アドルさんがいつものように、外で獲得したカミオの花、蜂蜜、骨付き肉などを山と持って来る。  
そして僕はいつものように、通常の引き取り値より高い値でそれらを全て買い取る。  
「……ええ、いいんですよ。アドルさんは悪くないです」  
アドルさんは申し訳なさそうにこちらが差し出したお金を受け取ると、  
ごくたまに、そのうちからいくらかを使って蒼の秘薬を買ってくれるのが習慣で、これで何とか店が持っている。  
アドルさんは残りのお金を持つと、またどこかへ消えていく。  
 
噂では、向こうの島に残ってるケビンさんが高値で貴重な品を取引し始めたらしい。  
多分、秘薬を買わないときはそれを買うために使うんだろう。  
そしてそれは、この島々の災厄を取り除くには多分必要なものなんだろう。  
それならば、僕がこんな形でアドルさんへ資金を提供していることには確かな意味がある……  
僕はまたそう思い直して、理不尽な姉の仕打ちの結果を正当化するための理窟を、自分へ言い聞かせる。  
 
僕がなぜ、アドルさんとの取り引きでいくらか譲歩しなければならないのか?  
その原因、いや元凶は、我が愚姉ロゼにこそある。  
 
「おーおー、ちゃんと姉の御威光に従って、  
 赤毛君からの引き取り値は上乗せして、買い取ってるわね。  
 さすがクロア、わが優秀な弟」  
 
……噂をすれば、だ。  
露出が決して少なくない衣服に、所々身に着けたきらびやかな装飾品の映える女の人が、僕の後ろにいる。  
この女の人こそわが姉ロゼであり、バスラム商会の庇護の下、武具店を経営している。  
で、僕、クロアはその店の軒先で雑貨屋っぽいことをやっているのだが、  
姉さんは自分の店の商品を一通り買ってくれたお礼にと、ある約束を勝手にアドルさんへしてしまった。  
それは、アドルさんが僕の店へ要らないものの下取り依頼にきた際、その買い値に色をつけるように、というものだ。  
逆らっても無駄なのが分かっているので、こうして従っている。  
 
「姉さん、店は?」  
「客が来そうにないんですもの。それはそうと、今日はあの日だから。早く店じまいしなさいよ」  
「はいはい」  
ほぼ週に一度、僕はこうして早々と店じまいさせられる。  
それは姉の店じまいの手伝いのためでもあるのだが、その姉弟揃って早々に店じまいする理由が、問題なのだ。  
 
「わかってるわね? 先に入ってなさい」  
「わかってるよ……」  
僕はいつものように、姉さんから言われて浴室へ向かう。  
そうして、僕が先にお風呂に入ってると、後ろから人の気配がし始める。姉さんだ。  
僕は無視して頭を洗い続ける。姉さんがそろりそろりと近づいてくるのが分かる。姉さんが僕の真後ろに座る音がした。  
そしていつも通り、頭を洗う僕の腕と太ももの間へ左手をスルッと忍び込ませる。  
その手は僕に感づかれてないとでも言いたげに、剥き出しになった目標物へ大胆に襲い掛かる。  
そして哀れ、股間の袋と棒ともども、むんずと鷲掴みにされてしまうのだ。  
 
そう、姉さんが僕に早々に店じまいをさせる理由が、これだ。  
僕を使って自分の性欲処理をするため……  
そりゃまあ、僕だって姉さんを根っから嫌いなわけじゃないし、気持ちいいし……  
だからどうしてもイヤだってわけではない。が、やっぱり実の姉、気が咎める。  
 
僕の弱点を鷲掴みにした手は、そんな僕の困惑など知らぬ風に、ぐにぐにと力の強弱をつけて遊んでいる。  
袋を掴んだり棒をさすったりと忙しい動きに、男の肉の形はいいように歪まされてしまう。  
最早そこに男の尊厳の威容はなく、牝の遊び道具にされる、ただの哀れな肉棒があるだけだ。  
「あら、驚かせちゃった? おちんちん洗いがおろそかになってるから、手伝ってあげようかと思ってぇ〜」  
「後で洗うよっ! いいよっ」  
「もう、またそんなこと言っちゃって。いっつもこうして姉さんが襲ってあげるたび、おちんちん喜ばせるくせに」  
姉さんはそう言って僕をいじめる間も、股間に密着させた手の動きを決して止めない。  
 
(姉弟でこんなことやっちゃっていいんだろうか……?)  
たぶん、まっとうな悩みなんだと思う。  
股間をいじめられながら悩むようなことではないんだろうが……  
「あらあらどうしたのクロア? そんなにうわのそらのマグロを決め込んでると、  
 お姉さまはもっともーっと、弟君を責めちゃいまちゅよぉー?」  
「!」  
姉さんの股間指遊びは、より速さ、力強さ、激しさを増していく。  
それに反応するように、僕の股間はただ垂れ下がる排尿器官から、性に飢えた雄の角へと変わってしまう。  
「あーらあら、クロアの可愛いおちんちん、もうこんなに喜んじゃってる。  
 ま、優しい姉さんが恋人もいない弟のお世話してあげてるんですもの、当然よね」  
悔しいけど、確かに姉さんの手の動きは絶品だ。ぐーにぐーにと  
扱き上げられ擦られて、見る見るうちに僕の愚息は大勃起させられてしまう。  
「ほーら。もうおちんちん喜んじゃった。おちんちん、にこにこ笑ってあたしのマッサージを受け入れてるわよぉ。  
 ほらっ、言ってみなさい。こうしておちんちん毎週可愛がってもえるのは、誰のおかげなの?」  
「姉さん……です」  
「そうよね、そんなクロアはお姉ちゃん大好きっ子だものねー。そんな大好きなお姉さまに  
 おちんちんいじらせて気持ちよくなっちゃうなんて、もうケダモノよね。怖いわぁー。  
 いつ姉さん、けだものクロアに襲われちゃうかと、気が気じゃないものぉー」  
「姉さんを襲うわけ……なっ、ないだ……ろっ」  
こんな風に会話しながらも決して姉さんはこっちのおちんちんから手を放すことはしない。しつこくしつこく、  
袋から玉から柱から先端の感じすぎる亀頭まで、御丁寧にくまなく撫で回してくれる。  
「あら? じゃあ他の誰かを襲っちゃうわけー? あらあら〜。じゃあ、優しいお姉様がこうして可愛がってあげないと、  
 いつクかロアが性欲のけだものとなって、メイプルちゃんとかティセちゃんとかを襲っちゃうのね?  
 ひょっとしたらエミリオちゃんと道ならぬ、肉欲まみれの男の世界へ溺れちゃうかも……  
 あらあら、それは姉としてとっても心配ねぇ〜」  
「そ、それもありえない……よぉっ……!」  
「だ・か・ら、そうならないように、こうして姉が責任持って童貞君の性欲処理をしてあげてること、感謝しなさいよ?」  
「どっ、童貞じゃないよぅ……」  
「そうよね♪ あ・た・し・が、クロアの、もらっちゃったもんねぇ〜」  
 
