外で雨宿りするなら土砂降りの方がいい。霧雨だと雨粒が細かいから衣服へすぐ染み込むし、ちょっとの  
風でも軒下まで回り込んでくるから。  
 ……だからといって、土砂降りなら外での雨宿りも嬉しいという事は決してないのだが。  
「もうちっと降り出すのが遅けりゃ、旨いコーヒーを出す茶店に飛び込めたんだがなー」  
 ねずみ色の空から際限なく吐き出される土砂降りの雨を仰ぎ見てぼやくランディに、横に立つティオもた  
め息で同意する。  
 ここは裏通りの片隅にある閉鎖されたビルの玄関前。分厚い板が打ち付けられたドアをノックしても、誰  
かが出迎えてくれる事はない。  
「なぁティオすけ。潜入捜査って事でビルの中に入らないか? 確かここ、ルバーチェの息がかかった場所  
だったんだろ?」  
「ええ。ルバーチェ本体が壊滅したのに合わせて放棄されたとデータベースにありました」  
 ドア板を引き剥がすジェスチャーをするランディへ、ティオは頷き、ですが、と続ける。  
「侵入者対策に、ルバーチェ商会のようなギミックが仕掛けられている可能性もあります」  
 それでもいいんですか? と、ティオが言外に尋ね返すや、ランディが、げっ、と、顔をしかめた。  
「……まだ外の方がマシだな」  
 しばらくの思案の果てに、ランディは閉鎖されたドアから背を向けた。  
 幸い、頭上の屋根はそれなりに広く、足下の床も道路から階段三つ分ほど高くなっているので、急な突風  
が吹かない限り濡れる事はない。  
「……ロイドさんとエリィさんは大丈夫でしょうか……」  
「大丈夫なんじゃね? あいつらの担当した支援要請、確か警察署内での資料整理だったし」  
 ザバザバ流れていく雨をぼんやり眺めるティオへ、ランディも少し気の抜けた声で返してくる。  
「……うん、やっぱそんな仕事する位なら、ここで雨宿りしてた方がマシだ」  
 少し間を置いてから独り言つと、ランディは土砂降りの続く空を見上げて笑った。  
 会話が止まり、雨の降る音だけが世界を揺らし続ける。土砂降りの向こう、まるで織りの粗い布を通して  
見ているような景色は動かない。傘を差して歩く人影すらない。  
(まさかキーアやツァイトに迎えを頼む訳にもいきませんし……)  
 止むのを待つしかない状況にティオがため息を吐きかけた矢先、横から微かな――それこそ土砂降りの音  
で消えそうな位に小さな鼻歌が聞こえてきた。  
「……雨、好きなんですか?」  
 鼻歌と一緒に届いた感情――まるで弾むような心の動きに、ティオが少し目を開いてランディを見上げる。  
「そうだな。濡れるのは勘弁だが、雨は好きだ。どんな奴の上にも公平に降るからな」  
 降り続ける雨を慈しむように見つめたまま、ランディは答えてきた。  
「公平……ですか?」  
「あぁ。ソイツが偉い奴だから強い奴だから避けますなんて事、しねぇだろ?」  
 驚きを隠さずに繰り返すティオに、ランディは、土砂降りの雨を指さして笑う。  
「だけど、死みてぇにくそったれなシロモンでもない。死よりもずっと優しい公平だ。自分でどうとでも対  
処出来るし、出来なかったらといっても、俺なら水も滴る良い男になるだけだ」  
 ランディがニヤっと唇を曲げた途端、ザッ! と、突風が吹いた。  
「うおっ!?」  
 喚声をあげるランディの身体に、大きな雨粒が幾つもへばりつく。  
「大自然からの良いツッコミ、入りましたね」  
 あまりのタイミングの良さに笑いたいのを堪え、ティオは自分のみっしぃハンカチをランディへ差し出す。  
彼の身体が衝立になってくれたのでティオ自身は全く濡れなかったという点も、大自然からのツッコミっぷ  
りが際だって、おかしさを増幅させた。  
「いーや違うな。実際に濡れる事で俺の良い男っぷりが実証されたのだー!」  
 やけくそ気味に胸を張るランディに、ティオはついに噴き出す。  
 ころころと鈴が転がるような笑い声が、土砂降りの音に混じって広がっていった。  
「あ……す、すいません、つい……」  
「いいんだよ。元からそのつもりだったんだから」  
 暫くして落ち着いたティオが目端についた涙を拭って謝ると、ランディが優しげな眼差しを浮かべて、い  
つもの軽い調子で笑ってくる。そして、右手でティオの頭を撫でてきた。  
 彼の大きな手の重みと温もりが、ティオの胸の中を包み込む。自分でも気付かぬ内に冷えていた心の一角  
を温めてくる。  
「ただ待ってるより、こうしてた方が少しは気が楽になんだろ?」  
 ふわっと包み込むような優しい声に、ティオもそうですねと穏やかな気持ちで頷いた。  
 
