謝るしかない。そして自分の気持ちを伝えよう。
許してくれるかはわからないが、やる事はやった。
そう開き直り隆はドアをノックした。
「菜穂姉、入ってもいい?」
何度も言った事のある言葉なのに喉にひっかかってしまった。
「いいよ」
隆にとって、とても長い一瞬の後に返事が来た。
隆はゆっくりドアを開け、中に入った。
菜穂が何日もこもっていたからだろう、
部屋はほのかに甘い空気が充満していた。
陽の光が差し込む派手な内装の和室の中で
菜穂はパジャマ姿のまま、椅子の上で膝を抱えて背を向けていた。
「菜穂姉・・・この間の事はごめん。
物凄く身勝手な事をしたと思ってる。
謝る事しか出来ないけど、
出来れば許して欲しい」
菜穂の丸まった背中に隆は頭を下げた。
「オレは菜穂姉の事が好きだ。
こんな時に言っていいのかわからないけど
ずっと好きだった。今も好きだ」
隆の告白が終わると菜穂は何も言わず椅子を回転させ
振り向いてから抱えていた足を床におろした。
そしてゆっくり歩いて隆の前に立った。
ほのかな石鹸の匂いが隆の鼻をくすぐる。
「隆も大きくなったねぇ。
昔はあたしよりちっちゃかったのに」
菜穂は隆を見上げると感慨深げに眺め始めた。
隆は茶化されてるのかと思ったが
夜色の瞳に魅入ってしまい言葉を発する事が出来なかった。
あまりにも近くに菜穂が来ているため、心臓がうるさく鳴りだしている。
動こうとすればまた無理矢理抱きしめてしまいそうで動けなかった。
菜穂は両手を隆の両肩に乗せると、かかとを浮かせた。
隆の唇を菜穂の舌が通り過ぎた。
柔らかくザラッとした感触に、隆は驚きのあまり動けなかった。
「・・・返事のつもりなんだけど・・」
白い顔を桜色に染めて菜穂が口を開いた。
隆に菜穂の言葉が染みとおっていく。
隆はゆっくりと菜穂の口を唇でふさいだ。
硬直していた隆の腕がおずおずと菜穂の背中にまわり頭を抱く。
求めつづけた柔らかさを確認し
ようやく隆はこれが現実である事を認識した。
触れていた唇の間から遠慮がちに舌が進み出てくる。
再会した唇は別れをこばみ抱き合いつづける。
くちづけに慣れていない二人は互いの口の周りを唾液で汚してしまう。
息苦しさから菜穂が唇を外すと隆はいっそう強く菜穂を抱きしめた。
呼吸が整うのを待ちきれず、隆はすぐに菜穂の唇を襲う。
「んっ」
少し驚いたが菜穂もあきらめて動きを止めた。
まるで何か探しているかのように菜穂の口の中を隆の舌が這い回る。
柔らかな粘膜が荒々しく暴れまわる舌に蹂躙される。
二人は息継ぎをしながら何度も何度もくちづけを交わした。
隆は桜色の唇をついばみ、小さな口腔をなぶり、ザラッとした舌を弄んだ。
それでも満足しないのか抱きしめる腕の力は弱くなる気配もない。
隆の腕の中で唇を奪われつづける菜穂の胸に隆の右手が伸びた。
「ん・・・」
一瞬、ぴくりと反応した菜穂だったが抵抗はしなかった。
隆の大きな手がパジャマの上から菜穂のふくらみをまさぐる。
むにゅっむにゅと揉みしだく手の動きが激しさを増す。
「いっ!」
菜穂が痛みに声をあげ思わず唇が外れる。
「ご、ごめん」
「う、ううん」
くちづけを再開すると隆はゆっくりと優しく胸をまさぐった。
そして手をスライドさせ菜穂のパジャマのボタンに手をかけた。
脱がせやすいように菜穂は体を少し傾けた。
あまりスムーズではなかったが上から一つづつボタンが外されていき
ついに菜穂のパジャマの前がはだけた。
隆の指がパジャマの中に入り、ふくらみとふくらみの間を撫でた。
手が少し横に伸びた時に直接おっぱいに触れてしまい