元々は、僕がまだ年も一ケタだったころ……  
寝ていたところに、男の股間に興味を持ち始めた姉さんがもぞもぞと近づいてきて、  
自分の好奇心の赴くまま僕の下半身をずりっと剥き出しにして、その中味をいじってきたことから、こんな関係は始まった。  
自分でも小用の時にしか触れなかったところを、いきなり皮を剥かれ、ころころと転がされたあの衝撃……  
 
「可愛かったわぁ〜。クロアったら、あたしがムキムキしたちんぽ、  
 すりすりって撫でてあげるたびに、みゃっ、みゅぅっ、て産まれたての子ネコみたいに、か弱く鳴いちゃうんだもの……  
 ほんと、あたしだけのモノにしちゃいたいって思っちゃったんだからぁ。  
 だから思わずキスしちゃった。クロアはお口じゃなくて、おちんちんにキスされるのが好きだもん、ねー?」  
「そんなの……昔の話だよぅ……」  
こねこねと股間をこね回しながら、姉さんは思い出すように語る。  
「んーんー。このさわりなれた手触り! ふかふかしたタマタマ袋に、ピチピチしたカメさん頭、  
 完全勃起した柱の、ぷよぷよ、もちもちとした感触♪  
 この、やさしいやらしい勃起全開弟チンポをニギニギしてるだけで、癒されちゃうのよね〜」  
「そんな……いちいち感想言わないでぇ……恥ずかしいよっ」  
「恥ずかしかったら、ガマンしないで泣いて、泣いてぇ♪ 羞恥の涙でお姉さまはもっと、癒されちゃうし喜んじゃうんだからぁ。  
 今だって、子供の時みたいに可愛く鳴いちゃっていいのよぉー? いっそ涙流してお姉ちゃーんって叫んで、  
 泣きついて甘えてもいいんだからさぁ〜。お姉様の前では素直になっちゃっていいのよぉ〜?」  
もみもみと優しく触れてくる、昼の恐るべき姉と全く違う夜の手つきに、僕の股間はすっかり飼いならされていく。  
「初めて種汁を出したのも、そして初めて女の子を知ったのも、みんなみぃーんな、  
 あ・た・し・と……だったわよねぇ。そうして、今はこんな風に自分の姉を性処理の道具に使っちゃうなんてぇ。  
 クロアって、なぁんて恐ろしい子……」  
僕は否定する余裕もなく、姉の手つきに頭も股間も沸騰させられ、姉のされるがままになっていた。  
「すっかり感じちゃってエッチねぇ。あの日からお姉さまに反抗することもなく、すくすくと育ってくれちゃって。  
 やっぱり姉の教育がいいのよね、性教育も含めて」  
ぎゅうっ、と硬くなった肉棒を握りしめる。親指と人差し指で亀頭をこすり上げるのも忘れない。  
「ああ! 出る! 出ちゃうぅう!!」  
僕はいつものように、手だけで姉さんに果てさせられる。びゅっ、びゅ、と  
股間の噴出口から重厚な排泄感が脳へと響いてくる。  
「最初は指だけでイッちゃうのよねぇ、んー、愛いやつ愛いやつ♪」  
こうして第一の発射を見届けると、姉さんは上機嫌になる。  
たぶん、僕を支配下に置いていることを、射精させることで確認しているのかもしれない。  
「姉さん、今日は、まだ……だめ」  
今日はちょっと疲れていた。いつも通りなら、これからまた激しい第二ラウンドに突入してしまうはず。  
「……お姉様に命令する気?」  
やっぱり姉さん怖い……でも疲れているのは本当だ。  
「ちょっと、疲れてるから……」  
「いいわ、ならゆっくり、お姉様の舌遣いで癒されなさい」  
そう言って、ぱっくりと僕のを包み込む。蕩けるような、  
ゆっくり、ねっとりとした舌遣いにぼくは思わず目を閉じてしまう。  
これがいつもなら速く、強く、僕のを責め立ててくるのだが、それと比べれば明らかに癒しペースである。  
 
「ね、姉さん、ちょっと強すぎ……」  
それでも、姉さんの舌遣いは、やっぱり僕には刺激的過ぎる。  
「んー? こんなにお姉様が、ねっちりとサービスしてあげてるのに、そんなこと言っちゃうわけぇ!?  
 弟のくせに生意気ねっ。そんな生意気極まりない子ネコちゃんには、おしおきしなくちゃねぇっ」  
姉さんはしゃぶり回す舌の動きを速くしたかと思うと、  
同時に僕のお尻の穴に人差し指を宛がい、すぽすぽと第一関節だけを出し入れし始めた。  
「ね、姉さん、おしりなんか、だめぇえっ」  
始めは出し入れするだけだったが、次第に第一関節から先までも捻じ込まれるようになり、  
ぐるぐると錐のように回転させ始める。ついには、中に入れたまま指をぐねぐねと曲げて、  
えもいわれぬ奇妙な異物感をお尻から感じさせ始めてきた。  
お尻を、恥ずかしい穴を、姉さんに責められちゃってる……  
「ほらほら、いいんでしょいいんでしょ。お尻の穴で感じちゃってるんでしょ!?」  
姉さんの指はまるで触手状の一匹のモンスターだ。僕のお尻の穴をいいように  
なぶり、いたぶり、掻き回し、肛門そのものをおもちゃにしている。そして僕までも、おもちゃにされる。  
僕は姉さんというモンスターに弄ばれ、恥ずかしいやら気持ちいいやら、気が遠くなりそうな快感に浮かされていた。  
「だめっ、姉さん。お尻……変な感じだようぅ」  
「感じて。その変な感じで、気持ちよくなっちゃいなさい! もっともっとイケナイ快感、感じるのっ。  
 お姉様のお指で、もっと感じちゃいなさぁい!」  
姉さんは僕の股間にその全精力を傾注し、白く濃い涙を流させようと責めてくる。  
そして程なく、僕は姉さんの指責めに屈服してしまった。咥えられたまま、姉さんの口へと出し放題に出してしまった。  
「んふ……やっぱり、溜めに溜めた男の汁。一発出しただけじゃとても薄まらないわね」  
姉さんは自分の口に出された精液を手のひらへ吐き出すと、それをさも宝石でも見るかのように  
目の高さまで上げて、じっくり観察している。僕はそれを、息を荒げて横たわったまま、見上げていた。  
 
