< W A R N I N G ! > 
    この話は、エリィ×女体化ロイドのSSです。 
    エリィさんが怒りのエロィさんモードになっての、疑似百合プレイです。 
    怒りのエロィさんモードなので、一部、ブツを使用する展開があります。 
   以下の条件に該当する方は、読まない事をお薦めします。 
  
     ○キャラの女体化が嫌い。 
     ○ブツを利用した百合が嫌い。 
   ○馬鹿は嫌いだ。マジメにやれ。 
  
  
  大丈夫な方は、このまま下へスクロールをどうぞ。 
  そうでない方は、このままブラウザをお閉じください。 
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
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    ワインのお礼はお仕置きの味 
  
  
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 不釣り合わないモノ、そぐわないモノ、それは不信感の苗床になる。 
「え……ワイン……?」 
 仕事も夕食もお風呂も終わって後は眠るだけの夜遅く。ロイドの部屋のテーブルに置かれたワイン瓶と空 
のワイングラス二客を見て、ネグリジェ姿のエリィが怪訝そうに口ずさむ。 
 形の良い彼女の眉が持ち上がったのを見た途端、隣にいた部屋着姿のロイドの心臓も一緒に跳ね上がった。 
「あの、実は、ランディから押しつけられたんだ。たまにはお前らも飲んでみろって事で」 
 動揺と罪悪感で心臓をバクバク揺らしながらロイドが身振り手振りを交えて述べる。 
「ランディが、自分で飲まないで私達に……?」 
 不思議そうに唇を尖らせながら、エリィはワイン瓶を取り上げる。瓶に貼られているラベルへ彼女の視線 
が向かった一瞬、表情が微かに強ばった。 
「ねぇロイド……ランディは、このワインについて何て言ってた?」 
 動揺で再び心臓が跳ね上がるロイドへ、エリィは瓶のラベルを見つめたまま確認してくる。 
「あ、いや…………特に、は……」 
「そう……」 
 口元に手を当ててロイドが返すと、エリィが、ため息をつくような声で呟き、ワイン瓶をテーブルへ戻し 
た。 
「なら、せっかくのワインだし、下で何かオツマミでも作ってくるわね」 
 怪訝そうな表情から一転、明るい声で笑ってエリィがロイドの部屋から出て行く。 
 パタン、と扉が閉まってから数秒後、 
「…………ごめん、エリィ……」 
 ロイドがうなだれるように頭を下げた。 
  
  
 これより数時間前の夕方の事……。 
『――インキュバスワイン?』 
『そっ。飲んだ女性を淫乱にさせるとゆー曰くがついた貴重なワインさ』 
 胡散臭そうに顔をしかめるロイドへ、ランディはいつもの調子で笑ってワイン瓶を押しつける。窓から夕 
焼けの光が差し込む二階の廊下にて、瓶の中のワインが揺れた。 
『いりませんし、買い取りません』 
『……お嬢に試してみたいとは思わないのか?』 
 すぱっと斬り捨てて瓶を返そうとするロイドに、ランディがニヤリと怪しい笑みを浮かべて囁く。が。 
『どうせ、そんなのはガセに決まってるさ』 
 ロイドは全く動揺する事もなく、逆に肩を竦めて笑い返した。 
『……昔、似たような曰く付きのキノコが警察学校の寮内で出回った事があったんだ。食べると性別が変わ 
るセイベツカエルダケってね』 
 一拍間を置いてから告げると、ロイドが遠い目をして息をつく。 
『それはまた……うっかり食べたらエラい目にあうキノコだなオイ』 
『大丈夫。誰が食べてもそんな変化は起きなかったから』 
 口端をひきつらせて怯むランディに、ロイドは笑ってワインを突っ返した。 
『まー、それならそれで、お嬢と飲んでもいいじゃねーか』 
『だからいらないってば!』 
 夕焼けの光が差し込む二階の廊下にて、男二人がワイン瓶を押し付け合う。 
『というか、俺もエリィも自分から酒を飲む事はないんだから、いきなり言い出したら怪しまれるだけだっ 
て!』 
『なら、その辺りを話術で上手く誤魔化せばいいんだよ。捜査官として必要だぞ、そーゆースキル』 
『何で捜査官の話になるんだよ!?』 
『いやほら、競売会の時みてーに潜入捜査する事がこれからあるかもしんねぇだろ? そん時に正体や目的 
がばれねーようにしつつ目当ての情報を上手く引き出す交渉術ってのが重要になると思うんだけどなー』 
『っ……!』 
 いつもの飄々とした調子で告げられた言葉に、ロイドは思わず息を詰まらせた。 
(確かに、今の俺にそう言ったスキルはない……) 
 競売会の時は、あの場所が――クロスベルに巣くう闇がどんなモノか知りたいというだけだった。だから、 
自分達の正体がバレないように注意するだけで良かった。 
 でも、本来の潜入捜査というのは、ランディの指摘通り、如何に正体を隠しつつ目当ての情報を掴むかが 
目的で、その手段として話術や交渉術は重要になる。 
『だからって……その練習にエリィを騙せというのか……?』 
『別にそんな仰々しく考えんでもいいだろ』 
 ワインを押し返す手を止めて俯くロイドに、ランディが呆れ返った様子でため息ついた。 
『第一、お前、このワインの曰くもガセだって思ってんだろ? なら別に騙してなんかいねぇさ。ただ、い 
つもは飲まないワインを飲んで、いつもと違う夜を過ごそうってだけなんだから』 
 ランディが、右手をロイドの肩に回して抱き寄せ、小声で囁いてくる。 
『それともロイドお前……ワインの効能が本当ならいいなと思ってんのか?』 
『――……!』 
 少しだけ意地悪げに問われた途端、ロイドの心臓が弾むように震えた。 
『ワインで淫乱になったお嬢なら、いつもはやってくれないよーなご奉仕とかもやってくれるかもー……と 
か思ってたりもしてんのか?』 
 続けてきた問いに、ロイドが更に大きく身体を揺らす。ワイン瓶から、たぷんっ、とワインの揺れる音が 
響く。 
『へぇ……やっぱお前も年頃の男って事か』 
 唇を大きく歪ませるランディからロイドは無言で顔を逸らす。が、先刻まで散々ワインを突っ返そうとし 
ていた両手は、ワイン瓶を抱えたまま動かなかった。 
  
  
 そして今――。 