隆はようやくブラジャーが着けられていない事に気付いた。
石鹸の匂いと下着を着けていない事で
菜穂の覚悟に気付けるほど隆は経験豊かではなかった。
初めて触れる菜穂のおっぱいに感動してそれどころではなかったとも言える。
風呂上りの菜穂の肌はまだ渇きっておらず、しっとりとして
隆の手の平に吸い付き、隆の指を歓迎している。
隆は興奮して荒っぽくなる手でなるべく優しくふくらみをまさぐり乳頭をつまんだ。
指先でくにくにと乳首を揉み、指の腹で引っ掻く。
キスを止めて菜穂のパジャマを脱がせた。
上着を脱がされ露わとなった胸を隠すように菜穂は隆に抱きついた。
隆はもう一度キスをして抱きしめたまま、かかえるように布団まで運んだ。
ゆっくりと隆が体重をかけると
菜穂はしがみついたまま布団の上に倒れていった。
菜穂を寝かせてしまうと隆は輝くように白いふくらみに顔を近づけ
桃色の突起にキスをして口の中に収めてしまった。
「ニャンッ!」
くすぐったかったのか菜穂の口から笑い声があがったが
しばらくすると笑い声は甘い悲鳴に変わっていった。
おっぱいを吸いながら舌で突起をなぶる。
はむはむと唇で甘噛みし胸のふくらみを愉しむ。
胸を揉んでいた手を止め口を離すと、隆の手が菜穂の下のパジャマに伸びた。
隆は指を少しだけパジャマの中に入れ下着を同時に掴んだ。
菜穂はこれからされる行為を想像し、紅い顔を横に向けた。
隆の手が下着も同時にゆっくりとずり下げていくと菜穂の秘部がさらされていく。
真っ白な菜穂の体にふさわしくそこも真っ白で
ぴったりと閉じた秘裂まで同じ色をしていた。
初めて人の目にさらされた恥丘は
一本の筋が綺麗にひかれているだけで他に何もない。
その美しい姿に見とれてしまい隆の手が止まる。
はやる気持ちをおさえパジャマをずり下げていく。
菜穂は足をピッタリと閉じているので簡単に脱がせられてしまった。
パジャマを放り投げてしまうと隆は
何にも覆われていない菜穂の秘部に顔を近づけた。
隆の視線がぴったりと足を閉じて硬直している菜穂の恥丘に注がれる。
荒い鼻息がかかり、嫌が応にも熱い視線を意識させられ
菜穂の体が内側からしびれるように熱くなっていく。
猫の姿の時はいつも裸で、何度も隆に見られた事があるのに
体毛のない姿を見られるのはなぜか猛烈に恥ずかしかった。
隆の震える指がすべすべの恥丘をそっと撫でる。
「にっ!」
思わず出てしまった声をかみ殺し菜穂は羞恥から耐える。
ぷにぷにと柔らかい感触の恥丘を隆の指が遠慮がちに擦った。
割れ目に指を這わせると噛み殺した声があがり菜穂の体がますます硬直する。
隆が指をさらに下にいかせようとすると閉じた足がそれを許さなかった。
「力抜いて」
隆の声を聞くとほんの少しだけ力が緩まった。
その隙を突いて隆は太ももの間に手を差し込み足を開かせる。
菜穂は恥ずかしさのあまりまたすぐに足を閉じようとしたが
そこには既に隆の頭が潜り込んでいた。
妖力を取り戻した菜穂が本気で力を入れてしまえば隆を怪我させてしまう。
その事がわかっている菜穂は足を閉じる事が出来なくなってしまった。
抵抗をやめた菜穂の震える太ももをつかんで広げさせ
隆は菜穂の秘所を間近で眺め始めた。
色素の沈着していない恥丘の真中から
ピンク色の秘肉が顔を覗かせている。
その亀裂の下にはお尻の穴が
恥ずかしそうに震えながらたたずんでいる。
石鹸の匂いで隠し切れなくなった女の匂いが隆の鼻をくすぐり始めた。
その匂いをしっかりと嗅いで、眺めていると
恥ずかしさに耐え切れなくなったのか、また菜穂の足に少し力が入った。
隆が太ももから腕を外し指で割れ目を少しだけ広げると
