俺は今、寝具に溶けてしまいそうなほどの睡魔に襲われている。  
にもかかわらず、先ほどからけたたましい女の声がする。  
「カズ!いい加減に起きな!和真!!」  
カズ・・・?誰だ・・・それは・・・。  
「・・・うるさい・・・・・・」  
うん・・・?声がおかしいような・・・?呑みすぎか?  
俺は昨日、黄泉の尻拭いをさせられて疲れている。  
とにかく寝かせて欲しいのだが・・・。  
「良い根性してんじゃない・・・・・・はぁ!!」  
「ぐはぁ!!」  
鈍い痛みが・・・背中に・・・ひ・・・肘か・・・?  
この女・・・やるな・・・。  
「い・・・いきなり何をする・・・がっ!?」  
良い拳だ・・・が・・・俺を怒らせた罪は重い・・・。  
「何って・・・わざわざ起こしに来てあげたお姉様に対して無礼な口を利く愚弟に正義の鉄槌を食らわせたに決まってんだろぉ?」  
お・・弟?俺に姉はいないはずだ。  
というかここはどこだ?  
というかこいつ人間か?  
ということは人間界か?  
あの・・・鏡に映っている失敗ヅラはもしかして俺か!!??  
なんだこれは!?  
「俺はこんな非現実的な事は認めない!」  
「生きるUMAが何を言う!!ふん!!」  
『ゴキッ』  
 
鈍痛が後頭部に走る。  
鈍器で殴られたか・・・?  
意識が・・・・・・と・・・おい  
・・・し・・・し・・ぬのか・・・こんな・・・  
 
 
 
「ぉーぃ・・・ぉーい」  
誰だ・・・俺を・・・呼ぶのは・・・。  
「おい!蔵馬!」  
ん・・・?ぁあ、今一番見たくない顔だ。  
「なんだ・・・黄泉か・・・」  
「なんか夢でも見てたのか?魘されてたぞ?」  
魘されてた?俺が?  
そういえばいやな夢を見たような気がするが・・・。  
ぼんやり女の顔は覚えてるが美人だったな。  
それ以外は不鮮明だ。  
まあ、いい。  
「・・・寝るから帰れ。もう一度起こしたら殺す」  
「・・・はいはい」  
俺はもう一度・・・眠りについた。  
 
 
 
おわり  
 

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