そして僕は寝室へ無理やりに移され、全裸で寝かされている。  
姉さんも隣に全裸で寝転がり、僕の股間をひたすら捏ね回している。  
「んー? 今日はなかなか元気にならないわねぇ……?」  
それでも少しだけ硬くなっていて、その硬さが弄られるには気持ちいいのだが、  
それでは姉さんが愉しむ事はできない。  
「ごめん、やっぱり今日、疲れてる……」  
僕の弁解も聞こえているのかいないのか、姉さんはただしつこく、萎んだ雄花の蕾を握り、擦り続けている。  
「そう……それでもいいわ。こんな時こそ、お姉様が何とかしてあげるものよ」  
大きく膨らみ咲いていた大輪の花を懐かしむように、さらさらと僕の蕾を撫でている。  
また肉柱をすっぽり覆い隠してしまった皮の先端を、摘んでは放し、摘んで引っ張っては放しを繰り返し。  
「おちんちん弄りがダメなら、お尻で攻めてみようかしらぁ?」  
そう言って、姉さんは僕を跨ぎ、四つん這いになって大きなお尻を突き出してきた。  
姉さんはちゃんと見た目すっきりしたきれいな体なのに、こうして見ると  
ちゃんと女らしい、大きなお尻をしていると判る。  
「クロアはお尻好きだもんね。さ、いじりなさいよ」  
大きなお尻を、プリンプリン振ってくる。僕はドキドキしながら姉さんのお尻を両手で支えるように掴み、  
その威容をまじまじと見つめる。僕の視界を埋め尽くす、でんとした大きなお尻。  
僕は生唾を思わず飲む。男を誘うために甘く熟れた、巨大な牝尻……そんな喩えの似合う、卑猥なお尻だ。  
僕はぴったり閉じた姉さんのお尻の谷間に、両手の親指を挿し込む。  
そして、まるで熟れた果実を皮ごと押し開くように、力を入れていっぱいに広げてやる。姉さんは甘い声を出しながらお尻を震わせる。  
「あぁん……クロア、そんないきなり強く広げないでっ」  
そして僕はじっくりと姉さんの、人には絶対見られたくない部分を観察してやる。  
 
谷間の奥には、お尻の穴の中心核とも言うべき、茶色く熟れた菊の蕾が息を潜めている。  
それは美人な姉さんの顔とは対照的、正反対に臭く、汚い肛門。  
経血で化粧をし、赤いシミをつけた姉さんの肛門。  
濃い茶色をして皺が多く、閉じた形が歪で中心が少し窪んでいる。  
ウンコを窄み切ったら、きっと穴周りにはたっぷりのウンコを残しそうだ。  
そう、まるでお行儀の悪い子供が食後、口の周りに食べ物をいっぱいつけている様に。  
(そんな行儀の悪い尻穴は、まさにクソ穴と呼ぶに相応しい穴だよね……)  
毎回言葉にこそ出さないけれど、そんな少しひどい感想を、姉さんの尻穴へ抱いてしまう。  
実際、たまに少しウンコの拭き残しも見たことがある。強いウンコの香りを、経血臭と一緒に漂わせていた。  
そしてそんなお尻の穴の下には、女全開の生理中の下半身の唇が、淫らな華を咲かせている。  
経血でべっとり湿り、黒い密林のような陰毛に覆われている様は、まさに淫靡な風格すら漂わせる、女の性器。  
その大人の女の証は何もしてないのに開いており、大陰唇からはひときわ大きな小陰唇が飛び出している。  
まるで鶏の頭の鶏冠の如き質感の外見で、色は鮮桃色から少し黒ずんでいた。  
経血に汚れてこそいるものの、それすら艶かしさを引き立たせる材料になっている。  
僕は思わず大陰唇を指で摘み閉じてみた。飛び出た肉の唇は、その中に収まりきらない。  
姉さんの肉ビラが、どれだけ大きく飛び出しているかがよくわかる。  
「こら、イタズラしない。ちゃんとご奉仕なさい!」  
僕は姉さんに促されるまま、再び女の肉門を開き、  
紫色に充血した肉のクレバスと、膣口、尿道口、そしてクリトリスと対面する。  
膣口は少し開き気味で、今も少し残る経血をここから吐き出すかと思うと、姉さんとは別の生き物のような感じがする。  
そことは少しずれた位置に隠されているはずのクリトリスは経血で彩られ、包皮に包まれていながらも、  
勃起しないままにその大きさを主張している。  
そして更に、姉さんの谷間の肉の溝には、週一毎度のことながら、いっぱい垢のようなものが溜まっている。  
これだけで既に僕の眼前に充満する、結構なにおいの塊となっているのだが、姉さんの尻から  
においとなって発される強烈な色気の素は、これにとどまらない。  
仕事上がりの姉さんの体臭と、酸っぱいおしっこの香り、  
さらに、チーズの醗酵したようなおりものと、秘部に溜まった垢の匂い、  
尻穴の皺にこびり付いた、茶色い物体のほろ苦く臭い便臭。そして何より膣から溢れ出る、  
もの凄く強烈な、生臭いを通り越して悪臭とも言うべき生理臭、  
その全てがブレンドされて凄まじい誘惑の淫香となり、この眼前の巨大な尻をより淫らに魅せてくれるのだ。  
 
