・一発逆転、魔法を発動する  
 
「埒が明かん!」  
 アルウェンは半ば絶叫しながら杖を構えた。充実する魔力に反応したのか、魔物がこぞってアルウェンに体当たりを食らわせる。  
「っ……くぅ!」  
 体当たりをまともに食らい、体が台座の上を滑る。それでも魔力を練る事をやめず構成された渾身の魔法は、魔物どもを殲滅するのに十分な威力があった。  
 これで台座の上に危険はなくなった。遠距離線ならばアルウェンの方が上な以上、エフェメルガは何らかの対策を採ってくるだろう。  
「はぁ……はぁ……っく! エフェメルガは!?」  
 よろける体を支えながら、周囲を見回す。水面は今だ波紋を映しているが、エフェメルガは影すら見えない。何をしてくる気かと十分に気をつけながら、とりあえず台座の中心まで移動しようとする。  
 それは、エフェメルガの狙い通りの行動だった。  
 アルウェンの背後から、エフェメルガの頭だけが突如として現れる。すぐに反撃しようとしたアルウェンだったが、攻撃対象が遠い事に一瞬戸惑ってしまったのが命取りだった。  
 立ち上がりかけの足元が覚束ない姿勢、そこに魔法での遠距離水弾。アルウェンは咄嗟に直撃こそ避けたが、魔法の余波までは防げなかった。  
 すぐに持ち直そうとはするが、足元は氷であり思い切り滑ってしまう。指を立ててなんとか止まろうとするが、片足が地面を踏み外し湖に落ちる。  
「まず、いっ!」  
 アルウェンが落ちまいと必死に耐える中、エフェメルガは次の水弾を放つ。杖を盾にするが、その程度で無力化できるほど弱い衝撃波ではなく、杖ともう片足まで吹き飛ばされる。  
 今のアルウェンは上半身しか水面から出ていなく、それすら凍った地面を両手で支えている結果だ。早くなんとかしなければ、アルウェンの脳は全力で回転し状況を打開する行動を模索する。  
 しかし、それはエフェメルガの行動に比べれば絶望的に遅く。視界が暗くなるのを感じながら、遠ざかる台座をただ見つめる事しかできない。  
 アルウェンは最後の水弾に容易く吹き飛ばされ、水の中深くに沈み、エフェメルガに飲み込まれた。  
 
 
 
 
 
 アルウェンが目を覚ましたのは、辺りに立ち込める異様な臭いが原因だった。鼻腔の奥を突くような刺激臭とは違う、あまりに生臭い臭気。その不快感は気付け薬の変わりになるには十分すぎた。  
 不愉快な気分を堪えながら目を開けると、そこは暗く狭い空間だった。この明かりのない場所でもあたりがくっきり見えるのは、一重に吸血鬼の目のおかげだ。しかし、アルウェンはそれを見た事を後悔した。  
 目と鼻の先にある壁は赤黒くでこぼこしていて、表面がぬらぬらと粘液で濡れており、非常にグロテスクな光景だ。あたりを見回しても同じ。縦に長く楕円形の形をしたこの部屋は、出口らしきものも見えない。  
 そこまで確認して、アルウェンは初めて自分が立っている状態なのに気が付いた。いや、立たされている状態だろうか。  
 自分の体を見れば、手足は肘と膝の辺りから壁にめり込んでいる。いままで気付かなかったのは、起きたばかりで感覚が鈍くなっていたためだろうか。  
「くっ! 一体なんなのだここは」  
 手足を暴れさせてみるものの、まるで接着したかのようにピクリとも動かない。指先まで動かしてみるものの、どうも感覚が鈍くどれほどの抵抗をしているかがわからない。それでも、ぶにぶにとした気味の悪い感覚だけは理解できるのだが。  
 それでも暴れ続けていると、右足だけがずるりと抜け出す事に成功する。  
「よし。この調子で……」  
 さらに左足も、と意気込んだ所で、壁から生えた何かが右足を絡めとり、また壁の中に引き込んでしまう。その力は強く、さしたる抵抗もできずにまた膝の位置でがっちりと封じられてしまった。  
