・蔦が問題にならないなら本体を潰す  
 
 アルウェンは蔦が荒れ狂うアビスフラワーの暴風圏内に飛び込み、巨大なフォースアローを叩き付けた。効果は十分、とは言えないが確かに蕾を抉っている。  
 知覚魔法を展開しながら、蔦を紙一重でよけていく。魔法により背後に目があるも同然で、攻撃を食らう事はない。しかし、それでも数だけは多く、あまり大きく避けていては回避はまだしも攻撃に移れない。  
 服に接触しながら、耳の横で音を立てながら、アルウェンの矮躯など軽々吹き飛ばす豪腕が振るわれる。そんな緊張感のある戦場でも、快楽に膝を折るのに比べれば遥かにマシだ。  
 アビスフラワーの蔦はもう飽和状態であるのか、増える様子を見せない。常に数本の蔦が襲い掛かる状況でもアルウェンには余裕があり、食人植物は悲鳴を上げながら緑色の液体を撒き散らしていた。  
 魔法抵抗こそ脅威を感じるレベルではあるが、それ以外は全く問題にならない。他の二対のように魔法も使えるわけでもなく、攻撃は単調そのもの。はっきり言ってしまえば、弱かった。  
 油断していた訳ではない。どんな相手でも油断をすれば惨めな結果が待っている事を、アルウェンは知っていたのだから。  
 それでも、予想外の事態までには対応しきれなかった。もし問題点を上げるのだとすれば、それは敵の戦力に集中しすぎた事。真祖の吸血鬼すら狂わせる存在を忘れていた事だ。  
 特大のフォースアローがアビスフラワーの傷口をえぐり、一際けたたましい悲鳴を上げて悶えた。既に根元半ばまで抉られ、あと少しで倒せると確信させる。  
 敵の危機、蔦の攻勢で、アビスフラワーに近づきすぎていた。こぼるとのコロニーで投薬されていた樹液が、何から採取されたと予測したのか忘却して。  
 アビスフラワーの体液が跳ねて飛び、その一滴がアルウェンの頬についた。それにすら気付かずに次の魔法を放とうと呼吸をして、どくんと心臓が叩かれる。  
「あ……ああ、ぁ……ぁあ……」  
 何度も嗅がされた甘くて少し生臭い香り。それは依然嗅いだ時よりも数倍強い匂いを放っていた。思い出す。強制的に思い出させられる。忘れようとしていた、つい先ほどまでの自分を。  
 それがとても欲しくて、誇りなんて捨てて何度も尻を振った。お願いします、お願いしますとはしたなく懇願し、尻の穴を抉られて恍惚とした笑みを浮かべる。言う事を聞くのが本当に嬉しくて、何度も絶頂して。  
「っ、それ以上は駄目だ!」  
 自分を叱咤し、意識を取り戻す。しかし体はそうもいかなく、膝ががくがくと震えて動かない。下着は愛液でどろどろに汚れ、見るも無残な姿になっていた。杖に支えられながら尻を後ろに突き出し、控えめに、しかし淫らに振る。  
 アルウェンが意識を溶かした僅かな時間に、アビスフラワーは再生を始めていた。周囲には樹液の香りがむわっ、と広がり、アルウェンの体勢を立て直させない。再生中は蔦を動かせないのか、攻撃がないのが唯一の救いだった。  
 しかしその救いも、悪魔となって牙を突きたてる。膨大な魔力に依存した異常再生は、末端の崩壊という結果を引き起こした。花粉がアルウェンの周囲で撒かれ、視界すら黄色く染まる。  
「うああ、あああっ……! っひぃ、ぃぃぃっっ!」  
 媚薬を大量に吸い込んだことで、ついに耐えられなくなった。ショーツを突き破らん勢いで潮が排出され、地面にびちゃりと落ちる。  
 アルウェンは完全に腰が抜けてその場に座り込んでしまったのを、いつの間にか完全に再生したアビスフラワーが見下ろしている。その姿は、勝利を確信しているようだった。  
 アビスフラワーが大きな口を開く。そこに魔法を叩き込めば倒せるかもしれない。しかし、絶頂したアルウェンには魔法に集中できず、それを見ているしかなかった。  
 アビスフラワーの蔦を束ねたような首から、何本もの触手が出てくる。外見には攻撃的な様子が見えず、先端は丸く中心に小さな穴が開いている。  
 触手はアルウェンに照準を合わせると、びちゃびちゃと樹液を放った。敏感な場所に直接放たれた訳でもなく、ただ服の上から浴びせられただけ。それなのに、アルウェンはめまいがするほどの陶酔感を味わった。  
 間違いなく、これはあの樹液の原液だ。それも何倍も効力が強いもの。こんなものを性感帯に浴びせられてしまったら、それこそ一瞬で正気を失い、もう二度と戻れない。  
「や……やめろ! やめろおおお!」  
 絶叫しながら体を抱え、亀のように体を隠す。それで体の正面や顔は隠せるだろう。しかし、尻が丸出しである事に気付かない。あるいは、そこに欲しくて突き出したのかもしれない。  
 
 触手はスカートをめくると、薄い下着にのみ守られた美尻を露出させた。調教された尻はまだ幼さを強く残しながらも、雌となった事を窺う事ができる。そこに樹液が吐き出され、淫靡な尻をさらに美しく彩った。  
「もほ……やめ……やめ、へぇ」  
 全身が疼くのが怖い。しかし、それ以上に怖いのが、その事に期待もしている事だった。感覚が妙に敏感で、尻と膣がどれだけ震え、どれだけ求めているのかが分かってしまう。  
 下着の上から穴という穴に、それこそ尿道まで触手が押し当てられる。ぴったりと密着したままびゅくびゅくと樹液が吐かれ、体内にまで浸透していった。ただの下着では樹液を広げる役には立っても、守る役には立たない。  
 樹液はすぐに効果を発揮し、感覚が薄くなった場所でさえじんじんと熱を帯びる。ぴりぴりとだけ背筋を走っていたものがやがて大きくなり、体を守る事さえできなくなった。  
 背中が反応するままに体を跳ね上げ、正面が無防備に晒される。同時に胸に、下腹部に、股に、そして顔に樹液が大量に染みつき、もう体で粘液に塗れていない場所は無い。  
 唇の根元から僅かに流れる樹液を、舌で舐め飲み込んだ。無自覚に行った事だった。  
 じんじんと火照る体を持て余し、いつの間にか感覚鈍化の魔法を切る。他者の数倍の感度を持つ各所に樹液を吐かれ、そのあまりの心地よさに酔いしれた。  
 口を開いて呆けるアルウェンに、少しだけ樹液が流される。口内でとろけて広がり、喉の奥に流されればそこですら心地よさを感じる。  
 触手が口に差し込まれた時、もうアルウェンは抵抗しようと思わなかった。素直に出される樹液を飲み込み、与えられる快楽に尿を漏らしながら震える。  
 それが気高い吸血鬼の姫君の末路だった。  
 
