金闇の森はセクンドゥム廃坑やオルディウム神殿と比較すればまだ慣れた道であり、そこそこ順調に進むことができた。と言っても、ラーライラは城まで来る事が多かったので、百余年の人生の内僅か数回だが。
魔物も大概は知った種類であり、戦闘に困難する事はない。
人為的に手の入っていた廃坑と神殿とは違い、こちらは自然のままに発展している。見通しは悪く視界での索敵は困難だった。当然道は悪路であり進むのに困難したが、何度も迷うような道に比べれば遥かに気がらくだ。
土地が風の魔力に支配されている為、地属性の魔法はあまり威力を発揮できない。それでも風の魔力に恩恵を受けている敵にはそこそこ威力を発揮できるのだが。
「魔力が回復しつつあるから分かり辛いが……、やはりここの魔物は随分強い」
魔法の直撃を受けてもなお立ち上がる大型の魔物、あばどんを見ながらぼやく。あばどんは鈍足な敵ではあるが、代わりに耐久力とパワーが桁違いだ。魔力が完全な状態のアルウェンでも、力で勝負をしたら絶対に勝てないだろう。
他にも魔法を使う敵、速度の速い敵、姿を消す敵など、能力の多彩さではイルバード随一だ。同属で攻防遠近の役割を分担し、集団先方を使う魔物だっている。
「しかし、今の私の敵ではない」
アルウェンの口調はひたすら平坦であり、そこには自信も傲慢も感じ取れない。事実、群れを成して襲ってくる敵はたった一人の吸血鬼に近づくこともできないのだ。
順調に道を進んでいき、中継地点近くまで差し掛かったのはまだ翌日になる前だった。この頃になると魔物も恐れをなしたのか、アルウェンに近づこうとせず随分楽な道中になる。
「しかし、これだと早く着きすぎてしまうな」
このペースで進んでいけば、魔女の住居に着くのは日の出を何時間も待つ頃になるだろう。魔女とは言え元は人間、活動は基本的に昼である。夜中に押し入るのは礼儀に欠く。
事は一刻を争うのだが、事情を知らないかもしれない相手にまでそれを押し付けるわけには行かない。なにより、アルウェンはラーライラに幾度も世話になっている。無礼な体を晒したくはない。
「仕方がない。中継地点で長めに休むとするか」
金闇の森にある中継地点はラーライラ直々に結界を敷いた場所であり、安全は保障されている。それでも危険がある可能性は零ではないのだが、アルウェンは起きているつもりなので問題ない。
警戒をしつつも気楽に気楽に足を進めていく。魔法で発動している知覚に魔物の反応は無く、中継地点は目と鼻の先だ。だからこそ周囲を見ながら歩く余裕があり、ある物を発見した。
流石に中継地点付近であれば、道らしきものはある。その脇に、一輪の小さな花があった。
「ん? 毒草か?」
斑点模様の少々きつい色をした花が、まだ蕾のままそこに生えている。
「危ないな」
中継地点までであれば、まだ人間も入ってくるのだ。その先は魔女の住処と知れ渡っているので侵入者はいないが、手前までならば資源を採取しに来る者はいる。
もし草木に知識のない人間が誤ってこれを採取してしまうと、下手をすれば死んでしまうだろう。そういう可能性があるのに毒草を放置するのは、少し目覚めが悪い。時間的な余裕もあるのだし、これを森の中に返す事に決めた。
その辺の木の枝を拾い、花の周囲の土を掘る。慣れないながらも何度か木を刺しこむと、その内花がぶるぶると震えだした。
危険を感じたアルウェンは飛びずさろうとしたが、それより早く花の頂点からガスが噴射される。
「うっ!?」
ガスを思い切り吸い込んでしまったアルウェンは膝を付く。重いまぶたを懸命に開きながら、杖に縋ってなんとか体を起こしている状態だ。
体に力が入らず、強烈な眠気が襲う。麻痺と催眠のガスだった。
「し、ま……」
眠気に支配される頭で、なんとか動こうとする。既に麻痺で体が思うように動かない事すら考えられなくなっており、もう一度噴出されたガスを吸わぬように気をつける事はできなかった。
強靭な吸血鬼の肉体もガスにまで強い耐性を持つことはできず、杖だけは大事に抱えながらその場で眠ってしまった。
肉体の窮屈さを感じ取り、アルウェンの意識は急激に覚醒する。最初に見えたのは、所々夜空が浮かぶ天井だった。僅かに見える月はまだ上りきっておらず、あれからどれほども時間が経ってないことが分かる。
「ここは何処……なんっ!?」
周囲を観察していたアルウェンの目にまず入ったのは、自分の恥丘だった。あおじぇりーによって随分女らしくなってしまったそこは、しかし羞恥心しか思い起こさない。よく見れば足や腹も露出している。恐らく一糸纏わぬ姿だろう。
怒りに顔を赤らめながら周囲を見ていくと、頭の上で手首と足首が拘束されているのが分かった。四つの穴が開いた木の板は分厚く、その中心部分に鎖が取り付けられ壁に張り付いている。
藁か何かの上に布を置いた場所にアルウェンは放置され、裸にされて手足の自由を奪われた。何をするつもりかは分からないが、良からぬ事であるのは違いないだろう。
服は破かれている可能性が高いが、杖まではそうもいかない。真祖の吸血鬼の膨大な魔力に耐え切れるだけの強度を持つアルウェンの杖は、魔力強度に比例して物理強度も高い。魔物どころか古に存在した魔王ですら破壊は困難だ。きっとどこかにある。
場所までは分からないが、方向だけは分かる。杖がなくとも全く魔法が使えないわけではなく、拙い知覚魔法でも方向くらいは掴める。そちらに向かって進んでいけばいい。なんにしろ、逃げ出さねば始まらない。そう思い、手足に力を入れたのだが。
「……なに?」
木の板は壊れるどころか軋みもしなかった。おかしいと思い何度も力を入れるが、やはり代わらない。
人間であればこれほど木枷に厚さがあれば破壊は不可能だろうが、吸血鬼であれば容易いはずだ。しかし、実際は影響など殆ど無い。
「くっ、まだ麻痺の方は影響があるのか」
全力で力を入れているつもりでも、実際は人間ほど、下手したらそれ以下の力しか出ていないのだろう。ガスがある程度抜けるまでは、ここから逃げる事もままならない。
無力に歯噛みしていると、がちゃりとドアらしき板が開いた。アルウェンが暴れた事で、目を覚ましたことに気付かれてしまったのだろう。
入ってきたのは、十匹以上のこぼるとだった。その事実に、アルウェンは舌打ちする。
ここはこぼるとのコロニーだ。金闇の森では二つの種族が群れをなしている。一つはもりおこじょであり、もう一つがこぼると種族だ。
コロニーにはアルウェンが道中遭遇した魔物の十倍は数がいるだろう。しかし、それ以上に拙いのが攫っていったのがこぼるとだと言う事だ。
こぼるとには低いながらも知能がある。それは、こぼるとがちゃりおっとという木製戦車に乗っている事で分かるし、拙いながらも木で家を作っている事からも分かる。この手枷も、こぼるとが作ったのだろう。
知能があるという事は、相手が逃げないように手を尽くすという事だ。もしかしたら手枷だけで逃げないようにしているのではないかもしれない。
しかし、腑に落ちないこともある。
こぼるとは比較的生息地域が広く、発見に事欠かない。だからこそその生態は研究し尽くされている。アルウェンも魔物の生態を記した書物を読んだことはあるが、こぼるとが人間、もしくはそれに類する雌を攫ったという話は効いた事がない。
思案するアルウェンを無視して、こぼるとはアルウェンの周囲に集まった。アルウェンの頭を持ち上げて枕のようなものを置く。自分の肩と枕に首を限定され、視線は強制的に自分の下腹部を見せられる形になった。
「くっ! 貴様ら、後で覚えておくがいい……!」
呪詛を吐くが、こぼると達は反応しない。アルウェンが抵抗できない事を分かっているのだろう。
皮袋に詰まった透明感のある緑色の粘液を陰部に垂らし、無数の手が揉み解すように柔らかく触った。それに対しアルウェンは、余裕の表情で受け流す。
アルウェンの股間は魔法により、感度を著しく減衰している。正確には感覚ごと減衰しているので、力を入れ辛い代わりに手の感触さえ希薄だ。触れられても羞恥心と怒り以外何も感じない。
杖を手放しているために新たに魔法をかける事はできないが、既に処置済みの場所はアルウェンでさえ杖が無ければ戻せない。
こぼるとはアルウェンの反応に首を傾げながら、次第に揉み解す場所を広げていく。陰唇を啄ばむように触れていたのが恥丘まで広がり、やがて上下へと分かれていった。一つの手の固まりは下腹部へ、もう一つは。
「ひゃあっ! お前、何処を触っている!」
谷間を下って会陰を通り、そのすぐ下にあるアナルに触れていた。
自分の性知識に全くな居場所に触れられ、アルウェンは体を大きくよじる。しかし、こぼると達はここが弱点であると判断し、臀部を両脇からがっちりと押さえるとアナルを集中的に弄りだした。
「うああぁぁ……、やめ、やめよ!」
未知の感覚にびくびく震えるアルウェンに、こぼると達は僅かな手加減もしない。むしろその反応を喜ぶかのように激しくしていく。
アナルの反応がいいと知ると、こぼるとの手は全て後ろに移っていった。臀部を集中的に撫で上げ、美尻を淫靡な魅力を発するものへと変えていく。中心で慎ましやかにしている窄まりは、指先で撫でられ肉の蕾が開こうとしていた。
粘液と愛撫はアナルの力を解し、アルウェンの抵抗に関係なく受け入れの準備を整える。桃色の窄まり周囲の肉が盛り上がり、愛撫の反応に迷いひくひくと動く。