 部屋の中央に展開した折り畳み式テーブルに、ロイドとエリィが向かい合わせで椅子に座って食事をして 
いた。 
「……確かに、これだけ甘口だとランディは苦手かもしれないわね」 
 グラスの中のワインを揺らしてエリィが口ずさむ。少し酔いが回ってきたのか、ほんのりと赤く染まった 
顔に気怠そうな表情を浮かべて頬杖をついていた。 
「そ、そうだな。でも、エリィの作ってくれた、このお肉料理にはよく合うよ」 
 エリィの手料理を食べていたロイドがぎこちなく相槌をうつと、慌てて自分のワインを煽る。 
 ジュースのように甘いワインの味と、香辛料をたっぷりまぶされた肉の味が、ロイドの口の中で混ざり合 
う。予想外にカオスな食感と味のコラボレーションを起こすそれらをロイドは無理矢理喉の奥へ押し込むと、 
テーブルの上へ視線を逃した。 
 中央に置かれたワイン瓶を挟むように、お互いの目の前に置かれたエリィお手製の肉料理の皿二つ。その 
脇にはフランクフルトソーセージなどが入った皿が置かれている。 
(……先にエリィの手料理を食べきろう) 
 ロイドが自分の分の肉料理を再び口へ運ぼうとした時、ふと気付いた。 
「そういえば、この料理に使っている肉って、どうしたんだい?」 
「え?」 
「あ、いや、ストックしている食材の中に、こんなお肉は無かった筈だよな……って思ってさ」 
 ロイドがおずおずと告げると、エリィが目を丸くし、それからぱっと弾けるような笑顔をみせる。 
「ええ、これはベルから貰った奴なの」 
 よく解ったわねと拍手してくるエリィに、ロイドは一端はにかんだ後、顔を強ばらせた。 
「? どうしたのロイド?」 
 まるで雷に打たれたかのように動かないロイドに、エリィがグラスのワインを飲み干してから尋ねてくる。 
「あ、いや……正直、俺、あの人から滅茶苦茶敵意もたれているから少し怖いな……と思ってさ」 
 ましてや、エリィを騙してインキュバスワイン――口にした女性を淫乱にさせる曰くつきのワインを飲ま 
せている現状では。 
 ロイドの顔色が少しだけ青くなり、手が肉を刺したままのフォークを皿に戻す。 
「あらそんな事はないわよ」 
 エリィが酔いで赤く染まった顔に柔らかな笑みを浮かべる。 
「ベルはあくまでもインキュバスワインがクロスベルに入ってきたという警告と、その対抗策としてこのお 
肉をくれただけ。それを実際に使うかどうかは私次第だったもの」 
「…………え」 
 彼女の唇から出てきたインキュバスワインの単語にロイドが息を呑んで硬直した瞬間、一際強い鼓動が体 
内に走った。 
「――っ!?」 
 ロイドが思わず自分の胸を掴んで呻く。そこへまた同じ強さの鼓動がきたかと思うと、何度も何度も繰り 
返す。 
「な……あ……エ、リィっ……!?!!」 
 鼓動に背中を押されるように、ロイドが椅子から転がり落ちた。 
 ガタンッ! と、椅子が倒れて床を揺らし、音と振動がロイドの耳と頬を揺らしてくる。が、ロイドの意 
識は、己の胸の中で暴れ狂う鼓動に全てをもっていかれていた。 
「あ……っ、あ……!!」 
 口を限界一杯まで開いているのに、息が入ってこない。 
 瞼を閉じてはいないのに、視界に何も入ってこない。 
 鳴り響く音と衝撃は、心臓が二つに裂かれるのではという恐怖と共に、ロイドの肋骨や骨盤をギリギリ締 
め上げてくる。 
「うわ、あ、あっ……あ……!」 
 ロイドが胸を掻きむしるように掴んで床の上をのたうっていた時、指先まで揺れる程の鼓動が体内で起き 
た。 
「――!?!」 
 肋骨や骨盤が圧壊しそうな衝撃にロイドが思わず目を閉じる。 
 そこへ、胸を押さえている手に、ふょんぽょんっ! と、ヘンテコな弾みがくる。 
「!?」 
 ロイドが驚き、身を竦めた途端、まるでそれを合図とするかのように、ロイドを蝕んでいた鼓動の暴走や 
骨の締め上げが収まった。 
(止まった……?) 
 久しぶりの呼吸に安堵の息をつきながら、ロイドは身体の力を抜いて瞼を開く。 
(しかし……最後にきたあの感触は何だったんだ……?) 
 エリィに説明を求めようと上体を起こした途端、たゆん、と、胸が揺れて下に引っ張られた。 
「ん?」 
 ロイドが目を下に向けると、衣服の胸元部分に二つの膨らみが出来ている。 
「……?……」 
 ロイドは、服の上から膨らみを押してみる。とっても柔らかな感触が手と胸に返ってきた。 
(…………な、何で、エリィの胸を触った時のような感触が……しかも俺の胸で!?) 
 脂汗をだくだく流しながら、ロイドは服の襟から自分の胸元を覗き込む。エリィのよりは幾分小振りな乳 
房が生えていた。 
「……………………」 
 自分の胸を覗き込んだ体勢のまま固まる事数十秒。 
「ええぇぇぇえぇえぇぇえぇっ?!!!!」 
 ようやく理性と思考回路が復旧したロイドが盛大な喚声をあげて仰け反った。 
「……って、声も何か高い!?」 
 両手で頬を抑えて騒いだ後、ロイドは、はっと息を呑んで固まる。 
(ま……まさか……) 
 ガクガク震えながらロイドが自分の股に右手を当てると、本来そこにある筈の――男のシンボルともいえ 
る――モノが、綺麗さっぱり消えていた。 
「……!!!!」 
 ロイドの耳の奥で血の気の引く音が響く。 
 今まで愕然としてた表情が絶望に変わり、現実に耐えきれなくなった意識がすうっと遠のきかけた矢先、 
「ほんとに女の子になっちゃったんだ……」 
 エリィの声が耳に入ってきた。 
「――!」 
 わーおと口を丸くして呟く彼女に、ロイドの意思が我に返る。心の中で行き場無く暴れていた感情に目標 
が出来る。 
「どういう事だ、エリィ!」 
「うん、ちゃんと説明するわね」 
 声を荒げて責めるロイドに、エリィは素直に頷いてきた。 
「ロイドが食べたのは、とあるキノコだけを与えられて飼育された魔獣ダート・ナーのお肉なの」 
「……え?」 
 キノコと聞いてロイドは思い出す。かつて警察学校の寮内で出回った、食べると性別が変わるという曰く 
のついたキノコ――セイベルカエルダケという名を持ちながらも、誰が食べても何も起きなかったキノコの 
話を。 
(まさか……) 
 あのキノコを食べても誰も変化が無かったのは……。 
(ガセだったからではなく、キノコを食べる手順を間違えていたからか……?!) 