「……ランディさんは強いです」  
 再び土砂降りの雨へ目を転じてティオは呟く。  
「こんな雨も前向きに捉える事が出来る……正直、羨ましいです」  
 わたしニハ、雨ハ。  
(雨は……)  
 胸の奥からせり上がってきた言葉と痛みをティオは飲み込む。が。  
「ティオすけは雨は嫌いか?」  
 自分の貸したみっしぃハンカチで身体を拭ったランディから問われた途端、押し込めた言葉と痛みが一気  
に巻き返して、  
「いえ、好きですよ? 教えてくれますから」  
 気がつけば、ランディを見上げて嗤っていた。  
   
   
「……世界は有限です。ただ、その有限が見えないから気付かないだけ、無限だと錯覚してしまうだけ」  
   
『――今なら解ります。ガイさんを頼ってクロスベル行きの電車に飛び乗ったのは、わたしが生きる理由を  
教えて欲しいだけではなかったと――』  
   
「辛い事や悲しい事の詰まったこの場所から出ていけるかもと期待してしまう……」  
   
『――眩しいくらい前向きで力強かったあの人なら、辛い事や悲しい事の詰まったこの場所から連れ出して  
くれるのではと期待していたのもあったと――』  
   
   
「……でも、そんな事は決してありません」  
 ティオは、土砂降りの続く雨へ目を転じる。  
「辛いことも悲しいことも、一生みんな一緒くたです。この世界の檻から誰も何も抜け出せません」  
 一度背負わされた宿命から逃げだす事など、不可能です。  
「雨は、それを教えてくれるから。こうして降り続ける事で、普段は見えない世界の檻を見せてくれるから  
……だから……好きですよ?」  
 ランディから顔を逸らしたままティオが嗤うと、雨が一瞬だけ勢いを増した。  
 ぶわっ、と膨らむような雨音の後、沈黙が始まる。世界の檻が二人の元に落ちてきたかのように、軒下の  
雰囲気がぴりぴりしだす。  
「……すいません。わたしの重荷、分かちあって貰ったのに、こんなわがままを言って」  
 ウルスラ医科大病院で倒れた夜、皆から貰った暖かさ。それを無碍にするような発言をしてしまった。  
 ティオは唇をきゅっと噛みしめる。  
「そんな事、気にすんなよ。ティオすけ」  
 今にも消え入りそうな雰囲気で縮こまるティオに、ランディは優しく声をかけた。  
「たとえ背負わされているモノが鳥の羽一枚分の重さだったとしても、決してゼロじゃない。重さはある。  
背負わされている側の状況次第では、鳥の羽一枚で押し潰される事もある」  
 分かち合いは分かち合い。彼女の元に在り続ける事に変わりはないのだから。  
「それを重たいと言うのは我が侭じゃない。普通の事さ。むしろ、いくら軽いからといって弱音を吐いたら  
駄目だっつー方が異常だ」  
 ランディは少しだけ声を尖らせて告げると、  
「それにな」  
と、ティオの身体を強く抱き締め、そのまま持ち上げた。  
 
