リーシャ=マオは劇団アルカンシェルの期待の大型新人である。
彗星のごとく現れた彼女の、また彗星の様に美しく、軽やかで、それでいて静動見事に入り混じる舞いは、瞬く間にクロスベル市民を更なるアルカンシェルの熱狂へと誘い入れた。
内情としてはアルカンシェルのトップスターであるイリア=ブラティエが、稽古の見物に来ていた只の観光客であったリーシャを、その才を天才的な直感で見抜き、半ば無理矢理誘い入れたというものであるが。
しかしながら、リーシャはイリアに感謝していた。
『家業』として、決して人に知られず、誇れず、陽の当たる場所に立つことも一生無いはずであった『仕事』を-そのことに対し若干の惑いを持ちながらも-淡々と、淡々と、こなしていくだけであった自分に光を照らしてくれた彼女に。
リーシャのお披露目の舞台となる劇の題目は、『金の太陽 銀の月』。なんと皮肉な題目名だろうと思った。イリアが演じるのが太陽の姫ならば、自分が演じるのは月の姫(姫という時点で色々不相応だとも思った)。
自分の裏の顔は、誰にもその正体を知られることはない・・・それを知るのはただ月の明かりのみ。芝居染みた言い方をすればそのようなものだ。
それでも、懸命に役に努めようとリーシャは全ての打算抜きで誓った。淀みに存在するだけだった自分に、陽の明かりを見せてくれたイリア=ブラティエに報いる。ただ、それだけの為に。
リーシャ=マオの裏の顔。それは東方人街に伝説として語られ・・・しかし今も確かに存在する暗殺者、『銀(イン)』。それを「演じる」ことである。
さて、どんな舞台にも、公演の終わりはやってくる。所謂千秋楽である。
クロスベルだけでなく、諸外国にも名を馳せるアーティスト集団であるアルカンシェルのそれは、言うまでも無く盛大なものになる。
しかし今年のクロスベル創立記念祭に合わせて一般公開された『金の太陽 銀の月』は、
天才・イリア=ブラティエと対になって役目を演じた大型新人.、
リーシャ=マオの存在があり、最後の公演も見事に観客を歓喜の絶頂へと導き、例年にない程の鳴り止まない拍手を以って千秋楽を迎えることとなった・・・
「それじゃ、いくわよ」
「はい」
『せ〜の』
『かんぱーーーーーーーーーーーーい!』
イリアのメゾンである。部屋の主であるイリアはそれなりに高級なワインを、向かいに座るリーシャはオレンジジュースのグラスを手に、祝杯をあげた。
最終公演が終わってからの打ち上げパーティーは勿論劇団のメンバー揃って行われたが、イリアがリーシャを「主演二人だけで2次会なんて当然でしょ!ついて来なさーい!」・・・と、
いつもの様にと言えばいつもの様に、自分の部屋に引きずり込んだ次第である。とは言え、基より二人はプライベートでも仲が良いことで知られている(完全にイリアが主導する形で、だが)。ほかの劇団員達もそれを苦笑しながら見送っていた。
ごきゅごきゅごきゅ、と、ワインを惜しげもなく一気飲みするイリア。それワインの飲み方じゃありませんよ、とはリーシャの指摘である。対するイリアはどこ吹く風で早速グラスに2杯目を注ぎながら、
「別にいーじゃない。世間一般がどんな『正しい』飲み方しようと、私は私が一番美味しいと感じる飲み方で飲むって決めてるの」
そう言ってつまみのピーナッツやらチーズやらを引っつかんでは次々口に放り込んでいく。
全く以って、それこそ世間一般で知られるような、天才アーティストのイメージからはかけ離れた姿だが、そんなイリアの『人間らしい』一面を、一番近くで、それも独り占めするような形で見る事ができるのを、リーシャは少しだけ嬉しく思う。
「・・・なによ、リーシャ。私の顔見て笑ってくれちゃって」
「え?」
そんな気持ちがもしかして表情に出ていたのか。気付かぬ間に頬が少し緩んでいたようだ。まったくこれじゃ「伝説の暗殺者」どころじゃないなあ・・・とリーシャは密かに思う。まあ、イリアの前ではできるだけ素の自分でいたいとも思っているのだが。
あるいは、イリアがそんな気持ちにさせてくれているのか。
・・・・・・・・・・・・そうなのかもしれない。
