「セリオスさまぁ……、どうしてこんな奴隷みたいな格好で、街に入らないといけないんですかぁ?」  
ディーナはソニアの戦闘服よりもさらにきわどい服を着せられ、困惑していた。  
いやきわどいって言うか、殆どブラジャーとパンツだけの状態で、  
大マントを被って中身を見せないようにしているだけの格好だ。   
二人は、ファーレン王国の港町(名前忘れました(T_T )に一泊する事にしていた。  
無論、王城の爺達には、新婚旅行兼ねとか、視察とか言って連絡済みなので、そう困る事でもないのだが…  
ディーナには、過去に奴隷商人にとっつかまった思い出があるので、この衣装に抵抗があるのである。  
「んーー、でも、やっぱ奴隷の様な美女を連れてないと、査察も上手くいかないだろうしねぇ…」  
そう言って、セリオスは、ハハハンと笑う。  
「んーー、やっぱり私達がやるんですかぁ? 地下奴隷商人の摘発……」  
ディーナは真っ赤に成ってセリオスを仰ぎ見る。  
「まぁ、兵士達にやらせてもいいケドさ……、僕って、自分の足で歩き回るのに慣れちゃったから……  
 やっぱ自分の目や頭で理解できる状態で、治安維持とかしたいんだよ…」  
そう言ってセリオスは、笑う。  
そんなセリオスの言葉に、ディーナは無意味に真っ赤になるしかなかった。  
セリオスと自分は随分違う王族の過ごし方をしてきたと思う。   
自分は侍女にチヤホヤされていたのに、セリオスは父を殺され母と別居させられ  
クーデターを起こしてまで国を奪い返すという様な、苦渋を舐めてきたのである。  
だからこそ、彼は何時もディーナの意識の中の下々の者達が、大切な仲間であったのだ。  
それを思って、自分の旦那が自分よりも知らない人と友達に近い関係である事に嫉妬する。  
(私って馬鹿かな……)  
ディーナは、よく分からない存在、抽象的な存在に嫉妬している自分に呆れるしなかかった。  
 
「ディーナ、ごめん……、奴隷の服……昔の事思うと……嫌だろう? やっぱり……辞めようか?」  
そう言ってセリオスはディーナの髪をそっと撫でた。  
綺麗なディープブルーの長い髪。   
ツインテールにしているとバレバーレになるので、ディーナはストレートに落としていた。  
そうやって髪を撫でられると、また赤面してしまう。  
「でも、セリオス様は、査察を絶対にするんでしょう? それも私が駄目なら、他の女の人と!」  
そう言ってディーナはぷいっと横を向く。  
「まぁ、地下奴隷商人組織の摘発が目的なんだから、誰かは囮にしないとねぇ……  
 まぁ、誰が囮になったとしても、僕が守るから大丈夫だよっ それはっ」  
そう言って自分の胸をトンッと叩くセリオス。  
「駄目っ! 駄目っ! 駄目っ! セリオス様が、他の女の人と親しくしているのなんか絶対に嫌ですっ!!  
 セリオス様が守ってくれて、絶対大丈夫なんなら、それはセリオス様の妻の私の仕事で十分ですっ!!」  
そう言って、ディーナは恥ずかしながらも、自分の旦那と一緒に居たい一心でセリオスにさばりついた。  
そんなディーナの仕草を見て、柔らかく微笑むセリオス。  
随分自分に惚れ込んでくれるモノだと、こそばゆくなるしかなかった。  
そして未だに、許嫁という呪縛で彼女を自分の胸の中に抱きしめて居る事に罪悪感を感じてしまう。  
もう、十分、そんな制度の問題を越えて大恋愛の最中に居るというのに……  
それを思ってやっぱりセリオスは笑った。  
「じゃ、いいね?ディーナ……、行こうか……」  
そう言って頬にそっとキスをして、セリオスとディーナは手を繋いで港町に入っていった。  
 