 この推論にロイドが思い当たった途端、 
「何故そうなるかは誰も解らない。人間がそのキノコ――セイベツカエルダケを食べても何も起こらない」 
 まるでロイドの心を読んだかのようなタイミングで、エリィが告げてきた。 
「でも、セイベツカエルダケを食した魔獣ダート・ナーは特別な力を得る」 
 石化するロイドを余所に、エリィはどこか遠くをみる目を浮かべながら、空のワイングラスを揺らす。 
「特別な力を得たダート・ナーは魔獣セイベツカエルダトナーになり、その肉を食した者の性別を変える… 
…という訳。解った?」 
「何だよその冗談みたいなネーミングと効用は!!」 
 にこっと笑って説明を終えたエリィに、ロイドが涙目で躙り寄った。 
「というか、エリィ。君も食べたんじゃ……!!?」 
「大丈夫。私のは普通のお肉だから」 
 焦るロイドに、エリィは再びにこっと笑う。 
「そうか。それなら良かった……って何だよそれ!」 
 ロイドがほっと一安心した後、慌てて突っ込んだ。 
「大丈夫大丈夫。このお肉の効果は6時間だから朝までには戻っているわよ」 
「そうか、それなら仕事に支障も出ないな……って今とっても支障が出てて嫌なんだけど!!」 
 優しい微笑みを浮かべるエリィに、ロイドが再び一安心した後、はっと我に返って悲鳴をあげる。 
「というかそもそも何で俺にそんなトンでもない代物を食わせたんだよ!!」 
 涙目で一気に捲し立てるロイドに、エリィはテーブルに置いてあるワイン瓶を指で叩いた。 
「貴方だって、これがインキュバスワインだと――私が飲んだら淫乱になっちゃうワインだって知ってた上 
で、飲ませてきたんでしょう?」 
 問い返すエリィの声は、ロイドから涙と勢いを引っ込ます。 
「……ベルから警告された時は、貴方がそんな事する訳がないって否定したのよ、私……」 
 気まずそうに固まるロイドからエリィが顔を逸らし、悲しげにため息をついた。 
「なのに貴方は……私が遠回しに尋ねたら思い切り誤魔化してくるし……」 
 とつとつと呟かれていくにつれて、彼女の声に涙の色が混じっていく。 
 聞いているロイドの胸が罪悪感でぎゅうっと引き絞られ、理不尽な状況に追い落とされた怒りが霧散して 
いく。 
「ごめん、エリィ……俺……」 
 ロイドがうなだれるように頭を下げた矢先、エリィが手酌でワインを注ぎ、ぐいっと煽った。 
「!? ダメだエリィ!」 
 ロイドが慌てて立ち上がろうとし、立ち眩みを起こす。 
「っ……!」 
 頭を内側から膨らませるような眩暈にロイドが膝立ちの体勢で固まっていたら、エリィがグラスから口を 
離して迫ってきた。 
 ロイドの唇に彼女の唇がのし掛かるように重なり、下唇を舌先でちょんと突かれる。 
「んっ……」 
 反射的にロイドが唇を薄く開いて彼女の舌を受け入れた途端、多量のワインが流れ込んできた。 
「――!?」 
 彼女の口の中で温められ、彼女の唾液と混ざり合ったワインの味は、ロイドに新たな眩暈を起こす。 
「ん……んっ……!」 
 入りきれなかったワインがロイドの口端から溢れ出て顎を伝っていく中、エリィが舌を引っ込め、自分の 
唇でロイドの唇を挟む。 
 そして、ロイドが少し苦しげに目元を歪ませつつも喉を上下させてワインを飲み干したのを確認すると、 
口を離した。 
「っ……はぁ、はあっ……」 
 荒い呼吸を繰り返しながら、ロイドが床に両手をつく。口の周りをワインでべたべたにした顔は赤らみ、 
瞳は涙で艶めく。 
 一方、エリィはまたワインを口一杯に貯めると、ロイドの前に屈んだ。 
 唇を重ねて舌を差し込み、口移しでワインを注ぐ。 
「ん……ふっ、ふ……」 
 再び入ってきた彼女の唾液混じりのワインの味に、ロイドの胸が高鳴り、喉が自然と嚥下する。体内へ落 
ちていくワインはスピリットのように熱く、女体化した戸惑いや驚愕を溶かして霧散させていく。 
「んっ……ん、んぅ……」 
 注がれるままにロイドがワインを飲み干すと、エリィが良く出来ましたと笑って新しいワインを口に含ん 
だ。 
 再び、ロイドとエリィの唇が重なり合う。今度はロイドが先に唇を開き、自らワインを受け入れる。 
「――……?!」 
 エリィが少し驚いた表情をするが、すぐに穏やかな色を瞳に浮かべ、ロイドの顎を両手で軽く持ち上げて 
ワインを流し込んだ。 
「んっく……ぅ……ん」 
 エリィの口をグラス代わりに、ロイドがワインを飲んでいく。二杯・三杯と繰り返すにつれ、ワインを移 
す量と勢いを上手く合わせられるようになり、やがてワインを口に含んだままエリィと舌を絡ませるまでに 
なる。 
「んんっ……ん、んぅ……ん……」 
 最初はエリィの唾液だけが混ざっていたワインにロイドの唾液も加わり、口移ししてくるエリィも一緒に 
貪るようになる。 
 そうして二人で一緒に瓶のワインを飲み干した時、お互い顔を赤く染め、瞳を酔いと欲情で濡らしていた。 
「ふふっ、全部のんじゃったねロイド……」 
 エリィが空のワイン瓶を軽く揺らして悪戯っぽく笑うと、ぼーっとした顔で床に座り込んだままのロイド 
の肩を掴み、そのまま床に押し倒す。 
 縦に回る視界と背中を冷やす床の感触にロイドが少しだけ我に返る中、エリィの手がロイドのシャツをま 
くってきた。 
 ロイドが驚いて息を呑み、連動して胸に生えた乳房も揺れる。 
「すごく形の良いおっぱいね……サイズはどのくらいかしら?」 
 エリィがうっとりとした表情で口ずさむと、ロイドの上に跨り、両手を彼の乳房の下に添えてきた。 
 白魚のような彼女の手に触れられた途端、ロイドの胸の中がぞくっと蠢く。 
「――っ!」 
 ロイドが思わず声を漏らして身体を揺らす中、エリィの指先が胸を持ち上げるように押してきた。 
 生えたてのロイドの乳房は、指の動きに何の抵抗もなく凹んで、弾む。 