あ、いえ、何でもありません。ただ、イリアさんは楽しそうだなあって・・・」
「ん?そりゃ私ほどこのクロスベルで人生を謳歌している人間はいないと思うけど。お酒だって演劇だって恋だって、楽しんだものが勝ちってね!」
「・・・恋、ですか・・・?」
意外な言葉だった。この女傑でも恋などするのだろうか、と若干失礼なことを考え・・・同時に、何故か、少し、胸が痛んだ。
「そ、恋。まあ今の私は舞台に恋してる女だけどね。と言うより、一生を懸けた全身全霊の恋。きっと私は舞台から生涯離れられないし、離れたくも無いわ」
「そういう、ものですか」
なんでだろう。それを聞いて胸の痛みが消えた・・・と思ったら、先ほどまでとは違う感覚で痛み出した。
「そういうものよ。舞台に立ったばかりのリーシャにはまだわからないかしら?ま、そのうち理解できてくると思うわ」
「・・・そうだと、いいんですが・・・」
自分の『家業』のこと。今の自分は今の『役柄』を本当に心の底から楽しんでやっているんだろうかという自問。そんな思いが口から通じて、俯いての消極的な返事になってしまう。
しかしてイリア。そのリーシャの声量少なき返事をどう受け止めたのだろうか。にんまり、と笑った。
「あっらー?リーシャ・・・あんた、もしかして・・・。舞台以外の別の『誰か』に恋しちゃってるのかしらー?」
「へぁっ!!?」
全く見当違いかつ意外過ぎるツッコミに、非常に間抜けな声を出してしまった。銀の通り名を持つ暗殺者であるところの自分が情けなってくるくらいに。
リーシャは顔を真っ赤にして手をぶんぶん振りつつ、
「ち、違いますよ!そ、そんな男性なんて、い、いません!!」
「あら、私は別にオトコだけとは言ってないけどー?」
ニヤニヤしながらさらにとんでもないことを言ってくれる。
まったくこの人は、他人のペースを乱すことに関しても天才だ・・・!
「いや、イリアさん、それは・・・!それは・・・っ!!その・・・ですね・・・っ」
何だ。何で私は何も言えないんだろう。何でこんなに言葉に詰まっているんだろう。
・・・何で、この人を前にすると、こんなにも自分が自分でなくなってしまうような感覚に陥ってしまうんだろう・・・。
それにイリアはおや、という様な顔をし、次に手に持ったワインの瓶をじー・・・と見つめ。
何か、愉しそうに、笑みを浮かべた。
「あ・や・し・い・わ・ねー、リーシャ?ちょーっと素直になってみましょう、か?」
「・・・はい?」
リーシャが見つめる前で、イリアが丁度空になっていたリーシャのグラスに、ワインをなみなみと注いでいく。
・・・彼女が自分に何をさせたいのか。考えなくてもわかった。
「飲・め♪」
「・・・・・・・・・」
多分、今まで見て来た中で一番愉しそうな笑顔。その笑顔で、グッとグラスを突き出された。
「・・・あの、クロスベルの法律では,確かお酒は2
「私があんたのトシの頃には一日3本は空けてたわよ!つべこべ言わずに飲みなさーい!」
「きゃああああああああああ!!!???」
・・・結局、無理矢理グラスを口に突き込まれた。
1時間はたっただろうか。イリアさんに飲まされたお酒の量は1リットルだっただろうか。1杯じゃないことは確かだ。・・・私は今、何を考えてるんだろうか。・・・何を喋っているんだろうか。
「・・・それでですね、イリアさん。わたしは本当に・・・本当に、イリアさんに感謝してるんですよぉ・・・」
「んー、それ聞くのも3回目だけど、ありがと♪」
頭が論理的思考をまともに組み立てられない。感情のままが口に出る感覚。初めての感覚だ。
・・・暗殺者として完全に失格な気がするけど、もうなんだかどうでもよかった。
え
「だからですねぇ・・・わたしにとってイリアさんは本当に憧れで・・・」
自分でもわかっていなかった、深遠の想いが溢れ出る。アルコールによってふにゃふにゃにされた心の最終防衛ラインは、あっさりとソレを通過させ・・・言葉に通してしまった。
「憧れ、て・・・どうしようもなく、焦がれて・・・。気が付いたら・・・同性なのに・・・大好きになっててっ・・・!・・・でも決してわたしには手に入らないって最初からわかってて・・・って・・・あはは・・・。なに言ってるんですかね、わたし・・・」