「やめるのだ! そこは違う!」
アルウェンは自分の体が開拓されていく恐怖に絶叫する。アルウェンとて膣や子宮が子を成す為の器官である事くらいは知っているし、そのためにはどういう行為を行うのかも知っている。
だからこそ不浄の穴が犯されているという事実に混乱した。あおじぇりーの時のような不意打ちではなく、しっかりと状況を見せて理解させるという被虐的な行為は、とても耐えられるものではない。
人間より遥かに適応能力に優れた吸血鬼の体は、短時間で屈辱の愛撫に対応する。堅く閉ざされた蕾は花開き始め、魔物の指を受け入れる体制を整え始めた。
全力で力を入れて耐えているはずのアナルは、締め付けをそのままに伸縮性を大きく拡張する。異物進入の際の抵抗感を失い、柔らかく受け入れてはきゅうきゅうと締め付ける、そういう器官になってしまう。
ついにこぼるとの粘液に塗れた指が、アルウェンのアナルにするりと進入した。
「ああぁ……っひぃ! 気持ち悪い、やめるのだ!」
ぶちゅぶちゅと音を立てながら、こぼるとの指がアルウェンの腸内で暴れまわる。こりこりと腸壁のしこりを撫でる事で快楽が発生し、同時に指を出し入れして排泄と快楽を結び付けられた。
アルウェンは自分の排泄器官が好きなように弄ばれ、さらに快感を覚えさせられるところまでを見せ付けられる。首を背けられないとはいえ、目を閉じれば見ない事はできるだろう。しかし、そうする事で体を我が物のようにされるのは耐えられない。
アナルが左右から楕円形に大きく広げられる。伸びきったすぼまりの内側からは、桃色をした蠢く肉が顔を覗かせた。その光景に、アルウェンは屈辱以外で顔を赤くする。
こぼるとはわざとアルウェンに自分の惨状を見せていた。サディスティックな感情からではなく、相手に自分の状態がどういうものかを理解させるために。ここはもう自分達の道具である、と。
「ううぅっ……く、まだなのかっ……」
自分のものとは思えないほどだらしなく広がるアナルを見せられながら、なんとか枷を破壊しようと手足を動かす。しかし麻痺ガスの効き目は長く、未だに人間以下の力しか入らなかった。がたがたと揺れるだけで、軋む気配すらない。
こぼるとの一体が木製の漏斗を取り出し、開かれたアナルにそっと差し込む。アナルが漏斗を受け入れるのを確認すると、アナルはそっと閉じられた。
次に取り出されたのは先ほどとは別の皮袋。紐が解かれると、中から植物特有の甘いにおいが漂ってくる。何かの樹液なのだろうか。
漏斗と樹液、この二つを見てアルウェンはとてもいやな予感がした。ばたばたと暴れて逃げようとするが、やはり体をずらす事もできない。排泄するような感覚で漏斗を出してしまおうかとも考えたが、それは恐ろしくてとても実行できなかった。
漏斗に樹液が流されていくのを、アルウェンは恐怖しながら見る事しかできなかった。どろどろした冷たいものが漏斗を通り、直腸へと流されていく。ひんやりとした感覚と逆流する不快感に、アルウェンの背中に冷たいものが走る。
「――――っっっ!! ふっ、うううぅぅぅっ!」
せめてもの抵抗に何とか声だけは出すまいと堪えたが、全て顔に出ている以上どれほども効果は無い。顔を真っ赤にして歯を食いしばる様は、こぼると達に効果があると思わせるには十分すぎる。
やがて樹液はアルウェンの腸内にきっちりと溜まり、漏斗に樹液が溢れる。こぼるとが乱暴に漏斗を引き抜くと、腸内の樹液が一気に溢れそうになった。
「うぐううぅああぁぁぁ! っっ!」
性的には純情極まりないアルウェンに人前での粗相など許せるはずが無く、全力で肛門に力を入れて耐えようとする。それでも直腸内にぎっしり詰まった樹液を全て封ぜるわけが無く、入り口からぴゅぴゅっ、と小さな噴水のように噴出した。
肛虐の苦痛とあまりの羞恥に、アルウェンは泣きそうになる。涙目でこぼるとを睨み付けるが、魔物はアルウェンの鋭い視線も全く介さない。
中の樹液を漏らさないようにと、アナルに栓が差し込まれた。愛撫と粘液ですっかり柔肉に変貌したアナルは、抵抗どころか喜ぶように線を飲み込んだ。半ばほどが大きく括れており、そこに肛門が強く食い込む。
「ほおおおおああぁぁぁ! っあぁ、なに、をっ!」
いきなりの異物挿入に焦り、それを押し出そうとしたが無理だった。肛門は自力では栓の最大直径まで広がらず、無様に尻肉を強調するだけだ。
こぼるとは余った樹液を臀部に全て垂らし、丹念に塗りこんでいく。性の快楽は知っているがそれに対する抵抗方法は全く知らないアルウェンは、そっと撫でる柔らかい快楽に身を任せるしかない。
尻や腹、太腿をくすぐられながらそれに合わせて震え、快楽に息を荒くし耐える様はとても淫らで美しい。本人に自覚はないが、その光景は男を狂わせる。
「くぁ、っ、ふくっ、なぜ、こんなに、きもち、いいんだ……!」
悦楽に翻弄されるアルウェンは気付かなかった。彼女の肌の上を滑る樹液がかなり減っている事に。腹も樹液を溜め込み張っていたのだが、かなり吸収されたのか元にもどっている。
そしてもう一つ、こちらは彼女自身が意識して気付かないようにしていた。尻穴の奥が疼き、栓と腸壁が擦れるのを楽しみにして尻を振っている事に。樹液を吸収した場所は、快楽をかなり増幅していた。
肌の上で滑る樹液が殆どなくなる頃、アナルの栓が引き抜かれた。異物がなくなった事に喜びと寂しさの両方を感じる。しかし、その感情に浸る事はできなかった。
こぼるとの一体が、アルウェンにのしかかりすっかり出来上がったアナルに陰茎を差し込んだ。
「んいいいいぃぃぃぃ!」
全く予想外の衝撃に、アルウェンは絶叫した。歯を食いしばり、点滅する意識に叱咤する。目を凝らせば、そこには醜悪な肉棒を美味そうにくわえ込んだ自分の排泄穴があった。
こぼるとはアルウェンの様子など全く考慮せず、勢いよく腰を振る。樹液によって性感帯に変化した腸内は、その力強い陵辱に歓喜の涙を流す。引き抜かれるたびに肛門がめくれ上がり、赤々と茹った様子を垣間見せる。
「ち、がう! これは、違うんだ! こんなの、んううぅぅっっっ! 違うぅ!」
アルウェンは自分に言い聞かせるように、必死になって現在の光景を否定した。
あおじぇりーの時のように余裕が無かったわけでもなく、えれくとくらげの時のように半ば意識が無かったわけでもなく。ましてや相手は曲がりなりにも同属と同じような形をしているのだ。無理矢理犯されて、しかも感じているという感情は今までで一番だった。
アルウェンが犯され乱れる様子を、複数のこぼるとが注目する。肉棒を咥えるアナルだけではなく、淫らに揺れる腰、小さく震える小ぶりな胸、快楽の色をした顔まで。
「っ、見るな! 私を見るなぁ!」
アルウェンを犯している一匹以外は、誰も触れてこない。その代わりに見られる少女の様子を嘗め回すように注視するのだ。
恥辱と被虐の感情を限界まで高めながら、同時に肛門性交のありえないほどの快楽を感じる。感情は快楽と結び付けられ、少しずつ露出とマゾにまで性感を高めていることに、アルウェンはまだ気付かない。
アルウェンの瞳が周囲の目から逃げ、自分を犯しているこぼるとと交差する。その感情の動きが読み取れない視線に背筋を凍らせた。それがきっかけとなり、アルウェンのアナルがぎゅっと肉棒に絡みつく。
緊張による一撃が、こぼるとに止めをさした。どくどくと熱い液体が腸内で出され、それにアルウェンは青ざめる。
「嫌だああああぁぁぁ!! 出すな、中で出すなぁ!」
尻穴にポンプを差し込まれたかのような感覚を知り、奥に灼熱の水溜りができた事まで感じ取ってしまう。排泄穴を犯され、しかも射精までされてしまった。
また、アルウェンが何かをする暇もなく、先ほど犯していたのとは違うこぼるとに肉棒を差し込まれる。ついにアルウェンは喘ぎ声を止められなくなり、淫らな美声を下等な魔物に披露する羽目になった。
「うあああぁぁぁっ、ひいいぃぃ! あああぁぁ……んあああぁっぁ!」
目尻からぼろぼろと涙が流れる。ただ犯される事しかできない自分も、それに喜んでいる自分も許せなかった。
下半身はこぼるとの腰に同調して動き、自分のものではないように感じる。アナルはアルウェンの支配を離れて勝手に快楽を貪り、その快楽をアルウェン自身にも酔うように強要する。
再び自分を犯す魔物と目が合い、アルウェンはひっ、と小さく悲鳴を漏らした。戦えば脆弱でしかない魔物は、いまや最も恐ろしいものになっている。
こぼるとは喋らない。ただ自らの欲望の赴くままに快楽を得ているだけだ。それなのに、アルウェンには自分を蔑んでいるような気がした。ほら、ここはもう我々の物だよ、と。
「違っうぅ! そこはっ、私のものだ! 貴様らの――ううああぁ! ものではない!」
絶頂に腸液を撒きながらも、必死になって否定する。またどくどくと射精され、腸の奥に溜まる精液にまで心地よさを感じ、自分の言葉に自信が持てなくてもそう言い続ける。
射精したこぼるとが離れても、すぐに別のこぼるとが細い腰に食らいつく。アルウェンは目をそらしたくても、もう自分の陰部とこぼるとの瞳から目をそらす事ができない。
ほら、こんなに嬉しそうに腰を振ってる。君は嫌がっているのに。そんなに嫌なら動かなければいいだけだよ。こぼるとの瞳が語りかける。