あからさまに、いかがわしそうな酒場。  
そこをセリオス達は選んで中に入った。壁側のテーブルに座り、  
ディーナの顔と、微妙にちらっと太股がギリで見えるか見えないかの瀬戸際までローブを開かせて座る。  
セリオス的には血涙のセッティングだったが、餌を美味しくしなければ魚が食いつかない。  
ディーナも大国の姫、更にはこの国の王妃でありながら、相当、肉体的にも精神的にも頑張っていた。  
ディーナの足首には、奴隷用の足かせ具がはめてあり、  
足を片方見せるだけで彼女が奴隷だと言う事を周囲に知らしめた。  
時刻は夕暮れ、荒くれ者の船乗り達が酒場にやってくる頃合いだ。  
と、待ちかまえていると、案の定、ゾロゾロと大男達が入ってきた。  
昔、出会った船乗りが居たら問題とばかりに、セリオスも金髪を茶色に染め、髪型も微妙に変えている。  
さて、どうだろうか… とセリオスは入ってきた男達を盗み見た。  
昔の知り合いは居ない。 だが男達は女を連れている……。 そう足かせに鎖と鉄球。  
明らかに、彼ら用の奴隷だ。  
それを確認して、一瞬、殺気にも似た気合いがセリオスの肉体から迸った。 しかし瞬時にそれを殺す。  
男達は、ガヤガヤと酒や肉をマスターに頼み、奴隷の女達を侍らせて宴会を始める。  
いけ好かない吟遊詩人が、その羽振りのいい船乗り達と一緒に歌い出した。  
酒場は活気にあふれ出す。そんな時、セリオス達一行をようやく見つけたのか、  
1人の大男が、二人の方に近づいてきた。  
 
「おい、優男のにーちゃんよぉ……、良さそうな女はべらかしているじゃねーかよ……」  
そう言って大男は、二人の真ん前まで近づいた。  
セリオスは場に合わせて陰気な表情をし、めんどくさそうに視線を上げる。  
「……兄ちゃん、見ない顔だな……、隣の国からの流れ者か?」  
大男は更にくってかかってくる。 セリオスは沈黙して目の前のパンにかじりついた。  
今度は大男は、ディーナの方に寄った。 ディーナの表情が激しく曇る。  
大男はおもむろに、ディーナの顎に手をやり無理矢理、顔を自分の方に向けさせた。  
「おおお……、こりゃぁ相当の上物だぜ……、兄ちゃん……あんた……羨ましいねぇ……」  
さっと目の前の美女を値踏みし、その破格の値段に大男は狂喜した。  
ディーナは嫌っとばかりに、大男の手を振り払う。   
その時、ローブから腕を出したので、その中の半裸の肢体が大男の眼に焼き付いた。  
「ひゅーーー、体つきもたまんねぇなぁ……、こりゃぁ、高く売れる奴隷だぜぇ?」  
そう言って大男は嫌らしそうに笑う。 ディーナは真っ赤になってローブでその体を隠した。  
演技ではなく完全に本気で恥ずかしがってそうしたのだが、それがかえてリアルに映り、目的達成には上々だった。  
しかし、逆にセリオスは心の中で、ガクガクブルブル震え、  
今にも男を殴り倒して、自分の愛妻への視姦を止めてやりたい所だった。  
セリオスは今にも震えだして飛び込みそうな自分の衝動を抑え、寡黙な様子を懸命に維持した。  
「でも、にーちゃん知っているのかい?」   
男は嫌らしそうな笑みでセリオスに突っかかった。  
 
「何をだ?」  
セリオスは影のある表情と低い声を使って、凄みのある青年を演出した。  
その仕草が妙にはまっていたので、思わず、周囲の全員が息をのむ。ディーナさえも。  
(キャャァァーー、セリオス様、素敵ぃぃっ!! こんなカッコイイ顔もできたのねっ♪)  
ディーナは思わずそんな事を考えてしまったが、しかし、今は状況が状況だ。  
沸き上がるような笑みを必死に押さえて、沈んだ暗そうで哀れそうな少女の演技に務める。かなり苦しんだ。  
「この国は奴隷は、御法度だぜぇ? 見つかったら衛兵に捕まるんだぞぉ?」  
大男は、そう言ってへっへっへと笑う。  
「それを言ったら、お前等だって同じ様なもんだろうが……、国の法を犯してまで商売やるんだ…  
 多少の危険は承知の上だ………」  
そう言って、またパンを手でちぎっては、それを口にするセリオス。   
またパンを同じようにちぎって、今度はディーナの方に投げた。  
「食え、セルティヌ……、売り物が道中でポンコツになったらかなわん……」  
そう言って、散々、ここに来る前に予行演習でやってきた台本集の一部を使って、  
セリオスはディーナに最もらしく演技を促した。 ディーナも一生懸命練習した事もあり、お互いの偽名のやり取りを  
思いだしては、投げられたパンの切れ端を恐る恐る手にし、口にする。  
流石に王家の才女として周囲に教育されているだけあり、彼女の演技は見事なものだった。  
いや、一度、奴隷として盗賊王に売られているという、リアル体験もあったせいか、演技が生々しかった。  
ただし、一つだけ驚くのは、与えられたパンの堅さ……。   
盗賊王ゲイル1世の所では、奴隷に与えられる食料はかなり上等なものだったのだ。  
ディーナはかみ切れないパンに、驚き、食べるのに四苦八苦する。  
 