 
 
 
 
 数ヵ月後、アルウェンはまだ金闇の森を歩いている。  
 ここ数ヶ月で、金闇の森は依然とは全く別の場所に変わっていた。ただでさえ鬱蒼とした森を霧が包み、光を乱反射して侵入者の方向感覚を奪う。  
 霧には強烈な魔力が篭っており、それを浴びたものは人であろうが魔物であろうが差別なく狂わせる。もう金闇の森に近づくイルバートの人間は存在しなくなっていた。  
 そんな中でアルウェンが歩き続けているのは、一重にまだやる事があるからだ。風の魔力と火の魔力、両方とも取り戻せてはいなかった。  
 ルゥとは今まで一度も接触がなく、スバルとラーライラがあれからどうなったのかも杳として知れない。完全に手詰まりとなりながらも、まだアルウェンは諦めていなかった。  
 とは言え、今や金闇の森から出る事もままならない。それでもこうして、森の中を歩き続けた。  
 ――魔力を探すと同時に、犯していただく為に。  
 なぜ魔力を探していたのか既に分からなくなり、もう思い出す気もない。魔法の使い方を忘れ杖もなくしてしまったが、自分の体に掛けた魔法は解除してあるのでもう必要なくなっている。  
 服はいつのまにかなくなっており、全裸になっている。唯一の装飾品は、首輪とそこから垂れる鎖のリードだ。なぜ持っていたのかは不明だが、大事な気がしたので首につけておいた。  
 さらに、その裸体には数々の刺青がある。狂った魔物が好き勝手につけていったものだ。  
 本来、吸血鬼の体はその圧倒的な再生能力から、刺青など入れる事はできない。しかし、数少なくも例外はある。その一つに本人が心から受け入れる事というのがあり、それによってアルウェンの体に刺青が掘られていた。  
 刺青が示すものとは簡単、性奴隷の立場である。彼女は金闇の森で最下層の存在である事を認め、その刺青を晒していた。どの魔物がいつ犯しても構わないという、最も美しく下賎な奴隷の証明。  
 今も、そう。  
「んあぁっ! ふあああぁぁぁぁ! んんんっ! ひゃあああぁぁぁ!」  
 ご主人様の一人、こぼるとに犯されている。  
 数ヶ月前に心を入れ替えたアルウェンはこぼるとのコロニーに赴き、脱走した事を真摯に謝罪して再教育を受けた。さらに処女穴も犯してもらい、反省の意を示す。辛いはずの調教にも従順に耐え、今では立派な家畜だ。  
 とは言えアルウェンは金闇の森に存在する全ての奴隷、こぼるとにだけ尽くす事はできない。だから一ヶ月のうち三日だけ完全に占有され、一睡もせずに犯してもらうのだ。残りは森で求められた時に股を開くようになっている。  
 こぼるとの最後の一匹が、どぷどぷと射精する。肉棒が引き抜かれると、アルウェンは腹が精液で妊婦のように重たくなっている事を自覚しながら反転し、這いつくばったままこぼるとを見た。  
「私の口で清めてよろしいでしょうか」  
 