「勝手に気持ちよくなる、うううぅぅ! 勝手に腰が振れるんだ! 勝手に欲しくなるんだあぁ、うあああぁぁぁ!」
絶叫と同時に絶頂し、また肉棒に食らいつく。次の肉棒を受け入れる頃には、醜悪なそれも愛しく感じ始めていた。
じゃあやっぱり我々のものだよ、嘘つき。この穴は無理矢理犯されるのが嬉しいのさ。大丈夫、君もそのうちこの穴と同じように、組み伏せられるのが大好きになるさ。
「そんなわけ、ないいぃぃぃ!」
また絶頂し、腸壁に灼熱の精液を浴びせられる。精液はもう腸から溢れんばかりに溜まり、腹がぽっこりと膨らんでいた。本当ならば異物感が強いはずなのに、しかしアルウェンは精液の熱さに安心感すら感じていた。
尤も、吐き出そうとしてもすぐに次の肉の栓が挿入されるので、そんな暇はないのだが。
無数の目が針のように突き刺さり、胸や陰部から感じている筈のない快楽を意識する。刺激を全く受けていない性感帯は、ふるふると震えて赤みを帯び、瑞々しい潤いが現れた。
視線の針が突き刺さる度に思い出されるのは、二度の陵辱。視姦を受けるたびに過去の快楽を脳が再生し、肉体が歓喜に打ち震える。その光景は、犯される姿を鑑賞されるのを喜んでいるようにも見えた。
事実、多少なりとは言えアルウェンの心は羞恥に苦しみながらも楽しんでいる。
へんたいだ。どろどろ出てる。すごい喜んでる。見られると嬉しいんだよ。じゃあもっと見てあげよう。お尻の穴ぐちゃぐちゃ。きっとわざと捕まったんだ。犯されるのクセになっちゃったんだね。
「うるさい! 黙れ、だまれぇ! 見るな、私を見るなああぁぁ! ふわああぁぁ、うぅ、ひいいいぃぃ!」
数々の視線が雄弁に語る。本当はそんな事語っていないとしても、アルウェンはそう感じ取っているのだ。
彼女の被害妄想は性交を盛り上げると共に、アルウェンに新たな快楽、精神的な性的興奮を作り上げる。今まで肉体的な快楽と、それを受け入れる下地を急速に作り上げられた。こと快楽に対する抵抗が、恐ろしく低いのだ。
それでも今までは、肉体的な快楽だけであった。前後不覚な状態での快感ばかりであったために、精神的な充実は味わっていなかったのだから。
しかし、こぼるとに犯されてまず心から快楽を得る事を知ってしまった。もう肉体感覚を鈍感にしようと関係ない。快楽は精神的な興奮に比例してしまうのだから。
「ふううぅぅぅ……、いやだ、いやだぁ……!」
幼子のようにぼろぼろと泣き否定する。もう自分でも何を否定したいのか分からなくなっていた。今のアルウェンはそれほど多種の快楽を得ている。
こぼるとの肉棒が痙攣するのに合わせて、アナルも絡みつくように蠢動。当初より遥かに味わいがいのできた排泄穴改め性器は、どんな名器にも勝る《道具》になった。ただの排泄穴だったものが性を覚え、使用され続けたのだからそれも当然と言えるかもしれない。
穴の具合が遥かに増したせいか、こぼるとの射精量も最初のものとは比べ物にならなくなっている。少女の媚肉は既に精液の水溜りと化しており、白濁に穢されていない場所は無い。
アナルを穢される度に陵辱を強く実感し、それは快感へと直結する。その姿をくまなく鑑賞されている事で羞恥を覚え、増幅した快楽がまた跳ね上がる。盛り上がった感情はそのまま肉棒への奉仕の熱心さに変換され、直接的な快楽と次の強姦への足がかりとなった。
アルウェンは自分の精神的な変化を正確に感じ取っているわけではないが、漠然と決定的に変わりつつある事は理解していた。今だ自らが汚辱に塗れる姿を脳裏に焼きつけ、新たな性感を開拓している事に気付かない彼女がどれほど理解しているかは甚だ疑問であったが。
もう僅かな猶予も無い、一刻も早く逃げ出さなければ。焦燥感に急かされ手足を動かすが、麻痺ガスがまだ効果を発揮している上に快楽で腰が抜けている。射精される度に絶頂を迎えていては、体力を根こそぎ奪われるのも無理は無い。
アルウェンを穢したこぼるとの数は二桁を超え、最後の一匹が腰に食らいつく。今までのこぼるとよりも一回り小さく華奢な個体だった。
「ぅあ!? っひいいいぃぃぃ! ああぁっ、つっ、ちょ、まっ……あああああぁぁぁぁぁ!」
背が低いためか、それとも他のこぼると達にはなかった技巧を持っているのか。アルウェンは挿入された瞬間に絶頂した。
肉棒の先端が子宮を媚肉ごと裏側から抉り、ずんずんと振動を与える。ただ挿入を繰り返すだけではなく、アルウェンの反応に合わせて緩急を付ける。機械的な挿入だけで絶頂を繰り返したアルウェンに、抵抗する術はない。
「うあああぁぁぁ! っいいいいいぃぃぃ! きゅううぅ! あああぁぁぁ!」
鈍っていた腰の反応は再び最盛期の動きを取り戻し、見せ付けるような淫らな動きを淫靡な芳香と共に実行する。
アナル内の肉壁が肉棒に纏わりつく。今までのこぼるとはそれだけで射精してたのに、この個体はそれでも平気な顔で犯し続けた。
こぼるとの攻勢はそれだけで終わらない。いつの間にか指が陰部と肛門の中間部分、会陰を撫でていた。最初は優しく、次第に揉むように、やがて押し込み抉るように。巧みな指使いに刺激され、アルウェンはあるものが競りあがって来る感覚に恐怖した。
「ま、待っ……うひいいいぃぃぃ! そこ、やめ……あああぁぁぁ! 漏れる! 漏れるのだ……きゅううぅぅ!」
眼を見開き必死になって訴える。アルウェンの視点からは、自分の尿道口がひくひく痙攣しているのが見えているのだ。ただでさえ長時間用を足していないのに、こんな真似をされては耐えられる訳が無い。
「待っ……うひぃぃ! お願……ひゃああぁぁ! なんでも……するからっ……っああぁっ! それだけは……ああぁっぁぁ! やめて、くれええぇぇぇ!」
アルウェンがどれほど懇願しようと、魔物どもが聞き入れないことなど分かりきっている。しかし、それすら考えられないほど切羽詰っていた。
本当にこれを止めてもらえるのならば、どんな事でもできる。本気でそう考えられるほど、強制された粗相は忌避すべきものだった。
今でさえ魔物に拘束され、組み伏せられながら無理矢理犯されているのだ。この上排泄穴を犯されながら汚液を噴出するなど許せるはずがない。そう。
下級の魔物風情に奴隷のように扱われ、尻穴をぐじゅぐじゅに犯されながら、絶頂しながら尿を漏らし、己の痴態を一時たりとも逃さず鑑賞される事など――。
「――っっっ! うあああぁぁぁ!」
自分にとって最悪の未来を想像したのに、妄想の中の哀れな姿に酷く興奮する。徹底的な陵辱を受けて横たわる自分の顔は何故か満足そうで、同時に背骨に電撃が走るほど性感を刺激した。
理解不能な間接的な快感に、股間からぴゅっ、と少しだけ液体が漏れる。それを見たこぼるとは止めと言わんばかりに肉棒を叩きつけ、腸壁に刷り込むように灼熱の精液を放った。
「うあああああぁぁぁぁぁぁ!! っひいいいいいぃぃぃい! ひゃあああぁぁぁぁぁ! でてる、見られてるううぅぅぅぅ!」
絶頂。射精。露出。被虐。数々の快楽に真祖の姫の誇りが狂う。気高く強く、という意思を押しのけて幾多の快楽が占拠し、最大級の快楽を貪った。
尿も出てしまったのではなく、自分から緩めてお漏らしを鑑賞してもらってすらいる。ばちゃばちゃと金色の液体が胸元を汚し、その生暖かい感触にすら充実感を得ていた。
こぼると達の鑑賞会はアルウェンの意識を繋ぎとめ、そこに侮蔑を感じ取りまた小さな絶頂。尿の勢いがなくなった後も絶頂するたびにぴゅぴゅっ、と液体を撒き散らす。
体から漂うアンモニア臭は不快感を与えるはずのものなのに、その臭いは穢れた事を認識させまた興奮する。
「ひゅー……、ひゅー……、はあ……、ふぅ……」
アルウェンは息も絶え絶えに、抵抗する事も忘れて現実離れした光景を見続けた。先ほどまで枷を揺らしていた手足はぐったりと脱力し、時折絶頂の余韻に震えるだけだ。
堅さを失った肉棒が引き抜かれ、その衝撃でアルウェンは現状を理解する。下半身の力を肛門に集結し、急いで出口を閉じた。それでも僅かに間に合わず、白濁液が皺に沿うようににじんでしまう。
十匹以上のこぼるとに射精された腸内には、大量の精液が詰まっている。肉棒という栓が失われた事で排泄されようと上ってきて、アルウェンに苦痛を与えた。
湧き上がる排泄感に、歯を食いしばりながら耐える。十数回の連続性交、絶頂はいくら吸血鬼の肉体といえども体力を残す事は適わない。今はこれ以上恥を晒すまいと耐えているが、それも長くは持たないだろう。
こぼると達は集まって何かをしていたが、苦痛に悩むアルウェンはそれを気にする余裕などなかった。窮屈な体勢でただ排泄感に耐えながら、ふと、じんわり腹の奥から何かが湧き上がるのを感じる。
それは疼きではなく快楽でもなく、もっと形容しがたいものだ。腹の内側からじわじわと広がり、体内を侵食する。うねる様な感覚のそれは体の隅々にいきわたり、やがて一つの指示を下した。即ち、欲しい、と。
「はあ……はあ……はあ……、はあ、はあ、はあ、はぁはぁはぁ」
呼吸がどんどん荒くなり、欲求はとどまる事を知らない。
何が欲しいのか、アルウェン自身にも分からなかった。少なくとも、今気が狂いそうなほど要求したいのは快楽ではない。
吸血鬼の体にありえるはずの無い疼痛を覚え、めまいで視界が常に不安定だ。思考は欲求に阻害され、何かを考えようと言う気にすらなれない。そして、最も影響が顕著だったのは魔力だ。主の操作を離れ体内で淀み、全く操作が不可能な状態に陥る。