・・・そう言って、微かに笑いながらリーシャは俯いた。
とんでもないことを口にしたのかもしれないが、アルコールのせいで今のリーシャにそれを認識するだけの余裕は無かった。
「・・・リーシャ・・・」
自分が飲ませた酒で、思わぬ想いを知ることになってしまった。
そしてそれを決して無碍に扱う事など考えない天才女優は、目の前で俯き、口元は笑いながら、
実は目の端に小さな涙を浮かべている可愛い後輩の秘められた・・・のに、自分が明かしてしまったその想いを、心の中で整理する。
その想いを、自分の中に浸透させるために。理解して、決着を付けるために。
そして、決めた。
イリアは、いつに無く真剣な表情になると、ふいに立ち上がり。
「・・・手に入らないことなんて、ないわよ」
リーシャに、近づいて。
「・・・?イリアさ」
ん、とは続かなかった。その唇が、イリアの唇で塞がれてしまったから。
「・・・・??!!んっ・・・!!ん、んん〜っ!!!!???」
「ンッ・・・」
そんなに長い時間ではなく、唇は数秒で離れた。だが、リーシャにとってそれは永遠に感じられるに等しい時間だった。
「・・・ん。・・・何故ならね、リーシャ。・・・私があんたを私のものにするから。あんたはわたしの側にいて、私の時間を、私の想いを・・・私自身を手に入れられるの。言っとくけど、反論は受け付けないわよ。先に心の内を開けたのはリーシャなんだからね」
「・・・イリ、ア・・・さ・・・」
・・・もう一度言おうかしら。『私のものになりなさい、リーシャ。そして私をあんたのものにしなさい、リーシャ』」
言い切られて、酔いは一気に醒めたてしまった。でも、もう時は戻らない。溢れてしまったココロはもう戻らない。
しかし、戻る必要はなかった。
目の前の太陽の光に、月の光は隠されて・・・いや、包み込まれてしまったのだ。
それは、とても力強く、だけど暖かで、優しい光だった。
「ああ、それともう一つ、言い忘れていたわ」
「・・・え?」
ふっと、イリアは微笑んだ。今まで見て来たイリアの様々な笑顔の中で、もっともいとおしく感じられるものだった。
「私も大好きよ、リーシャ」
「・・・っ、イリアさんっ!!」
イリアに飛びつき、先ほどとは比べ物にならない深いキスを交わしながら。リーシャ・マオは今この瞬間だけは暗殺者である自分を完全に忘れることを、決めた。
「・・・いい?」と聞いてくるイリアをリーシャが否定することも無くただ静かに頷き、二人は自然と互いの服を脱がしあった。そして数分後。明かりの消えた部屋の中。産まれたままの姿になった二人の影がベッドの上でひとつに重なっていた。
「ン・・・ふぅ・・・ふ、ンンッ・・・」
「ふぁ・・・あ、う・・・んむぅ・・・」
舌を絡ませあう濃厚な口付けの間、唇の間から艶めかしい吐息が漏れる。肩を抱くお互いの手に自然力がこもり、リーシャは慌てて力を緩めようとしたが、
イリアは逆に手が肩に食い込まんばかりに力強く、抱く。結局それに応えるようにリーシャも力を入れ直し、二人の恋人は互いを抱きしめながら、その唇は離さない。
さらに激しく求めるように、イリアの舌がリーシャの口内にぬるりと入り込み、粘膜という粘膜を蹂躙し、柔らかなリーシャの舌を容赦なく吸い上げる。
頭の中に火花が飛び散る感覚を、リーシャは人生で初めて体験していた。
それは荒々しく、激しく、なのにどこまでも甘く甘く、優しい刺激だった。
もはや自分の舌とイリアの舌の境界までわからなくなってしまいそうな程に、ひたすら絡み合った。
「ん、ふ・・・あむ・・・」
「ンンンン・・・はあッ・・・」
やがて流石に息が苦しくなり、二人の唇は名残を惜しむようにゆっくりと離れ、その間に銀の糸を引いた。
「リーシャ・・・気持ち、いい?」
「は・・・はい・・・っあ!イリア、さんのが・・・わ、わたしの、と・・・」
次にイリアは自分の胸をリーシャのそれにぴったりとくっつけて、ゆっくり擦りあげ始めた。隆起した桜色の突起同士がプルプルと触れ合って、未体験の快感を生み出す。
そして身体を徐々に動かしながら、イリアはリーシャの首筋や肩甲骨へと淫靡に舌を這わしていく。
