かつて、太古の昔にノームが採掘されたと言われる地、セクンドゥム廃坑の前に一人の少女が立っていた。
青い髪をポニーテールのように纏め上げ、黒を基調としたゴシック調の服を着こなしている。気の強そうな赤い目は不適にセクンドゥム廃坑を捕らえている。
右手には深緑の宝玉を埋め込んだ杖を持っていた。遥か昔に世の理の主導権を失った魔法使いの証だ。
彼女の人の常識を嘲笑うかのような整った顔が、にやりと歪められる。背中にある蝙蝠のような一対の羽が、彼女の感情に呼応し動いた。
その姿が表す通り、人外の存在である吸血鬼、アルウェン・ド・ムーンブリアは杖を振るって喜んだ。
「どうやら"当たり"のようだな。これは幸先がよい」
坑道の先に、微かにだが確かに己の魔力を感じた。残念ながら魔力の一部でしかないようだが、それを取り戻せばこの先遥かに楽になるだろう。
アルウェンはまるでピクニックに行くかのように気軽に廃坑に足を踏みいれた。
セクンドゥム廃坑は、彼女のように気軽に足を踏み入れられる場所ではない。確かに元魔石坑だけあって頑丈な造りをした場所であり中が崩れる心配こそ無いが、長らく放置されていた為に中は魔物の巣である。
それほど強力な魔物は存在しないものの、数で攻められればある程度鍛えられた人間でも殺される事はある。
しかし、それでもなおアルウェンに取っては他愛無い相手でしかなかった。
無属性魔法・フォースアローを放ち、襲い掛かる魔物をなぎ倒していく。圧倒的な力の差の前でも、魔物の知能が低いのか逃げる者は少なかった。
アルウェンにとって、襲い掛かってくる敵は大した事がなかった。しかし、全く別の部分で問題が発生した。道に迷ったのだ。
彼女は生涯の殆どをムーンブリア城の中で過ごしている。城の外に出る事など滅多に無かった。半年も城を空けた今が、最も長い外出である。
当然迷宮にも似た場所を効率的に探索する術など持っていない。結果、同じところをぐるぐる回る事になっていた。
「ええい、面倒臭いものだ」
現在ではミニMAPという、内部を勝手に図にしてくれる便利な道具があるのだが、常識が百年ほど前で止まっている彼女は存在すら知らなかった。
マッピングもできないアルウェンが取った手段とは、印をつけながら歩く事だけだった。通った道に矢印を、先が行き止まりであれば矢印に×を付けて、二度同じ道を歩かないようにした。
こうしてやっと同じ道を歩かないように出来た頃には、疲労で肩を落としていた。肉体的な疲労こそ吸血鬼の彼女には存在しないが、精神的な疲労はごまかせなかった。
何度かもう帰ろうかという考えも浮かんだが、それでも真祖の吸血鬼である事の意地が、彼女を先に進ませた。
道を進み、少しばかり大きな部屋に出たところで、帰るとは言わないまでも少し休んでおけば良かったと後悔した。
その部屋には、かなりの数の魔物が待機していた。既に発見されている為に、逃げるのも一苦労する事になるだろう。アルウェンならば、倒したほうが早かった。
「まったく、面倒な連中だのう!」
アルウェンは苛立たしげに杖を振るう。深緑の宝石が光を発し、無属性の魔法・フォースアローが隙間無く射出される。光の矢は床や壁ごと、魔物を削り取っていった。
フォースアローが何かに当たるごとに、砂塵を巻き起こし視界を遮る。それでもアルウェンはお構い無しに矢を飛ばした。
ふぅ、とため息を一つついて、杖を肩に落とす。部屋は既に廃墟と言った方が正しく、煙が引き確認するまでもなく魔物は全滅しただろう。
魔物が、目の前に居るものだけならば。
精神的な疲れと、苛立ちと、魔物の弱さがアルウェンから注意力を奪っていた。
「ひゃん!」
足首に感じた冷たい感触が、アルウェンに小さな悲鳴を上げさせた。
「な、なんだ?」
焦って足元を見ると、そこには一匹のあおじぇりーがいた。湧き水に邪気が宿り現れる魔物であり、はっきり言って弱い。子供でも一匹なら勝てるくらいに。