「なんだ、これは?」  
 その怖気が走る光景を目の当たりにしたアルウェンは、今の状況の危険を再確認する。たとえ左足を開放できたとしても、またすぐに捕らわれてしまうだろう。逃走が不可能に等しい。  
 また、もう一つ危機を感じさせたものがある。何かに右足を捕まれた時、言いようのない感覚に襲われたのだ。普通に触れられたのとは違う、こそばゆい様な。そう、股や胸を弄ばれた時のような感覚が。  
 二度も味わった恥辱と快楽、それがアルウェンに最大級の警告を鳴らした。ここはそういう空間で、捕まったままではまた同じ目に合うと。  
「くぅ、放せ! 放せぇ!」  
 力の限り暴れるが、吸血鬼の膂力を持ってしてもどうにもならない。壁はぎっちりとアルウェンの四肢を咥え込み、ささやかな抵抗も全く通用しない。  
 爪を立てても柔らいものの上を滑るだけで、反抗の体を成していない。それでも恐怖心から抵抗を続けた。  
 
 無意味な脱出を試みるうちに、部屋全体が大きく揺れだした。地震のようなものではなく、前後左右にふり幅が一定しない振動だ。  
「こ、今度は何だ?」  
 アルウェンが目を走らせると、周りの壁が生き物のように脈動しているのに気付いた。さらに頭上からは粘液が降り注ぎ、アルウェンの体を艶やかに汚していく。  
「ここはまさか……エフェメルガの中だとでも言うのか……?」  
 湖に落ちた後の記憶がなく、どこかに収容されたのだろうと思っていたアルウェンは自分が思い至った答えに戦慄する。たとえ逃げ出したとしても、そこは水の中なのだ。泳げなければどうにもできないし、その上エフェメルガは健在なのだ。既に詰んでいるかもしれない。  
「そんな……それなら、いっそ――」  
 いっそ、このままエフェメルガに従属してしまおうか。どこもかしこもかき回して可愛がってもらえるなら、その方がいいかもしれない。諦めてしまえば楽になるのだから。  
 そんな考えが浮かび、アルウェンは即座に否定した。  
「私は何を考えている! そのような戯言を……なぜ、思いついたのだ?」  
 怒りではなく本当に疑問に思い、アルウェンは首を傾げた。普段ならば絶対に思わないような事、それはなにより自分こそが一番承知している。それなのに、こんなことが即座に思い浮かぶなどありえない。  
 そういえば、と部屋の中に随分甘い香りが充満しているのに気が付いた。それにつられてか、股間が随分疼き潤んでいる。そんな事すら当たり前のように感じている自分に、激しい違和感を覚えた。  
「どう、なっているんだ、私は?」  
 反抗する気があるのに、従属する気もある。しかも、それらがせめぎ合っているのではなく当然のように同居しているのだ。自分の正気を疑いたくなっても仕方がない。  
 ただ一つ分かっているのは、ここに長くいるのはとてつもなく危険だという事だ。抵抗の意思を削がれるのではなく、意思そのものが塗りつぶされてしまう。最後に待っているのは、家畜に成り下がった自分だろう。  
「っ! そんな事が容認できるか!」  
 いくら強がっても、それすら受け入れている自分がいる。それを跳ね除け続ける意思は、二度の凌辱で期待できない事も知っていた。  
 抵抗の中で魔法も試してみたが、発動すらしない。この部屋の中では魔力が拡散してしまう上に、元々未熟なアルウェンでは杖無しではろくな魔法も使えなかった。  
 どうにもならない内に、ひんやりとした肉の壁が熱を帯びていくのが分かった。同時に振動が収まり、ゆっくりと体が引っ張られるような感覚。  
「完全に起きてしまったか……」  
 どんな仕打ちを受けるのか、考えるだに恐ろしい。しかし、それを期待する気持ちがアルウェンの抵抗を弱めもしている。  
