土砂降りの雨が屋根に当たって、ドラムロールのような音を奏でる。  
「それじゃあ、今日の支援要請は全部片付いて、他に緊急の案件も入ってないんだな?」  
『ロイドさん達が担当した分も終わったのならそうなります』  
 耳にあてたエニグマへ声を張り上げるロイドに、ティオの淡々とした声が返ってくる。  
「そうか……じゃあ、緊急要請が入らない限り、今から休暇扱いという事にしよう。いいかな?」  
『賛成です。この雨の中を働くのはめんどくさいです』  
 返ってきた答えと、それをジト目顔で呟いたであろうティオに、ロイドは思わず苦笑した。  
『そういえば、私とランディさんは支援課のビルに戻れましたが、ロイドさん達は大丈夫ですか?』  
「あぁ。少し濡れたけど、裏通りの喫茶店に入れたから大丈夫だ。落ち着くまでここで雨宿りさせて  
貰うよ。店の名前は……」  
 髪の毛から肩に落ちた滴を手で払いながら、ロイドはドアにペイントされた店名を読み上げた。  
『では、本部への休暇申請はこちらで行っておきますね』  
 ティオの申し出に頼むと伝えると、ロイドはエニグマの通信モードを切って、店内へ戻った。  
 
 たちまち雨音が消え、大音量で鳴り響くロック音楽がみぞおちを揺さぶってくる。  
(えっと、俺達の席は、と……)  
 薄暗い照明の下、ロイドは慎重に歩く。一つ一つのボックス席の周りを、彼の背丈と変わらぬ高さ  
の観葉植物がびっちり並べられているので、まるで森の中を歩いている気分だ。  
(この店内だと、席の場所を忘れたら戻れないよな……)  
 せめて席の出入り口のカーテンは外せばいいのに……と考えながら、ロイドは自分達の席に戻った。  
「お待たせ。ティオとランディは支援課のビルに戻ったそうだよ」  
 長ソファーにロイドが腰を下ろして告げると、対面に座っていたエリィが安心したように表情を緩  
める。  
 テーブルには、ホットコーヒーの入ったカップが二つ、紫煙のような湯気と香ばしい香りを立ち上  
らせていた。  
「ティオが今から本部へ休暇申請してくれるそうだし、雨が止むまでここで休んでても問題なさそう  
だ。……まぁ、あまり長居する雰囲気じゃなさそうだけどね」  
 声をかき消さんばかりのロック音楽にロイドが苦笑していると、エリィが微妙に顔をしかめた。  
「あのね、ロイド……さっき、店員さんがコーヒーを持ってきた時、何時間休憩するか聞いてきたん  
だけど」  
「え?」  
 エリィから出た休憩の単語に、ロイドも思わず顔をしかめる。  
「それは……長居するなって事か?」  
「判らないわ。でも……ここ、何か……変、じゃない?」  
 エリィがロイドの方に身を乗り出し、テーブルの隅を指さす。メニュー表に砂糖壷、紙ナプキンに  
加えて、箱ティッシュが置かれてあった。  
「紙ナプキンの代わりって訳でもないのに、何で箱ティッシュがあるのかしら……」  
 意味が解らないといった感じでエリィが目端をひきつらせる。  
 ロイドは表情を堅くすると、エリィの耳元に唇を寄せた。  
「……前に警察学校で学んだ事がある。表向きは普通の店を装いつつも、あるキーワードを知ってい  
る客には違法な物を売りつける場所があると」  
「つまり……ここもその一つだと?」  
 瞳を鋭くするエリィにロイドは解らないと前置きしつつも、続けた。  
「だが、状況によっては、今から強制潜入調査を行う事になるかもしれない」  
 もう一度エニグマでティオに連絡を取ろうとロイドが席を立つ。が。  
「待ってロイド。そんなに短時間に何度も店外に出たら怪しまれるわ」  
 先にエリィが服の裾を掴んできた。  
「確かにそうだな……」  
 ロイドは長ソファーに座り直すと、手掛かりを求めてメニュー表を取った。  
 妙なひっかかりがきた後、メニュー表が持ち上がる。どうやら、下の方に物が挟まっていたらしく、  
それがテーブルの上に、ころんっ、と転がり出てくる。  
 何だ? と、二人が目で追うと、新品のコンドームだった。  
「……」  
 一拍の空白の後、ぼんっ! という擬音が似合う勢いで、ロイドとエリィが顔を赤らめ後ずさる。  
(ま、まさか……)  
 大音量のロック音楽。  
 観葉植物とカーテンで目隠しされた席。  
 そして、テーブルの隅に置かれた箱ティッシュと、メニュー表と一緒に出てきた新品のコンドーム  
……。  
(まさかここは……違法な物を売買するとかじゃなくて……)  
 ロイドの顔色が赤から徐々に青くなっていく。  
 そこへとどめとばかりに、すぐ後ろの席から、喘ぎ声が聞こえてきた。  
 