「うわぁ、すっごいハリがあるー……」 
 指先へ返ってくる瑞々しい感触と反応にエリィが破顔し、もっと手を動かしていく。胸の上方にも指を広 
げ、まるで蜘蛛の巣のようにロイドの乳房を包んで摘む。 
「え、あ、ちょ……あ!」 
 待ってと言いかけたロイドの声は悩ましげな嬌声に変わり、身体も一緒に自然と揺れた。 
 ふにふに、ぷにぷに、ふにんぷにゅん。十本の指をフルに動かして、エリィがロイドの乳房を丹念に撫で 
て揉んで計測していく。 
「限りなくBに近いCカップというところかしら? アンダーも、いつもより少し縮んでいるっぽいわね」 
「……そ、こまで解るもの、なのか……っ!?」 
 ロイドが少し驚いて聞き返したのと同タイミングで、エリィの掌が彼の乳首を擦る。 
「そりゃあ、伊達にロイドと愛し合ってきた訳じゃないもの」 
 ロイドが背中をピンと逸らして悶える一方、エリィは淡々と答えながら親指で彼の乳房を軽く揉んだ。 
 エリィの親指の重みが乳房にくるや、ロイドの中に暖かくて気持ち良い感覚が駈け巡り、乳首を擦られた 
時に発生した快楽と一緒になって体内へどっかり居座る。 
「んっあ……!!」 
 去る気配のない快楽に、ロイドがたまらず声を零す。いつもなら――男の時なら、精液を連れて外へ勝手 
に飛び出そうとするから必死で押し止めるのに、今は逆に、嬌声という形で少しでも排出しないと、身体が 
ヘンになってしまいそうだった。 
「ロイドの、もっと見せて頂戴……♪」 
 エリィが酒で赤く染まった顔でにんまり笑うと、身体を後ろにずらしてロイドのズボンに手をかける。 
「え? あ、ちょっと……!?」 
 ロイドが慌てて上体を起こして止めようとする前で、まるでとうもろこしの皮むきでもするようにエリィ 
の手がズボンとトランクスをいっぺんに剥いできた。 
 凸のない、茂みだけが生えたロイドの下腹部が、二人の前にさらけ出される。 
「やっぱりなくなっちゃってるね……」 
 まじまじと見下ろしながら、エリィがぽつりと零す。 
 一方、ロイドは絶望で全身が凍えていた。 
(見たくなかった……見たくなかった……) 
 6時間だけとはいえ、女性になってしまった自分なんて。 
 ここまでの衝撃と絶望感は、兄の葬式以来かもしれない。……こんな状況と比較される兄も涙目だろうが。 
(朝になれば戻るとはいえ、これじゃあエリィと愛し合えない……) 
 その事実がもたらす絶望と衝撃にロイドが顔を歪めた後、気付く。 
「……ははっ……」 
「? どうしたの、ロイド?」 
 右腕を目元に押し当てて嗤うロイドに、エリィが声をかけてきた。 
「いや……君を騙してインキュバスワインを飲ませたのに、まだ君と愛し合えると思っている自分に呆れた 
だけさ」 
 右手を額の方にずらして言うと、ロイドは、ごめん、とエリィに目を伏せて謝った。 
「……自分を責めないで、ロイド」 
 エリィが少し切なげな声で言うと、右の人差し指でロイドの目端をなぞる。 
 まるで涙を拭おうとする彼女の指先の動きに、ロイドの心も少しだけ軽くなった矢先、 
「オンナノコ同士になったって、充分愛し合う事は可能な筈よ」 
 だから大丈夫、とエリィが優しく微笑んできた。 
「……え……?」 
 ロイドが盛大に片頬をひきつらせる中、彼女の左手がロイドの恥骨に乗っかる。 
「?! ちょ、エリィ!?」 
「きょうは私が攻めるばん〜♪」 
 泡食うロイドに、エリィは酔いで赤く染まった顔でうふふー♪ と笑いながら、顔を落としてきた。 
「いただきまぁす♪」 
 ぱくっ、と、エリィの口がロイドの左乳首をはむ。 
「っ!?」 
 ロイドの左乳房から電流のような痺れが広がり、背中と両手が勝手に揺れる。そこへ、エリィが、ちゅっ 
……と、唇で音をたてて吸ってきた。 
「!!」 
 続けて――そして最初よりももっと強く――きた痺れに、ロイドの背中は大きく仰け反る。 
「っく……!」 
 ロイドは慌てて両手を床について、そのまま引っ繰り返りそうになった上体を支える。そこへ、エリィが 
じぅっ……と、唇から音をたてて吸ってきた。 
「っ!!」 
 一段と強い快楽がロイドを襲う。床に付いた手がガクガク揺れて、そのまま上体が崩れ落ちそうになる。 
「く……っ……!」 
 ロイドが必死に体勢を保とうとし続ける一方、エリィが、咥えた乳首を舌先でちょろちょろと舐めて突い 
てきた。 
「……!!!」 
 くすぐったい感覚がロイドの背骨の中で暴れ狂う。一瞬だけ意識が気持ちよさに塗り潰されて、肘がガク 
ンと折れ曲がる。 
 ロイドの上体が下がり、エリィの口から乳首が離れる。彼女の唇と乳首の間に唾液が糸を引いて煌めいた。 
「……はぁ、はぁ……っ……」 
 床に肘をついた体勢でロイドが呼吸を繰り返す。涙を浮かべた両目は少しだけ焦点がぼやけ、軽く伏せら 
れた瞼と合わさって、えもいわれぬ色香を放つ。 
 エリィの唾液にまみれた左乳首は天井に向かって尖り、鼓動のリズムに併せて先端がピクンピクンと揺れ 
動いていた。 
「素敵よ、ロイド……」 
「いや、正直この状態で誉められてもあんまり嬉しく……っあ!」 
 エリィの囁きに反論しかけた声は、右乳首をぱっくんされた矯声へ変わる。 
「っ……あ、ぅくっ……!!」 
 肘から先の手でかろうじて踏みとどまるロイドの前で、エリィが右乳首をチュパチュパ吸って挟んで舐め 
回す。同時に、右手をロイドの首に回すと、中指で耳の後ろをコチョコチョくすぐってきた。 
「ぅわっ!!?」 
 ぞくぞくっ! と、快楽がロイドの体内を揺さぶり、全身が勝手に跳ね上がる。 
 綿の固まりのようにふわふわしたモノが下腹部に広がって蠢いたかと思うと、股の間で何かが決壊しそう 
な感覚が走った。 
(――! ヤバい……!!) 