魔力の操作ができないと言う事は、戦闘能力の全てとも言える杖の方向を見失うという事だ。アルウェンは索敵や感知を、全て知覚魔法に頼っているのだから。その上魔力すら乱されては、身体能力に至るまで人間の少女と変わらない。
アルウェンは自分がどれほど危機的状況にいるのかも理解できず、欲求を持て余して何もできない。空ろな瞳で自分が欲しがっている何かを探し、視線を這わせる。
いつの間にか、部屋の中のこぼるとの数は三十匹を超えていた。開かれたドアの向こうにもこぼるとがおり、合計で何匹がここに集っているのか検討もつかない。
アルウェンの正面にいるリーダーと思わしきこぼるとが、手を掲げて皮袋を見せた。それが振られるとぴちゃぴちゃと音がし、甘い芳香が鼻腔をくすぐる。
その魔性の香りを嗅いで、アルウェンは理解した。あれが自分が欲していたものだと。
「それ、それを私にくれぇ! 早く、早く!」
アルウェンはもうとっくに分かっていた。あの布袋に入っている液体、何かの樹液は麻薬に近いものだと。それも強い催淫性と中毒性を持ち、魔力にまで干渉する悪魔の液体だと。
しかし、今の渇きはその程度の事で諦められるほど弱くはないのだ。精神すら狂わせ麻薬の虜にしてしまう、強い意志を持った者をどこまでも弱くし、奈落の底に突き落とす。樹液はそういう物だった。
一度認識してしまったが為に、皮袋の中身が欲しくてしょうがなくなる。歯はかみ合わずかちかちと鳴り、食い入るように悪魔の薬を見つめた。
こぼるとは獲物が禁断症状に陥っている事を確認すると、アナルにそっと触れてくいっ、と引っ張る。しかしその後すぐに手を離し、また布袋を揺らした。
「まさか……漏らせと、言うのか……」
今までのように無理矢理痴態を演じさせるのではなく、自分から恥を晒せと、そうこぼるとは言っている。その見返りは、何よりも欲している麻薬だ。
ぐっと歯をかみ締めようとするが、上手くかみ合わない。最低の羞恥を披露しなければ魔の樹液は手に入らず、それは誇りを投げ捨てるという事だ。逆に言えば、命に従い恥さえ晒せば麻薬が手に入る。
アルウェンの思考は一瞬だった。いや、もしかしたら思考とすら言えなかったかもしれない。
どうせこのままならば遠からず同じ姿を見せるのだ。そうあっさりと妥協し、この世で最も強い種族の、さらに頂点に立つ真祖の姫の誇りを捨てた。
「ふあ、あああぁぁぁぁ! 見られ、てる! 見られてるううぅぅぅ!」
小さな窄まりは爛漫に咲き、白濁した花粉が吐き出された。その量は信じられないほどであり、体を伝って股から腰辺りまでを真っ白に染め上げる。
噴火のようだった排出はすぐに勢いを失い、小さな流れになる。しかし、それでもこぼるとは満足せずに少女の小さな臀部を叩いた。もはやその命に逆らうはずもなく、腹部に力が入り残りを搾り出す。
命じられる、見られる。触れられもせず、この二つだけで軽く絶頂する。開花した変体性を証明するようなそれにも、禁断症状の苦痛と絶頂の余韻で何も感じられない。
木桶に入っていた水がアルウェンにかけられる。白濁液や淫液、尿を洗い流すと綺麗に拭かれた。
体が清められるのと同時に、アナルには漏斗が取り付けられる。入れられる事に慣れきった小穴は、最初のように広げられなくとも易々受け入れた。
どくどくと体内に麻薬が注がれ、冷たさに意図せず微笑む。やっと欲しかったものが与えられ、喜びを隠せる筈がない。
樹液は通常の麻薬ではありえないほど急速に染み渡り、即座に肛門から直腸までじんじんと熱を発生させる。同時に禁断症状で塗りつぶされていた意識が急速に目覚め、己が下した決断を認識する。
それに対し、アルウェンはどんな感情も持つ事はできなかった。なぜなら、その前にこぼるとの肉棒が挿入されたのだから。
快楽で他のすべてが消えうせ、またこぼると達の《道具》に成り下がった。強制された歌声を淫靡に奏で、体全体が雄を誘う花となる。
もう麻痺ガスの効果が消えているのにも気付かずに、麻薬とアナルセックスに翻弄され続けた。
明け方、まだ空がうっすらと白む程度の頃に、アルウェンは移動させられていた。
こぼるとが作った木製戦車、ちゃりおっとに手足を拘束されたまま掲げるように乗せられている。一本の柱に枷を吊るされ、陰部がさらけ出されるような体勢だ。
ちゃりおっとはコロニーの広場中心に向かい、ゆっくりと移動していた。
広場には千匹を超える多種のこぼるとが集まっており、視線は全て淫らに染まった少女の裸体に向いている。そんな真似をされてなお、アルウェンは無抵抗だった。いや、既に抵抗する気力も体力も既に失われていた。
夜が明けるまでの数時間、アルウェンは一時たりとも休まずに犯され続けた。三桁に迫る数のこぼるとに中出しされ、腹をぷっくりと膨れさせる。犯される合間にも、五回も禁断症状を起こし麻薬樹液を注入された。
二度目以降の樹液の量は少なく、すぐに薬の効果は切れる。その度に自ら痴態を披露する事を選ばさせられた。
魔の樹液は量が少なくともその効力を損なう事はなく、むしろ複数に分けて使う事で効果を増した。催淫麻薬に高められた性感は決して下がらず、むしろ使用されるごとに感度を足していった。
最後には漏斗を入れられるだけでも絶頂し、挿入などされた時は気が狂う程だ。尻穴は短時間ながらも濃い性交に、性欲処理として使われる器官として高度に発展した。もはやこぼるとに奉仕するための道具と言っても過言ではない。
尻もアルウェンの反応がよかった事から、樹液を用い徹底的な性感教育を施された。硬さと幼さを残していた尻は幼さをそのままに色気を振りまく桃尻に変化したのは、今晒されている臀部を見ただけでも分かってしまう。
変化は肉体面に留まらず、精神面にも大きな影を残した。露出と被虐の目覚めは言うまでもない。その上で、こぼるとの容赦の無い性交に恐怖感を覚え、同時に従属を約束する。
精神的な屈服があれば、己の好みに仕込むというのは楽なものだ。実際、アナル絶頂を迎えると尿を漏らすように調教が行われた。既に彼女では絶頂と同時の粗相を止められなくなっている。
永遠に続くと思われていた陵辱も、夜明けと共に終わりを迎えた。体は綺麗に拭き取られ、腸内まで洗浄される。
ちゃりおっとに吊るされてやっと正常な思考能力を取り戻したアルウェンが最初に考えたのは、自分の心の弱さに対する絶望だった。
犯された事よりも、幾度も繰り返した屈服。自分で自分を穢した事は元より、こぼるとに心から恐れている。禁断症状のない現在でも、相対すれば逆らおうとは思えないのだ。杖を持ちちょっと強くなっても、叩き折られた心が抵抗心を呼び覚ましてくれるとは思えない。
ちゃりおっとに乗せられ晒し者になっている間も、決して抵抗すまいと思っているのだ。
木製戦車が振動するだけで、アナルは刺激にひくひくと喜ぶ。腸液が大量に分泌され、少量入れられていた樹液と混ざり合っている。さらに、突き刺さる千のこぼるとの視線に股を潤ませた。
もう自分はこういう存在になってしまったのだ。全て諦めていい子にすれば、優しく飼って貰えるだろう。そんな妥協が、逃走の手順を考える脳裏に常によぎる。
どちらにしろ、今枷を砕いた所で逃げ切れるわけが無いのだが。すぐに捕まり、酷い仕打ちを受けるだろう。だからできるだけ大人しく従順に振る舞い、ついでに突き刺さる視線に股を緩ませるのだ。
広場の中心に着く頃には、アルウェンの陰部は愛液に塗れていた。最早感覚が鈍い事など何も関係なく、性器として正しく機能する。ごく自然に露出の快楽を楽しんでいたアルウェンは、いつの間にか目的地に着いた事に気付く。
中心には台が立てられており、そこに一匹のこぼるとがいた。他のこぼるととは明らかに違う風体をしている。
体躯は大きく、アルウェンと比べて頭二つは大きい。他のこぼるとがアルウェンより大きな者はいなかった事を考えれば、このこぼるとの大きさがどれほど常識はずれかわかる。頭には王冠をかぶり、不似合いな白いひげを蓄えている。間違いなく、このコロニーの長だろう。
こぼるとの長、こぼるときんぐは手に持っていた金属性の杖を振るい、アルウェンの枷を砕いた。
「うあっ! っひぃ!」
いきなり開放された事に驚き、さらに尻餅をついて快楽が背筋を上った事に驚く。
こぼるときんぐはアルウェンを軽々と持ち上げ、ちゃりおっとは撤収されていった。急な展開に驚き咄嗟に逃げようと考えたが、すぐに取りやめた。こぼるときんぐの力はアルウェンよりはるかに強い。今の力が入らない状態では話にならないだろう。
対面を向くような体勢から、背中から抱きかかえられるようになり、両膝を抱えられた。子供が用を足すような恰好になり、すべてが集まるこぼると達に披露される。
アルウェンの中で、恐怖と期待が同時に渦巻く。もう暗い小屋の中で痴態を広げるのではない。コロニー全体に見せしめるために、空が明るい時に犯される。
こぼるときんぐの、今までのどんな肉棒よりい太く長いそれが、アルウェンのアナルをつついた。つんっ、つんっ、とその存在だけを意識させるように。
何を要求しているのか、はっきりと分かる。こぼるときんぐは宣言をさせたいのだ。自分の主が誰なのかを。