 ランディの温もりに導かれるように、ティオの身体が浮き、両足が地面から離れていく。土砂降りを眺め  
ていた視界が回って彼の顔が正面にくる。  
 優しけど鋭いランディの眼差しに、触れた箇所を通して伝わる彼の鼓動と体温に、ティオの頬と胸が自然  
と熱くなる中、  
「世界の檻の外へ抜け出せないんだったら、もっと狭い檻の中へ引きこもればいいんじゃね?」  
 軽い声にウインク付けて、ランディが提案してきた。  
「……え……?」  
「いいアイデアだろ?」  
 目を点にするティオへ、ランディは朗らかに笑い返すと、彼女を抱き上げている両手の位置を変える。左  
腕にティオのお尻を乗せて座らせ、自分の頭上に彼女の頭が出る形にする。  
「でもって、その狭い檻の中に、ティオすけの大好きなものだけを詰め込めばいい。悲しみや辛さなんざ入  
り込めない程ギュウギュウにすればいい。そうすりゃ世界の檻だの有限だの、気にもならなくなるさ」  
 だから。  
「……その狭い檻の役目は、俺がやってやるから」  
 その小さな背中にのし掛かった悲しみや辛さを引き剥がしてやるから。  
「これ以上、独りで全てを抱え込むな」  
 心からの想いを声に乗せて、ランディは、右手でティオの背中をそっと撫でた。  
「世界よりもずっと狭い檻へ……ですか」  
 ぽつりと呟くと、ティオがランディの頭頂へ顎をのせる。ライトブルーの髪の毛が羽ばたくように揺れ動  
いたかと思うと、ランディの頬や髪や肩にしな垂れてくる。  
「そんな事……考えてもみなかったです」  
「ならこれからはちゃんと覚えてろ」  
 嗚咽するように声と肩を震わせるティオに、ランディは少しだけ声を強くして告げると、右手で彼女のお  
尻を撫でた。  
「ひゃぁっ!?」  
 ティオがかすれた喚声あげて仰け反る中、ランディの指先へ、ぬいぐるみ特有のモコモコした感触がくる。  
「ランディさん、いきなり何するんですか……!」  
「そーゆーティオすけこそ、お尻に何くつけてんだよオイ」  
 ランディの顔を見下ろして睨むティオへ、ランディも彼女のお尻にある膨らみを人差し指で押しながら聞  
き返す。  
「まさか恋人の俺に内緒でアナル開は……」  
「ただの、みっしぃの尻尾付きパンツです」  
 言いかけたランディをジト目で黙らせると、ティオは、変態です……と吐き捨てた。  
「というか、仕事中に、しかも真っ昼間の外で発情するなんて、どこのセクハラオヤジですか変態」  
 感応力で伝わってくるランディの変化――愛し合う時、世界で一番優しい音楽を奏でている時と同じ鼓動  
と熱を放ってくる――に、ティオは心底呆れ返って息をつく。  
「そう堅いこと言うなよティオすけ」  
 ランディがまぁまぁと笑って宥めると、右人差し指にティオの髪の毛を巻き付けた。  
「どうせ、雨が止むまではここから動けねぇんだ。だったら、好きに過ごした方がいいだろ?」  
 語尾に合わせて、ランディが右人差し指を一気に引き抜く。  
 ライトブルーの髪の毛がくるくる躍っていく中、ランディは、彼女のプリーツスカートに右手を乗せた。  
「……」  
 ティオがジト目を緩め、観念したように表情を綻ばす。  
「交渉成立だな」  
 ランディもぱっと顔を輝かせて笑うと、右手を更に下げ、サイハイソックスで覆われていない内太股へ触  
れた。  
 
 外気に慣れて冷えていたティオの内太股を、ランディの手の熱さが圧してくる。  
「っ……」  
 身体の奥で走った疼きにティオが怯えるように竦み、ランディへすがるように強く抱きつく。顎先が彼の  
頭を軽く小突き、こちっ、と、歯と歯の噛み合う音が口の中で響く。  
 一方、ランディはティオの内太股を存分に撫で回すと、そのままお尻へ右手を這わせた。  
 彼女のプリーツスカートが盛り上がり、短くなった丈からみっしぃのふわふわ尻尾がちょろっと出てくる。  
「パンツの付属品にしちゃ、結構凝ってんなコレ」  
 彼女の部屋に飾られているぬいぐるみと全く同じ質感の尻尾を、ランディは右親指と人差し指で摘んで軽  
く引っ張ると、残りの指をパンツとお尻の合間へ差し入れた。  
 瑞々しい弾力と滑らかさがランディの指先に返ってくるや、抱き上げているティオが身体を大きく揺らす。  
「あっ――!」  
 頭上から降る彼女の嬌声に合わせてライトブルーの髪の毛が揺らぐ。雨のように振り注ぐ声とシャンプー  
の甘い香りに、ランディの唇は笑みを作り、潜り込ませた右中指が尻の谷間へ落ちていく。そうして、最深  
部に到達すると、幾重ものひだが集まった菊花の感触が指先にきた。  
「っ!!」  
 ティオが息を呑んで身体を硬くする。菊花もひだをきゅっと縮めたかと思うと、更に奥へ逃げようとする。  
 それを指で追いかけると、ランディは、菊花をそっとくすぐり始めた。  
「!! だ、駄目です……そんな汚い場所……!」  
 視界の隅でライトブルーの髪の毛が驚くように揺らぎ、頭上からティオの焦る声が届く。  
「どれだけの雑菌があると、思っているんで……っ!?」  
 抗議するティオに、ランディは菊花を少しだけ強く圧して返した途端、魚のように彼女の身体が大きく跳  
ねた。  
「いやまぁ、他に弄くれる場所が今はないからなー」  
 小さくてぷるんとした唇や耳は自分の頭上。  
 控えめな曲線の割には柔らかさはたっぷりある乳房はアーマーとベストで幾重にも隠され。  
 下の花弁はというと、彼女を乗せている自分の左手が邪魔して指が届かない。  
「やっぱティオすけ自身が気持ち良くなってからじゃなきゃ入れるのは無理だろ?」  
「ならば、わたしを下ろせばいいだけです……!」  
 ティオが声を尖らせ、ランディの元から降りようとする。が、ティオが足を動かすより先に、ランディが  
左手に力を込めて押さえつけてきた。  
 万力で固定されたかのように、ティオの両足が微動だにしなくなる。  
「ランディさん……!?」  
 左手を力こぶで膨らませてまでして拘束してくるランディに、ティオもさすがに声を荒げる。  
 しかし、ランディは何も答えず、彼女の菊花に触れたままだった右中指を再び動かし始めた。  
「っつ!」  
 毛虫が這い上がってくるような悪寒が、ティオの背中を揺さぶっていく。ライトブルーの髪の毛やマント  
も驚いたように揺れ、彼の赤茶色の髪の毛やオレンジのミリタリーコートを擦っていく。  
「こ、こんっ、な、汚い場所を、平気で弄くっ、る、なんっ、て……変態です……!」  
 目尻を吊り上げ、歯を剥いて、ティオがランディを見下ろす。が、怒りの形を作る目に反して瞳はしっと  
り艶めき、抗議の言葉を紡ぐ唇からは熱い吐息が零れ始めていた。  
 