「言うねぇ……兄ちゃん……だがな……俺達は衛兵と懇意だからなぁ……  
 ちょっとこれを持たせてやると、話の通りが早いのさ……」  
そう言って大男は親指と人差し指で輪っかを作り、金貨のジェスチャーをした。  
その言葉に眉をひそめるセリオス。 衛兵に金貨。 つまり賄賂で口裏を合わせているという事だ。  
セリオスは、一番遠くの港町の衛兵達が買収されている事に、溜息をつくしかなかった。  
大男は続ける。  
「お前さんみたいなモグリの商人が、この国で商売するのは難しいぜぇ〜、  
 何せ、この国の王様は化け物だからなぁ…… あの破壊神と恐れられたアグなんとやらと  
 その配下のモンスター達を4人で血祭りに上げたっていうじゃねぇか……  
 怪物相手に四苦八苦してた俺等からすれば、どっちが化け物なのかわかりゃしねぇ……  
 衛兵に捕まって、そんな王様の前に連れて行かれたら、どんな処刑をされるかわからんぜぇ〜」  
そう言って大男は、目の前のモグリの商人を恐れさせようと、言いたい放題の事を口にする。  
セリオスの心の中にビシリバシリと怒りの血管が浮かび上がった。   
ディーナもディーナでそれを耳にして、思わず吹き出しそうな所を必死で押さえて顔を下に向ける。  
「化け物ねぇ……そりゃぁ、怖い……」  
セリオスは必死になって、怒りを堪え忍び、寡黙に演技を続けた。  
「そうよ……、恐ろしい王様なわけよ……、だからよぅ、俺達にこの女を任せたらどうだ?」  
そう言って大男はディーナの腕を掴もうとする。 その仕草にとっさにディーナは男の腕を交わす。  
女剣士としての修行をチマチマ続けてきたディーナだったので、現在LVは5。  
まぁ、それなりに、そこそこ、兵士と戦えるかどうかの微妙なラインだった。 なので交わすくらいは出来る。  
「あんだ、このアマァ〜?」  
奴隷が生意気にも逃げ出した事に、大男は癇癪を起こした。 ディーナはとっさにセリオスの後ろに隠れるように移動する。  
 
「…・…ふん、そんな事を言って、美味しい上がりをすっぱね様ってハラだろう?  
 お生憎、前に人に商談を任せて手痛い目にあったからな……他人任せにはしねぇ  
 こんな飛び切りの上玉を簡単に手放せるかってよ……」  
そう言ってセリオスはディーナを腰側に抱きかかえる様に自分の元に引き寄せ  
大男から離した。  
「言うねぇ、兄ちゃん……、しかし、こんだけ大勢の男を相手に、それだけ大口が叩けるもんかい?」  
そう言うと大男はパチンと指を鳴らして他の者達を呼び寄せる仕草をした。  
すると、その音を聞きつけて、他の男達もお楽しみ中を中断してそちら側を見る。  
「おいおい、ドノバン〜、1人相手にみんなでやるのかぁ〜?」  
そう言って他の男達は合図にゲラゲラと笑う。  
「ちょっとドノバンよ……、店での面倒は勘弁してくれよ……、  
 衛兵にお前等がふんじばられたら、こっちも商売あがったりだ……」  
今度はマスターが大男、ドノバンと呼ばれた男にそう語りかける。  
「マスターよぉ、衛兵にはこの店でちょっと暴れても見逃してくれるように金を積んであるんだ……  
 多少の事じゃ、見て見ぬふりをしてくれるさ………」  
マスターの言葉にドノバンは反応して、逆に嫌らしそうな笑いでヘッヘッヘと漏らす。  
そして、ドノバンはセリオスの胸ぐらを掴んだ。  
「さぁ、兄ちゃん………どうする?」   
そう言ってドノバンはセリオスを睨んだ。  
「そうだな……」  
セリオスは低い声で返す。  
「今なら、その女……1000ゴールドで手を打とうじゃねぇか…え?」  
ドノバンは相手を恐喝しながら、相手の譲歩を促す金額を提示する。  
 