絶対に言わない、とは断言できない。今宣言をしなければ、また先ほどまでのような教育が待っているだろう。しかも、今度は数時間ではなく丸一日かけて。
また、完全に刷り込まれた恐怖心に抵抗するのも難儀だった。こぼるとへの反抗は泣きたくなるほど恐ろしく、気を抜くとすぐに宣言をしてしまいそうになる。
悩んで、恐れて、また悩んで。無意味な巡回を繰り返す。それが終わりを告げたのは、アルウェンを連れてきたちゃりおっとがまた中心に近づこうとしたからだった。
恐怖心が限界に達し、心はあっさりと折れた。既に恐怖を刷り込まれていた以上、抵抗は無意味だったのだ。
「わ、私はこぼると様に忠誠を誓います! 家畜として懸命に尽くします!」
宣言の終了と同時に、アナルが串刺しにされる。その衝撃はとてつもなく、脳天まで貫かれたのではという程だった。ただの一撃で絶頂し、千の瞳が見る中で子供のようにお漏らしをする。
こぼるときんぐは流れる黄金水も気にせず、激しい挿入をした。アルウェンの体が上下に揺れる度、黄金の水流も合わせて飛び散る。
アルウェンにとって千の瞳で見られるという事は、千匹に犯されるも同じだ。視線の数だけ快楽を増幅し、尿と一緒に淫液も撒き散らす。顔つきはだらしなく、遊女以外には見えない。
当初の抵抗感が薄れていき、恐怖を遠ざけるために自分から快楽に溺れていく。アナルをきゅうきゅう絡め、挿入に合わせて腰を左右に振る。
こぼるときんぐの肉棒がぐんと膨れ上がる。こぼるとの射精タイミングを完全に覚えたアルウェンは、それに合わせて腸壁を渦状に絡ませ、同時に自分も絶頂した。
「うあぁ、イくぅ! イきますうぅぅ!」
ごぼごぼと腸を満たされながら、背中を反らして痙攣。陰部が自然と開き、ぴゅぴゅっと濃い匂いを発する潮を吐く。肉棒を抜かれこぼるときんぐから手放されると、アルウェンは脱力したまま床に転がった。
壇上にすぐに数匹のこぼるとが上がってくる。すぐにアルウェンを抱え上げて、新たな枷をつけた。しかし、今度は木製のものではなく、金属製のものだった。
手首が背中で合わされ、8の字をした手錠で拘束される。手首同士が殆ど触れ合った状態のため、稼動範囲はごく限られた。
足首には鉄の輪が取り付けられ、その間には鎖がある。手首よりは大分余裕があるものの、徒歩でせいぜい半歩分の余裕しかない。
ご丁寧に翼用の拘束具まで用意されていた。一対の翼を束ねられ、根元近くで小さな楕円形の輪が取り付けられる。それら全てが、吸血鬼の腕力でも破壊できない代物だ。
拘束具を手早く付け終わると、こぼると達は退散していった。
最後まで残ったのは、最初からいた一人と一匹だけだ。こぼるときんぐは転がるアルウェンを見下ろし、両手に持っているものを見せた。細い鎖でできたリードのついた、鉄製の首輪だった。
それを見た瞬間、アルウェンは自分がどうするべきかを理解した。倦怠感に包まれた体を起こし、こぼるときんぐの前に跪く。そして、自分の首を差し出してこう言った。
「お願い、します……。私を……しょっ……! ……所有、してください」
自分の心が分からない。今感じているのは、屈辱か、幸福か、怒りか、快楽か。ただ分かるのは、ここで家畜の儀式を跳ね除けられないほどに、自分が隷属していると言う事だ。
家畜に堕ちた少女の首に、厳かに王から首輪がはめられる。がちん、と音がして施錠された瞬間、こぼるとコロニーの新たな家畜が《一匹》生まれたのだ。
広場に集まったこぼると達は解散し、アルウェンは自分を引き連れてきた一匹にリードを引かれる。それに従い歩き出し、促されるままにちゃりおっとに乗った。
がたがたと揺られながら、己の今の身分について考える。家畜にされたのは、仕方なかったのだと必死に自分に言い聞かせた。抵抗しても、またあの苛烈な教育が待っているだけだ。従うより他ない。
しかし、アルウェンは首輪をはめられるまでも、はめられた後も自分が家畜であるという事に違和感を感じられない。既にこの待遇に順応してしまったのだ。首輪をはめられた瞬間など、安らかさすら感じてしまう。
猶予がそれほどない事は、身に染みた。いつか、逃げる事すら考えられなくなるだろう。
だが、杖を手に入れても魔の樹液の効果が切れている時では意味が無い。魔力が乱れてろくに魔法を使えないだろうし、第一ものを考える事すらままならない。しかし、あまり間を置き過ぎれば性感はどんどん上昇していく。
迅速に杖を手に入れ、コロニーを脱出。その後魔法で禁断症状と臀部の感覚を抑える。これ以外に手はない。
そんな事を考えているうちに、ちゃりおっとは目的地に到着していた。
目の前の建物は、最初のボロボロの小屋ではなく、もっとしっかりした造りをしていた。ただし、その小屋には壁がなく、木枠で辛うじてしきりを作っているという物だったが。
数十匹を同時に収容できる、本当に家畜の為の小屋だった。アルウェンが最初の一匹のようで、他のしきりは埋まっていない。
アルウェンがそこに着いてまずやらされたのが、首輪の処置だ。材質不明の円柱が、首輪に差し込まれる。すると、円柱は溶ける様に首輪に吸い込まれ、繋ぎ目を完全になくしてしまった。
さらに机の上に上半身だけ寝かせて、尻を突き出す体勢になる。中まで綺麗に洗われた後、大量の樹液が注入された。
漏らさぬようにと尻を絞めていると、眼前に何かが差し出される。緑色をした小さな壷のような形で、中からうねうねと触手が飛び出している。
「っひ! な、なんだ……?」
あまりな第一印象に驚いたが、それは植物型の小さな魔物だった。僅かな魔力しか感じないあたり、この大きさで成体なのだろう。
机の上に転がされると、両足首を頭の上で抑えられる。自分の陰部が丸見えな、小屋でされていた体勢だ。小壷型の魔物は尻穴に密着されると、四本の触手を出して脚に絡みついた。二本ずつ腰の横で交差され、ぴったりと張り付く。
見えない壷の中では、無数の細い触手が肛門を撫で上げる。
「うひぃっ!」
繊細な愛撫に、アルウェンは思わず悲鳴を上げた。快楽はどんどん上昇するのに、絶頂に達する事はできない。
小壷型の魔物は二つの役目を持っていた。一つが対象の性器をより高度で淫靡なものへと変化させる役目。もう一つは、いつでも使用可能なように家畜を高めておく事。
そんなおぞましいものが、アルウェンの唯一にして新しい下着だった。
地面に立たされるが、快楽でまともに足が動かない。その癖に絶対に高みまで上れないのだ。家畜に立場を教える役割を持つと考えれば、かなり有効な道具かもしれない。
小さなポンプを尿道に当てられる。顔が一瞬青ざめたが、抵抗はできない。大人しく液体を注入され、排泄の欲求に耐える。
トイレの場所でも教えるのかとアルウェンは思ったが、リードを引かれ小屋の外にまで出てしまう。外には数匹のこぼるとが待ち構えていた。
いくら露出に快楽を感じるようになったからとは言え、羞恥心をなくしたわけではない。いや、むしろ露出の快楽を知ったからこそ羞恥心も増した。だからこそ体をうつむかせ足を閉じ、少しでも見える面積が減るようにしたのだが。
リードを持ったこぼるとが、アルウェンの尻を叩いた。ばしん、と高い音がし、その衝撃にアルウェンは腰を前に突き出す。股間に視線が集中するのを感じて腰を引こうとしたが、こぼるとが手を振りかぶるのを見ると慌てて突き出した。
股間を強調する体制のままぷるぷる震えるアルウェンの恥丘を左右に開き、尿道口を撫でる。このまま出せ、という事だ。
「ううぅ……。くっ、っつうっ!」
声を押し殺しながら、勢いをなるべく殺してちょろちょろと漏らす。あまりに勢いの無い尿は、股間に張り付いた淫液を洗い流しながら、太腿を伝い流れた。
またばしん、と尻が叩かれる。尿も声も、堪えるなという事だろう。
「っああぁ! 見て、下さい! 私のはしたないお漏らし、見てくださいっ!」
膀胱の限界まで溜め込まれていた液体が、びちゃびちゃと迸り地面にながれていく。羞恥が法悦を呼び、それだけで絶頂できそうだったのに下着に阻害される。誰かにイかせて貰わなければイけないようになっているようだ。
腰は動かさぬまま、リードを持ったこぼるとに布でゆっくりと尿を拭かれる。勝手に排泄する事も清める事も許されない。誰かに披露し、誰かに拭き取ってもらう。自分で何かをするのは許されない、それがアルウェンの家畜としての待遇だった。
排尿の欲求こそなくなったものの、変わりに絶頂への欲求が首をもたげる。自分で触れず、絶頂しそうになっても魔物に阻害される。欲望に支配されていく脳がこぼるとに媚びた視線を送らせた。
アルウェンの視線を受け取っても、こぼるとは何もしない。股を擦り合わせてみたものの、そんなもの僅かな足しにもならなかった。性奴隷の媚態をあらわした視線を送るうちに、こぼるとは待っているのだと気がつく。
実行するには、勇気がいた。いや、勇気と誇りを捨てる必要があった。
「お……お願いだ。私を、犯して……くれ。お願い……します。お、犯して、下さい」
自分から穢される事を要求する言葉。アルウェンはそれを、顔を真っ赤にしながら言った。
こぼるとは心得たとばかりに、アルウェンをうつ伏せに寝かせた。ただし、膝をたてて犬のように尻を大きく突き出すような恰好でだが。
草むらの上に直接寝転がる事になるのだが、今更そんな事は僅かも気にならない。汚れる事も、陰部をじっくり観賞される事も、当たり前のように感じる。