 そっと通り過ぎていく風のように、ランディの右中指がティオの菊花に触れて撫でて揉んで押す。  
「! っあ、んっ、あっ、あ……!」  
 菊花のひだの上を彼の指が滑っていく度、蕾の中へ彼の指先が潜りそうになる度、ティオの体内はぞくぞ  
く震え、両手はランディの肩を掴んで悶える。  
 最初は寒かった震えは徐々に熱を帯び、尾てい骨をじりじり焦がし始める。放置された蜜壺の中でも熱が  
蠢き、花弁がしっとり湿り始める。  
「お願いです、これ……以上、は……っ……!」  
 排泄器官で感じて始めている自分にティオが怯え、顔をくしゃっと歪めて請う。と、彼の右親指と人差し  
指がパンツの下へ潜り込み、先にあった他の指と一緒にティオの尻たぶをぐっと掴んできた。  
「あぁっ!」  
 ティオが安堵に満ちた嬌声をあげる。菊花と違って後ろめたくない箇所という安心感で心と肉体が一気に  
解放され、全身を快楽の細波が駆け巡る。  
 蜜壺から熱の塊が零れ落ち、愛液となってパンツの布地を濡らした。  
「あっ、んっ、ん、ぁう、あっあ……!」  
 小刻みに身体を前後に揺らして悶えるティオの下で、ランディが右掌で彼女の尻たぶを掴んで揺すってこ  
ね回す。時折、右中指で菊花をそっと押したり尾てい骨へ向かって軽く抉ってみると、ティオは堪え忍ぶよ  
うに身体をビクンと固くして息を止めてくる。  
(だんだん弄くられんのに抵抗が無くなってきたか……それとも、尻と一緒にされているからか……?)  
 菊花を弄っても罵倒しなくなってきた彼女の変化をランディが楽しんでいたら、  
「お尻でだからです……!」  
 間違えないでくださいと、頭上からティオの抗議が降ってきた。  
「おぉ、すまんすまん」  
 ランディは軽い調子で謝ると、若干力を込めてティオの尻を握る。  
「あぁんっ!」  
 少し痛い位の刺激にティオがオクターブ高い声を出して背中を逸らす。  
 そのまま引っ繰り返らないよう、ランディは慌てて彼女を抱き支える。その際、彼女の菊花と接触したま  
まだった右中指を、意図せず前へ押し出した。  
「ん――!」  
 ティオが両肩を竦めて固まる一方、菊花の蕾が少しだけ緩む感触がランディの指先に返ってくる。  
「あ……悪ぃ、うっかりしてた」  
 緩んで――受け入れてくれたから良かったものの、そうでなかったら怪我に繋がっていたかもしれない状  
況に、流石にランディも冷や汗かいて謝る。  
「だったら早く離してください……!」  
 ティオが眦を上げて睨むと、ランディもそうだなと素直に頷き、彼女の尻に密着していた右手を抜いた。  
 