 射精する寸前の感覚に、ロイドがはっと我に返る。下腹部に抱えたモノが体外へ飛び出さないよう歯を食 
いしばって身を堅くし、押さえ込みにかかる。 
 が。 
 エリィの右手親指が唇をゆっくりなぞってきた途端、口が自然と解け、喘ぐ声と吐息を零した。 
「う……ぅ、あ、あ、ぅ……っ……!」 
 エリィの右手が、ロイドの耳の裏と顎と頬と唇を、優しく丁寧に撫で回す。その指先からこそばゆくて気 
持ち良い快楽を奏で、ロイドを喘ぎ悶えさせる。 
「くぅ、あ……ぁ、っ……う!!」 
 呻くロイドの口端から涎が垂れ、なぞるエリィの親指を濡らしていく。 
 エリィの口の中で彼の右乳首が堅く膨らみ、唇を圧してきた。 
(女の子になったロイドって……こんなにかわいい反応するのね……) 
 エリィの目元が自然と綻び、視線が彼の左乳首へ向かう。何もしていないのに、先刻よりも尖って大きく 
なっていた。 
「……♪」 
 エリィは、ロイドの右乳首を咥えたまま顔を横に向けると、左乳首へふっと息を吹きかける。 
「ぅあっ!!!」 
 ロイドが体を激しく弾ませ、エリィの右手と唇に痙攣が伝わってきた。 
「え……エリィ……これ以上、は……!」 
 目端に涙の粒をくつけてロイドが喘ぐ。膨らんだ乳房は呼吸のリズムに併せて揺れ動き、頂に抱いた乳首 
が宙を掻く。肌は汗ばみ仄かに赤く、しっとりとした触り心地になっていた。 
「……止めて欲しいの?」 
 エリィが乳首から口を離して尋ねると、ロイドが一拍おいた後に頷いてくる。 
「解ったわ、それじゃあ……」 
 ふぅと息をついて、エリィは体を起こした。 
(た、助かった……) 
 安心する反面、中断しないで欲しかったかも……という残念な気持ちも少しだけ抱きつつ、ロイドが体の 
力を抜いた途端、 
「次はこっちを弄くる事にするわね」 
 エリィの声と共に、恥骨の上に生えた茂みをさっと撫でられた。 
「え……?!」 
 ロイドが驚き戸惑う前で、エリィの右手が恥骨の茂みを乗り越えながらロイドの股へ入っていく。 
 中に埋もれて隠れていた小さな肉芽に彼女の指が触れるや、ロイドの股に痺れるような快楽が走った。 
「ぅわっ!?」 
 ロイドが喚声を上げて仰け反る。完全に気が抜けていた為に快楽の波動をもろに受けてしまい、今まで押 
さえ込んでいた下腹部の蠢きをコントロール出来なくなる。 
 すぐに、水風船が内側から割れるような感触が股に走ったかと思うと、とろっ……と、何かが零れて内股 
を濡らした。 
(しまった……) 
 出してしまった――。 
 いつもの射精感にロイドが歯噛みする下で、内股を濡らす感触はとろとろと続く。 
(……あれ?) 
 いつもなら一瞬で終わる筈の感覚が続く事にロイドが首を捻っていると、股の中でエリィの指がぐりぐり 
動いてきた。 
 ロイドの内股から小さな肉芽が引きずり出され、エリィの指に挟まれる。 
「!?!!」 
 さざ波のような衝撃を伴った気持ち良さがロイドを襲ったかと思うと、割れて零れ出るような射精感が立 
て続けに走った。 
 ロイドの股――女のモノに変化した秘部が微かにしゃくりあげ、ごぽっ、くぷぅっ……と、愛液を吐き出 
す。 
 すぐ側にあったエリィの指が一瞬で濡れ、ロイドの小さな肉芽をこちょこちょ弄って遊ぶ動きにクチュク 
チュ音がつく。 
「ぅ、わ、あぁ、あっ、あ……あ!!」 
 顔を真っ赤にしてロイドが悶える。エリィの手を咥え込むように挟んだ股からは清流にも似た愛液が垂れ、 
床に糸を引いて落ちていく。 
「あ、ああ、う、んぁ、くっ、あぅ!」 
 身体は釣り上げられた魚の如く跳ね、肘は床を何度も打ち鳴らし、すがる場所を求めて爪が床を引っ掻く。 
 そんなロイドの痴態に、エリィが少しだけ目を細めると、右手の指をぐっと前へ押し出した。 
 ロイドの小さな突起の上でエリィの指が勢いよく滑ったかと思うと、すぐ下に広がる蜜壷への入口へと潜 
り込む。 
「!!!!」 
 身体の中心を直に突き上げるような衝動がロイドの体内に走ったかと思うと、燻っていた熱が爆発した。 
「うわぁあぁっ!!」 
 悲鳴にも似た嬌声と共に、エリィの指をくわえ込んだロイドの花弁が大きくしゃくり上げ、愛液を一気に 
迸らせる。 
「入れただけでイっちゃったね、ロイド……」 
 顔を真っ赤にして全身を痙攣させ続けるロイドへエリィが妖しく囁くと、右手をぐっと引き抜いた。 
 ぐぽっ……と、げっぷにも似た音がロイドの花弁からたち、エリィの指先から透明な愛液が糸を引いて滴 
り落ちる。 
「私もね……」 
 ロイドの耳穴へ息を吹きかけると、エリィは少し後ろへ下がって膝立ちの体勢になる。そして、着ている 
ネグリジェを脱ぎ捨てた。 
 パールグレーの髪を羽ばたくように翻らせて、エリィが下着姿になる。紺色の布地に同色のレースで構成 
されたシンプルなデザインのブラとパンツは、白百合のような彼女の肌をさらに白く美しく輝かせていた。 
「ロイドの声を聞いてたら身体が熱くなっちゃって……濡れちゃった♪」 
 酒酔い八割、照れ二割な笑顔を浮かべて、エリィが両手で自分のパンツをずり下げる。布地と股の間で愛 
液が太い糸となって伸びる様子をロイドに見せつけてくる。 
「――っ!」 
 エリィから滴る愛液を見た途端、ロイドの全身が一瞬で沸騰し、膨らんだ乳房がぷるんっ、と痙攣するよ 
うに揺れ動く。へその下が勝手にきゅっと引き締まったかと思うと、ぱっと押し広がるような解放感が股に 
走り、太股の付け根がまた濡れた。 
「ロイド……見ただけでイっちゃったの?」 
 微かに震えるロイドの瞼や唇を見て、エリィが小首を傾げながら迫ってくる。 
