摩耶にとってかなたと過ごす時間は特別な大切なものだ。  
仕事の休みの日とその前夜だけがその貴重で大切な時間である。  
だから摩耶はかなたが例の質問をしてきた時少し腹が立った。  
「最近どう?」  
ただこれだけの、どうとでもとれそうな質問だが  
二人の間でこの問いが意味する所は一つ。  
夢魔についてである。  
親を捨て自立した摩耶は昔ほど夢魔に振り回されなくなったが  
いなくなったわけでも危険性は消えたわけでもない。  
「うん・・・最近はあんまり出ないよ」  
テーブルの上のお菓子の空袋の山を見つめながら摩耶は答えた。  
「ほんと?」  
かなたの大きな瞳が摩耶の瞳を覗き込んでくる。  
「・・・昨日も出た」  
摩耶はため息まじりに本当の事を言った。  
かなたが心配して言ってくれている事は知っているし口も固い。  
ただ、答えるのが恥ずかしいだけである。  
だが、摩耶にとって”恥ずかしさ”は軽いものではない。  
その強烈な羞恥心が夢魔を作り出した要因の一つでもあるのだから当然だ。  
かなたもそれを知っているから明るくなんでもない事のように聞いているのだが。  
「やっぱり。  
 どんな事してきた?」  
かなたがあけすけに聞いてくると摩耶は顔を赤くしてうつむいた。  
夢魔がしてきた事はそのまま摩耶がされたいと願っている事でもある。  
いわばオナニーのネタを克明に話せと言っているようなもので  
どんなに明るく聞かれたって羞恥心の強い摩耶には辛い質問なのだ。  
「どんなって・・・別に・・・のしかかってきたりしただけよ」  
そういうと摩耶はスナック菓子を口に入れた。  
また嘘を吐いたのだが今度はかなたも追求してこない。  
 
細い喉をこくこくとならしてビールを飲み干すとかなたは摩耶に微笑んだ。  
「ねえ、練習しよっか」  
返事も待たずにかなたはテーブルのお菓子の山から  
柏餅の葉っぱを手にすると自分の頭にのせた。  
「っ!?」  
次の瞬間、かなたがいた場所に逞しい青年が座っていた。  
彼女らの仲間である半人半龍・流である。  
「どう?摩耶ちゃん流くんの事好きでしょ?」  
逞しい体をした青年の口から女の子の声が出る。  
そのあまりにも異様な光景に摩耶は逆に正気を取り戻した。  
「もう、ビックリしちゃった」  
「ふふ、驚いた君も素敵だよ。  
 さあ摩耶ちゃん僕に任せれば大丈夫さ」  
歯をきらりと光らせおどけた調子でかなたが言うと摩耶がくすくすと笑う。  
「さあ、キスをしよう。  
 二人の未来を誓うキスを」  
かなたが摩耶の肩をつかみ引き寄せると摩耶の顔から微笑が消えた。  
「ちょっ・・かなた止めて。痛い」  
無理矢理抱きしめられた格好になった摩耶が顔をしかめる。  
「かなたじゃないよ、僕は流さ」  
引き寄せた摩耶にかなたは顔を近づける。  
「や、本当に止めて」  
「どうして?僕らはこんなにも愛し合ってるのに・・・」  
あくまでもおどけた調子でかなたは迫ってくる。  
「止めて!」  
ドスンと鈍い音をたてて、かなたが尻餅をつく。  
唇が触れようとした瞬間、摩耶は反射的にかなたを突き飛していた。  
「った〜・・・」  
「ご、ごめん!」  
自分のした事に気付き、摩耶は真っ青な顔で謝った。  
 