「くっ! この!」
アルウェンはいそいであおじぇりーを払おうとしたが、それより早くあおじぇりーは足を這い上がる。
あおじぇりーが伝った後のソックスは水で変色し、僅かにミントの香りが漂う。それがアルウェンの羞恥心を煽った。
手で追い払おうとするが、間近にいるあおじぇりーは意外と素早く、手をすり抜けてアルウェンのショーツに守られた秘所を撫でた。
「ひゃあぁ!」
ぴちゃり、と股間からいやらしい音がした。思わず服の上から股間を押さえて座り込んでしまう。その拍子に、杖も手放してしまった。
服が濡れる余裕すら失って、アルウェンはあおじぇりーを思い切り握った。ぴぎぃ、と小さな悲鳴が上がる。
「このっ! 変態め!」
魔物をゴミのように葬り去ってきたアルウェンにも既に余裕は無く、たかが弱小の魔物を全力で叩き潰そうとする。
あおじぇりーは見た目通りの臆病な生き物だ。今もアルウェンの攻撃に怯えて、必死に逃げ道を探そうとしている。
あおじぇりーに取っては幸いな事に、アルウェンにとっては最低な事に、逃げ道は一つだけあった。
ぐりぐりと体を動かし、目の前の穴、尿道に液体の特性を生かして進入を開始した。
「あああぁぁぁぁ!」
アルウェンの悲鳴が、坑道内に響き渡る。顔を赤く染めて、さらに手を強く押してしまった。クリトリスの皮が剥かれ、小さな豆を揉みしだかれる。
背筋がぞくりと震えた。一瞬体の力が抜け、ぷしゅり、という小さな音と冷たさから膀胱に液体が進入したのを知る。
これ以上は不味いと本能的に理解し、必死に尿道口を閉めるが、それでも閉じきらない。アルウェンは既に涙目になっていた。
「ふぅー……、ふぅ……」
小さく呼吸をし、気持ちを落ち着かせようと努力する。尿道内で小さくうごめくあおじぇりーが、背筋を優しく貫くような刺激を与え続けていた。
歯茎すら疼き噛み合わない歯を必死に噛み締め、全力で尿道口を閉める。ぷちゅり、と音がしてなんとか尿道口を閉める事に成功した。
「ぴぎゃーー!!」
同時に、体を引きちぎられたあおじぇりーが大きく悲鳴を上げ、暴れだした。大きく痙攣し、アルウェンの最も敏感な場所を外と内から潰すように刺激した。
「そ、そんっ……やめてぇぇぇ!」
ぷしっ、と体から急激にこみ上げる感覚を確かに感じた。しかし、それは尿道を上る感覚で止められてしまう。
行き場の失った快楽を、アルウェンはどうする事もできなかった。背筋を震わせて倒れ付し、まるで犬のように尻を上げて快楽を受け入れる。
あおじぇりーの液体と、アルウェン自身の体液でもう服は本来の役割を果たしていなかった。
体の形にぴったりと張り付いた服は、誘うかの様に上下に振れる尻を正確に写していた。あおじぇりーがアルウェンに進入するごとに震える様は、まるで愛し合っているようにも見えた。
「こ……のぉ、負けない、私は負けないぞ……」
それでもアルウェンは力を振り絞ってあおじぇりーを掴み、引き抜こうとする。あおじぇりーはそれに抵抗して、膀胱と尿道内で膨らんだ。
「うあぁ……うぅぅ……」
膀胱を引っ張り出す感覚に、アルウェンは確かに性的快感を感じた。本人にはそのつもりが無くても、傍目には一人遊びをしているようにしか見えなかった。それも、極めて変態的な。
クリトリスの根元を圧迫され、クリトリス自体をくりくりと嬲られて、既に正常な判断力は失っていた。鋭く響く刺激は、既に尿道と膀胱の刺激にさえ快楽を生み出している。
膣からは粘度の高い液体が出続けて、ショーツは食い込んでいた。
自分の状態を自覚できていないアルウェンは、必死になってあおじぇりーを引き抜こうとする。膀胱を引き摺り下ろされる感覚でイって元に戻り、また引いての繰り返しだ。
尿道口に力を入れて止める事は既に諦めている。膀胱を震わせて外に押し出そうとするが、それよりもあおじぇりーの力の方が勝っていた。