うっすら桃色をした尻を振って、雄を誘惑するダンスを踊る。その姿にこぼると達は勃起したが、やはりまだ犯そうとしない。今度も、ちゃんと言わなければいけないのだ。
「わ、私のお尻の穴が疼いて仕方ないんです! ぐちゃぐちゃに犯してイかせて下さいっ!」
羞恥に目をつぶり、欲望に正直に絶叫する。こぼるとはやっと動き出し、尻穴の魔物を引き抜いた。
ずぼん、とアナルを拡張されながら、家畜とはどうすればいいかを反芻する。つまるところ、全て求めなければいけないのだ。
自分で何かを成してはいけないのだ。それは家畜の領分ではなく、飼い主の領分だ。家畜の役割は求める事だ。それに答えるかどうかは主次第。
排泄を見ていただく、汚れを落としていただく、犯していただく、飼っていただく。その代わりに、自分は性処理用の家畜として奉仕する。主を体の全てを使い楽しんでいただく、それだけが存在の全てだ。
ぬぽぬぽとアナルが立てる音を聞きながら、忘れないようにしっかりこぼると様はご主人様だと刻む。維持していた誇りも、ご主人様に比べれば塵に等しいのだ、と考えを改める。
その後、二回ずつ射精されてから開放された。犯されている最中、ずっとアルウェンはご主人様への感謝を唱え続け、快楽を心の底から楽しんだ。
魔物の下着を取り付けられ、転がったまま余韻に浸り、やがて呆然とする。こぼるとの望む姿になっていた事に、そして自分の姿に悲しみや悔しさが湧かない事に。
残された猶予は、自分が思っているより遥かに短い。すぐに行動しなければいけないと、絶頂寸前で責められる体を引きずって歩き出した。
一人で歩いている所を見つかっては拙いと思い、隠れながら移動した。それでもすぐに見つかってしまったのだが、とがめられるような事はなかった。首輪やリードがあるものの、基本的には放し飼いらしい。
とは言え、好んでこぼるとが多くいる方に向かいたくはない。誇りをなくしかけている心は、求められれば二つ返事で股を開いてしまうだろう。なるべく人気がなさそうな方面を選び、快楽に疼く尻穴を意識しながらゆっくり歩く。
こぼるとの風習は幸運だと言えたが、代わりに問題になったのは知覚魔法が上手く作用しない事だ。方向が曖昧で、漠然と歩みをすすめるしかない。
妨害している可能性がある要素には心当たりがありすぎる上に、どうしようもないものばかりなので諦めた。連続絶頂、麻薬のような樹液、精神的な屈服、絶頂禁止の肉体。一つも現状で打破できるものはない。今ですら欲求に耐える事だけに苦心しているのだから。
本当にそうなのだろうか、本当は逃げたくないだけで、その言い訳にしているのではいだろうか。アルウェンは強く首を振って、その疑念を打ち払う。知ってしまったら全てが終わってしまいそうで、答えを追及する事ができない。
股から溢れる淫靡な芳香が、今すぐ絶頂を求める。今すぐ絶叫して求め、尻穴がめくれ変えるほど犯されたいと思ってしまう。しかも、その思考を必死で抑えるアルウェンを他所に、盛ったメス犬のような行為を家畜だから当然だと認識もしている。
こんな事を平然と考えてしまうようになっているのだ。もし今急いで答えを出した場合、間違った方にたどり着いたらもう抵抗できない。
また、精神がどれほど変わってしまったのかも追求は絶対にせず、それは元からだと念じる事にする。自分の心がこれ以上折れないための、かすかな自衛行動だった。
そう。全て当然であり、何もおかしい事などない。真祖の姫には真祖の姫の振る舞いがある。別の立場になれば、それに見合った振る舞いがある。今の自分は飼われているのだから、立場に相応しい心構えと行動をするのは当然なのだ。
だから。
「こぼると様、ご主人様ぁ。お尻の穴がくちゅくちゅして耐えられないんです……。私のここで、たくさん射精して精液漬けにしてくださぁい」
通りがかりの飼い主にひれ伏して尻を振り、媚びた視線を向けながら寵愛を懇願するのも決しておかしい事ではない。
アルウェンにはこの時点で、屈辱や拒否感という感情を無自覚に捨てている。目標を達成する代わりには自己の意思を保護する必要があった。しかし、現状のあらゆるものを拒絶し続ければ、心は確実に砕けてしまう。
大切な事は杖を手に入れてここから出る事であり、その他は全て瑣末である。そう言い聞かせながら、他の出来事全てから目を背けて逃避した。
その結果が主従関係と快楽を全肯定してしまう事であった。命令には逆らわず主を愛し、淫欲が溢れれば拒絶せず股を開く。コロニーでは最下層に位置し、性欲処理という立場を与えられたのだから当然だ。
こぼるとの苛烈な家畜調教の結果、望んだ通りに心を変えた姿がそこにあった。
その選択は、心がさらに折れたからかもしれないし、絶頂寸前の狂おしい快楽が理性を超えたからかもしれない。どちらにしろ、既に決定してしまったアルウェンには関係ない仮定でしかなかった。
魔物の下着が引き抜かれ、ねっとりとした糸を引きながら離れていく。アナルと魔物の濃厚なキスが終わったのだ。
継続的な快楽が終わった事で、いよいよアルウェンの期待が膨れ上がる。今度はご主人様のが差し込まれるのだと。
差し込まれた瞬間に、尿とも潮ともつかない液体を噴出。叩きつけるように草を濡らした。
「ご主人様、ご主人様ぁ、ごしゅじんさまああぁぁぁ!」
決して出すまいとしていた言葉と声をあっさり吐き、艶やかな声色で忠誠心を絶叫する。それは最もアルウェンの心の状態を正確に表す。
相変わらず、基本的に技巧というものが存在しないこぼるとの性交だった。しかし、再び魔の樹液に影響されて一回り感度を増したアナルと、こぼるとへの拒否感がなくなった事により遥かに大きな快楽と、新たに満足感を得ていた。
アルウェンが意識せずとも、アナルは肉棒が最も快楽を得る動きをする。魔物の下着の効力は絶大で、細やかでありながら大胆に奉仕できるよう機能を作り変えていた。
どくどくと射精されると、内側から広がる熱に頭が朦朧とする。ぐちゅぐちゅと中をかき混ぜながら精液を味わう腸は、中毒と言ってもいいほど精液が大好物になっていた。精神的な充足もあり、表情は蕩けている。
中出しされてすぐに尻穴を閉めたのは、樹液を零さないためだけでないのが丸分かりだ。
「はぁ……はぁ……ありがとう、ございました」
家畜の作法、ご主人様への感謝を忘れず、笑顔でこぼるとに笑いかける。
教育の成果で随分可愛らしくなった家畜少女に、こぼるとの肉棒がぴくりと反応する。しかし、それは硬さを取り戻すには至らない。それでもまだこの家畜で遊びたかった。
こぼるとは肉棒の代わりにと、指を中に差し込んだ。絶頂に弛緩していた腸壁は即座に指に絡みつき、ちゅくちゅくとディープキスをするように絡ませる。
肉棒より太さも長さも無い指は、当然快楽で劣る。しかし、ご主人様の指にご奉仕させていただけるというのは、従順な家畜を興奮させるのに十分な効果だった。
「うああぁっ! っひいいぃぃ! あああぁぁぁぁっ!」
媚びる腰を妨害するものはなく、快楽と忠誠心の赴くままに指の根元まで擦り付ける。彼女が人型でなく、不浄の穴に挿入されていなければ、主に擦り寄るペットに見えただろう。
片方の手で尻を撫で、もう片方で挿入を加速させるこぼるとの姿は、明らかにアルウェンの痴態に興奮していた。指を押し込む方向を変えては反応を楽しむ。
しばらく愛撫を続けられていると、近くの草むらでがさごそと音がした。草が掻き分けられ出てきたのは、三匹の小さなこぼるとだ。
身長は通常のこぼるとの半分程度しかなく、恐らく子供のこぼるとであろう。アルウェンの淫声を聞きつけてやってきたのだ。もっとも、あれだけ喘ぎ声を漏らしておきながら誰にも聞かれないなどありはしないのだが。
子供たちはどういう状況か理解できず硬直してたいが、アルウェンを犯すこぼるとが手招きすると恐る恐るよっていった。視線はアルウェンを捕らえたままだった。
こぼるとは一旦指を引き抜くと、アルウェンを仰向けにした。陰部が上を向くように足を持ち上げられ、足をこぼるとの子供が抑える。
こぼるとが尻たぶを掴みぐっと左右に開けば、中心の穴が良く見えるように露出しかすかに口を開く。子供はそこを興味深げに見つめる。その様子は、完全に性を知らない子供の姿だった。
「うあ……こんな、子供に、見られてるぅ……。何も……知らないのに……あぁっ」
こぼるとはアナルをつんつんつついたり、尻を掴んだりなどする。声も発さぬこぼるとがどうやって意思を伝えているのか分からないが、子供達はしきりに頷いていた。
つまり、アルウェンは教材なのだ。性教育と家畜の使い方を兼ねた。尻穴に指を入れても、先ほどのように激しく動かすのではなく絶頂できない程度の動きも、子供達の気を散らせないためだろう。
穏やか過ぎる指使いと子供の無垢な視線、露出快楽の為に肥大化した羞恥心がアルウェンの脳にめまいを起こさせるほど法悦に痺れさせる。
ご主人様の邪魔をする事は許されず、できる限り静かにしながら、生殺し状態に悶える。尻穴はひくひくと動きながらも健気に耐え、しかしその中身は激しくうねっていた。
子供達はともかく、こぼるとは間違いなくアルウェンの状態に気付いていた。その上で嬲る事を楽しみ、説明をしながら淫欲に狂う様を観賞する。