(そんな、右中指だけで良かったのに……)  
 ティオが残念がる間も無く、地上へ向かって上体が勢いよく前転する。ランディの左肩へ腹這いに――俗  
に言う荷物担ぎの体勢にされる。  
「さすがに尻だけで気持ちよくなるっつーのは上級者すぎるよな」  
 うんうんと独り勝手に頷きながら、ランディはミリタリーコートのポケットから二つ折りのカード型手鏡  
を取り出した。  
 建物のドアに打ち付けられた板の隙間に手鏡を差し込むと、ランディは身体の向きや位置を微妙に動かし、  
左肩に担いだティオの下半身が最も良く映る位置を探る。  
「何をするんですか……?」  
「気持ちよくなる事さ」  
 少しだけ不安を覚えたティオが振り向いて問うと、ランディはいつもの朗らかな声で、プリーツスカート  
をめくってきた。  
 手鏡の中に、みっしぃの尻尾付きパンツを履いたティオのお尻が露わになる。  
「これはこれで、中々にいい景色だな」  
 ランディがヒュゥっと口笛を吹くと、彼女の腰に回した左手でプリーツスカートを抑え、右手でパンツの  
みっしぃ尻尾を掴み、そのまま横へ引っ張った。  
 鏡の中にティオの秘部が丸見えになる。愛液で少しだけ滑らかになった花弁は勿論、今まで弄くられてい  
た菊花も、手鏡の中へばっちり映る。  
「――!!」  
 ティオが恥ずかしさのあまり顔を逸らす一方、ランディは右中指を菊花に、薬指と小指を花弁と肉芽に触  
れた。  
 手鏡を見ながらランディが指先を動かし始める。まるで髪を整えるようなノリで口笛を吹きながら、ティ  
オの花弁や菊花をクチュクチュ弄くっていく。  
「っ……!」  
 彼の指が花弁の上を滑る感触は電流の針となってティオの下腹部を突き、蜜壺の中に熱となって膨らむ。  
近くを通り過ぎる人がいないとはいえ、土砂降りでいつもよりも視界が遮られているとはいえ、昼の街角で  
自分の秘部を鏡で丸見えにされて弄くられる恥ずかしさで頭が焼き切れてしまいそうだった。  
「んっ、ん……ぁ、あっ、あぁっ、あ……っ!」  
 切なげな声を漏らして悶えるティオの顔が赤らみ、うっすら汗をかきだす。手鏡に映る彼女の花弁もしっ  
とりと濡れ、ランディの見つめる前で愛液を零していく。  
「へぇ、こんな風に濡れてくるんか」  
 花弁と薬指の合間を繋ぐように流れ出た愛液にランディが素直に感心した途端、ティオが盛大に身を竦め、  
両足で蹴りをするようにもがいた。  
 続けて、ごぽっ、と、ティオの花弁が愛液を少し多目に垂れ流す。花弁のひだとひだの合間にも流れて、  
花が咲くように左右へひだを開かせる。  
「……おやぁ、ティオすけは、今の感想だけで気持ち良くなったんか〜」  
 ランディがニヤニヤ笑って独り言ちた途端、ティオが声にならない抗議をあげて背中をボカボカ叩いてき  
た。  
 その反応も良いね良いねー、と、ランディは表情を綻ばすと、右人差し指で菊花を押し揉み、薬指で花弁  
を横に引っ張る。鮮やかなサーモンピンクに彩られた蜜壺への道が鏡面へ映った途端、ティオの上下の口が  
嬌声と愛液を吐き出した。  
 肉芽の先を伝って落ちていこうとする愛液を、ランディは右小指ですくい取る。  
「っつ――!!」  
 肉芽を抉られ揺らされ、ティオが、髪とマントを大きく翻しながら仰け反った。  
 