 四肢を拘束する肉が、肘と膝あたりの出入り口以外に空洞ができた。これを機と見て引き抜こうとしたが、締め付けは尋常ではなくどうにもできない。  
「ひゃあ! なん、だ、これは」  
 空洞の中には、どろどろの粘液が満たされていった。肉の感触とは違う、生暖かく緩やかな感触が悲鳴を上げさせる。液体は隙間なく満たされ、外にまでこぽこぽと漏れ出すほどの量が排出される。  
「うぅっ、く、臭い……。それに、服が溶けている」  
 漏れた液体はアルウェンの衣類を溶かし異臭を放っていた。元々の臭気なのか、それとも服を溶かした影響なのか、鼻腔を貫き脳まで刺すような刺激臭がする。  
 そんな危険物であっても肌には僅かも影響がなく、手足の感触はしっかりと存在した。しかし、服を溶かされた事で脱出がより困難になったのは確実だ。  
 服を溶かし終わった粘液は肉の隙間から吸収され、量を減らしていく。汚臭を放つ液体が部屋に流れなかった事に、アルウェンは密かに安堵する。  
 完全にあらわになった手足に再び肉の壁が絡み、先ほどのようにぴったり張り付くではなく、柔らかく撫で上げる。その感触に、アルウェンの背筋がびりびりと震えた。  
「ひゃ、ああぁぁあぁ! なんっ……! これ!」  
 指先まで丁寧に擦り上げ、舐めるような感触のそれは明らかに性を意識したものだ。問題は、そんなものが性感帯でない手足にされており、しかもそれで感じているという事だった。  
 ちゅりちゅりと手足を嬲られる度に、体をえびぞりに跳ね上げて淫らに腰を振り乱す。びくびくと体は揺れて、女陰は絶頂したかのように潤っていた。  
「や、やだ! やめ……うあああぁぁ!」  
 肉壁の刺激は容赦がなく、アルウェンは上り詰めていく。乳首はぴくりと立ち上がり、体が揺れるごとに陵辱の記憶を思い出し、現在の状況に照らし合わせてしまう。既にアルウェンの心は折れる寸前だ。  
 
 精神的に抵抗できない、というのがこれほど恐ろしいものだとは思わなかった。もし心に矛盾があれば、反骨心で無理矢理快楽を押さえ込む事ができたかもしれない。  
 しかし、両者が完全に隔たれた今、快楽を貪る心が際限なく上昇しているのだ。その上、快楽で反骨心がどんどんしぼんでいく。  
 アルウェンは快楽を既に知っている。そして、それに従属するのがどれほど浅ましく楽であるかもしっている。ゆえに抗いやすく抗いがたい。しかし、抗いやすい要因が消えてしまったために、アルウェンは快楽にのめりこんでいくしかない。  
「ひっ、あっ、あっ、あああぁぁぁぁぁっ!」  
 グロテスクな肉の奉仕を存分に楽しんだ手足は、その悦楽を余すところなく脳に伝えて刺激した。指は抵抗の動きから感触を楽しむためのものに代わり、指先できゅぷきゅぷと肉を啄ばむ。  
 腰はアルウェン自身も自覚しないうちに逃げるような動きから、何か擦るものを探す動きに変わっていた。愛液が滴り落ちるほど飢えたそこは、これほど四肢で快楽を得てもまだ貪欲だ。  
「う……あぅぅぅ! っっくううぅぅ!」  
 アルウェンは体を大きく前に出し、絶頂を味わいながらはしたなく淫液を垂れ流す。びちゃびちゃと音がするほど大量に愛液を零すと、恍惚とした表情を見せながらも少しだけ正気が帰ってきた。  
「そん、な……。手と、足だけで……」  
 性感帯ではない、それも四肢などで絶頂を迎えられるようになってしまっては、もう二度と普通に生活などできない。その事実に心は暗かったが、顔はしっかりと喜ぶように赤らんでいる。絶望感以上に、今後の家畜生活を期待する心は大きかった。  
「ひっ、ま、ちょっと待って……」  
 アルウェンが絶頂を迎えている間も肉壁の手足苛めはとどまる事を知らず、むしろより激しくなっていた。正気はすぐに法悦に溶け、またされるがままに腰を振る。  