菜穂から小さな悲鳴があがった。
触っていいものか悩んだ末、隆は割れ目に舌を添えた。
「やぁっ!」
やり方がよくわからず恐る恐る舌を動かし愛撫した。
初めて舐めた女性器はしょっぱい味がした。
「ん・・はァっ・・・」
体をそらし耐えようとする菜穂の口から声がこぼれる。
隆は立ち上がり急いで服を脱いだ。
隆は知識としてはもっと愛撫すべきだと知っていたが
これ以上は我慢する事ができなかった。
裸になってしまうとすぐに菜穂の上に覆い被さった。
顔を重ね唾液を交換する。
そのまま隆は自分の膨張したモノを握り菜穂に侵入しようとする
が、入り口がよくわからない。
隆がしばらく悪戦苦闘していると隆のモノを菜穂の熱い手が握った。
その手が冷たく感じられるほど隆のモノは熱く、張り裂けそうになっている。
誘導されようやく入り口がわかった隆の視線を感じ菜穂が目を閉じた。
それを合図に隆の腰がゆっくりと菜穂に落とされた。
「んにぃっ!!」
菜穂は目を閉じたまま、宙を握り締めた。
菜穂が本気で隆をつかめば怪我させてしまう為につかめないのだ。
菜穂が痛がる様子を見て、隆は一瞬だけ躊躇した。
しかし、すぐに思い直し一気に腰を突き入れた。
なかなか思うように菜穂の中に入っていかずゆっくりと浅く前後させていく。
菜穂が少しずつ受け入れる事ができるようになってきた所で
隆は一気に菜穂を貫いた。
菜穂の中に収めてしまうと隆の動きが止まった。
強烈に締め付けてきて痛いほどだが
一つになれたという喜びに体は打ち震えていた。
隆はしばらく初めて味わう女に浸っていたが
菜穂が目を閉じて必死に耐えている姿を目にして腰をひいた。
早く終わらせてあげた方がいいような気がしたのだ。
強く握り締めてグーを作っている菜穂の手を隆の手が包んだ。
隆が突き入れるたびに少しづつではあるが菜穂のなかが広がっていく感覚があった。
粘膜同士が擦りあい刺激する。
加減もわからず激しく腰を前後させていると
動きに合わせて快感が膨張していく。
菜穂の方は何が行われているのか把握すらできていなかった。
何百年と守ってきた純潔を失った痛みに下半身の感覚を奪われ
ただ、行為の終了を待つだけである。
荒々しく動いていた隆が止まると菜穂は中に精液を流し込まれた。
一滴残らず注ぎ込むように隆はすぐには引き抜かず余韻に浸った。
息が少し整うとゆっくりと菜穂の中から引き抜いた。
大量に流し込まれた精液が、腫れ上がった濃桃色の割れ目から
赤いモノをともなってこぼれだす。
「…終わったの?」
まだ、異物感が消えていないので菜穂は抜かれた事がわからなかった。
しかし、隆の様子の変化で行為の終わりをさとり目を開けた。
すぐ目の前に隆の顔があり驚かされる。
「ありがとう」
隆が見つめたままお礼を言ってきたが
菜穂は何を言っていいのかわからず黙っていた。
隆はもう一つの手で、グーのままだった菜穂の拳をひらかせて指を絡めた。
握り締めすぎて感覚を失いかかっていた手が、大きな指にほぐされていく。
触れ合う唇が優しくて暖かくて、菜穂の瞳から涙がこぼれた。
菜穂は今日でこの家から出て行こうと決めていた。
隆が自分の事を好きだといったら抱かれてから出て行こう。
そして離れた所から龍宮寺家を見守ろう。
それが自分に出来る最良の道だと思った。
龍宮寺家を守り隆を裏切らないのはこれしか無い。
だけど、なんで嬉しいのだろう。
なんで悲しいのだろう。
望まれたから抱かれただけのはずなのに、なぜこんなに嬉しいのだろうか。
離れるのは昔と同じようになるだけなのに、なぜこんなに悲しいのだろうか。