アルウェンは快楽と戦いながら、もう一つ堪えているものがあった。それは尿意だ。
これは当然の話なのだ。アルウェンの腸には常に樹液や精液などの液体が溜まっている。そして、吸血鬼の体は人間の器官よりも遥かに高効率、高速に吸収をするのだ。
少女の体は常に大量の尿を生産され、排泄しなければいけない。しかし、今は排泄許可を貰う事すらできないため、尿はどんどん溜まり膀胱圧迫の攻撃に晒され続けた。
天国とも地獄ともつかない責め苦の中、いつのまにかこぼると達が自分の顔に注目している事に気がつく。今度は何を求められているのだろう、と考える。
視線を落とせば尿道口の肉が盛り上がり、肉欲を欲する淫穴のようにざわめいていた。それを確認すると、そうか、とやっと気付く。
今のアルウェンは教材であり、これは教育の一環になる。つまり、もう求めてよいのだ。いや、求めなければいけないのだ。
「ご主人様、私にはしたないお漏らしをさせてくださいませ」
じゃりり、と音を立てながら鎖のリードが引かれ、それに合わせて立ち上がる。子供達に向きかえり、足を広げて腰を突き出す。淫らで浅ましい、家畜のトイレ準備ができた。
だが、まだ出してはいけない。アルウェンは大人のこぼるとにおねだりをしたが、まだ子供のご主人様達におねだりをしていないのだ。
こんな子供にいやらしいお願いをして、正しいトイレを済ませる。それは大人のこぼるとの前でした時感じた羞恥心と違い、純白である筈のものに無自覚に穢される禁忌感があった。それを想像するだけで、体が喜びに打ち震える。
淫丘は自然と綻び開き、中の艶かしい花が少しだけ顔を覗かせた。当然尿道口も見づらくはあったが確かに見え、痴態を観賞されるのに不足ない状態にする。
「ご主人様方、私は新しくこぼると様に飼われる事になりました。私はご主人様にお願いしなければお漏らしも後始末もできません。ですが、生涯皆様の家畜である事を誓います。この性欲処理家畜に、どうか淫らな粗相をさせてくださいませ」
過去の自分が聞けば怒りを通り越して青ざめるような事を、とても嬉しそうに、家畜である事を誇らしそうに言う。仕方がないのだ。これが今の普通なのだから。
ばん、とアルウェンの尻が叩かれる。それは漏らしていいと言う合図だった。膀胱破裂寸前まで溜めた尿を一気に放出し、開放感に顔を緩ませながら子供に排泄を見ていただく。
真祖の吸血鬼であり姫だと言う事に強い自負心と誇りを持っていたアルウェン。今は何をするにも命令を求め、人前で平然と痴態を披露する変態。牙を失った強者に、しかしこぼるとは満足しなかった。
排泄途中のアルウェンのアナルにいきなり指を刺しこみ、ぐちゅぐちゅにかき回したのだ。
「うあああぁぁぁぁっ! ふきゅううぅぅぅ! だ、だめぇぇっ! おしっことびちっちゃいますっご主人さまあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
口で拒絶しながらも表情には喜悦の色しかなく、よりはしたない姿を楽しむ。腰もアナルも自分から指に合わせて踊り、尿と淫液の混合液を足や地面に見境なく撒き散らす。
待ちに待った絶頂は脳の回路をまた一つ狂わせるほど強く、恥辱と淫悦のダンスを永久に脳に保存する。
尿は吸収した樹液の影響なのか、不快な異臭はない。むしろ樹液のように甘い香りで、ひと嗅ぎすればそれだけで種族選ばず雄を誘惑しそうだった。
お漏らしが終わる頃には、大人のこぼるとも子供のこぼるともぎちぎちに勃起し、アルウェンを血走った目で見ていた。今にも襲い掛かりそうな風体だったが、それでもこぼるとは自分の責務を忘れなかった。
子供達に布を渡し、アルウェンの汚れた場所を拭かせる。足元から少しずつ拭いていき、三つの手が同時に股に差し掛かる。
既に拭き終わっていても子供達は止めず、執拗に股間を拭いて捏ねた。指先が尻穴に触れ、ぴゅっと尿を出せばお仕置きだとばかりに布ごと指を差し込んだ。また絶頂をすれば、お仕置きとして尻穴をほじられる。
そんな事が何度も繰り返され、こぼるとに止められるまで遊戯は続いた。
こぼるとは我慢できないと言わんばかりに突き倒し、寝転がったアルウェンの尻を叩く。アルウェンはいつもの屈服して犯される雌の格好をとり、尻を高く上げて言った。
「粗相中にはしたなく絶頂し、ご主人様のお手を煩わせ申し訳ありません。どうか私のこぼると様専用の穴で、猛りを抑えてくださ……ふぁあああぁぁぁぁぁ!」
アルウェンが全て言い切るのを抑えきれず、肉棒に小さな穴を襲わせる。穴は棒の太さに完全に合わせて開き、表面を舐めるように柔らかく愛撫、根元まで差し込まれればぎゅっと締め付けた。
二度目の射精は、やはりあっという間だった。一度目と遜色ない量と濃さを維持している。しかし、今度は硬さを失わず、そのまま三回目に突入した。
後ろから激しく突かれながら、全身を子供達の指が這う。掌を追うぞくぞくという快楽を感じながら、しかし今一つ物足りない。最も高い感度を持つ胸と陰部が感覚を封印されているためだ。それが残念でならなかった。
手が首筋を上り、口の中に入ってきた。ぴちゃぴちゃと指を舐めて、尻から口まで一直線に犯されている気分を味わう。
性に未熟だった子供はそれだけで耐え切れず、アルウェンの顔に精液を撒き散らした。口の中にも少なからず入ってきて、それを舌で転がしてよく味わう。初めて味わう男精は、屈服の喜びをさらに強めた。
こぼるとの三度目の射精が終わると腰から離れ、子供達がこぞって飛びつく。挿入するだけでどぴゅどぴゅと射精し、すぐに次に変わる。
すぐに終わりかと思いきや、子供達の体力は無尽蔵と言えるほどであり。交代してはアルウェンを触って遊び倒す。何度か出せば射精間隔が伸びるかとも思われたが、アルウェンの名器の前にさしたる差にはならない。
都合五回ずつ射精し、子供達の体力が尽きる頃にはアルウェンの腹は精液でぽっこり膨らんでいた。地面は汗と愛液とその他の液体で、濡れていない場所がないほどだ。
「ぁ……ごひゅじんひゃま……ありがひょう……ごりゃいまふぅ……」
大量の精に絶頂を続け、ろれつが回らないほどになっても感謝の言葉を忘れない。例えそれを相手が聞いてなかったとしても、心から感謝する事は忘れないのだ。
腰が抜けてひれ伏したままのアルウェンに、魔物の下着が取り付けられる。取り付けたのは子供らしく、いつのまにか大人のこぼるとはいなくなっていた。
アルウェンは汚れた格好のまま近くの小屋に連れて行かれる。中は水場であり、恐らく公衆浴場みたいなものだろう。こぼるとは冷気に強いのか、中は冷水のようだったが。
冷たすぎる位の冷水を頭からかけられ、アルウェンの頭に少しだけ正気と目的が帰ってきた。残念ながら何かを考えるまではできなかったが。
こぼるとの子供達は、アルウェンの体を一通り洗うと洗浄に格好をつけて尻を撫で回し始めた。アナル以外では、現在の体で一番感度が高い場所だ。座るのも難しくなり転がってしまったところを、こぼるとは面白がって責めたくる。
魔物の下着があると絶頂を制御されてしまう以上、これは地獄の責め苦だった。それを拒絶する権利も回避する方法もないアルウェンは、飽きるまでいいように弄ばれるしか方法がない。
家畜の淫声を聞きながら股間を弄っていたが、やがてもう勃たない事を知ると手を止める。最後に一度冷水をかぶせ、アルウェンを放置して三人の子供も去っていった。
取り残されたアルウェンは小屋で一人、暫くひくひくと痙攣し続けた。魔物の下着を剥ぎ取って、自分でぐちゃぐちゃにかき回せば楽になれたかもしれないが、それはご主人様を裏切る行為の一つ。そうする考えすら浮かばなかった。
倦怠感が重くのしかかる体を半ば引きずりながら、濡れたままの体で小屋を出る。瞳は朦朧としていて、意識があるのかすら余人には分からない。そんな姿になってまでも、彼女は己の役割を忘れなかった。
知覚魔法を展開、大雑把な杖の方向を割り出す。そちらの方に向かってふらふらと歩き続けた。
たどり着いたのは、少し大きめの建物だった。広さよりも堅甲さに重点を置いて建設された、こぼると達の宝物庫だ。
そこの開いている扉に、確実に中にこぼるとがいる事も考えられず、当然のように入っていく。そしていくつかの通路を通り、知覚魔法に強い反応がある部屋へと入っていった。
アルウェンがここまで誰にも見つからなかったのは、はっきり言って奇跡だろう。もちろん他にも要因はある。金闇の森で一大勢力を築くこぼるとに敵対する存在などおらず、宝物庫だとしても警備を厳重にする必要がなかったなど。
それでも、もしアルウェンがある程度意識を保って進入していたならば、途中で淫欲に負けて捕まっていただろう。そして、今度は最初の調教など比べ物にならない教育を受け、完全に堕落していたに違いない。
体力も精神力も意思も、全てがほぼ底をつき、頭の片隅に残っていた使命のために残りを全てをつぎ込んだのが上手く作用した結果だ。
後ろを向きながら、ついに己が愛用してきた杖を手に取る。濁った瞳は次第に力を取り戻し、表情に理性の火が灯る。なんとか現状だけを理解したアルウェンは、即座に魔法で枷を破壊し自由を取り戻した。
「私……は。ぁ……や……やったっ……!」
薄い現実感が後から湧き上がり、やがてそれを正確に理解したとき、少女に笑顔と握りこぶしを作らせる。法悦に彩られたものではない、アルウェン本来の月のような笑顔だった。