「!」  
 ロイドの顔が真っ赤に戻り、下腹部に熱と血が集まり出す。  
(ま……ま、まずい……!)  
 雨はしばらく止みそうもない。  
 勤務中だから抑えろ、という理屈も使えない。  
 唯一、対面に座るエリィの、顔を真っ赤にして怯えている顔が、かろうじて踏みとどまらせてくれ  
ている。  
 が。逆にそれは、最大の誘惑でもあって。  
 両手で抱えて縮こまっているから豊かな胸元が一層強調されていたりとか。  
 雨で少し濡れた彼女のパールグレーの髪の毛先が耳元に貼り付いているところが何ともいえぬ色香  
を放ってたりとか。  
(あの少し乱れた状態でくっついている髪の毛を、終わった後に指で剥がすのがいいんだよなー…  
…)  
 そんな事をぼんやり考えていたロイドが、はっ! と我に返る。  
(――って! ダメだダメだ!! 何を考えている!!)  
 本能に飲み込まれかけた頭を何度も振り回し、ロイドが何とか理性を取り戻した矢先。  
「ロイド……?」  
 不安げな眼差しを浮かべ、エリィがか細い声で尋ねてくる。その仕草がまた魅力的で、せっかく取  
り戻したロイドの理性は簡単に霧散していく。  
(だ、駄目、だ……)  
 心臓は早鐘を打ち、下腹部に熱と血液を送り込む。  
 男根はむくりと起き上がり、下着とズボンを押してくる。  
「ロイド……?」  
 俯き押し黙るロイドに、エリィがこわごわと話しかけた瞬間、ロイドが自分のホットコーヒーを一  
気にあおった。  
「悪い、俺、先に帰る!」  
「えっ? ちょ、ちょっと待ってよ!」  
 空のカップを戻す暇も惜しんで立ち上がるロイドに、エリィが目を丸くし、慌てて手を伸ばす。  
「で、でも、このままだと、俺、理性が保たない……!」  
「なら、それでもいいから!」  
 だから、とロイドが入口から飛び出すより先に、エリィが顔を真っ赤にして叫んだ。  
 会話が止まり、大音量のロック音楽が間に入ってくる。  
「私のせいで貴方が大雨の中を走って風邪をひくくらいなら、理性を無くしてもいいから……!」  
 ぎこちなく振り向くロイドから、エリィが表情を隠すように俯き、涙声で呟いた。  
「エリィ……」  
 ロイドがエリィのすぐ隣に腰掛ける。二人分の体重を受けて、長ソファーが大きく凹む。  
「ごめん……ありがとう」  
 かすれるような声で、ロイドはエリィの体をそっと抱き締めた。  
 雨の匂いに混じって、甘くて少し凛とした香りが――いつもの彼女の香りが鼻先を優しくくすぐっ  
てくる。  
「ううん、いいのよ別に」  
 エリィが首を横に振って微笑むと、ロイドの胸に顔を預ける。  
「よくよく考えたら、休暇の時に台所で襲われた事だってあったんだし。ね?」  
「……すいません、反省してます……」  
 笑顔と言葉の裏に仕込まれた棘にロイドは思わず頭を下げる。が、抱き締めた手は離さず、彼女の  
腰へと滑らせた。  
 腰の飾りを外し、タイトワンピースの裾を捲り、彼女の下半身を露わにさせる。それから、タイツ  
の裾に指をひっかけて脱がせようとした矢先、ぴりっ、と電流にも似た感触が指に帰ってきた。  
 見ると、黒いタイツに破れ目が出来、真っ白な彼女の肌が露わになっている。  
「あ……ご、ごめん……!」  
「別にいいわよ。たぶん、雨でいつもより貼り付いちゃったんだと思うから」  
 焦るロイドに、エリィが気にしないでとフォローした。  
「え! そ、それじゃあ……」  
「悪いけど、替えは持ってきてないの」  
 新しい玩具を貰った幼子のように顔を明るくしたロイドに、エリィがすかさず釘をさす。  
 ロイドの表情とテンションが一気に曇った。  
「でも、まぁ、スカートで隠せる範囲ならいいわよ」  
 ロイドの反応に思わず苦笑しながら、エリィは軽い気持ちで告げた途端、ぞくり、と背中に悪寒が  
走った。  
 