自分でもおかしいと思うのに涙が止まらない。
唇を外した隆が、自分を見ている事に気付く。
隆の表情がにじんで見えなくて、不安になっていると抱きしめられた。
きつく抱きしめてくれる優しさが嬉しかった。のしかかる重さが暖かかった。
まわされた腕の中ではっきりと自分の気持ちに気付いてしまった。
今なら、力を失ってでも好きな人に抱かれたいと言った湧の言葉がわかる。
隆の胸板で涙を拭くと、まわされた腕の片方が外された。
その腕につられるように、密着していた隆の体が少し離れる。
隆は優しい眼差しで見つめながら、
曲げた人差し指と中指の関節で菜穂のあごの下をくすぐるように撫でた。
菜穂の大きな目が細まり、ゴロゴロと喉をならしながら
細いあごが少しづつ突き出される。
思わず甘えてしまった菜穂がはっとして軽く睨む。
菜穂の可愛らしい仕草に隆の顔が笑顔に変わる。
隆は謝罪の代わりに菜穂の顔中にキスをした。
最後に唇をあわせてから離れると隆の真剣な眼差しが菜穂を捕らえた。
「菜穂姉、出て行くなよ」
菜穂は一瞬、何を言われたのかわからなかった。
菜穂を映す目は真剣で、そして優しい光をたたえていた。
「なんで…?」
やっと出てきた言葉は出て行こうとしていた事を認める言葉だった。
隆の目をみてしまい、思わず本音がこぼれてしまった。
「菜穂姉さえよければオレとずっと一緒にいて欲しい」
穏やかだが力強い言葉に、思わずうなずいてしまいそうになる。
うなずけたらどれだけ楽だろうか。
だけど、それは許されない。
「だ…め…。だめ…だよ」
目覚めたばかりの感情を裏切ると心が突き刺されたように痛んだ。
菜穂が必死に振り絞った声はかすれていて、ほとんど声になっていなかった。
「三衣さんから聞いたよ。
うちの事を考えて出て行くと言ってるんだろ」
返事は無い。
菜穂は片手で涙を隠し体を震わせている。
「そんな事は気にしないでいいんだ。
菜穂姉は、菜穂姉の気持ちを聞かせてくれよ」
返事は無い。
隆はしばらく待ったが、返事をしてくれない事を悟り言葉を続けた。
「龍宮寺家を存続させる上に菜穂姉がうちにいれる方法があるんだ。
聞くだけ聞いてくれないか」
菜穂が手をどけて涙でぐしょぐしょの顔を見せた。
「あ、ある…の?」
「ある。
菜穂姉がオレの子供を産んでくれたらいい。
そしたら、後継ぎができるんだから菜穂姉が出て行くことないだろ」
隆の提案を聞いた菜穂の顔に失望の色が浮かぶ。
「あたし・・・あたし産めないもん。
そんな能力持ってないもの」
できるのなら悩んでいない、無神経とも思える隆の言葉に腹が立った。
「産めるようになればいい。思いが命を作るんだろ。
オレは菜穂姉が好きだ。
命を誕生させるだけの思いを持っている。
だから、産んでくれ」
諦念に支配されていた菜穂の顔に僅かではあるが変化が現れた。
「産めるように…?」
「前に菜穂姉、言ってただろ。
昔は人間の姿になれなかったって。
なれるようになってからも人間と暮らしは出来なかったって。
猫娘の姿になれるようになったのも、
戦後の猫娘伝承と混ざったからなんだろ。
どんどん変わってるじゃないか。
だから、子供を産めるように変わってくれたらいい」
菜穂は今までそのような事を考えた事も無かった。
確かに隆の言うとおり、今までも色々と変化はあった。
だが、そのほとんどは”いつのまにか”で”人間の思いによって”だった。
自分から変わると言う発想を持った事が無かった。
しかし、確かに変わってきた。
当主や仲間が死んだわけでもないのにめそめそと泣いている自分も
明らかに昔と違っていた。
「・・か、変われる?