「やめろぉ……それ以上、入れたら私のが壊れてしまふぅぅ」
ついに、アルウェンは泣き出してしまった。少しの屈辱と羞恥心、そして殆どを占める快楽で。それがまた情けなかった。
それでも力を抜かずに耐えていたが、いきなりあおじぇりーの動きが変わった。まるで、お前の弱点を見つけたとでも言うように。
尿道内のあおじぇりーは、まるで波打つように動き出した。それもクリトリスの裏側を重点的に押し出すように。クリトリス自体もきゅっと締め上げられる。
「あ、あぁぁー! やめぇ、れぇ!」
アルウェンの尻が大きく上に跳ね上がり、ついに手が離れてしまう。これを好機とばかりに、あおじぇりーは更に暴れた。
「ひぅ! ひううぅぅぅ!」
スカートが捲くれ上がり、殆ど役目を果たしていないショーツと、その下の透き通って見える性器があらわになる。そこは、今すぐにでも男を受け入れられそうなほど濡れそぼり、誘っていた。
びちゃびちゃと液体が跳ねて飛び、床に染みる。アルウェンの股間の下は、既に変色していない場所を探す方が難しいほど濡れていた。
偶然それを見てしまったアルウェンは、更に顔を赤くした。雌猫のように誘っている自分、スカートをまくり上げて尻を振る自分。
そういったものを自覚した瞬間、今まで理解できなかった快楽を、急激に理解した。
漂う生臭い匂いと、それに混ざる甘い香り。乳首はツンと立ち、クリトリスはより大きく自己主張し始めた。秘所がぱくぱくと口を開き、秘蜜があたりに飛び散る。
「はあぁぁぁぁ、ああぁぁぁっ!」
イってしまった。今までのように自覚無くではなく、この変態的な行為で、レイプ以下の行為で、自分は感じていると理解しながらイってしまった。
「もうやめてぇ……。おねがい、しますからぁ、もうやめて……」
それでも、あおじぇりーは行為をやめなかった。元より人間が使う言葉は理解できない。
快楽で力の入らない手は、足元に投げ出されている。その手のひらの上に、魔物の体液とアルウェン自身の体液が滴り落ちる。
秘所は何かを求めて開いていたし、アルウェンの顔はどう見ても雄を誘うそれである。
何より最悪だったのが、アルウェンの体はもっと嬲ってほしいと求めている事だった。膀胱だけは未だに押し出そうとし続けている事が奇跡に思えた。
アルウェンの抵抗が弱まり、あおじぇりーは少しだけ体を引き出した。
「っいいぃぃ……」
アルウェンの口から我慢しきれなかった悲鳴が漏れる。全身が痙攣して、その快楽を素直に全て受け取ってしまう。
あおじぇりーは引き抜いた体を、勢いを付けて再び膀胱にたたきつけた。
「あ……あぁっ…………っっ! ――――――あぁ!」
アルウェンの目が大きく見開かれ、大きく声にならない悲鳴が漏れる。膀胱は殆どあおじぇりーに制圧され、今にも負けを認めてしまいそうだった。
膀胱を閉めていた力は急激に失われていき、ぷちじぇりーはずるずると出し入れを開始する。同時に、膀胱に残っている部分は内側の刺激を開始した。
時にやわやわと撫でながら揉むように、時に摘むように強く刺激しながら、アルウェンの心と体を内側から溶かしていく。
「ひぃん! あぁぁ、ふぅぅぅぅ、ひぃぃんっ!」
あおじぇりーに刺激されるたびに、これでいいのかもしれない、と思う気持ちが大きくなる。その気持ちに呼応するように、膀胱も膨らんでいった。
下腹部は小さくふくらみ、どれほどのあおじぇりーが進入しているかが分かる。
もう限界だ、と思うほどあおじぇりーが入っているのに、さらに膀胱を蕩けさせられて広げられる。いつの間にか、その刺激を心待ちにしている自分が居る事に、思わず納得してしまう。
ぐりぐりと、あおじぇりーが体を捻り、今までで一番勢いよく体を叩き付けた。
今までで最高の、大きな絶頂にアルウェンは背を大きくそらす。恥も外聞もなく舌を突き出した。