こうして一週間の性器の汚れを掃除させられるのも最初は嫌だったが、だんだんと気にならなくなり、  
しまいには性的魅力すら感じるようになった。のみならず、その匂いから姉さんの体調も少しだけ察せられるようになってきた。  
ひょっとすると、僕はこの手の、女の人の体臭とかが元々好きだったのかも知れないと、思ったりもする。  
こうしてここまで姉さんの強烈な匂いを嗅がされると、  
僕は辛抱できなくなって、姉さんの女穴とお尻の穴にしゃぶりつき、音を立てながら愛撫し始めてしまう。  
「んっ……そう、そうよ! いいわよクロア! ちゃんと舐めとりなさい!  
 お姉様のアソコ、今週も凄く汚れてるでしょ。だから、ちゃんと汚いものを隅々まで舐め取って、綺麗にしなさい!」  
「うん……姉さんの穴とお尻の穴、今週もすごく汚れてて、臭くて、汚いよ……  
 一週間ぶりの汚い穴……でも、なんだか凄くいやらしいよ」  
「バカ、クロアってほんと変態ね! いけない子……、実の姉にこんなことさせられて、いやらしく思っちゃうなんて。  
 姉を綺麗にするのは、弟としての責務なの。あんたをメロメロにさせるためじゃないの! ホラ、ちゃんと綺麗にする!  
 んん……でも、やっぱりクロアったら上手い。凄く気持ちいいわ……  
 やっぱりこの感覚、ダメ、もう抑えられないわ。クロア、もっと舐めて。しっかり、舐めて! 臭いだろうけど、我慢しなさい」  
「うん……本当に臭いよ。店で扱ってる薬品類にはいろんな臭いものがあるけど、  
 こんなに臭いのは、やっぱり姉さんだけだね。弟の僕じゃなかったら多分、遠慮なく吐いてるよ。  
 それに出血も多いけど……姉さん、最近多いの?」  
「違うわよ、元々よ、そんなの! さぁ、無駄口叩かないで! あたしの大切なとこ、早く綺麗にしなさい!」  
姉さんはお尻をブルブルと震わせ、僕の口へその巨大なお尻の穴や牝穴を、自分から押し付けてくる。  
僕は姉さんの性器の垢を舐め取りながら、勃起したクリトリスやプ二プニとした肉ビラを思いっきり、  
食い千切らんばかりに歯をたてて噛み付き、姉さんを責め立ててあげる。  
少しばかりきつくしたほうが姉さんも喜んでくれるのだ。その度に姉さんは電気に打たれたように痺れて小さな悲鳴をあげる。  
そして牡を受け入れるべき穴から、愛液をダラダラ流してくれる。  
もちろんきつい責めばかりしていると後が恐ろしいので、ちゃんと僕は姉さんの膣口やお尻の穴へ  
唇や舌を押し付け、まるで赤ちゃんが母乳を飲むように吸いたて、その中身を吸い出そうとしてあげる。  
そして更に指を突き立てて生理の穴とクソ穴を穿れば、僕の指にはベットリと経血と愛液とウンコがついてくる。  
もう中味をほじくられた段階で姉さんは陶然として、次の段階を待ち望むようになる。僕のほうも辛抱たまらなくなっており、  
姉さんの両穴へ愛撫を続けながら、気づかれないよう、そっと下半身のいきり立つ欲棒の準備を始める。  
そして姉さんの了解を得ず、姉さんに覆い被さると同時に膣口へ欲棒をあてがい、  
一気に姉さんの中に挿入、結合を済ませてしまうのが、いつもの恒例悦楽行事となっている。  
 
「ああん、なに! 今日もいきなり強烈なの来たわね! 挿れたの、姉さんにチンポ挿れたのね!」  
「うん、姉さんのお尻が『セックスしたいセックスしたい』って誘うもんだから……」  
「やっぱり出来た弟ね……クロア、いい子よ。さあ、もっと奉仕しなさい」  
そうして、僕と姉さんは股間肉のぶつけ合いを始める。  
「ねぇ……」  
いつもなら、このまま声も出さずに肉奉仕を続けるのだが、今日に限って僕は当然の疑問をぶつけてみた。  
「なに?」  
「姉さん……僕以外の人と、してないの」  
「……なぁに? お姉様が浮気して、知らない男、家に引っ張り込んだほうがいいっての?」  
「いや、そういう意味じゃなくて、姉さん美人だし、とても年相応には見えないから  
 男の人だってほっとかないだろうなと思って」  
「ねぇクロア、そんなこと気にするぐらいなら、このままお姉様とセックスして、ちゃんとお肉でご奉仕してくれるかしら?  
 ……本当はしちゃいけないことなんだけど、どうしても定期的に姉さんの女に火がついて、子宮がジンジンして、おさまらないの。  
 誰彼に頼むわけにもいかないの。わかるでしょ? お姉様を、抱いてくれるわ・よ・ね・?」  
まあ根っから嫌なわけじゃないし……と、僕は答えとばかりに激しく腰を動かし始める。  
「あん、それでいいの。いい子ね」  
姉さんもお尻を振りだし、僕と姉さんは再び獣のように激しく交尾を始めた。  
姉さんに覆い被さり、腰を振りながら仰向けにした姉さんの胸へと両手を襲い掛からせる。  
宙に飛び出た、型崩れしていないままのおっぱいをまるで手綱を握るように握り、激しく腰を叩きつけていく。  
パンパンとリズミカルな肉と肉のぶつかる淫音を響かせ、こうして僕たち実の姉弟は、禁断のセックスに酔い痴れる。  
そして、僕より早く姉さんは高みに達してしまう。  
「クロア、もうダメ! 姉さんもうイきそう。一緒に果てなさい!」  
そんな命令を受ければ、この淫欲の宴を終わらせるため、最後の指を発動させなければならない。  
眼下で腰一突きごとにプックリ膨らんだり、引っ込んだりしている肛門へ、人差し指を一本あてがう。  
それを一気に、根元まで突き挿すのだ。  
「ダメ、お尻ダメぇえええ、イっちゃうぅううう」  
こうしてあげると、まるであっけなく絶頂を迎えてしまう。  
お尻の穴が姉さんの急所だと気付いてからは、これで終わらせないと、後で必ず文句を言われてしまうのだ。  
そして、恍惚と蕩けた表情でまどろんでいる姉さんを組み敷いたまま、  
自分のを一気に姉さんの膣穴で擦りたてていく。イッたばかりの絶頂の余韻で姉さんの膣は敏感になっているばかりか、  
さらに子宮口までも突き上げられて、姉さんの顔がさらに切なそうになってしまう。  
それがとても可愛く思えてしまい、僕が絶頂に達するかどうかというタイミングで、キスしてあげる。  
そうすると姉さんも僕に応じてくれて、唇を思いっきり吸い舌をねじ込んでくれる。  
そうして唇と股間とで結ばれあったまま、僕の子種は姉さんの中へと激しく噴射、膣内射精で姉弟のまぐわいは終わる。  
姉さんがちゃんと日取りを調節してくれてるのか特別な薬を飲んでいるのか、姉さんが孕んでしまったことは一度もない。  
そして今日も、自らの快楽のために僕の使役を終えると、服装を整えながら満足げに、姉さんは無駄話を始める。  
「今日もあたしの臭いで興奮したのね? 変態な弟を持つと苦労するわぁ」  
「興奮はしてないよ、変なこと言わないでよ……」  
「こんな変態君はちゃんとあたしが面倒見なくちゃだわ。でも、もし彼女が出来ちゃうようなことがあっても、いいのよ?  
 彼女とかいてもいいから、お姉様へのご奉仕も忘れないことね。また、来週あたりお願いね〜」  
一頻り無駄話をして満足すると、姉さんは自室へ去っていく。やれやれ。  
こうして、僕は疲れと牝の臭いとでクラクラしたまま、眠らされる破目になるのだ。  
これがほぼ週一前後にあるのだから、苦しいやら困るやら。  
でもこっちだって気持ちよくなっているから、断固として断ることができない。  
嫌いになれない姉だけに、僕の苦悩はさらに深まるのだ。  
 