・・・・あたし子供産めるのかな?」
戸惑った表情のまま菜穂がつぶやく。
「産めるさ。オレは菜穂姉と一緒にいたい。
菜穂姉にオレの子供を産んで欲しい。
まだ、学生だけど・・・きっと幸せにするから。
オレの子供を産んでくれないか」
重なった肌が隆の胸の鼓動の速さを菜穂に伝える。
涙まみれの顔で菜穂の小さな口がほころんだ。
「・・・それ、プロポーズ?」
「そうだ」
「・・・うん、あたし産む。
頑張って子供産んでみせるよ」
そこまで言うと菜穂は隆を抱きしめて唇を奪った。
下になっていた菜穂は隆に抱きついたまま反転し上になった。
くんくんと匂いを嗅ぐように口と口を近づけると唇を隆の唇に擦り付けた。
唇の間からチロッと出した菜穂の舌が隆の唇をザラザラと刺激する。
隆の手が菜穂の胸をもみ始めると、菜穂が甘い吐息を漏らし始めた。
今度はリードしようとしたのに、またリードされ始めた菜穂は
隆の手から逃げるように立ち上がった。
隆をまたいだ菜穂は少しだけあとずさり、排便する格好でしゃがみ始めた。
ゆっくりしゃがんでいく姿は隆から見れば秘所が丸見えである。
菜穂は陰毛すらないので隠すものが何もない。
菜穂がしゃがんでいくと精液と血で汚れテラテラと光る媚肉があらわれていく。
扇情的な光景にすでにはちきれんばかりの隆を菜穂の手がつかみ
秘裂にあてがおうと誘導する。
菜穂はしゃがんだままつま先で前後にずれて位置を調整する。
隆は菜穂の白い膝の間から見える結合していく様子を見守っていた。
頭だけが入ると菜穂の小さいお尻がビクッと浮いてまた抜けた。
もう一度、菜穂が戻り結合していく。
「ん・・・」
菜穂は肉棒から手を離すとゆっくりと体重をかけていった。
目を閉じたまま膝をつかんでゆっくりとお尻を隆に乗せていく。
さっきほどではないがやはりまだ痛い。
しかし、その痛みも隆がくれたものだと思うと愛おしい。
「ん・・・はぁ・・はぁ・・」
まだ全部は飲み込んでいないが、つま先で立っている
今の姿勢ではこれ以上は無理なのか菜穂の動きが止まった。
そのままの姿勢で息を整えていた菜穂が目をあけて隆に微笑んだ。
ゆるやかに菜穂の腰が前後に動き出す。
「んっ・・・あっ・・」
ほんの少ししか動かない菜穂の口から音が漏れ出す。
膝の間から結合部を見せつけていた菜穂の動きがとまった。
膝を床に降ろし足の甲も床につけてさらに深くめり込ませる。
そして自らを貫く肉棒に遠慮するように
上半身をおそるおそる前に倒した。
「ごめん、隆動いて・・。あたし・・・」
息も絶え絶えに菜穂が声を出すと隆は菜穂の腕と腰をつかんで
反転させ、また菜穂を下に敷いた。
「・・ゆっくり・・して」
隆が腰を動かそうとすると菜穂が懇願する。
菜穂の肉付きの薄い締まった尻を隆の指が撫でまわす。
じっとりと濡れた尻を揉むと
菜穂の口からくーくーとせつない音が漏れた。
その柔さを存分に愉しんでから隆はゆっくりと腰を動かした。
「あ、あ・・出て・・ってる・・ぅ・・んっ・・くる・・」
菜穂は少しづつ今何をされているのか把握できるようになっていた。
隆は片手で菜穂の細い腰骨をつかみ、
もう片手はぷるぷると揺れる菜穂の胸をつかんでいた。