(え……?)  
 エリィが悪寒の理由を確かめる暇もなく、ロイドの右手が彼女の股下のタイツを裂く。最初に出来  
たのより数倍も大きな穴が出来、履いているパンティーがさらけ出された。  
「ちょ、ちょっと……!」  
「スカートで隠れる範囲ならいいんだろ?」  
 抗議してくるエリィに、ロイドがきょとんとした顔で言い返す。  
「それに、雨でいつもより貼り付いているのなら、下手に脱ぐのも危険な筈だ」  
「……それってまさか、今日はこのままやるつもりなの!?」  
 驚くエリィに、ロイドは素直に頷き、唇で彼女の口を塞いできた。  
「っ……!」  
 またいつものようにキスで誤魔化して……!  
 エリィの怒りは、侵入してきた彼の舌で舐めとられてしまう。  
 逃げようとしても、彼の左手が背中に回ってて動けない。  
「んっ……む、んんっ……んっ……!」  
 ぴちゃり、くちゃりと、二人の口元で水音が響くにつれてエリィの表情がとろけ、やがて、自らも  
ロイドの舌を貪り始めた。  
 啄み、絡み、舐め合って。密着した口の中で二人の舌がダンスを踊る。溢れ出た涎が顎先から垂れ  
て洋服を濡らすのも構わず、強く深いキスを続ける。  
「ん、っん、ん……」  
 瞳に恍惚とした色を浮かべて声を漏らすエリィの手が力を失い垂れ下がる。  
 一方、ロイドは、右手を彼女のタイツの裂け目に近づけ、指先でパンティーをつついた。  
「――んっ!」  
 ピクッ、と、エリィが舌と体を震わせる。ロイドの指先に微かな湿り気が返ってくる。  
(……キスだけで、もう濡れてるのか)  
 ロイドは動きを止めた彼女の舌を優しく舐め上げると、秘部を覆っているパンティーを脇へどかし、  
蜜壷の入口へ中指を突っ込んだ。  
 ぐちゅっ、と、熱くて粘っこい感触がロイドの指先をくわえてくる。  
「んんっ!」  
 エリィがさっきよりも大きく震え、ロイドの中指をくわえた蜜壷が熱い愛液を噴き出す。  
 ロイドは思わず目元を綻ばすと、薬指も蜜壷に差し込み、そのまま動かし始めた。  
「んっ、ん、んむぁ、ぁんむっ……!」  
 ぴくんぴくんとエリィの身体が跳ね回る。  
 深く重なり合った口の中では、硬直と痙攣を繰り返すエリィの舌をロイドの舌が一方的に突いて舐  
めてなぞり。その下では、ロイドの中指と薬指がエリィの蜜壷を擦って広げて時々抉って、親指と人  
差し指が花弁を摘んで弾いて時々押し潰す。  
「ん、ぁあっ! ぅっ……んっあ!」  
 エリィの身体の跳ねが大きくなる。口づけが時々離れて澄んだ声が響く。蜜壷の入口からは愛液が  
とろとろ流れ出し、ロイドの指先はおろか、彼の掌にまで濡らしていく。  
 やがて、キスの時間より矯声の響く時間が多くなってきた頃。ロイドはエリィから顔と右手を離し  
た。  
 どろぉ……と、二人の口の間で唾が、右手と秘部の間で愛液が、透明な橋を造って落ちる。  
「ろ、ろい、ど……」  
 口端に涎を残したままエリィが声を漏らす。瞳は快楽に艶めき、頬はしっとりと赤い。タイツの股  
下に出来た裂け目の向こうでは、今にも湯気が立ち上ってきそうな程に上気した彼女の秘部が愛液で  
ベチョベチョに濡れ、今も新しいのを垂らしていた。  
 
