王立学園クラブハウス2階、夕刻告げる光に染まる生徒会室。そのなかを  
二人の少女がこっそり会話をしていた。丸渕の眼鏡をし、硬骨辺りまである  
長髪を赤いリボンでポニーテールにした少女、もう片方は、  
青いショートヘアを髪留めで綺麗にまとめ、制服をきちんと着こなす、  
穏やかな表情の少女。  
ジル「ほんと、いいコ連れてきたわねー」  
クローゼ「私が誘ったんですわ、当然です」  
含みのある笑みを浮かべながら、これから始まる宴を予感し、潤んだ瞳に  
夕日を映した…。  
 
ジェニス王立学園、王家によって設立された伝統ある学校。広い敷地内には  
学舎を中心に、講堂、クラブハウス、さらに男女別の学生寮もあり、  
不自由なく勉学に励むことができる環境が整っている。  
エステルとヨシュアは、学園祭の演劇手伝いという依頼をこなすため立ち寄った。  
講堂で各衣装合わせしたあと、その二人は生徒会副会長のハンスと一緒に  
学内を見学している。ジルとクローゼは、学園祭の進行について  
打ち合わせすると言って、生徒会室に戻った。  
本当は、別の進行についての打ち合わせだが…。  
ジル「さっそく今夜から?」  
クローゼ「二人ともまだ緊張してますわ。明日にしましょう」  
ジル「えー?」  
クローゼ「急いては事をし損じるっていう東方の言葉もあります。  
まだ学園祭まで時間ありますし、ちょっとは我慢しましょう」  
ジル「はーい。まあいっか、ついでだからちょっと確認させてね」  
 
その夜、二人はエステルを連れて女子寮の自室に戻った。  
クローゼ「……では、エステルさん。手前のベッドを使ってください」  
エステル「サンキュ♪ でも、クローゼさんとジルさんって同じ部屋なんだ。  
道理で仲がいいわけね」  
クローゼ「ふふ……学園に入って以来の仲です」  
ジル「ルームメイトにして腐れ縁ってところかしらね。ところでエステルさん。  
一つ提案があるんだけど……」  
エステル「なに?」  
ジル「私のことは、ジルって呼び捨てにしてくれるかな? さん付けされると  
なんだかムズ痒いのよね〜。代わりに私も、エステルって呼び捨てにさせて  
もらうから」  
エステル「あはは……うん、そうさせてもらうわ」  
クローゼ「でしたら、私のこともどうか呼び捨てにしてください。その方が  
自然な気がしますし……」  
エステル「そう? だったら遠慮無く……ジル、クローゼ。しばらくのあいだ  
よろしくね♪」  
クローゼ「はい、こちらこそ」  
 
ジル「まあ、女所帯だし気軽に過ごしてもいいわよ。建物の中にいる限りは  
男子の目も気にしなくていいし」  
クローゼ「だからと言ってだらしないのは感心しないけど」  
ジル「はあ〜、これだからいい子ちゃんは困るのよね。カマトトぶっちゃってもう」  
クローゼ「あ、ひどい。そんな事を言う子にはお菓子焼いてもあげないから」  
ジル「あ、うそうそ。クローゼ様。私が悪うございましたです」  
クローゼ「だーめ、反省しなさい」  
エステル「……………………」  
クローゼ「あら……?」  
ジル「どうしたの、エステル? まじまじと見詰めたりして……」  
エステル「あはは、いやあ〜……なんだかうらやましいなって」  
ジル「うらやましい?」  
エステル「あたしもロレントに仲のいい友達はいるけど……せいぜい、  
お互いの家にお泊まりするだけだったのよね。こんな風に、気の合う友達と  
一緒に暮らせていいなって思って」  
 
ジル&クローゼ「……………………」  
ジル「……クローゼ、どう思う?」  
クローゼ「どうって言われても……エステルさんに羨ましがられるのは  
ちょっと納得いかないような……」  
エステル「へ?」  
ジル「あ、やっぱり? なに言ってやがるんだ、このアマは、って感じよね」  
エステル「な、なんで!?」  
ジル「あんたねぇ……自分が、誰と一緒に旅をしてるのかわかってる?  
自宅では、一つ屋根の下で暮らしていたんでしょーが」  
エステル「え……それって。もしかしてヨシュアの話?」  
クローゼ「もしかしなくてもそうですよ」  
ジル「あんな上玉の男の子といつも一緒にいるくせに女所帯を羨ましがるとは……  
もったいないオバケが出るわよ?」  
エステル「も〜、何言ってるかなぁ。ヨシュアはあたしの兄弟みたいなもの  
だってば。何年もの間、家族同然に暮らしてきたんだから」  
ジル「ほほう、家族同然ね……あんたがそのつもりでも、  
ヨシュア君の方はどうかしら?」  
エステル「え?」  
 