「ぅ……ご、ごめん……」 
 ロイドが申し訳なさそうに目を伏せつつエリィから顔を逸らす。もし、男のままだったら、今ので一体何 
回出してただろう。 
(元のままなら少しは抵抗できるのに……) 
 何度も果てて溺れてしまうのは、慣れぬ女の身体ゆえか。それとも、インキュバスワイン――飲んだ女性 
を淫乱にさせる効用が、セイベツカエルダトナーで性転換した場合にも有効だからか。 
 あるいは……その両方か。 
(……少なくとも、ワインの曰くは本物のようだな……) 
 ロイドがそんな事を考えていた矢先、エリィの吐息が耳にかかってきた。 
「それじゃあ……今度はもっと気持ち良くさせてあげるわね」 
 今まで聞いた事のない妖しい艶を声にまとわせ囁くと、エリィはパンツを床に投げ捨てる。 
 ぱさっ、と、紺色の布地と床との間で、少し湿った音がたつ中、紺色のブラだけを付けたエリィがロイド 
へのし掛かってきた。 
 パールグレーの髪がさらりと流れ、ロイドを抱き締めるように広がっていく。 
「――ぅ……!」 
 暖かくて柔らかい彼女の重みに、ロイドの心臓は自然と昂ぶる。彼女と抱き合う格好で、床の上へゆっく 
り倒れていく。 
 エリィが満足げな笑みを浮かべると、仰向けになったロイドに身体を密着させつつ、両手を股の間に差し 
入れた。 
 右手をロイドのへ、左手を自分のへ。それぞれの花弁へ触れると、そのままいっぺんに動かし始める。 
 二人の中で、電流が放出されるような気持ち良さが迸るや、胸の中心めがけて一直線に駆け上がってきた。 
「くっぅ……!」 
「ロイド、我慢しないで。どんどんイっちゃって……ねっ……」 
 目をギュッと閉じて仰け反るロイドへ、エリィが口をだらしなく開いた顔で囁くと、密着させた上体を大 
きく揺らす。 
 紺のブラに包まれた彼女の乳房がロイドの少し控えめな乳房と押し合いへし合い、布地のレースがロイド 
の乳首をマッサージするように何度も擦った。 
「くっ、ぅう、あ、ぁく、っ……!」 
 床の上でロイドの身体が何度も跳ねる。彼女の指先が股を――女となった部分を弄くる度に、身体の芯を 
快楽の熱が突き上げ、どんどん蓄積されていく。 
 その上、彼女の豊かな乳房がブラを付けた状態で密着して動いてくるものだから、乳首への摩擦――そこ 
から派生する快楽で、膨らんだ乳房がとろけてしまいそうだった。 
(ま、まずい……!) 
 気持ち良さの余り、目の奥にチカチカ光るものが出てきて、ロイドは焦る。 
 すがるように床をひっかいていた両手を何とか持ち上げると、彼女の胸の谷間に差し込んだ。 
「あっ……!」 
 エリィが小さく声をあげる前で、ロイドの指がブラのフロントホックを外す。 
 ぱちん、と小さな金属音がした後に、殻が割れるように彼女の乳房が左右に開き、中から尖って堅くなっ 
た桜色の乳首が出てきた。 
「ぅんっ……!」 
 互いの乳首が抱き合うように触れた途端、エリィが喉を大きく伸ばして矯声を漏らす。 
 ロイドはほっと息をつくと、そのままエリィからブラを剥ぎ取り、両脇から彼女の乳房を包んだ。 
 密着した自分の乳房も利用して、ロイドがエリィの乳房を揉みしごいていく。 
「あっ、だめ、よっ、きょ、ぅは、わた、し、が、なのに……っつ!」 
 たちまちエリィが慌てふためき、切なそうに目を細めて身をよじらせる。それでも、お互いの花弁を弄く 
る両手は止めず、むしろ、圧してくる力を強めて、蜜壷の中へ指を挿入し始めてきた。 
「うっ……!!」 
 ずぶっ、ぬぶっ、と、体内へエリィの指が入ってくる気持ち良さにロイドは息を詰まらす。へその下の辺 
りで収縮と解放がさざ波のように何度も起きて、腰と足がピクピクする。 
「あっ、んっ、んんっ……ふっ、ぅ……!」 
「……っく、ぅあ、あ、うっ……つ!」 
 二人の喘ぐ吐息と声に、くちゅ、くちゅくちゅぅっ……と、エリィの指が動く様子が伴奏となってつく。 
 お互いの腰が自然と揺らぎ、小さな肉芽が軽いキスを何度も繰り返す。その度に、蜜壷の入口から愛液が 
噴き出て、弄くるエリィの指先をびしょびしょに濡らしていく。 
「あ、ぁ……んっ、ふ……ぅ……!」 
 すぐ目の前で悩ましげな声を漏らして身悶えるエリィの姿に、ロイドも喘ぎながら表情を綻ばす。 
(良かった……エリィも、気持ち良くなってくれてるみたいだ……) 
 さらさらさらりと音を立て、自分の身体の上で躍るパールグレーの髪の一房をロイドが指にそっと絡めて 
いたら、エリィと目が合った。 
 快楽で蕩けていた翠耀石色の瞳がロイドの表情を捉えるや、鋭い光を過ぎらせる。 
「……だめよ、だめだめよ!」 
 振り払うような声を口からあげると、エリィが花弁を弄くっていた手を止めた。 
「今日は私が攻める番なのに、これじゃあいつもと同じよぉ……!」 
「いいじゃないか。一緒に気持ち良くなるって事で」 
 幼子のように首を振ってだだをこねるエリィに、ロイドがまぁまぁと宥めに入る。 
「それじゃだーめーなーの! これは、おしおきなんだからぁ!」 
 エリィが怒った風に眉を吊り上げて騒いだ後、ぷいとそっぽ向いて立ち上がった。 
 彼女の重みと温もりがロイドの元から離れる。彼女の豊かな乳房に押し潰されていた乳房も解放され、寂 
しそうに追いすがるように揺れ動く。 
(エリィって、酔うとこんなに子供っぽくなる事があるんだなぁ……) 
 新たな魅力の発見に破顔しながらロイドも起き上がろうとした時、彼女がテーブルの上にあったフランク 
フルトソーセージを掴んだのに気が付いた。 
(え……?) 
