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月夜に響く、ハーモニカの音色。
悲しく、沈痛なメロディ。
「…………」
音の主であるヨシュア・ブライトは 学園の旧校舎で一人、闇を観客に
演奏をしていた。
短い黒髪に、スッと整った顔立ち。
曲目は星の在り処。
帝国で数年ほど前に大衆の間で好んで演奏されていたもので、現在でも
地方の都市や町で聞くことが出来る。
貴族の青年と幸薄の少女の悲哀を描いた曲。
しかし、この国で知っているものは少ないだろう。
演奏も終わり、ヨシュアはハーモニカをズボンのポケットに閉まった。
「エステルかい?」
後ろを振り返らずにその相手に聞く。
「クローゼです」
予想すらしていなかった。
「こんな時間に……クローゼ、どうしたの?」
とヨシュアは聞いた。
エリート達が自ずと集まる 学園では校則も、寮の規則も厳しいはず。
「ふふっ、それを言うならヨシュアさんだって……寮から抜け出してハー
モニカを吹いているじゃないですか」
クローゼは口に人差し指を当て、控えめな笑みを浮かべた。
「そうだね」
ヨシュアも笑顔を浮かべる。
見詰め合う二人。
月明かりに照らされたヨシュアとクローゼ。
彼の瞳に見つめられ、少女は頬を紅く染めて、目を僅かにそらす。
「……じつは」
途切れそうなほど細い声。クローゼは勇気を振り絞り。
「……実はヨシュアさんの姿を寮の窓から見かけて……ついて来たんです」
と言った。
それがクローゼの精一杯。
「それなら声をかけてくれれば良かったのに、君の為だけに演奏をしてあげたんだよ」
ヨシュアは俯いた少女の体を抱きしめる。
見た目以上に細く華奢な体。
芳しい女の香り。
「あの……ヨシュアさん? どうなされたんですか」
「ヨシュアでいいよ」
クローゼの首筋に、頬に、唇に味わうような濃厚なキスをした。
「……はい。ヨシュア」
煌々とした表情で次々と体中から吹き荒れる快楽を貪り、再びキスを求めるようにクローゼは瞳を閉じる。
「誰よりも優しく、女らしいクローゼが好きだよ」
「私もあなたの……ヨシュアの事がはじめて出会ったときから好きでした。寂しげだけど、時々見せてくれる笑顔。
そして優しい声が」
「よかった」
ヨシュアは少女の唇を味わう。
クチャクチャと卑猥な音を立てながら。
スカートの中に手を入れ、少女の性器を隠している薄布を取り去る。
無毛の恥丘に手をあてがう。
つるつるとした少女の肌。
「……はず……かしいです」
クローゼの白い肌が耳まで赤く染まっていた。
夜はまだ始まったばかり、二人の痴態は続く。