「あなた達は離れていた時間が少し長すぎたのかもしれない」
蔵馬がいつか言った言葉を、飛影は思い出していた。
こうなることを望んでいたのか。
自分が兄だと告げないのはこのためだったのか。
「飛影さん・・・」
自分の目の前にいる少女は、知っているのだろうか。
様々な疑問が浮かんでは夜の闇へと消えた。
すべては胸の高鳴るままに。
雪菜の肩をそっと抱き寄せ、みずみずしい果実のような唇に自分のそれを重ねる。
「ん・・・」
雪菜が小さく息を漏らす。
舌先を割り入れると、雪菜もそれに応じる。その舌は甘く、とても柔らかかった。
くらくらと眩暈がするような幸福な感覚に酔いしれながら、彼女の身体を抱きしめ、
その首筋に舌を這わせる。
「あっ・・・」
衣服の裾から手を滑り込ませると、雪菜がビクン、と身体をこわばらせる。
はやる気持ちを抑えつつ、柔らかな膨らみをゆっくりと揉みしだく。
「んっ・・・ぅん・・・」
胸元をはだけさせると、思ったより豊満な乳房が現れた。
頂点にある薄紅色の乳首をそっとつまみ、指で擦り合わせる。
「あぁっ・・・」
普段の清楚な姿とは打って変わった彼女の姿に、飛影は興奮する。
刺激を与えられ、固くなった乳首を口に含んで吸う。
「はぁっ・・・・・・んっ・・・・・・」
雪菜の甘い嬌声が部屋に響きわたる。
身体をくねらせ、快感から逃れようとする彼女を捕まえて離さず、頂点を舌先で転がす。
「あぁ・・・・・・っ、やあぁ・・・・・・ん」
下半身に指を滑り込ませるとそこはすでに熱く潤み、愛液が溢れ出していた。
飛影が中指をゆっくり抜き差しすると、クチュクチュといやらしい音が部屋に響く。
「あっ、はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
指の動きにあわせて、雪菜が吐息を漏らす。
いったん彼女の唇に優しくキスをし、それから太腿の裏側に手を入れる。
それをそのまま持ち上げて、両脚を広げさせる。
「あ、や・・・は、恥ずかしい・・・・・・・・・・・・」
雪菜は消え入りそうな声で懇願したが、飛影はわざと無視する。
とめどなく愛液のあふれ出る蜜壷に、口付け、舌で割れ目をなぞる。
「っ、ひゃんっ」
雪菜の身体がビクッと反応したが、飛影は黙って顔を動かし、じっくりと味わう。
「やっ、いや、あっ、あっ・・・・・・」
雪菜は首を左右に振り、必死に快楽の波から逃れようとしている。
それでも飛影は舌の動きを緩めない。
いったん強く蜜壷を吸いあげ、そして中に舌を入れて暴れさせる。
「あああっ・・・・・・!、っ・・・・・・!!!」
雪菜の身体が大きく仰け反り、まるで全身に電流が走ったように身体を震わせた。
一度目の絶頂を迎えた彼女は、火照った体で、恍惚の表情を浮かべていた。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
「雪菜・・・・・・」
彼女の身体を抱きしめる。
首筋や乱れた髪からの甘い匂いが、鼻をくすぐる。
「飛影さん・・・」
雪菜が自分の背中に腕を回してきた。
その行為が、なんともいえず愛しい。
互いの体温が融けあう安心感に身をゆだねながら、雪菜の息が整うのをじっと待つ。
やがて、顔を動かし、飛影は雪菜の顔を見やる。
彼女も彼の顔をじっと見つめる。
しばらく無言で見つめ合った後、額をくっつけあう。
「ん・・・・・・」
口付ける。
そして、ちゅく、ちゅくと音を立てて彼女の唇を吸う。
蕩けるような感触に、再び潜っていく飛影。
「ん・・・・・・む・・・・・・ぅ」
ふいに雪菜の手が、飛影の下半身に触れる。
(っ!!)