 こぼるとが頷き、アルウェンは嬉しそうに顔を緩めながら肉棒に舌を出した。ゆっくりと舌を滑らせて、自分の淫液ともども精液を舐め取る。舌の上に混合液を溜めて、じっくり味わいながら租借した。  
 口全体で楽しんでいただきながら、尿道に残る精液をちゅっちゅと吸い取る。途中で射精された場合は、それも一滴残らず飲み込んで綺麗にするのだ。  
 糸を引きながら口が離されれば、今月の専門奴隷は終了だ。リードを引かれるままに歩いていき、今度はアルウェンが清められる番である。もちろん勝手に行動せず、全てお願いする事を忘れない。  
 それが終わればコロニーの外に出され、また金闇の森を歩く事になる。ご主人様の性処理は大丈夫だろうか、と考えるが、もう問題ないことに気付く。  
 昔はがらんとしていたコロニー内の家畜小屋は、今では入りきらないほどのメスが収容されている。アルウェンの経験を生かして放し飼いはせず、樹液付けにして繋がれていた。今では皆、アルウェン同様立派な家畜だ。  
 迷いを振り払い、森の奥へと歩いていく。いつもはふらふらと歩き、ご主人様がいれば股を開くのだが今は違う。そろそろ切れてしまうのだ。  
 一昔前はどれほど持つのかが分からなく、何度も苦しんだものだ。今では事前に察知し、頭が狂う前に向かう事ができる。  
 歩きなれた道を進み、アルウェンは広場へと出た。その中心には巨大な植物、アビスフラワーが咲いている。当初と比較してもなお大きく、至る所に巨大な花が姿を見せていた。花からは霧を常に放っており、それが森全体にいきわたる。  
 金闇の森の主として雄大に、そして禍々しく咲き誇るアビスフラワーを睨み付ける。彼女の憎き怨敵は、日に日にその力を拡大していた。  
「今日、こそ、お前を倒して、やるぞ」  
 既に何度も繰り返した文句を、また今日も繰り返す。今度こそは倒して見せるという意思を、もう碌に働いていない脳に言い聞かせて。  
 アルウェンが進み出ると、幹から一本の棒が生えてくる。木のように硬い物ではなく表面には僅かな弾力があり、全体が粘液でぬめっている。  
 棒の前まで来て膝立ちになり、ぬめるそれを柔らかく握った。ゆっくりと手を前後に動かし、先端の楕円形を桜色の舌でちろちろと舐める。まるで男に奉仕でもしているような姿なのに、瞳は相変わらず敵を見る目だった。  
 暫く続けていると、表面の粘液量が多くなる。同時に先端部分についた穴から色の違う粘液がこぼれ出すのを確認すると、アルウェンはにやりと笑って攻勢を強めた。  
 これはアビスフラワーを倒すのと同時に、己の耐え難い欲求を満たす事ができる一石二鳥の戦闘だった。さらにこの粘液を獲得すれば、自身の体はさらにご主人様好みに改造される。いい事尽くめだ。そこに疑問などない。  
 単調だった手の動きを変更、指の一本一本が踊るように別の快楽を作り出す。さらに口を大きく開き、太く長い棒を飲み込む。強く吸い上げながらも舌は棒の全面を滑り、粘液をこそぎ落として奪っていた。  
 口の中に溜まった麻薬をじっくりと唾液と混ぜ合わせ、程よく喉に絡みつく程度まで薄めるとこくこくと少しずつ飲み込んでいった。  
 じんじんと熱と多幸感が押し寄せて、その刺激に思わず口を離した。開かれた口の端からは粘液まじりの涎が垂れて胸にぽたぽたとかかり、顔は悦楽に溶けている。それでも手だけは別の生き物のように、棒を扱きあげていた。  
「……ふふっ。これで、ご主人様に、また……」  
 さらに淫らに変身するであろう自分の体に思いをはせて、アルウェンは微笑を浮かべた。アビスフラワーという禍々しい敵も、この液体を生産するという一点だけはとても評価できる。  
 淫乱に体が改造されるというのは、己にとっても主にとっても喜ばしい事だ。飼いならされたメス犬の膣や快楽に泣き叫ぶ姿をより堪能してもらえると思うと、アビスフラワーと戦う事など苦でもなんでもない。  
 完全に奴隷と化したマンコとアナルから透明な液体が滴っているのは、肉体・精神改造を施す薬物だけのせいではないだろう。  
 股間から排出された淫液が太腿をしたたり、アビスフラワーの上にぽたぽたと垂れる。すると、表面がめきめきと音を立てながら蠢いて、枷をつくり膝立ちの状態を解除できないよう拘束した。  
「ふん、毎度毎度余裕な事だ」  
 アルウェンに動揺はなかった。足首と膝だけを拘束し動けなくするのは、アビスフラワーの常套手段なのだから。  
 全身を拘束するのではなく膝から下だけ。それも最近では一度二度濃い粘液を吐き出してからでなければ捕まる事はない。舐められたものだ。  
 
 とは言え、アルウェンは既に何度も負けている。相手の見下すような余裕は屈辱に感じながらもありがたかった。例え僅かだけでも搾り取れるのだから。  
 再び棒を口に含み、ご主人様に鍛えていただいたご奉仕フェラチオで攻勢を強める。さしものアビスフラワーも堪えられなくなったのか、どくどくと粘液を吐き出す。攻撃が効いている、それを自覚してさらに気合を入れた。  
 じんじんと熱を強める体に、搾取のペースがいつもより速いことを悟らせる。しかしアルウェンは内心焦り、早く倒れろと念じながら指と舌を動かした。  
 彼女が追い立てられる理由、それは足と足の間から音を立てて盛り上がる枝が理由だ。股間の真下には枝の表面に沿って背の低い葉が生えており、それは柔らかく弾力がありなによりよく絡みつく。  
 毎度これでご主人様専用の陰部をねっとりと犯され、最後には潮を何度も吹いて倒されてしまうのだ。自分すら自由にできない、主に奉げた聖域を嬲られるだけでも許しがたいのに、さらに達せられる恥辱を味わう事になる。  
「じゅう……ぢゅうううぅぅぅーー! はやく、ちゅう、出し尽くしてしまえ……! くちゅ、ちゅうぅ!」  
 限界速度でご奉仕フェラチオと娼婦の手淫を繰り出すが、その努力を嘲笑うかのように枝は少女の急所へと到達した。  
 先端が軽く触れた瞬間、ひうぅ、と小さな悲鳴が上がり腰が跳ね飛ぶ。枝はそれを追うような真似はせず、僅かに触れた場所で構えたままだ。  
 腰は恐る恐ると言った風に落ちていき、やがて陰部は葉の茂みに隠される。股間は陰部の形が変形するほどぴったりと茂みに密着しており、まるで決して放すまいとしているようだ。  
 少しずつ、むずむずと下半身が蠢き始め、女芯は葉にねっとりと舐められる。背後からその姿を見れば、少女が必死に奉仕をしながら男を誘うダンスを踊り、貪欲に寵愛を欲しがるメス犬奴隷にしか見えない。  
「く、ううぅ……。こんな奴に……いい、ようにっ!」  
 しかしアルウェンには、自分から擦り付けていると言う自覚はなかった。あくまで体はご主人様たちのものであり、アビスフラワーに渡す物など愛液の一滴すらない。ゆえに彼女から腰を振る事などありえず、これは敵からの攻撃であるべきなのだ。  
 腰の淫らな踊りは次第に激しくなり、クリトリスからアナルまで満遍なく味わえるよう前後する。ねっとりと絡みつく葉は決して強い刺激ではなく、だからこそ派手に尻を動かして強い刺激を得ようと動いていた。  
 緩い刺激を与える自慰椅子、たったこれだけでアルウェンには大きなダメージが与えられていた。しかし、アビスフラワーの攻撃はこれだけではない。  
 アルウェンの前方、棒が生えている部分の少し下から二箇所、木が変形しだす。その二つは半透明なおわんのような形であり、とても柔らかい。さらにおわんの根元、アビスフラワーと繋がっている部分から数本の触手が生えた。  
 はけのような触手はアルウェンの胸に粘液を塗りこみ、針のような触手が胸に刺さって何か液体を注入した。針からは痛みも快楽も感じず、アルウェンは無視して攻撃を続行する。  
 この胸への一連の動作も毎回行われている事だ。はけと注射で胸の表面も奥も熱くなり、おわんに乳房を吸われると背筋まで突き抜ける快楽が生まれる。  
 しかし、その刺激も股座の卑劣な責め苦ほどではないし、なにより辱められる度に感度が上がり耐えられる時間が短くなっているのだから悪い事ではない。アビスフラワーに負けるまでの時間が毎回短くなるが、用はそれまでに倒せばいいのだ。  
 股下に生えている枝は淫液で変色していない所は既になく、陰部自体もいつもの白い肌ではなく淫欲に浸りきった桃色に変わっている。おわんに胸を弄ばれる度、少女の艶やかな背中がびくびくと跳ねる。  
  そして、背と同じように顔も快楽に反応し、ただでさえとろんと溶けていた瞳はさらに視点が怪しくなる。  
  既に棒から吐き出される樹液は刺激がなくとも勢いを落とさず出され続けたであろうが、それを理解しているのかいないのか、ご主人様へのご奉仕で鍛えぬいたフェラチオを続行している。  
「んふぁあぁぁ……ちゅぶ……ちゅううぅ……ちゅぐ……ちゅぷ……」  
 もう悪態をつく余裕すらなく、殆ど義務のように全身を動かす。本人は気付いていなかったが、その姿はご主人様に全身全霊の奉仕をしているのと全く同じだった。尤も、自分だけはそれを敵への攻撃と信じて疑わなかったが。  
 今まではこの後連続絶頂に追いやられ、気絶しても延々と嬲られて意識のない内に捨てられる。すっかり負け犬精神を植えつけられたアルウェンは、自覚せず今回もそうやって終わるものだと思っていた。  
 しかし、その当然は覆される。全く注意を向けていなかった胸責めによって。  
 