(1000ゴールド!?) ドノバンの言葉を聞いて、ピシッっと今度はディーナの方に青筋が立つ。  
セリオスも似たようなモノで、その金額に引きつった笑いを堪えるのに必死になった。  
(安っ……)(安っ……)  
2人の意識がその時、シンクロした。  
(かっ、かっ、仮にもっ、一国の王妃を品定めで、せ、せ、1000ゴールドなんて……  
 こっ、この男……、処刑してやりたいっ………)  
いくら温厚なディーナといえど、流石に剣一本分の金額で見定められては  
不穏な気持ちが生まれるのも無理からぬ事であった。  
あまりの言葉に、セリオスがフォローを入れる。  
「そんな馬鹿な取引があるかっ! これだけの上物、最低価格でも5000Gは下らねぇぜ…  
 桁が1つ2つ間違ってるぜっ! 取引するなら、1万から10万用意しな……」  
そう言ってセリオスは相手の要求をつっぱねる。  
「はぁ? 最低1万ゴールド用意しろだぁ? そっちこそ馬鹿言うんじゃねぇよっ!  
 そんなピカピカの魔法武器が買えるような金額で、奴隷を取引する馬鹿が何処にいる!?  
 言うに事欠いて10万ゴールドだと!? お前は、1国の軍隊でも養う気か!?」  
ドノバンはセリオスの迂闊な反論に、思わず吹き出して大笑いをするしかなかった。  
仲間も、そんなセリオスの言葉に大笑いを始める。  
そこはそれ、そこら辺の化け物を殴り倒して、カツアゲしてきたセリオスである。  
10万ゴールド等、何でもない金額であった……というセンスが、世間からずれていた。  
「兄ちゃん、まぁその上物が、5000ぐらいの高値になるってのはイイ線見てるが、  
 こっちも、アガリって奴が要るからナァ……、俺達は力尽くってのは嫌いじゃねぇぜ?」  
そう言ってドノバンは、ひっひっひと笑ってセリオスの胸ぐらを掴んだ。  
 
「馬鹿を言い続けてるんじゃねぇ、この上物を手にするのにどれだけ苦労したと思ってる?  
 俺は、これぐらいの器量だったら、噂のこの国の姫様ともトントンぐらいで  
 品定めが出来てると思っているんだ……てめぇらみてぇなゴロツキ相手じゃ、  
 100万ゴールドの取引でも惜しい物品だぜっ」  
言ってセリオスは唾を吐く。 ドノバンは顔に唾を受け、顔を皺にさせた。  
(キャー、もぉーセリオス様、しれっと私のフォローして口説いてくれるなんて素敵ーーー)  
ディーナは必死に演技しているセリオスとは裏腹に、間接的に誉め殺された事に喜んで  
ぎゅーっとセリオスの腕を両手で抱きしめるしかなかった。  
「噂のディーナ姫様と、同じだとは、大層な口を吐きやがるな……若造……  
 てめぇ、そんな言葉が、化け物セリオスの耳にでも入ったら叩き殺されるぜ?  
 ま、俺達が、叩き殺すのが先だけどよぉ……」  
そう言って今度はドノバンがセリオスに唾を吐いた。  
(その化け物セリオスって呼んでる人を目の前にしているんだけど……この人……幸薄だなーー)  
ディーナは目の前の、とても可哀想な悪漢を見つめて、思わず同情してしまった。  
奴隷売買、不敬罪、国王に暴行……、犯罪数を数えただけで、  
獄死は免れないナーとディーナは心の中で笑う。  
「おもしれぇっ! やってみろよ? 糞野郎っ!!」  
セリオスも、その言葉と唾にプッツン理性のタガが外れる。  
「糞ガキがぁっ!! 野郎共、獲物を奪うぞっ!!!」  
ドノバンの号令と共に、その荒くれ者達が呼応して飛び出してきた……。  
(数分後)  
「………も、申し訳ございません………」  
その荒くれ者達は、死なない程度に半殺しにセリオスにされた。  
「オヤジ、騒がせてすまんな……、近くの宿にでも退散するわ……」  
そう言ってセリオスは、まずまずの最初のコンタクトを終了させた。  
 