 ぞわっ、と、ロイドの後頭部に鳥肌がたつ。 
(ま、まさか……) 
 湧き上がる嫌な予感に顔が引きつるロイドを、フランクフルトソーセージを握ったエリィが満面の笑みで 
見下ろしてきた。 
「!? ちょ、ま、待ってくれエリィ!」 
「いーやーよっ!!」 
 大慌てで逃げようとしたロイドの元へエリィが容赦なく飛び込む。 
 どすんっ! と、床が音をたてて振動し、パールグレーの髪が電磁ネットのようにロイドの上へ流れ落ち 
ていく中、エリィが、持っていたフランクフルトソーセージをロイドの花弁へ突っ込んだ。 
 ぐぶっ、と花弁が音をたてて咲き、蜜壷がフランクフルトソーセージを呑み込んでいく。 
「ぅわっ!!!」 
 身体の芯を直に切り裂いていくような衝撃にロイドがたまらず悲鳴をあげて頤を逸らす一方、エリィが幼 
子のように無邪気な笑顔で、フランクフルトソーセージを更に押し込んできた。 
「……!!!!」 
 生まれて初めての、身体が内側から押し広げられていく感触は、ロイドの中で痛みとして認識される。 
「うわっ、あ、あっ……くぅっ!!」 
 苦しげに顔を歪めながら悶えるロイドに構わず、エリィは、フランクフルトソーセージの侵入を容赦なく 
進めていく。 
 そしてロイドの蜜壷へフランクフルトソーセージが半分ほど入った頃、最奥の肉壁にフランクフルトソー 
セージの先端がめり込んだ。 
「――っ!!」 
 熱を伴った衝撃がロイドの下腹部に広がり、悶える声と息が止まる。 
「そっか、ここってこの位の長さなのね」 
 ロイドの花弁から半分ほど突き出たフランクフルトソーセージを見下ろしてエリィが妙な感心をすると、 
そのまま乱雑に動かし始めた。 
 ぐちゅ、ぐぼっ、ずじゅっ、ぬぶぅっ、と、濁った水音たてながら、ロイドの蜜壷と花弁からフランクフ 
ルトソーセージが何度も出入りを繰り返す。 
「これ、あなたのモノよりはずっと細いのに、もうだめだめなのロイド?」 
「いや、俺、そもそもこんな経験始め……てっ!!」 
 反論しかけたロイドの声は、フランクフルトソーセージの先端が蜜壷の最奥の肉壁を思い切り突き上げて 
きた事によって、喘ぎ声へ変えられた。 
「あ、ああぅ、ぅわあっ、あっあ!!」 
 顔を真っ赤にしてロイドが悶える。溢れ出る快楽は瞳から涙の粒となって零れ、膨らんだ乳房も悲鳴をあ 
げるように揺れ動く。 
 肉体を直に押し広げられて擦られる痛みは、繰り返される動きと快楽であっという間に解け、嬌声として 
外へ吐き出されて消えていく。 
 じゅぽ、ぎゅぽ、ぐぶぷっ、と、普段はエリィの方から響く水音が自分の元から聞こえてくる事実も、快 
楽の蠢きを一層強めた。 
「あっ、はぁっ、くっ……ぅうっ!!」 
 床の上で身体を捩らせ喘ぎ続けるロイドを見下ろすエリィの表情が、徐々に変わっていく。幼子のような 
無邪気さが消え、真剣な顔で何かを堪えるようなものになってくる。 
 やがて、 
「うっ……くっ、あぁぁっ!!」 
 ロイドが何度目かの絶頂を迎えて全身を痙攣させたのを合図に、 
「――あぁ、もうダメ! 我慢できない!!」 
 エリィも苦しげに切なげに叫んで、フランクフルトソーセージを握ってた手を離した。 
「……?」 
 絶頂の余波にロイドが惚けている前で、エリィが荒い息をつきながら股を大きく開く。そして、ロイドの 
花弁から半分ほど突出しているフランクフルトソーセージへ自ら腰を近づけ、蜜壷の中へ招き入れた。 
 ずぷっ……っぷぷっ……ん、と、いやらしい音をたてて、エリィの花弁がロイドの花弁へ近づいていく。 
フランクフルトソーセージが外から隠れて見えなくなっていく。 
「あっ、はっ……ぁんっ……」 
 切なげな声を漏らしながら腰を落としていくエリィの様子に、ロイドは胸の中がぞくぞくっと震える。腰 
も勝手に浮き上がり、花弁が丁度すぐ傍まで迫ってきていたエリィの花弁へむしゃぶりついた。 
「あんっ!!!」 
「っくっ!!」 
 二人同時に嬌声を響かせながら、相手と強く抱き締め合う。密着し合った乳房が形を歪めて潰れる中、豆 
のように固く膨らんだ乳首と乳首がダンスを踊るように捻れて擦れる。 
 全てが解き放たれるような感覚にも似た快楽が二人の全身に広がったかと思うと、愛液が悦びを謳うよう 
に迸った。 
「あ、あぁ……あっ……!」 
「ぅ……!」 
 開きっぱなしになった口から涎と声を漏らしながら、ロイドとエリィ、二人の視線が相手を見る。お互い、 
瞳に艶麗な光を称えて輝いているのを確認しあうと、どちらともなく腰を揺すり始めた。 
 ずぷっ、ずぷっ、ぐぷっ、ずぶっんっ。二人の花弁が密着と離脱を繰り返す。その度に、小さな肉芽が先 
端をちょんと突き合って離れ、フランクフルトソーセージの一部が見えたり消えたり繰り返す。 
「あ、っふ、ぅ、んっ、あっ、あ……!」 
「くっ、ぅう、ぅあっ、わ、あっ……!」 
 お互い、快楽と絶頂で身体がガクガク揺れ続け、その震動がまた相手の快楽を一段と強める。 
 ワインの海へ溺れるかのように意識も身体も全てが熱となって蕩けて融合していく中、ふいに閃光が二人 
の意識を塗り潰した。 
 続けて、特大の打ち上げ花火が眼前で音をたてずに炸裂したかのような衝撃が体内を駈け巡る。 
「あぁぁっ!!!」 
「くっっっ!!!」 
 悲鳴にも似た声で二人が何度も果てていく中、強く打ち付け合った二人の花弁は愛液を濁流のように噴き 
出していた。 
 
※※※ 
 
 それから数日後の夜遅く――。 
 
「あら、キーアちゃんもう寝たの?」 
 軽く首を回しながら台所へ入ってきたロイドに、シンクで洗い物をしていたエリィが振り返る。 