「あ、あぁん! ……あんっ、あ、あ……はぁ……!」  
 ティオの口から零れる嬌声が高まり、降り続ける土砂降りの音より大きくなっていく。  
 雪のように白い肌が溶けそうな位に顔を赤くし、開いた唇の端は涎がうっすら糸を引く。握り締めた両手  
はランディの背中へずっと押しつけたまま、両足は時折宙をかくように跳ねる。裏通りの方へ向けられた目  
は悦楽の光で塞がれ、何も映していなかった。  
「あぅん! あ! あっ、はっ……は、ぁ……あぁん!!」  
 鏡越しに自分の場所を見つめられて弄くられる事実が、自分のあそこが気持ち良いと叫ぶ様子をリアルタ  
イムで拝まれている状況下が、恥ずかしくて恥ずかしくて……それこそ頭の中身が熱で全て蒸発しそうな程  
恥ずかしいのに。  
 それらを全く嫌悪せず怖がらず、むしろゾクゾクしながら愉しんでいる自分に、ティオは恥ずかしくなっ  
て……そして更に気持ち良くなってくる。  
 そんな自分の心境をランディも気付いているのか、弄くる指の動きをあからさまに大きくして、愛液をク  
チュクチュ掻き回してきた。  
「あっ! あ! ぅあっ、あっあ……!」  
 手鏡に映るティオの秘部は愛液を際限なく垂れ流し、花弁のひだとひだを何度も揺らす。すぐ横にずらさ  
れているパンツは勿論の事、布地に縫いつけられたみっしぃの尻尾も愛液でべっとり濡れていく。  
 青味の強い果実のような固さが残るお尻も弾むように震え、谷間の奥に隠れている菊花が時折だが少しだ  
け開く。  
 その変化を鏡越しで見ていたランディが右中指で菊花の蕾を押すと、痙攣がティオのお尻全体に広がり、  
反動で花弁を弄っていた薬指と小指が蜜壺の中へ潜り込んだ。  
「っ!!!」  
 ティオの身体の中心を、快楽の太い針が貫いていく。  
「あああっ……!!!」  
 ありったけの声をあげてティオが全身を震わる一方、ランディは無言で手鏡を見つめる。彼女の花弁や肉  
芽が跳ねるように痙攣を繰り返す所や、愛液が塊となって吹き出す所を、鏡を通して見つめ続ける。  
 やがて、ティオの声が枯れ、全身の痙攣が止まり、ランディの肩の上でぐにゃりと伸びきる。  
「……大丈夫か、ティオすけ?」  
 ランディが、愛液で濡れた右手で彼女の腰を優しく叩きながら尋ねると、ティオが吐息のような声で頷い  
てきた。  
「今日もまだ、そんなに孕む確率は高くなかったよな?」  
「はい……昨日よりは少し高くなってますが、それでも、まだ、27%ほどです……」  
 絶頂の余韻にとろんと蕩けた顔で返すと、ティオは伸びきっていた身体に力を入れ直し、ランディに抱き  
つく。  
 唇を綻ばす息づかいと、弾むような心の動きが彼の方から伝わってきたかと思うと、ズボンのジッパーを  
下ろす音が聞こえてきた。  
「ティオすけ、俺の首の後ろに両手をまわして捕まってられるか?」  
 ズボンの中から屹立した一物を取り出しながら問うランディに、ティオはかくんと頷き、両手を彼の首の  
後ろに回す。  
「上出来だ」  
 ランディが口端を持ち上げて笑うと、左肩からティオを下ろし、両腕を彼女の膝裏へ、両手を彼女のお尻  
へまわした。  
 ティオの両足がカエルのように持ち上がる。プリーツスカートが一端下がってまためくれ、愛液が滴る程  
にグショグショになったみっしぃの尻尾付きパンツが露わになる。  
 パンツの股部分の布地をランディが指でずらした途端、蛇口を捻るかの如く愛液が垂れ、すぐ真下にきて  
いたランディの男根へ雫が落ちた。  
 亀頭を濡らす温かな感触にランディは思わずニヤけつつ、天を仰ぐように屹立した己の一物を雫の源――  
ティオの花弁へくつけ、彼女を抱き上げている両手の力をそっと緩める。  
 たちまち重力が彼女の身体を下へ引きずり、男根が花弁を割って入り始めた。  
 