 手足の感覚は何もかもが鈍いのに、快楽信号だけは過剰にキャッチしていた。主人の思い通りに動かず、快楽を貪るだけの器官になってしまったそれはもう性器と言っても過言ではない。  
 びくびくと震える四肢は、まるで男性器のように柔肉で快楽を味わう。しかし、絶頂という機能のない男性器は際限なく快楽を増幅し、触れてもいない膣をぐずぐずに解き解すほど刺激している。  
「あぅ……また、うああああぁぁ!」  
 即座にもたらされた二度目の絶頂は、悦楽と同時に体力を根こそぎ奪っていった。本来ありえない快楽の高さと速さは、少女の体力を根こそぎ奪う事で頂点への道を捻出する。そのためか、アルウェンの体は脱力し股から黄金色の液体がぱちゃぱちゃと垂れ流される。  
「ぅあ……ひゅぅ……もう……ひゃめへぇ……」  
 肉壁には加減がなく、延々手足を擦り続ける。アルウェンの体は脱力しながらも、継続的に痙攣を続けていた。尿道に力を入れる余裕すらなく、だらだらと垂れ流し続けて異臭を放つ。  
 股間のすぐ下から一本の細い触手が生え、先端の突起部分から粘液を射出する。直撃したショーツは溶けて剥がれ落ち、薄布に守られていた淫らに変化した恥丘が姿を現す。  
 触手は獣のように盛る肉の丘を撫でながら何かを探している。アナルを通り過ぎ、膣すら超えたそれは小さな穴、尿道に入り口を合わせた。  
 だらアルウェンを弄ぶ為か、それとも尿が気に入らなかったのか、それは分からない。ただ思い出されるのは、あおじぇりーによって完全に性感帯として開花した尿道。そこを使ってもらえると言う期待だけだった。  
 触手は尿道の肉を揉みながら割り開いていき、最奥の括約筋を無理矢理こじ開けると、ぐっと開いて肉に食い込んだ。もう尿は堪える事ができず、ただ垂れ流すしかなくなってしまう。そんな惨めな仕打ちを受けても、アルウェンの心は喜んでいた。  
 触手はぷくりと膨れ、膀胱に液体を逆流させる。粘液とは違いさらさらとしたもので、簡単に中に進入するとあっという間に満たす。パンパンに膨れ上がった膀胱に、痛みを感じながらも喜んだ。  
「も、もう……はいらな……にゅうううぅぅ! 吸わ、れるううぅぅ!」  
 限界まで膨らんだ膀胱を、今度は肉皮ごと引っ張り出さん勢いで吸い上げられる。その勢いは普段の排尿の非ではなく、その倒錯的な状況に酔いしれる。  
 強制的な注入と排泄は何度も行われ、まるでペットにお前は管理された存在だと教え込まされているようでもある。実際、捕まっているアルウェンはアフェメルガに世話されなければ何一つできない。  
「だ、出さされてしまう……っ! 出ちゃう、漏らしちゃうぅ!」  
 
 痛みがなくなり排泄に快楽しか感じなくなったアルウェンは、自身を貶める事ですら喜びを見出していた。自分の無様な姿を叫び、想像して興奮するメス犬と変わらぬ姿。拒否する意思は今だあるものの、それは快楽を抑える役にはたたない。  
 四肢と尿道の五箇所で性感を高められ、歯止めのないメス犬はどんどん肥大化する。自制心はどれほど警告を鳴らしても隅に追いやられ、アルウェンの心と体は快楽を得るための別の機能に変わっていく。  
 盛りのついたメス犬の表情になったアルウェンに、陰部に追い討ちの一刺しが加わるとさらにだらしのない顔に変わる。かつての気品の影も見る事はできず、欲に呑まれた一匹の犬の姿がそこにある。  
「んんっ、はあぁ。もっとぉ」  
 アルウェンは期待に胸を膨らませながら、膣をひくひくと蠢かせる。少女の淫らな姿に答えるように触手は膣内を上り、子宮口に口づけをした。  
 自制する意思をなくして久しいアルウェンは、ねだるように腰を振りながらきゅっきゅっと締め付ける。熟れた媚肉は内側から制圧する圧力に喜び、支配者を歓迎した。  