 おわんが今までになかった動きに変化し、ぎゅむぎゅむと膨らみの小さい乳房を悩ませる。じんわりと熱が中心に集中していき、やがてそれは桜色の乳首に収縮して、そして絶頂した。  
 乳房で絶頂したのではない。乳房を責められて、乳頭がぷくっと膨らみ潮を吹くように白濁した母乳を噴射して、胸そのものが絶頂したのだ。  
「う……え……? あ? な、に?」  
 まるで乳首がクリトリスに、乳房が膣になったかのような感覚に思わずフェラチオを止めて呆然と胸を見る。  
 少女の胸部は相変わらずささやかで幼い膨らみしかないのに、母乳は潮を吹き続けている。まるで覚醒したかのように感度が急激に上がり、恥丘にある最大の性感帯に勝るとも劣らない快感を脳に伝えた。  
 母乳はおわんから吸い取られ、アビスフラワーに吸収されている。絞られ続けている淫濁液は、既に少女の胸で生産可能な量を超えていた。その浅ましい光景を、棒から射精される樹液が顔にかかるのも気にせず見続ける。  
 魔の森の王が数ヶ月に渡り吸血鬼の姫に施した肉体改造が、ついにその姿を現したのだ。長い時間をかけて胸が魔力を母乳に変換する機能に作り変え、膨大な魔力を森の生き物に与える。そうすれば魔物はさらに強大になるだろう。  
 感度の上昇は副作用でしかない。しかし、肉体の変化に精神的な影響が強く出るアルウェンの体が、肉体改造された時にどういう影響がでるかを考えれば他の可能性などなかっただろう。  
 今や双乳とも女陰・アナルと同等の性感帯へと変化し、さらにその快楽に限界がない。膨大な魔力は尽きることなく母乳へと変換され、射精し続ける限り絶頂を味わい続ける事ができるのだ。  
 アルウェンは絶頂の海に沈められながら、きりきりと奥歯を食いしばる。これがご主人様からもたらされた変化ならば全力で受け入れられただろう。しかし、これは敵の恥辱改造である。受け入れるわけにはいかなかった。  
「まけにゃ、いっ! おまえ、なんかに、まけにゃいぃ……!」  
 アビスフラワーは敵である、その義務に似た意識だけで抵抗する。フェラチオを再開し、樹液をごくごくと飲み込む。これだけでは足りない、さらに強く攻撃しようと尻を前後左右に振りながら葉に擦り付けた。もう何が攻撃なのかすら思い出せない。  
 長きに渡る性奴隷生活で、アルウェンの快楽の許容量は爆発的に増えている。しかし、それすら叩き折られそうな強い快楽が淫乳から与えられるのだ。あれほど感じていた淫丘は物足りなさすら感じ、股間の両穴が削り取られるほど太い物を入れて欲しいと蠢く。  
 家畜淫乳となった胸はおわんの動きなど全く変わっていないに関わらず、母乳の量は少しずつ増えている。肉体は既にこの無常な牛の乳搾りを歓迎しており、奴隷の惰弱な精神など全く意に介さず変化を促進する。  
 いつの間にか少女のフェラチオ奉仕は、乳搾り運動にあわせたものになっていた。楽しそうに舌を動かし、もっともっととおねだりしているようにしか見えない。  
 手コキをしていた手はいつの間にか離され、口からこぼれた麻薬をたっぷり手に塗りこんで物足りない下腹部に移動していた。膣に、アナルに、それぞれ二本の指を激しく挿入し、それでも搾乳の快楽に及ばずもどかしげだ。  
 敵対しているのか隷属しているのか、境目が曖昧になっていく。アビスフラワーを倒したいのか、それともこのままされるがままになりたいのか。それすら分からない。  
 おわんから漏れる、甘い乳液が鼻腔を刺す。魔力から変換された母乳は他者に魔力を与える力と同時に、性別の区分なく発情させる力を持っていた。僅かに漂う香りですらこれほどの影響力を持っているのだ。完全に放たれたら想像も付かない。  
「っくうぅ……じゅる……うあ、あああぁぁぁっ! っじゅううぅぅ、ひゃあぁ……」  
 喘いでは飲み、飲んでは喘ぐ。口の端から大量に樹液を零しながらも、それ以上の量を啜る。無尽蔵の体力を誇る吸血鬼の体すらその法悦に体を焼かれ、顎や舌が上手く動かなくなっていた。  
 力をなくし始めた少女の体に気付いたアビスフラワーは、するすると枝を伸ばして後頭部に巻きつき、頭を固定する。こうされてしまえば、少女の口はいくら頑張っても棒を離すことはできないだろう。  
 奴隷少女を逃さぬために行ったのか、それとも森のペットの被虐肉体改造を助けているのか。アビスフラワーは語らず、機械的に淡々と嬲り者の少女をよりそうなるように調教し続けた。  
 自慰をしていた手すら力を失い、だらんと垂れ下がる。指が引き抜かれた穴はすぐにきゅっと閉じて、いかにそこがメスの器官として優れているかをあらわしていた。  
 