「ううん、あたしこそ調子にのっちゃって・・・ごめんね。  
 怖かった?」  
かなたは元の少女の姿に戻ると  
すまなそうな顔でうつむいている摩耶ににじりよった。  
「う、うん・・・」  
摩耶はかなたの視線を感じて顔を上げるとキッと見つめ返した。  
「ね、キスして」  
「・・・・・え!?え!?・・・摩耶ちゃん?」  
しかし、摩耶はかなたの呼びかけには答えずギュッと目をつぶっている。  
(しまった・・・)  
かなたは自分の失敗に気付きつつも、仕方なく摩耶の肩に手を置いた。  
かなたが思いついた選択肢は二つ。  
恐らく摩耶はさっき拒んでしまった事を悪いとでも思っているのだろう。  
だから「嫌だなあ摩耶ちゃん本気にしないでよ」と言って止めるか  
とりあえず何も言わずにキスするか。  
そしてかなたは後者を選んだ。  
前者を選んだ場合、冗談の通じない性格なのを悩んでいる摩耶を  
傷つける可能性があるからだ。  
「ん・・・」  
かなたの唇が摩耶の口に置かれると部屋の中から音が消えた。  
静まり返った部屋に気の抜けかけたサイダーがわずかばかり抵抗をしている。  
「・・・」  
かなたが唇を離すと摩耶はゆっくりとまぶたを開きはにかんだ微笑を向けた。  
「かなたなら大丈夫なんだけどな」  
この摩耶の言葉でかなたはキスの理由を悟った。  
さっき拒んだのは怖かったからでかなたが嫌いなんじゃないよ、  
摩耶はただそれだけを言いたかったのだろう。  
 
「でも・・・キスって気持ちいいね」  
桜色の唇に細い指をあてがい摩耶がぽつりとつぶやいた。  
「ね、もう一回しよ?」  
「う、うん」  
恥ずかしそうにねだる摩耶のお願いを断りきれずかなたは返事をした。  
目を閉じて口をとがらせる摩耶の無防備な表情に胸の奥がざらつく。  
(キスぐらい友達同士でするよね。  
 摩耶ちゃんは友達だから・・・いいよね)  
摩耶の肩にのせた手に力が入る。  
迷いを断ち切るように勢いよく摩耶の口に噛み付いた。  
「んんっ!」  
唇をはむはむと甘噛みして弄ぶと今度はすぐに離した。  
これ以上はいけない。  
これ以上は冷静でいられない。  
「まだ」  
かなたの気持ちも知らず摩耶が拗ねたような目つきで睨む。  
「ちょっ・・ま、摩耶ちゃん待っ・・」  
摩耶はかなたの返事も待たずに唇を奪った。  
かなたの背中に腕を回し抱きしめると前のめりに押し倒す。  
かなたの小さな体に摩耶の重みが遠慮がちにのしかかる。  
「っん・・」  
かなたが唇を咥えられたまま床に倒されると  
摩耶の長い髪が舞い降りて二人の顔を覆い隠す。  
黒髪の帳の中で唾液の擦れる音がひそやかに響き渡る。  
 
「あーあ、かなたが男の子だったらなあ」  
ようやくキスに飽きたと思ったら摩耶がそんな事を言い出した。  
かなたの貧弱な胸板に顔をうずめたまま、どく気配もない。  
「でも、あたしが男だったら摩耶ちゃん友達になってくれた?」  
「わかんない・・・、男の人ってなんか怖いし・・・」  
かなたのからかうような口調に摩耶は甘えた口調で答える。  
「もう、そんなんじゃいつまでたっても・・・」  
かなたは自分の言葉にはっとした。  
今のままじゃ摩耶は男と付き合えない。  
だけど、自分は摩耶に男と付き合って欲しいのだろうか。  
男と付き合うようになれば摩耶が夢魔で悩む事は無くなるだろう。  
しかし、今みたいに自分に頼って甘えてくれる事もきっと無くなる。  
「・・・?かなた?」  
突然黙ってしまったかなたに摩耶が声をかける。  
(あたし、どうしちゃったんだろう。  
 摩耶ちゃんが夢魔に苦しめられなるのは良い事なのに・・・)  
キスなんかしたからかもしれない。  
抱き合ったりしたからだろうか。  
摩耶が男と仲良くする姿を想像したくない。  
「あ、あのさ、そんなに怖がってたら男の人といつまでも付き合えないよ」  
湧き上がってくる醜い感情を必死に打ち消してかなたは声を出した。  
「うん・・・」  
摩耶がうなずいたのを感じるとかなたは唾をのんだ。  
「だからさ、・・・練習してみない?」  
(これは摩耶ちゃんの為なんだ・・・摩耶ちゃんの為になることなんだから)  
自らの欲望の為に行動する言い訳を心の中で何度も唱える。  
「練習?」  
かなたがそう言って身体を起こすと摩耶はまわしていた腕を外し離れた。  
「うん、摩耶ちゃんが男の子に免疫がつく練習」  
「・・・どんなの?」  
かなたはおもむろに立ち上がった。  
 