数々の陵辱、恥辱に屈しその身を雌に貶めながらも、最後の一線が勝利をもたらしたのだ。多くのものを失ったが、それでもアルウェンは最後まで立ち続けた。立ち続けられたのだ。
目尻から流れそうになる、歓喜の涙を堪える。それは、脱出に成功するまでとっておくべきものだ。
杖と一緒に放置されていた服を一緒に回収する。右手に杖を、左手に服を抱えて部屋の外に出て。
「――え?」
扉の外に、四匹のこぼるとが待ち構えていた。
これは当然の話なのだ。いくらこぼるとのコロニーが平和だと言っても、警戒している者がいないわけが無い。ましてや宝物庫に侵入者がいるのであれば、すぐに気がつく。
犯人の特定は難しくなかった。床に水滴の跡と淫靡な芳香を残すものなど、金闇の森中を探してもこぼるとの家畜しかいない。そして、家畜は今一匹しかいないのだ。
荷物を取り戻しに来たのは分かりきっており、最短距離で取り上げたものを保管している部屋を目指し、アルウェンが出た所でかち合わせたのだ。
こぼるとの誤算はアルウェンが既に枷を外していた事だったが、それも彼らの中では瑣末事だった。こぼるとを見た家畜は、自由を手にしながら明らかに怯えていたのだから。
アルウェンは即座に服を投げ杖を突き出し、魔法を放とうとした。しかし、それは現象として表れ、こぼるとを倒す事はなかった。
杖を向けた瞬間に、激しい拒絶感が現れて魔法の発現を阻害したのだ。魔力が上手く練れない、標的が定まらない、魔法を形にできない。それは、こぼるとを自分の上位の存在と認めた家畜の精神の表れだった。
精神的な屈服はここでアルウェンに絶望的な影を落とす。この場面は決定的なピンチであると共に、チャンスでもあったのだ。チャンスの機は家畜が主を守るために雁字搦めに拘束し、ついに機会を逃してしまう。
こぼるとの一匹が何かを振り、ぴいぃっ、と音がした。
「うあ!? ふぉ、おああああぁぁぁぁぁ! う、ひいいいいぃぃぃぃ!」
アルウェンの尻穴に食らい着いていた魔物が、ぐっと触手に力を入れて暴れだす。腸の括れを隅から隅までじゅるりと舐め、肉棒では届かなかった部分が一斉に刺激される。
「うああ! ふぅ! ひいぃ! っあああぁぁ!」
腰ががくがくと震え、愛液は大量に生産され恥丘を彩り内腿を艶かしく強調する。その姿はもう戦闘をしようとしていたものではなく、激しいストリップショーにしか見えない。
「う、ううううぅぅぅっ! っ! くああぁぁぁ!」
それでも何とか正気を保ち、魔法で魔物の下着に一撃をくれてやった。その脆弱な一撃でも、もろく弱い魔物を絶命させるには十分な威力。魔物は即座に死に絶え、アルウェンの腰からするりと落ちた。
同時に、家畜のだらしない尻穴を塞ぐ物もなくなった。
「あ、あああぁぁ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁ! いやいやいや、いやあああああぁぁぁぁ! 見るな、あああぁぁぁぁぁ!」
アナルから大量の精液がぶちゅぶちゅと吐き出される。杖に捕まりなんとか体を支えたが、それは精液のお漏らしをした事の慰めにはならない。
腰を振り乱れるところも、はしたなく開いた尻穴も、足を流れる白濁の滝も、足元に溜まる精液の池も全て見られた。こんなに浅ましく淫らな姿を、観賞されている。
「うあああぁぁ、漏れる、漏れますうううぅぅ!」
そして、露出と被虐の快楽で止めを刺され、絶頂して放尿しながら白濁の池に尻を付く所まで全て見られた。それでも杖だけは手放さない。これを放してしまったら、それこそ全て終わりだ。
こぼるとは家畜のショーの一部始終を観賞し終えると、リードを引っ張って無理矢理立たせた。どれほどの痴態を見せられても、容赦などする気は全く無かった。
アルウェンは即座に立ち上がり、怯えた目でこぼるとを見ながら震えた。思い出してしまったのだ、こぼるとはとても怖い存在であると。逆らえば、また絶え間ない調教が待っていると。
その精神は幼子のように縮こまり、抵抗などとてもではないができそうにない。アルウェンの心はなぜ逆らってしまったのだろう、という事しか浮かばなかった。
「ご……ごめんなさい。許してください。もう二度と逆らいません、だから、許して……」
かちかちと歯を鳴らしながら、惨めに懇願する。それは、今の精神状態でできる事の全てだった。
こぼるとがアルウェンの左右に周り、それを怯えた目で追う。尻が両側から掴まれ、左右に開かれた。まだ尻の中に溜まっていた精液や樹液がごぽごぽと漏れて落ち、足をゆっくりと流れて池の一部となる。
怯えたアルウェンには何もできない。ただ黙って沙汰を待ち、それに首を縦に振るだけの存在になってしまう。そんな状態でも杖を手放さなかったのは、最後の抵抗なのかもしれない。
左右から指がするりとアナルにはいり、浅瀬をくにくにと刺激する。今までの仕打ちを何度もリプレイさせ、ますます体を強張らせた。
アルウェン正面のこぼるとが、手を差し出した。杖をよこせと言う事だろう。アルウェンが逆らうとは、欠片も思っていないようだ。
その手に杖を渡せば、アルウェンは再教育を受けるだろう。今度はどこかに繋がれて逃げられないようにされ、徹底的に薬と快楽漬けにされる。杖はどこかへと処分され、そして二度と逃げられなくなるだろう。
杖がゆっくりと差し出される。逃げたいと思う心と、逆らわず行動する体は既に離反していた。こぼるとへの恐怖と尻穴の快楽に、アルウェンは恐慌状態をさらに加速させる。
そして、杖が主の手に渡る寸前、杖が爆発を起こした。
それは魔法により起された現象ではない。精神に呼応した魔力が暴走し、杖を介してただ周囲に流れ出ただけだ。問題は、アルウェンの常識を遥かに超える魔力量が暴れながら撒かれれば、暴風と言えるものになった事だった。
四匹のこぼるとを吹き飛ばすだけでは足りず、周囲の頑丈な木も吹き飛ばす。それですら収まらず、建物を半壊させ破片は勢いよく周囲に飛び散った。そんな中で、当然のように立っているのはアルウェンだけだ。
突然の事に何が起こったか理解できず、呆然と佇む。脳の追いつかぬ自体にしかし、アルウェンは弾かれるように動き出した。
床に落ちていた服を乱暴に掴むと、知覚魔法を展開、索敵。急いでこぼるとがいない方へと駆け出した。少し走ったところで背後から喧騒が流れてきたが、決して振り向かない。
途中何度かこぼるとに見つかりそうになったが事なきを得、コロニーの外へと脱出できた。まだ追いつかれるかもしれないという恐怖はアルウェンの足を止めさせず、自分でもどれほど走ったか分からないでいた。
やがて小さな泉へと着くと、そこでやっと足を止める事ができた。恐怖と安堵にぼろぼろと涙を流しながら、力なくその場に座り込む。
「ううぅ……ぐす……っ、はぁ……はぁ……」
疲れなどないはずの吸血鬼が呼吸を荒らげているのは、間違いなく精神的な疲労からだ。恐ろしい主から逃げ出すと言うのは、それだけの労力を要求された。
多少心が落ち着いた時点でまず行ったのは、禁断症状の封印と尻の感度の鈍化だった。既に樹液が切れ掛かり、魔力が乱れ始めている以上これは急務だ。
禁断症状の方は問題ない。完全に封印できるし、対応能力の高い吸血鬼の体は、異常があればすぐに正常化してくれるだろう。半日もあれば、魔法を解いても問題ないはずだ。
重要なのは、尻と尻穴の感度だ。感覚を鈍らせれば、力が入っているかどうかも分かりにくくなる。何度も排泄を視姦をされた事で漏らす事に強い忌避感を覚えたアルウェンは、それほど強い鈍化を実行できない。強く魔法を使えば、漏らしてしまうかもしれないのだから。
体を洗い流すために、泉に入っていく。水で精液を流そうと思ったところで、ぴたりと手が止まった。
太腿の精液を掬い、鼻先に自然と差し出された。生臭い香りが、アルウェンの背筋をぞくぞくとさせる。また犯されたい、尻の中を精液で満たされたい、そう考えてしまう。
手に付着した精液を舐めようと舌を差し出す。これを舐めれば、あの快楽の数分の一でも思い出せるのだろうか。
「っ! 私は何をやっている!」
舌が精液に触れる直前、アルウェンは自分がやろうとしている事に気がつく。精液を投げるように泉に落とし、変な事を考えられないように体を洗い流した。
こんなはしたない真似をして、心は惜しかったと思ってしまう。心身にはそれだけ強く、快楽と従属が染み付いていた。
苦痛に涙を流しながら、服を着ていく。飼いならされた自分を見るというのは、一体どれほど惨めなのだろうか。
着替え終わって初めて、まだ首輪がついていることに気がついた。魔力に抵抗があるらしく、破壊する事ができない。
仕方無しに放置し、鎖を外して服の中にしまいこむ。今前の事を振り払うように、森の中心、魔女の住処へと向かっていった。
アルウェンは気付かない。首輪の魔力抵抗など微々たるもので、アルウェンほどの魔力があればさしたる苦もなく破壊できた事に。鎖のリードを捨てるのではなく、大事に保管していた事に。
それはアルウェンと同じように、誰かの奴隷となる事を望むアルウェンの最後の抵抗だった。いつか、自分の首輪を差し出す相手が出てくる事を望んで。
アルウェンの心に深く静かに潜み、その時を待ち続ける。