 今更、本当に今更、アルウェンはこの状況が危険であると悟った。これは最早勝負などと言えるものではなく、一方的な蹂躙だ。攻撃をしていた口ですら今は道具として使用されているのだ。  
 足を暴れさせてなんとか枷を破壊しようとするが、ただの木で出来た枷はヒビ一つ入らない。いくら脱力しているとはいえ、吸血鬼の力であれば軽々破壊できるはずの物が。  
 この枷は特別堅牢に出来ている訳ではない。少し力の強い魔物であれば軽々破壊できる程度のものでしかないのだ。ならば、事実は一つ。アルウェンの力が弱体化してるのだ。  
 魔力によって運営される吸血鬼の体に力が入らないと言う事はありえない。いくら魔力が体外に出されていると言っても、それは莫大な魔力の総量から見れば微々たるものでしかない。魔力はまだ有り余っているのだ。  
 ならば、理由は一つ。肉体は魔力によって運営され、魔力は精神によって運営される。精神が例え敵であっても反逆する事を良しとせず、淫らなメス犬として傅けと言っているのだ。  
 誰かに使われる事に慣れすぎてしまった心は、もうどのような相手であろうと選んではくれない。  
 肉体に回す分の魔力があるのであれば、それを全て快楽に回す。たとえその魔力を切ったとしても、母乳生成に影響は出ないだろう。そこまでいじましい性奉仕を、敵である存在にまで見せ付けていた。  
 悔しさに目を潤ませて、ならば何とか別の方法でアビスフラワーを倒そうと考える。しかし、その瞬間にアルウェンの脳は漂白されたかのように真っ白になった。  
 過剰な麻薬に犯され、あらゆる相手に頭を垂れる事を強要され、快楽を刷り込まれ、精神を破壊する。そのサイクルを幾度も繰り返されたアルウェンの思考回路は、既にあらゆる問題を性行為で解決するように出来ていた。  
 ここで振り払ったとしても、また遠くない未来にアビスフラワーにむしゃぶりつきに行くのだ。そして同じ目に合うのだが、かと言っても別の方法など思いつかない。  
 昔はどんな戦い方をしていたかと思い出そうとするが、そんな事よりも体と精神を奴隷として熟成させる方が重要だという思考が邪魔をする。なにより、アルウェン自身もその意見に賛成なのだ。労力を使うならば、ご主人様のためになる事を、と。  
 牙を引き抜かれて飼いならされた少女に今更出来る事など、考えているふりをして自分を惑わす逃げの一手だけだ。少なくとも納得はしていないのだから、まだ負けたわけではないと。  
 アルウェンの攻撃と言う名のご奉仕フェラチオが鈍くなると、それが気に入らなかったのか、後頭部に回されていた触手がぐっと頭を引き寄せた。どろどろの棒はずるりと滑り込み、喉の奥にまでしっかりと進入する。  
「ふぐうぅぅ! ゅゃああぁぁ、ふぁあああぁぁ、っぐうぅ!」  
 苦痛と快楽が混ぜ合わさった声を上げる。アルウェンの喉は奉仕のために喉奥まで開発されており、苦痛とそれ以上の快感を感じ取れるようになっていた。  
 人形のように頭を振り回され、その動きと同時に喉もぽこぽこと収縮を繰り返す。圧倒的な太さに頭蓋骨の隅まで支配され、その雄雄しいリードに逞しさすら感じ、奴隷の喜びを覚える。有無を言わさぬ力強さは、否応にも奴隷の嗜虐精神を突く。  
 いままでにないアビスフラワーの強引さに、抵抗しようという思考が急激にしぼんでいく。敵意こそなくならないものの、ご主人様と同じように道具として、メス犬として扱われる事に少なからず心を淫らに潤ませてしまう。  
 さらに垂れていた手が拘束され、これでもう自慰すら許されない。一つ不自由になるごとに、一つ抵抗心を奪われる。無理矢理犯されご奉仕することに喜びを感じる少女には、今の状況は待ちに待ったご褒美にも似ていた。  
 喉奥から無理矢理流される麻薬は、いつもより濃く感じられる。また、遥かに早いペースで体に吸収され、精神と肉体の改革を早めていく。  
 ひゅっ、ひゅっ、と呼吸すらままならなくなり、意思に霞がかかる。意識を元として動かなくなった体は、無意識に慣れた状態を再現、つまりご主人様にするような献身を心身に再現した。アルウェンの瞳からは敵意が薄れ、茫洋とした濡れた瞳が顔を見せる。  
 股間にあった枝がアビスフラワーに沈んでいき、淫猥なメスの中心を刺激するものがなくなった。それでも振られる尻はオスを楽しませ、時折くぱぁと開く女陰とアナルからは粘液とフェロモンの強い雌臭が漂う。  
 棒を労わりながら刺激する口淫は樹液を一滴も逃すまいと強く吸い付き、下半身の快楽がなくなった分、胸の搾乳に意識を集中。白濁液が吹かれるたびに、意識もその白で染め上げた。  
 