パジャマのボタンを外し上着を脱ぐとブラを外す。  
(ドキドキしてるの、ばれないよね・・・)  
露わになった貧相な胸を上下させ息を整えると  
かなたは下着まで指にかけズボンと一緒に一気に脱いだ。  
何も言わずに見ている摩耶の前に素っ裸のかなたが現れた。  
一緒にお風呂にも入るし裸自体を見たり見られるのは恥ずかしくない、はずだった。  
「かなた・・・?」  
摩耶の訝しげな声を無視しかなたは精神を集中させた。  
既に後悔し始めているが今さら後にはひけない。  
「くっ!」  
少し苦しげな声を上げるとかなたの身体に急激な異変が起きた。  
無毛の割れ目の上端から顔をのぞかせていた桃色の突起がぐんぐんと大きくなる。  
呆気にとられる摩耶の前でそれは男性器そのものの形へと変貌をとげていた。  
「ほ、ほら・・見慣れたら怖くなくなるんじゃないかと思ってさ・・」  
まるで言い訳のようにかなたは言葉を発した。  
摩耶は何も言わずただかなたのそれを凝視している。  
「摩耶ちゃん・・・?」  
幼い少女の体についている醜悪な形相のペニスははちきれそうに膨らんでいる。  
摩耶はしばらくそれを見つめていたが  
かなたの泣きそうな恥ずかしそうな顔を見てゆっくりと手を伸ばした。  
「あっ・・ま、摩耶ちゃん・・・怖くないの?」  
血管の浮かび上がったそれにそっと指を置くと  
摩耶はもう一度かなたの顔を見た。  
「うん・・・かなたのだから・・・」  
白い指が一本、また一本と添えられる度、赤黒いペニスがピクピクと震える。  
とうとう手の平全体で包み込んでしまうと感触を確めるように何度も握り直す。  
 
「かなた・・痛い?」  
「う、ううん」  
摩耶は真っ赤に染まったかなたの顔を見上げると、握り締めた男性器に向き合い  
そっと口を付けた。  
「あっ・・駄目っ・・」  
思わず腰をひいたかなたを見上げ摩耶は少し微笑む。  
「何が駄目なの?  
 こんなことするんでしょ?」  
摩耶はそう言うとかなたの小さなお尻に手をかけ性器をゆっくりと口に含んだ。  
「あぅゥ・・・ぁんっ・・っ・・」  
摩耶の口から漏れる淫らな音とかなたの口から漏れる歓喜の声が重なって  
静寂な部屋に響きわたる。  
摩耶の稚拙な舌の動きに翻弄されかなたの口から悲鳴に似た声が溢れ出す。  
「これどのくらいやるものなの・・・?」  
摩耶が口を離して見上げると少し放心した後、かなたはしゃがみこんだ。  
そのまま抱きしめると悲鳴をあげる暇も与えず摩耶を押し倒した。  
「摩耶ちゃん・・・お願い・・・」  
摩耶の身体を床に押し付けるとかなたは哀れな声で囁き始めた。  
「あたしに・・・」  
「・・・うん、かなたなら・・・いいよ」  
その返事が発せられたと思うと摩耶のズボンはあっという間に剥かれてしまった。  
「か、かなた・・!?」  
パジャマのズボンを足先まで脱がせたと思うと今度は下着をずり下げる。  
下半身を完全に露出させてしまうとかなたは摩耶の膝を持ち前に持ち上げた。  
「摩耶ちゃん」  
パジャマの上着の裾をめくり、ぴったりと閉じた秘裂にあてがう。  
「かなた・・・」  
摩耶が目を閉じるとかなたは腰をゆっくりと突き入れた。  
 
