お月の腰をぐるんぐるんとまわす。  
はげしい動きに刺さったモノが抜けかかり、また突き挿す。  
ぬちゃぬちゃと淫らな水音が洞の中を響き渡る。  
「んっ!んっ!」  
こらえきれずにお月のくちから声が漏れる。  
それは痛みに耐えるだけの悲鳴ではなく、せつなく甘い。  
肉壁をこする快感に蛇は目を閉じる。  
張り詰めた肉棒が堪えきれずにお月の中に精を放った。  
まだいきり立ったままの肉棒を引き抜くと白濁液が逆流しふきだす。  
ひしゃげた桃色の割れ目から流れる白濁液に赤いものがまじっていた。  
ようやく痛みから解放されたお月の目にはうっすら涙が浮かんでいる。  
「っ・・へびさん・・・これで・・わたし、お嫁さんだよね・・」  
苦しそうに胸を上下させながら嬉しそうにつぶやく。  
紐のような舌がお月の涙をなめる。  
お月の性器からぼたぼたと精液が出ている間、お月の顔を愛撫した。  
 
「いいか?」  
「・・うん。だいじょうぶ」  
蛇の問いに、もう一度するのだと思いお月はうなづいた。  
囁くような甘い返事を聞いて蛇は体勢を変えた。  
とぐろを巻いた中心にお月が置く。  
重なった蛇の胴体の間から白く細いすねがはみ出している。  
お月は足をのばし、お尻で蛇の肉棒に座っていた。  
蛇は挿入はせずにただ自分の性器の上にお月を乗せていた。  
そして顔をもぐらせてお月の陰唇を慰めた。  
無残に引き裂かれた秘唇は閉じきっておらず  
ポッカリと楕円に口をあけている。  
蛇は丁寧にお月のいたいけなくちびるを舐めて陰芽を愛撫する。  
その優しい舌使いにおなかの異物感が溶けていく。  
じわじわとこみ上げてくる快感は  
局部の刺激よりも蛇の優しさによってもたらされた。  
お月は蛇の渦の中で、不自由がもたらす快楽に浸った。  
お月が満足した事を知ると蛇は顔を上げた。  
蛇の肉棒がゆっくりとお月の秘裂をこすり始める。  
お月は蛇の頭をつかまえて口づけを繰り返した。  
だんだんと速く擦り上げてくる肉棒の上で、  
可愛い口からつややかな悲鳴が途切れがちにあがった。  
蛇の精が地に放たれてもお月は蛇の顔を離さない。  
「まだ痛いけど、ちゃんと出来るようになるようがんばるね」  
けなげな事を言うお月を見て蛇がつぶやいた。  
「祝言をあげないかんなぁ・・」  
 
 
 
― 賑やかな街の静かな路地で有月は空を見上げていた。  
 都会の赤く錆びた夜空にぽっかりと穴があいている。  
 美しい光を浴びて彼は蜜月を思い出していた。  
 (月はいい。優しく闇夜を照らしてくれる。  
  わしは月がおらんかったらまだ闇をさまようておったかもしれん)  
 一升瓶に直接くちをつけ、いつになく感傷的に月見酒をきめている。  
 妖怪は死んでも本当に死ぬ事は無い。  
 存在を信じるものがいれば復活してしまうからだ。  
 だから、もう添う事はできない。  
 それをわかっていたからつけた名だ。  
 今は、あの頃ほど充ちていないが、その前ほど虚ろでもない。  
 「がらじゃねえか」  
 自嘲するかのようにつぶやき、思慕の情を振り払う。  
 狭い路地で眠る蛇の守り神を、月が空から見守っている。  
   

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