だが、ゆっくりと動くのに我慢できなくなると
片手を菜穂の頭の後ろにまわし
もう片手で菜穂の背中をつかむと激しく腰を動かしだした。
抱き合った姿勢でごりごりと菜穂の中をえぐる。
可憐な秘唇を責め立てられた菜穂は隆の首に片腕をまわして耐える。
粘液まみれの粘膜が擦れ合い、淫らな音を奏でている。
激しい責め苦が終わると耐え切ったご褒美に猫娘は精液を流し込まれた。
突き立てられた肉棒からさらに搾り取るように菜穂の中が締まった。
快感に身を任せ呆ける隆にしがみついたまま
菜穂はうっとりと目を閉じた。
隆の首にまわしていた手でお腹を撫でる。
「・・・これで、赤ちゃんできるかな・・・」
目を閉じたまま幸せそうにつぶやく菜穂に
快楽の波から帰ってきた隆が答える。
「できるさ。出来ると願ってるんだから出来る」
力強くそういわれると本当にそんな気がしてきて菜穂は目を開いた。
息も整わないうちに隆が唇を奪ってくる。
唇を重ねたままみつめあい二人は笑った。
「あっ、ごめん隆。痛かった?」
行為の最中に思わずしがみついてしまい
菜穂は隆の背中に引っ掻き傷を作ってしまっていた。
血が流れ肉がみえるほどの傷だったが、菜穂にむかって隆は微笑んだ。
「菜穂と結ばれた証だから勲章だよ」
さりげなく呼び方を変えられた菜穂のほほがピンクに染まる。
「あたしも・・あ、あなた。とか言ったほうがいいのかな・・?」
「好きなようにいいよ」
軽いキスで菜穂の口を封じて隆がささやく。
菜穂の嬉しそうな顔で隆は妖怪との勝利を心から喜べた。
自分が人間だったから勝てたのだと思うと誇らしくなる。
今まで、妖怪になりたいと思った事がある。
自分と菜穂に流れる時の違いを思うたびに妖怪になりたいと思った。
だが、今は違う。
菜穂を守れない妖怪になるぐらいなら
守れる人間でいたいと思った。
二人は布団の中で互いの方を向いて横になり見つめあった。
「名前なんにする?」
隆の言葉に菜穂がくすくすと笑う。
隆はもう子供の名前を考えているのだ。
生まれてくる事に決まっているらしい。
「どうなるのかなぁ?
隆の子だから当主で
あたしの子だからその守護者でもあるんだよね・・」
「凄いナルシストだったり
自分の体に凄く気を使う、健康マニアにだったりするんじゃないか?」
「えー!?」
「ま、あくまでも予想だから・・
でも自分を守る為に強くなろうとしたりはするかも」
「そうだね、そういう子がいいな」
「きっといい子だよ」
「うん・・」
今朝起きたときはこの家を去る決意をしていた。
なのに、いま未来の子供の話をしている。
隆はなんて凄いんだろう。
あんなに悩んだ事をたった一言で解決してしまった。
こんなに凄い能力はきっとどんな妖怪だって使えない。
隆の事を思うと胸が高鳴る。
菜穂はすでに変わり始めている自分に気付いた。
熱っぽい視線を感じ、隆の手が菜穂の頭を撫でた。
「菜穂、・・・幸せにするから」
菜穂は隆に抱きついて、隆の胸に顔を擦り付ける。
四百年ほど前に龍宮寺家に飼われていた猫は
今日、隆の腕の中で龍宮寺家の花嫁になった。
お腹に感じるぬくもりに菜穂は目を閉じる。
「もう・・・してもらった」