ジル「あの年頃の男の子って抑えが利かないって言うし。まして、あんたみたいな  
健康美あふれた子が側にいたら色々とつらかったりして……」  
エステル「……………………」  
クローゼ「もう、ジル! ごめんなさい、エステルさん。ジルってば、  
興が乗ると人をからかう悪癖があるんです」  
ジル「ぶーぶー。悪癖ってなんだよー」  
クローゼ「何か文句でも?」  
ジル「や、滅相もないです」  
エステル「あ、あはは……も〜、ビックリさせないでよ。そんな、まさかねぇ。  
ヨシュアが……だなんて」  
ジル「意識してる、意識してる」  
クローゼ「ジル!」  
ジル「おっと、忘れてたわ。寝る前に日報を先生に提出しなきゃ。それじゃ、  
おやすみ。先に寝ちゃってていいわよ」  
そう言ってジルは部屋を出て行った。  
クローゼ「まったくもう……そうだ、エステルさん。私のでよかったら  
パジャマを貸しますけど……」  
エステル「……………………」  
クローゼ「エステルさん?」  
エステル「ふえっ!? あ、ああ、パジャマね。うん、何でもいいから貸して」  
 
エステルが寝付いたのを確認、クローゼはこっそり女子寮を抜け出し、  
クラブハウスの生徒会室に行く。扉を開けると、薄暗い部屋の窓側、  
月明かりを背景に、ジルのシルエットが浮かんでいた。  
ジル「……お姫様は寝た?」  
クローゼ「もうぐっすり、羨ましいくらい。それより、ジル。言いすぎよ」  
ジル「なにいってんの、無自覚なアマちゃんにはちょうどいいくらいだわ。  
それに、二人の関係も推し量れたしね」  
クローゼ「やっぱり。それを試してたんだ、悪い子ね」  
ジル「あのぶんだと、安心してヨシュア君をいただけるわ。たのしみ〜」  
クローゼ「ふふっ……あんまり、おぼれちゃだめよ」  
ジル「あら? 私の火に油を注いだのは誰でしたっけ?」  
クローゼ「もう……本当に悪い子」  
ジル「ええ、悪い子です♪ こんなことをしちゃうような……」  
ジルはそっとクローゼに近づき、両手で胸を揉み始めた。  
クローゼ「やっ…今日は駄目ですよ。エステルさんがいるのに……」  
ジル「もう寝たんでしょ? 気にする必要ないわ」  
クローゼ「そんな……んむっ」  
唇を塞がれ、言葉が途切れた。塞ぐだけのキスをしながらジルは、少し強めに  
クローゼの胸を揉んでゆく。ジルの肩に両手をかけ、弱く抵抗したが、  
ジルの攻めはより強くなり、口の中は互いの舌と唾液で粘液質な音を響かせ始めた。  
クローゼが抵抗を諦め、両手をジルの腰にまわした頃、ようやく互いの唇が離れた。  
ジル「クローゼ……しよ」  
クローゼ「眼鏡を外して頂ければ……冷たいレンズが顔にあたって、  
ジルの唇が楽しめませんわ」  
ジルのスカートを脱がしながら、瞳は淫靡な光に濡れていた。  
 
月明かりの差し込む床の上で、全裸になった二人が絡み合う。  
ジルは床に仰向けとなって、両手で自分の胸を揉みほぐす。大股開きとなった  
股間にクローゼは顔を埋め、クリトリスのまわりを優しく舌でつつきながら、  
ジルの尻や脇腹を攻めていった。  
ジル「はっ…あ…クローゼ…いいよぉ…」  
クローゼは答えるように強く吸う。ときどき感じすぎたジルが両足で顔を挟むので、  
呼吸が苦しくなるが、ジルの喘ぎを聞いていると、体の中から黒く淫靡な  
気持ちが湧き出る。ジルを責めていた両手を自分の股間に這わすと、  
すでにしっとりと粘り気を帯びていた。右手で股間を刺激し、左手で  
自分の胸を揉む。体がだんだんと敏感になってゆく。  
クローゼ「んっ…んっ…ぴちゃ…ジル…いい?」  
ジル「うん、いいよぉ…クローゼも、気持ちいい?  
あそこから垂れる液が見えてるよぉ…」  
クローゼ「やん……見ちゃ駄目……んっ」  
ジル「あぁ! そこ…いいよぉ…あっあっ……」  
恥かしいこと言ったお返しとばかり、クローゼはジルの膣をしつこく舌でつつく。  
これまで幾度と無く重ねた体、ジルの弱点も熟知していた。クローゼ自身も、  
かなり性感が高まっていたが、ジルを先にイかせることに専念することにした。  
舌で感じやすい所を突きながら、両手で尻を撫で揉んだり、胸を揉む。  
 