 ロイドはにこっと微笑むと、愛液でテカる右手で彼女の胸元に触れる。  
 服のボタンをリズムよく外して襟を開く。中に隠れていた乳房が驚いたようにビクッと震え、ブラ  
ジャーの布地にプリントされた色とりどりの小さな花が風であおられたかのように動いた。  
「今日のはレースなしの奴なんだな」  
 妙な感心をしながら、ロイドがブラの上に人差し指を滑らせる。  
「だって、今まで仕事だったし……」  
「じゃあ、俺との時と下着を使い分けているのか?」  
 少し俯いて口ずさむエリィにロイドが目を丸くした。  
「……」  
 恥ずかしそうに唇を結んだままエリィが頷く。  
(それってつまり、そういう時は、俺が好きそうな下着を選んでくれてるって事だよな……)  
 その心配りに、ロイドの胸は感動で震えが止まらなくなる。でも、それを指摘したら、きっと彼女  
は恥ずかしさで真っ赤になってしまうだろう。  
 だから、心の中でありがとうと囁いて、ロイドはブラのフロントホックを外した。  
 花の蕾が開くようにブラが外れ、彼女の豊かな乳房が飛び出してくる。白百合のように滑らかな肌  
の上に咲いた薄ピンクの乳首は、薄暗い照明の下でもはっきり見えた。  
 ロイドは右手で彼女の左脇から乳房を持ち上げると、顔を落とし、薄ピンクの乳首に音をたてて吸  
いつく。  
「あっ……!」  
 エリィが仰け反り、下の口から愛液がこぽりと垂れた。  
「あ、っ、んっ、ぅあっ……!」  
 ロイドが唇をすぼめたり挟んだり、舌で大きく舐め上げたりする度、エリィが声を漏らして身悶え  
る。  
 ロイドは乳首だけでなく、乳房のあちこちにも唇と舌を這わせ、ブラの布地とお揃いの花柄をキス  
マークで描くと、右の乳房に顔を移した。  
 左の時と同じように、存分に愛して、堪能する。  
 すぐ上で何度も響く、彼女の矯声。しっとりと艶やかな声色は、胸の中を暖かな光に満たして、下  
腹部に熱と力を与えていく。  
 そうして、ロイドが右の乳房から顔を離した時。彼女の秘部は愛液にまみれ、履いているタイツや  
パンティーはおろか長ソファーに接触している部分までグチョグチョに濡らしていた。  
「エリィ……そろそろいいかな?」  
 ロイドはズボンのジッパーをおろす。待ちくたびれたとばかりに飛び出した男根に、テーブルの上  
に転がっていたコンドームを被せる。  
「……うん……」  
 悦楽に惚けた顔でエリィが頷いたのを見ると、ロイドは長ソファーに深く腰掛け、その上にエリィ  
の身体を、お互い向かい合う形で乗せた。  
 男と女の部分が触れ合い、そのまま深く交わっていく。  
「あっ……んんんっ……!」  
 蜜壷の肉壁を開いて潜ってくる男根の感触にエリィが悩ましげな声を漏らして背を反らす。  
 それをロイドは両手で抱き締め支えると、彼女の胸の谷間に顔を埋め、腰を動かし始めた。  
 ぎっし、ぎし、と、長ソファーのスプリングが軋み、重なって座る二人の腰が波にもまれる小舟の  
ように上下する。  
「あ、んぁ、っう、ふぁあっ……!」  
 蜜壷の中を泳ぐ男根の気持ち良さに、エリィが目端に涙の粒を浮かべて悶える。重力で腰が下がる  
度、ロイドが容赦なく突き上げ浮かせてくるので、身体が休まる暇がない。豊かな乳房も腰の動きに  
合わせて揺れ、谷間に挟んだロイドの顔に沿って形を変える。  
「ああっ、ぅああっ、あんっ、ぃゃんっ!」  
 零れる声が自然と大きくなって、場に鳴り響く大音量のロック音楽が気にならなくなってくる。  
 エリィが瞳をとろけさせ、ロイドの方へしなだれかかろうとした矢先。長ソファーのすぐ後ろ、席  
と席を隔てている観葉植物の壁の隙間に気が付いた。  
 