 
それからほぼ一週間。  
「あの……」  
今日もいつも通り、普通に店に立っていた。  
そしていつも通り、アドルさんがいろいろ売りに来て、また蒼の秘薬を買っていった。  
そしていつも通り、一日が終わるはずだった。  
しかし。  
「シアちゃん?」  
紛れもなく眼前にいるのは、ガゼルさんとソフィアさんの愛娘、シアちゃんである。  
父さんの方がここへ薬の類を買いに来ることはたまにあるが、シアちゃんが来るのは初めてだ。  
「えらいね、おつかい?」  
シアちゃんは首をふるふると振る。  
「ここには……シアちゃんがほしいものは置いてないと思うんだけど……」  
「あるよ」  
「どれ?」  
シアちゃん、表情を変えず人差し指をびっとこちらへ突き出す。まるで僕を指すかのように。  
「え゛。ああ、この店そのものってこと……は、はは。冗談うまいね……」  
シアちゃんはまた首を振る。  
「クロアたん」  
「あ゛」  
「クロアたんが、ほしいの。いじわるなお姉さんにいじめられても、  
 いっつもいっしょうけんめいで、じみちにがんばるそんなすがたに、わたしは心うたれてしまったの」  
「ほ、褒めてくれるのはうれしいけど、それは」  
「この街ぜんぶふくめて探しても、クロアたんみたいにかたぎでまじめなひと、そうそういないとおもうの。  
 だからきめたの。わたしのおむこさんは、クロアたんしかいないって」  
僕は絶句するしかなかった。シアちゃんはひたすらに続ける。  
「わかってる。そんなすぐにおへんじはできないって。だから、まってあげる。  
 これは、じさんきんがわり」  
そう言ってシアちゃんは拾い集めたと思われるエメルのかけらを手渡す。  
「いいおへんじ、まってるからね。じゃ」  
言うだけ言うと、たたたっ、とシアちゃんは駆け出していった。僕はただ呆然とするばかり。  
「クロア君……そんな趣味があったんだね」  
振り向くと、エミリオ君がこっちを見てニヤニヤ笑っている。  
なぜか脇のピッカード達までもが笑っているように見えてしまう。  
「ない! 絶対ない! 断じて、ない!」  
しかし、この光景を見ていたのはエミリオ君だけではなかったのだ。  
 
今日は結構、仕事の終わりも手早く、姉さんの店の手伝いも早々と終えることが出来た。  
けれども何故だ。姉さんはどう見ても不機嫌そのもの。  
(離れたい離れたい離れたい今すぐ離れたい離れたい離れたいああ離れたい)  
何があったか知らないけど、姉さんがこんな状態じゃ、どんなとばっちりを食うか知れたもんじゃない。  
僕は早めに浴室へ行こうとした。しかし、ドスの利いた声音で呼び止められてしまった。  
「な……な、に?」  
「クロア、モテモテなことね」  
「……なんのこと?」  
「とぼけないで。……シアちゃんに告白されて、プロポーズまでされてたでしょ?」  
(見られてた!?)  
「あれは……そう、あれだよ! そう、小さい子の気の迷いか何かだろうし」  
「そう。あんたは女の子の告白を気の迷いで片付けるような、軽薄男だったのね。  
 女の子の本気に、年齢なんか関係ないわ。あんたはそんなことも解らない、とんだ鈍感男だったのね」  
「い、いやそんなつもりじゃ」  
「いいじゃない。受けてあげれば?」  
「……え?」  
「いずれあたしが商会を独立させた暁には、あんたには片腕になってもらう……  
 そのためには、あらかじめ身を固めているのはいいことよ。すぐには結婚できないけど、  
 仲良くしといてあげるのはいいんじゃないの?」  
気のせいだろうか。どことなく姉さんの声は淋しげだ。  
そのまま浴室へ向かったが、襲い掛かられることはなかった。  
そして、姉さんが求めてくることもなく、そのまま無事に眠ることまでできた。  
珍しい、どころか多分、こちらへ来てから初めてのことだと思う。週一の姉の性欲処理抜きで一週間が終わるのは。  
姉の身勝手な強制肉奉仕から解放されて、ほっと一息ついた夜だった。  
 
だが、そう思ったのも束の間。  
見る見るうちに姉さんの様子がおかしくなっていった。  
「クロア君、ちょっといいかの?」  
「珍しいですね、バスラムさんがこの店に来るなんて」  
「んむ。ロゼのことなんじゃが……何か、あったのか?」  
「……いえ、特に思い当たる節は」  
「そうか? そんなはずはないんじゃが。あんなに意欲的、ひどく言えば強欲な女が、  
 こんな長い間店を閉じておるとは……本当に、何も聞いておらんのじゃな」  
そう、あの日以来、姉さんは何も言わずただふて寝でもするかのように、ベッドから出てこなくなった。  
理由は聞いても答えてくれないが、なんとなく、解る……解りたくないけど、解ってしまう。  
「は、い……」  
「そうか。じゃが、この状態は捨て置けん。と、なると。ここで、わしの秘密道具の出番じゃな」  
お腹あたりを探っていたバスラムさんは、まるで効果音でも出してしまいそうな身振り手振りで、瓶詰めの白い粉薬を取り出した。  
「?……」  
「これはのう……ロムンのスットコドッコイのパープリンのノータリン、  
 不義の不実の貪欲高慢、救いも何もない神も見放すようなどうしようもない野蛮人と違って、  
 拷問を嫌う我らアルタゴの民が情報戦のために開発した薬……を、この地原産の品々で真似て作ってみたものじゃ。  
 リムリア茸とオロイの実を絶妙な割合で配合し、カミオの花の蜜と火酒の混合液を使って煮立て……」  
「あ、あの要点だけ」  
「要するに、弟のお主にすら何も言っておらんじゃろう?  
 じゃがこの薬は、どうしても隠したままにしておきたい本音を、  
 隠したいものであればあるほどに言いたくなってしまう、という薬効を持つ。  
 お主になら何か手がかりめいたものだけでも言うじゃろうし、言った後も姉弟同士、面倒がないじゃろ。じゃ、頼んだぞ」  
バスラムさんは言うだけ言って去っていった、と思ったら。  
「ああ、そうそう。その代金は、後でしっかりもらうからの」  
「ええー……」  
 