「あぁっ……!」  
 蜜壺の肉壁を押し広げて昇ってくる男根の感触に、ティオが頤を逸らして声を漏らす。蜜壺から全身へ広  
がっていく気持ち良さに両手が解け、ランディの胸の上で身体が滑る。  
「っ……!!」  
 ティオは慌てて手の力を入れ直すと、ランディの身体にしがみつく。  
 ランディは、そんなティオのおでこへ軽くキスすると、お互いの身体を揺さぶるように動き始めた。  
 二人の衣服が擦れ合う音をBGMに、男根が蜜壺の出入りを開始する。地表へ降り注ぐ土砂降りとは逆に、  
二人の肉体は空へ向かって何度も弾む。  
「あんっ、ああ、あんっ、あ、はぁんっ……!!」  
 ライトブルーの髪を振り乱しながら、必死でランディに捕まり続けるティオ。いつもより貫きが深くない  
分、肉壁を抉られて擦られていく動きが激しくて、下腹部の中があっという間に沸騰する。  
「あぅん、はっ、ああっ……!!」  
 両手に力を込めて身体を少しだけ上へ伸ばすと、ティオはランディの唇へキスをする。乳を飲む赤子の如  
く、彼の唇へ必死に舌を伸ばして吸い付いていたら、ランディも少しだけ頭を下げて、舌を突き出してきた。  
「んっ……」  
 口の中で絡み合う舌と舌の感触は、いつもと変わらぬキスの温もりは、ティオの胸の中を安心感で満たし  
ていく。  
 プリンのように弾むお尻の間で花弁が微笑むように綻び、咥え込んだ男根へ愛液をたっぷりまぶしていっ  
た。  
「んっ、むぁ、ぅあ、んっ……」  
 重ねた唇の端から涎を零しながら、ティオはランディへしがみつく。ぬぷっ、ずぷっ、と、土砂降りの雨  
音とは違う水音が股の方から響いてくるのを聞きながら、自分の蜜壺の中を昇降する男根の質感と熱を抱き  
締める。  
 土砂降りで少し視界が悪くなっているとはいえ、雨宿りしている軒下から裏通りまでの間に遮蔽物は何も  
ない。もし誰かが通ってこちらを見れば、ナニをしているのか一目瞭然だ。  
 そんな環境の中で、自分から動けない、彼の為すがままに犯される状況に、ティオは背中をゾクゾク震わ  
せながら、ランディの唇にむしゃぶりついて舌と舌を絡めて、互いの唾液を全部入れ替えそうな程の深いキ  
スを続ける。  
 雪のように真っ白なお尻は、彼の大きな手の中で、男根の動きに合わせて弾み続ける。パンツに縫いつけ  
られたみっしぃの尻尾を不規則に揺らし続ける。  
「んぁっ、あっ……!」  
 不意に、ティオの頭の中でフラッシュがぱっとたかれたかと思うと、上下の口が同時に痙攣する。  
 すぐ目の前にいるランディが目端を少し引きつらせ、蜜壺の中へ深く潜り込んだ男根も微かに身じろいだ。  
 
「んんん……っ!!」  
 男根が蜜壺の肉壁を震わす感触に、ティオが静かに悶え震える。  
「すまん、ティオすけ。そろそろヤベぇ……!」  
 一方、ランディは名残惜しそうに唇を離すと、少し苦しげな声で告げてきた。  
「いいですよ……わたしの中を、ランディさんのでいっぱいにしてくださいっ……!」  
 顔を真っ赤にしながらティオは請うと、彼の身体に全力でしがみつく。  
 安堵するような笑うような息遣いがランディの元から聞こえたかと思うと、ティオの身体を跳ね飛ばすよ  
うな勢いで腰を揺らし始めた。  
 ずぷっ、ずぶっ、ぬぶっ、ぐぷっ。蜜壺と強く結合して律動を繰り返す男根が織りなす水音は、二人の耳  
から土砂降りの音を遠ざけていく。  
「あっ、あぁっ、あああっ!! あんっ!!」  
 通りにまで聞こえそうな声を出してティオが喘ぎ、彼を求めて腰を揺らす。  
 心臓は早鐘をうち、それに煽られるように蜜壺の肉壁も細かな震えを幾度も起こす。  
 接触面に一つの層が出来そうな勢いで噴き出し地表へ流れ落ちていく愛液。だけど、彼の男根が蜜壺の内  
部を昇り下りする摩擦は弱まるどころか、むしろもっとジリジリヒリヒリしてきて、ティオの体内へ拡散し  
ていく。  
「あん、あ、はぁっ……ぁん! ぅ……あ! あああっ!」  
 ティオの目の奥で真っ白な花火が何度もあがり、蜜壺と背骨が砕けそうな勢いで身体が震える。  
「ああぁんっ! あっ! あっ、はぁっ、あんっ!」  
 どんなに大きな声をあげても、股の方から聞こえてくる卑猥な水音。ぐじゅ、にゅぶっ、ずっず、んぶっ、  
と、濁った音色で快楽と悦びを謳い、ティオの心をかきたてる。もっと喘げ、もっと悶えろ、全身で気持ち  
良いと訴えろと、囁きかける。  
「ああっ、あ、ん、ぅ、あっ、あ……ああっ!!」  
 誘惑のまま身体を揺らすティオのお尻の上で、みっしぃの尻尾もせわしなく動く。彼女と神経が繋がって  
いる訳ではないのに、時折痙攣して停止するような仕草もしだす。  
 二人の足下には愛液の小さな水たまりが出来、今も尚、真上からポタポタ雫が降り注ぐ。  
「あぁっ! あんっ、あ! あはあっ、あ、あんっ!!」  
 意識や思考の何もかも真っ白に染めて吹き飛ばす快楽の波動をひたすら浴びながらティオが嬌声をあげ続  
けていると、彼の下腹部で熱が蠢くのを感知した。  
 次の瞬間、彼の腰がぶるっと震えたかと思うと、体内で発生した熱の蠢きが爆発し、男根の中へ猛スピー  
ドで流れ込む。  
「――!!」  
 ティオが目を見開き、背中を大きく震わせながらランディへ強くしがみついていると、男根が、蜜壺を深  
く強く突き上げながら大きく脈動してきた。  
 びゅるっ……どぷどぷどぷっ……! 男根が、ティオの中で精液を解き放つ。自らの身を強く引き絞りな  
がら、最奥にある肉壁へ、白濁液の礫を容赦なく叩き付ける。  
「ああぁあぁっ!!」  
 身体を溶かしそうな熱と快楽の波動にティオが背中を大きく反らして震える中、男根はいつまでもビュク  
ビュクと脈動し続けていた。  
 