 そちらにばかり集中していたからだろう、アルウェンは気付かなかった。部屋の中に液体が満たされてきている事に。  
 液体はゆっくりと水位を増し、衣服を溶かして少女の美しく淫らな裸体をさらけ出していく。太腿のあたりまで水に浸かってやっと気付いたアルウェンは、その事に恐怖した。拘束された状態で泳げる泳げないなど関係ない。このままでは溺死する。  
「ああぁ、待て……ひゅうううぅぅ、それ、りゃめへえぇぇ! ひぃ、おぼれるぅ!」  
 膣を蕩けさせる刺激に屈しながらも、水への恐怖を伝える。裸になっていく自分の姿に、もっと責め彩って欲しいと場違いな事を思いながらも恐怖した。  
 水位は肩のあたりでとまり、胸を押さえつける藻ごと服を全て溶かすと胸の少し上まで下がった。その事に安堵しながら、再び犯される姿を妄想し、思い切りかぶりを振る。  
「いや、違う! 違うぞ! 私は、私はすぐにでもここから出て……っっっ――――!! ぁ――ぅぁぁ――――っっ!!」  
 せっかくの気合を入れた言葉も、全て言い切ることはできない。エフェメルガがさせなかった。  
 膣の奥にまで侵入していた触手の先端が割れて、中から無数の細い触手が溢れたのだ。それらは子宮口を舐め上げて弛緩させ、主の存在を教え込ませる。どれほども抵抗せずすぐに屈服した子宮口は触手を迎え入れ、子宮に次々と触手が進入した。  
 触手はまるで自分がここの主だとでも言うように鎮座し、内部を好き勝手に渦巻き嘗め回す。吐き出される粘液は女を雌に変え、子宮全体を圧迫した。  
「きゅあぁ、取られたぁ……私の子宮、奪われてしまったぁぁぁ……」  
 下腹部を征服されてしまったアルウェンはその言葉に反し、顔を喜びに綻ばせ膣の中の主を奉仕によって迎え入れる。触手と粘液の圧迫により妊娠初期のように僅かに膨らんだ腹を、愛しそうに見つめてしまう。  
 粘液はアルウェンを狂わせた甘い香りをはっするもののようで、次第に子宮内部の圧迫感は消えていく。その代わりに現れるのは際限のない快楽であり、手足ですらそうなってしまったのに性感帯に直接塗りこまれればどうなってしまうのか、期待せずにはいられなかった。  
 アルウェンの精神にまで染みこんだ媚薬は、ただ子宮を圧迫するだけで絶頂寸前の快楽を感じさせている。膣内の触手が脈動し、子宮内の触手が撫で回す。拒否感を感じながらも喜び、強い絶頂を感じられる――と思っていた。  
「ひきゅうぅ! う、あ、なん、れ! い、ゅぅぅ、け、にゃいいぃ! うあっ、あ、あ、あっっ!」  
 どれほど刺激を与えられても、絶頂まで至らない。全身性感帯に変えられ、子宮までも犯されて媚肉を限界まで爛れさせても、どれほど快楽を望み奉仕しても絶頂できない。  
 本来ならば、これほどの刺激なら気が狂うほど何度も絶頂しているはずだ。ならば、エフェメルガがこうしているに違いない。そう確信したアルウェンには、しかし懇願する事しかできなかった。  
「イか、せて! イかせて、くらひゃいいぃ! お願い、おねがいひまふ、イかせてくらしゃい!」  
 体と心の欲求に従い、全力で絶叫する。反抗しようと言う意思は遥か彼方、今はエフェメルガに媚びへつらう事しか考えられなかった。  
 アルウェンの必死の言葉にも、エフェメルガは取り合わない。そもそも通じているのかすら怪しかった。寸止めの地獄は少女を責め苛み、精神すらぼろぼろと崩れ落ちていく。  
「ごめんらひゃい! しゃからっへぇぇ、ごめんなひゃいいぃ! 攻撃して、ごめんらしゃい! もう二度としゃからいまへんからぁ、イかせてくらひゃいいぃ!」  
 