驚いて唇を離す。
偶然かと思ったが、やはり、もう一度、今度はしっかりと。
(こいつ・・・)
不意を付かれたのは頂けなかったが、それでも身体は正直に反応してしまう。
しゅる、しゅると上下する雪菜の手の動きにあわせて、飛影のものは次第に固さを増していく。
「・・・・・・っ・・・・・・」
どこで覚えたんだこんなの。
やがて、雪菜の頭が飛影の懐へゆっくりともぐってゆく。
おい。まさか・・・
そう思った瞬間。
飛影のものが温かく柔らかいものに包まれる。
「――――っ」
まるで電流のように、全身に熱い血がかけめぐる。
根元から先端まで、すーっと舌を這わせられ、雪菜の濡れた唇と舌が、飛影のものを咥えこむ。
そのままゆるゆると頭を動かし、唇を這わせ、先端を舌先で突付かれる。
「・・・・・・っ、う・・・・・・」
快感に耐え、息を呑み、飛影は小さく声を漏らす。
雪菜が動きを止め、恥ずかしそうに飛影の顔を見やる。
「あの、・・・気持ちいい・・・ですか?」
「・・・・・・・・・・・」
飛影が黙って小さく頷くと、雪菜は安心したようで、また飛影のものをそっと咥える。
雪菜の動きはまだ若干ぎこちなかったが、飛影にとっては十分快楽を得られるもので、
上下に擦られるたび、それは固さと熱さを増していく。
自分だけが気持ちよくなっているのが悔しくて、飛影は手を伸ばし、雪菜の乳首を指でなぞる。
「あっ、やん・・・」
お互いに刺激を与えながら、だんだんと高みに登りつめていく。
「雪菜・・・もう・・・」
飛影の先からは先走りの液があふれ出ていた。
雪菜が口を離すと、銀色の糸が、つ、と引いた。
元の体勢に戻り、彼女の下半身に触れ、感触を確かめる。
そこは先ほどの愛撫ですでに十分すぎるほど濡れ、その時を待ち構えていた。
「飛影さん・・・」
「・・・入れるぞ」
「・・・はい」
深く息をつき、手をあてがい、それからゆっくりと挿入する。
「・・・・・・あああ・・・・・・っ」
好きな人に貫かれる悦びと、痛みとが入り混じり、雪菜は声を上げた。
「・・・っ、我慢しろ・・・」
少しずつ、だが確実に、飛影は雪菜の中に入っていく。
雪菜の中は、熱く、柔らかく、心地よく締まっている。
その感触だけで、行ってしまいそうになる。
「あん・・・・・・あ・・・・・・はぁ・・・」
やがて、飛影のものが一番深い所まで挿入され、二人の身体は繋がった。
「ああ・・・んっ・・・、飛影さん・・・」
「雪菜・・・・・・」
好きな人とひとつになれる悦び。互いの名を呼び、深く抱きしめ合い、
どちらからともなくゆっくりと腰を動かし始める。
じゅぷ、じゅぷといやらしい水音が、二人の思いを掻き立てる。
「あっ、ん、・・・やっ、あんっ」
前後に腰を動かすと、皮膚と皮膚が擦られ、そこからまた新たな快感が紡ぎだされる。
雪菜の中で飛影のものは一段と大きくなり、さらに締め付けがきつくなる。
絶頂が見えてくる。
ペースを速め、雪菜のさらに奥まで何度も突き上げる。
「あんっ、飛影さん、飛影っ、さんっ」
「雪菜っ、・・・雪菜っ」
何度も、何度もくりかえす。
いつの間にか、雪菜の目からは氷泪石が溢れ、枕元にいくつもこぼれ落ちていた。
「あっ、はああっ、ああんっ!」
そして。
「―――――――っっ!!」
ビクンと身体を跳ね上げ、飛影は雪菜の中に想いを放つ。
想いは一度だけではとどまらず、二度三度と放たれ、溢れるほど雪菜の中を満たした。
すべてが終わったあとで、息を整えながら自然な眠りに落ちかけた時、
ふと、こぼれ落ちた氷泪石を見やり、飛影は気付く。
石の色がいつもと違い、珊瑚のような薄桃色をしている。
手を伸ばし、一粒拾って雪菜の前に持って行くと、彼女の顔が赤くなった。
「気持ちよかったってことか?」
察して尋ねると、雪菜はコクリと頷く。
これは・・・蔵馬の奴に見られたらどう言われる事か。
だが今は余計なことは考えないことにする。
互いの思いはようやく満たされたのだから。
互いの肌の温もりと精神的な充足を感じながら、二人は眠りについた。