※※※  
   
 土砂降りだった雨が勢いを弱める。雨粒の大きさと間隔が開き、織りの粗い布で覆われたような見えづら  
さが無くなってくる。  
 そんな中、軒下では、ティオとランディが、結合した体勢のまま口づけを交わしていた。  
「ん、ふっ……ふぅ……」  
 全てを放出し終えた後でも尚、男根は蜜壺へ抱きついて密着したまま動かない。その質感と熱をお腹全体  
で感じながら、ティオは彼の前歯を舐め上げる。と、舌の裏に彼が舌先を差し込んできた。  
「んっ……」  
 くすぐったさにティオが思わず肩を竦めると、ランディが更に舌を大きく回して悪戯してくる。  
「んんぅっ……」  
 少し困った風に笑いながらティオが身体をくねらせると、彼も目端を曲げて笑ってきた。  
 やがて、男根が完全に力尽き、蜜壺からずるりと抜け落ちる。ティオのお尻が切なげに震え、パンツに縫  
いつけられたみっしぃの尻尾も名残惜しそうに揺れる中、男根と一緒に滴り落ちた愛液が地表に模様を描い  
た。  
 下が離れたのを合図に、二人も口づけを終わらせる。  
 荒い息をつきながら、じっと視線を絡ませ合うこと数十秒。どちらからともなく表情を緩めて微笑み合っ  
た。  
「……もう大丈夫ですよ。ここに……世界の中に、降ろしても」  
 ありがとうございますと囁くティオに、ランディが少しだけ目端を揺らす。  
「わたしを抱き上げ続ける事で、世界から切り離した……そういう表現だったんですよね?」  
 解ってますよの言葉を目線として送ると、ティオはランディにしがみついていた両手を緩めた。  
「……やっぱティオすけには隠し事は出来ねぇなぁ」  
 照れ臭そうに笑いながら、ランディは、ティオを地面へ降ろす。黒いブーツを履いた彼女の足が地面へ触  
れた途端、とんっ――と、軽やかな音がたった。  
「でも、お陰で、思い出せました……まだ何も背負ってない頃の感覚を」  
 躍るような足取りで着地すると、ティオはパンツの位置を正す。蜜壺の中にある彼の残滓が重力で滑り落  
ちてくる前に、入口の秘部をパンツの布地で覆い隠す。  
 すぐ後ろから、ランディが自身の男根をズボンの中に仕舞ってジッパーをあげる音が聞こえてきた。  
「わたしは、幸せ者です……重荷を分かち合って貰えるだけでなく、重荷そのものから逃げ込める檻まで頂  
けた」  
 ティオはランディの方を振り返って見上げ、もう一度、ありがとうございますと囁いた。  
「……そっか」  
 ランディの顔に、嬉しさと安堵を混ぜた笑みが浮かぶ。  
「また背負ってるモンを放り捨てたくなったら、いつでも言ってくれよ。ティオすけ」  
「ええ。そうさせて貰います」  
 ティオは素直に頷くと、ふと気になった疑問をぶつけた。  
「わたしも……ランディさんにとっての小さな檻になりたい。なれますか……?」  
 少しだけ不安を覚えて、ティオの声が細くなる。  
「ああ。勿論さ」  
 いつもの朗らかな声でランディは答えると、でもな、と続けた。  
「俺にとっちゃティオすけは、もうとっくの昔に最強で最小の……そして極上の檻になってんだぞ」  
 気付いてなかったのか〜? と、からかうようなニヤニヤ笑いで顔を近づけてくるランディに、ティオは  
正直に返す。  
「すいません、全く気付きませんでした」  
 淡々ときた返答に、ランディがその場で盛大にずっこける。  
 そのオーバーリアクションに、ティオも思わず噴き出し破顔する。  
 穏やかな雰囲気が軒下に満ちていく中、雨の降る勢いは更に弱まり、空では陽光が雨雲を割り始めていた。  
 
 
 
 

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