 どうすればイかせてもらえるのか、それしか考えられず言葉を吐く。既に自分が何を言っているかも分からなくなっていたが、その快楽を求める心はだけは穢れながらも純粋だった。しかしそれも届かず、穢れは広がり続け、目の輝きすら次第に濁っていく。  
 瞳の色は完全に濁り自分を見失ったアルウェンは、壊れたかのように叫び続ける。体だけは地獄に踊りながら、焦点の合わない瞳を虚空にむけ、神を仰ぐかのように狂信の視線を這わせた。  
 媚薬の池の水面下で、肉壁が蠢き盛り上がる。合計三つの肉の塊は、一つはアナルに突き刺さり、二つは胸を帯の様に覆い隠した。  
 腸内では膀胱と同じように液体を吐き出されては吸われを繰り返し、さらに十数本の細い触手が中を舐めてこそぎ取る。  
 胸を覆った肉は表面こそ滑らかなものだったが、何故か乳首の部分のみが丸く開いていた。内側はアルウェンからは見えないものの、繊毛のようなものが生えているのだろう、ねっとりと乳房を嘗め回す。  
「うあぁ、ひぃ! にゃあああぁぁぁ、はううううああぁぁぁ! きゅうぅ、ううぅ、うあああぁ!」  
 もはや言葉を発する事もできず、寸止めの苦痛に悶え狂う。煉獄を思わせるほど体は熱くなり、全身で快楽を感じていた。  
 理性も本能も意識も何もかもが削られていき、快楽という感覚すら薄れていく。脳は焼きつき、刺激に反応する肉体だけがそこにあった。  
 ぷつん、とアルウェンの中の何かが切れる。  
「――――ぁぁぁぁ! っひ――――うああぁ! きゅ――――ゅゅ! ひゃ……うぁ」  
 同時に襲い掛かったのは、今まで溜まりに溜まった絶頂感。それが押し寄せ、砕け散ったアルウェンの精神を洗い流す。感じる事だけを理解し理解し、それでもなお足りず快楽を刷り込み理解する。  
 絶頂したアルウェンの痙攣する子宮で、触手はアルウェンのあるものを半ばまで掴んだ。それは、アルウェンの戦力そのものと言える魔力の核だった。  
 エフェメルガは魔力の核からぎゅるぎゅると魔力を吸い上げる。本当ならば魔力の元から全て奪い取りたかったのだろうが、それを可能とするほどエフェメルガには魔法操作技能はない。しかし、こうして半分掴んでしまえばもう手に入れたも同然だ。  
 アルウェンが絶頂に跳ね回る度に、大量の魔力が触手を通してエフェメルガに流れ込む。核の半分が現在エフェメルガの支配下なのだ、アルウェンに止める術はない。尤も、既に止めるつもりなどなかっただろうが。  
 絶頂を繰り返すたび核の弁が緩み、魔力を吸収されていく。アルウェンの体はみるみる弱まり、今では普通の人間と同じくらいしか力が出ないだろう。  
「うああ、ひゃいいいぃ! ひゅう、ああああぁぁぁ!」  
 愛しい触手の刺激に、アルウェンは悶え狂う。魔力を奪われている事に気付いていたが、既にそれは考慮すべき事ではなかった。考えなければいけないのは、どれほど快楽を得られるかのみだったからだ。  
 排泄を支配され、魔力を供給する器官として扱われてる事に、アルウェンは深く満足をしている。これを受け入れない理由などないし、むしろすばらしい事なのだ。  
 脳が魔力の使い方すら忘れたアルウェンは、体の一部から僅かに魔力が垂れ流される。それすら大きな魔力だが、今エフェメルガが吸収している魔力に比べれば残りかすに過ぎない。故に、それは別のものの餌として放置されていた。  
 肉壁の一部に小さな穴が開き、そこから多数の魔物が入ってくる。エフェメルガに吐き出された、あの小さな陸の上も滑る魔物だった。  
 魔物は粘液の池の中を悠々と泳ぎ、何かを探すようにアルウェンの体に身を擦りつける。何度かそれを繰り返して目的のもの、魔力が漏れている場所を見つけた。それは、乳首とクリトリスだ。  
「うあ、っきゅ! あへええぇぇぇ!」  