「〜っふぁ!・・・んぁ・・・あ・・・イリア、さ・・・ん・・・!」
「可愛いわ・・・ン・・・リーシャ・・・」
「そ、んな・・・や、ああっ!!?」
リーシャの身体の下方へと向かっていくイリアの舌が、リーシャの豊かに膨らんだ双乳の突起捕らえた。すぐに舌先で踊るように弄り回され、おまけにもう片方の乳首にもイリアの指が伸び、容赦なく弄び始める。
リーシャは今までの銀としての生の中で、様々な痛みを知ってきた。だが、これはこれまでに体験したどんな痛みとも刺激とも違う。胸の先から体中に迸るような鮮烈且つ強烈な感覚が、容赦なくリーシャの脳内を染め上げていった。
「ン・・・(ピチャ)本当、あんたには演技の腕はまだまだ(クチュ)・・・負けないつもりだけど・・・(コリッ)おっぱいの大きさだけはどうしても(チュ)・・・譲るわねー・・・」
「そんっ・・・な・・・恥ずかしいっ・・・!です・・・」
「恥ずかしいから、イヤ?」
リーシャの胸から唇を離したイリアが視線を上げながら、笑顔で、言う。
その笑顔は反則なんです、とリーシャは思いながら気恥ずかしそうに
「・・・恥ずかしい、ですけど・・・今のイリアさんになら、こんなことされても・・・むしろ・・・嬉しい・・・・・・です」
最後の方はほとんど消え入りそうな声で答えるリーシャに、イリアは感慨深そうに
「・・・そうねー。いつもリーシャの胸、割と本気で揉みしだきたいって思ってたけど・・・まさかこんな形で夢が叶うなんて思わなかった」
「・・・そんな変な夢、持たないでくださいよ・・・」
苦笑するリーシャにイリアはわざとらしくムッとしたような表情を作り、しかしどこか愉しそうに
「あらー?そんな先輩女優に口答えするようなリーシャには・・・ほら」
「ひあぁっ!?」
不意に、イリアの指がリーシャの股間に伸びた。既に充分に蜜で濡れたそこは、まるでイリアの触れるのを待っていたかのように襞が顔を覗かせていた。
イリアはしっとりと肌に張り付いたリーシャの柔らかな茂みを掻き分けて、優しく女唇を開かせ、つぷり、と、そこに指を侵入させた。
「フフ・・・リーシャったら、もうココこんなにしちゃってる・・・」
「それ、は・・・あっ!イ、イリアさんがっ・・・上手で・・・っ!」
「上手で、なに?」
ぐちゅぐちゅと肉壁の奥まで指でかき回され、とめどめなく愛蜜を放出して喘ぎながら、リーシャは気恥ずかしそうな笑顔をイリアに向けた。
「恥ずかしい、けど・・・っ!わたしが、イリアさんのこと・・・大好き、だから、です・・・うぁっ!」
リーシャの告白を聞いて、イリアの指が一端動きを止めた。それからリーシャと同じくらい顔を紅くしたイリアは、
「・・・うあー。リーシャ、それ・・・反則よ。・・・たまらないわ」
「え?・・・きゃっ?!」
と、急にイリアは身体の向きを変え、寝転がったリーシャの上に真反対向きにのしかかる様な姿勢をとった。丁度、互いの目の前に互いの秘所がくるような形になる。
「あ・・・」
リーシャは、当然ながら初めて間近で見ることになった恋人の最も大事な部分を思わず凝視した。綺麗に整えられた金色の草むらはすでに滲み出た蜜でしっとりと濡れており、薄ピンク色の女陰は微かに震えて襞が見え隠れしていた。
ポタリ、と雫がリーシャの頬に落ちる。それがイリアの零した愛蜜だ、と認識した次の瞬間には、それを舌で舐め取っている自分がいた。
「・・・私も、リーシャを攻めてたら感じてきちゃった。だから・・・お願いね?」
「は、はい・・・。でも、どうした・・・ひゃああああっ!?」
ゾクゾクゥ!と這い上がるような刺激をその身に受けたリーシャは思わず嬌声を挙げた。何事かと視線を下半身に向けると、イリアがリーシャの秘所、その中でも最も敏感な小粒を軽く噛んだのだ。
「うーん、リーシャのお豆ちゃんカワイイわ。・・・ね、もっと感じて?そして私を感じさせてよ、リーシャ・・・」
そう言いながら、さらに秘所全体を、濡れた茂みを毛繕いするかのように、ピチャ、クチュ、とイヤらしい音をたてて舐めまわすイリア。