「姉さん、ここ、置いとくからね」  
さすがに寝てても腹は減る。ここ数日は僕がこうして食事を枕元へ運んでいくのが日課。  
そして今日の分は、例の薬入り。いつも通りなら、僕は食事を置いて去っていく。  
……のだが、今日は離れたふりをして、隠れて様子を見る。あの薬は即効性だと聞いていたためだ。  
果たして姉さんはもぞもぞと起き上がると僕の作った食事に手を付け始めた。それから先は早い。  
早々に器は空となり、それを脇に置くや否や姉さんは横になり寝てしまった。  
(まずい、寝てしまう前に……)  
僕は器を片付けに来たふりをして、姉さんに話しかける。  
「……あら、今日は片付けが早いのね。心配してくれてるつもり? いつもならお店のほうが大事なのに」  
横になったままでも、やっぱり口調はいつもの昼のように、突き放すような感じだ。  
「そんなことないって。心配だよ。どっか痛いの? ずっとお店閉めちゃって」  
「あたしの店を、いつどんな理由で閉めてようと、あんたには関係ないでしょ」  
そのまま黙ってしまい、目を閉じてしまった。  
薬も意味がないのかと思い、姉さんから離れようとしたその時、  
後ろから姉さんの声がした。と思って振り返るや否や、そこには既に立ち上がった姉さんがいた。  
「ど、どうした、の。姉さん……」  
「気が変わったの。ねえ……今日こそ、はっきりさせてもらうわ」  
「なに、を……?」  
姉さんはいつもの圧倒する調子で、ずいっと迫る。眼前にいつも通りの強面の表情の姉さんがいる。  
「あんた、あたしのこと、どう思ってるの?」  
「???……」  
「いっつも、あたしのほうから、あんたをいろいろ動かしてばかりだった。  
 それはあんたが自分から進んでのことじゃないわ」  
「そりゃ……まあ。逆らったら、何されるか分からないし」  
「そういう問題じゃないの。あんた……あたしのこと、好き?」  
「……え?」  
「好きなの、嫌いなの?」  
「そう、言われると……」  
「どっちなの、はっきりしなさい!」  
と言われても、悩んでしまう。何も言えないでいると、姉さんは俯いて黙ってしまった。  
「……ど、どうしたの?」  
「そうよね、あたし、今だって、こうしてクロアのこと困らせてる……」  
(え、薬、効いてきた?)  
いつもと調子が違う。もしやこれが、姉さんの本音に近い言葉……?  
「姉さんのくせに、弟のあなたを困らせてばっかり……  
 こんな悪い娘じゃ、好きか嫌いかの答えに迷っちゃうのも、当然だよね……」  
こっちが言いたい事を代わりに言ってくれている……  
「でもね……」  
その時向けられた姉さんの瞳は、涙で濡れていた。  
「あたし……クロアには、つい意地を張っちゃうの。わがままだって、つい、言っちゃう。  
 姉さんだから、弟なんだからこのくらい、って。なんだか、どうしようもないの。  
 クロアを目の前にしちゃうと、一人しかいない弟なのに、  
 ついいろいろ、いけないこと言ったり、しちゃったり……後悔してばっかり」  
 
僕は何も言えなくなった。姉さん、そんなこと思ってたんだ……  
「こんな姉さん……いや? でも、イヤだって言っても、あたし……放したく、ない。  
 誰にも、あげたくないの。あたしだけのものに、しちゃいたいの。イヤ……な、の?」  
姉さんの力強い抱擁が僕の体を締め付ける。  
「いや……じゃ、ないけど」  
「でも、いっつもわがままで強引で自分勝手で、クロアの事こき使って、ついには  
 渦の中へ流されちゃうきっかけまで作っちゃった……、あなたのことなんか全く考えない、そんなダメダメ姉さんだよ?」  
(そこまで分かってて、なんでいっつも、そう振舞うかな……?)  
少し呆れたが、やっぱり思い直して答える。  
「それは、たしかにそうなんだけど……でも、一人しかいない姉さんだから」  
「クロア……」  
「なんだかんだ言って、ここへ来る前も、ここへ来てからも僕を助けてくれてるし……  
 そりゃいっつも姉さんには振り回されてばっかりだけど、やっぱり頼りになる姉さんだよ。  
 まだまだ仕事のこととか、姉さんから学ばなきゃならないことだっていっぱいあるし。  
 だから、その……ぼくのそばにいるのは、やっぱり姉さんじゃなきゃ、ダメ」  
僕は姉さんの後悔交じりの困惑に、やっと話してくれた正直な気持ちに、同じ抱擁で答えた。  
「あんたったら……あんたったら、どうしてそこまでそんなにいい子なのっ!」  
姉さんはそう言うや否や僕の唇を奪い、強烈に吸い立ててきた。  
(わっ、いきなり!?)  
「子ネコのクロアちゃんはあたしのモノ……。誰にも、あげないんだからっ」  
そんなことを言いながら、姉さんは涙声だった。キスしながら、愛しげに頭を撫で回してくれる姉さん。  
(姉さんって、こんなに可愛かったんだ……)  
僕は姉さんの知られざる一面をいきなり知らされて、その魅力の熱に浮かされてしまった。  
「こんなにクロアがいい子ちゃんに育ってくれてたなんて……  
 いつも、いっつも、あたしが疲れてても週に一度はクロアのこと気持ちよくしてあげてたけど、  
 もっと、もっと気持ちよくしてあげたくなっちゃう!」  
(あれ、僕へのサービスのつもりだった、の……?)  
なんという間違った弟サービスだったのだろう、と呆れとも驚きともつかない感慨が僕を襲う。  
でも、それは今の僕には無意味だ。姉さんはいつものように僕の秘密の部位を探り始めている。  
でもそれはいつもの急き立てるような熱い動きではなく、本当に僕そのものを慈しんでくれるような、穏やかな熱を伴うものだ。  
「あは……クロアの、やっぱり硬いね」  
剥き出しにした僕のものを見て姉さんは満足そうに撫で回し、存分にその硬さ、形を、指で堪能していく。  
「クロア、倒れて。寝ちゃって」  
「う、うん……」  
いつもなら突き飛ばさんばかりの勢いで無理やり倒すのに、今日はちゃんと促してくれた。  
(これが、姉さんの本当の姿……)  
僕は本気で姉さんのことを好きになりかけていた。僕が横になったのを見届けた姉さんは、  
直立不動で姉の到来を待っている雄の槍へ、今度は指でなく舌で遊び始めた。  
そうして僕はまた、されるがままになろうとしていた。しかし。  
「姉さん……いっつも僕が責められてばっかりだから、今日は僕から……」  
今までそんな素振りを見せたこともない、姉には絶対服従、  
されるがままの弟がそう言ったのを見て、姉さんは少し驚いたようだった。  
でもその一瞬の後、微笑みを取り戻した姉さんは、その細く締まっていながらもちゃんと肉の充実した肢体を開き、  
僕を迎え入れるための大胆な体勢になった。  
女の人そのものを全開に押し開いた、牡との交接を歓迎する牝の開脚。  
「じゃあ……クロアので、あたしを貫いて。  
 今までクロアをいじめちゃった分、あたしをいっぱいいっぱい、  
 その硬くてぶっ太いので、いじめて!」  
既に上の唇からも下の唇からも、姉さんはよだれを垂らしきっていた。  
姉さんに乗られてやったことはもう何度もある。でも、自分から姉さんに乗っかるのは、多分これが初めて。  
 