 ちゅうちゅうと勃起を啄ばまれ、今までとは違う刺激にアルウェンは身もだえする。堅くしこった突起部分のみを念入りに甘噛みされ、最も敏感な部分への集中攻撃は体の芯まで焼き付けた。  
 また、魔力を吸われているために魔力が通る熱くこそばゆい感覚が胸や下腹部を刺激する。勃起部分は急激に流れ出ているため細胞ごと魔力の濁流に呑まれ、得られる快楽を増している。  
 しかし、それでも滞留する魔力の量に比べれば放出されているものは大した量ではない。元々体には魔力を放出するための器官などないのだ。だからこそアルウェンも杖を使っていたのだが。  
 魔力の出が悪いために魔物は強く吸い付き、潰される性感帯が強く興奮する。また、出口のない魔力が充血した突起で荒れ狂い、それがさらに快楽をあおっている。  
 
 吸血鬼の肉体は生命力や対応能力が高く、それらは精神に強く依存する。水の中に潜る必要があり、本人にその意思があれば水中でも呼吸ができるようになるという風に。滅多に起こることではないが、環境と強い精神力の二つさえ揃えば肉体の変化は確かに起こるのだ。  
 悦楽に穢れた吸血鬼の肉体と、屈服し従属を受け入れた壊れた精神は、優れた機能を発揮した。乳首とクリトリスに、魔力が通る道を作ったのだ。  
「ぅああぁ……。もっと、すって……いっぱい、ちゅうちゅうしてぇ……」  
 外見こそそのままだが、突起には目に見えない魔力放出専用の道ができている。ただの道ではなく、通るたびに性感を刺激する被虐の機能として新たに生まれ変わっていた。  
 その変化は、同時にアルウェンが家畜としての自分を完全に受け入れたが故の変化だった。  
 自分の姿を見下ろすアルウェン。穴を全て征服されて性感帯でない場所まで開発され、しかも魔力を奪われ続けている。胸にまとわり付く醜い肉にすら喜びを覚え、散々育てられたそこは熟した果実のように実っているだろう。  
 乳首とクリトリスは、魔法一発で倒せるような矮小な魔物に餌を与えるための器官として完成している。吸われるたびに力を奪われ、代わりに快楽を得ていた。  
 酷く無様で惨めな自分の姿に、しかしアルウェンは深く満足する。もう目的や義務など果たす必要はなく、ここで家畜として生きればいいのだ。それこそ、排泄すら任せて天上の快楽だけを味わっていればいい。  
 大きな幸福感と安心感は、アルウェンの最後の砦を破壊した。ほんの一欠けら残っていた反抗する気概すら失った正気は、家畜として構成されなおした自分の体を見て折れる。  
「うああぁぁ! ひゃあああぁぁ……ひいいぃぃぃ! ぅあ、ひゃあああぁぁぁ!」  
 少女の口は最早言葉を発さず、漏れるのは艶声のみ。それ以外には出す必要のある声などもうない。  
 びくびくと震えながら、肉壁に体を預ける。肉壁は耳の後ろから肉を伸ばし、拘束するようにアルウェンの濡れた唇ごと口を覆った。口は完全に塞がれて、口内に触手が侵入。あっというまに舌を捕らえてた。  
 どろどろと液体が流れ込み、舌で丁寧に舐めとり飲み込む。口も遠からず性器になるであろう事を想像し、アルウェンは喜びに震えた。  
 やがて喉まで熱くなり快楽を帯び始めると、肉壁がまた飛び出してそっとアルウェンの目を閉じ拘束する。もう開く必要のない眼に未練などある筈もなく、アルウェンは動きに逆らわず目を閉じ圧迫される感覚に酔いしれた。  
 そうして、性の刺激にのみ反応する美しい肉のオブジェが完成し、部屋すべてが液体に満たされた。  
 吸血鬼の姫であった少女は水魔の魔力供給器官としての第二の人生を喜んで受け入れて。快楽にのみびくびくと震え反応するだけの存在として完成し。  
 その後、気高い少女の姿を見たものはいない。  
 

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