(イ・・・イリアさんにあそこを舐められてるなんて・・・!すごく恥ずかしい・・・けど・・・わ、わたしも・・・)
身体中を這い回る激しくも心地よい刺激に身を震わせながらも、リーシャもまたおずおずと目の前のイリアの秘所に舌を差し出した。優しくチロ、と掬い上げるようにすると、口の中に先ほどよりもはっきりと愛液の味が広がった。
(これが、イリアさんの・・・?なんだか不思議な感じ・・・)
それでも、もっとソレを味わってみたいという思いがリーシャをしてさらに深く舌を進めさせる。今度は両手でイリアの秘所をそっと開き、膣内まで舌を差込み、そっと刺激し始めた。
「ぅあッ・・・!い、いいじゃないリーシャ・・・!そう、もっとそうやって・・・奥まで・・・!!」
「イリアさ・・・ひあっ!イリアさん・・・あふっ!!イリア・・・さぁん・・・!!」
「リーシャ・・・!あッ、リーシャぁ・・・!!」
そこから先はもう互いに一心不乱だった。互いを思い遣り、想い合う二人はただ目の前の愛しい存在を全力を以って愛そうとすべく、
指と舌とを巧みに使い、茂みを擦り、襞を舐め上げ、膣内を掻き、すっかり充血した突起を舌先で突付く。溢れ出る蜜は留まるところを知らず、二人の身体とシーツを汚していった。
そしてそのうち、リーシャの身体が小刻みに震え始めた。
「や、イリアさん、もう、わたし・・・!何か、が・・・っ!!」
イリアの秘所から口を離し、唇の端から愛液を零しながらリーシャは叫んだ。
「ん・・・イきそう?なら・・・!」
まだ余裕を感じさせる表情でイリアは愉しげに笑うと、指を一度に三本もリーシャの秘所に突っ込み、ぐちょぐちょと内部をかき乱した。それで一気に性感高まったリーシャは腰をガクガクと震わせ、
「やっ、ひあっ、も、もうっ・・・ぃいああああああっ!!!!!」
人生初の絶頂という名の波がリーシャの全身を覆い流した。ぷしゅ、ぷしゅ、と秘所からは愛液が噴出し、腰は痙攣を止めない。そんな時間が数秒続く中、リーシャはまったくの未体験の快感に心中打ち震えていた。
(わた、し・・・イっちゃたんだ・・・イリアさんと、して・・・)
それはとてもとても恥ずかしい事であったけど、とてもとても幸せを感じられる事でもあった。ともあれ、今ここにいるのは伝説の暗殺者ではなく、期待の新人アーティストでもない、ただ愛する人との行為に喜びを感じる一人の少女であった。
そして、幸せの時間はまだ終わらない。気が付くと、汗だくで微笑むイリアの顔が目の前にあった。
「ダメね・・・」
微笑みながら言うイリアに、まだ息の荒いリーシャは何がダメなのか訊く事ができないまま、
「今の私。本当にダメだわ・・・止められない・・・」
そのまま海のように深いディープキスをされ、震える身体を抱きしめられる。
「どうしようもないくらい・・・リーシャのことしか考えられない・・・」
イリア・・・さん・・・」
「リーシャ・・・いっしょに、感じよう・・・?」
イリアのとろけるような視線を受け、リーシャは一瞬それに見惚れた後、「はい」小さく応えると、イリアの腰に腕を回した。何をイリアが求めているのかのかは、なんとなく想像がついていた。
「んっ・・・」
イリアがそのまま腰を進めると、度重なる愛撫に濡れた二人の秘所が、ぐちゅりと音を立てて触れ合った。
「あぅっ・・・!イ、イリアさん・・・」
「ほら、動くわよ・・・リーシャも、ね?」
「は、はい」
返事を確認して、イリアは腰を前後に揺らし始める。最も感じられる場所が重なり合い、擦れ合うその刺激に、二人は大きく身体を震わせ、未知の快感に酔い痴れた。
「はぁぁぁぁっ・・・!イリアさんっ・・・!ふあっ・・・!!」
「うあッ・・・リーシャッ!あぅ・・・い、イイわ・・・!!」
膨れ上がった肉芽同士もコリコリと触れ合い、その度包皮が剥けて、敏感な小粒が露になる。
整えられた互いの茂みが絡み合って痛みとも快楽とも知れぬ刺激を生み、たまらなく気持ち良かった。
「あ・・・あああ・・・!イリアさん・・・!すごく、熱くて・・・!と、溶けそう、です・・・っ!!」
「わ、私も・・・すごい、感じてる・・・!イリア、素敵よ・・・ッ!!」