 しかし、母乳改造もまだ完全ではないのか、最初に比べ明らかに勢いが衰えている。魔力量を考えれば常に射乳し続けても問題ないのだ。  
 おわんの内側から半透明の筒が現れて、そっと乳首を摘む。触れているのかどうかすら分からない、性的な刺激というにはあまりに弱弱しい接触。乳搾りはおろか、喉奥レイプに比べてすら及ばない。  
 しかし、その行為の真価は直後にやってきた。  
「んぐ! んうううぅぅぅ!」  
 あまりに突然の出来事に、アルウェンは目を白黒させる。びくんびくんと体が跳ねて、現状に理解が追いつかない。そして次に、焦りと混乱が襲い掛かってきた。  
 少女を焦燥させた原因、それは乳首での連続絶頂、つまり射乳が強制的に止められていたからだ。牛の乳搾りはそのままに快楽の度合いも変わらないのに、無理矢理出口を縛られているわけでもないのに母乳が出ない。  
 おわんがぐにぐにと淫乳を攻め立てる度に、胸をかき回されるような感覚。行き場のなくなった母乳が内側から圧迫し、未知の快楽を呼び覚ます。  
「んあ、ぐぇっ! っぷううぅ、へえぇ! こえあ……な、にぃ!」  
 その鋭い刺激は脳にまで届き、おぼろげだった少女の意識を取り戻させる。  
「くぅ、っあ! っつうううぅぅぅ!」  
 しかし、それはよい事ではなかった。少女の敵意が快楽に押し流されようとしていたから。  
 奴隷として過ごしてきた期間に行った性行為は全て、嬲り者にされる、だったのだ。当然持ちうる性技を駆使して奉仕をしてはいたのだが、使われる存在であったのに代わりはない。同時に己を弄ぶ者に深い忠誠を誓うように精神調教されていた。  
 いままで幾度敗北してもアビスフラワーに屈服しなかった最大の理由、それはアルウェンに対し受動的な姿勢を崩さなかった事だ。結果、快楽は彼女の予想の粋を出ず、組み伏せられる充実感を味わう事はなかった。  
 しかし、今のアビスフラワーは能動的に責めている。森に住む魔物に比べれば温さすら感じる程度の行為だったが、犯されているという状態に僅かならず屈服と隷属の嘉悦を覚えてしまう。  
 それがないからこそ敵意を保ち続けられたのだが、今その根元の部分を掘り返されているのだ。  
 怨敵に負けるわけにはいかないという意識はいまだあるが、それ以上に敵に這い蹲らされ惨めに喘ぎ声を上げさせられるのはどれほど屈辱的なのかと考え、それに背筋を震わせてしまう。  
「んぐっ、ひゃめ……もう、ぢゅぶうぅ! んんっ、ひゃめ、へ……んああぁぁん!」  
 自分の精神が折れそうになっているのを知り、惨めに哀願する視線を向けるアルウェン。しかしそれは、口奥まで擬似男根を押し込まれて中断させられた。  
 強制フェラチオに反射的に舌を纏わせ、同時に喉を締め付ける。強引な手法に、しかし少女の体は反射にまで高まった奉仕を実行する。  
 ぶちゅぶちゅと音を立てて口の中を犯される。そこにいたわりなどあるわけもなく、機械的で強制的。アルウェンのささやかな抵抗を叩き伏せるのに十分すぎる効果があった。  
 顔を粘液と唾液で穢した少女の顔は喜びに満ちており、まるで今日この瞬間を待ちわびていたようにすら見える。あるいは、二者の関係はずっと以前から主従関係があり、またいつものように楽しんでいるだけにも。  
 下半身は放置され射乳も禁じられれば絶頂できるはずもなく、欲求が湖のように溜まっていく。そのもどかしさすらも嗜虐心を煽り、さらに心の天秤が傾いてしまう。早くイかせてほしい体は精神の楔を破壊し、媚びるようなフェラチオと視線を敵に送った。  
 ください、くださいとねだる様な性奴隷のフェラチオに、アルウェンは悲鳴を上げそうになる。ぐちゅぐちゅと鼓膜を刺す淫音が、少女のささやかなプライドを刺激してやまないのだ。  
 これはちがうと心の中で唱えながら、悪魔の薬物に舌鼓を打つ。ちゅーちゅー吸いながら喉にねっとり張り付き、犯されていると言う実感を強制的に覚えさせられた。  
 このままではイけない。負けたくない。もっと犯して欲しい。この敵を倒したい。様々な感情が脳裏を横切り、なんとか現状を打開しようとした。しかし結果は出ずに、結局されるがまま犯される。  
 いや、性行為でしか戦うことができなくなっている少女は、悩んだふりをしていた。飼いならされて自分の意思を剥奪された少女には、もう自分の行動を決定する能力を著しく欠いている。あとはされるがままになるだけか。もしくは。  
 ――どうやって敗北の妥協をするかだ。  
 もどかしさばかりが募る快楽拷問の時間は、急に終わりを告げた。手足と後頭部を拘束していた枷がゆっくりとアビスフラワーの中に戻っていき、口から棒も抜き取られる。乳房を包むおわんも脈動をやめていた。  
 