「ああ、今日はだいぶ歩き回ったらしくて、本一冊読んだだけで寝ちゃったよ」 
 ベッドの中で幸せそうに笑いながら寝入ったキーアを思い浮かべながらロイドが微笑むと、エリィのすぐ 
隣に立った。 
「すまない、俺が当番なのに洗い物をやらせてしまって……」 
 代わるよと手を伸ばすロイドに、エリィがそんな事ないわと首を軽く振る。 
「むしろ、私が謝らなきゃならないし……」 
「え?」 
 申し訳なさそうに目を伏せて俯くエリィに、ロイドは、きょとんとした顔を浮かべた。 
「この前のアレ……ごめんなさい。私が最初の時点でインキュバスワインの事を知っていたと言えば良かっ 
たのに、それを隠して、貴方にセイベツカエルダトナーの肉を食べさせて……」 
 俯いたままとつとつと述べるエリィに、ロイドもようやく理解し、そして、 
「……いや、むしろ謝るべきなのは俺の方だ」 
 声に力を込めて返すと、シンクに溜まった水の中へ沈んだまま動かない彼女の手を握り締めた。 
「君と愛し合って一つになれるだけでも充分素晴らしい事なのに、あの頃の俺はそれを忘れていた」 
 忘れて、ランディの誘いにのってしまった。 
「……正直、君に愛想つかされてもしょうがないと思ったよ」 
 声と表情を暗くして呟くと、ロイドは、ごめん、と、エリィへ頭を下げた。 
「……どうして貴方は、そう自分ばかりを責めるの」 
 エリィが俯いていた顔を持ち上げ、涙で少し潤んだ瞳でロイドを見上げる。 
「私の方こそロイドに嫌われてもおかしくないのに……その、挟むとか、舐めるとか、ロイドにおねだりさ 
れてもずっと断ってばかりで……」 
「いやいやいや! 君が嫌がっているのに無理強いは出来ないよ」 
 顔を真っ赤にしてゴニョゴニョ声を濁すエリィに、ロイドも少し顔を赤くしながらフォローに入った。 
「でも……インキュバスワインで私が嫌がらずにおねだりを聞いてくれたらなとは思ったでしょ?」 
「…………すいません、その通りです」 
 赤みの残滓が残る顔で尋ねるエリィに、ロイドが少し息を詰まらせた後で正直に頷く。 
 二人の顔の熱と沈黙が台所に広がって数秒後、 
「ねぇロイド……」 
 エリィがあからさまに緊張した面持ちで切り出してきた。 
「もし、前に一度だけ行った時みたいに、アレのストックが無くなるまで暴走しないって約束してくれるの 
なら……」 
 言葉が進むにつれて、エリィの顔の赤みが増していく。 
「今日は…………おねだり、断らないから……」 
 緊張と羞恥でガチガチに震えながらも告げてきたエリィに、ロイドは、まるで目の前に夜明けがきたかの 
ような明るさと開放感を感じ、息を呑む。 
「――ありがとう!」 
 感動の余り全身でエリィをぎゅっと抱き締めた瞬間、台所の扉がガチャッと音をたてて開いた。 
「おおーっと、すまん。お楽しみの真っ最中だったか」 
 弾かれるように飛び退いたロイドとエリィに、台所のドアノブを右手で掴んだままランディが謝る。 
「あ、いや、その、別にここでって訳じゃなくて……!」 
 水で濡れた両手を振り回しながらロイドが必死で言い訳をしようとした矢先、 
「ランディ、もしかしてお酒のツマミを取りに来たの?」 
 エリィが備え付けのタオルで手を拭きながら、いつもの声でランディに尋ねた。 
「ん? ああそうだが、何かいいのあるか?」 
「あら、それなら丁度良かったわ!」 
 少し戸惑った様子で問い返すランディに、エリィが笑って両手を叩く。 
「実は、ベルから貰ったお肉があるんだけど、香辛料がちょっと強すぎて困ってたの」 
 続けて出てきた彼女の言葉は、横で聞いてたロイドの背中に特大の悪寒と鳥肌を走らせた。 
「えっ、いいんか、そんな高そうなのを貰っても」 
 動揺しすぎた余りに無反応になったロイドを余所に、ランディが嬉しそうにはしゃぐ。 
「えぇ。だって勿体ないでしょ?」 
 エリィは笑顔のまま言い切ると、食材をストックする棚の一角――それぞれが自分専用の食材を置いてい 
るスペースから布袋を取り出した。 
「ちょっと待ってて、今軽く火を通すから」 
「待ったお嬢。そんなら部屋でファイヤボルトの簡易バーベキューにするぜ」 
「へぇ、それはそれで面白そうね。でも火事には気をつけなさいよ?」 
 和気藹々と会話しながら、エリィが布袋をランディに押し付けるように渡した。 
「あぁ。んじゃ、有り難く頂いていくぜー♪」 
 浮き立った声で、ランディが布袋を手に台所から出て行く。去り際に、ロイドへ意味ありげな含み笑いを 
向けながら。 
「あ、ははっ……」 
 ロイドも、頬を盛大にひきつらせながら笑い返していると、目の前で、パタン、と台所の扉が閉まった。 
「…………エリィ……もしかして、あの袋の中身って……?」 
「えぇ、セイベツカエルダトナーの肉よ」 
 ランディが去って数十秒後、ようやく普通に喋るようになったロイドがおそるおそる尋ねると、エリィが 
笑顔で言い切ってきた。 
「あ、でもロイドに対してはもう怒ってないから」 
 顔を真っ青にしてガクガク震え出すロイドに、エリィが慌ててフォローに入る。 
「ランディにも、食べ終わった頃合いをみてエニグマで教えるから」 
 だから。 
「それまでは内緒よ? ……これはワインのお礼なんだから、ね♪」 
 唇の前に右人差し指をたててウインクしてくるエリィに、ロイドは真っ青な顔で脂汗流してガクガク震え 
ながら笑うしかなかった。 
 
 
 
 

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