「あんっあんあんあん、あぁ、あん、うくぅんっ!!」  
姉さんは甲高い、仔猫のような鳴き声で僕の動きに応えてくれた。薬がよく効いている、んだと思う。  
「ああっもう、大好き! クロアちゃん大好きなのっ!  
 可愛くてたくましくて、あたしの言うこといっぱい聞いてくれるやさしいクロアちゃぁんっ、  
 いっしょう、いっしょにいてくんなきゃ、ヤぁああっ。  
 ダメぇえへぇええっ、もう、あたし、クロアたんじゃなきゃ、やぁだぁあぁぁあ」  
こんなだだっ子のような姉さんに、僕は内心ときめいていた。  
そして、さらに泣かせてあげようと思った。いっぱい、僕の動きで泣かせたかった。  
「あぅん! クロアちゃんたくましぃいいいいい!! りっぱでげんきなぼうや、  
 おくまで、おくまれ、きちゃってりゅのぉっ! しゅき、ひゅきぃ、だいしゅきにゃにょおお!!」  
女王様でいなきゃ強さを保つことのできない、そんな見栄っ張りな姉さんの中を、もっともっと知りたい。  
その秘められた奥深くまで、僕の肉棒で抉り出してやりたかった。  
逞しく太い肉棒を出し入れして、姉さんの正体をどこまでもほじくりだしてやりたい。  
「ぼく・・・ぼく、もっと! もっと、姉さんのこと、知りたい!」  
「うん! クロアたん、もっとおねえちゃんのこと、わかってぇ〜。もっと、もっとずぽずぽして  
 あたしにクロアたんの、あじわわせてぇへえ……」  
言われるまでもなく、僕は思いっきり腰を叩きつけてやる。  
「姉さん! ぼくに、全てを、見せるんだ……あぁっ」  
「うん、見せちゃう、見せちゃうぅ! クロアちゃんにあたちのしゅべてぇ、見てほしいのぉ!  
 もっといっぱい、あたしのこと、わかってほしいのぉ!」  
なおいっそう、姉さんの瞳から零れ落ちる滴の量が増したように思うのは、多分気のせいではない。  
「じゃあ、このチンポで姉さんの全て、ほじくり出してあげるよ!」  
僕は思いっきり、姉さんを貫いた。まさにとどめを刺すような勢いだと思う。  
僕はただ、姉さんをもっともっと、狂わせてやりたかった。  
「いいのぉ、いいの、いいのいいにょおぉ、これいじょうかんじちゃったら、あたしばかになっちゃう!  
 うぅん、あたちもう、おばかちゃんにゃのぉ、クロアたんちゅきちゅきびょう、っていうびょーきなのぉ、  
 びょーきのせいでこんな、おばかしゃんになっちゃってりゅにょおぉお!」  
(う、わ……バスラムさんの薬、ちょっと効きすぎかも。でも……)  
姉さんの狂い方は驚くほどのものだった。それは、僕は姉さんを本当はどう見たかったのか……  
それを再考させるほどの衝撃だった。そうして、気づいたことがあった。  
僕も、お姉ちゃんに、狂いたいんだと。  
姉さんがこんな風に狂ってるように、僕も姉さんに、狂いたい。  
「僕もバカになっちゃうよぅ! お姉ちゃん、お姉ちゃん! お姉ちゃあぁあん!」  
僕も狂ったように、姉さんへ腰を前後に振り立て始めた。  
長年隠していた気持ちをまとめてぶつけるような、自分でも驚くほどの激しさだった。  
僕も姉さんも、お互いに甘えたかっただけなのかもしれない、でも、どちらからも言い出せなくて。  
「ばか! バカ! クロアのおばか! こんにゃにあたしを気持ちよくさせちゃってぇ、  
 どーすんのよぉおおお! クロアのぉ、おばかさぁああああんんんっ」  
「ぐすっ……ひっ、ひどい、よぉ……おっ、お姉ちゃんのほうっが……おバカ、だ、よぉっ。  
 でも、そんなおバカなお姉ちゃんが、ぼ、ぼく、は、だ、い……す、き、なんだ、よ……?」  
「クロアちゃ、ん……んっ、んんっ、んっ」  
快感の嵐に心も体もほだされながら、途切れ途切れの告白。  
姉さんは涙を浮かべつつ、まるで夢見心地の火照った表情、口も半開きで脇からはよだれ垂れ放題のだらしない顔になっている。  
姉さんは快感に蕩け呆けながらも、僕の告白を満足げに聞いていた。  
たぶん、受け入れてくれた、のだと、思う。それでも、僕たち二人は動き続けていた。  
互いが互いのために。相手が気持ちよくなるために。  
「もぉ……いっ……ちゃう、のぉお」  
「イッて! 姉さん、僕と一緒に! 一緒に、気持ちよくなってよ!」  
「いいわ、可愛いクロア……あなたと、一緒なら……」  
そして、しばし二人は沈黙し、その代わり、二人が愛の終着液目がけて粘りを掻き混ぜ合う激しい音が高まっていく。  
息遣いが荒くなり、二人は来るべき肉の交接の終末を意識した。  
「あ、あぁぁああぁぁあああああっ!」  
絶頂の叫びは、二人の声が重なり合っていた。  
 
「ねぇ……」  
真っ暗な視界。隣同士で、まだお互いの熱気が忘れられないまま、姉さんの声だけが聞こえた。  
「なに?」  
「さっきの……ホント?」  
窓からは星明りと虫の声だけが、夜の沈黙をより引き立たせている。  
「……告白?」  
「バカ、それ以外何があんのよ」  
「本当、だよ……姉さん、は?」  
「あ、あたし、は……その……」  
黙ってても分かる。姉さんの尻すぼみになった声のその先、何を言いたがっているのか。  
でも言葉を出す前に、姉さんは体で表現した。すぐ隣にいる僕の上へ、がばっと覆い被さる。  
そして力いっぱい抱きすくめる。  
「クロア……大好きっ」  
僕は姉さんの本音に、ぎゅっと抱き返して伝える。僕も大好きだ、と。  
 