「――!」  
 大きく息を呑んだエリィの顔から赤みが消える。  
「ん、んっ……! んん……!!」  
「……? エリィ、大丈夫か?!」  
 両手で自分の唇を押さえて顔をしかめるエリィに、ロイドが腰を動かすのを止めた。  
「ち、ちがう、の……声、隣に聞こえちゃう、から……!」  
 だからロイド止めないでと、エリィが涙をぽろぽろ零しながら腰を揺する。  
「いや……君一人に我慢させる訳にはいかない」  
 ロイドがエリィの頬に流れた涙をそっと拭うと、竿の根本まで挿入した体勢のまま彼女を長ソフ  
ァーに押し倒した。  
 パールグレーの髪がさらりと広がり、長ソファーから滝のように零れていく。  
 ロイドは唇と舌で彼女の口を塞ぐと、再び腰を振り始めた。  
 小刻みに前後して揺さぶりかけつつ、時折亀頭ぎりぎりまで引き抜いては一気に奥まで切り替えす。  
 長ソファーのスプリングが挿入のリズムに合わせて軋み、じゅぷっ、ずっぶ、と、濁った水音と合  
わせて快楽の音を奏でる。  
「んっ、んむぁ、ううっ、うんぁっ!」  
 上も下もロイドのに塞がれ突かれ、エリィがたまらず矯声をあげる。が、彼の唇と舌のお陰で声は  
外に広がらず、隙間から涎と愛液が垂れ落ちていく。  
 その安心感は、彼のもたらしてくれる悦楽に素直に堕としてくれた。  
「んっ、あ、んんっ、んっ……!」  
 口の中に入って啄み舐めてくるロイドの舌へ、エリィの舌が絡みすがりつく。  
 一つ一つの突き上げに、蜜壷が緩急つけて痙攣収縮する。出入りするロイドの男根をキュっとくわ  
えたり、優しく抱き締めたり。  
 深く交わり貪り合う蜜壷と男根から電流にも似た快楽が広がりだす。二人の全身を駆け巡る。  
 頭の中に霞みが広がり、身体の芯が快楽で溶けていく。  
 周囲に鳴り響く大音量のロック音楽が二人の耳から完全に消え、互いの唾がぴちゃぴちゃ絡み合う  
音と、腰と腰が動いて当たる音だけが届く。  
 理性も意識も全て曖昧になって攪拌される一方、深く結び合った口づけとインサートの感触は鮮や  
かに浮き上がり、そこに二人はすがりつく。唇を啄み貪り合って、腰を揺らして打ちつけ合って、高  
波のように何度も押し寄せる絶頂の波を共に浴びて――。  
 果てた。  
「……っ……!」  
 蜜壷の一番奥を亀頭が強くノックしたのをきっかけに、男根が大きく身じろぎ、鈴口から白濁液を  
迸る。  
 射精の熱に気付いた蜜壷が、肉壁を男根に寄せ、吸い突き飲み干すように蠢きだす。  
「んんんっ……!!」  
 エリィが大きく身じろぎ、全身を小刻みに痙攣させる。快楽で意識や視界は白く塗り潰され、気を  
失わないのが不思議な位だ。  
「く……っ……!」  
 ロイドも苦しげに息を零しながらも腰を震わせ、射精を続ける。そして全てを吐き出した後、唇を  
離してエリィの上にしなだれかかった。  
 男根が蜜壷から外れ、追いすがるように、大量の愛液が、ごぽっ――と音をたてて零れ出る。  
 声が消え、互いの荒い呼吸がしばらく続く。が、それも徐々に落ち着き、やがてロイドがエリィの  
上から体を浮かせた。  
「エリィ……」  
 全てが抜け落ちた表情で微笑むと、ロイドはエリィのこめかみに貼り付いた乱れ髪を指ですくう。  
 エリィも同じように微笑み返すと、指で彼の唇をそっとなぞった。  
 
 
※※※  
 
 雨音は尚も続く。  
「いやー、雨さまさまだねぇ」  
 ランディが上機嫌に笑いながら、一階の食事テーブルに腰掛け、部屋から持ってきたビール瓶を開  
ける。  
「ランディさん、まだ夕食前ですよ」  
「固い事言わないの、ティオすけ」  
 端末で作業をしていたティオが椅子を回してとがめてくるが、ランディはからから笑ってスルーし  
た。  
「おっ、こんな時間からいい身分じゃねぇか」  
「課長も一杯いきますか?」  
 隣の部屋から出てきたセルゲイ課長に、ランディが空のグラスを渡す。  
「全く……」  
 食事テーブルで酒盛りを始めた大人二人に、ティオがジト目でため息ついていたら、すぐ傍でお絵  
かきしていたキーアが顔を持ち上げた。  
「ねぇねぇ、ティオ。ロイドとエリィのお迎え行きたい!」  
「……確かに、この勢いだと、夜までに止むかどうか怪しいですしね」  
 口ずさみ立ち上がるティオにキーアもぱっと顔を輝かせた。  
「ん? せっかくシャワー浴びたのにまた外に出んのか?」  
「ええ。喫茶店なら私達も何か食べられるでしょうし」  
 グラスに口をつけたまま声をかけてくるランディに、ティオが答えた後、ふと思い立つ。  
「そういえば、ランディさんは知ってます? 裏通りにある――」  
 ティオがロイドから教えて貰った喫茶店の名前を告げた途端、ランディとセルゲイ課長が同時に  
ビールを噴き出した。  
「? ランディとかちょー、どうしたの? 大丈夫?」  
 盛大にむせながら椅子から転げ降りてのたうつランディとセルゲイ課長に、キーアが不思議そうに  
小首を傾げる。  
「……キーア、お迎えに行くのは中止です」  
 全てを悟ったティオが無表情でぼそりと呟くと、ビールまみれになった床を拭く為のモップを取り  
に向かった。  
 
 
 
 

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