 
酒場から、わりと歩いた後で、高くも安くもない宿を取ってそこに宿泊するセリオス達。  
宮廷に比べると不味い食事を終わらせて、自分達の部屋に籠もるが、  
ベッドも清潔とはとても言い難かった。   
流石にこれはどうかと、浄化の魔法を用意していたセリオスは、ベッドの消毒だけは行う。  
しかし、不潔を浄化したといっても中身であり、貧相なベッドである事は変わりなかった。  
「ゴメン、ディーナ、こんな生活ばっかりさせて……」  
そう言ってセリオスは頭をかいた。  
姫君として、高級で清潔な部屋で過ごして来たディーナには、  
こんなセリオスの「普通」の生活は、耐え難い事ではないかと心配する。  
そんな気遣いを感じて、ディーナは赤くなるしかなかった。  
礼を言いたくなるのはディーナの方である。  
セリオスの背中に付いていく事で、ようやくセリオスがしようとしている事をディーナは理解した。   
そう、この下々の者達の生活に触れ、それを理解し、分かってやる事。  
それがセリオスがこれから行おうとする治世の礎になるのだという事。  
何より、視点を同じにしてやる事こそ、本当の民意を知る事になるのだ。  
それは昔の自分の様に、宮廷で御菓子を食べている生活では、とうてい知り得るものではなかった。  
セリオスは潜在的に名君になる性質を持っていると、ディーナは感嘆するしかない。  
ディーナはそんな照れを隠すために、憎まれ口を叩いて誤魔化そうとした。  
「わ、私は、今は、セリオ…ス様じゃなかった、奴隷商人のデュークに連れられている  
 女奴隷のセルティヌですから〜、これぐらいの事はへっちゃらですっ」  
そう言って、その官能的な格好のまま、セリオスの前で一回転する。  
 
ディーナが一生懸命強がっている事に、セリオスは目頭が不意に熱くなった。  
何で自分の妻をこんな目にあわせなければ……そう思って自分に憤慨する。  
しかし、ディーナは下を向くセリオスの手を取って、笑顔で彼を迎えた。  
「私はセリオス様のお嫁さんですもの……セリオス様の歩む道に何処までも着いていきます」  
そう言ってディーナはセリオスに抱きついた。  
「ディーナ……」  
彼女の心使いに、セリオスは感謝するしかなかった。  
「セリオス様……、いえ……今日は奴隷商人のデュークさん……一緒に御風呂に入りましょう…」  
艶っぽい声を上げてディーナは、すこしかいた汗を流そうと御風呂に誘った。  
そのディーナの大胆な発言に、思わずドギマギするセリオス。  
「えっえええ!? 御風呂?」  
ディーナに引っ張られながら、風呂場に連れて行かれるセリオス。  
「だって私は、デュークさんの女奴隷ですもの……女奴隷の夜のお勤め前に、  
 軽く一汗流しておかないと………」  
そう言ってディーナは顔を真っ赤にさせて、クスクスと笑った。  
ディーナはパンツとブラを脱いで、お世辞にも綺麗とは言えない風呂場に入る。  
そんな非情に積極的なディーナに圧倒されて、セリオスもおずおずと風呂場の中に入っていく。  
「あの……その……それじゃぁ……よろしくお願い致します…ディーナさん……」  
セリオスは裸になって、改まってディーナにそう言った。 その言葉にチッチとディーナは指を振る。  
「セ・ル・ティ・ヌ♪」  
そう言って微笑んでディーナはセリオスの唇に自らの唇を重ねた。  
 
薬草を用いて作られた石鹸というものは、既にこの時代に出来ていた。  
身を浄化するという必要性は、古代であっても十分理解されていたのである。  
その石鹸を使って、お互いに泡だらけになっている2人。  
最初は、ディーナが御奉仕とばかりに胸を使ってセリオスの背中を擦るなど  
嬉し恥ずかしな事をしていたわけだが、その愛撫に辛抱たまらなくなって  
背中から引き寄せてセリオスはディーナと正面から抱き合っていた。  
お互いに抱きしめ合いながら、深く唇を重ね合う2人。  
ディーナの石鹸まみれの胸を、セリオスは揉んで、洗浄の様な愛撫のような  
中途半端な行為を繰り返していた。  
ディーナもディーナで、これから致す重要なセリオスの部分を、その手で扱きながら洗う。  
2人はこんな場所で異常な程、興奮を覚えていた。  
セリオスは、ディーナの秘部を石鹸の泡と共に刺激した。  
「あ………」  
ディーナは自分の大事な部分を、他人に洗浄されている事に、思わず恍惚の呻きを上げる。  
「嫌だった?」  
セリオスは、そんなディーナの声に、思わず手を止める。  
セリオスが手を止めた事で、ディーナは逆に眉をつり上げた。  
「セリオス様にされる事で、嫌な事なんて1つもありませんー」  
そう言って自らの秘部を愛撫するようにセリオスの手をとって誘うディーナ。  
「奴隷商人のディークじゃなかったけ?」  
ディーナがロールプレイの役割間違いをした事に、意地悪そうに突っ込むセリオス。  
「あ……」 と、自分の間違いを驚こうとしたが、その前にセリオスの手がディーナの秘部を責め立てた。  
「あぁは……はぁ……ん、セ、セリオスさまぁ……あんっ……」  
ディーナは自分で始めたイメージプレイの事も忘れて、セリオスの愛撫に声を漏らすしかなかった。  
 
 
 

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