しつこくならないよう、たまに股間から顔を上げ、キスをする。  
クローゼ「どう……自分の味は?」  
ジル「はぁはぁ……クローゼ、今日はなんか激しい……もしかして、怒ってる?」  
クローゼ「あら、私は明日まで我慢しようって言ったのに……火を付けたのは  
ジルでしょ? 怒ってなんか……いませんよ?」  
ジル「……ふぇーん、クローゼが怖いよぅ」  
クローゼ「あら失礼ね。そんな失礼な子には罰を与えないと…えいっ」  
そう言ってクローゼは皮の上からクリトリスを軽くつねった。  
ジル「あぁぁぁぁぁぁ!!」  
股間を中心に体に快感の波が走り、思わず腰が浮いた。  
ジル「だめ、そこ感じ過ぎちゃうよ…それに、まだちょっと…痛い…」  
クローゼ「罰ですから…でも、次は…」  
そう言いながらクローゼは人差し指を第二関節あたりまでジルの膣に埋める。  
何をしようとしてるのかジルは把握し、悦びに期待の視線で答える。  
クローゼ「ちょっとづつ…ですよ」  
膣の内壁をゆっくりと人差し指で撫でながら、他の指で膣口全体をさわさわと撫でる。  
でも、鋭敏な点には触らず、そのまわりをじらすように撫で回す。  
ジル「あっあっ……あぁ……ひゃうっ!」  
突然、耳に息をふっとかけられ、可愛く悲鳴をあげた。膣に感覚が集中してる時に  
不意打ちを受けて恥ずかしさと気持ちよさが押し寄せる。抗議しようとしたら、  
キスで唇を塞がれ、一気に舌で蹂躙を受ける。  
 
もう気持ちよくて何も考えられない、クローゼにされるままとなり、  
塞がれた唇の間からよだれがだらしなく落ちてゆく。自分の胸を揉んでいた手も  
止まるくらい気持ちいい。絶頂感が急速にこみ上げてくる。  
ジル「んっんんーっんー!!」  
唇を塞がれながらも、なんとかそれを伝えようともがいた。言いたいことが  
伝わったのか、クローゼは唇を放し、指の動きを早めた。  
クローゼ「さぁ…イってもいいですわ…」  
直後、Gスポットを強く刺激された。  
ジル「あぁ!! あっあっあぁっあぁっ!! あぁーーーー!!」  
快感の波が連続して押し寄せ、いっきに力が抜け落ちてゆく。呼吸も止まり、  
手も足も動かせず、気持ちいい金縛りにあったような感覚に包まれる。  
クローゼはしつこく責め立てる、あまりにも続く快感に、次第に息苦しくなってきた。  
その様子を見て、ようやくクローゼは指を抜いてくれた。  
ジル「はぁっ…はぁっ…はぁ…ぁ…はぁ…はぁ……」  
股間を愛液で濡らし、口からはだらしなく涎が垂れ、快感に惚けた表情、  
力の抜けた裸体。この学校で、わたししか知らないジルの姿。この姿を見るたび、  
不思議な優越感に浸れる。  
明日、この姿を知る人がもう一人増える。それを思うと、微かな独占欲が軽い嫉妬を生む。  
でも、それを決めたのはジルと自分。それを認めたのもジルと自分。  
 
快感の波が落ち着き、呼吸を整えたジルが、じっと顔を見詰めるクローゼに気づく。  
ジル「……クローゼ? どうしたの?」  
クローゼ「ん? ちょっと……もったいなく思ったの。  
こんな可愛いジルの姿を、他の人に見せたくないなって……」  
ジル「やだなあもう。恥ずかしい……」  
責められ絶頂迎えたお返しをしようと、ジルはクローゼの股間に手を這わす。  
いつもはそのまま迎え入れられる手が、優しく掴まれ拒絶された。  
ジル「……どうしたの? まだイってないでしょ?」  
クローゼ「今日はもう遅いし、色々あったから……」  
ジル「まぁ、そりゃ大変だったとは思うけど……  
でも、気持ちの切り替えも大切よ?」  
クローゼ「ありがとう、でも今日はいい。そうね……明日のお楽しみに取っておくわ」  
ジル「……ちぇー。ヨシュア君がうらやましいなぁ」  
クローゼはもう続ける気がないようで、服を着始めた。ジルも体を拭き、服装を整える。  
クローゼ「……ジル」  
ジル「ん?」  
服を整え終わり、生徒会室を出ようとノブに手をかけたジルを、クローゼが呼び止める。  
 
クローゼ「私のしていること、間違ってますよね……」  
ジル「気にしなくていいよ、私が言いだしたんだし。  
クローゼが気に病むことないよ」  
クローゼ「ごめんなさい、気を遣ってくれて」  
ジル「そんなんじゃないって、もう」  
クローゼ「……ありがとう」  
珍しく弱気な感じのクローゼに、ジルはそっと優しく口づけをした。  
唇が触れあうだけ、でも深い気持ちを込めてキス。  
身も心も信頼している二人を、月が優しく照らしていた。  
 

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