 アルウェンは暫く現状が理解できずにただ呆け、やがて今日はもう終わりだと言う事に気づくと愕然とした。達する事を許されず体の内に蓄積され続けた熱は、いままでの悦楽を絶望的なものに変える。  
 いち早く自由になった手を使って、まだおわんの取れていない自分の胸を揉みしだく。植物とは思えない柔らかさを持つそれの上からならば十分な刺激を得られたが、やはり乳射はできずさらに熱と絶望を帯びるだけだった。  
 背筋に貫く快楽と共に、恐怖の寒気が走った。最悪の場合、これは次にここに来るまで治らない。いや、もしかしたら次でも駄目かもしれない。この状態で一人の時に官能に熱が入ってしまったら、あとは狂うまで淫熱に踊るしかないだろう。  
 アビスフラワーからしてみれば、急ぐ理由などないのだ。時間は無限に等しく、例え数十年かかろうが困る事はない。いや、己の魔力があればアルウェンを逃した所で問題はないのだ。  
 魔花の勢力は日に日に拡大を続けている。少女が森の礎とならずとも魔物たちの力は少しずつ増していくだろうし、浮遊大陸を全て自分で覆ってしまうのもそう遠い未来ではない。一人の、いや、一匹の家畜吸血鬼など時間が僅かに早くなるかどうかの違いしかない。  
 仮に強大な力を持つ少女が逃げ、正気を取り戻し挑んできたとしても、やはり問題はなかった。麻薬と調教により精神を犯されつくした女など、僅かなきっかけでまた坂を転げ落ちるだろう。既に奉仕する事こそが己の喜びだと信じて疑わないのだから。  
 尤も、仮に抜け出せたとしても他の誰かに鎖を繋がれる可能性の方が高いのだが。なんにしろ、アビスフラワーにとって最低限必要な、脅威の無力化にはもうとっくに成功しているのだ。  
 アルウェンが壊れようが逃げようが大した問題ではない。そう思っているアビスフラワーに気付かずに、少女は焦りを募らせた。  
 既にアビスフラワーに勝とうなどという考えは湧いてこない。今はただ、どうすれば自分の感情に折り合いをつけつつ調教を続けてもらえるのか、そればかりを考えている。  
 薬物と快楽により鈍った思考からは考えられないほど高速で頭を回転させ、自分を妥協させるに足る理由を探し出す。己の欲望の為に全盛期の思考能力を取り戻した脳は、すぐにその結果を導き出した。  
「わ、私の負けだ。だから、その、私を……、敗者として、嬲って……くれ」  
 アルウェンの顔色が真っ青になる。アビスフラワーと戦って始めての、いや、人生で始めての敗北宣言。彼女の正常な部分が、自分は取り返しの付かない事をしてしまったのだと自覚させた。  
 一瞬、アビスフラワーの動きがぴたりと止まる。しかし、再び撤収を始める姿にアルウェンの後悔は吹き飛んだ。  
「お、犯してください! 敗者に相応しく惨めで無様に鳴かせて、私をメス犬に相応しい淫らではしたない姿にしてください、お願いします……!」  
 自分が何を言っているかも理解できず、口から紡がれるのは勝者の気を引くための媚びた言葉。それらを脳裏に浮かぶままに羅列し、誇りなど欠片も見当たらない瞳で哀願した。  
 言葉が通じたのか、または通じてないのか。アビスフラワーの姿からは分からない。しかし、少なくとも少女の懇願する姿からまた一つ精神が犯されたのは理解できたのだろう。  
 閉じかけていた足の枷は再び閉じられ、正面から細い一本の蔦が伸びる。蔦は首輪に絡みつき、少女の飼い主であるかのように見えた。首元から伸びるそれはとても儚く、人間の子供の手ですら軽く引きちぎれる程度のもの。しかしアルウェンにはもうそれを壊す事はできない。  
 手枷は幹に沈んでいくが、かわりに床が盛り上がり二つの輪が現れる。そこに手を置けと言う事だろう。一瞬、まだアビスフラワーに勝とうという少女の精神が手を止めさせたが、それも胸の熱が脳を刺激すると淘汰され、手を床に置いた。  
 四足で立ち首輪で繋がれるその姿は、まさしく飼われる者の姿だ。屈辱的であるその姿に、アルウェンは快楽とは別の熱で胸を熱くした。  
 少女の眼前に蕾が出てきて、それはすぐに花を咲かせた。ぶわり、と視界が黄色くなるほど濃い花粉を舞わせる。鼻腔の奥までたっぷりと人を狂わせる魔粉を吸い込み、体の隅々まで敗北の烙印を充実させる。  
 ただの一吸いで少女の瞳から光が消え、犬のように舌を出しながら深くゆっくりとした呼吸を繰り返す。花の中心に舌を差し出して、子犬がミルクを啜る様にぴちゃぴちゃと舐めだした。  
 美しい深紫色の髪に黄色の粉が付く事も気にせずに、一心不乱にすすり続ける。  
「んあ、ぺちゃ……ぴちゃ。んん……すごい、な。ぺちゃ……ぺちゃ」  
 顔に喜びの表情を貼り付けたまま、屈辱の行為に身を沈めた。花粉の効力は樹液とそう大差ないものだったが、その効果は桁違いだ。  
 