声すら上げられないほどの絶頂は、あおじぇりーの最後の痙攣で終わった。
「あ……はぁ……、もっとぉ……」
荒く息をつくアルウェンは、自分が何を言っているかも理解していなかった。しばらく余韻に浸っていると、下半身で変化が起きた。
あおじぇりーが、崩れ落ち始めたのだ。
絶命したあおじぇりーはただの水にもどり、急激にその形を失っていく。絶頂の痙攣から尿道口は閉まっていたが、尿道に残っていた水が、ショーツを伝いながら流れ出る。
何が起こったかに気づいたアルウェンは、急激に意識を覚醒した。今までの自分の醜態に絶望的な気分になりながらも、こんな所でお漏らしなどする訳にはいかないと力を入れる。
どこか、せめて物陰に移動しなくては。そう思って手に力を入れたが、全く体は動かなかった。イきすぎて、全身に力が入らないのだ。
なにか、体を引きずってでも移動できないかと当たりを見回すと、自分の後ろに何かが居た。
全身が毛に覆われた、小型犬を二足歩行にしたような魔物、こぼるとだった。こぼるとは何をするでもなく、じっとアルウェンを見ている。正確には、アルウェンの突き出された尻を。
「お、おい。やめろ……、見るな!」
焦り、アルウェンは絶叫する。
叫んだ事で腹に力が入ってしまったのと、既に限界以上に溜まっていたのと、そして、少しだけ期待があったのと。
それらの要因が合わさり、アルウェンの限界はすぐだった。ぶしっ、と音がすると、ショーツを外に突き出す程の勢いで尿が漏れ出した。
「いっ、いやああああぁぁぁぁ!」
アルウェンは、こぼるとの前で尿を漏らしながら絶頂した。お漏らしもイった所も、それが気持ちいいと思った所も全部見られながら。
大量に出たにも関わらず、未だに尿はぷしぷしと少量ずつ出ていた。唯一の救いは、漂うのがアンモニア臭ではなく、あおじぇりー特有のミントの香りと言う点だろうか。
羞恥で顔を覆うアルウェンに、こぼるとはよって来た。そして、濡れていない所がない下半身に舌を這わせる。
「ひゃああぁぁ! またっ、こんなぁ!」
ぴちゃぴちゃと音を立ててこぼるとが舐めるたび、アルウェンは小さな絶頂を繰り返した。先ほどまで散々犯されたのだ。快楽をこらえる事はできない。
アルウェンは酷く怯えていた。また、自分から犯してほしいと思うかもしれない。そこまで行ったら、もう抵抗できないのは分かっていた。
手探りで何か無いかと必死に探す。猶予はそんなに無いだろう。先ほどの事があったのに、心は負けないとは言えなかった。
ぞくぞくと背中に走る快楽を必死に堪えながら、アルウェンは何かを掴んだ。同時に、それは魔力が良く通る事に気づいた。
背後にそれを振りぬく。魔物にあたっていないが、既にそれは関係ない。振った物の先端から、フォースアローが具現し、こぼるとを吹き飛ばした。
アルウェンは周囲を警戒した。少なくとも、自分が気づける範囲には生き物は居ないだろう。
「……はああぁぁぁ。散々だった」
深くため息をついて、アルウェンはその場に転がった。未だに震える体には力が入らず、そこらを転がるので精一杯だ。
今日の事は生涯で最低の思い出だが、目撃者は全て消えた。それだけが、不幸中の幸いだった。
アルウェンは自分の体の状態を確認する。下半身はぷちじぇりーとそれ以外の言いたくもない液体でぐしゃぐしゃだし、上半身も飛び散ったものなんかでかなり濡れている。臭いも、ミントの香りの中に変な臭いが混ざっている。
控えめに言っても、酷い有様だった。下着の状態なんて確認もしたくないくらいに。
自分の惨状を自覚し、アルウェンは決断した。
「今日は帰るかの……」
当然、遅くても明日にはここにまた来なくてはならない。正直二度と来たくなかったが、魔力の一部がある限り来ないという選択肢は無い。
だからこそ、アルウェンは問題を全て明日に投げ打ち、羽で廃坑の外までワープした。