じゅぽ、じゅぷじゅぶ、くちゅ。そんな卑猥な水音が秘所が擦れる度に部屋中に響き、二人の愛蜜が混ざり合って零れ、ベッドに淫らな染みを作っていく。
リーシャの存在そのものを全身で余すところ無く感じながら、イリアは目の前でたぷんたぷんと揺れるリーシャの豊満な両の膨らみに手を伸ばした。そのまま貪る様に揉みしだく。
「ひ、ああ!!そん、な・・・っ、気持ち良くてっ・・・!!だ、ダメです・・・!!」
「リーシャ・・・リーシャ・・・!!好き、大好き・・・!!愛してるわ、リーシャ・・・ッ!!」
激しく腰を振り、リーシャの胸を揉みくちゃにしながら、うわ言の様に愛を囁くイリア。
リーシャもまた、それに応える。
「イリア、さん・・・あっ!わ、わたしも、愛して・・・愛してます・・・ひぁっ!!」
その言葉は、掛け値なしの真実。この人は自分に光を与え、光の世界を見せてくれた、
。自分にも光の道を歩いても良いことを教えてくれた、掛け替えのない存在。
一生を費やしても感謝しきれない程のものを与えてくれた存在に出会えたことに、リーシャはたいして信じてもいない女神(エイドス)に感謝していた。そんなヒトと、こうして愛し合える悦びを与えてくれることも。
そうして心と身体に刻み込まれていく快感は、やがて二人を絶頂の極みへと押し上げていく。
「リーシャ・・・ッ、はぅ!私、もう・・・イッちゃいそう・・・はあぁッ!!」
「ん、んん・・・っ!わ、わたしも、もう・・・また・・・うんんっ!!」
「くうぅッ・・・あ!ん、ああ、ひぁッ!!リーシャ、リーシャ、リーシャァァァァ・・・ッ!!!」
「イリアさん、イリアさん、イリア、さん・・・っ!!!」
止めとばかりに腰を前後左右に激しく揺らし、しかし切なく互いを見つめあいながら恋人の名を叫ぶイリアとリーシャ。イリアがふいにグイッと身体を倒し、容赦ないキスを交わし、すぐにイリアも舌を絡めて応える。
くぐもった嬌声、触れ合う秘所から漏れ出る水音、伝わってくる熱。
それら全てが二人の性感を昂ぶらせるスパイスとして機能する。目の前のに霞んで見える相手の瞳に点る光、
今の二人に見えているのはそれだけで、それが世界の全てだった。
-膨れて膨れて膨れあがった快感はやがて弾け飛び、大波となって二人に同時に襲い掛かり。
「イ、イク、もう・・・!!!ッああああああああああああああああ!!!!!!」
「イリア、さ、あ・・・ひ、ああああああああああああああああああ!!!!!!」
重なり合った秘所から多量の蜜が噴出し、相手の同じ場所注ぎ込まれる感覚-
それを感じとりあいながら、二人は大きく身体をしならせ、やがて並んでベッドに倒れこんだ。
繋がれれたその手が離されることは、無かった。
・・・心地よいまどろみに包まれながら、リーシャは考える。
イリアさんは私に光をくれた人。闇しか知らなかった自分に、それはまさに太陽の光だった。
それでも私が闇を抱えているという事実は変わらない。それは私がイリアさんの側にいるために、絶対に知られてはならないこと。
それでももし、私の闇がこの人に知られることがあったなら。或は私の闇がこの人に少しでも害を及ぼすことになるようなことになったら。
私は、この人の元を去る。それは、心に決めた変えられない決意。
・・・でも。
私が、私の闇があなたに知られることのない限り。私は、何に代えてもあなたという存在を守ってみせます。必ず。
私に初めての愛をくれた人・・・イリアさん。
・・・心地よいまどろみに包まれながら、イリアは考える。
リーシャは隠しているけど、私にはわかる。それは直感であり確信。リーシャは人に言えないような大きな闇を抱えているということ。それが具体的に何なのかはわからないけれど。私という光は、その対称であるリーシャの闇に、直感的に惹かれたのだから。
だけど。だけどもし、リーシャの闇がどれ程の深遠にあって、救われないものであったとしても。
関係ない。私は、どんな時でもあんたを守ってみせる。何があっても、あんたを闇の淵からその手掴んでひっぱり出してみせる。それぐらいできなくて、何が天才なのか。
私の愛は重いのよ・・・覚悟しなさい、リーシャ。
『守り抜くことを決めた日』 END