「ん・・ぐゥ・・くぅ・・」  
摩耶が苦しげな声を上げるたびにかなたは動きを止める。  
しかし、少しずつではあるが確実に摩耶の中に侵入させていく。  
「ぁふっ・・」  
かなたも摩耶に負けじとうめく。  
摩耶の苦しげな声に対してかなたの声はただ悦びのこめられた声。  
肉体的な快楽と摩耶が受け入れてくれた事への喜びが混ざり合い  
かなたの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。  
「んあぁっ・・」  
悲鳴をあげてかなたの身体が小さく痙攣する。  
何度か突いただけですぐに絶頂に達しかなたは摩耶の上に倒れこんだ。  
「はぁ・・・はぁ・・・かなたもう終わり?  
 じゃあ今度は・・・はぁ・・こっちの番ね・・・」  
激しく胸を上下しながら言った摩耶の言葉の意味をかなたは理解出来なかった。  
「ま・・摩耶ちゃん・・・」  
かなたが顔を上げて見た摩耶の頭には黒い飾りがついている。  
かなたはそれに気がついてはっとなった。  
摩耶が夢魔と合体した時の姿だったからだ。  
その上、いつの間にか摩耶の手はかなたの尻たぶを掴み外側に肉を引っ張っている。  
「かなた、じっとしててね」  
摩耶のお尻から伸びた尻尾が蛇のように首をもたげた。  
その先端はかなたの股間から生えていたものとそっくりな形をしている。  
「摩耶ちゃん!」  
それが陰裂にあてがわれた時、かなたは身体を起こそうとした。  
しかし、それより早く尻尾はかなたの中に突き刺さっていた。  
「んああっ!」  
崩れ落ちたかなたを受け止め摩耶は尻尾を蠢かせる。  
「あっ・・凄い・・かなたの中・・・あったかあい・・・」  
 
「かなた動いちゃ駄目え・・・」  
「あっ・・・だって・・摩耶ちゃんがあ・・・」  
摩耶の尻尾がかなたの女をえぐる度にかなたの身体が動かされる。  
それはそのまま摩耶の中に突き立てられたままのペニスも動くという事になる。  
犯しながら犯されている状況のまま、結構な時間を過ごしていた。  
「あうぅ・・・」  
胸のふくらみ同士を擦りつけるように摩耶の上でかなたが揺れている。  
口からはだらだらと涎があふれ、  
知性のカケラも無いような目で空を見つめている。  
「お願ぃ・・もうやめ・・うぁっ」  
「かな・・が・・・先にぃ・・・んぁっ!」  
「ま、摩耶ちゃんが・・・止めてくれないと止められないよお・・」  
繋がったまま、何度もこんな会話を繰り返している。  
射精という区切りすらない二人は止めるきっかけすらない。  
「かなたが・・ハア・・ぁ・・約束するなら・・・・」  
「何・・何でも・・何でもする・・・あたし摩耶ちゃんのためなら何でもするから・・・」  
これ以上続けば狂ってしまうのではないかという不安から  
かなたは懇願していた。  
「ずっと・・・ずっと一緒にいるって・・・」  
「いるっ!・・いるよ!一緒に!だからもう・・んああ!」  
かなたの身体が一際大きく跳ねる。  
ずるりと野太い尻尾が引き抜かれ  
かなたはのろのろと摩耶の横に倒れこんだ。  
疲れきった体に淫魔の罠に陥ちた後悔が浮かぶ。  
(でも、摩耶ちゃんだから・・・いいかな)  
幸せそうに眠る摩耶を横目で見て、  
かなたは笑みを浮べながら眠りに落ちていった。  
 

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