 アビスフラワーに敗北を認めたアルウェンは、どこか心の中で受け入れてはいけないと思っていたそれを、今は完全に容認している。もはや薬の効果を阻害するものはなく、それが今の差に繋がっていた。  
 そして、同時に自覚する。敗北とはかくも屈辱的で、気持ちのいいものだと。  
 こうして無理矢理屈服させられる、強制的に飼いならされる快楽は、今までにないものだった。屈辱の嘉悦に味を占めた少女は、さらに自らを貶めるべく舌の動きを早くする。同時に恥丘とアナルがくぱりと開き、だらだらと淫蜜を垂れ流す。  
 未だに絶頂するような刺激は与えられていないのに、陰部から一際激しくぴゅくぴゅくと白濁液が爆ぜて地に落ちる。これだけで達する事のできる敗北という甘美な毒は、もう手放せるものではなくなっていた。  
 追い討ちをかけるように、乳房を柔らかく包むおわんの上から数十本の針が刺される。ゴムのような質感を持つおわんは、穴が開いてもささやかな乳房を包み続けた。  
 小さな淫乳に大量の薬液が注入され、胸裏でぐるぐると渦巻く。まるで柔肉をかき回して、極上の淫肉に作り変えられるような感覚。いつのまにか平均以下だった胸は一回り大きくなり、掌で包めるほどにその存在感を増していた。  
 特に小さく、しかし強く自己主張をする乳首には念入りに薬液が注がれ、さらにおわんの中心部分からも柔らかい糸が逆流して進入、内側から改造すると言う徹底ぶりだ。姿形は変わりないものの、そよ風の刺激すらなくとも快楽を感じられるようになっている。  
 薬液を注入し終えると、針は媚肉を傷つけぬようゆっくりと引き抜かれる。細い針が引き抜かれた後には傷跡すら見えず、改造行為が行われた証は淫らに膨らんだ乳房だけだ。  
 メス牛改造が終わる頃と同じくして、花の中心から雄しべが出てくる。樹液と花粉の混合物が出てくるそれを、口に含んで舌を転がした。  
 行為こそ今までと同じだったが、その精神は全く違う。敵愾心でも無意識でもなく、ただ敗者の仕打ちとして当然の奉仕行為。自他にそれを認めさせる羞恥刑罰。尊厳を踏みにじられ全ての要求に諾々と従うしかないその姿は、まさに敗者に相応しいものだった。  
 おわんが程よい大きさになった淫乳を根元から締め付け、乳首を吸いながらぎゅっと下に締め付ける。いともあっさりと母乳が噴射され、少女をかつてないほどの高みへと追いやる。  
 今までとは比べ物にならないほどの量と勢いの乳射は、おわんの内側を一瞬で白く染め上げるほどだった。母乳の量に比例して高まった絶頂快楽に、アルウェンは思わず目を見開いた。体全体が痙攣し意識を別世界へと連れ去っていく。  
「んんっ――! んんん〜〜〜〜〜!!」  
 その刺激たるや、もはや性器を超えていた。これを味わえるならば何でもすると思えるほどで、陶酔感も追いつかない連続乳搾りに酔い浸る。  
 淫らに作り変えられた乳房から白濁液を垂れ流し、その刺激に逆らわない。陰部はぱっくりと開ききり、犬の尻尾のように左右に振られて淫液をあたりに撒き散らす。当然ご奉仕フェラチオも続け、その表情は従順さを演出する媚びた色をしている。  
 理性などどこかに忘れてしまったかのような姿からは、かつて彼女は誇り高い吸血鬼の真祖であったなど誰も予想できないだろう。標的を一瞬で絶命せしめていた牙はもうなく、狩りを忘れて餌をねだる惨めな飼い犬。  
「んぢゅぅ、じゅううううぅぅぅーーー! ん、もっほぉ、もっとしぼってぇ!」  
 搾乳調教に絶頂し続ける。胸が母性の表れであった事も忘れ、ただ搾取される快楽を刻み込まれる作業。魔力を快楽と共に奪われても、僅かも拒否感を感じられなかった。欲望と献身のままに吼え地に伏せる姿は、獣以外の何者でもない。  
 口を動かせば樹液を飲み、呼吸をすれば花粉を吸う。舌を動かす、息を吸う、ただそれだけで快楽を感じるように、そういう生き物にすらなりつつあった。  
 乳房の根元付近にまた大量の針が刺される。今度は搾乳行為を続けたままで。  
 薬液を注入されながらの家畜搾乳は、また格別だった。絶頂の空白すら越えて、頭の中が白と黒で点滅を繰り返す。次々にアルウェンの中身が壊れていった。  
 少し記憶を失う。乳射する。言葉を忘れそうになる。奉仕する。魔力を取り戻さなければいけない事を忘れる。乳射する、絶頂する。自分が吸血鬼であった事を忘れる。奉仕する、絶頂する。  
 もう何がなんだかわからない。乳射する。奉仕する。絶頂する。下半身が疼く。尻を振る。誘う。おねだりする。搾乳していただく。奉仕させていただく。絶頂させていただく。調教していただく。飼っていただく。ご寵愛をいただく。  
 
 自分は森の全ての性奴隷である事を刻み込み、過去の全てを消し去っていただき、変態ペットとして精神と肉体を全て作り変えていただき、どうか、新たな自分に生まれ変わるように――  
 そして、アルウェンは意識を失った。  
 
 
 
 アルウェンが目を覚ました時、それはすがすがしい気分だった。もし今生の内に生まれ変わる事ができたのなら、こういう気分なのかもしれない、と考える。  
 あたりを見回すと、そこはアビスフラワーの根元だった。いつもは森のどこかで起きていたのだから、今回もそうだと思っていたのだが。  
 ふと魔花を仰ぐと、その存在はとても雄大に感じられた。つい先ほどまではあれほど禍々しく思っていたのに。その雄大さは、先ほどまでの夢のような調教を肯定しているようで、なんとなく嬉しくなった。  
 胸を見下ろせば、人並み程度に膨らんだ形のいい乳房。じんじんする胸はとても窮屈で、ただそこにあるだけで絶頂してしまいそうなほど感度がいい。  
「ああぁっ! っぁ、あああぁぁぁぁ、っひいいぃぃぃ!」  
 ためしに自分で触れてみれば、桁違いの快楽が生まれるものの絶頂も乳射もない。しかし、これでいいとアルウェンは思う。己がはしたない生き物で、すぐに自分を慰めて達してしまう浅ましさを自覚していたのだから。  
 生まれるもどかしさに満足しつつ深く感謝し、アビスフラワーを見る。  
「……また、戦いに、来ます」  
 ご主人様に窺うような、丁寧な言葉遣い。もう乱暴な口など聞けるはずがなかった。  
 もう次は勝つ、などという大口は叩けない。それにもう勝つ気などないのだから。戦うだけ。戦って負けるだけ。戦って負けて、また調教していただくだけ。ただ、敗北の悦楽を味わいたいのだ。  
 アルウェンはすくりと立ち上がり、アビスフラワーにお辞儀をする。  
「また戦って負けますので、その時に哀れなメス犬を調教してくださぁい」  
 淫靡に濡れた瞳で、お願いをする少女。その顔に、かつての面影はなかった。そして、待たせてしまっているご主人様に犯していただくため、期待に股を濡らしながら森の深みへと消えていく。  
 真に雌奴隷として完成されつつある姿に、アルウェンの個性など一体どれほど意味があるだろう。どちらにしろ、その問いになど意味はないのだが。  
 そのメスが自分の名前すら思い出せなくなるのは、そう遠い未来の話ではないのだから。  
 
 

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