 
未明の群青の空には、既に朝焼けの色味が、僅かながら差している。  
窓から漂う朝の気配に、僕は目覚める。  
隣からはまだ姉さんの寝息が聞こえてきた。無防備な寝顔をじーっと見ていると、改めて思う。  
(やっぱり、姉さん……きれいな人だな)  
今さらな事だが、こんな至近距離で見ていたらどうしてもそう思ってしまう。  
閉じられた目を彩る睫毛も、その鼻筋も、姉にしておくには勿体ない……もし、血さえ繋がっていなければ……と、  
見とれていくに従い、だんだん距離が縮まっていく。  
その肌の熱が感じられる距離まで来たとき。  
姉さんの目がパッと開いた。  
「わあっ!」  
こっちは驚いて後ずさるも、姉さんのほうは予想外に、ただ頬を赤らめただけだった。  
「……クロア、こっち来なさい」  
声色はすっかり甘々の夜モードから恐怖の昼モードへと変わっている。  
恐る恐る、横たわったままの姉さんへ近づいていく。  
「もっと。顔近づけて」  
言われたとおりに、さっきの位置まで近づける。待つはビンタか拳骨か……  
思わず目を閉じてしまう。  
「ん……」  
姉さんがくぐもった声を洩らしたかと思うと、唇に温かいものが触れたのを感じた。  
目を開けると、そこには目を閉じたままの姉さんがいた。もちろん姉さんの唇は、僕の唇にそっと寄り添っている。  
口を塞がれて何も言えないまま驚いていると、姉さんが目を開けて離れていく。  
こっちがどきまぎしている間に、ぷいっと体を向こうに返して、また姉さんは寝てしまった。  
「い、言ってくれれば、キスぐらい、してあげるんだから。ま……また、こうしてあげても、いいんだからねっ。  
 姉として、キスのやり方から教育してあげなきゃいけないなんて……ほんっと、世話の掛かる弟よね。  
 まだ、寝ときなさい。ここで……寝ても、いいんだからっ」  
まだ唇には姉さんの感触が残っている。僕の頬は確かに赤く、温かくなっていた。  
僕は迷うことなく、姉さんの背中に密着しての二度寝を決めた。  
姉さんの背中。頼りになる、強いお姉さんの背中。  
そんな姉さんとまた布団を共にできた僕は、その背中へ全てを預けるように、丸まってくっつく。  
すると、姉さんの手が何かを探るように僕のほうへと伸ばされてきた。それは下半身に伸び、股間へと至り……  
果たして、昨晩大いに姉への務めを果たした男の欲棒を掴んできた。だが、動きはそこで終わり。  
僕のペニスを握りしめたその手は、まるでその暖かさを味わうかのように緩く握られたまま、僕を包み続けていた。  
僕も姉さんを背中から抱きしめたまま、悦びの余熱を堪能することにした。  
 
 
「ごめんね、シアちゃん」  
「んーん。いいの。ママからも言われてるの。人のこいじはじゃましちゃいけないから。  
 もう相手がいるんじゃ、しょうがないよね」  
「持参金、返さなくちゃね」  
僕はエメラスの指環をポケットから取り出して手渡す。エメラスの澄んだ緑色が朝の輝きに映えている。  
「あれ? エメルじゃない……」  
「あのエメル、リーヴさんにエメラスの指環にしてもらったんだ。  
 また、別のお婿さん候補が現れたら、今度はこれをあげるといいよ」  
「ありがと。こんなに気をつかえる人を手ばなしちゃうのは、おしいけど……うん、わかった」  
指環をぐっと握りしめると、たたたっ、とシアちゃんは向こうへ駆けて行く。  
「やれやれだったね」  
エミリオ君が他人事のように後ろから声をかけてきた。  
「本当だよ。君はいいよな。目に入った女の子に手当たり次第、憧れてりゃいいんだから」  
「……。そんなことより、君がリーヴさんからもらった指環は、二つじゃなかった?」  
「よく見てたなあ……そうだよ、シアちゃんからもらった分に僕が持ってた分を足して依頼したんだ」  
「もう一つはどうしたんだい?」  
 
 
「あら、黒いお兄さん。久しぶりね」  
「ああ、あんたには長い間世話になったな。で、だ。今日は研ぎも手入れも普段より念入りにしてくんねぇか。  
 代金は弾むからよ。ちっとこれから、とんでもなく厄介な奴を相手にしなきゃならねえんでな」  
ガッシュは身につけている武具を一つ一つ外すと、カウンター越しにロゼへ渡していく。  
そして一通りの手入れも終わって武具の受け渡しの際、ふと、ガッシュはロゼの手の雰囲気がいつもと僅かながら違うことに気付く。  
「……? あんた、そんな指環つけてたっけ?」  
「ああ、これね。もらったのよ」  
「へっ、そうかい。モテる女はつらいねぇ。何人目の恋人なんだ?」  
「そんなんじゃないわ」  
「……そうか。婚約、か。その、祝福するぜ」  
「ありがと。ちょっと違うけど、似たようなものね。  
 恋人じゃないけど、大切な人からの贈り物なの。これからも、ずっと一緒にいようっていう……」  
「そうか。それはせいぜい大切にしてやんな。世の中には、近しい関係だからこそ、  
 敢えて、残酷な役割を果たさなきゃならんことが、あるからな」  
ガッシュの意味ありげな言葉が気になったが、ロゼはいつも通りにガッシュを送り出す。  
そしてまた、沈黙が店内に戻る。ロゼは指環の輝きを再確認した。  
そして誰にともなく、願う。もっと素直になれますように。  
夜の力を借りなくとも、もっとあの子のことを、大事にしてあげられますように。  
そして、ずっと、一緒にいられますように──  
姉と弟である以上、決して叶えられることのないそんな願いを胸に、ロゼは指環の嵌められた手を、  
またそっと、指環ごと握りしめたのだった。  
(姉と弟であることが二人を分かつまで……)  
目を閉じて、外にいるはずの、愛すべき弟の笑顔を思い描く。  
いつか自分の商会員として活躍させるべく、ちゃんとした奥さんを迎えて明け渡すべき弟。  
そうしていつか、離れていってしまう弟。  
(クロア、それまで、もっともっと、二人の思い出、作りましょうね)  
それでも、いやそれだからこそ、姉として、一人の女の子として、弟のことをもっと愛したかった。  
(そして、もうちょっとだけ……あたしが素直になれるまで……待ってて、ね)  
─了─  
 

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